JP5934320B2 - 鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗り型車両に用いられるオイルフィルタの配置構造に関する。
エンジンの下部にオイルパンが連結され、オイルフィルタが、オイルパンの側面の内側に凹んだ箇所でオイルパンの外面に沿って配置され、クランクケースの下面に直接取付けられるオイルフィルタの配置構造が、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1に開示されたオイルフィルタの配置構造では、エンジン下部に配置されたオイルフィルタは、オイルパンの外面によって右方と後方とが覆われて保護されている。
特開平8−100655号公報 図1
しかしながら、エンジン外部に露出して配置されるオイルフィルタの場合、前記特許文献1に開示されるようなオイルフィルタの配置では、オイルフィルタの前方や左方を覆うものがなく、このような構造を鞍乗り型車両に適用すると前輪からの飛石等の衝突に対し、オイルフィルタの保護が十分とは言えない。これを解決するために、部品点数の増加がなく簡易な構造によるオイルフィルタの保護が望まれている。
本発明は、前記課題を解決するものであり、内燃機関の外部に露出して配置されるオイルフィルタを飛石等から保護することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造は、内燃機関と、該内燃機関に連結される変速機とを具備するパワーユニットを備え、該パワーユニットの下部がオイル溜めとなっている鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造において、
前記パワーユニットは、オイルフィルタと、前記変速機駆動させるアクチュエータと、該アクチュエータの動力を前記変速機に伝達する伝達機構とを備え、
前記オイルフィルタは、前記オイル溜めの一部を構成する前記パワーユニットの壁部の外側に、該壁部および前記アクチュエータに隣接して配置されることを特徴とする。
この構成によれば、オイルフィルタが、隣接するオイル溜めの一部を構成する壁部だけでなく、隣接するアクチュエータによっても保護されることとなり、簡易な構造で飛石等からオイルフィルタを保護することができる。
前記構成において、前記伝達機構を、前記鞍乗り型車両の前輪と前記オイルフィルタとの間に配置し、前記アクチュエータを、前記伝達機構の後方に設け、前記オイルフィルタを、前記壁部の内、車両側方に面する側壁に隣接して配置しても良い。
この構成によれば、オイルフィルタは、伝達機構および隣接するアクチュエータによって前方の少なくとも一部が覆われ、前輪から隠されることとなる。そのため、オイルフィルタは、壁部によって一側方が保護されるとともに、オイルフィルタの前方を覆う伝達機構とアクチュエータとによって前輪からの飛石が防がれ、前方をも保護されることとなり、オイルフィルタをより確実に保護することができる。また、アクチュエータへの前輪からの飛石を伝達機構で防ぎ、アクチュエータをも保護することができる。
前記構成において、前記パワーユニットに、車両下方へと延出される排気管を接続し、該排気管を、前記オイルフィルタの車幅方向外方に隣接して設けても良い。
この構成によれば、オイルフィルタの車幅方向外方側の側方が排気管で覆われるため、前方を伝達機構およびアクチュエータ、車両方向内方側の側方を壁部で保護されるとともに、排気管で車幅方向外方側の側方が保護されることとなり、オイルフィルタを三方向から囲うようになり、オイルフィルタを確実に保護することができる。
前記構成において、前記伝達機構は、前記アクチュエータの駆動力を前記変速機に伝達する複数の歯車を備え、複数の前記歯車は、該歯車の回動軸線を、車両前後方向に指向して配置しても良い。
この構成によれば、オイルフィルタの前方に配置される伝達機構の歯車は、オイルフィルタの前方に側面を広げるように配置されることとなり、オイルフィルタの前面に占める伝達機構の面積が広くなる。そのため、オイルフィルタの前方を広く覆う伝達機構により前輪からの飛石を防ぎ、オイルフィルタをさらに確実に保護することができる。
