JP5545707B2 - アルミニウム基板及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、表面処理を施したアルミニウム基板に関し、詳細には、片面のみに密着性酸化皮膜を有する、塗装板、接着用板及びラミネート板として用いられる樹脂密着性に優れたアルミニウム基板に関する。
アルミニウム板又はアルミニウム合金板(以下、「アルミニウム基板」と記す)は、軽量で適度な機械的特性を有し、かつ、美感、成形加工性、耐食性等に優れた特徴を有しているため、各種容器類、構造材、機械部品等に広く使われている。
近年、アルミニウム基板の持つ高い熱伝導性に注目し、プリント配線基板としての用途が急速に増加している。すなわち、近年の電気・電子機器の小型化、軽量化に伴い、プリント配線基板には従来以上の多層化、高集積化及び高密度化が要求されるようになっている。そして、従来の絶縁体を用いた基板では、高密度に実装された電子部品から発する熱を放散しきれず、回路の不安定化を招く。これに対し、熱伝導性に優れたアルミニウム基板を基板として採用することにより、基板自身による電子部品の冷却が可能となり、回路全体の性能を向上させることができる。
一般にアルミニウム基板を用いたプリント配線基板は、アルミニウム基板に銅箔等の金属箔を貼り付けて作られる。その際、接着剤としてエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等が用いられるのであるが、これらの樹脂とアルミニウム基板表面の密着性を向上させるために有効な手法として、アルミニウム基板をアルカリ浴中で交流電解処理し、その表面に密着性の酸化皮膜を形成させる方法が提案されている。
例えば特許文献1には、貫通孔を設けたアルミニウム基板を浴温40〜90℃のアルカリ性溶液を用いて電気量80〜250C/dmにて交流波形により8〜30秒間の電解処理し、貫通孔に樹脂を充填して孔埋めした後、このアルミニウム基板に回路体を積層する方法が示されている。
また特許文献2には、アルミニウム又はアルミニウム合金板に中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜5μmとなるように粗面化処理を施し、更にpH9〜13、浴温35〜85℃のアルカリ性水溶液中で電流密度4〜50A/dmにて、電気量が80C/dmを超えることとなる時間、交流電解処理を行い、膜厚500〜5000Åの酸化皮膜を形成することを特徴とするプリント配線用基板の製造方法が示されている。
特開平09−18140号公報 特許2630858号公報
しかし、上記のような従来技術には、以下のような問題があった。
すなわち従来技術においては、アルミニウム基板に直接結線して電解処理を行うことから、アルミニウム基板自体が電極となる。このため、密着性の酸化皮膜は、アルミニウム基板が電解液に触れている領域全体、すなわち板の両面に生成する。
一方、プリント配線基板の一部においては、アルミニウム基板の一方の面のみに銅箔を貼り合せる一方、他方の面はアルミニウム素地のままとする製品がある。このような製品においては、回路形成のための銅箔エッチング工程におけるアルミニウム基板の保護目的、及び搬送時等におけるアルミニウム素地へのキズ付き防止のため、銅箔貼り合せ工程に先立ち、アルミニウム基板の裏面に一旦マスキングフィルムが貼られる。マスキングフィルムは一般に、塩化ビニル系樹脂等から構成されるフィルムと、再剥離が容易なように接着力の低いアクリル系樹脂等の接着剤から構成されるが、この際、従来技術のようにアルミニウム基板の両面に密着性の酸化皮膜が形成されていると、一時的に貼っただけのマスキングフィルムまで強固に粘着してしまい、場合によってはマスキングフィルムを剥離する際に接着剤がアルミニウム基板裏面に残存する等、作業工程に支障をきたしていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、従来技術に基づく密着性の酸化皮膜の性能を損なうことなく、かつ、それを特定の面のみに形成させたアルミニウム基材、ならびにその製造方法を見出し本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、両面に酸化皮膜を備えたアルミニウム基板であって、一方の面の酸化皮膜は10〜500nmの全体厚さを有する密着性酸化皮膜であり、アルミニウム素地側のバリア層と表面側のポア構造とを備え、当該ポア構造は内部に分岐した直径