JP2009280891A - 電極板及び金属製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間の使用が可能で金属製造コストを抑制可能な電極板及び製造効率に優れた金属製造方法を提供する。
【解決手段】金属イオンが溶解した硫酸酸性溶液Lにアルミニウムからなる基材10の一部が浸漬されて陰極を構成し、同じく硫酸酸性溶液Lに浸漬された陽極との間に電圧が印加されて基材10上に金属Zを析出させる電極板1において、少なくとも基材10の上端部であって硫酸酸性溶液Lの液面から上方に露出させて非浸漬部12とされる部分に、微細孔を備える陽極酸化被膜層と、前記微細孔に含浸したフッ素樹脂層とからなる耐食部15が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】金属イオンが溶解した硫酸酸性溶液Lにアルミニウムからなる基材10の一部が浸漬されて陰極を構成し、同じく硫酸酸性溶液Lに浸漬された陽極との間に電圧が印加されて基材10上に金属Zを析出させる電極板1において、少なくとも基材10の上端部であって硫酸酸性溶液Lの液面から上方に露出させて非浸漬部12とされる部分に、微細孔を備える陽極酸化被膜層と、前記微細孔に含浸したフッ素樹脂層とからなる耐食部15が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、長期間の使用が可能で金属製造コストを抑制可能な電極板及び製造効率に優れる金属製造方法に関する。
周知のように、不溶性陽極を用いて硫酸酸性溶液の金属イオンを陰極に析出させる電解採取において、陰極にアルミニウムからなる電極板を用いることが知られている。例えば、亜鉛の電解採取においては、焙焼鉱を硫酸で浸出して浸出液を得て、この浸出液を亜鉛電解に適するように浄化及び液調整して含亜鉛硫酸酸性電解液とし、この含亜鉛硫酸酸性電解液を電解槽内で陰極のアルミニウム電極板と不溶性陽極の含銀鉛電極板とで電解して、アルミニウム電極板の板面に亜鉛を析出(電着)させている。そして、亜鉛を数mm程度の厚さに析出させた後にアルミニウム電極板を電解槽から引き上げて洗浄し、表面上から亜鉛を機械的に剥離して板状の亜鉛が採取され、アルミニウム電極板は再び電解槽に戻される。
例えば、下記特許文献1には、この種の電極板として、アルミニウムからなる電極板の縁部に縁部絶縁部材が取り付けられたものが開示されている。すなわち、棒状の絶縁部材本体の一側面に電極板を嵌入するための装着溝及び該装着溝に嵌入された電極板を挟持する一対の顎部が、他側面に締め付け具装着用の嵌合凹所が、それぞれ絶縁部材本体の長手方向に沿って形成されると共に、上記装着溝の内面に絶縁部材本体よりも軟質な弾性部材が配置され、上記装着溝に電極板を嵌入して電極板の縁部を絶縁している。つまり、締め付け具を嵌合凹所に嵌め込むと一対の顎部が互いに近接するように移動し、弾性部材が電極板の表面に強く押圧されて電極板の縁部が絶縁され、表面と裏面とに電着した亜鉛が電極板の縁部を囲繞するようにして一体化(接続)することを防止し、電着した亜鉛を剥離し易いものとしている。
なお、この電極板と同様の効果を図った電極板として下記特許文献2のものがある。
特開2007−2282号公報
特開平10−36990号公報
なお、この電極板と同様の効果を図った電極板として下記特許文献2のものがある。
ところで、この種の電極板は、含亜鉛硫酸酸性電解液の液面下部の浸漬部分については電圧が印加されているために腐食が問題とならない一方で、含亜鉛硫酸酸性電解液の液面上部の非浸漬部分が硫酸ミストにより腐食し易い。これに起因して、電極板の使用寿命が短くなり、電極板の交換に伴って金属製造コストが増加してしまうという問題があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、長期間の使用が可能で金属製造コストを抑制可能な電極板及び製造効率に優れた金属製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