前記壁部の一部を、車幅方向外方へ向って膨出される膨出部として形成し、前記オイルフィルタは、前記膨出部の前側壁の前側に、該前側壁に隣接して配置しても良い。
この構成によれば、オイルフィルタは、後方がオイル溜めの一部を構成する壁部となる膨出部の前側壁に覆われるため、オイルフィルタの後方が膨出部により保護され、総じてオイルフィルタを保護することができる。
オイルフィルタが、オイル溜めの一部を形成する壁部の外側とアクチュエータとに隣接させて配置されることで、オイルフィルタが、オイル溜めの一部を構成する壁部だけでなく、隣接するアクチュエータによっても保護されることとなり、簡易な構造で飛石等からオイルフィルタを保護することができる。
本発明の一実施の形態に係る鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造を有する鞍乗り型車両の右側面図である。 図1のII矢視によるパワーユニットの正面図である。 図2のIII矢視によるパワーユニットの右側面図である。 図3のパワーユニットの排気管およびオイルフィルタを取外した状態の右側面図である。 図4のV矢視によるパワーユニットの底面図である。 図2のパワーユニットの下部を拡大し、伝達機構のカバーを取外した状態の正面拡大図である。 図2のVII−VII矢視による変速駆動機構の断面図である。
本発明の一実施の形態に係る鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造について、図面を用いて以下に説明する。
特許請求の範囲および本明細書の説明における前後左右上下の方向は、鞍乗り型車両の向きに従うものとし、図中矢印FRは前方を、REは後方を、LTは左方を、RTは右方を、それぞれ示す。
図1は、本発明の一実施の形態に係る鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造0を有する鞍乗り型車両1の右側面図である。
図1において、鞍乗り型車両1は車体カバー1aが二点鎖線で簡略に示されている他、吸気系、燃料系、排気系の一部等が省略され、要部のみが示されている。
鞍乗り型車両1の車体フレーム2は、車体前部のヘッドパイプ20と、ヘッドパイプ20から後方やや斜め下方に延出した後に屈曲部21aを介して端部が下方へ延出されるメインフレーム21と、メインフレーム21の屈曲部21aから後方やや斜め上方へと延出するシートレール22と、シートレール22の後部とメインフレーム21の屈曲部の下部とを接続するバックステー23とを備えている。
ヘッドパイプ20にはフロントフォーク10が操向可能に支承され、フロントフォーク10の下端には前輪11が回転自在に支持されている。フロントフォーク10の上端には操向ハンドル12が連結されている。メインフレーム21の屈曲部21aの下部にはスイングアーム13の前端部が上下搖動可能に支持され、スイングアーム13の後端部には駆動輪である後輪14が回転自在に支持されている。
メインフレーム21の屈曲部21aとスイングアーム13との間には、図示されないクッションユニットが連結され、シートレール22の上部には乗員用シート15が取付けられている。
メインフレーム21の下方には、後輪14を駆動させるパワーユニット3がクランク軸42の回転軸線L1を前後方向に指向させて配置され、複数の取付けブラケット16によりメインフレーム21に支持されている。パワーユニット3の後部には、スイングアーム13に沿って配設されるドライブシャフト44が接続されている。
図2は図1のII矢視によるパワーユニット3の正面図である。図2において、前輪11が二点鎖線にて簡略化して示されるとともに、パワーユニット3の一部が切欠かれた断面で示されている。
図1および図2に示されるように、パワーユニット3は四ストローク水冷六気筒の水平対向型の内燃機関4と、内燃機関4に接続される変速機6とを備えている。