5〜30nmの小孔を有し、他方の面の酸化皮膜は、(1)10nm未満又は500nmを超える厚さであること;(2)ポア構造を有していないこと;(3)ポア構造を有していても分岐構造を有していないこと;(4)ポア構造を有しており、かつ、分岐構造を有していても、小孔の直径が5nm未満又は30nmを超えること;のいずれかを満たす剥離性酸化皮膜であり、当該剥離性酸化皮膜にマスキングフィルム(フィルム基材:塩化ビニル系樹脂、接着剤:アクリル系樹脂)を貼ってホットプレスにて165℃×90分の加熱圧着を行い、前記マスキングフィルムを手で剥がした際に、アルミニウム基板の接着剤塗布面積に対するアルミニウ基板に残存した接着剤の占有面積割合が5%以下であることを特徴とするアルミニウム基板とした。
更に本発明は、剥離性酸化皮膜が、ポア構造を有しておらず厚さが9nm以上であるものとした。また、本発明は、剥離性酸化皮膜の厚さが9〜19nmであるものとした。
本発明は請求項において、対向する一対の電極板間に、両電極板と結線しないアルミニウム基板をその基板面が両電極板面と平行になるように配設し、pH9〜13で温度35〜85℃のアルカリ性水溶液の電解液中で、一方の電極板の電位に対して、他方の電極板の電位をそれ以上にして20〜100Hzの周期で変化させ、最高電流密度4〜50A/dmで、5〜60秒間電解処理するアルミニウム基板の製造方法とした。
また本発明は請求項において、電位の周期的変化を正弦波、矩形波、台形波及び三角波から成る群から選択される少なくとも一種とし、最低電流密度を示す時間を1周期の中の80%以下とした。更に本発明は請求項において、前記最高電流密度と最低電流密度との差を2A/dm以上とした。
本発明によって、一方の面にポア構造を有する密着性の酸化皮膜を備え、他の面には剥離性の酸化皮膜を備えるアルミニウム基板、ならびに、その製造方法を提供できる。
本発明に係るアルミニウム基板の構造を示す模式図である。 本発明に係るアルミニウム基板の電解装置を示す正面図である。 本発明に係るアルミニウム基板の電解装置を示す平面図である。 従来のアルミニウム基板の電解装置を示す正面図である。
以下、本発明の詳細を順に説明する。
A.アルミニウム基板表面の密着性酸化皮膜構造について
本発明に係るアルミニウム基板の一方の面には、密着性の酸化皮膜が形成される。本発明において「密着性」とは、例えば、後述する耐熱密着性評価において、剥離面積率が25%以下となる性能を言うものとする。この酸化皮膜の厚さは、10〜500nmである。皮膜厚さが10nm未満では、後述するポア構造の厚さが十分でないことから樹脂密着性が不足する。皮膜厚さが500nmを超えると、酸化膜自体が凝集破壊を生じ易くなり樹脂密着性が低下する。
図1に示すように、密着性の酸化皮膜1は、アルミニウム素地2の側のバリア層3と表面側のポア構造4とから構成される。バリア層とは、3〜30nmの緻密な酸化皮膜の層である。このバリア層はアルミニウム素地に耐食性を付与すると共に、バリア層を介してアルミニウム素地とポア構造の強固な結合を付与する。酸化皮膜表面には、直径5〜30nmの小孔41から成るポア構造4が形成される。ポア構造4とは、酸化皮膜1の表面全体にわたって形成された小孔から成る構造を指す。この構造は、酸化皮膜上に樹脂層等を形成する際に両者の間に介在させる接着剤と酸化皮膜との接触面積を増大させ、酸化皮膜と樹脂層等との密着性を増大させるために重要なものである。小孔の直径が5nm未満では、接着剤等との接触面積が確保されず樹脂密着性が低下する。一方、30nmを超えると、酸化皮膜自身の強度が失われることによる凝集破壊が発生し易くなり、これまた樹脂密着性が低下する。
ポア構造4は、酸化皮膜の表面全体にわたって広がり、かつ、深さ方向においてバリア層3に達する。ポア構造4は深さ方向において分岐した構造を有する。図1において、分岐点を5で示す。これは、ポア構造4がその内部で分岐していることにより、接着剤等と酸化皮膜との接触面積が増大するとともに、一種のアンカー効果を発揮させるためである。具体的には、酸化皮膜1が形成・成長する過程において、ポア構造4が必ずしも深さ方向に垂直に形成されず、さまざまな方向に向かって形成された結果、小孔同士が合流して分岐構造をなすものである。分岐点5は、酸化皮膜最表面から5nmより深い領域に形成された場合において、密着性に特に有効である。一般にアルマイト処理と呼ばれる通常の陽極酸化皮膜におけるポア構造は、深さ方向に真っ直ぐ形成されるのみであり、分岐構造を有しない点において本発明と大きく相違する。