電極板に係る第一の解決手段として、金属イオンが溶解した硫酸酸性溶液にアルミニウムからなる基材の一部が浸漬されて陰極を構成し、同じく前記硫酸酸性溶液に浸漬された陽極との間に電圧が印加されて前記基材上に金属を析出させる電極板において、少なくとも前記基材の上端部であって前記硫酸酸性溶液の液面から上方に露出させて非浸漬部とされる部分に、微細孔を備える陽極酸化被膜層と、前記微細孔に含浸したフッ素樹脂層とからなる耐食部が形成されている、という手段を採用する。
これにより、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が含浸して、換言すれば、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が入り込むことで、アンカー効果により陽極酸化被膜層とフッ素樹脂層とが強固に密着した状態で非浸漬部がフッ素樹脂層に被膜される。
電極板に係る第一の解決手段として、金属イオンが溶解した硫酸酸性溶液にアルミニウムからなる基材の一部が浸漬されて陰極を構成し、同じく前記硫酸酸性溶液に浸漬された陽極との間に電圧が印加されて前記基材上に金属を析出させる電極板において、少なくとも前記基材の上端部であって前記硫酸酸性溶液の液面から上方に露出させて非浸漬部とされる部分に、微細孔を備える陽極酸化被膜層と、前記微細孔に含浸したフッ素樹脂層とからなる耐食部が形成されている、という手段を採用する。
これにより、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が含浸して、換言すれば、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が入り込むことで、アンカー効果により陽極酸化被膜層とフッ素樹脂層とが強固に密着した状態で非浸漬部がフッ素樹脂層に被膜される。
また、電極板に係る第二の解決手段として、上記電極板に係る第一の解決手段において、前記硫酸酸性溶液に浸漬された前記基材の側縁部に前記耐食部が形成されている、という手段を採用する。
これにより、側縁部がフッ素樹脂層に被膜される。
これにより、側縁部がフッ素樹脂層に被膜される。
また、電極板に係る第三の解決手段として、上記電極板に係る第一又は第二の解決手段において、前記硫酸酸性溶液に浸漬された前記基材の下縁部に前記耐食部が形成されている、という手段を採用する。
これにより、下縁部がフッ素樹脂層に被覆される。
これにより、下縁部がフッ素樹脂層に被覆される。
また、金属製造方法に係る第一の解決手段として、金属イオンが溶解した硫酸酸性溶液から金属を製造する方法であって、基材がアルミニウムからなり、少なくとも前記基材の上端部であって前記硫酸酸性溶液の液面から上方に露出させて非浸漬部とされる部分に該非浸漬部の前記基材上に微細孔を備える陽極酸化被膜層と該陽極酸化被膜層上に前記微細孔に含浸したフッ素樹脂層とを形成した電極板を予め用意し、前記硫酸酸性溶液に陽極と前記電極板の一部を陰極として浸漬させて前記硫酸酸性溶液に電圧を印加し、前記硫酸酸性溶液中の電極板に金属を析出させて金属を製造する、という手段を採用する。
これにより、電極板の非浸漬部の腐食を防止しつつ、金属を製造する。
これにより、電極板の非浸漬部の腐食を防止しつつ、金属を製造する。
また、金属製造方法に係る第二の解決手段として、上記金属製造方法に係る第一の解決手段において、前記金属は、亜鉛である、という手段を採用する。
これにより、電極板の非浸漬部の腐食を防止しつつ、亜鉛を製造する。
これにより、電極板の非浸漬部の腐食を防止しつつ、亜鉛を製造する。
本発明に係る電極板によれば、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が含浸して、換言すれば、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が入り込むことで、アンカー効果により陽極酸化被膜層とフッ素樹脂層とが強固に密着した状態で非浸漬部がフッ素樹脂層に被膜されるので、非浸漬部を長期間に亘って被膜することができる。換言すれば、フッ素樹脂が剥離し難く、フッ素樹脂による耐食効果を長期間に亘って発揮させることができるので、非浸漬部の腐食を長期間に亘って防止することができる。従って、電極板の長期間の使用が可能となると共に電極板の交換頻度を低くして金属製造コストを抑制することが可能となる。
