JP5938803B2 - イチジク漿液画分を含む生理活性組成物および皮膚の色素沈着過剰の外観を低減するための方法 - Google Patents

イチジク漿液画分を含む生理活性組成物および皮膚の色素沈着過剰の外観を低減するための方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2010年9月10日出願の米国仮特許出願第61/381,442号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本発明は、化粧用組成物の皮膚への局所適用による皮膚の美白の分野に関する。さらに、本発明は、イチジク漿液画分を含む、皮膚を美白する局所用組成物にも関する。また、本発明は、メラニン合成における1つまたは複数のステップを妨害するための化粧用組成物を色素沈着過剰領域に局所適用することによって、皮膚の色素沈着過剰の外観を低減するための方法にも関する。
ヒト皮膚は、3つの主要な層、すなわち、表皮、真皮および皮下脂肪層を含む。表皮は、4つの層、すなわち、(上から下へ)角質層、顆粒層、有棘層および基底層を含む。別個の第5の層、すなわち、透明層は、角質層と顆粒層との間に存在し得る。基底層は、上方へ徐々に遊走して、他の上皮層を形成する細胞を産生する。これらの細胞は、上方へ遊走するにつれて、それらの中心核を喪失し、皮膚のタンパク質(ケラチン)および脂肪(脂質)を産生し始める。これらの細胞は、表皮の上層中に存在する場合には、角化細胞と同定される。メラニン形成細胞は、表皮の基底層中に位置する別のクラスの細胞である。メラニン形成細胞は、メラニンの産生に関与し、メラニンは、皮膚の色素沈着における主要な因子である。
メラニンは、メラニン形成細胞内の複雑なセットの反応により産生され、基礎的レベルでは、酵素チロシナーゼ、および基質としてのL−チロシンが関与する。チロシナーゼが、L−チロシンからDOPA(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)への変換およびDOPAからドーパキノンへの変換を触媒する。ドーパキノンは、さらなる変換を経て、メラニンを形成する。メラニンは、メラノソームとして知られているオルガネラ中に凝集し、メラノソームは、樹状突起として知られている、メラニン形成細胞の細長いフィラメントに沿って、角化細胞に移される。およそ1500個の遺伝子産物がメラノソーム中で発現し、それらのうちの600個は常に発現しており、それらのうちの100個はメラノソームに特有であると考えられている。さらに、シグナル伝達、メラニン形成細胞内におけるメラノソームの輸送、およびメラノソームの角化細胞への移動に関与する多くの調節エレメントもある。
メラニンの産生は、多様な外部および内部の事象により誘発され得る。例えば、皮膚がUV放射線に曝されると、メラニン形成細胞は追加のメラニンを産生する。次いで、メラニンは、メラノソームを介して角化細胞に輸送され、次いで、皮膚に「日に焼けた」外観を残す。UV光が除去されると、メラニン形成細胞は、メラニン産生の正常レベルに戻る。炎症は、メディエーター、例として、IL−1、エンドセリン−1および/または幹細胞因子によるメラニン形成細胞の直接的な刺激によって、色素沈着過剰を開始し得る。損傷皮膚中で生成されたまたは炎症細胞から副産物として放出された反応性の酸素種、例として、スーパーオキシドおよび一酸化窒素が、メラニン形成細胞の刺激物質となり得る。
経時的に、慢性のUV曝露、ならびに他の内因性および外因性の加齢因子が、角化細胞および/またはメラニン形成細胞の永久的な遺伝子発現の変化を起こし得、結果として、加齢関連性の色素沈着過剰性シミが生じる。いくつかのメラニン形成関連遺伝子(例えば、チロシナーゼ、TYRP1)のmRNAレベルが日射性黒子(加齢によるシミ)を増加させることが報告されている。また、色素沈着過剰においては、上皮のエンドセリンカスケードおよび幹細胞因子の役割も強調され得る。これらの変化により、侵襲、例として、UV曝露が回避されても持続するメラニンの過剰産生および結果として得られる色素沈着過剰性シミが生じ得る。色素沈着過剰性シミ以外にも、慢性のUV曝露、ならびに他の内因性および外因性の加齢因子により、皮膚色調のより多くの微妙な変化が生じ得る。しばしば、これらの変化は、まだらな色調または斑状の外観と記載される。少なくとも1つの研究によって、加齢によるシミにより、時には人が10〜12歳老けて見られる場合があり、メラニンの分布が、色調に依存する年齢の判断の基になる場合があることが示唆されている。したがって、色素沈着過剰皮膚の外観、例として、加齢によるシミを改善することができる組成物および処置方法の提供が望まれている。
ここ数年、消費者はますます、「自然」の化粧用製品を求めるようになってきた。結果として、化粧品の製造元は、より多くの植物に基づいた材料を、自社の化粧用製剤中に組み込んでいる。種々の植物が、多様な、よく知られている適応について数百年にまたは数千年にもわたり使用されてきたが、最近になってようやく、意図される有効性を臨床的に確かめることまたは植物の生理活性の根底にある科学に基づいて新しい潜在的な使用を同定することが可能になった。科学の最近の進歩に伴って、研究者らは今では、最近までは民間伝承により支持されるに過ぎなかった植物についての有効性および/または潜在的な新しい使用をより良好に評価することができる。この科学の新しさにより、かつ化粧用の生理活性物質として潜在的に活用され得るであろう植物の数が極めて膨大であることにより、まだ圧倒的多数の植物が十分には検討されていない。
植物から植物学的構成成分を抽出するために使用される方法のうちの多くには、植物組織の組成および/またはその組織中に含有される目的の生理活性構成成分に有害である技法が関与する。したがって、従来の抽出方法はしばしば、植物細胞内に存在する活性の完全なスペクトルを取り出すことができず、したがって、植物学に基づいた化粧用製剤の十分な可能性が実現されない。さらに、多くの従来の抽出方法が、過酷な化学溶媒を活用し、これらの化学溶媒は、「自然」ではなく、したがって、消費者が皮膚への適用の回避を望む材料である。さらに、これらの溶媒に基づいたプロセスは、有害廃棄物として適切に取り扱い、処分しない場合、環境を害する可能性がある毒性の化学廃棄物を生成する。
しかし、材料が「自然」であるという理由だけでは、そうした材料が望まれない物質を含有せず、そのことにより、材料が皮膚上での使用に適しているものになるとは限らない。例えば、多くの植物が、光感受性物質、例として、フェオフォルビド、および/または接触アレルゲン、例として、タンパク質を含有する。多くの一般的な植物中に自然に見出されるレベルでは、フェオフォルビドおよび/またはタンパク質は、ほとんどの人にとって懸念はない。しかし、植物材料が、極めて濃縮された形態に、例として、抽出により縮合される場合、これらの材料は、皮膚刺激性、および発疹を含めた、アレルギー反応を引き起こすレベルで存在し得る。しかし、これらの材料が、それらの自然のレベルで存在する場合でさえ、依然として、望ましくない皮膚反応を経験する多くの感受性の個体がいる。
さらに、自然の製品に対する需要が増加するにつれて、地球の天然資源の保護についての懸念も増加している。消費者が望む「自然」の成分のうちの多くが、消費者製品中で使用するために収穫されると、枯渇し、かつ/または破壊される生物資源から得られる。したがって、消費者が自然の、より地球に優しい製品を望むことが皮肉なことに、消費者が保存することを目指す生物資源自体の破壊をもたらす場合がある。
したがって、自然の、生理活性を示す植物学的組成物であって、所望の生理活性のスペクトルを維持し、皮膚への局所適用に適しており、過酷な化学溶媒は使用せずに調製される組成物が求められている。さらに、皮膚の色素沈着過剰の領域を低減させるのに有効である、そのような生理活性物質を含有する化粧用組成物も求められている。さらに、生態学的に妥当な、持続可能な様式で収穫および加工することができる、そのような生理活性材料も求められている。
本発明のこれらおよび他の目的が、以下の開示に照らして明らかになるであろう。
本発明は、新鮮イチジク葉の細胞汁から得られるイチジク漿液画分を提供する。また、本発明は、イチジク漿液画分を含む化粧用組成物も提供する。イチジク漿液画分は、組成物中に、皮膚を美白する所望の結果を達成するのに有効な量で存在する。
また、本発明は、メラニン形成における1つまたは複数のステップを妨害するための化粧用組成物を色素沈着過剰領域に局所適用することによって、皮膚の色素沈着過剰の外観を低減するための方法にも関する。
本発明は、付属の図面も併せて利用すると、以下の記載からより良好に理解されると考えられる。参照する図面により、本発明の範囲が限定されると解釈してはならない。
新鮮イチジク葉から得られる、生理活性を示す漿液画分を調製するためのプロセスを示す概略図である。 イチジク漿液画分のLC/UVクロマトグラムの上に重ね合わせた従来のイチジク抽出物のLC/UVクロマトグラムであり、従来の抽出物は、イチジク漿液画分中には検出されない、より高いレベルの溶出の遅い(より疎水性の)化合物を含有することを示している。 従来のイチジク抽出物の溶出の遅い化合物のLC/UVクロマトグラムおよびそれらの対応する抽出したイオンクロマトグラムであり、それらを、フェオフォルビド、すなわち、クロロフィルの分解産物である色素化合物と同定している。 イチジク漿液画分のLC/UVクロマトグラムの上に重ね合わせた従来のイチジク抽出物のLC/UVクロマトグラムであり、従来の抽出物は、より高いレベルのフラボノール配糖体を含有することを示している。 イチジク漿液画分のクロマトグラムの上に重ね合わせた従来のイチジク抽出物のLC/UVクロマトグラムの一部および対応する抽出したイオンクロマトグラムであり、イチジク漿液画分は、従来のイチジク抽出物中に含有されるレベルと比して、ほぼ10倍(10×)のレベルのカテキンおよび関連の縮合タンニンを含有することを示している イチジク漿液画分のクロマトグラムの上に重ね合わせた従来のイチジク抽出物のLC/UVクロマトグラムの一部および対応する抽出したイオンクロマトグラムであり、3つのカフェオイルキナ酸の異性体のレベルは、2つの試料の間で実質的に異なるようには見えなかったことを示している。 イチジク漿液画分のLC/MSクロマトグラムの上に重ね合わせた従来のイチジク抽出物のLC/MSクロマトグラムの一部であり、遊離のチロシン、フェニルアラニンおよびトリプトファンのレベルは、イチジク漿液画分中でより高いことを示している。 加速劣化研究から得られた2つのカラー写真であり、乾燥葉イチジク抽出物とFSFとを比べた色の安定性を示している。2つの異なる化粧用組成物は、異なるレベルのイチジク漿液画分および異なる防腐剤を含む。 図8の加速劣化研究についての較正プロットである。 加速劣化研究から得られたカラー写真であり、0.55%FSFおよび種々の濃度の防腐剤を含有するビヒクルを比較している。
別段の指定がない限り、本明細書において使用するパーセントおよび比は全て、組成物全体の重量に関し、測定は全て、25℃で行う。
本発明の組成物は、本明細書に記載する必須の構成成分および任意選択の成分を含むこと、本明細書に記載する必須の構成成分および任意選択の成分から本質的になること、または本明細書に記載する必須の構成成分および任意選択の成分からなることができる。本明細書で使用する場合、「本質的になる」は、組成物または構成成分が追加の成分を含むことができるが、追加の成分が、請求する組成物または方法の基本的なかつ新規の特徴を実質的に変化させない場合に限られることを意味する。
「適用する」または「適用」という用語は、組成物に関して使用する場合、本発明の組成物を、ヒト皮膚表面、例として、表皮上に適用または塗布することを意味する。
「皮膚科学的に許容できる」という用語は、本明細書で使用する場合、記載する組成物または構成成分が、ヒト皮膚組織と接触させて使用するのに適しており、過度の毒性、不和合性、不安定性、アレルギー応答等を生じないことを意味する。
「安全かつ有効な量」という用語は、本明細書で使用する場合、有益な利益を顕著に誘発するのに十分な化合物または組成物の量を意味する。
「炎症後の色素沈着過剰」という用語は、本明細書で使用する場合、一過性の炎症性事象に対する応答としての、色素沈着の急性から慢性の増加を指す。炎症後の色素沈着過剰は、これらに限定されないが、暗色皮膚の対象において特に優勢である。炎症後の色素沈着過剰は典型的には、一過性の炎症性事象が消散すると弱まる。一過性の炎症性事象の例として、これらに限定されないが、挫瘡病変、中に成長した毛、引っ掻き傷、昆虫の咬傷、表面活性物質による損傷、および短期のUV曝露が挙げられる。
「色素沈着過剰性シミ」という用語は、本明細書で使用する場合、皮膚の画定された領域であって、色素沈着が、局部的な、かつ慢性または全身性のメラニンの過剰産生に起因して、隣接する領域の皮膚の色素沈着よりも多い領域を指す。色素沈着過剰性シミは典型的には、直径が約2mm〜約10mmの間であるが、より小さなシミまたはより大きなシミも存在するであろう。色素沈着過剰性シミは、加齢によるシミ、日光シミ、日光黒子、低黒色性病変(hypo-melanotic lesion)、そばかす、および黒皮症のシミのうちの1つまたは複数を含むことができる。
「加齢によるシミ」という用語は、本明細書で使用する場合、色素沈着が、内因性または外因性の加齢因子により引き起こされる、局部的なかつ慢性のメラニンの過剰産生に起因する色素沈着過剰性シミを指す。
「皮膚色調作用剤」という用語は、本明細書で使用する場合、メラニン産生シグナル、メラニンの合成、メラニン形成細胞と角化細胞との間のメラニンの全身性の移動、および/またはメラニンの分解を制御する作用剤を指す。皮膚色調作用剤は、美白または色素沈着低減の化粧用作用剤として作用することによって、まだらな皮膚色調の外観を改善することができる。
「皮膚色調」という用語は、本明細書で使用する場合、全身性の、むしろ一過性ではない、メラニンの合成により引き起こされる、皮膚中のメラニンの全体的な外観を指す。皮膚色調は典型的には、皮膚のより大きな領域にわたり特徴付けられる。領域は理想的には、100mm超であり得るが、より大きな領域、例として、顔面皮膚の全体または顔面皮膚表面のうちのいずれかを想定する。皮膚色調は、画像解析により測定することができる。例えば、全体的な明るさを、Lの色空間におけるL座標により測定することができる(International Commission on Illumination)。発色団マッピング、例として、メラニンマッピング、およびメラニン濃度を、全体的な皮膚色調の指標として使用することができる。平均メラニンを、発色団マップデータから計算することができる。さらに、皮膚色調の均一性も、メラニンの均一性により決定することができ、メラニンの均一性もまた、発色団マップデータから計算することができる。適切な発色団マッピングの技法を、下記の実施例で論じる。
「顔面皮膚表面」という用語は、本明細書で使用する場合、前頭部、眼窩周囲、頬、口周囲、顎および鼻の皮膚表面のうちの1つまたは複数を指す。
「従来の抽出物」という用語は、本明細書で使用する場合、植物材料からの化合物の溶媒抽出により生成される抽出物を指す。植物材料は、脱水状態(すなわち、乾燥状態)の植物材料であっても、かつ/または非脱水状態(例えば、新鮮なもしくは部分的にのみ脱水状態の)植物材料であってもよい。
I.組成物
本発明は、種々の組成物、より具体的には、皮膚表面に適用するための組成物に関する。組成物は、多種多様な製品形態をとることができ、それらとして、これらに限定されないが、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ジェル、化粧水、スティック、ペンシル、スプレー、エアロゾル、軟膏、クレンジング液体洗浄剤および固体のバー、シャンプーおよびヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、粉末、ムース、シェービングクリーム、ワイプ、ストリップ、パッチ、電動パッチ、創傷ドレッシングおよび接着性包帯、ヒドロゲル、フィルム形成製品、顔面および皮膚のマスク(不溶性シートを有する場合および有さない場合がある)、メーキャップ、例として、ファンデーション、アイライナーおよびアイシャドウ等が挙げられる。組成物の形態は、選ばれた特定の皮膚科学的に許容できる担体に、それが組成物中に存在する場合には従う場合がある。
本発明の組成物は、メラニンと関連がある皮膚の色素沈着過剰の外観を低減するのに有用である。本明細書で使用する場合、「皮膚の色素沈着過剰の目に見える外観の低減」は、皮膚の美白を含む。皮膚の美白には、皮膚の色素沈着過剰域を含めて、皮膚中に現存するメラニンを、減少させること、最低限に留めることおよび/もしくは消すこと(処置的)、ならびに/または皮膚中におけるメラニンの形成を、遅延させること、最低限に留めることおよび/もしくは予防すること(予防的)が関与する。本明細書で使用する場合、「色素沈着過剰域」は、高いメラニン含有量の局部的帯域を意味し、加齢によるシミ、肝斑、シミだらけの状態、斑点形成、黒皮症、褐色斑、そばかす、炎症後色素沈着、または日光誘発性の色素性斑点を含む。
A.イチジク漿液画分
イチジク、すなわち、イチジク属は、多数の種からなり、世界中で見出される。イチジク属を、フィカス(Ficus)種、すなわち、ウチワサボテン(prickly pear cactus)、和名:ウチワサボテン(Opuntia ficus-indica (L.) Mill)、サボテン科と混同してはならない(Barberaら、Past and Present Role of the Indian-fig Prickly-Pear (Opuntia ficus-indica (L.) Miller, Cactaceae) in the Agriculture of Sicily、Economic Botany 46(1):10〜20、1992)。イチジク属の注目に値する種には、イチジク(Ficus carica)(一般的なイチジク)、ボダイジュ(Ficus religiosa)(釈迦が「真理」を探り当てた際に居したインドボダイジュ)、フィカス・エラスティカ(Ficus elastica) Roxb. exHorneum.(インドゴムノキ)、ベンガルボダイジュ(Ficus behghalensis)(バンヤンノキ)、およびフィカス・ラセモサ(Ficus racemosa)(異名:グロメラタ(glomerata);フサナリイチジク)が含まれる。