なお、酸化皮膜表面におけるポア構造4の小孔41の面積に特に制限はないものの、酸化皮膜表面の見かけ上の面積(表面の微小な凹凸等を考慮せず、長さと幅の乗算で表される面積)に対して25〜75%が好ましい。また、ポア構造の酸化皮膜表面からの深さについては、酸化皮膜の全体厚さの50%以上であるのが好ましい。
B.アルミニウム基板表面の剥離性酸化皮膜構造について
上記密着性酸化皮膜が形成されるのとは反対側のアルミニウム基板表面には、剥離性の酸化皮膜が形成される。本発明において「剥離性」とは、例えばマスキングフィルムを手で剥がした際に、手で簡単に剥がれる性能を言うものとする。この酸化皮膜を低密着性とするには、上記密着性酸化皮膜の特徴のいずれか一つ以上を満たさなければよい。すなわち、(1)10nm未満又は500nmを超える厚さであること;(2)ポア構造を有していないこと;(3)ポア構造を有していても分岐構造を有していないこと、(4)ポア構造を有しており、かつ、分岐構造を有していても、小孔の直径が5nm未満又は30nmを超えること;のいずれかを満たせば達成されるものである。ポア構造を有していない場合には、仮接着可能な剥離性に特に優れる。なお、上記(2)〜(4)は重複して成立することはないが、(1)と(2)、(1)と(3)、(1)と(4)は、重複して成立する場合がある。
C.アルミニウム基板の製造方法について
本発明に係るアルミニウム基板は、上述のような所定のポア構造を有するものであるが、以下のような製造方法によって製造される。すなわち、対向する一対の電極板間に、両電極板と結線しないアルミニウム基板をその基板面が両電極板面と平行になるように配設し、pH9〜13で温度35〜85℃のアルカリ性水溶液の電解液中で、一方の電極板の電位に対して他方の電極板の電位をそれ以上にして20〜100Hzの周期で変化させ、最高電流密度4〜50A/dmで、5〜60秒間電解処理する方法を挙げることができる。
従来、各種アルマイト処理に代表される電解処理では図4に示すような装置が用いられる。被処理アルミニウム基材板を一方の電極6とし、対極7との間を直接通電する方法である。図中8は交流電源であり、9は電解液である。これに対し本発明は、図2、3に示すように、被処理材であるアルミニウム基板6には結線せず、従ってアルミニウム基板自体に積極的に電流を流すものではない。代わりに、対向する一対の電極板7、10を用意し、アルミニウム基板6の基板面61を両電極板7、10の電極板面71、101と平行になるようにアルミニウム基板6を配設する。これにより、両電極板7、10間に流れる電流の向きに対してアルミニウム基板面61が垂直になることで、アルミニウム基板表面に間接的に電荷を供給する。この際、アルミニウム基板面61が電流の向きに垂直でない場合には、処理されるアルミニウム基板6の表面が、電極板間7、10を流れる電流に十分にさらされず、間接的な電荷供給が行われないので、目的とする酸化皮膜が形成されない。なお、図2において、一方の電極板7は11で接地(アース)または関数発生器等に接続される。他方の電極板10には、一方の電極板の電位以上において20〜100Hzの周期で変化させた電位が印加される。このような配置に加え、後述する電気分解条件を満たすことにより、アルミニウム基板の一方の面のみに密着性の酸化皮膜を形成させることができるものである。
電解液として用いるアルカリ性水溶液としては、りん酸ナトリウム、りん酸水素カリウム、ピロりん酸ナトリウム、ピロりん酸カリウム及びメタりん酸ナトリウム等のりん酸塩の水溶液;水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液;水酸化アンモニウム水溶液;ならびに、これらの混合物;が挙げられる。後述するように電解液のpHを特定範囲に保つ必要があることから、バッファー効果が得られるりん酸塩の水溶液が好ましい。なお、アルカリ水溶液には、汚れ除去能力の向上のために界面活性剤を加えてもよい。電解液中における電解質濃度は、所望の電解液抵抗となるように適宜選択されるが、通常、0.01〜0.5モル/リットルである。
電解液のpHは9〜13であり、好ましくは9.5〜12である。pHが9未満では電解液のアルカリエッチング力が弱いため、酸化皮膜が不定形皮膜となり所定のポア構造及びバリア層の形成が不完全になる。一方、pHが13を超えると、アルカリエッチング力が過剰になるため酸化皮膜が成長し難く、所定のポア構造及びバリア層の形成も阻害される。