また、本発明に係る金属製造方法によれば、電極板の非浸漬部の腐食を防止しつつ、金属を製造するので、電極板を長期間に亘って繰り返し使用することができ、交換頻度を低いものとすることができる。つまり、電極板の交換に伴う労力を軽減すると共に交換に伴う金属の製造停止時間が少なくなる。さらに、非浸漬部の腐食に伴うメンテナンスが殆ど不要のものとなる。従って、製造効率に優れたものとすることができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電極板1を示す図である。この電極板1は、亜鉛の電解採取において陰極として用いられるものであって、電解槽に貯留された亜鉛硫酸酸性電解液に不溶性陽極の含銀鉛電極板と共に浸漬され、含亜鉛硫酸酸性電解液を電解して板面に亜鉛を析出(電着)させるものである。
図1に示すように、電極板1は、基材10と、縁部絶縁部材20(20a,20b)と、吊り手30とを備えている。
図1は、本発明の実施の形態に係る電極板1を示す図である。この電極板1は、亜鉛の電解採取において陰極として用いられるものであって、電解槽に貯留された亜鉛硫酸酸性電解液に不溶性陽極の含銀鉛電極板と共に浸漬され、含亜鉛硫酸酸性電解液を電解して板面に亜鉛を析出(電着)させるものである。
図1に示すように、電極板1は、基材10と、縁部絶縁部材20(20a,20b)と、吊り手30とを備えている。
基材10は、純度99.5%以上のアルミニウムからなる矩形板状のものであって、縦方向の長さが1000mm、横方向の長さが800mm、厚さが6mmの形状寸法に設定されたものである。
この基材10は、縦方向を重力方向に向けて、その大部分が含亜鉛硫酸酸性電解液に浸漬されるものであり、上縁に後述の吊り手30が接合されている。すなわち、この基材10の上縁側(吊り手30側)の上端部11が、含亜鉛硫酸酸性電解液の液面より上部に位置する非浸漬部12となる。
この基材10は、縦方向を重力方向に向けて、その大部分が含亜鉛硫酸酸性電解液に浸漬されるものであり、上縁に後述の吊り手30が接合されている。すなわち、この基材10の上縁側(吊り手30側)の上端部11が、含亜鉛硫酸酸性電解液の液面より上部に位置する非浸漬部12となる。
このような基材10の一部には、耐食部15が形成されている。具体的には、非浸漬部12及び液面より下部に位置する浸漬部13のうち側縁部14a,14bに、耐食部15が層状に形成されている。
なお、側縁部14a,14bは、二つの板面の側縁部表面と側面とから構成されている(図3参照)。
なお、側縁部14a,14bは、二つの板面の側縁部表面と側面とから構成されている(図3参照)。
耐食部15は、基材10を被膜するものであり、図2に示すように、陽極酸化被膜層16と、フッ素樹脂層17とを備えている。
陽極酸化被膜層16は、基材10上に形成されており、基材10の非浸漬部12及び側縁部14a,14b以外をマスキングして陽極酸化処理(アルマイト処理)したものである。より具体的には、基材10を陽極にすると共に炭素板等を陰極にして、液質が15w/v%の希硫酸を、液温20℃、電流密度100A/m2、電圧15V、通電時間45分の条件で電解させている。
この陽極酸化被膜層16は、基材10との界面に生成したバリアー層16aと、無数の微細孔16bが形成されたポーラス層16cとからなる。すなわち、蜂の巣のような六角柱のセルが集合し、各セルの中心に形成された微細孔16bがバリアー層16aまで通じている。なお、いわゆる封孔処理は行っていない。
この陽極酸化被膜層16は、約10μmの厚さとなっている。
陽極酸化被膜層16は、基材10上に形成されており、基材10の非浸漬部12及び側縁部14a,14b以外をマスキングして陽極酸化処理(アルマイト処理)したものである。より具体的には、基材10を陽極にすると共に炭素板等を陰極にして、液質が15w/v%の希硫酸を、液温20℃、電流密度100A/m2、電圧15V、通電時間45分の条件で電解させている。