イチジクは、果実の一般的なカテゴリーに属し、無花果花序の、独特の「裏返し」構造を有する複数の果実の例である。これらは、小石果の集合体を含み、小石果は、果肉質の中空の花托であり、それぞれが、小孔と呼ばれる、尖部に小型の開口部を有する。微小な花が、内壁上に集合し、外部からは目に見えない。
知られているものの中では最古のヒトの食品のうちの1つとして、イチジク属種(イチジク)は、積年の安全性プロファイルを有する。イチジクの新鮮なまたは乾燥した果実、樹木の樹皮、葉、小枝、ラテックスおよび若い枝が、歴史を通して種々の目的で使用されてきた。これらの歴史的な使用のうちの一部として、傷、潰瘍、癌性の増殖、腫瘍、膿瘍、痛風、慢性の咳、肺の問題、慢性の下痢、便秘、リウマチ、淋病、痔核、糖尿病、嘔吐、湿疹、ハンセン病およびいぼについての治療が挙げられる。
本発明のイチジク漿液画分(以下「FSF」)は、新鮮イチジク葉の細胞汁から得られる。新鮮葉から機械により分離した細胞汁を、pH調節、集束マイクロ波放射、遠心分離および滅菌ろ過を使用して分画し、フェオフォルビドおよびタンパク質を含有しない、イチジク漿液画分を得る。結果として生じるイチジク漿液画分は、本質的にイチジク葉細胞の細胞質からなる。特定の実施形態では、イチジク細胞汁を、ベンガルボダイジュ(F. benghalensis)、イチジク(F. carica)、フィカス・エラスティカ(F. elastica)、ガジュマル(F. microcarpa)、フィカス・トリゴナタ(F. trigonata)、およびそれらの組合せからなる群から選択されるフィカス属種から得る。
本発明の組成物は、安全かつ有効な量のイチジク漿液画分を含む。組成物は、FSFを、組成物の重量に関して、0.01%〜50%の量で含有し、一実施形態では、0.05%〜20%の量で含有し、別の実施形態では、0.2%〜10%の量で含有することができる。さらに別の実施形態では、組成物は、組成物全体の重量に関して、1%〜5%のFSFを含み、さらに別の実施形態では、1%〜3%のFSFを含む。
本研究者らは、イチジク漿液画分が、皮膚に局所適用する場合、従来のイチジク抽出物と比較して、哺乳動物皮膚中の色素沈着過剰域の美白を含めて、優れた皮膚の美白作用をもたらすことを見出すに至った。対象の発明は、理論により制限されるべきでないが、メラニン産生(メラニン形成)に関与するプロセスの阻害により作動すると考えられ、これには、(例えば、UV曝露または太陽光曝露に伴って生じ得る)メラニン形成細胞内におけるメラニン産生経路を開始させる、メラニン形成細胞の反応性酸素/酸素ラジカルによる刺激(酸化ストレス)を予防することが含まれる。
イチジク漿液画分の調製
溶媒を用いる抽出による等、植物体から化合物を分離するために使用する方法によって、どの化合物が単離されるかが決定される。「似たものどうしはよく溶ける」の一般原則に従って、抽出溶媒の選択が主として、任意の特定の抽出技法の結果得られる化合物のタイプおよび数を決定する。例えば、極性化合物は、極性溶媒を使用することによって抽出して得、一方、非極性化合物は、非極性溶媒を使用することによって抽出して得る。この結果、存在し得る化合物のスペクトル全体から狭い範囲の化合物のみが単離される。下記の表1xに、異なる極性の範囲にわたり、一般的な溶媒を使用して通常抽出される異なるタイプの化合物を要約する。
現在の発明のイチジク漿液画分は、溶媒抽出によって調製せず、それどころか、植物葉中に見出される新鮮な細胞汁と残りの植物体とを分離することによって調製する。この細胞汁は、抽出プロセスに曝されていないので、新鮮イチジク葉中に見出される化合物の完全なスペクトルを含有する。対照的に、抽出物は、特定の溶媒を用いて分離することができる狭い範囲の化合物のみを含有する。したがって、結果として生じるイチジク漿液画分は、抽出物が含有するよりも、潜在的に活性な化合物のはるかに広い範囲を含有する。
さらに、多くの抽出物は、新鮮葉から調製されず、それどころか、乾燥状態の植物材料から調製され、乾燥状態の植物材料は、脱水に起因する分解を受けている。脱水の間に、細胞壁が損なわれ、加水分解、酸化、重合、メイラード反応および異性化等の機構を通して化合物の分解が生じる。したがって、乾燥状態の葉を抽出する場合には、結果として生じる抽出物は、新鮮な植物体中に当初は存在しなかった、これらの分解産物を含有する。さらに、抽出物は、特定の溶媒により単離することができる範囲の化合物のみを含有する。したがって、結果として生じる乾燥葉の抽出物の組成は、イチジク漿液画分の組成とは大いに異なる。
イチジク漿液画分の組成物を作製するための方法は、(a)清浄で新鮮な萎凋していないイチジク葉からイチジク細胞汁を分離して、新鮮なイチジク細胞汁を得るステップであって、前記分離の前または間に外来の液体が添加されないステップと、(b)前記新鮮なイチジク細胞汁をろ過して、繊維を含有しない細胞汁を得るステップと、(c)前記繊維を含有しない細胞汁を分画して、イチジク漿液画分を得るステップとを含む。分画ステップは、(1)前記繊維を含有しない細胞汁からクロロフィルを除去して、上清Iを得るステップと、(2)上清Iから色素およびタンパク質を除去して、イチジク漿液画分を形成するステップと、(3)場合により、安定化剤を前記イチジク漿液画分に添加するステップとを含む。
いくつかの実施形態では、安定化剤は、抗酸化剤、キレート化剤、防腐剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、安定化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンナトリウム、ペンチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
特定の実施形態では、繊維を含有しない細胞汁からクロロフィルを除去するステップは、(i)前記繊維を含有しない細胞汁のpHを約3に調節して、pHを調節した、繊維を含有しない細胞汁を得ること、(ii)前記pHを調節した、繊維を含有しない細胞汁を約1分かけて約90Cまで加熱すること、(iii)前記pHを調節した、繊維を含有しない細胞汁を約30Cまで冷却すること、および(iv)前記pHを調節した、繊維を含有しない細胞汁を沈殿物Iおよび上清Iに分離することを含む。
特定の実施形態では、上清Iからの色素およびタンパク質の除去は、(i)上清IのpHを7.5に調節して、pHを調節した上清Iを形成すること、(ii)pHを調節した上清Iを、沈殿物IIおよび上清IIに分離すること、(iii)上清IIのpHを3.6に調節して、pHを調節した上清IIを形成すること、および(iv)pHを調節した上清IIを、沈殿物IIIおよびイチジク漿液画分に分離することを含む。
新鮮イチジク葉を使用して、イチジク漿液画分を調製する。本明細書における調製方法は、イチジク葉中に本質的に存在する生理活性構成成分の完全性を維持し、結果として、優れた活性を示すイチジク漿液画分をもたらす。収穫および輸送の間は、環境要因、例として、水分喪失および生物学的分解を最小限に留めるように、注意を払って、葉の完全性を保存する。全てのステップを可能な最も短い期間で完了して、新鮮葉の、日光、高い温度、および他の望ましくない環境要因に対する曝露を最小限に留める。
特定の実施形態では、イチジク葉は、ベンガルボダイジュ(F. benghalensis)、イチジク(F. carica)、フィカス・エラスティカ(F. elastica)、ガジュマル(F. microcarpa)、フィカス・トリゴナタ(F. trigonata)、およびそれらの組合せからなるフィカス属種の群から選択される。
手動または機械による切断等の収穫を、たたき切ること、すりつぶすこと、破砕すること、または葉に対する他のタイプの傷害を回避するまたは最小限に留めるように実施する。収穫および輸送は、水分喪失に起因する萎凋を回避するように実施すべきである。一実施形態では、新鮮イチジク葉を使用して、それらの元々の水分含量の少なくとも90%を含有するイチジク漿液画分を調製し、別の実施形態では、収穫時に存在した元々の水分含量の少なくとも95%を、別の実施形態では、少なくとも98%を含有するイチジク漿液画分を調製する。
イチジク植物の葉の最高30%を、植物の生存、すなわち、その後の葉の再成長に不利な影響を及ぼすことなく、一度に収穫することができるので、収穫を同じ植物から多数回行うことができる。したがって、イチジク植物は、その完全な自然寿命全体を通して、成長し、周囲の生態系の一部であり続け、生理活性を示す化粧用組成物を調製するために、葉の収穫を繰り返して提供することができる。この収穫方法が、天然資源の持続可能性を促すので好ましい。
あまり好ましくないが、大量の植物を除去し、生存可能な部分を再成長のために残さない大規模な機械による収穫を用いる等、持続可能性がより低い収集方法もまた、使用することができる。しかし、このより侵襲性の収穫方法を用いる場合であっても、注意を払って、イチジク葉の傷害を最小限に留める。イチジク葉の傷害は、微生物の増殖、水分喪失、酸化、重合、異性化および加水分解プロセス(すなわち、望まれない異化プロセス)の激化を収集する葉にもたらす可能性があるであろう。例えば、本発明の一実施形態では、イチジク植物を、植物全体として、手動で切断し収集する。別の実施形態では、植物葉を、収穫用機器を使用して切断する。
切断した植物材料の加工施設までの配達時間、ならびに日光、高い温度、および他の望ましくない環境要因に対する葉の曝露を最小限に留めて、上記に記載した望まれない分解プロセスの影響を阻止すべきである。例えば、本発明の一実施形態では、切断時からさらに加工するまでの植物の配達時間は、30分を上回らない。別の実施形態では、長距離輸送を経る植物を、切断後の手順に従って処理し、この手順には、イチジク葉を凍結ゲルパックのバッグを含有する発砲スチロール製クーラー中に直ちに置いて、加工施設まで一晩かけて配達する間の新鮮さおよび自然の水分含量の維持を支援することを含む。同様に、上記に記載した結果を達成する他の切断後の手順も使用することができる。
次いで、イチジク葉を、加工する前に、土壌粒子および他のデブリを除去するために、穏やかに洗浄する。一実施形態では、洗浄を、葉から細胞汁が放出し始めること、傷害を引き起こすこと、または貴重な構成成分を除去することを阻止する条件下で、低圧の濯ぎを短い期間使用して達成する。例えば、本発明の一実施形態では、イチジク葉の洗浄を、1kg/cm以下の水圧を用いて5分以内に達成する。残余の洗浄水は、いずれの緑色または黄色の色素も含有してはならない。そのような色素が存在しないことは、続発の傷害が生じなかったことを示す。次いで、乾燥物質含有量を自然のレベルにできるだけ近い状態に保つために、過剰な水を、洗浄した葉から除去する。
次いで、洗浄した新鮮イチジク葉を機械により分離して、細胞壁を主に含有する、繊維に富む材料から、実質細胞の細胞内材料のうちのほとんどを含有する、細胞汁を遊離させる。外来の溶媒(例えば、水、ヘキサン、アセトン、エタノール)を、分離プロセスの間に添加しないことが重要である。本明細書で使用する場合、「外来の溶媒」は、植物材料中には本質的に存在しないが、植物材料から化合物を分離する(例えば、抽出する)目的で植物材料と接触させる任意の溶媒を意味する。
洗浄した葉からの細胞汁の遊離は、液体の細胞内内容物(すなわち、細胞汁)を得、細胞内内容物と、繊維に富む材料とを分離するための粉砕、浸軟およびプレスを含む。一実施形態では、5HPのエンジンおよび一連のスクリーンを有するハンマーミル(Model VS35、Vincent Corporation、Tampa、FL)を使用して、葉を粉砕して、適切な小さなサイズの葉組織の粒子を、最短の時間内に、バイオマス温度を顕著に増加させることなく得る。この実施形態では、≦2.0センチメートルの最大サイズの浸軟した葉の粒子を、≦10秒の処理の間に生成するように、ハンマーミルを設定し、この場合、浸軟した新鮮葉の温度は、≦2℃以下だけ増加するに過ぎない。
上記に記載したように、粉砕および浸軟したイチジク葉の曝露を最小限に留めて、望まれない異化プロセスの影響を阻止する。イチジク葉を、短時間で、温度を顕著に増加させることなく加工する。粉砕および浸軟の直後に、イチジク葉をプレスして、浸軟した新鮮葉から細胞汁を得る。一実施形態では、これを、圧縮空気により支持されるコーンが装備されている水平式連続型スクリュープレス(Compact Press「CP−6」、Vincent Corporation、Tampa、FL)を使用して達成する。この実施形態では、コーン上の圧力を、15kg/cm以上のレベルで維持し、スクリュー速度は12rpmであり、細胞汁の温度の増加は5℃以下である。
この処理により、繊維に富む材料、および細胞汁が得られる。次いで、残余の小さな繊維粒子を、細胞汁から除去する。これは、これらの繊維粒子が、貴重な細胞汁の構成成分を吸収する可能性があり、また、機器のホースおよびポンプを遮断する可能性もあるからである。例えば、これらの粒子を、ろ過または低速の遠心分離により除去することができる。一実施形態では、完全自動排出ユニットを有する連続流型遠心分離機(Model 12−413V、AML Industries,Inc.、Hatboro、PA)を使用する浄化により、これらの粒子を除去する。2リットル/分の流速では、≦2,250gにおける、細胞汁の浄化ための保持時間は、≧100秒である。このレジメンにより、繊維を含有しない、細胞汁が生成される。小さな繊維粒子を含有する沈殿物を、収集し、新鮮葉のプレスの後に生じた残りの、繊維に富む材料と合わせる。
所望により、この時点で、細胞汁を、後に加工するために、気密の、非反応性容器中に凍結して、保存することができる。一実施形態では、細胞汁を、しっかり閉じる15リットルの長方形のHDPE製容器中に遅滞なく置き、−30℃で凍結する。固体状態の凍結した細胞汁を、さらに活用するために、この低い温度で保つ。
次いで、凍結した細胞汁は、好ましくは、短期間(例えば、2分以下)にわたる流動化により変換して液体状態に戻すことができ、流動化の間、細胞汁の温度の増加を最低限に留める(例えば、20C以下)。短い流動化の期間および低い温度上昇が、細胞汁に対する変性および酸化による損傷の両方を最小限に留める。この結果、凍結の前に測定した特性と本質的に同一の生理化学的および生化学的な特性を有する細胞汁が得られる。
細胞汁は、3つの主要なタイプの構成成分、すなわち、(i)膜結合型葉緑体、ミトコンドリア、小胞体、核、リソソーム、ペルオキシソーム、空胞、ゴルジ体;および(ii)非膜結合型リボゾーム、微小管;および(iii)上記の群に関係しない構成成分、例として、細胞質を含む。細胞汁中の、オルガネラおよびそれらの断片、ならびに望まれない色素およびタンパク質の存在に起因して、これらに限定されないが、色、溶解性、透明性、安定性およびin vitroにおける活性を含めた、機能特性の望ましい組合せを有するパーソナルケア成分を生成するのに、分画が必要である。
pH調節、集束マイクロ波放射、遠心分離および減圧ろ過を含めた、種々の処理を使用して、細胞汁を分画する。次いで、結果として生じる単離した、細胞汁の漿液画分を、防腐剤および抗酸化剤を用いて安定化させて、最終的なイチジク漿液画分を生成する。
細胞汁のpHを、≧3.0に調節する(pH調節1)。一実施形態では、中性(7.0)に近い細胞汁のpHを、5.0N塩酸(HCl)を活用する滴定法を使用して調節して、細胞汁のpHを、≧3.0まで減少させる(pH調節1)。
次いで、クロロフィルを、調節した細胞汁から除去する。化粧用成分中にはこの色素が存在しないのが望ましいことに加えて、クロロフィルは、フェオフォルビドに変換される可能性があり、フェオフォルビドは、毒性化合物であり(Bergstrom, L.C.、Vucenik, I.、Hagen, I.K.、Chernomorsky S.A.、Poretz R.D. In-vitro photocytotoxicity of lysosomotropic immunoliposomes containing pheophorbide a with human bladder carcinoma cells、J. Photochem. Photobiol.、24、1、17〜23、1994)、皮膚刺激性に関与するとみなされている(Kato T.、Yamada K.、Relationship between appearance of photosensitization and total pheophorbide level in spirulina powder、J. Food Hyg. Soc. Japan、36、632〜634、1995)。
一実施形態では、調節した細胞汁を、加熱し、次いで、冷却し、続いて、上清から沈殿物を分離することによって、クロロフィルの除去を達成する。特定の実施形態では、調節した細胞汁を、周波数2,450MHzを用いる集束マイクロ波放射により遅滞なく処理する。この集束マイクロ波処理(FMP)の間、細胞汁の温度は、90℃まで一時的に増加し、この温度に1分間保たれ、次いで、細胞汁の温度は、≦30℃まで直ちに減少する。次いで、連続流型遠心分離機CEPA LE(Carl Padberg Zentrifugenbau GmbH、ドイツ)を15,000rpmおよび≧30秒の保持時間で使用して、処理した細胞汁を素早く分離する。処理した細胞汁の分離により、緑色に着色したペースト状沈殿物(「沈殿物I」)、および明るい褐色に着色し、若干乳白光を発する液体の上清(「上清I」)が得られる。この上清Iを使用して、さらなる分画を行う。
上清Iをさらに処理して、褐色色素、および残余のタンパク質を含めた、他の望まれない化合物を大幅に除去する。この処理は、pH調節および分離を含む。上清IのpHを調節して、pHを約7.5まで増加させる(pH調節2)。一実施形態では、pH調節2を、50%水酸化ナトリウム(NaOH)を活用する滴定法により達成して、細胞汁の上清IのpHを約3.0から約7.5まで増加させる(pH調節2)。pH調節2の結果、より暗色の材料が生じ、乳白光が強まり、次いで、これを分離により浄化する。一実施形態では、連続流型遠心分離機CEPA LE(Carl Padberg Zentrifugenbau GmbH、ドイツ)を15,000rpmおよび≧30秒の保持時間で使用することによって、浄化を達成する。この分離の結果、褐色に着色したペースト状沈殿物(沈殿物II)、および褐色に着色し、若干乳白光を発する上清(上清II)が得られる。