電解液温度は35〜85℃であり、好ましくは40〜70℃である。電解液温度が35℃未満の場合、アルカリエッチング力が不足するため酸化皮膜の所定のポア構造及びバリア層の形成が不完全になり、85℃を超えるとアルカリエッチング力が過剰になるため酸化皮膜が成長し難く、所定のポア構造及びバリア層の形成も阻害される。
本発明の電解処理においては、所定のポア構造を有する酸化皮膜はアルミニウム基板の一方の面のみに形成させる必要がある。そして酸化皮膜の厚さは電気量、すなわち電流密度と電解時間の積によって制御され、基本的に電気量が多いほど酸化皮膜全体の厚さが増す。また、所定のポア構造は、適切な周波数の電流を通電することにより形成される。従って、電解処理条件は以下の通りとする必要がある。
まず、電解処理の電位は、一方の電極板の電位に対して、他方の電極板の電位をそれ以上にして周期的に変化させる必要がある。これは例えば、一方の電極板を接地(アース)するとともに、他方の電極板に対して周期的に変化するプラスの電位を付加することにより達成される。このような電位付加により、両電極板間には、流れる向きは一方向のみで、かつ、周期的に量が変化する電流が流れることになる。この両電極板間にアルミニウム基板をさらすことで、電位の高い側のアルミニウム基板表面のみに電荷が供給され、その面に密着性の酸化皮膜が形成される。電極板間電位において、片方がマイナス、片方がプラスになるような周期的変化、例えば両電極板間に交流電圧を加えた場合などは、電流の向きが定期的に逆転するため、アルミニウム基板の両面に均等に電荷が供給され、結果として両面に密着性の酸化皮膜が形成されてしまう。
電位を変化させる周期は、20〜100Hzである。20Hz未満では電解処理としては直流的要素が高まる結果、ポア構造の小孔の直径が5nm未満と小さくなり過ぎる。一方、100Hzを超えると、電流の変化が速すぎるために粗大なポアが形成されるため、30nm以下の小孔直径が達成されない。一周期内であれば、波形、最小電圧、最大電圧が任意に変化してもよい。
アルミニウム基板における電流密度は、電流の周期的変化における最高値が4〜50A/dmとする必要がある。アルミニウム基板における電流密度とは、電流値を電流が通るアルミニウム基板の面積で割ったものである。この電流密度が周期的変化中において4A/dmに達しない場合、皮膜形成反応が不完全になり所定のポア構造が得られない。一方、最高電流密度が50A/dmを超えると、電流密度が過大になるため酸化皮膜形状の制御が困難となり、所定のポア構造が安定して得られない。なお、電流密度を制御するためには、電源電圧、電極板間距離、電極板面積、電解液抵抗などの種々の因子があるが、技術的常識として電源電圧を制御するのが最も容易で確実である。
電解時間は5〜60秒である。5秒未満の処理時間では、酸化皮膜の形成が急激過ぎるため、所定のポア構造が十分に形成されず不定形のアルミニウム酸化物から構成される酸化皮膜となるためである。一方、60秒を超えると、酸化皮膜が再溶解して所定のポア構造が得られず、生産性も低下するため好ましくない。
周期的に電圧を変化させるには、関数発生器(ファンクションジェネレータ)等が用いられる。良好な酸化皮膜を得るには、関数発生器により容易に得られる波形として、例えば正弦波、矩形波、台形波ならびに三角波などを用いることが挙げられる。
更に一周期の電流密度において、最高電流密度と最低電流密度との差が2A/dm以上であれば、電流を周期的に変化させる効果が十分に発揮され、更に安定して密着性酸化膜を形成することができる。
なお、本発明における酸化皮膜の構造を確認するためには、その断面を約5万〜10万倍に拡大して観察する必要があるが、その目的のためには断面TEM観察が好適に用いられる。断面TEM観察は、観察対象物をウルトラミクロトーム等で薄片に加工することにより実施される。
本発明で用いるアルミニウム基板の材質としては、純アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、要求特性に応じて適宜選択することができる。アルミニウム合金としては、特に1000系、3000系、5000系および6000系等が好適に用いられる。アルミニウム基板は、通常0.1〜2.0mmの厚さのアルミニウム板が好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する
実施例1〜19及び比較例1〜13