図2に示されるように、内燃機関4は、鞍乗り型車両1の走行方向前方を向いた状態で左側に配置される左エンジンブロック半体40Lと、走行方向前方を向いた状態で右側に配置される右エンジンブロック半体40Rとからなるエンジンブロック40と、左右エンジンブロック半体40L,40Rの左右端にそれぞれ結合される左右シリンダヘッド50L,50Rと、各シリンダヘッド50L,50Rに重ねられる左右ヘッドカバー51L,51Rとを備えている。
左エンジンブロック半体40Lは、左シリンダブロック41Lと左シリンダブロック41Lに一体に形成される左クランクケース半体30Lとを備え、右エンジンブロック半体40Rは、右シリンダブロック41Rと右シリンダブロック41Rに一体に形成された右クランクケース半体30Rとを備え、左クランクケース半体30Lと右クランクケース半体30Rとによりクランクケース30が構成されている。
クランク軸42は、鞍乗り型車両1の前後方向にその回転軸線L1を指向させて、エンジンブロック40の上部に位置する左クランクケース半体30Lと右クランクケース半体30Rとの間に回転可能に支持されている。
エンジンブロック40の上部前面には、クランク軸42を中心にしてエンジンブロック40の上部前面を覆うフロントカバー45が取付けられている。
エンジンブロック40の下部の左右クランクケース半体30L,30Rによって囲われた空間内には、変速機6のメイン軸61とカウンタ軸62、シフトドラム64、シフトフォーク軸65が配置され、その前面を覆うようにミッションホルダ36が左右クランクケース半体30L,30Rに取付けられている。
ミッションホルダ36からエンジンブロック40の下部の左右クランクケース半体30L,30Rに囲われた空間にかけて、変速機6が収納される変速機室60が形成されるとともに変速機室60の下部の領域は、後述するオイル溜め39となっている。
ミッションホルダ36の前面には、ミッションホルダ36の中央から下部にかけて変速機6の変速段を操作する変速機構90を保持するための変速機構ホルダ37が取付けられている。また、車両前面視で、変速機構ホルダ37の左端部37Lには、伝達機構保持部81が一体に形成されている。
変速機構ホルダ37の伝達機構保持部81の前面には、伝達機構カバー82が取付けられており、伝達機構保持部81と伝達機構カバー82とに囲われた空間により伝達機構室83が形成され、伝達機構室83内には後述する伝達機構80の伝達ギア群84が配置されている。
内燃機関4には、ピストン43の上端面43aとシリンダヘッド50の下部に設けられた燃焼室上壁面50aとにより燃焼室52が形成されている。燃焼室52にはシリンダヘッド50に形成された吸気ポート53と排気ポート54が連なり、吸気ポート53および排気ポート54の燃焼室側端部には吸気弁55および排気弁56とが取付けられている。燃焼室上壁面50aには燃焼室52に臨むように点火栓(不図示)が取付けられている。シリンダブロック40内に往復摺動可能に嵌装されたピストン43は、コンロッド(不図示)を介してクランク軸42に連結されており、燃焼室52内の燃焼によるピストン43の摺動に連動してクランク軸42が回転駆動されるようになっている。
左右シリンダヘッド50L,50Rの上部には吸気ポート53と連結される左吸気管17Lおよび右吸気管17Rがそれぞれ接続されている。左右吸気管17L,17Rはパワーユニット3の上方で車幅方向内方へ屈曲し、パワーユニット3上部のマニホールド18に接続されている。
図3は、図2のIII矢視によるパワーユニット3の右側面図である。図3において、二点鎖線で囲われた空間は変速機室60とその下部に位置するオイル溜め39を示している。
図2および図3に示されるように、左シリンダヘッド50Lの下部には排気ポート54と連結される三つの左排気管19Lが、右シリンダヘッド50Rの下部には排気ポート54と連結される三つの右排気管19R(一つのみ図示)がそれぞれ接続されている。左右排気管19L,19Rは、左右シリンダヘッド50L,50R下部から下方へ向けて延出された後に後斜め下方かつ車幅方向中央へ向けて屈曲し、パワーユニット3下部のクランクケース30の外壁面に沿って後方へと延出され、車両後部に配置される排気マフラ(不図示)に接続されている。左排気管19Lのシリンダヘッド50から所定の領域には左排気管カバー24Lが、右排気管19Rのシリンダヘッド50から所定の領域には右排気管カバー(不図示)が、それぞれ設けられており、左排気管カバー24Lおよび右排気管カバーによって左右排気管19L,19Rの上流(シリンダヘッド50側)の温度の高い部分が遮熱されるようになっている。