この陽極酸化被膜層16は、基材10との界面に生成したバリアー層16aと、無数の微細孔16bが形成されたポーラス層16cとからなる。すなわち、蜂の巣のような六角柱のセルが集合し、各セルの中心に形成された微細孔16bがバリアー層16aまで通じている。なお、いわゆる封孔処理は行っていない。
この陽極酸化被膜層16は、約10μmの厚さとなっている。
フッ素樹脂層17は、FEP(Fluorinated ethylene propylene copolymer)系のフッ素樹脂で構成されており、ポーラス層16c上に形成されている。具体的には、フッ素樹脂を陽極酸化被膜層16にスプレー吹付けした後に220℃、焼付時間60分の条件で焼付け処理を行って形成されたものである。このFEP系のフッ素樹脂は、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂を含んでおり、焼成により滑らかなピンホールの少ない被膜となり、特に、耐薬品性、耐食性、非粘着性に優れたものである。
このフッ素樹脂層17は、吹き付けられたフッ素樹脂がポーラス層16cの微細孔16bに含浸して、換言すれば、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が入り込むことで、アンカー効果により陽極酸化被膜層16と強固に密着している。
このフッ素樹脂層17は、約5μmの厚さとなっている。
このフッ素樹脂層17は、吹き付けられたフッ素樹脂がポーラス層16cの微細孔16bに含浸して、換言すれば、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が入り込むことで、アンカー効果により陽極酸化被膜層16と強固に密着している。
このフッ素樹脂層17は、約5μmの厚さとなっている。
縁部絶縁部材20(20a,20b)は、図1及び図3に示すように、棒状の絶縁部材本体21と、絶縁部材本体21に装着される締め付けロッド25とで構成されている。
絶縁部材本体21は、エンジニアリングプラスチックで構成されており、より具体的には、ポリフェニルエーテル(PPE)で構成されている。このポリフェニルエーテルは、絶縁性、耐衝撃性、耐熱性、耐酸性に優れたものである。
絶縁部材本体21は、エンジニアリングプラスチックで構成されており、より具体的には、ポリフェニルエーテル(PPE)で構成されている。このポリフェニルエーテルは、絶縁性、耐衝撃性、耐熱性、耐酸性に優れたものである。
棒状をなす絶縁部材本体21の一側面には、基材10の側縁部14(14a,14b)を嵌入する装着溝22と、この装着溝22に嵌入された基材10を挟み込む一対の顎部23とが、絶縁部材本体21の長手方向に沿って形成されている。
装着溝22は、図3に示すように、断面コの字状をなしており、一対の顎部23の内面が装着溝22の側壁面を構成し、一対の顎部23の連結部分に底面を有している。
また、絶縁部材本体21において装着溝22が形成された一側面と反対側の側面には、断面が絶縁部材本体21内部側に凹んだ凹曲線状をなす嵌合凹所24が、絶縁部材本体21の長手方向に沿って装着溝22と平行に延びるように形成されている。この嵌合凹所24の断面は、円の一部を切り欠いた円弧状に形成されている。
また、絶縁部材本体21において装着溝22が形成された一側面と反対側の側面には、断面が絶縁部材本体21内部側に凹んだ凹曲線状をなす嵌合凹所24が、絶縁部材本体21の長手方向に沿って装着溝22と平行に延びるように形成されている。この嵌合凹所24の断面は、円の一部を切り欠いた円弧状に形成されている。
この嵌合凹所24には、締め付けロッド25が嵌合される。締め付けロッド25は、長尺の円柱状をなしており、その外径が、嵌合凹所24の断面がなす円弧の径よりもわずかに大きくなるように形成されている。つまり、嵌合凹所24に締め付けロッド25を嵌合することによって、嵌合凹所24が押し広げられるように変形する。
このような構成の縁部絶縁部材20a,20bは、側縁部14a,14bに取り付けられている。すなわち、装着溝22に側縁部14a,14bを嵌入した後に、装着溝22の反対側に形成された嵌合凹所24に締め込みロッド25が嵌合されて、嵌合凹所24が押し広げられるように変形しており、一対の顎部23の付け根部分を支点として一対の顎部23が互いに近づくように変形して、装着溝22に嵌入された側縁部14a,14bを挟持している。