次いで、上清IIのpHを調節し(pH調節3)、これをろ過する。上清IIのpHを調節して、pHを約3.6まで減少させる(pH調節3)。一実施形態では、上清IIを、5.0N塩酸(HCl)を活用する滴定に付して、pH値をpH約3.6まで減少させる(pH調節3)。そのような処理から、乳白光が若干増加しているが、より明るい色のpHを滴定した上清IIが生じる。pHを調節した上清IIを、ポアのサイズ0.2マイクロメートルを有するメンブランを通す滅菌ろ過を用いて処理する。結果として生じるろ液は、明るい色の透明なイチジク漿液画分(FSF)である。FSFは、本質的にイチジク葉細胞の細胞質からなる。
漿液画分のさらなる安定化を、抗酸化剤、安定化剤、キレート化剤および防腐剤を添加することによって達成することができる。一実施形態では、以下の添加剤、すなわち、0.2%メタ重亜硫酸ナトリウム、0.1%ソルビン酸カリウム、0.1%安息香酸ナトリウム、および0.1%メチルパラベンナトリウムを、イチジク漿液画分に添加する。この実施形態では、添加剤の完全な可溶化が達成されるまで、混合物をインキュベートする(≧30分)。次いで、1.9%ペンチレングリコールを、混合物に添加した。
FSFの特性
結果として生じるFSFは、FSFを化粧用成分として使用するのに望ましいものとする特性を実証する。これらの特性は、安定性、水溶性、望ましくない材料、例として、フェオフォルビドおよびタンパク質が存在しないこと、より明るい色、より高い固体含有量、ならびにより高いレベルの望ましい化合物、例として、フェニルアラニンが存在することを含む。
安定性の研究から、FSFからこれらの方法により生成される化粧用成分は、室温で少なくとも6カ月間安定であることが示されている。本明細書で使用する場合、「安定な」は、暗い、乾燥した領域中に、STP(標準的な温度および圧力:25℃、1atm)で保存する場合、特定する期間にわたり、組成物の物理的または化学的な特性に顕著な変化がないことを意味する。これらの特性は、色および化学組成を含む。FSFおよびそれを含む組成物は、いくつかの実施形態では、少なくとも6カ月間、他の実施形態では、少なくとも12カ月間、さらなる他の実施形態では、少なくとも24カ月間安定である。特定の実施形態では、組成物は、6〜24カ月間、12〜24カ月間、または6〜12カ月間安定である。
水溶性
また、本発明のFSFは水溶性でもある。本明細書で使用する場合、「水溶性」は、FSFが、(STPにおいて)水と任意の比率で混和することを意味する。FSFが水溶性であることから、FSFは、イチジクを含む組成物を製剤化する場合に、より大きな柔軟性をもたらす。例えば、水を基剤とする製剤には、ベタベタしない感触、望ましい塗布性、軽い皮膚感、および皮膚表面からの除去の簡便性(例えば、濯げること)が、消費者によりしばしば望まれる。
しかし、水に溶解しない、従来のイチジク抽出物は、溶媒を使用して抽出されており、相分離、沈降、結晶化、および水を基剤とする組成物全体を通して活性物質の濃度が不均一になること等の困難を製剤にもたらす可能性がある。水に溶解しない活性物質に伴う製剤化の問題を克服するために、より複雑な製剤、例として、乳剤(この場合、組成物中に、油性のおよび/または油性感がある材料を通常導入する)が、通常使用される。このことにより、ベタベタする、重いおよび/または粘性のある皮膚感を有する組成物、皮膚表面からあまり容易には除去されない組成物、ならびにより費用のかかるおよび/または複雑な製造プロセスが生じる。また、多くの場合に、これらの製剤は、活性物質の皮膚への送達を妨げる可能性もある。
しかし、FSFが十分に水溶性であることから、FSFは、水に溶解しない従来のイチジク抽出物に伴う上記で言及した問題を起こすことなく、水を基剤とする製剤中に組み込むことができる。このことにより、より大きな製剤上の柔軟性が生じ、したがって、優れた、消費者が望む属性を有するイチジク組成物をもたらすことが可能になる。
さらに、FSFが十分に水溶性であることから、FSFは、十分には水溶性でない溶媒抽出物よりも生物学的に利用可能である。このことにより、FSFに由来する活性構成成分の皮膚への送達が、より効能を示すようになる。
さらに、従来の溶媒抽出物の潜在的な生物学的活性のうちの多くの測定が、水に対するそれらの不溶性に起因して、実行可能でない。例えば、本研究において、それらが水溶性ではないため、溶媒抽出物のIC50値を測定することができなかった。
安全性/アレルゲン性
また、FSFは、イチジクを含めた、植物中に一般的に見出される材料であるフェオフォルビドおよびタンパク質も実質的に含有しない。これらの材料が、感受性の個体において、安全性に対する懸念、例として、毒性および/またはアレルギー反応を生み出すことは知られている。植物中に通常見出されるレベルでは、これらの材料には通常、懸念はない。しかし、植物材料が、加工されること等により濃縮されると、相対的な濃度が劇的な増加を示し、安全性に対する懸念を生み出す可能性がある。したがって、これらの材料を含有しない組成物が極めて好ましい。
フェオフォルビドは、クロロフィルの分解産物である色素化合物である。また、これらの色素は、製品を変色させることに加えて、生物学的毒素および皮膚光感受性物質であることも知られている。(Bergstrom, L.C.、Vucenik, I.、Hagen, I.K.、Chernomorsky S.A.、Poretz R.D. In-vitro photocytotoxicity of lysosomotropic immunoliposomes containing pheophorbide a with human bladder carcinoma cells、J. Photochem. Photobiol.、24、1、17〜23、1994);(Kato T.、Yamada K.、Relationship between appearance of photosensitization and total pheophorbide level in spirulina powder、J. Food Hyg. Soc. Japan、36、632〜634、1995)。
図2に示すように、(実施例3の)従来のイチジク抽出物は、(実施例1の)FSF中には検出されない、溶出の遅い(すなわち、より疎水性の)化合物を含有する。図3に示すように、従来のイチジク抽出物の溶出の遅い化合物のLC/UVクロマトグラムおよびそれらの対応する抽出したイオンクロマトグラムから、これらの化合物がフェオフォルビドであることが同定された。(実施例5を参照されたい)
タンパク質は、イチジク等の植物中のタンパク質を含めて、感受性の個体において、タンパク質接触皮膚炎を引き起こす可能性がある。原因となるタンパク質性の材料との接触の直後に、そのような個体が、そう痒、灼熱感および/または刺痛がしばしば伴う、皮膚上の急性の蕁麻疹様または水疱性の発疹等の症状を経験する場合がある。(V. Janssensら、「Protein contact dermatitis: myth or reality?」、British Journal of Dermatology、1995; 132: 1〜6)。したがって、皮膚のケア材料は、タンパク質をできるだけ含有しないことが極めて望ましい。
FSFを、総タンパク質含有量について、ケルダール法を使用して試験した(実施例1、表3)。FSF中には、タンパク質が検出されなかった。本明細書で使用する場合、「タンパク質を実質的に含有しない」は、ケルダール法を使用した場合の、1%未満(0%〜1%)の総タンパク質含有量を意味する。タンパク質含有量は、いくつかの実施形態では、FSFの0%〜1%であり、他の実施形態では、0%〜0.5%であり、他の実施形態では、0%〜0.25%である。
色/色の安定性
FSFは、従来のイチジク抽出物よりも明るい色を有する。FSFは、8未満のガードナー色度値を有し、いくつかの実施形態では、7.5未満のガードナー色度値を有する。特定の実施形態は、5〜8のガードナー色度値を有し、他の実施形態は、6〜8のガードナー色度値を有し、他の実施形態は、6.5〜8のガードナー色度値を有する。図8に、14日間の加速劣化研究の後の、FSFの色と乾燥葉イチジク抽出物の色との差を示す。図10に、安定化剤/防腐剤を、レベルを変化させて有するビヒクル中の0.55%FSFの色の差を示す。図9は、図8の加速劣化研究の解析のために構築した較正チャートである。
本研究者らは、従来の抽出物中に、いくつかの興味深い構成成分を同定するに至った。これらの構成成分は、FSF中に存在しないかつ/またははるかにより低いレベルで存在し、両者の間の色および色の安定性の差の原因となり得るであろう。例えば、図4は、従来の抽出物が、より高い量の、フラボノール配糖体と思われる構成成分を含有することを示す。フラボノール配糖体は、タンニン(タンニンは、FSFおよび従来の抽出物の両方中に見出される)と組み合わさって、ポリマー性色素を形成することができる。したがって、より高いレベルのフラボノール配糖体により、従来の抽出物中には、高いレベルの色素化合物の形成がもたされ得るであろう。次いでさらに、フラボノイドおよびタンニンのポリフェノール構造は、酸化、熱および光等の因子に対して高い感受性を示し、このことは、従来の抽出物中の色素の存在の経時的な増加の潜在的な原因となり得る。
固体含有量
固体が、FSFまたは抽出物の生物学的活性部分を含有する。したがって、固体含有量が高いほど、植物学的活性も高まる。FSFは、従来の水溶性イチジク抽出物と比較して、より高い固体含有量を有する。FSFは、FSFの重量に関して、5%超の固体(乾燥物質)含有量を有し、特定の実施形態では、5%〜20%、または5%〜10%の固体(乾燥物質)含有量を有する。
FSFの生理活性
FSFは、皮膚における色素沈着の生成を制御すると認識されている少なくとも4つの異なる作用機構を示す。これらの機構は、チロシナーゼの阻害、トリプシンの阻害、COX−2の阻害および抗酸化活性である。FSFは、一実施形態では、以下の色素沈着低減活性のうちの少なくとも1つを示し、他の実施形態では、以下の色素沈着低減活性のうちの少なくとも2つを示し、代替として、少なくとも3つを示す:チロシナーゼ阻害IC50(%DM)、0.003〜0.06;トリプシン阻害IC50(%DM)、0.02〜0.5;COX−2阻害IC50(%DM)、0.02〜1;ならびに抗酸化性のスーパーオキシド捕捉能力、DPPHアッセイにより測定する場合(1/×DM)、1〜15、および/またはORACアッセイにより測定する場合(1/×DM)、0.2〜5。本明細書で使用する場合、「DM」は乾燥物質(「固体」)であり、「ORAC」は酸素ラジカルの吸収能力であり、「DPPH」は、フリーラジカル捕捉能力の尺度である。
さらに、実施例6のB16のメラニン抑制アッセイにより実証するように、FSFは、従来のイチジク乾燥葉の溶媒抽出物よりも、メラニン産生の抑制においても有効である。例えば、FSFからは、0.01の濃度で、従来の抽出物(23%のメラニンの阻害)よりも2倍超のメラニン合成の阻害の程度(48.1%のメラニンの阻害)が生じた。
したがって、本発明は、皮膚においてメラニン形成を制御する(すなわち、メラニン抑制の)ための方法を提供する。皮膚中のメラニンの濃度が関与する種々の形態の色素沈着過剰(例えば、そばかす、加齢によるシミ、肝斑、シミだらけの状態、斑状の色素沈着等)が、表皮中に存在するメラニン形成細胞および角化細胞の変化の結果生じると考えられている。メラニン形成細胞は、表皮の基部に位置し、加齢に伴い、それらの正常な制御プロセスを喪失し、過剰な色素を産生する。この過剰な産生により、表皮内の角化細胞中に、メラニンの濃密な核周囲凝集塊が形成され、結果として、色素沈着過剰領域が生じる。
色素沈着過剰皮膚についての従来の療法は、メラニン形成を阻害する、皮膚を美白する特定の作用剤の適用を含む。当技術分野で提案されている、これらの材料についての作用機構は、メラニン合成におけるチロシナーゼの阻害および/または他のステップの阻害である。チロシナーゼは、上皮のメラニン形成細胞中のメラノソーム内に存在し、チロシンからのメラニンの形成における方向付けされたステップを触媒する。(Goldsmith, L. A.、PHYSIOLOGY、BIOCHEMISTRV, AND MOLECULAR BIOLOGY OF THE SKIN、Oxford University Press、873〜903頁、N.Y.、1991を参照されたい)。チロシナーゼは、チロシンのヒドロキシル化およびDOPAからDOPAキニーネへの酸化を触媒する。したがって、阻害剤がチロシナーゼの活性部位に結合すると、メラニン形成の減少が生じる。一般に、Prota, G.、Melanins and Melanogenesis、Academic Press, Inc.(San Diego、1992)を参照されたい。
酸化的なプロセスが、メラニン産生の非酵素的なステップに関与する。DOPAキノンからメラニンへの変換が、非酵素的または自発的な化学反応を介して生じ、それらの中には、反応性酸素種(ROS)または酸素ラジカルが関与するものがある。(例えば、UVまたは太陽光への曝露に伴って生じ得る)反応性酸素/酸素ラジカル種の刺激による等のメラニン形成細胞に対する酸化ストレスにより、メラニン形成細胞内におけるメラニン産生経路が開始する。種々の抗酸化剤/ラジカル捕捉剤が、これらのプロセスを妨害するのを支援し、したがって、皮膚を美白する利益を達成するために使用されている。
アラキドン酸から誘導される代謝産物が、皮膚中で、特に、環境からの侵襲、例として、UV、スモッグおよび他のそのような刺激物質に応答して、強力な炎症性メディエーターとして働くことは知られている。この経路において、膜のリン脂質が、ホスホリパーゼA2によりアラキドン酸(AA)に変換される。AAは、形成されると、2つの競合する生物学的経路のうちの1つ、すなわち、シクロオキシゲナーゼ(COX)経路または5−リポオキシゲナーゼ経路のいずれかにより活用される。COX炎症経路中の最も関連がある酵素がCOX−2であり、COX−2は、アラキドン酸からPGH2への変換を触媒し、PGH2は、PGE2等のプロスタグランジンに迅速に変換される一過性分子である。プロスタグランジンは、刺激部位において炎症応答を惹起するのに関与する局所メッセンジャーとして作用するオートクリンまたはパラクリンである。
イチジク漿液画分の皮膚内への吸収が、COX−2を阻害し、アラキドン酸から誘導される代謝産物がプロスタグランジンに変換されるのを阻止する。正味の効果が、基礎および誘発型の両方のプロスタグランジンのプールの低減である。プロスタグランジンのレベルの低減により、炎症応答の直接的な低減および結果として生じる下流のメッセンジャー活性全ての低減の両方が生じる。これらのメッセンジャー活性のうちの2つとして、メラニン形成細胞中のメラニン合成の活性化および線維芽細胞中のコラーゲン産生の阻害が挙げられる。
プロスタグランジンが、メラニン産生に関与する酵素であるチロシナーゼの量を増加させることによって、メラニン形成細胞を刺激することは知られている。メラニン形成細胞の刺激およびメラニンの過剰産生により、色素沈着過剰が生じ、これは、皮膚の領域の黒ずみとして観察される。炎症により引き起こされる、したがって、プロスタグランジンのメラニン形成細胞に対する直接的な刺激の結果生じる変色を、炎症後の色素沈着過剰と呼ぶ。イチジク漿液画分によるCOX2の阻害が引き起こすプロスタグランジン産生の低減により、メラニン産生の低減およびより均等な色調の皮膚が得られるであろう。
プロスタグランジンPGEが、ヒト皮膚線維芽細胞、ラット糸球体間質細胞および肝臓星状細胞を含めた、多様な細胞中のI型および/またはIII型のコラーゲン合成の低減に対して顕著な作用を有することが示されている[ref]。I型およびIII型が、皮膚真皮を構成するコラーゲンの顕著な形態であることから、このことは、炎症に応答したPGEレベルの上昇が、コラーゲン合成の阻害をもたらすことを支持している。AAおよびPGEが、コラーゲン合成に対する阻害作用を有することが示されている。オメガ−3脂肪酸であるEPAおよびDHAを含めた、自然から得られるCOX−2阻害剤を添加することによって、PGEにより引き起こされるコラーゲン合成の阻害を相殺し、コラーゲン合成の正味の増加をもたらすことが可能であった。したがって、イチジク漿液画分は、COX2を阻害することによって、皮膚の質感を改善すると思われ、COX2の阻害は、コラーゲンの阻害を引き起こすプロスタグランジンの形成を低減させる。
イチジク漿液画分が、皮膚に局所適用される場合、従来のイチジク抽出物と比較して、哺乳動物皮膚中の色素沈着過剰域の美白を含めた、優れた皮膚の美白作用を達成することを予想外に見出すに至った。さらに、解析試験により、本発明のイチジク漿液画分は、メラニン合成を複数の作用機構を介して妨害し、酵素的経路および非酵素的経路の両方に影響を及ぼすことも示すに至った。FSFにより、従来のイチジク抽出物と比較して、生理活性を増強するに至った。生理活性には、酵素阻害活性、フリーラジカル捕捉活性、抗酸化活性、およびメラニン合成阻害活性のうちの1つまたはそれらの組合せが含まれる。酵素阻害活性として、これらに限定されないが、チロシナーゼ、エラスターゼ、トリプシン、およびシクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)の阻害活性のうちの1つまたはそれらの組合せが挙げられる。抗酸化活性として、これに限定されないが、酸素ラジカル吸収能力が挙げられる。
また、本研究者らは、従来のイチジク抽出物も、例として、色素沈着過剰に対する利益をもたらすことができることを示しているが、これら従来の抽出物は、同様には効能を示さず、これらが示す特性は、化粧用組成物中で使用するには、適切性が劣り、したがって、あまり望ましくない。