図4は、図3のパワーユニット3の左吸排気管17L,19Lを取除きパワーユニット3の一部を省略した右側面図である。また、図5は、図4のV矢視によるクランクケースの底面図である。図5において、前輪11が簡略されて二点鎖線で示されている。
図4に示されるように、エンジンブロック40の後部にはフランジ部40aが形成され、フランジ部40aの後部にはリアカバー46が取付けられている。また、リアカバー46の後部中央下部にはクラッチカバー47が取付けられている。
図4および図5に示されるように、左クランクケース半体30Lの一部を構成し、車両左方に面する左側壁31の内、後半部31REの左側壁31(以下、後半部左側壁31REという)は、車幅方向外方である左方へ向って膨出する膨出部32として形成されている。
膨出部32は、膨出部32の左側壁32L(以下、膨出部左側壁32Lという)と膨出部32の前側壁32F(以下、膨出部前側壁32Fという)とを有し、膨出部32の後部はエンジンブロック40のフランジ部40aと一体となっている。
膨出部前側壁32Fは、車両下面視で車両前後方向に略垂直な面に形成されている。また、図2に示されるように、膨出部左側壁32Lは、車両前面視で上部が右斜め上方に向けて傾斜し、下部が右斜め下方に向けて傾斜して形成されている。
前述したように、左右クランクケース半体30L,30Rに囲われた空間の下部領域は、その前後をミッションホルダ36とリアカバー46とで覆われることでオイル溜め39となっている。そして、オイル溜め39の一部は、左クランクケース半体30Lの前半部左側壁31F、膨出部前側壁32Fおよび膨出部左側壁32Lにより構成されている。膨出部32の内部の後方には、オイルポンプ(不図示)が収納され、オイル溜め内39に溜まったオイルは、ストレーナ(不図示)を介してオイルポンプに吸入されるようになっている。
図4に示されるように、左クランクケース半体30Lの前半部31Fの左側壁31F(以下、前半部左側壁31Fという)と膨出部前側壁32Fとの境界の上下方向中央寄りには、オイルフィルタ取付け部33が左クランクケース半体30Lの前半部左側壁31Fと膨出部前側壁32Fとから水平方向左前方に張出して形成されている。
また、図5も参照して、左クランクケース半体30Lの前半部左側壁31Fの内、オイルフィルタ取付け部33の下方に位置する領域には、車両下面視で車幅方向中央に向って円弧状に凹む凹部31aが形成されている。
図3ないし図5に示されるように、オイルフィルタ取付け部33には、下方から凹部31aに沿うようにオイルフィルタ34が取付けられている。オイルフィルタ34は、オイルフィルタ34の右側約三分の一が左クランクケース半体30Lの前半部左側壁31Fに形成された凹部31aに隙間を存して嵌るとともに、膨出部前側壁32Fの前方に膨出部前側壁32Fと隙間を存して隣接して配置されている。このように、オイルフィルタ34は、前半部左側壁31Fに、後方が膨出部前側壁32Fに、それぞれ隣接して配置されており、オイルフィルタ34の右側方および後方がオイル溜め39を一部で構成するクランクケース30および膨出部32(すなわちクランクケース30)により保護されるようになっている。オイルポンプから吐出されたオイルはオイルフィルタ34を介して濾過され、パワーユニット3内の各オイル通路(不図示)へと供給される。
また、オイルフィルタ34は、右側約三分の一の前方がクランクケース30に覆われることとなり、前方の一部をクランクケース30により保護されている。
図2および図3に示されるように、左シリンダヘッド50Lに接続される三本の左排気管19Lの内、最も前方に位置する第一左排気管19L1は、車両側面視でオイルフィルタ34の前部上方から後部下方に亘ってオイルフィルタ34に重なるように延出され、車両前面視でオイルフィルタ34の下部の左方に隣接して設けられている。このように第一左排気管19L1が配置されることで、オイルフィルタ34は、左方を第一左排気管19L1で覆われて保護されるようになっている。