吊り手30は、電極板の最上部に接合されており、電解槽の上部に張り渡されたブスバーに載置すると浸漬部13が含亜鉛硫酸酸性電解液Lに浸漬するようになっている。
続いて、上記の構成からなる電極板1を用いて亜鉛を製造する方法について説明する。
まず、図4(a)に示すように、基材10を含亜鉛硫酸酸性電解液Lに浸漬部13側から浸漬させ、吊り手30を電解槽の上部に張り渡されたブスバー(不図示)に載置する。この際、基材10は、浸漬部13が含亜鉛硫酸酸性電解液L中に、非浸漬部12が含亜鉛硫酸酸性電解液Lの液面上部に位置する。
同様にして、不溶性陽極の含銀鉛電極板(不図示)を含亜鉛硫酸酸性電解液Lに浸漬させる。
まず、図4(a)に示すように、基材10を含亜鉛硫酸酸性電解液Lに浸漬部13側から浸漬させ、吊り手30を電解槽の上部に張り渡されたブスバー(不図示)に載置する。この際、基材10は、浸漬部13が含亜鉛硫酸酸性電解液L中に、非浸漬部12が含亜鉛硫酸酸性電解液Lの液面上部に位置する。
同様にして、不溶性陽極の含銀鉛電極板(不図示)を含亜鉛硫酸酸性電解液Lに浸漬させる。
次に、電極板1と含銀鉛電極板との間に電圧を印加して、含亜鉛硫酸酸性電解液Lを電解する。そして、電極板1と含亜鉛硫酸酸性電解液Lとの酸化還元反応が進行するにつれ、図4(b)に示すように、浸漬部13に亜鉛Zが析出する。
この際、側縁部14a,14bにおいては、縁部絶縁部材20(20a,20b)が取り付けられているため、含亜鉛硫酸酸性電解液Lと殆ど接触せず、亜鉛Zが析出しない。仮に、縁部絶縁部材20が側縁部14に不適切に取り付けられて縁部絶縁部材20と側縁部14とに間隙が生じ、この間隙に含亜鉛硫酸酸性電解液Lが浸入しても基材10がフッ素樹脂層17で被膜されているため(図2参照)、亜鉛Zが析出しない。
一方、この酸化還元反応に伴って発生した気泡が大気中に放出されると、硫酸ミストが飛散して非浸漬部12(基材10)を被膜するフッ素樹脂層17に硫酸ミストが付着する。この際、フッ素樹脂層17は、優れた耐食性を発揮し、硫酸ミストが付着しても殆ど劣化せず、また、陽極酸化被膜層16との密着性が弱まらない。つまり、フッ素樹脂に被膜された基材10に硫酸ミストによる腐食が発生しない。
電極板1と含亜鉛硫酸酸性電解液Lとの酸化還元反応が進行するにつれ、電極板1の表面に析出する亜鉛Zの厚さが増大していく。
電極板1の板面に亜鉛Zが所定の厚さだけ析出した後に、図4(c),(d)に示すように、電極板1を含亜鉛硫酸酸性電解液Lから引き上げて洗浄し、楔形状に形成されたチスTを亜鉛Zと基材10との間に挿しこんで、電極板1から亜鉛Zを機械的に剥離する。
電極板1の板面に亜鉛Zが所定の厚さだけ析出した後に、図4(c),(d)に示すように、電極板1を含亜鉛硫酸酸性電解液Lから引き上げて洗浄し、楔形状に形成されたチスTを亜鉛Zと基材10との間に挿しこんで、電極板1から亜鉛Zを機械的に剥離する。
このようにして、二つの板状体が対向すると共に、これら二つの板状体の下縁部が接続された亜鉛Zが採取される。
そして、電極板1を再び電解槽に戻し、上記と同様にして亜鉛Zが連続的に採取される。この際、フッ素樹脂層17は、優れた耐食性を継続して発揮し、付着した硫酸ミストによって殆ど劣化せず、また、陽極酸化被膜層16との密着性が弱まらない。すなわち、同一の電極板1が繰り返し用いられて、多数の亜鉛Zが採取される。
そして、電極板1を再び電解槽に戻し、上記と同様にして亜鉛Zが連続的に採取される。この際、フッ素樹脂層17は、優れた耐食性を継続して発揮し、付着した硫酸ミストによって殆ど劣化せず、また、陽極酸化被膜層16との密着性が弱まらない。すなわち、同一の電極板1が繰り返し用いられて、多数の亜鉛Zが採取される。
以上説明したように、電極板1によれば、陽極酸化被膜層16の微細孔にフッ素樹脂が含浸して陽極酸化被膜層16とフッ素樹脂層17とが強固に密着する。すなわち、陽極酸化被膜層16とフッ素樹脂層17との密着面を大きくすることができ、陽極酸化被膜層の微細孔にフッ素樹脂が入り込むことでアンカー効果を発揮して密着性を強固なものとすることができる。
