JP5937507B2 - セラミックス顆粒およびセラミック焼結体ならびに流路部材 - Google Patents

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Description

本発明は、流動性に優れたセラミックス顆粒およびこのセラミックス顆粒を用いて成形し焼結して成るセラミック焼結体ならびに流路部材に関するものである。
炭化珪素質焼結体は、主成分である炭化珪素と、焼結助剤、カーボン源および成形助剤とを含むセラミックス顆粒を用いて成るものであり、耐熱性、耐食性、耐摩耗性など優れた特性を有していることから、幅広い様々な分野で用いられている。そして、特性の更なる向上に向けて、組成や成形性などを含め、セラミックス顆粒の粒径の構成が検討されている。
例えば、特許文献1では、炭化ケイ素、炭素原料及び焼結助剤を含む原材料の混合物Xを造粒する工程と、前記工程で得た造粒物を成形して焼成する工程とを有する炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法であって、前記造粒物の体積基準の粒度分布におけるD10が30〜60μm、D50が50〜85μm、D90が90〜135μmである炭素含有炭化ケイ
素セラミックスの製造方法が提案されている。
特開2008−150224号公報
特許文献1に記載されている製造方法における造粒物であるセラミックス顆粒は、D10が大きいことから、例えば、大きい顆粒間に生じる空隙を埋めることができず、得られた成形体の相対密度が低くなるという問題があった。また、成形型の角部への充填が不十分となって成形体の角部に欠けが生じるため、一回り大きな成形体を作製して成形後または焼成後に加工を施さなければならないという問題があった。さらに、成形体の相対密度が低かったり、成形体の角部の欠け等を生じたりさせないようにするためには、高い成形圧力を必要とすることから、成形設備や成形型等に掛かる負荷が大きくなるという問題があった。
本発明は、上記問題を解決すべく案出されたものであり、成形設備や成形型等に大きな負荷をかけることなく、最終製品に近い形状で成形することができ、相対密度の高い成形体を得ることができ、延いては緻密質な焼結体を得ることができるセラミックス顆粒およびセラミック焼結体ならびに流路部材を提供することを目的とするものである。
本発明のセラミックス顆粒は、炭化珪素を主成分としてなり、累積分布曲線における累積10質量%の粒径であるD10が10μm以上25μm以下であり、累積90質量%の粒径であるD90に対する前記D10の比率が0.16以上0.29以下であることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミック焼結体は、上記構成のセラミックス顆粒を用いて成ることを特徴とするものである。
さらに、本発明の流路部材は、上記構成のセラミック焼結体を流体に接触する部位とし
て備えることを特徴とするものである。
本発明のセラミックス顆粒によれば、成形設備や成形型等に大きな負荷をかけることなく、最終製品に近い形状で成形することができ、相対密度の高い成形体を得ることができ、延いては緻密質な焼結体を得ることができる。
また、本発明のセラミック焼結体によれば、本発明のセラミックス顆粒を用いて成ることから、優れた機械的特性を有するセラミック焼結体とすることができる。
さらに、本発明の流路部材によれば、本発明のセラミックス焼結体を流体に接触する部位として備えることから、優れた伝熱特性を有する流路部材とすることができる。
以下、本実施形態のセラミックス顆粒について詳細に説明する。
本実施形態のセラミックス顆粒は、炭化珪素を主成分としてなり、累積分布曲線における累積10質量%の粒径であるD10が10μm以上25μm以下であり、累積90質量%の粒径であるD90に対するD10の比率(以下、この比率を比率Rと記載する。)が0.16以上0.29以下である。なお、D90に対するD10の比率Rとは、D10/D90で求めた値である。
このように、本実施形態のセラミックス顆粒におけるD10が10μm以上25μm以下であり、比率Rが0.16以上0.29以下であることによって、大きい顆粒間に生じる空隙や角部などにおける小さい顆粒の充填性が高く、小さい顆粒同士が流動して擦れる際に生じる静電気による反発は少ないことから、成形設備や成形型等に大きな負荷をかけることなく、最終製品に近い形状で成形することができ、相対密度の高い成形体を得ることができる。そして、延いては緻密質な焼結体を得ることができる。特に、比率Rは、0.224以上0.270以下であることがより好適である。
なお、ここでいう主成分とは、セラミックス顆粒を成形し焼結して成るセラミック焼結体を構成する全成分のうち、70質量%以上を占める成分のことであり、主成分の含有量(質量%)は、例えばICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により求めたSiの含有量の値を用いてSiCに換算すればよい。また、セラミックス顆粒のD10,D50,D90は、JIS R 1639−1:1999に記載されているレーザ回折・散乱法に