図6は図2のパワーユニット3の下部を拡大し、伝達機構カバー82を取外した状態の正面拡大図である。図6において、前輪11が二点鎖線にて簡略化して示されている。また、図7は図2のVII−VII線断面図である。図7において、オイルフィルタ34が二点鎖線で簡略されて示されている。
図6および図7に示されるように、パワーユニット3の前部には、変速駆動機構7が設けられている。変速駆動機構7は、アクチュエータ70、伝達機構80および変速機構90を備え、アクチュエータ70から供給される動力が伝達機構80を介して変速機構90へ伝達され、変速機構90の作用によりシフトドラム64を間欠的に回動させ、シフトフォーク66を介して変速機6の変速段を選択的に確立させるものである。
図6に示されるように、変速機6は、左右クランクケース半体30L,30Rにより囲われた変速機室60に収納され、メイン軸61、カウンタ軸62、メイン軸61とカウンタ軸62とに設けられる変速ギア機構63およびクラッチ機構67を備えている。
メイン軸61とカウンタ軸62に装着される変速ギア機構63の互いに対となるギアどうしが噛合され、軸61,62にスプライン嵌合されてシフタとなるギアが変速駆動機構7によって移動されることにより変速が行われる。
図6に示されるように、前述した変速機構ホルダ37に形成された伝達機構保持部81は、左半部81Lがミッションホルダ36より左方へ張出して張出部81aとなっている。張出部81aは、車両前面視でオイルフィルタ34の前方の右下部から左上部までを対角線状に覆われている。
図3、図6および図7に示されるように、アクチュエータ70は、アクチュエータ70の後端部70REがオイルフィルタ34の上部に隣接して配置され、その回動軸線L2を前後方向に指向させてボルト72により張出部81aの後面に取付けられている。このように、アクチュエータ70が取付けられることで、オイルフィルタ34は、車両前面視でオイルフィルタ34の上半部がアクチュエータ70により覆われ、オイルフィルタ34の前方がアクチュエータ70により保護されるようになっている。
アクチュエータ70の前端部70Fからはモータ軸71が突出して設けられている。モータ軸71の前端部71Fを張出部81aの後方から伝達機構保持部81と伝達機構カバー82との間に形成される伝達機構室83内に貫通させることで、アクチュエータ70は伝達機構80に接続されている。
図6および図7に示されるように、変速機構ホルダ37の左端部37Lに形成された伝達機構保持部81には、伝達機構80が配置されている。伝達機構80は、アクチュエータ70のモータ軸71の前端部71Fに一体に形成された駆動ギア85、第一ギア86、第二ギア87および被動ギア88からなる伝達ギア群84と、伝達機構カバー82とを備えている。
第一ギア86は、第一アイドルギア86aと第一アイドルギア86aより小径の第二アイドルギア86bとが一体に形成され、その回動軸線L3を車両前後方向に指向して、伝達機構保持部81と伝達機構カバー82とに回動自在に支持されている。第二ギア87は、セクターギアである第三アイドルギア87aと第三アイドルギア87aより小径の第四アイドルギア87bとが一体に形成され、その回動軸線L4を車両前後方向に指向して、伝達機構保持部81と伝達機構カバー82とに回動自在に支持されている。被動ギア88はセクターギアであり、回動軸線L5を前後方向に指向して配置される変速機構90のシフトスピンドル91に嵌合されている。駆動ギア85と第一アイドルギア86a、第二アイドルギア86bと第三アイドルギア87a、第四アイドルギア87bと被動ギア88がそれぞれ噛合うことで、歯車群である伝達ギア群84を構成するとともに、アクチュエータ70の回転駆動力が伝達機構80により減速されて変速機構90に伝達されるようになっている。
