JP5936873B2 - 酸化皮膜を介して溶接される用途用のアルミニウム材、ならびに、当該溶接用途用のアルミニウム材同士を用いた溶接構造体。 - Google Patents
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本発明に用いるアルミニウム材としては、純アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられる。アルミニウム合金の成分には特に制限は無く、JISに規定される合金をはじめとする各種合金を使用することができる。形状としては、主として熱間圧延及び冷間圧延により製造される平板状や、主として押出加工や引抜加工により製造される各種の型形状(棒状、筒状など)を用いることができる。平板材及び型材の形状や寸法は、溶接用途に応じて適宜選択される。
本発明に用いるアルミニウム材の表面の少なくとも一方には、アルミニウム素地と直接密着して形成されたバリア型アルミニウム酸化皮膜層と、アルミニウム素地と反対側においてバリア型アルミニウム酸化皮膜層に一体的に形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜層とが設けられている。すなわち、アルミニウム材表面には、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の二層によって構成される酸化皮膜が設けられている。
本発明の多孔性アルミニウム酸化皮膜層は、電気溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等種々の溶接方法を採用することができ、上述したように導電性が高いため、特に電気溶接に有利で、特にアーク溶接等に有利である。特定の小孔を有する多孔性のため酸化アルミニウムとして存在する部分の絶対量が少なく、溶接ビード中に残留しても溶接強度に悪影響を及ぼすことがない上、多孔性による表面積増大効果によって塗装等の溶接後の後加工にもぬれ性が良好で高い密着性及び接着性を発揮する。
バリア型アルミニウム酸化皮膜層は、多孔性アルミニウム酸化皮膜層と比較して単位厚さ当たりの導電率は低い。しかしながら、バリア型アルミニウム酸化皮膜層は非常に薄く、特に多孔性アルミニウム酸化皮膜層より薄い場合には、厚さ全体で比較すれば多孔性アルミニウム酸化皮膜層より導電性が高く、特に電気溶接に有利に対応させることができる。また、厚さが薄いために酸化アルミニウム部分の絶対量が少なく、溶接ビード中に残留しても溶接強度に悪影響を及ぼすことがない。更に、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とアルミニウム素地との間に介在層として存在するので十分強固な結合力を付与し、溶接構造体とした場合であっても高い密着性及び接着性を発揮する。
以上に述べた本発明の酸化皮膜(多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層)は、その構造的特性によって適度な導電性を示すことから、特に電気溶接を行う場合に好適に対応し得る。溶接工程においては、溶接箇所の酸化皮膜の部分は適度に通電されることで酸化皮膜が破壊されつつアルミニウム素地が溶解して一体化する。また、この酸化皮膜は薄く溶接部分に対しては比較的少量であるので、仮に溶接後のビード中に残留しても溶接強度に悪影響を及ぼすことがない。
本発明においてはアルミニウム材同士の溶接構造体の表面に、既存技術に基づいて各種塗料を塗装して塗膜を形成することにより、或いは、既存技術に基づいて樹脂フィルムを例えば接着剤を用いて積層することにより、溶接構造体に耐食性と意匠性を付与することができる。また、このような塗膜や樹脂フィルムを溶接構造体の特定部位に設けることにより、その部分の特性を選択的に高めることもでき、例えば、絶縁性フィルムを接着することにより、アルミニウム溶接構造体に対して、絶縁性を付与できる。
以上のような、適度な厚さ及び構造の多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層を有するアルミニウム酸化皮膜を備えたアルミニウム材を製造するための一つの方法として、酸化皮膜を形成するアルミニウム材を一の電極とし、対電極とを用い、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm2及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理することにより、アルミニウム材表面に酸化皮膜を形成する方法を挙げることができる。
実施例1〜15及び比較例1〜12
アルミニウム材として、縦200mm×横400mm×板厚1.0mmのJIS5052−H34合金板を使用した。このアルミニウム合金板を一方の電極に用い、対電極には縦300mm×横500mm×板厚2.0mmの平板形状を有する黒鉛板又はチタン板を用いた。アルミニウム合金板の片面を対電極に対面させ、この対面した片面表層に、表面側の多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側のバリア型アルミニウム酸化皮膜層が形成されるように、両電極を配置した。ピロりん酸ナトリウムを主成分とするアルカリ水溶液を、電解溶液として用いた。電解溶液のアルカリ成分濃度は、0.5モル/リットルとするとともに、塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液(いずれも濃度0.1モル/リットル)によってpHの調整を行なった。表1に示す電解条件にて、交流電解処理を実施して多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層を形成した。
なお、比較例11と12では、従来技術に基づく硫酸アルマイト処理を行ない2.0μm厚の酸化皮膜を形成し、酢酸ニッケル法による封孔処理を施した。
各実施例及び比較例では供試材を2枚用意し、これら供試材同士をTIG溶接(重ね継手・隅肉継手とも、電流30A、溶接速度15cm/分、アルゴンガス流量7L/分、溶加材A5183)、スポット溶接(加圧力2.0kN、溶接サイクル8回、電流20000A)、ならびに、レーザー溶接(定格出力5kWのCW−CO2レーザーを使用し、出力4kWにて溶接)し、その溶接状態を、溶接部断面観察によるナゲット形成良否にて下記基準で評価した。○を合格とし×を不合格とし、結果を表3に示す。
○:母材とナゲットの間に空隙が存在せずナゲット形成が良好
×:母材とナゲットの間に空隙が存在しナゲット形成が不良
上記供試材の実施例1〜11及び13〜15、ならびに、比較例1〜11では、上記供試材の表面に大日本塗料(株)製「Vフロン#2000」を塗布しこれを乾燥して(160℃、20分)、30μmの厚さの樹脂塗膜を形成した試験片を作製した。一方、実施例12及び比較例12では、片面にアクリル糊が塗布されたポリ塩化ビニルフィルム(厚さ0.2mm)を上記供試材の表面に貼り付けて積層した試験片を作製した。
一次評価及び二次評価において、残存マス数が共に100個の場合を密着性/接着性の評価が合格とし、100個未満の場合を不合格とした。残存したマス数を表3に示す。
なお、実施例12及び比較例12に対しては、アクリル糊がレトルト中に溶出するため二次評価は行なわなかった。
2・・・酸化皮膜
3・・・多孔性アルミニウム酸化皮膜層
31・・・小孔
4・・・バリア型アルミニウム酸化皮膜層
5・・・素地
Claims (3)
- 表面に酸化皮膜が形成されたアルミニウム材であって、前記酸化皮膜は表面側に形成された厚さ20〜500nmの多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成された厚さ3〜30nmのバリア型アルミニウム酸化皮膜層とから成り、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層には直径5〜30nmの小孔が形成されていることを特徴とし、アルミニウム材同士が前記酸化皮膜を介して溶接される用途用のアルミニウム材。
- 請求項1に記載の溶接用途用のアルミニウム材同士が溶接されたものであることを特徴とするアルミニウム材同士の溶接構造体。
- 酸化皮膜の表面に更に樹脂塗料を用いた塗膜を形成した、又は樹脂フィルムを積層した、請求項2に記載のアルミニウム材同士の溶接構造体。
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