図5に示すように、FSFは、より高いレベル(約10×)のカテキンおよび関連の縮合タンニンを有する。カテキン等のタンニンの縮合したもの(プロアントシアニジン)は、フラバノールのクラスである。プロアントシアニジンは本質的には、カテキン等のフラボノイドのポリマー鎖である。タンニンは、ヒト体内において生物学的抗酸化剤(フリーラジカル捕捉剤)として機能すると考えられており、皮膚に対する酸化による損傷、例として、加齢により引き起こされる損傷と闘うのに有効であると広く考えられている。さらに、抗酸化剤は、内部および環境のストレス、例として、タバコの喫煙および汚染の作用からの保護を支援することができ、正常な身体の代謝プロセスを支持することもできる。(Kehrer, J.P.、Crit. Rev. Toxicol、1993、23、21)。また、図7は、FSFが、より高いレベルの遊離のチロシン、フェニルアラニンおよびトリプトファンを含有したことも示し、これらは、必須アミノ酸である。しかし、図6に示すように、検出された3つのカフェオイルキナ酸の異性体のレベルは、2つの試料の間で実質的に異なるようには見えなかった。
B.皮膚色調作用剤
いくつかの実施形態では、組成物中に、皮膚色調作用剤を、FSFと組み合わせて含めるのが望ましい場合がある。全体的な皮膚色調をさらに改善するために、皮膚色調作用剤を含めることができる。本発明の組成物は、組成物の重量に関して、最高約50%、40%、30%、20%、10%、5%または3%の皮膚色調作用剤を、存在する場合には含有する。本発明の組成物は、組成物の重量に関して、少なくとも約0.001%、0.01%、0.1%、0.2%、0.5%または1%の皮膚色調作用剤を、存在する場合には含有する。適切な範囲として、組成物の重量に関して、約0.1%〜約50%、約0.2%〜約20%、または約1%〜約10%の適切な範囲を含む、皮膚色調作用剤の下限と上限との任意の組合せが挙げられる。本明細書に列挙する量は、手引きとしてのみ使用すべきである。これは、皮膚色調作用剤の効力がかなり変化するので、それらの最適な量は、選択される特定の活性物質に依存するからである。
適切な皮膚色調作用剤として、これらに限定されないが、糖アミン、ビタミンB3化合物、アルブチン、デオキシアルブチン、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、例として、ヘキシルレゾルシノール、スクロースジラウランテ(dilaurante)、バクチオール(4−[(1E,3S)−3−エテニル−3,7−ジメチル−1,6オクタジエニル]フェノールまたはモンテルペン(monterpene)フェノール)、pyrenoine(Biotech Marine、フランスから入手可能)、キビ(panicum miliaceum)種子の抽出物、arlatone二酸、桂皮酸、フェルラ酸、achromaxyl、メチルニコチンアミド、油溶性の甘草抽出物、葉酸、ウンデシレン酸(すなわち、ウンデセン酸)、ウンデシレン酸亜鉛、チアミン(ビタミンB1)およびその塩酸塩、L−トリプトファン、ヒマワリ(helianthus annuus)(サンフラワー)およびブドウ(vitis vinifera)(葡萄)の葉の抽出物、カルノシン(すなわち、ドラゴシン(dragosine))、ゲンチジン酸メチル、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−オクタンジオール(すなわち、Symdiol68として、Symrise AG、ドイツにより販売されている組合せ)、イノシトール、デシレノイルフェニルアラニン(decylenoylphenylalanine)(例えば、商品名Sepiwhiteで、Seppic、フランスにより販売されている)、コイジック酸(koijic acid)、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、ならびにレチノールおよびプロピオン酸レチニルを含めた、レチノイドが挙げられる。
特定の実施形態では、追加の皮膚色調作用剤が、ビタミンB3化合物、糖アミン、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、例として、ヘキシルレゾルシノール、およびレチノイドから選択される。本明細書で使用する場合、「ビタミンB3化合物」は、式:
[式中、Rは、−CONH(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)、または−CHOH(すなわち、ニコチニルアルコール);それらの誘導体;および前述のうちのいずれかの塩である]を有する化合物を意味する。本明細書で使用する場合、「糖アミン」は、異性体および当該の互変異性体、ならびにその塩(例えば、HCl塩)およびその誘導体を含む。糖アミンの例として、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、それらの異性体(例えば、立体異性体)、およびそれらの塩(例えば、HCl塩)が挙げられる。本明細書で使用する場合、「ヘキサミニド(hexaminide)化合物」は、式:
[式中、RおよびRは、任意選択であり、または有機酸(例えば、スルホン酸等)である]を有する化合物を意味する。一実施形態では、ヘキサミジン化合物は、ジイセチオン酸ヘキサミジンである。
C.抗炎症剤
色素沈着過剰は、皮膚の炎症の結果生じる場合がある。色素沈着過剰、より具体的には、炎症後の色素沈着過剰を引き起こす一過性の炎症性事象として、これらに限定されないが、挫瘡病変、中に成長した毛、引っ掻き傷、昆虫の咬傷、表面活性物質による損傷、アレルゲン、および短期のUV曝露が挙げられる。炎症後の色素沈着過剰を含めて、炎症誘発型の色素沈着過剰は、本発明の組成物中に抗炎症剤を組み込むことによって管理することができる。本発明の組成物は、組成物の重量に関して、最高約20%、10%、5%、3%または1%の抗炎症剤を、存在する場合には含有する。本発明の組成物は、組成物の重量に関して、少なくとも約0.001%、0.01%、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%または1%の抗炎症剤を、存在する場合には含有する。適切な範囲として、下限と上限との任意の組合せが挙げられる。適切な抗炎症剤として、これらに限定されないが、非ステロイド性抗炎症剤(これらに限定されないが、イブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、エトフェナメート、アスピリン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカムおよびフェルビナクを含めた、NSAID)、グリチルリジン酸(グリチルリジン、グリチルリキシン酸(glycyrrhixinic acid)、およびグリチルレチン酸(glycyrrhetinic acid)配糖体としてもまた知られている)およびグリチルリチン酸二カリウム等の塩、グリチルレテン酸(glycyrrhetenic acid)、甘草抽出物、ビサボロール(例えば、アルファビサボロール)、マンジスタ(manjistha)(アカネ属の植物、特に、茜草根(Rubia cordifolia)から抽出される)およびグッガル(guggal)(ミルラノキ属の植物、特に、グッグル(Commiphora mukul)から抽出される)、コーラ抽出物、カモミール、アカツメクサ抽出物、ならびにムチサンゴ抽出物(ヤギ目の植物からの抽出物)、前述のうちのいずれかの誘導体、さらに、それらの混合物が挙げられる。
D.日焼け止め活性物質
対象の発明の組成物は、1つまたは複数の日焼け止め活性物質(もしくは日焼け止め剤)および/または紫外光吸収体を含むことができる。本明細書においては、「日焼け止め活性物質」は、日焼け止め活性物質、日焼け止め剤および/または紫外光吸収体をまとめて含む。日焼け止め活性物質は、日焼け止め剤および物理的なサンブロックの両方を含む。日焼け止め活性物質は、有機であってもまたは無機であってもよい。適切な日焼け止め活性物質の例が、Personal Care Product Council's International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、Thirteenth Editionに、「日焼け止め剤」として開示されている。特に適切な日焼け止め活性物質が、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル(PARSOL(商標)MCXとして市販されている)、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイル−メタン(PARSOL(商標)1789として市販されている)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、トリオレイン酸ジガロイル、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、アミノ安息香酸エチル−4−(ビス(ヒドロキシプロピル))、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸グルセリル、サリチル酸3,3,5−トリ−メチルシクロヘキシル、アントラニル酸メンチル、p−ジメチルアミノ安息香酸またはアミノ安息香酸エステル、p−ジメチル−アミノ−安息香酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホンベンゾオキサゾン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、二酸化チタン、ならびにそれらの混合物である。
一実施形態では、組成物は、組成物の重量に関して、約1%〜約20%、代替として、約2%〜約10%の日焼け止め活性物質を含むことができる。正確な量は、選ばれる日焼け止め活性物質および所望の紫外線防御指数(SPF)に応じて変化し、このことは、当業者の知識に属する。
E.任意選択の構成成分
多様な他の成分の、本発明の利益にもたらす変化が許容できるならば、本発明の組成物は、それらを含有することができる。本発明の組成物は、組成物の重量に関して、約0.0001%〜約50%、約0.001%〜約20%、またはそれに代わって、約0.01%〜約10%の任意選択の構成成分を、存在する場合には含有することができる。本明細書に列挙する量は、手引きとしてのみ使用すべきである。これは、組成物中で使用する任意選択の構成成分の効力がかなり変化するので、それらの最適な量は、選択される特定の活性物質に依存するからである。したがって、本発明において有用ないくつかの任意選択の構成成分の量は、本明細書に列挙する範囲外である場合がある。
任意選択の構成成分は、組成物中に組み込む場合、過度の毒性、不和合性、不安定性、アレルギー応答等がなく、ヒト皮膚組織と接触させて使用するのに適しているべきである。本発明の組成物は、任意選択の構成成分、例として、抗挫瘡活性物質、剥離活性物質、抗セルライト剤、キレート化剤、フラボノイド、日焼け活性物質、非ビタミン性抗酸化剤およびラジカル捕捉剤、体毛成長調節物質、抗シワ活性物質、抗萎縮活性物質、鉱物、植物ステロールおよび/または植物ホルモン、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌活性物質または抗真菌活性物質、ならびに他の有用な皮膚ケア活性物質を含むことができ、これらは、米国出願公開第US2006/0275237A1号および第US2004/0175347A1号にさらに詳細に記載されている。
Personal Care Product Council's International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、Thirteenth Editionには、皮膚ケア業界で一般的に使用される、多種多様な、非限定的な化粧用成分および医薬成分が記載されており、これらは、本発明の組成物中で使用するのに適切な任意選択の構成成分である。これらの成分のクラスの例として、研磨剤、吸収剤、審美的な構成成分、すなわち、芳香剤、色素、着色料/着色剤等、エッセンシャルオイル、抗固化剤、泡止め剤、抗菌剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝化剤、増量剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬物としての収斂剤、エモリエント剤、局所用鎮痛剤、フィルム形成剤またはフィルム材料、不透明化剤、pH調節剤、防腐剤、噴霧剤、還元剤、捕捉剤、皮膚冷却剤、皮膚保護剤、増粘剤粘度改変物質、ビタミン、およびそれらの組合せが挙げられる。
F.皮膚科学的に許容できる担体
また、本発明の組成物は、組成物にとって皮膚科学的に許容できる担体(これは、「担体」と呼ぶことができる)も含むことができる。「皮膚科学的に許容できる担体」という語句は、本明細書で使用する場合、担体が、角質組織への局所適用に適しており、良好な審美特性を有し、組成物中の活性物質に適合し、不合理な安全性または毒性の懸念をいずれも引き起こさないことを意味する。一実施形態では、担体は、組成物の重量に関して、約50%〜約99%、約60%〜約98%、約70%〜約98%、または代替として、約80%〜約95%のレベルで存在する。
担体は、多種多様な形態をとることができる。非限定的な例として、単純な溶液(例えば、水性溶媒、有機溶媒または油に基づいた溶液)、エマルジョン、および固体の形態(例えば、ジェル、スティック、流動性固体または非結晶性材料)が挙げられる。特定の実施形態では、皮膚科学的に許容できる担体は、エマルジョンの形態をとる。エマルジョンは一般に、連続的な水相(例えば、水中油型および水中油中水型)または連続的な油相(例えば、油中水型および油中水中油型)を有すると分類することができる。本発明の油相は、シリコーンオイル;炭化水素油、エステル、エーテル等の非シリコーンオイル油等、およびそれらの混合物を含むことができる。
水相は典型的には、水を含む。しかし、他の実施形態では、水相は、これらに限定されないが、水溶性の保湿剤、調質剤、抗菌剤、保水剤、および/または他の水溶性の皮膚ケア活性物質を含めた、水以外の構成成分を含むことができる。一実施形態では、組成物の非水性構成成分は、グリセリンおよび/または他のポリオール等の保水剤を含む。しかし、組成物は、実質的に無水(すなわち、1%未満の水)であってもまたは完全に無水であってもよいことを認識すべきである。
適切な担体を選択して、所望の製品形態を得る。さらに、構成成分(例えば、FSF、日焼け止め活性物質、追加の構成成分)の溶解性または分散性により、担体の形態および特徴が定まる場合もある。一実施形態では、水中油型または油中水型のエマルジョンが好ましい。
エマルジョンは、乳化剤をさらに含むことができる。組成物は、担体を十分に乳化するのに適した任意のパーセントの乳化剤を含むことができる。適切な重量範囲は、組成物の、約0.1重量%〜約10重量%または約0.2重量%〜約5重量%の乳化剤を含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性であり得る。適切な乳化剤が、例えば、米国特許第3,755,560号、米国特許第4,421,769号、およびMcCutcheon's Detergents and Emulsifiers、North American Edition、317〜324頁(1986)に開示されている。適切なエマルジョンは、所望の製品形態に応じて、広い範囲の粘度を有することができる。
適切な粘度およびレオロジー的特徴を有する組成物を提供するために、当技術分野でよく知られているが、担体は、増粘剤をさらに含んでもよい。
G.例示的な組成物
本発明の組成物の非限定的な例を以下に示す。これらの例は例証の目的でのみ示し、当業者であれば認識するであろうが、多くのそれらの変更形態が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく可能であることから、これらの例が本発明を限定すると解釈してはならない。例中、全ての濃度を、別段の記載がない限り、重量パーセントとして記載し、微量の材料、例として、希釈剤、充填剤等は除外することができる。したがって、記載の製剤は、記載する構成成分およびそのような構成成分に伴う任意の微量の材料を含む。当業者に明らかなように、これらの微量の材料の選択は、本明細書に記載する本発明を作製するために選択される特定の成分の物理的および化学的な特徴に応じて変化する。
全ての例を使用して、1つまたは複数の色素沈着過剰性シミの外観を処置または改善することができる。さらに、本発明は、第1の組成物(例えば、例AまたはB)による、1つまたは複数の色素沈着過剰性シミについての局部的な処置、および第2の組成物(例えば、例C、DおよびE)による、より広いまたは全般的な顔面皮膚の処置が関与するレジメンにも関し得、後者は、局部的な処置の前または後に適用して、顔面にわたり皮膚色調を改善することができる。
本発明の組成物は一般に、局所用組成物の作製の技術分野で知られている方法等の従来法により調製する。そのような方法は典型的には、1つまたは複数のステップにおいて、成分を比較的一様な状態に混合することを含み、これには、加熱、冷却、真空の適用等が伴う場合または伴わない場合がある。典型的には、脂肪性相材料とは別個に、水相材料を最初に混合し、次いで、必要に応じて、2つの相を組み合わせて、所望の連続相を得ることによって、エマルジョンを調製する。組成物は、好ましくは、活性材料の安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)および/または送達を最適化するように調製する。この最適化は、適切なpH(例えば、7未満)、活性のある作用剤と複合体を形成する、したがって、安定性または送達に望まれない影響を及ぼす可能性がある材料の排除(例えば、混入している鉄の排除)、複合体の形成を阻止するためのアプローチ(例えば、適切な分散化剤または二重コンパートメントのパッケージング)の使用、適切な光安定性アプローチの使用(例えば、日焼け止め/サンブロックの組込み、不透明パッケージングの使用)等を含むことができる。
本発明の組成物は、好ましくは、0.01%または約0.01%から10%または約10%までのイチジク漿液画分を含有し、より好ましくは、0.05%または約0.05%から5%または約5%まで、最も好ましくは、0.1%または約0.1%から5%または約5%まで、例えば、2%のイチジク漿液画分を含有する。