準拠して測定すればよい。
また、本実施形態のセラミックス顆粒は、炭化珪素以外に、焼結助剤、カーボン源および成形助剤等を含んでいる。焼結助剤としては、例えば、酸化アルミニウムおよび酸化イットリウムの2種や炭化硼素等を用いることができる。また、カーボン源としては、例えば、フラン、フェノール、コールタールピッチ、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩の少なくともいずれか1種を用いることができる。また、成形助剤としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類やその変成品、糖類、澱粉類、デキストリンやこれらの各種変成品、ポリビニルアルコール等の水溶性各種合成樹脂や酢酸ビニル等の合成樹脂エマルジョン、アラビアゴム、カゼイン、アルギン酸塩、グルコマンナン、グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル等を用いることができる。
ここで、焼結助剤の化合形態の同定は、CuKα線を用いたX線回折法によって行なえばよく、含有量(質量%)は、例えばICP発光分光分析法により求めた金属の含有量の
値を用いて化合形態に合わせて酸化物や炭化物に換算すればよい。また、カーボン源および成形助剤の同定は、核磁気共鳴分光法を用いて行えばよい。
また、本実施形態のセラミックス顆粒は、累積50質量%の粒径であるD50に対するD10の比率(以下、この比率を比率Rと記載する。)が0.59以上0.61以下であることが好適である。なお、D50に対するD10の比率Rとは、D10/D50で求めた値である。
このように、比率Rが0.59以上0.61以下であることによって、さらに相対密度の高い成形体を得ることができる。このように、比率Rが0.59以上0.61以下であることが好適であるのは、実験結果に基づくものであり、相対密度を向上させることができる理由については明らかではない。特に、比率Rは、0.592以上0.598以下であることがより好ましい。
また、本実施形態のセラミックス顆粒は、カーボン源として、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩を併用することが好適である。なお、リグニンスルホン酸塩とは、リグニンに官能基であるスルホン酸塩を含む高分子化合物であり、リグニンカルボン酸塩とは、リグニンに官能基であるカルボン酸塩を含む高分子化合物である。
リグニンスルホン酸塩は、カーボン源であるとともに、1次原料である炭化珪素粉末間における空隙が少なく結合させることができる。また、リグニンカルボン酸塩は、炭素(C)原子に1つの酸素(O)原子が2重結合している構造であり、リグニンスルホン酸塩よりも酸素原子の数が少ないことから、セラミックス顆粒が空気中の水分を吸収することが少ない。それ故、カーボン源として、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩を併用することで、流動性の低下が少なく、相対密度の高い成形体を得ることができる。また、空気中の水分の吸収の少ないセラミックス顆粒であることにより、成形工程で金型にセラミックス顆粒を充填する場合には、金型の腐食を抑制することができるため、セラミック顆粒に腐食した金属が不純物として混入するおそれを少なくすることができる。
また、本実施形態のセラミックス顆粒は、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩における塩が、リチウム、ナトリウムおよびアンモニウムの少なくとも1種であることが好適である。リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩における塩が、リチウム、ナトリウムおよびアンモニウムの少なくとも1種であるときには、各金属イオンである、Li,NaおよびNH が、これら以外の金属イオンよりも加熱によって消失しやすく、セラミック焼結体中に残存しにくいため、より緻密質なセラミック焼結体とすることができる。
また、本実施形態のセラミックス顆粒は、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩における官能基(例えば、塩がNaであるとき、リグニンスルホン酸塩における官能基とは、−SONaであり、リグニンカルボン酸塩における官能基は、−COONaである。)が、内部よりも表面に多く含まれていることが好適である。このように、セラミックス顆粒において、官能基が内部よりも表面に多く含まれることにより、主成分や焼結助剤等の粒子を被覆することとなるため、非加圧状態時におけるセラミックス顆粒の形状を維持することができる。また、セラミックス顆粒の潰れ性を向上させることができるため、緻密質なセラミック焼結体とすることができる。