前述したように、伝達機構80の伝達ギア群84は、各回動軸線L2,L3,L4,L5が車両前後方向に指向して配設されている。そのため、第一アイドルギア86a、第三アイドルギア87aおよび被動ギア88の軸方向に直交する面となるギア側面84aが伝達機構保持部81に広く面し、オイルフィルタ34の前面に占める伝達機構80の面積が広がることとなる。本実施の形態では、車両前面視で、オイルフィルタ34の前方右上部が第一および第三アイドルギア86a,87aにより広く覆われている。また、伝達ギア群84は、伝達機構カバー82で前面を広く覆われることで伝達機構80を構成し、オイルフィルタ34は、前方が伝達機構80により広く覆われ、保護されることとなる。
図2、図5および図6に示されるように、伝達機構80は、車両の幅方向の中心である前輪11の幅方向中心C1に対して車幅方向の左側方へずれて、オイルフィルタ34と前輪11との間に配置されている。このような配置とすることで、伝達機構80の後方に位置するアクチュエータ70とオイルフィルタ34への前輪11からの飛石を伝達機構80により防ぐことができるようになっている。
図2および図5に示されるように、オイルフィルタ34は、前方が伝達機構80およびアクチュエータ70に、左側方が第一左排気管19L1に、後方がオイル溜めの一部を構成する壁部である左クランクケース半体30Lの膨出部前側壁32Fに、右側方がオイル溜めの一部を構成する壁部である左クランクケース半体30Lの前半部左側壁31Fに、それぞれ隣接して配置されている。そのため、オイルフィルタ34は、前後左右方向の四方向が伝達機構80、アクチュエータ70、クランクケース30および第一左排気管19L1に囲われ、保護されるようになっている。
なお、本実施の形態においては、オイルフィルタ34の下方は覆われておらず、下方からオイルフィルタ34のキャップ34aを取外して内部のエレメントを容易に交換することができ、メンテナンス性をも確保されている。
以上に説明した本発明の一実施の形態においては、以下の効果を奏する。
オイルフィルタ34が、左クランクケース半体30Lに形成されたオイルフィルタ取付け部33に取付けられることで、アクチュエータ70とオイル溜め39の一部を構成する壁部である左クランクケース半体30Lの前半部左側壁31Fとに隣接して配置されている。
この構成によれば、オイルフィルタ34は、オイル溜め39を一部で構成するクランクケース30だけでなく、隣接するアクチュエータ70によっても覆われて保護されることとなり、簡易な構造で飛石等からオイルフィルタ34を保護することができる。
前輪11とオイルフィルタ34との間に、伝達機構80が配置されることで、オイルフィルタ34は、クランクケース30によって右側方が保護されるとともに、オイルフィルタ34の前方を覆う伝達機構80とアクチュエータ70とによって、オイルフィルタ34への前輪11からの飛石が防がれ、前方が保護されることとなり、二方面からオイルフィルタ34を確実に保護することができる。また、アクチュエータ70への前輪11からの飛石を伝達機構80で防ぎ、アクチュエータ70をも保護することができる。
左右シリンダヘッド50L,50Rには、排気ポート54に連結される複数の左右排気管19L,19Rが接続され、左排気管19Lの内、最も前方に位置する第一左排気管19L1は、車両側面視でオイルフィルタ34の前部上方から後部下方に亘ってオイルフィルタ34に重なって延出され、車両前面視でオイルフィルタ34の下部左方に隣接するように設けられている。そのため、車両側面視で、オイルフィルタ34の左側方が第一左排気管19L1で覆われることとなり、オイルフィルタ34は、前方を伝達機構80およびアクチュエータ70、右側方をクランクケース30、左側方を第一左排気管19L1に保護されることとなり、オイルフィルタ34を三方向から確実に保護することができる。
伝達機構80は、複数の歯車85〜88が噛合う歯車群である伝達ギア群84を備えており、各歯車85〜88は、その回動軸線L2〜L5を車両前後方向に指向させて伝達機構室83に配置されている。そのため、オイルフィルタ34の前方に一部が張出して配置される伝達機構保持部81に各歯車85〜88の側面84aが広く面し、これら歯車85〜88を伝達機構カバー82で覆うことで、オイルフィルタ34の前面に占める伝達機構80の面積を大きくすることが可能となり、オイルフィルタ34の前方を伝達機構80で広く覆って前方の保護をより確実にすることができる。