H.皮膚を美白するための方法
本発明の組成物は、哺乳動物皮膚(とりわけ、ヒト皮膚、よりとりわけ、顔面および手の皮膚)を美白するのに有用である。組成物は、皮膚の色素沈着過剰域を美白するのにとりわけ有用である。
(色素沈着過剰域を含めた)皮膚を美白する方法は、本発明の組成物の安全かつ有効な量を皮膚に局所適用することを含む。一実施形態では、本発明の化粧用組成物は、0.01%〜10%のイチジク漿液画分を含むことができる。適用する組成物の量、適用頻度および使用期間は、所与の組成物のイチジク漿液画分および/または他の構成成分のレベルに応じて、かつ例えば、対象内に存在する皮膚の色素沈着のレベルおよび皮膚のさらなる色素沈着の速度に照らして所望される、美白するレベルに応じて大きく変化する。
好ましい実施形態では、組成物を、皮膚に長期継続的に適用する。「長期継続的な局所適用」とは、対象の生存期間の間、長期間にわたり、好ましくは、少なくとも約1週間、より好ましくは、少なくとも約1カ月間、さらにより好ましくは、少なくとも約3カ月間、さらにより好ましくは、少なくとも約6カ月間、さらにより好ましくは、少なくとも約1年間、組成物を実質的に連続して局所適用することを意味する。種々の最長期間(例えば、2、5、10または20年間)の使用の後に、利益を得ることができるが、対象の生存期間を通して、長期継続的に適用し続けるのが好ましい。典型的には適用は、そのような長期間にわたりおよそ、1日当たり約1または2回行われるであろうが、適用の割合は、例えば、週約1回から最高1日当たり約3回以上まで変化し得る。
広い範囲の分量の本発明の組成物を利用して、皮膚を美白する利益をもたらすことができる。1回の適用当たり通常適用する、提示する組成物の分量は、皮膚1cm2当たり約0.1mg〜皮膚1cm2当たり約10mgである。特に有用な適用量は、皮膚1cm2当たり約2mgである。
「局所適用」という用語は、本明細書で使用する場合、本発明の組成物を皮膚表面上に適用または塗布することを意味する。本発明の好ましい組成物は、局所適用の後に、皮膚と接触した状態で長期間(例えば、数時間)にわたり残ることを意図する形態をとるものであり、例えば、典型的には、クリーム剤、ローション剤、保湿液等を使用する。
皮膚を美白する方法は、好ましくは、皮膚上に残って、何らかの審美的、予防的、処置的なまたは他の利益をもたらすことを意図する皮膚用のローション剤、クリーム剤、化粧品等の形態をとる組成物を局所適用することによって実行する。組成物の皮膚への適用の後に、組成物は、好ましくは、少なくとも約15分間、より好ましくは、少なくとも約30分間、さらにより好ましくは、少なくとも約I時間、最も好ましくは、少なくとも数時間、例えば、最高約12時間皮膚上に残る。
また、本発明の組成物は、皮膚の加齢の徴候、および皮膚の加齢に伴う、目に見えるおよび/または触覚的な皮膚の不連続性を含めた、哺乳動物皮膚(とりわけ、ヒト皮膚、よりとりわけ、顔面および/または手の皮膚)の状態をより全般的に制御するのにも有用である。そのような制御は、予防的および/または処置的な制御を含む。皮膚の状態の制御は、本発明の組成物の安全かつ有効な量を皮膚に局所適用することを含む。適用する組成物の量、適用頻度および使用期間は、所与の組成物のイチジク漿液画分および/または他の構成成分のレベルに応じて、かつ例えば、対象内に存在する皮膚の加齢のレベルおよび皮膚のさらなる加齢の速度に照らして所望される制御レベルに応じて大きく変化する。
I.イチジク漿液画分の生理活性
また、本発明は、メラニン形成(メラニン合成)における1つまたは複数のステップを妨害するための化粧用組成物を色素沈着過剰領域に局所適用することによって、皮膚の色素沈着過剰の外観を低減するための方法にも関する。化粧用組成物は、酵素阻害(トリプシン阻害活性および/もしくはチロシナーゼ阻害活性)、抗酸化活性(ORACおよびDPPH)、ならびに/またはCOX−2阻害をもたらし、それにより、メラニン形成における1つまたは複数のステップを妨害する。
生理活性を示す植物学的化粧用組成物を調製するための方法は、それにより、植物細胞中に含有される活性の完全なスペクトルを捕捉する植物抽出物が得られるという点で、現時点で入手可能な方法を上回って好都合である。実施例6に示すように、本発明のイチジク抽出物は、従来の手段により抽出されたイチジクよりもさらに高い生理活性を示す。
本発明の一実施形態では、哺乳動物の皮膚を美白する方法は、有効量のイチジク漿液画分を含む化粧用組成物を局所投与して、トリプシン活性を阻害するステップを含む。
本発明の別の実施形態は、哺乳動物の皮膚中のチロシナーゼ活性を阻害することによって、哺乳動物の皮膚を美白する方法を含み、この方法は、有効量のイチジク漿液画分を含む化粧用組成物を哺乳動物に局所投与するステップを含む。
正常な皮膚の色は、メラニンにより形成され、メラニンはまた、体毛および眼色も決定する自然の色素である。皮膚中では、酵素チロシナーゼは、アミノ酸チロシンのメラニンへの変換に関与する生化学的経路にとって不可欠である。多過ぎるメラニンが産生され、こうしたメラニンにより皮膚中に沈着物が形成されると、色素沈着過剰が生じる。色素を作製する細胞は、メラニン形成細胞と呼ばれる。それらは、表皮の基部に位置する。メラニン形成細胞は、メラノソームを産生し、メラノソームは、表皮の他の細胞上を通り、皮膚の上層に達する。メラニンの合成は、メラノソーム中でのみ生じる。多過ぎるメラニンが産生されると、沈着物が形成され、色素沈着過剰が皮膚中に出現する。
チロシナーゼは、モノフェノールから対応するカテコールへのo−ヒドロキシル化(モノフェノラーゼ活性またはクレゾラーゼ活性)、およびモノフェノールから対応するo−キノンへの酸化(ジフェノラーゼ活性またはカテコラーゼ活性)を触媒する、銅含有モノオキシゲナーゼである。チロシナーゼのこれらの機能は、メラニン形成の間のメラニン色素の形成における重要な役割を果たす。メラニン産生は主に、皮膚の色に関与し、日光誘発性の皮膚傷害の予防において重要な役割を果たす。しかし、皮膚中のメラニン産物の異常な蓄積は、黒皮症、褐色斑、そばかすおよび老人性黒子を含めた、色素沈着過剰に関与し、色素沈着過剰は、望まれない審美的な外観をもたらす可能性がある(Jeonら、(2005) Bull. Korean Chem. Soc、Vol. 26: 1135〜1137)。
本発明は一般に、哺乳動物の皮膚組織内の皮膚の色素沈着または着色に関与する少なくとも1つの酵素の活性の阻害に関する。イチジク漿液画分は、トリプシンの活性、ならびにチロシナーゼおよび他のチロシナーゼ様酵素の活性を阻害することができる。さらに、本発明は、スーパーオキシド捕捉活性を含めた、色素に関連する抗酸化活性(ORACおよびDPPH)、ならびにCOX−2阻害をもたらすことにも関する。
漿液から得られる化粧用組成物は、約50〜190μg乾燥物質/mlのICR50値の範囲に及ぶスーパーオキシド捕捉効力を有する。本出願において使用する場合、「ICR50値」という用語は、チトクロームcの還元を50パーセント阻害するのに必要な、細胞の漿液画分中に含有される乾燥物質の濃度を表す。
化合物は、1日数回の頻度で哺乳動物に投与してよく、あるいは化合物は、より少ない頻度で、例として、1日1回、週1回、2週間に1回、月1回投与しても、もしくはさらにより少ない頻度で、例として、数カ月に1回投与してもよく、または投与は、年1回以下であってもよい。投与の頻度は、当業者に容易に明らかになり、任意の数の因子、例として、これらに限定されないが、治療される疾患のタイプおよび重症度、動物のタイプおよび年齢等に依存する。
J.任意選択の構成成分
所与の製品タイプ中で従来使用されている多様な他の成分の、本発明の利益にもたらす変化が許容できるならば、本発明の組成物は、それらを含有することができる。組成物は、皮膚科学的に許容できる担体を含むことができる。
任意選択の構成成分は、組成物中に組み込む場合、妥当な判断の範囲内で、過度の毒性、不和合性、不安定性、アレルギー応答等がなく、ヒト皮膚組織と接触させて使用するのに適しているべきである。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、Second Edition (1992)には、皮膚ケア業界で一般的に使用される、多種多様な、非限定的な化粧用成分および医薬成分が記載されており、これらは、本発明の組成物中で使用するのに適している。これらの成分のクラスの例として、研磨剤、吸収剤、審美的な構成成分、すなわち、芳香剤、色素、着色料/着色剤等、エッセンシャルオイル、抗固化剤、泡止め剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝化剤、増量剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬物としての収斂剤、局所用鎮痛剤、フィルム形成剤またはフィルム材料、例えば、フィルム形成特性および組成物の染色性を援助するためのポリマー(例えば、エイコセンとビニルピロリドンとのコポリマー)、不透明化剤、pH調節剤、噴霧剤、還元剤、捕捉剤、ならびに増粘剤が挙げられる。
いくつかの実施形態では、組成物中に、第2、第3または第4の皮膚色調作用剤を、FSFと組み合わせて含むのが望ましい場合がある。第2、第3または第4の皮膚色調作用剤を含めて、全体的な皮膚色調をさらに改善することができる。本発明の組成物は、好ましくは、組成物の重量に関して、約0.1%〜約50%、より好ましくは、約0.2%〜約20%、さらにより好ましくは、約1%〜約10%の追加の皮膚色調作用剤を、存在する場合には含有する。本明細書に列挙する量は、手引きとしてのみ使用すべきである。これは、それらの効力がかなり変化するので、追加の皮膚色調作用剤の最適な量は、選択される特定の活性物質に依存するからである。好ましい皮膚色調作用剤として、これらに限定されないが、N−アセチルグルコサミン、ビタミンB3、およびウンデシレノイルフェニルアラニン(undecylenoylphenylalanine)(例えば、商品名Sepiwhiteで、Seppic、フランスで販売されている)が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つの組成物(例えば、表番号1の組成物番号1)を、1つまたは複数の色素沈着過剰性シミについての局部的な処置として使用することができ、一方、1つまたは複数の他の組成物(例えば、表番号1の組成物番号2、番号3および番号4)を、特殊化した処置の前または後に、顔面皮膚表面により広く適用して、顔面にわたり皮膚色調を改善することができる。
本発明の局所用組成物は、これらに限定されないが、ローション剤、乳液、ムース、セラム、スプレー、エアロゾル、泡剤、スティック、ペンシル、ジェル剤、クリーム剤および軟膏剤を含めた、多様な形態をとって提供することができる。一実施形態では、組成物は、液剤の形態をとり、別の実施形態では、組成物は、ローション剤の形態をとる。
K.組成物の調製
本発明の組成物は一般に、局所用組成物の作製の技術分野で知られている方法等の従来法により調製する。そのような方法は典型的には、1つまたは複数のステップにおいて、成分を比較的一様な状態に混合することを含み、これには、加熱、冷却、真空の適用等が伴う場合または伴わない場合がある。組成物は、好ましくは、活性材料の安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)および/または送達を最適化するように調製する。この最適化は、適切なpH(例えば、7未満)、活性のある作用剤と複合体を形成する、したがって、安定性または送達に望まれない影響を及ぼす可能性がある材料の排除(例えば、混入している鉄の排除)、複合体の形成を阻止するためのアプローチ(例えば、適切な分散化剤または二重コンパートメントのパッケージング)の使用、適切な光安定性アプローチの使用(例えば、日焼け止め/サンブロックの組込み、不透明パッケージングの使用)等を含むことができる。
L.処置方法
一実施形態では、使用者が、処置するための色素沈着過剰性シミを選択し、第1の組成物を、色素沈着過剰性シミに、少なくとも1日1回、より好ましくは、1日2回、少なくとも約4週間適用する。別の実施形態では、第1の組成物を、選択された色素沈着過剰性シミに、少なくとも約8週にわたり適用する。第1の組成物は、任意の形態をとり得る。一実施形態では、組成物は、液剤の形態をとり、これを、色素沈着過剰性シミに、スポイトを用いて局所適用する。第1の組成物を色素沈着過剰性シミに局所適用することができる他のアプリケーターを使用してもよい。例えば、液剤、ローション剤または本明細書に記載する他の形態等の第1の組成物を放出可能に保持する、発泡体または綿からなる先端を有するアプリケーターを使用して、組成物を色素沈着過剰性シミに適用することができる。別の実施形態では、組成物を、1つまたは複数の色素沈着過剰性シミに、かつ1つまたは複数の顔面皮膚表面により全般的に、同時(すなわち、同じ処置サイクル内)に適用する。
場合によっては、処置方法は、1回の処置サイクル中に第1の組成物による局部的な処置を行うための、複数の色素沈着過剰性シミを選択するステップを含む。本明細書で使用する場合、処置サイクルは、組成物の意図される皮膚表面への単回の適用を指す。例えば、第1の組成物の1つまたは複数の色素沈着過剰性シミへの、適度に短い連続した間の(例えば、1〜30分の期間にわたる)単回の適用は、単回の処置サイクルを構成するであろう。対照的に、第1の組成物の1つまたは複数の色素沈着過剰性シミへの1日2回の単回の適用は、2回の処置サイクルを構成し、この場合、適用は、より長い期間相互に隔たる(例えば、1〜12時間の間隔がある)。
一実施形態では、処置方法は、第1の組成物を、第1の組成物の前または後に適用される第2の組成物と組み合わせて適用するステップを含み、第2の組成物を、1つまたは複数の顔面皮膚表面により全般的に適用して、顔面皮膚の全体的な色調の外観を改善する。第2の組成物を、前頭部、口周囲、顎、眼窩周囲、鼻および頬の皮膚表面のうちの1つまたは複数に適用することができる。一実施形態では、第2の組成物を、単回の処置サイクル中に、少なくとも頬、前頭部および顎/口周囲の皮膚表面に同時に適用する。色素沈着過剰性シミの局部的な処置と比較して、第2の組成物が適用されるより大きな表面積が与えられる。
本明細書に記載するいくつかの方法は、本発明の組成物を、アプリケーターを用いて適用することを企図するが、アプリケーターは必ずしも必要でなく、また、本発明の組成物は、直接適用しても、または1本の指を使用して(もしくは何らかの他の様式で)適用してもよいことが理解されるであろう。さらに、本発明の一実施形態は、組成物を色素沈着過剰性シミに局所適用することを企図するが、本発明の組成物は、1つまたは複数の顔面皮膚表面により全般的に適用して、それらの顔面皮膚領域内に並ぶ色素沈着過剰性シミの外観を低減することができることも理解されるであろう。
以下の実施例を、本発明の種々の実施形態の特定の特徴および利点を例証するために提供するが、実施例がそれらの範囲を限定すると解釈してはならない。
ここで、本発明を、以下の実施例を参照して記載する。これらの実施例は、例証のためのみに提供し、いかなる場合であっても、これらの実施例により、本発明が限定されると解釈されるべきではなく、それどころか、本発明は、本明細書において提供する教示の結果として明らかになるあらゆる変更形態を包含すると解釈すべきである。
ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)の新鮮葉から得られる、生理活性を示す漿液画分の調製。
図1は、新鮮イチジク葉から得られる、生理活性を示す漿液画分を調製するためのプロセスの一実施形態を示す概略図である。
十分な量のベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)の新鮮葉を収集して、およそ100kgの乾燥物質を得た。新鮮葉中の乾燥物質のレベルは、32.01%であると測定され、100kgの乾燥物質を得るためには、およそ312.4kgの新鮮植物葉の収穫を必要とした。注意を払って、新鮮葉に内在する水分含量を保存し、水分喪失に起因する萎凋を回避した。収集した新鮮葉に対する損傷はいずれも回避するかまたは最小限に留めるように、収集を実施した。全てのステップを可能な最も短い期間で完了して、新鮮葉の、日光、高い温度、および他の望ましくない環境要因に対する曝露を最小限に留めた。
次いで、収集した葉を、≦1kg/cm2の水圧で、≦5分間洗浄して、さらに加工する前に、葉から土壌粒子および他のデブリを除去した。残余の洗浄水は、いずれの緑色または褐色の色素も含有せず、葉組織が完全であり、水圧および洗浄の持続時間が適切であったこと示した。過剰な水を、洗浄した葉から除去した。次いで、洗浄した新鮮イチジク葉を、機械により分離し、これにより、実質細胞の細胞内材料のうちのほとんどを含有する、繊維を含有しない、細胞汁と、細胞壁を主に含有する、繊維に富む材料とが有効に分離された。分離プロセスの前または間に、外来の溶媒および水は添加しなかった。
洗浄した葉に、粉砕、浸軟およびプレスを行って、液体の細胞内内容物(すなわち、細胞汁)を得、細胞内内容物と、繊維に富む材料とを分離した。5HPのエンジンおよび一連のスクリーンを有するハンマーミル(Model VS35、Vincent Corporation、Tampa、FL)を使用して、葉を粉砕して、適切な小さなサイズの葉組織の粒子を、最短の時間内に、バイオマス温度を顕著に増加させることなく得た。≦2.0センチメートルの最大サイズの浸軟した葉の粒子を、≦10秒の処理の間に生成するように、ハンマーミルを設定した。浸軟した新鮮葉の温度は、≦2℃だけ増加するに過ぎなかった。
圧縮空気により支持されるコーンが装備されている水平式連続型スクリュープレス(Compact Press CP−6、Vincent Corporation、Tampa、FL)を直ちに使用して、浸軟した新鮮葉から細胞汁を得た。コーン上の圧力を、≧15g/cm2のレベルで維持し、12rpmのスクリュー速度を用いた。これらの条件下では、細胞汁の温度は、≦5℃だけ増加するに過ぎなかった。