そして、このようなフッ素樹脂層17によって非浸漬部12が被膜されるので、非浸漬部12を長期間に亘って被膜することができる。換言すれば、フッ素樹脂が剥離し難く、フッ素樹脂による耐食効果を長期間に亘って発揮させることができるので、非浸漬部12の腐食を長期間に亘って防止することができる。従って、電極板1の長期間の使用が可能となると共に電極板1の交換頻度を低くして金属製造コストを抑制することができる。
そして、このようなフッ素樹脂層17によって非浸漬部12が被膜されるので、非浸漬部12を長期間に亘って被膜することができる。換言すれば、フッ素樹脂が剥離し難く、フッ素樹脂による耐食効果を長期間に亘って発揮させることができるので、非浸漬部12の腐食を長期間に亘って防止することができる。従って、電極板1の長期間の使用が可能となると共に電極板1の交換頻度を低くして金属製造コストを抑制することができる。
また、側縁部14a,14bが耐食部15とされているので、縁部絶縁部材20(20a,20b)の取り付けが不適切で側縁部14a,14bと縁部絶縁部材20との間隙に含亜鉛硫酸酸性電解液Lが浸入しても、側縁部14a,14bに亜鉛Zが析出することを防止することができる。これにより、亜鉛Zが側縁部14a,14bで接続されることをより高い確率で防止することができ、電極板1の長期間の使用が可能となる。
また、上記の金属製造方法によれば、電極板1の非浸漬部12の腐食を防止しつつ、亜鉛Zを製造するので、電極板1を長期間に亘って繰り返し使用することができ、電極板1の交換頻度を低いものとすることができる。つまり、電極板1の交換に伴う労力を軽減すると共に交換に伴う亜鉛Zの製造停止時間を少なくすることができる。さらに、非浸漬部12の腐食に伴うメンテナンスが殆ど不要のものとなる。従って、亜鉛Zの製造効率を優れたものとすることができる。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、基材10の形状寸法は、上述した実施の形態のものに限られることなく、適宜変更することが可能である。この際、縦方向の長さを850〜1800mm、横方向の長さを600〜1000mm、厚さを5〜8mm程度に形成すると亜鉛Zの生産性の観点から好適なものとなる。
また、上述した実施の形態では、基材10の形状は、矩形に形成したが方形や多角形、円形等であってもよい。
例えば、基材10の形状寸法は、上述した実施の形態のものに限られることなく、適宜変更することが可能である。この際、縦方向の長さを850〜1800mm、横方向の長さを600〜1000mm、厚さを5〜8mm程度に形成すると亜鉛Zの生産性の観点から好適なものとなる。
また、上述した実施の形態では、基材10の形状は、矩形に形成したが方形や多角形、円形等であってもよい。
また、陽極酸化被膜層16の厚さ及びフッ素樹脂層17の厚さについても、上述した実施の形態のものに限られることなく、適宜変更することが可能である。但し、加工の容易性やフッ素樹脂層17のピンホール発生率、熱膨張差によって界面に発生する応力を考慮すると陽極酸化被膜層の厚さを5〜400μm、フッ素樹脂層の厚さを5〜20μmに形成するのが好ましい。
また、上述した実施の形態では、上端部11を非浸漬部12としたが上端部11の一部が含亜鉛硫酸酸性電解液Lの液面下部に位置していてもよい。すなわち、非浸漬部12に耐食部15が形成されていればよく、浸漬部15のうち非浸漬部12側に耐食部15が形成されていても構わない。
また、上述した実施の形態では、FEP系のフッ素樹脂を用いてフッ素樹脂層17を構成したが、他の種類のフッ素樹脂、例えば、PTFE(poly tetra fluoro ethylene)系、PFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)系、PTFE/PFA複合系、有機バインダー樹脂とフッ素樹脂とを複合化した変性系を用いてもよい。
また、上述した実施の形態では、縁部絶縁部材20を用いる構成としたが、必ずしも用いる必要はない。