アルミニウム基板として、縦100mm×横100mm×板厚1.0mmのJIS5052合金板を使用した。対向する一対の電極板間において、これらと結線しないようにアルミニウム基板をその基板面が両電極板面と平行になるように配設して電解処理した。電解液には、表1に示すpHと温度を有するピロりん酸ナトリウムを主成分とするアルカリ性水溶液を用いた。アルカリ性水溶液の電解質濃度は、0.05モル/リットルとした。また両電極には黒鉛板を用いた。
Figure 0005545707
表2に示す電解条件にて電解処理を実施した。一方の電極電位を常に0V一定とし、他方の電極では電位を0V以上の範囲で周期的に変化させた。表2に示す「電位(V)」、「周期(Hz)」、「波形」は、この他方の電極への印加特性である。他方の電極板に面したアルミニウム基板面を「オモテ面」、電位が常に0Vである電極板に面したアルミニウム基板面を「ウラ面」とした。但し、比較例1においては、一対の電極間に試料であるアルミニウム基板を配設せず、電位が0V以上の範囲で周期的に変化する電極としてアルミニウム基板を用い、常に0V一定とした黒鉛板をこの対極として用いた。そして、このアルミニウム基板のうち対極に面した面を「オモテ面」とし、その反対側を「ウラ面」とした。また、比較例2においては、「オモテ面」と「ウラ面」の区別を設けていない。
Figure 0005545707
このようにして電解処理したアルミニウム基板のオモテ面とウラ面を断面TEMで観察し、酸化皮膜の厚さ、小孔径、分岐構造の有無を調べた。結果を表3に示す。なお、表3において、オモテ面及びウラ面の小孔径に関して「なし」とは、ポア構造が形成されなかったことを意味する。
Figure 0005545707
上記電解処理を行ったアルミニウム基板に対し、まずウラ面にマスキングフィルム(フィルム基材:塩化ビニル系樹脂、接着剤:アクリル系樹脂)を貼り、次にオモテ面にエポキシ系樹脂接着剤を20μmの厚さに塗布し、その上に厚さ35μmの電解銅箔を積層した後、ホットプレスにて165℃×90分の加熱圧着を行うことにより、プリント配線基板サンプルを作製した。
このようにして作製したサンプルに対し、以下の評価を実施した。
(耐熱密着性試験)
上記のサンプルを55mm×25mmの大きさに切断し、オートクレーブ中にて121℃×16時間吸湿処理した。次いで、260℃の溶融はんだ浴上に30秒間フロートし、銅箔が剥離した面積率により、樹脂に対するアルミニウム基板の耐熱密着性を評価した。判定基準は以下の通りである。
◎:剥離面積率0%
○:剥離面積率0%を超えて10%以下
△:剥離面積率10%を超えて25%以下
×:剥離面積率25%を超えて50%以下
××:剥離面積率50%を超える
(マスキングフィルム除去性試験)
サンプルのウラ面に貼り付けられたままになっているマスキングフィルムを手で剥がし、アルミニウム基板の接着剤塗布面積に対するアルミニウ基板に残存した接着剤の占有面積割合を測定した。判定基準は以下の通りである。
○:残存する接着剤の占有面積割合が5%以下
×:残存する接着剤の占有面積割合が5%を上回る
耐熱密着性及びマスキングフィルム除去性の総合評価は、以下の通りである。
◎:耐熱密着性が◎で、マスキングフィルム除去性が○
○:耐熱密着性が○で、マスキングフィルム除去性が○
△:耐熱密着性が△で、マスキングフィルム除去性が○
×:耐熱密着性が×又は××、或いは、マスキングフィルム除去性が×
◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。結果を表4に示す
Figure 0005545707
表4から明らかなように、本発明例1〜19は本発明要件を満たすため、オモテ面の耐熱密着性及びウラ面のマスキングフィルム除去性とも良好で、総合評価が合格であった。一方、比較例1〜13は本発明要件を満たしていないため、オモテ面の耐熱密着性、或いは、ウラ面のマスキングフィルム除去性が不良で、総合評価は不合格であった。