この処理により、繊維に富む材料、および細胞汁を得た。完全自動排出ユニットを有する連続流型遠心分離機(Model 12−413V、AML Industries,Inc.、Hatboro、PA)を使用する浄化により、細胞汁から、残余の小さな繊維粒子をさらに除去した。2リットル/分の流速では、≦2,250gにおける、細胞汁の浄化ための保持時間は、≧100秒であった。上記のレジメンにより、繊維を含有しない、細胞汁が生成された。小さな繊維粒子を含有する沈殿物を、収集し、新鮮葉のプレスの後に生じた残りの、繊維に富む材料と合わせた。
上記のプロセスにより、9.29%の乾燥物質含有量を有する、細胞汁160.9kg、および56.14%の乾燥物質含有量を有する、繊維に富む材料151.5kgの生成が可能であった。細胞汁を、しっかり閉じる15リットルの長方形のHDPE製容器中に遅滞なく置き、−30℃で凍結した。固体状態の凍結した細胞汁を、さらに活用するために、この低い温度で保った。
細胞汁は、3つの主要なタイプの構成成分、すなわち、(i)膜結合型の葉緑体、ミトコンドリア、小胞体、核、リソソーム、ペルオキシソーム、空胞、ゴルジ体;および(ii)非膜結合型リボゾーム、微小管;および(iii)上記の群に関係しない構成成分、例として、細胞質を含む。細胞汁中の、オルガネラおよびそれらの断片、ならびに望まれない色素およびタンパク質の存在に起因して、これらに限定されないが、色、溶解性、透明性、安定性およびin vitroにおける活性を含めた、機能特性の望ましい組合せを有するパーソナルケア成分を生成するのに、分画が必要であった。これらの目標を達成するために、細胞汁の流動化、pH調節、集束マイクロ波放射、遠心分離および減圧ろ過を含めた、種々の処理を使用して、細胞汁を分画した。次いで、単離した、細胞汁の漿液画分を、防腐剤および抗酸化剤を用いて安定化させた。
細胞汁の処理の持続時間および強度を最小限に留めて、酸化ストレス、加水分解、変性、異性化、重合および他の望まれないプロセスを排除した。
細胞汁の、15リットルの容器中の凍結状態から最初の液体状態への変換を、≦2分にわたる流動化により達成した。この処理の間に、細胞汁の温度は、≦20℃だけ増加するに過ぎなかった。この処理の持続期間が短いことにより、変性プロセスおよび酸化による損傷の両方を最小限に留めることが可能であった。細胞汁の、凍結および流動化の後の物理化学的および生化学的な特性は、新鮮葉から細胞汁を分離する間に測定した対応する特性と同一であった。それらの特性には、これらに限定されないが、乾燥物質含有量、pH、導電率、酸化還元電位、浸透圧およびIRスペクトルがあった。
次いで、中性に近い細胞汁のpHを、5.0N塩酸(HCl)を活用する滴定法を使用して調節し、細胞汁のpHを、≧3.0まで減少させた(pH調節1)。調節した細胞汁を、周波数2,450MHzを用いる集束マイクロ波放射により遅滞なく処理した。この集束マイクロ波処理(FMP)の間、細胞汁の温度は、90℃まで一時的に増加し、この温度に1分間保たれ、次いで、細胞汁の温度は、≦30℃まで直ちに減少した。次いで、連続流型遠心分離機CEPA LE(Carl Padberg Zentrifugenbau GmbH、ドイツ)を15,000rpmおよび≧30秒の保持時間で使用して、処理した細胞汁を素早く分離した。処理した細胞汁15.0kgの分離により、緑色に着色したペースト状沈殿物(「沈殿物I」)1.37kg、および6.75%の乾燥物質含有量を有する、明るい褐色に着色し、若干乳白光を発する液体の上清(「上清I」)13.63kgを得た。この上清Iを使用して、さらなる分画を行った。
表1に、上清I中の乾燥物質含有量およびその色、ならびにクロロフィルaおよびクロロフィルbの存在(それぞれ、662nmおよび642nmにおける光吸収の測定により決定した)に対する、pHを調節した細胞汁のFMP処理の間に達した最高温度(Tmax)の作用に関するデータを示す。
表1のデータは、Tmax=90℃で得られた上清Iは、より高い乾燥物質含有量を有し、クロロフィルを含有しないことを示している。Tmax=60℃の後に得られた上清Iの場合、ガードナースケール値はより低いが、この調製物は、顕著により低い乾燥物質含有量を有し、クロロフィルのより高い残存量を含有する。この色素は、化粧用成分中では望まれない存在であることに加えて、クロロフィルは、フェオフォルビドに変換される可能性があり、フェオフォルビドは、毒性化合物であり(Bergstrom, L.C.、Vucenik, I.、Hagen, I.K.、Chernomorsky S.A.、Poretz R.D. In-vitro photocytotoxicity of lysosomotropic immunoliposomes containing pheophorbide a with human bladder carcinoma cells、J. Photochem. Photobiol.、24、1、17〜23、1994)、皮膚刺激性に関与するとみなされている(Kato T.、Yamada K.、Relationship between appearance of photosensitization and total pheophorbide level in spirulina powder、J. Food Hyg. Soc. Japan、36、632〜634、1995)。
上記の理由に基づいて、pHを調節した細胞汁のFMP Tmax=90℃は、上清Iを得るための優先的な型として選択され、次いで、上清Iを使用して、これらに限定されないが、パーソナルケア成分の色、透明性および安定性を含めた、機能特性を改善するために、さらなる分画を行った。上清Iは、望ましいin vitroにおける活性、例として、(i)これらに限定されないが、チロシナーゼ、エラスターゼ、トリプシン、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の阻害活性を含めた、酵素阻害活性、(ii)フリーラジカル捕捉活性、および(iii)これらに限定されないが、酸素ラジカル吸収能力を含めた、抗酸化活性を有したことに留意すべきである。上記のin vitroにおける活性全ての決定的な重要性を考慮に入れると、それらの活性に、望ましいパーソナルケア成分の機能特性を改善するのに必要なさらなる処理が影響を及ぼしてはならない。組成物の改善に関して、上清Iをさらに処理して、褐色色素、および残余のタンパク質を含めた、他の望まれない化合物を大幅に除去すべきである。
この目標を達成するために、上清Iを、pH調節および分離を含めた、さらなる処理に付した。最初の処理を、50%水酸化ナトリウム(NaOH)を活用する滴定法を使用して引き起こし、細胞汁の上清IのpHを約3.0から約7.5まで増加させた(pH調節2)。上清IIは、pH=7.5を上回ると、所望されるエラスターゼおよびトリプシンの阻害活性を喪失していったことに留意すべきである。pH調節2の結果、より暗色の材料が生じ、乳白光が強まり、この材料を、連続流型遠心分離機CEPA LE(Carl Padberg Zentrifugenbau GmbH、ドイツ)を15,000rpmおよび≧30秒の保持時間で使用して、直ちに浄化した。上記の分離により、褐色に着色したペースト状沈殿物(以下、沈殿物II)0.53kg、および6.59%の乾燥物質含有量を有する、褐色に着色し、若干乳白光を発する上清(以下、上清II)13.10kgを得た。
次いで、上清IIを、5.0N塩酸(HCl)を活用する滴定に付して、pH値をpH約3.6まで減少させた(pH調節3)。そのような処理から、乳白光が若干増加したが、より明るい色のpHを滴定した上清IIが生じた。この材料を、ポアのサイズ0.2マイクロメートルを有するメンブランを通す滅菌ろ過を用いて処理した。この結果、新鮮イチジク葉の、明るい色の透明な漿液画分を得た。
漿液画分の色度値(ガードナースケール値=7.0)は、上清Iの色度値(ガードナースケール値=8.5)よりも低かった。漿液画分のガードナースケールの色度値は、異なるFMPのTmax条件下で得られた対応する上清Iの色度値よりも常に低かったことに留意すべきである(表2)。
細胞汁から得られた漿液画分は、その流動化、pH調節(3.0〜7.0のpH範囲内)、集束マイクロ波放射(Tmax=90℃、1分間のFMP)、遠心分離および滅菌ろ過の後、全ての望ましい酵素阻害活性、フリーラジカル捕捉活性および抗酸化活性を示した。
比色分析アッセイを妨げる可能性があるフェノール化合物を含有する漿液画分中の残余のタンパク質含有量の決定に関しては、ケルダール法を使用して、漿液画分およびその限外ろ過液中の窒素含有量を確実に検出した。異なるメンブランを使用して、漿液画分を、≦15、≦10および≦5キロダルトン(kD)の分子量をそれぞれ有する3つのろ液に分離した。試料中の窒素含有量に関するデータを、表3に示す。
データは、低分子量を分画するメンブランを通した限外ろ過の後であってさえも、窒素含有量が顕著には変化しなかったことを示し、このことは、事実上、漿液画分中の全ての窒素が非タンパク質性であった、すなわち、漿液画分は、タンパク質を含有しないことを示している。
漿液画分のさらなる安定化を、抗酸化剤、安定化剤、キレート化剤および防腐剤を添加することによって達成した。下記が、活用して、提示する実施例1に記載の漿液画分を安定化させた添加剤の組成である:0.2%メタ重亜硫酸ナトリウム、0.1%ソルビン酸カリウム、0.1%安息香酸ナトリウム、0.1%メチルパラベンナトリウム。完全な可溶化が達されるまで、混合物をインキュベートした(≧30分)。次いで、1.9%ペンチレングリコールを、混合物に添加した。
漿液画分は、およそ6.38%の乾燥物質を含有し、新鮮イチジク葉からのその収率は、およそ36%であった。最初の新鮮イチジク葉の乾燥物質100kgからの漿液画分の乾燥物質の収穫量は、およそ7.2kgであった。
漿液画分の選択された特徴およびそのin vitroにおける活性を、表4および表5に示す。
ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)の細胞汁から得られた漿液画分の、特徴およびin vitroにおける活性の比較
新鮮イチジク葉を、異なる場所で収集し、実施例1の記載に従って加工して、細胞汁を得た。この細胞汁を、しっかり閉じた15リットルの長方形のHDPE製容器中に、−30℃で凍結および保存した。実施例1の記載と同じ手順を使用して、一度に、1つまたは複数の容器を加工して、漿液画分を得た。
表6および表7に示すデータは、同じ供給源の、異なる時期に凍結した細胞汁の複数の分画から得られた漿液画分および凍結した細胞汁の異なる供給源からの分画から得られた漿液画分の選択された特徴およびin vitroにおける活性の変動性を示す。
(比較例1)
ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)乾燥葉の水抽出物の調製
50gの空気乾燥したベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)葉(実施例1において使用した同じバッチの葉から収集した)を、GM200 Grindomixナイフミル(Retsch、ドイツ)を用いて粉砕して、<300マイクロメートルのサイズを有する粒子を得た。粉砕は、2,500rpm、20秒間、続いて、2,500rpm、10秒間、次いで、10,000rpm、10秒間を含んだ。OMNI Programmable Digital Homogenizer(OMNI International、Kennesaw、GA)を使用して、脱イオン水を用いて、粉砕した葉をホモジナイズした。35gの粉砕した葉を、490gの水と混合し、ホモジナイザーのプラットフォーム上の氷浴中に置いた。ホモジナイゼーションを、20mmのホモジナイザーの発生器を用いて、15,000rpmで15分間実施した。次いで、Initiator 2 Focused Microwave Processor(Biotage AB、Uppsala、スウェーデン)中で、ホモジネートをマイクロ波処理に90℃で1分間付した。次いで、マイクロ波処理した材料を、3,200gで30分間遠心分離した。次いで、上清を、真空下で、Whatmanの2番紙の3層を通してろ過し、ろ液のpHを、塩酸(HCl)を用いてpH4.0に滴定した。pHを滴定した材料を、3,200gで30分間遠心分離し、次いで、上清を、真空下で0.2マイクロメートルの滅菌フィルターを通してろ過した。安定化剤、すなわち、0.2%メタ重亜硫酸ナトリウム、0.1%ソルビン酸カリウム、0.1%クエン酸、0.1%安息香酸ナトリウムを試料に添加した。完全な可溶化が達されるまで、混合物をインキュベートした(≧30分)。得られた乾燥葉水抽出物を、ガラス製バイアル内に置き、暗所に室温で保存した。乾燥イチジク葉の水抽出物の選択された特徴およびin vitroにおける活性を、表8に示す。
試験した濃度の広い範囲内で、乾燥イチジク葉の水抽出物は、エラスターゼ、トリプシンおよびシクロオキシゲナーゼ−2の阻害活性を示さなかった。選択された特徴およびin vitroにおける活性について、同じバッチのベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)葉から得られた水抽出物と漿液画分とを比較し、これを、表9に示す。
異なるフィカス属種および場所から得られた漿液画分の特徴およびin vitroにおける活性
インドおよびフロリダ(米国)で収集したベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)新鮮葉に加えて、以下のフィカス属種の新鮮葉を分画のために使用して、漿液画分を得た:イチジク(Ficus carica)、フィカス・エラスティカ(Ficus elastica)、ガジュマル(Ficus microcarpa)、およびフィカス・トリゴナタ(Ficus trigonata)。プエルトリコで生長させたフィカス・トリゴナタ(Ficus trigonata)を除いて、これらのフィカス属種は、米国のフロリダで生長させた。
漿液画分を、実施例1に記載の手順により得た。全てのこれらの画分を、それらの収率、選択された物理化学的特性およびin vitroにおける活性に関して比較した(表10、表11および表12)。
上記のデータは、異なるフィカス属種間で、新鮮葉中の乾燥物質含有量、細胞汁の収率および漿液画分の収率、ならびにそれらの乾燥物質含有量、色およびpHが、極めて顕著に変動したことを示している。インドおよびフロリダで生長させた2つのベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)間の対応する差は、異なるフィカス属種間の差よりも低く表われた。
この結論は、異なるフィカス属種から得られた漿液画分の選択された物理化学的特徴(表11)およびin vitroにおける活性(表12)の比較に関する追加のデータにより支持されている。
(ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)の)従来のイチジク抽出物とイチジク漿液画分との、LC/UV/MSクロマトグラムの比較
C18カラム上におけるLC分離の後に、240〜500nmのUV検出、ならびに陽イオン(m/z 150〜1150)および陰イオン(m/z 100〜1100)の両方のモードのエレクトロスプレー質量分析の両方により、イチジク抽出物およびFSFの構成成分を検出した。四重極MS上で活用した速いスキャン速度に起因して、主要な構成成分および/または高いイオン化効率を有する構成成分のみが、質量クロマトグラム中に観察された。イチジク漿液画分からのイチジク抽出物を、TOF/MSにより解析し、構造の帰属は、この正確な質量およびインソースフラグメンテーションのデータに基づいている。
図2に示すように、従来のイチジク抽出物は、FSF中には検出されない、溶出のより遅い(より疎水性の)化合物を含有する。図3に示すように、溶出の遅い化合物の1つの群は、フェオフォルビドであるように見え、これらは、クロロフィルの分解産物である。図4は、従来の抽出物が、より高い量の、フラボノール配糖体と思われる構成成分を含有することを示す。図5に示すように、FSFは、より高いレベル(約10×)のカテキンおよび関連の縮合タンニンを有する。しかし、図6に示すように、3つのカフェオイルキナ酸の異性体のレベルは、2つの試料の間で実質的に異なるようには見えなかった。図7は、FSFが、より高いレベルの遊離のチロシン、フェニルアラニンおよびトリプトファンを含有したことを示す。
方法:
イチジク漿液画分試料の調製:
FSFを、実施例1と同様に調製した。FSF試料を、90:10の水:DMSOを用いて50倍に希釈し(20μLの試料+100μLのDMSO+880μLの水)、LC/UV/MSにより、下記の条件に従って解析した。最終的な試料中のおよその固体含有量は、約1.26mg/mLであった。
従来試料の調製:
10.64mgの試料を、4mlのガラス製バイアル内に秤量した。1.064mLのDMSOを、バイアルに添加し、30分間超音波処理し、混合するために時折ボルテックスした。100μLのこの試料を、4mLのガラス製バイアルに添加し、900μLの水を用いて希釈した。最終的な試料中のおよその固体含有量約1mg/mL。
HPLCの条件:
HPLC:Waters Acquity UPLC Binary Solvent Manager:S/N M05UPB601M
Waters Acquity UPLC Sample Manager:S/N M05UPS632M
Waters Acquity UPLC PDA Detector:S/N M05UPD879N
MS:Waters Micromass Quattro Premier MS:S/N VAA−219
LCカラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、1.7mm、2.1×100mm、部品番号186002352、ロット番号0150371861
移動相:A:0.1%ギ酸を有する水
B:0.1%ギ酸を有するアセトニトリル
分離:グラジエント(表を参照されたい)
注入体積:7.5μL、ニードルオーバーフィルによるパーシャルループ(partial loop with needle overfill)
カラム温度=25℃
PDA:240〜500nm、20点/秒、ろ過時間:0.2秒で一定、曝露時間=自動、分解能:1.2nm
MSの条件:
メラニン合成