なお、ここでセラミックス顆粒における表面とは、表層からセラミックス顆粒の直径の10%以下の領域をいい、セラミックス顆粒における内部とは表面を除く領域をいう。そして、セラミックス顆粒における内部および表面の上記官能基の量の比較は、エネルギー分散型X線分光分析装置を用いればよく、塩がNaであれば、内部および表面におけるNa
のカウント数を比較すればよい。なお、カウント数の差が10%以上あるときを有意差があるものとみなす。
また、本実施形態のセラミックス顆粒は、成形助剤として、グリセリンおよびソルビタン脂肪酸エステルを含んでいることが好適である。グリセリンおよびソルビタン脂肪酸エステルは、セラミックス顆粒の潰れ性を向上させることができ、成形時に掛かる圧力によって十分に潰れてセラミックス顆粒間の空隙を埋めることができることから、セラミック焼結体の緻密性を向上させることができる。また、ソルビタン脂肪酸エステルは、成形後の離型性も向上させることができる。
特に、グリセリンおよびソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、1次原料である炭化珪素粉末100質量%に対して8質量%以上12質量%以下であることが好適である。グリセリ
ンおよびソルビタン脂肪酸エステルの含有量がこの範囲である場合には、セラミックス顆粒全体の潰れ性を向上させることができ、セラミック焼結体の緻密性を向上させことができるとともに、脱脂しやすい含有量であるため、グリセリンおよびソルビタン脂肪酸エステルの残留に起因するクラックや気孔が生じるおそれを少なくすることができる。
また、本実施形態のセラミックス顆粒は、表面が開口部を有し、開口部の開口径が1μm以上5μm以下であることが好適である。これは、本実施形態のセラミックス顆粒を用いて成形する際、開口径が1μm以上5μm以下であることにより、顆粒が潰れやすいことで成形性が向上し、加えて、開口部に含まれる空気の量が少ないことから、相対密度の高い成形体を得ることができる。そして、成形体の相対密度が高いことにより、緻密質なセラミック焼結体とすることができる。なお、開口部の開口径は、走査型電子顕微鏡を用い、例えば、1000〜2000倍の倍率で、反射電子像を撮影し、この反射電子像で観察される開口径の平均値を求めればよい。
また、本実施形態のセラミックス顆粒によれば、セラミックス顆粒に含まれる不可避不純物のうち、特に、カルシウムが多く含まれると、成形体の相対密度が低下しやすくなる。このような観点から、カルシウムの含有量は、セラミックス顆粒100質量%に対して、0.1質量%以下、特に0.05質量%以下であることが好適である。
次に、本実施形態のセラミック焼結体およびこのセラミック焼結体を流体に接触する部位として備える流路部材について説明する。
本実施形態のセラミック焼結体は、本実施形態のセラミックス顆粒を用いて成るものである。上述したように、本実施形態のセラミックス顆粒を用いれば、相対密度の高い成形体が得られることから、これを焼結することにより、95%以上の相対密度の緻密質なセラミック焼結体と成る。
そして、本実施形態のセラミック焼結体は、緻密質であることから伝熱特性に優れている。そのため、流体に接触する部位として本実施形態のセラミック焼結体を備えれば、流路に流れる流体の熱を効率よく伝えることができる流路部材と成る。なお、この流路部材とは、流体の流れる流路を備える部材であり、例えば、流路が、蓋体部(流路上面)、側壁部(流路側面)および底板部(流路下面)で構成されているときは、蓋体部、側壁部および底板部のいずれも流体の接触する部位にあたる。
次に、本実施形態のセラミックス顆粒およびこのセラミックス顆粒を用いて成形し焼結して成るセラミック焼結体の製造方法の一例を説明する。
まず、炭化珪素を主成分とするセラミックス顆粒を得るには、1次原料として主成分と
なる炭化珪素粉末を用意する。なお、以下の記載において、1次原料の炭化珪素粉末の粒径と、セラミックス顆粒の粒径との差異を明確にするために、セラミックス顆粒の粒径を、D10,D50と表すのに対し、1次原料の炭化珪素粉末の粒径については、累積分布曲線における累積10質量%および累積50質量%の各粒径をd10,d50と表す。
そして、焼結助剤として炭化硼素粉末と、カーボン源としてリグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩と、水と、分散剤とを加え、ボールミル、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等を用いて、混合・粉砕してスラリー化する。次に、このスラリーに、成形助剤として、グリセリンおよびソルビタン脂肪酸エステルを添加し混合した後、噴霧部の機構が回転円板方式である噴霧乾燥装置を用いて造粒することにより炭化珪素を主成分とするセラミックス顆粒を得ることができる。