具体的には、比較例1では、アルミニウム基板に結線し電極として直接作用させたため、アルミニウム基板の両面に密着性の酸化皮膜が形成された。その結果、ウラ面のマスキングフィルム除去性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例2では、アルミニウム基板が電流の向きに平行に配設されているため、基板表面に電荷が供給されず、オモテ面にポア構造が形成されなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例3では、アルミニウム基板には結線されていないものの、他方の電極板電位にプラスからマイナスに電位変化する正弦波を印加したために、アルミニウム基板の両面に密着性の酸化皮膜が形成された。その結果、ウラ面のマスキングフィルム除去性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例4では、電解液のpHが高過ぎたため電解時のエッチング過多で酸化皮膜厚さが薄過ぎ、オモテ面に分岐したポア構造が形成されなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例5では、電解液のpHが低過ぎたため電解時のエッチングが不足して酸化皮膜が不定形状になり、オモテ面にポア構造が形成されなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例6では、電解液の温度が低過ぎたため電解時のエッチングが不足して酸化皮膜が不定形状になり、オモテ面にポア構造が形成されなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例7では、電解液の温度が高過ぎたため電解時のエッチング過多で酸化皮膜厚さが薄過ぎ、オモテ面に分岐したポア構造が形成されなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例8では、電極間の電位が周期的に変化しなかったため、オモテ面にポア構造が形成さなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例9では、電流の周波数が低過ぎたため、オモテ面に分岐したポア構造が形成されなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例10では、電流の周波数が高過ぎたため、オモテ面の分岐したポア構造の小孔直径が大き過ぎた。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例11では、最大電流密度が低過ぎ、かつ、電解時間も長過ぎたため、オモテ面に形成された酸化皮膜が不定形状になり、オモテ面にポア構造が得られなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例12では、電流密度が高過ぎ、かつ、電解時間も短過ぎたため、オモテ面に分岐したポア構造が形成されなかった。その結果、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
比較例13では、比較例1と同様にアルミニウム基板に結線し電極として直接作用させたため、アルミニウム基板の両面に密着性の酸化皮膜が形成されている。ただし電解時間が長過ぎたため、両面の酸化皮膜の厚みが500nmを上回っている。その結果、ウラ面のマスキングフィルム除去性は優れるものの、オモテ面の耐熱密着性が劣り、総合評価は不合格であった。
以上のように、本発明の請求項に従って作られたアルミニウム基板は、片面のみにポア構造を有する密着性の酸化膜を有するため、アルミニウム基板の片面のみに銅箔を貼り合せるプリント配線基板に対し好適に使用できる。
1‥‥‥酸化皮膜
2‥‥‥アルミニウム素地
3‥‥‥バリア層
4‥‥‥ポア構造
41‥‥‥小孔
5‥‥‥分岐点
6‥‥‥アルミニウム基板
61‥‥‥アルミニウム基板面
7‥‥‥電極板
71‥‥‥電極板面
8‥‥‥電源
9‥‥‥電解液
10‥‥‥電極板
101‥‥‥電極板面
11‥‥‥接地

Claims (3)

  1. 対向する一対の電極板間に、両電極板と結線しないアルミニウム基板をその基板面が両電極板面と平行になるように配設し、pH9〜13で温度35〜85℃のアルカリ性水溶液の電解液中で、一方の電極板の電位に対して、他方の電極板の電位をそれ以上にして20〜100Hzの周期で変化させ、最高電流密度4〜50A/dm で、5〜60秒間電解処理するアルミニウム基板の製造方法。
  2. 電位の周期的変化が正弦波、矩形波、台形波及び三角波から成る群から選択される少なくとも一種であり、最低電流密度を示す時間が1周期の中の80%以下である、請求項1に記載のアルミニウム基板の製造方法。
  3. 前記最高電流密度と最低電流密度との差が2A/dm 以上である、請求項2に記載のアルミニウム基板の製造方法。
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