また、上述した実施の形態では、縁部絶縁部材20を用いる構成としたが、必ずしも用いる必要はない。
また、上述した実施の形態では、基材10の下縁部に耐食部15が形成されていない構成としたが、図5に示すように、基材10の下縁部19に耐食部15を形成してもよい。この場合には、下縁部19において金属が析出しないので、二つの金属板を得ることができる。なお、この下縁部19に縁部絶縁部材20を装着する構成としてもよい。
1…電極板
10…基材
12…非浸漬部
14(14a,14b)…側縁部
15…耐食部
16…陽極酸化被膜層
17…フッ素樹脂層
19…下縁部
L…含亜鉛硫酸酸性電解液(硫酸酸性溶液)
Z…亜鉛(金属)
10…基材
12…非浸漬部
14(14a,14b)…側縁部
15…耐食部
16…陽極酸化被膜層
17…フッ素樹脂層
19…下縁部
L…含亜鉛硫酸酸性電解液(硫酸酸性溶液)
Z…亜鉛(金属)
Claims (5)
- 金属イオンが溶解した硫酸酸性溶液にアルミニウムからなる基材の一部が浸漬されて陰極を構成し、同じく前記硫酸酸性溶液に浸漬された陽極との間に電圧が印加されて前記基材上に金属を析出させる電極板において、
少なくとも前記基材の上端部であって前記硫酸酸性溶液の液面から上方に露出させて非浸漬部とされる部分に、微細孔を備える陽極酸化被膜層と、前記微細孔に含浸したフッ素樹脂層とからなる耐食部が形成されていることを特徴とする電極板。 - 前記硫酸酸性溶液に浸漬された前記基材の側縁部に前記耐食部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電極板。
- 前記硫酸酸性溶液に浸漬された前記基材の下縁部に前記耐食部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極板。
- 金属イオンが溶解した硫酸酸性溶液から金属を製造する方法であって、
基材がアルミニウムからなり、少なくとも前記基材の上端部であって前記硫酸酸性溶液の液面から上方に露出させて非浸漬部とされる部分に該非浸漬部の前記基材上に微細孔を備える陽極酸化被膜層と該陽極酸化被膜層上に前記微細孔に含浸したフッ素樹脂層とを形成した電極板を予め用意し、前記硫酸酸性溶液に陽極と前記電極板の一部を陰極として浸漬させて前記硫酸酸性溶液に電圧を印加し、前記硫酸酸性溶液中の電極板に金属を析出させて金属を製造することを特徴とする金属製造方法。 - 前記金属は、亜鉛であることを特徴とする請求項4に記載の金属製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008137092A JP2009280891A (ja) | 2008-05-26 | 2008-05-26 | 電極板及び金属製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008137092A JP2009280891A (ja) | 2008-05-26 | 2008-05-26 | 電極板及び金属製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011208261A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Dowa Metals & Mining Co Ltd | カソード板及びカソード板の製造方法、並びに金属電解精錬方法 |
CN106676584A (zh) * | 2017-03-15 | 2017-05-17 | 山东清铝金属有限公司 | 一种新型电极板 |
JP2020158797A (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 住友金属鉱山株式会社 | 金属電着用の陰極板 |
-
2008
- 2008-05-26 JP JP2008137092A patent/JP2009280891A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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