なお、噴霧乾燥の前にASTM E11−61に記載されている粒度番号が200のメッシュ
またはこのメッシュより細かいメッシュの篩いに通すことによって、粗大な不純物やゴミを除去し、さらに磁力を用いた除鉄機で除鉄するなどの方法で、鉄およびその化合物を除去することが好適である。
ここで、セラミックス顆粒のD10および比率Rは、炭化珪素粉末の粒径や、回転円板の直径および回転数によって調整することができる。D10が10μm以上25μm以下であり、比率Rが0.16以上0.29以下であるセラミックス顆粒を得るには、d10が0.01μmm以上0.2μm以下、d50が0.4μm以上1.6μm以下の炭化珪素粉末を用い、直径が100mmの回転円板における回転数を4000rpm以上8000rpm以下とすればよい。また、
比率Rが0.224以上0.270以下であるセラミックス顆粒を得るには、回転円板の回転数を5500rpm以上7500rpm以下とすればよい。
また、セラミックス顆粒の比率Rが0.59以上0.61以下であるセラミックス顆粒を得るには、回転円板の回転数が5500rpmを超えて7500rpm未満とすればよい。また、比率Rが0.592以上0.598以下であるセラミックス顆粒を得るには、炭化珪素粉末のd50を0.75μm以上1.25μm以下とし、回転円板の回転数が5500rpmを超えて7500rpm未満とすればよい。
また、焼結助剤である炭化硼素粉末の添加量は、炭化珪素粉末100質量%に対して、例
えば、0.12質量%以上1.4質量%以下であり、カーボン源の添加量は、例えば、炭化珪素
粉末100質量%に対して、リグニンスルホン酸塩の粉末が0.2質量%以上2質量%以下であり、リグニンカルボン酸塩の粉末が1質量%以上10質量%以下である。また、成形助剤の添加量は、例えば、炭化珪素粉末100質量%に対して、5質量%以上15質量%以下である
。また、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩の塩は、リチウム、ナトリウムおよびアンモニウムの少なくとも1種であることが好適である。
また、セラミックス顆粒の表面や内部において、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩における官能基の存在量は、スラリー粘度の影響を受けやすい。スラリー粘度が低いときには、界面活性力の高いリグニンがセラミックス顆粒の表面に移動しやすくなる。そのため、リグニンスルホン酸塩およびリグニンカルボン酸塩における官能基が内部よりも表面に多く含まれているセラミックス顆粒を得るには、スラリー粘度を0.01Pa・s以上0.15Pa・s以下とすればよい。
また、セラミックス顆粒の表面における開口部の開口径もスラリー粘度の影響を受けやすい。スラリー粘度が低ければ開口径は小さくなり、スラリー粘度が高ければ開口径は大きくなる。そのため、開口部の開口径が1μm以上5μm以下であるセラミックス顆粒を得るには、スラリー粘度を、例えば、0.03Pa・s以上0.12Pa・s以下とすればよい。
そして、得られたセラミックス顆粒を用いて粉末加圧法、粉末圧延法または冷間等方圧加圧法によって加圧成形することにより、相対密度の高い成形体を得ることができる。なお、本実施形態のセラミックス顆粒は、潰れ性のよいものであることから、特に、粉末圧延法に適している。次に、この成形体を、例えば窒素雰囲気中において、10〜40時間かけて450〜650℃まで昇温して2〜10時間保持した後、自然冷却して脱脂する。さらに、不活性ガス雰囲気において、1800〜2200℃まで昇温し、1〜10時間保持することによって、相対密度が95%以上の本実施形態のセラミック焼結体を得ることができる。なお、不活性ガスについては特に限定されるものではないが、入手や取り扱いが容易であることから、アルゴンを用いることが好適である。
また、得られた本実施形態のセラミック焼結体について、緻密性をより向上させるために、高圧GPS(Gas Pressure Sintering)法や熱間等方加圧(HIP:hot isostatic press)法によって処理してもよい。この処理によって、相対密度を99%以上にすること
ができる。また、必要に応じてホットプレス法やSPS(Spark Plasma Sintering)法のように機械的圧力を加える方法で焼成してもよい。
次に、本実施形態のセラミック焼結体を流体に接触する部位として備える流路部材の作製方法の一例としては、本実施形態のセラミックス顆粒を用いて、成形して焼結することで、蓋体部と側壁部と底板部とを別々に作製し、これらを接合することにより、蓋体部が流路上面となり、側壁部が流路側面となり、底板部が流路下面となる、流路が形成された流路部材を得ることができる。なお、蓋体部、側壁部および底板部全てが本実施形態のセラミック焼結体からなるものでなくてもよく、流体が持つ熱を効率よく伝えるべき部位として本実施形態のセラミック焼結体を備えればよい。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