B16−F1マウスメラノーマ細胞株を、アッセイにおいて利用する。B16−F1細胞を、American Tissue Culture Collection、Virginia、米国から得る。アッセイにおいて使用する細胞培養の培地は、500mLのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、50mLのウシ胎仔血清(FBS)、および5mLのペニシリン−ストレプトマイシン液を含む。この培地中で培養し、90%超の培養密度まで増殖したB16−F1細胞は、メラニンを合成する。いずれの理論にも拘束される意図はないが、メラニン合成は、培地によって刺激され、かつ/または高い培養密度まで増殖したことにより誘発されるストレスによって刺激されると仮定される。DMEMおよびFBSは、American Tissue Culture Collectionから得ることができ、ペニシリン−ストレプトマイシン液は、Invitrogen,Inc.、California、米国から得ることができる。アッセイにおいて使用する機器は、CO2インキュベーター、例として、Forma Series Model 3110、Therma Scientific、Massachusets、米国製;血球計数器(hemocytometer)、例として、Bright Lineモデル、Hauser Scientific、Pennsylvania、米国製;およびUV−可視スペクトルのプレートリーダー、例として、SpectraMax250、Molecular Devices、California、米国製を含む。アッセイのステップは、以下を含む。
第0日−細胞の増殖:細胞培養の培地を37℃に温め、29mLをT−150フラスコ中に入れる。およそ1×106のB16−F1の継代1のマウス細胞を、T−150フラスコに添加し、37℃、5%CO2、90%相対湿度で、約80%の培養密度になるまで3日間インキュベートする。
第3日−96ウエルプレートを開始する:第3日に、T−150フラスコから得られた細胞をトリプシン処理し、血球計数器(hemacytometer)を使用して、細胞濃度を決定する。96ウエルプレートを、100μLの細胞培養の培地中の1ウエル当たり2,500個の細胞を用いて開始する。プレートを、37℃、5%CO2、90%相対湿度で、少なくとも20%〜40%の培養密度になるまで2日間インキュベートする。
第5日−プレートから細胞培養の培地を除去し、新鮮な培地で置き換える(1ウエル当たり100μL)。[水またはDSMO]溶媒中に希釈した[試験化合物]1μLを添加する。投与応答曲線を生成するために、複数の希釈比を試験することができ、好ましくは、3つのウエルを、各希釈比を用いて処理する。対照は、細胞培養の培地、B16−F1細胞および溶媒を有するウエル(対照番号1);細胞培養の培地および溶媒を含むウエル(対照番号2);および場合により、[試験化合物]のバックグラウンドの色についての制御が必要な場合、細胞培養の培地、溶媒および[試験化合物]を含むウエル(対照番号3)を含む。
第7日−メラニン産生の測定:細胞は、約90%超の培養密度を有すべきである。そうでない場合、このデータ点は使用しない。100μLの0.75%水酸化ナトリウム溶液を、各ウエルに添加する。UV−Visプレートリーダーを410nmで使用して、96ウエルプレートを読み取って、[試験化合物]を用いて処理されているウエルと処理されていない対照ウエルとの間の産生されたメラニンの量を光学的に測定する。メラニンが産生されているウエルは、褐色に見える。メラニンがほとんど産生されていないウエルは、透明〜明るい紫色に見える。メラニン合成の阻害のパーセントを、以下の式により計算する。
式中、OD410は、UV−Vis Spectrum Plate Readerにより測定した場合の410nmにおける光学密度である。
対照番号3を使用する場合、パーセントメラニン合成の阻害についての式は、
である。
一般に、上記で概要を述べたアッセイを使用すると、下記の表13に示すように、メラニン合成は、FSF処理B16−F1細胞中では、対照細胞と比較して阻害された。
変数、すなわち、メラニンの産生および皮膚内の移動が複雑であること、ならびに試験化合物の皮膚に浸透する能力等を考慮すると、このアッセイにより、ヒトにおける顔面の色素沈着過剰性シミに関するin vivoにおける転帰は必ずしも断定されないが、このアッセイにより、FSF等の材料はチロシナーゼ活性に潜在的に影響を及ぼすことができることが示されている。
チロシナーゼの阻害
チロシナーゼは、メラニンの生合成における重要な酵素である。このアッセイにより、キノコのチロシナーゼ酵素の、L−チロシンをL−ジヒドロキシフェニルアラニン(L−DOPA)に変換する能力を妨げることができる作用剤を同定し得る。
試薬および供給
チロシナーゼ酵素:キノコのチロシナーゼ、Sigma−Aldrich、Missouri、米国から入手可能、
酵素基質:L−チロンシン(L-tyronsine)、Sigma−Aldrich、Missouri、米国から入手可能、
緩衝液:リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、Invitrogen、California、米国から入手可能、
陽性対照:4−ヒドロキシフェニル−β−D−グルコピラノシド(アルブチン)、Sigma−Aldrich、Missouri、米国から入手可能、
ジメチルスルホキシド(DSMO)、Sigma−Aldrich、Missouri、米国から入手可能、
Falcon(登録商標)1172 Microtesttm非組織培養処理、透明平底96ウエルプレート、
潜在的なチロシナーゼ阻害剤、
ウエルプレートリーダー:Spectra MAX Plus、Molecular Devices、California、米国から入手可能、
データ獲得および解析ソフトウエア:SoftMax Pro、Molecular Devices、California、米国から入手可能。
使用溶液濃度 アッセイにおける最終濃度
チロシナーゼ酵素:26単位/mL 13単位/mL
L−チロシン基質:1mM 0.5mM
アルブチン陽性対照:20mM 200uM
アッセイのプロトコール:
試薬および陽性対照の調製
1mMの酵素基質使用溶液を、0.01812gのL−チロシンを100mLの1×PBSに添加することによって調製する。L−チロシンが溶解するまで、超音波処理する。必要に応じて、ボルテックスする。使用しないときは、4℃で保存する。
アルブチンの陽性対照の0.2M原液を、0.0544gのアルブチンを1mLのDMSOに添加することによって調製する。アルブチンが溶解するまで、1分間ボルテックスおよび超音波処理する。この溶液を、100μLを900μLのDMSOに添加することによって1:10に希釈して、20mMアルブチン使用溶液を得る。使用するまで、室温で保存する。
潜在的なチロシナーゼ阻害剤は、DMSO中に調製すべきである。アッセイにおける試験化合物の最終体積は2μlであり、したがって、使用溶液は典型的には、5〜40mM(100×)で構成し、これらから、アッセイにおける50〜400μMの最終濃度を得る。
冷1×PBSを用いて、チロシナーゼ酵素を1000U/mLで再構成する。この原液を、必要になるまで、1mLの一定分量で遮光して−20oCで保存する。1mlの解凍原液(1000U/mL)を、37.5の冷1×PBS緩衝液に添加することによって、26U/mLの酵素使用溶液を調製する。これは、4つの96ウエルプレートを扱うのに十分である。アッセイにおいて使用するまで、遮光し、氷上に保つ。
アッセイの実施
200μLの1×PBS緩衝液を、各試験プレート上の三連のウエルに添加して、適切なブランクを得る。
2μLのDMSOを、三連のウエルに添加して、ビヒクル対照を得る。
2μLのアルブチンを、三連のウエルに添加して、陽性対照を得る。
2μLの潜在的なチロシナーゼ阻害剤を、三連のウエルに添加する。
ブランクを除き、98μLのチロシナーゼ酵素使用溶液を、各ウエルに添加する。化合物と酵素とを、ピペットを上下に2回操作するかまたは手短にボルテックスすることによって混合する。
100μL/ウエルのL−チロシン基質を添加する。
SpectraMax250プレートリーダー上の反応速度測定用の設定を選び、475nmにおける吸光度の読取りを、1分毎に1時間記録する。
データ獲得ソフトウエアを使用して、勾配を、対照および試験化合物について計算する。
チロシナーゼ阻害のパーセントを、以下の式により計算する:
一般に、上記で概要を述べたアッセイを使用すると、下記の表14に示すように、FSFは、チロシナーゼ活性を阻害した。
変数、すなわち、メラニンの産生および皮膚内の移動が複雑であること、ならびに試験化合物の皮膚に浸透する能力等を考慮すると、このアッセイにより、ヒトにおける顔面の色素沈着過剰性シミに関するin vivoにおける転帰は必ずしも断定されないが、このアッセイにより、FSF等の材料はチロシナーゼ活性に潜在的に影響を及ぼすことができることが示されている。
色素沈着過剰性シミの低減およびメラニンの均一性についてのin vivoにおける試験
9週間のin−vivoにおける研究を、ラウンドロビン、ビヒクル対照、顔面分割デザインを使用して、1週間の正規化期間を含め、270人の対象を用いて実施した。270人の対象を、以下を含む包含/排除の判断基準に従ってスクリーニングした:
包含
− 色素沈着過剰性シミを、顔面の両側上、頬の周りおよび/または眼窩周囲の領域に有する。
− 顔面の各側面上の頬領域中に、少なくとも1つの8〜10mmの直径の色素沈着過剰性シミ、4つの4〜6mmの直径のシミ、もしくは10個の2〜3mmの直径のシミ(日光シミ、そばかすもしくは黒皮症のシミ)、または同等のシミ領域を有する。
− 顔面のサンバーン、日焼けまたは風焼けを回避するために、供給されるUVローション剤および帽子等の物理的なUVの遮断を使用することによって、日光への曝露を控える意志がある。
排除
− アトピー、湿疹、乾癬または他の慢性皮膚疾患を有すると診断されたことがある。
− 顔面皮膚疾患の明らかな徴候(例えば、5つ超の面皰、赤色鱗屑化皮膚の領域、表層性の薄い血管等)を有する。
− 顔面上に、変色または瘢痕化の顕著な領域を有する。
− 顔面上に、3つ超の顕著な母斑(<3mm)を有する。
270人の対象を、研究のために動員した。研究のコースの間に、およそ60人の対象が脱落した。各対象が、2つのコード化した試験製剤を受け取って、顔面の各半分に1日2回適用した。顔面の処置部位の画像を、ベースライン(第0週)、ならびに4および8週間の処置の後に獲得し、皮膚の色ならびにシミのサイズおよび色に対する変化について解析した。製品製剤は、ビヒクル対照、ビヒクル+0.55%FSF、およびビヒクル+5%ビタミンB3化合物(ナイアシンアミド)を含んだ。
非接触分光学的皮内分析法(SiaScopy、Astron Clinica、英国)を使用して、対象の画像を収集および解析した。この方法は、ブランドの分光計としてのデジタルカメラ(例えば、Fuji S2 digital SLR)、および瞬間照明源(例えば、Sigma Super flash光源)を使用して、顔面の発色団の情報を回収した。交差偏光フィルターを、カメラおよび照明源の前に置いて、鏡面反射を排除した。
ユーメラニン(メラニン)およびオキシヘモグロビンの濃度および分布の発色団マッピングにより、これらの発色団のそれぞれのグレースケール濃度マップが生成される。Optimas6.5等の画像解析ソフトウエアを使用して、各発色団マップ中の目的の帯域を選択することができ、そこから、平均グレースケール値およびシミ領域部を計算する。シミ領域部は、メラニンのシミが占める総面積を、対象とする帯域全体のパーセントとして示す。発色団マッピングの1つのタイプの記載を、EP1,810,614および「The Distribution of Melanin in Skin Determined In Vivo」、British Journal of Dermatology、2007、620〜628頁に見出すことができる。
FSFが、4週間後に最良の結果をもたらしたものであり、対照および5%ビタミンB3の組成物よりも、色素沈着過剰性シミを有意に(p<=0.10)良好に低減させた。8週間後では、ビタミンB3組成物が、最良の結果をもたらしたものであったが、また、FSF組成物も、色素沈着過剰性シミの低減において、対照よりも有意に良好であった。表16に、画像解析データを要約し、表中、SAFは、平均シミ領域部であり、ΔSAFは、ベースライン(第0週)からのシミ領域部の平均変化である。
FSFは、SAFについては、ビヒクルよりも有意に良好であり、メラニンの均一性については、ビヒクルよりも指向的に良好であった。
解析方法
以下の解析方法を使用して、実施例中に報告する種々の物理的および化学的特性を決定する。
乾燥物質の決定のための方法
乾燥物質のレベル(パーセント)を、液体試料の重量と、液体構成成分を蒸発させた後の乾燥状態の残渣の重量とを比較することによって決定した。使い捨てのアルミニウム製秤量皿、Ohaus Explorer E00640天秤、Ohaus Corporation(Pine Brook、New Jersey)製、およびShel Labモデル1400Eオーブン、VWR(West Chester、Pennsylvania)製を、この手順において使用した。試料を、105Cに設定したオーブン中で12時間乾燥した。液体試料を含有する風袋の重量から、風袋の重量を減じて、「湿潤」重量を得た。乾燥後の同じ試料を含有する風袋の重量から、風袋の重量を減じて、「乾燥」重量を得た。次いで、乾燥物質のレベルは、「湿潤」重量で割り、100%を乗じた「乾燥」重量に等しい。
色の決定のための方法
Lovibond Comparator3000(Tintometer Limited of Salisbury、英国)デバイスを使用して、使用説明マニュアルによるデバイスについての標準的な手順に従って、透明なガラス製チューブ中の試験物品の色と、デバイスの2つの輪内にセットされている着色ガラス標準物質とを比較することによって、色(ガードナースケール、0〜18)を決定した。
浸透圧の決定のための方法
溶液の凝固点降下を測定し、純粋な溶媒の凝固点と比較することによって、浸透圧を決定した。この測定は、Advanced Model 3250 Single−Sample Osmometer、Advanced Instruments,Inc.(Norwood、MA)製上で、使用説明マニュアルによるデバイスについての標準的な手順に従って実施した。
屈折率の決定のための方法
外付けの温度制御循環装置をつなげたArias500屈折計、Reichert Analytical Instruments(Depew、NY)製上で、使用説明マニュアルによるデバイスについての標準的な手順に従って、屈折率を測定した。
UVスペクトルのパラメータの測定のための方法
流体ジャケット付きのセルホルダーを有し、外付けの温度制御循環装置につながるUltrospec4300pro UV/可視分光光度計、Biochrom Ltd.(Cambridge、英国)製により、UV吸光スペクトル中のピーク、谷および屈曲を決定した。1cmの光路長を有する石英製キュベットを、脱イオン水を用いて希釈した試料のために使用した。SWIFT IIソフトウエアのパッケージソフト、Biochrom Ltd.製のWavescanアプリケーションより、機器の制御およびデータ解析を行った。
エラスターゼ阻害活性の決定のための方法
96ウエルマイクロタイタープレート(Corning3641)、Corning Incorporated(Corning、NY)製およびSynergy2マイクロプレートリーダー、BioTek Instruments,Inc.(Winooski、VT)製を用いて使用するように構成された反応速度を測定する比色分析アッセイにより、エラスターゼ阻害活性を決定した。基質を切断する酵素活性を、波長410nmにおける吸光度の増加として測定される黄色の発生により示した。N−メトキシサクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−pNA基質(EPC FH237)およびエラスターゼ(EPC SE563)を、EPC(Elastin Products Company,Inc.、Owensville、MO)から得た。各ウエル中の反応体積は200マイクロリットルであり、エラスターゼの濃度は0.87単位/mlに等しく、基質の濃度は363μMに等しかった。この手順は、Elastin Products Company,Inc.のResearch Biochemicals Catalogue (2004、92頁)の84頁からの表題「Assay with N-MeO-Suc-Ala-Ala-Pro-Val-pNA (EPC No.FH237) as substrate」の方法を改作した。
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性の決定のための方法
Cayman ChemicalsのCOX阻害剤スクリーニングELISAアッセイキット560131により、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害活性を決定した。
抗酸化活性の決定のための方法