オイル溜め39の一部を構成する壁部である左クランクケース半体30Lの後半部左側壁31REが、車幅方向外方へ向って膨出する膨出部32として形成され、膨出部前側壁32Fに隣接してオイルフィルタ34が配設されている。この構成によれば、オイルフィルタ34は後方が膨出部前側壁32Fに覆われることとなり、膨出部32によりオイルフィルタ34の後方を保護することができる。そして、オイルフィルタ34は、前方を伝達機構80およびアクチュエータ70、右側方をクランクケース30、左側方を第一左排気管19L1、後方を膨出部32で囲われることとなり、オイルフィルタ34の保護をより確実にすることができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して説明したが、実施の形態は上記の説明の内容に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
0…オイルフィルタ配置構造、1…鞍乗り型車両、3…パワーユニット、4…内燃機関、6…変速機、11…前輪、30…クランクケース(オイル溜めの一部を構成する壁部)、31…左側壁(車両側方に面する側壁)、32…膨出部、32F…前側壁、34…オイルフィルタ、70…アクチュエータ、80…伝達機構、84…伝達ギア群、85…駆動ギア、86…第一ギア、87…第二ギア、88…被動ギア、L2〜L5…回動軸線

Claims (5)

  1. 内燃機関(4)と、該内燃機関(4)に連結される変速機(6)とを具備するパワーユニット(3)を備え、該パワーユニット(3)の下部がオイル溜め(39)となっている鞍乗り型車両(1)のオイルフィルタ配置構造(0)において、
    前記パワーユニット(3)は、オイルフィルタ(34)と、前記変速機(6)を駆動させるアクチュエータ(70)と、該アクチュエータ(70)の動力を前記変速機(6)に伝達する伝達機構(80)とを備え、
    前記オイルフィルタ(34)は、前記オイル溜め(39)の一部を構成する前記パワーユニット(3)の壁部(30)の外側に、該壁部(30)および前記アクチュエータ(70)に隣接して配置されることを特徴とする鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造。
  2. 前記伝達機構(80)は、前記鞍乗り型車両(1)の前輪(11)と前記オイルフィルタ(34)との間に配置され、
    前記アクチュエータ(70)は、前記伝達機構(80)の後方に設けられ、
    前記オイルフィルタ(34)は、前記壁部(30)の内、車両側方に面する側壁(31)に隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造。
  3. 前記パワーユニット(3)には、前記内燃機関(4)に接続される排気管(19L1)が、前記オイルフィルタ(34)の車幅方向外方に隣接して設けられることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造。
  4. 前記伝達機構(80)は、前記アクチュエータ(70)の駆動力を前記変速機(6)に伝達する複数の歯車(85,86,87,88)を備え、
    複数の前記歯車(85,86,87,88)は、該歯車(85,86,87,88)の回動軸線(L2,L3,L4,L5)が、車両前後方向に指向して配置されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造。
  5. 前記壁部(31)の一部は、車幅方向外方へ向って膨出される膨出部(32)として形成され、
    前記オイルフィルタ(34)は、前記膨出部(32)の前側壁(32F)の前方に、該前側壁(32F)に隣接して配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両のオイルフィルタ配置構造。
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