まず、d10およびd50がそれぞれ表1に示す値の1次原料である炭化珪素粉末と、焼結助剤として炭化硼素粉末1質量%と、カーボン源としてリグニンスルホン酸塩の粉末1質量%およびリグニンカルボン酸塩の粉末4質量%と、水と、分散剤とを加え、ボールミルで混合・粉砕してスラリー化した。次に、このスラリーに、成形助剤としてグリセリン10質量%を添加して混合した後、噴霧乾燥の前にASTM E11−61に記載されている粒度番号が200のメッシュの篩いに通すことによって、粗大な不純物やゴミを除去した。
そして、噴霧部の機構が回転円板方式であり、直径が100mmの回転円板を備える噴霧
乾燥装置を用いて造粒することにより、セラミックス顆粒を得た。なお、各試料における回転円板の回転数は表1に示す通りとした。
ここで、得られたセラミックス顆粒のD10,D50,D90をJIS R 1639−1:1999に記載されているレーザ回折・散乱法に準拠して測定し、これらの値と比率R
比率Rを表1に示した。
次に、得られたセラミックス顆粒を粉末加圧圧延法によって加圧成形することにより、シート状の成形体を得た。そして、得られた成形体の相対密度を表1に示した。
相対密度の算出に当たっては、まず、CuKα線を用いたX線回折法で成形体を構成する成分を同定し、SiC,BCであることを確認した。次に、ICP発光分光分析装置(島津製作所製:ICPS−8100)を用いてSiおよびBの各含有量を測定し、それぞれ
SiCおよびBCに換算した。また、炭素分析装置を用いて単独で存在するCの含有量を測定した。そして、SiCの含有量(a質量%)、BCの含有量(b質量%)、Cの含有量(c質量%)と、SiC,BC,Cのそれぞれの理論密度の値(SiC=3.21g/cm、BC=2.52g/cm、C=2.26g/cm)を用いて、以下の式(1)により成形体の理論密度(T.D)を求めた。
T.D=1/(0.01×(a/3.21+b/4.50+c/2.26))・・・(1)
そして、成形体のかさ密度を式(1)で求めた理論密度(T.D)で除して百分率で表した値を相対密度とした。
Figure 0005937507
表1に示すように、試料No.2,4〜14,16は、試料No.1,3,15よりも成形体の相対密度が高くなっており、炭化珪素を主成分としてなり、D10が10μm以上25μm以下であり、比率Rが0.16以上0.29以下であるセラミックス顆粒を用いることにより、相対密度の高い成形体が得られることがわかった。
また、D10が略同じである試料No.4〜14を比べると、試料No.5〜13は、試料No.4,14よりも成形体の相対密度が高くなっており、好適な比率Rは、0.224以上0.270以下であることがわかった。
また、比率Rが同じである試料No.6〜12を比べると、試料No.7〜11は、試料No.6,12よりも成形体の相対密度が高くなっており、好適な比率Rは、0.59以上0.61以下であることがわかった。さらに好適な比率Rの範囲は、0.592以上0.598以下であ
ることがわかった。
なお、各試料における成形体を焼成して焼結体とした後、相対密度を確認したところ、成形体の相対密度と相関があることが確認された。結果、炭化珪素を主成分としてなり、累積分布曲線における累積10質量%の粒径であるD10が10μm以上25μm以下であり、累積90質量%の粒径であるD90に対するD10の比率が0.16以上0.29以下であるセラミックス顆粒を用いることにより、緻密質な焼結体が得られることがわかった。
また、本実施形態のセラミックス顆粒を用いて焼結して成るセラミック焼結体は、緻密質であることから、流体に接触する部位に備えることで、伝熱特性に優れた流路部材とできることがわかった。

Claims (4)

  1. 炭化珪素を主成分としてなり、累積分布曲線における累積10質量%の粒径であるD10が10μm以上25μm以下であり、累積90質量%の粒径であるD90に対する前記D10の比率が0.16以上0.29以下であることを特徴とするセラミックス顆粒。
  2. 累積50質量%の粒径であるD50に対する前記D10の比率が0.59以上0.61以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス顆粒。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセラミックス顆粒を用いて成ることを特徴とするセラミック焼結体。
  4. 請求項3に記載のセラミック焼結体を流体に接触する部位として備えることを特徴とする流路部材。
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