Synergy2マイクロプレートリーダーBioTek Instruments,Inc.(Winooski、VT)製を用いて使用するための、BioTekから得られる、(www.biotek.com/resources/docs/ORAC_Assay_Application_Note.pdf)において入手可能な、「Performing Oxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) Assays with Synergy HT Multi-Detection Microplate Reader」のApplication Noteに記載されている方法の改作を使用するORAC試験により、抗酸化活性を決定した。このアッセイにおいて、AAPH(2,2’−アゾビス2−アミノ−プロパン)が、蛍光プローブ(フルオレセインナトリウム)を損傷する反応性酸素種を生成する。(R)−トロロクスメチルエーテル等の抗酸化剤が、この損傷を阻止または緩慢化し、それらの作用を、蛍光測定により定量化することができる。485nmに設定した励起波長および528nmに設定した放射波長を用いて、蛍光の読取りを得、反応体積は200マイクロリットルであり、AAPH濃度は55mMであり、フルオレセインナトリウム濃度は1.33μMであり、(R)−トロロクスメチルエーテル濃度範囲は80μM〜2μMの間であった。フルオレセインナトリウム(Fluka46960)、AAPH(Sigma440914)、および(R)−トロロクスメチルエーテル(Fluka93509)を、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から得た。AUC(曲線下面積)の値を、比率(ウエルについての最初の蛍光の読取りで割った、ウエルについての現在の蛍光の読取り)の和として計算した。脱イオン水を有するウエルのAUC値の平均を、(R)−トロロクスメチルエーテルを有するウエルおよび試験物品を有するウエルのAUCから減じて、抗酸化剤による蛍光の保存に対応するAUCを得た。較正曲線を、ウエルの抗酸化剤に関連するAUCの関数として生成して、(R)−トロロクスメチルエーテル重量に相当するORAC活性を示した。次いで、試験物品についてのORAC活性を、1単位重量の(R)−トロロクスメチルエーテルがもたらす1に等しい抗酸化作用を達成するのに必要な単位重量試験物品として計算した。
捕捉活性の決定のための方法
ガラスコートポリプロピレン製96ウエルマイクロタイタープレート(カタログ番号400062)、SUN−SRi(Rockwood、TN)製およびSynergy2マイクロプレートリーダー、BioTek Instruments,Inc.(Winooski、VT)製を用いて使用するために改作した、反応速度を測定する比色分析アッセイにより、フリーラジカル捕捉活性、すなわち、DPPH(2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル)フリーラジカル捕捉活性を決定した。吸光度を、波長515nmにおいて測定した。各マイクロプレートウエル中の反応体積は、200マイクロリットルであり、DPPHの最初の濃度は、114μMに等しかった。L−アスコルビン酸を、陽性対照として使用した。DPPH(Sigma D9132)およびUSP L−アスコルビン酸(Sigma A−2218)を、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から得た。反応の化学量論を、計算し、1単位重量のDPPHをクエンチするのに必要な単位重量試験物品として表した。この方法は、LWT - Food Science and Technology、Volume 28、Issue 1、1995、25〜30頁に公開されている、論文「Use of a free radical method to evaluate antioxidant activity」、W. Brand-Williamsら著に記載されている手順から改作した。
温度プロファイリングを使用する迅速安定性試験のための手順
温度プロファイリングを使用する迅速安定性試験のための手順を、下記に示す:
1.12個の加熱ブロックを作動させ、指定する温度で加熱し、冷蔵庫を作動させ、指定する温度で少なくとも4時間維持してから実験を行う。加熱ブロック中に置く12個の試料に加えて、1つの試料を室温に置き、別の試料を冷蔵して、計14種の異なる温度を得る。温度は、5、室温(約23C)、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72および75℃である。加熱ブロックには、20mlのバイアルをはめるために圧延されたアルミニウム製挿入部のブロックが装備されている。これらの挿入部ブロックは、加熱ブロックの加熱されるポケットブロックの内部にはまる。各加熱ブロックは、独立した温度調節器および温度センサーを有し、反応ブロックの温度を0.1Cで制御すべきである。
2.14個のバイアルを満たし、ヘッドスペースはできるだけ少なくする。バイアルのサイズは、全て同じサイズである限り、オートサンプラー用バイアルからシンチレーション用バイアルまでの範囲に及んでよい。本実施例の目的では、20mlのバイアルを使用した。
3.ノートブック参照および温度を有するラベルを、各バイアルについて用意する。ラベルをできるだけ小さくかつ狭くするのが最もよい。カラー写真を用いて、色を評価しようとする場合には、温度を有さない1つの別途のラベルを作製して、バイアルを提示する。
4.各ラベルを、対応するバイアルに、バイアル中の製品の眺めを遮ることなく付着させる。これは通常、ラベルを蓋にテープで貼って、上から下へ読む長い垂直のタブとすることによって行う。バイアル上の何らかの印のある側面の反対側となる、蓋の側面上に、ラベルを置き、したがって、写真を撮影する場合、バイアル中の試料が最もよく眺められるように、ラベルを表示することができる。
5.色を評価する場合、試料の最初の写真を、デジタルカメラを用いて撮影する。バイアル中の試料を明らかに見ることができるようにし(バイアル上のラベルまたは印字のいずれもが眺めを遮ることがないように、バイアルの方向を変え)て、試料を、左から右へ最も低い温度から最も高い温度へ1列に並べる。画像中で別途のラベルを容易に読むことができるようにして、別途のラベルを提示する。一貫性を得るために、バイアルおよびカメラの位置について、研究室ベンチ上に印を付け、したがって、この配置を後に再現することができる。フラッシュを消すことが推奨される。
6.以下のように、これらのタイプの試料について写真を撮影する。
a.透明な溶液:白色バックグラウンドに対してフラッシュを使用し、卓上スタンドは使用しない。
b.不透明な試料:黒色バックグラウンドに対して、フラッシュを消し、卓上スタンドは使用する
7.化学的解析を行う場合、各バイアルから試料採取して、最初の読取りを得る。
8.試料を、加熱ブロックおよび冷蔵庫中に置き、日および時間を記録する。
9.選ばれた時点で(初期設定では、第3、7および14日を使用する)、試料を、加熱ブロックおよび冷蔵庫から取り出し、少なくとも30分間かけて室温に戻す。
10.色を評価する場合、ステップ4で付けたバイアルおよびカメラの位置についての印を使用して、新しい写真を撮影する。これを、各時点で繰り返す。
11.化学的解析を行う場合、次いで、この時点で、各バイアルから試料採取する。各時点について、繰り返す。
12.色を評価するために、異なる製品および作物を最もよく識別する時点を選び、各製品にラベルを付けて、写真を一緒に貼り付ける。6カ月間および1年間の室温に相当する時間を描写する線を、安定性の表を使用して、画像上に引くことができる。所与の時点において、表上の6カ月および2年に対応する加速温度を見出し、こうすることにより、どのバイアルの間に線を引くべきかを決定する。(例えば、図10を参照されたい)
13.化学的解析のために、各時点について、濃度を温度に関してプロットする。データを通る平滑な線を引き、許容できない閾値に達する温度を記録する。安定性の表において、この温度を、時間に対して参照して、室温に相当する時間を求める。Lab色度計を用いて、色を測定し、濃度の代わりに、色の差をプロットする場合、この技法を、色の解析に適用することができる。
14.安定性の表は、25kcal/モルの活性化エネルギーを想定している。ほとんどの加水分解および類似の反応は、ほぼこのエネルギーであるかまたはこれより高い。エネルギーがより高い場合には、製品はより安定であり、表が予測する室温安定性は、実際の安定性よりも低い(非常に保守的な推定)。時には、エネルギーは、これよりも低い。この理由により、化学的解析を行うならば、上記に従って生成されるデータを取り、アレニウスのプロットを使用して反応エネルギーを計算して、想定が正しいことを確認することが推奨される。
15.付録:写真からのLab色の抽出:
i.全ての写真をCD上に移動する。色測定ソフトウエア、例として、Optimas、および任意の必要な周辺機器が装備されているコンピュータを使用して、各試料の平均Lab色を測定する。
ii.左端の5C試料を用いて開始し、右上から移動し、左下までドラッグして、バイアルの色を平均する領域を選択する。5C試料を、標準的な基準として設定する(これは、5C試料を用いて、最初にだけ行う)。
iii.各温度の試料について、L、a、b、Std DevおよびdEcmcの値を記録する。各写真について、白色点を記録する(255、255、255であるはずである)。
本明細書に開示する寸法および値が、記載する正確な数値に厳格に制限されると理解してはならない。代わりに、別段の記載がない限り、それぞれのそのような寸法が、記載する値およびその値の周囲の機能的同等範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」と開示する寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
本発明の「発明を実施するための形態」に引用した文献は全て、関連の部分が、参照により本明細書に組み込まれている。いずれの記載の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを認めていると解釈してはならない。本記載中の用語のいずれかの意味または定義が、参照により組み込まれている記載中の同じ用語のいずれかの意味または定義と矛盾する限りにおいては、本記載においてその用語に割り当てられた意味または定義が優先するものとする。
本発明の特定の実施形態を例証し、記載してきたが、種々の他の変化形態および改変形態を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく作製することができることは当業者に明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の範囲に属する、全てのそのような変化形態および改変形態を網羅することを意図する。

Claims (31)

  1. 新鮮イチジク葉汁から得られるイチジク漿液画分であって、
    前記イチジク漿液画分が、
    a.清浄で新鮮な萎凋していないイチジク葉からイチジク細胞汁を分離して、新鮮なイチジク細胞汁を得るステップであって、前記分離の前または間に外来の液体が添加されないステップと、
    b.前記新鮮なイチジク細胞汁をろ過して、繊維を含有しない細胞汁を得るステップと、
    c.前記繊維を含有しない細胞汁を分画して、イチジク漿液画分を得るステップであって、
    前記分画が、
    (1)前記繊維を含有しない細胞汁からクロロフィルを除去して、上清Iを得ること、
    (2)上清Iから色素およびタンパク質を除去して、イチジク漿液画分を形成すること、
    および
    (3)場合により、安定化剤を前記イチジク漿液画分に添加すること
    を含む、ステップと
    を含む方法により生成され、
    上清Iからの色素およびタンパク質の前記除去が、
    i.上清IのpHを7.5に調節して、pHを調節した上清Iを形成すること、
    ii.pHを調節した上清Iを、沈殿物IIおよび上清IIに分離すること、
    iii.上清IIのpHを3.6に調節して、pHを調節した上清IIを形成すること、
    iv.pHを調節した上清IIを、沈殿物IIIおよびイチジク漿液画分に分離すること
    を含む、イチジク漿液画分
  2. 前記安定化剤が、抗酸化剤、キレート化剤、防腐剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  3. 前記安定化剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンナトリウム、ペンチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  4. 室温で少なくとも6カ月間安定である、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  5. 室温で少なくとも12カ月間安定である、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  6. 室温で少なくとも24カ月間安定である、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  7. 前記イチジク葉が、ベンガルボダイジュ(F. benghalensis)、イチジク(F. carica)、フィカス・エラスティカ(F. elastica)、ガジュマル(F. microcarpa)、フィカス・トリゴナタ(F. trigonata)、およびそれらの組合せからなるフィカス属種の群から選択される、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  8. 前記イチジク漿液画分が、フェオフォルビドを実質的に含有しない、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  9. 前記イチジク漿液画分が、ケルダール法により測定して、タンパク質を実質的に含有しない、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  10. 前記イチジク漿液画分が水溶性である、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  11. 前記イチジク漿液画分が、8未満のガードナー色度値を有する、請求項に記載のイチジク漿液画分。
  12. 前記ガードナー色度値が7.5未満である、請求項11に記載のイチジク漿液画分。
  13. 前記イチジク漿液画分が、皮膚の色素沈着過剰を低減させることが可能である生物学的活性を有する、請求項1に記載のイチジク漿液画分。
  14. 前記生物学的活性が、メラニン形成(メラニン合成)における1つまたは複数のステップを妨害するのに十分である、請求項13に記載のイチジク漿液画分。
  15. 前記生物学的活性が、メラニン形成酵素活性を阻害するのに十分である、請求項14に記載のイチジク漿液画分。
  16. 前記酵素活性が、トリプシン活性、チロシナーゼ活性、または両方である、請求項15に記載のイチジク漿液画分。
  17. 前記生物学的活性が、エラスターゼ活性を阻害するのに十分である、請求項14に記載のイチジク漿液画分。
  18. 前記生物学的活性が、COX−2活性を阻害するのに十分である、請求項14に記載のイチジク漿液画分。
  19. 前記生物学的活性が、抗酸化活性、フリーラジカル捕捉活性、または両方を増加させるのに十分である、請求項14に記載のイチジク漿液画分。
  20. イチジク細胞漿液画分組成物を作製するための方法であって、
    a.清浄で新鮮な萎凋していないイチジク葉からイチジク細胞汁を分離して、新鮮なイチジク細胞汁を得るステップであって、前記分離の前または間に外来の液体が添加されないステップと;
    b.前記新鮮なイチジク細胞汁をろ過して、繊維を含有しない細胞汁を得るステップと、
    c.前記繊維を含有しない細胞汁を分画して、イチジク漿液画分を得るステップであって、
    前記分画が、
    (1)前記繊維を含有しない細胞汁からクロロフィルを除去して、上清Iを得ること、
    (2)上清Iから色素およびタンパク質を除去して、イチジク漿液画分を形成すること、
    および
    (3)場合により、安定化剤を前記イチジク漿液画分に添加すること
    を含む、ステップと
    を含み、
    上清Iからの色素およびタンパク質の前記除去が、
    i.上清IのpHを7.5に調節して、pHを調節した上清Iを形成すること、
    ii.pHを調節した上清Iを、沈殿物IIおよび上清IIに分離すること、
    iii.上清IIのpHを3.6に調節して、pHを調節した上清IIを形成すること、
    iv.pHを調節した上清IIを、沈殿物IIIおよびイチジク漿液画分に分離すること
    を含む、方法。
  21. 前記安定化剤が、抗酸化剤、キレート化剤、防腐剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記安定化剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンナトリウム、ペンチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記組成物が、室温で少なくとも6カ月間安定である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記組成物が、室温で少なくとも12カ月間安定である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記組成物が、室温で少なくとも24カ月間安定である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記イチジク葉が、ベンガルボダイジュ(F. benghalensis)、イチジク(F. carica)、フィカス・エラスティカ(F. elastica)、ガジュマル(F. microcarpa)、フィカス・トリゴナタ(F. trigonata)、およびそれらの組合せからなるフィカス属種の群から選択される、請求項20に記載の方法。
  27. 前記組成物が、フェオフォルビドを実質的に含有しない、請求項20に記載の方法。
  28. 前記組成物が、ケルダール法により測定して、タンパク質を実質的に含有しない、請求項20に記載の方法。
  29. 前記組成物が水溶性である、請求項20に記載の方法。
  30. 前記組成物が、8未満のガードナー色度値を有する、請求項20に記載の方法。
  31. 前記組成物が、7.5未満のガードナー色度値を有する、請求項20に記載の方法。
JP2013528346A 2010-09-10 2011-09-09 イチジク漿液画分を含む生理活性組成物および皮膚の色素沈着過剰の外観を低減するための方法 Expired - Fee Related JP5938803B2 (ja)

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