JP5931964B2 - 作業用具収容装置 - Google Patents
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Description
作業に必要な絶縁操作棒や絶縁ヤットコ等の間接活線用工具はバケットの縁に吊り下げた収納袋内に収容して、作業工程に応じて必要な工具を収納袋から取り出して使用する。上記間接活線工具は長尺であるため、工具はバケットの上方又は下方に大きく突出した状態となる。
ここで、バケットを移動させる際に工具と電線との接触を回避するための発明として特許文献1には、基端部をバケットの側壁の上端部によって回動自在に軸支されたベースと、ベースによって支持されると共に間接活線用工具を保持する保持部とを備えた間接活線作業用具保持装置が記載されている。ベースは保持部と共にバケットの側壁と交差し、且つ外方に向けて延出した第一姿勢と、バケットの側壁に沿って上下方向に延びる第二姿勢とに切り換え可能に構成されている。バケットの移動時にはベースを第一姿勢に変化させることで、間接活線作業用具を略水平の状態にし、間接活線作業用具と架線との接触を防止することができる。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、高所作業車のバケットに装着される作業用具収容装置であって、錯綜する架線の間を縫ってバケットを移動させる際に、作業用具を架線等に干渉させないように装置を自在に動作させうる新規な作業用具収容装置を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明は、前記ベース固定片を離間位置と近接位置との間で進退させる進退機構を備え、該進退機構は、前記ベース固定片に一体化された被ガイド部と、前記ベース部材に設けられて前記被ガイド部を上下方向にガイドするガイド部と、を備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記ベース部材は、前記収容部材が初期位置にあるときに前記収容部材の回動を禁止する回動禁止手段を備えていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記収容部材の下面は開口しており、前記収容部材の内側面適所には、作業用具を収納する収納袋を係止可能な係止部を備えていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記ベース部材に対して前記収容部材を所定の回動角度にて固定する回動角固定機構を備えたことを特徴とする。
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態に係る作業用具収容装置について図1〜図3に基づいて説明する。図1は本発明の第一の実施形態に係る作業用具収容装置の斜視図であり、(a)内箱が初期位置にある状態を示し、(b)は内箱が前進位置にある状態を示す図である。図2はベース部材の斜視図であり、(a)は正面側から観察した図であり、(b)は背面側から観察した図である。図3は、バケットとベース部材との関係を示す一部断面側面図であり、(a)はベース固定片が離間位置にある状態を示し、(b)はベース固定片が近接位置にある状態を示す図である。なお、図3においては回動機構90に関わる部分を省略している。
本実施形態に係る作業用具収容装置は、高所作業車のバケットの一の外側面に着脱自在に装着され、収容部材内に作業用具を収容した状態で、バケットの側面に沿った方向に自在に回動するように構成されている点に特徴がある。
なお、以下の説明においては、作業用具収容装置のバケット側を「背面側」、又は「後方側」とし、バケット側から離れた側を「正面側」又は「前方側」として説明する。また、バケットを正面から見たときに左右に伸びる方向を「幅方向」とし、背面と正面とを結ぶ方向を「奥行方向」として説明する。
図2に示すように、ベース部材10は、作業員が搭乗する高所作業車のバケット200の外側面202に添設されるベース板11と、ベース板11の上端部に設けられた掛止部13とを有する。
ベース板11は平板状の部材であり、収容部材50を回動自在に支持する軸穴(軸支部)91と、軸穴91中心として所定の角度範囲内にて円弧状に形成された回動角抑制穴101と、軸穴91を中心として所定の角度毎に貫通形成された複数の固定穴111と、を備える。軸穴91は後述する回動機構90を構成し、回動角抑制穴101は後述する回動角抑制機構100を構成する。回動角抑制穴101は収容部材50を回動させる際のガイドとして機能すると共に、収容部材50の回動範囲を制限する。固定穴111は後述する固定機構110を構成し、収容部材50を所定の回動角度にて固定する。
ベース板11は、収容部材50内に収容される作業用具の重量や、収容部材50の回動動作に耐えうる程度の剛性を有する材料から作製される。例えば、繊維強化プラスチックや金属等、種々の材料から作製することができる。
掛止部13のバケット200の上端縁201との接触部位には、バケット200に傷が付くことを防止する緩衝材15が配置されている。緩衝材15としては、ネオプレンゴムやスポンジ等の柔軟な素材を用いる。また、緩衝材15としてバケット200との摩擦力を高める素材を用いた場合には、掛止部13がバケット200の上端縁201に対して滑りにくくなり、ベース部材10をバケットに固定する際の滑り止めとして機能させることができる。
図3に示すように、ベース固定片20は後述する進退機構30によって、バケット200の底面203から離間した離間位置とバケット200の底面203に近接した近接位置との間を進退自在に構成されている。
ベース固定片20が離間位置にあるとき、作業用具収容装置1をバケット200に対して着脱操作する際に、ベース固定片20が着脱操作の障害とならない。その一方で、近接位置にあるベース固定片20は、バケット200に対する作業用具収容装置1の着脱操作を阻止する。特に、本実施形態においてベース固定片20は、近接位置にあるときにバケット200底面203に密着して、掛止部13との間でバケット200を上下方向に挟むことによりベース部材10をバケット200に対して固定することができる。
ベース固定片20のバケット200底面203との接触部位には、バケット200の底面203に傷が付くことを防止する緩衝材15が配置されている。図示する緩衝材15は、ベース固定片20の幅方向両端部にのみ配置されているが、ベース固定片20に対して全面的に設けられていてもよい。緩衝材15としては、ネオプレンゴムやスポンジ等の柔軟な素材を用いる。また、緩衝材15としてバケット200との摩擦力を高めうる素材を用いた場合には、ベース固定片20がバケット200の底面203に対して滑りにくくなり、ベース部材10をバケット200に固定する際の滑り止めとして機能させることができる。
図2及び図3に示すように、離間位置と近接位置との間でベース固定片20を自在に進退(上下動)させる進退機構30は、ベース板11の後方側(バケット200の外側面202と対向する側)に形成されてベース固定片20を上下方向にガイドするガイド部31と、ベース固定片20に一体化されて、ガイド部31によってガイドされる被ガイド部33と、ガイド部31の適所に係止されることにより、ベース固定片20の落下を防止する落下防止ストッパ35と、を備える。本実施形態においてベース固定片20の離間位置は、近接位置の下方、言い換えればバケット200の底面203の直下に下降した位置である。
図示する被ガイド部33は、ベース固定片20の幅方向両端部から上方に伸びる一対の帯板状の部材であり、夫々がガイド部31内に進退自在に挿通される。なお、図示するガイド部31及び被ガイド部の構成は一例に過ぎない。例えばガイド部をレール状の部材とし、被ガイド部を、レールを自在にスライドするキャリッジとしてもよい。
落下防止ストッパ35は、被ガイド部33の上端に一体化されると共に、ガイド部31の挿通穴内を通過不能な大きさを有する。落下防止ストッパ35がガイド部31の上端に係止されたときのベース固定片20の位置が離間位置である。ベース固定片20は、落下防止ストッパ35によって離間位置よりも下方への移動が阻止される。
操作用線材37は、バケット200に乗り込んだ作業員が、ベース固定片20を上下方向に移動させる際に用いる。操作用線材37は、柔軟性のある自在に折り曲げ可能な線材であり、ロープ、ゴム紐、チェーン等種々のものを用いることができる。また、操作用線材37は、弾性を有する伸縮性の材料から構成してもよいし、非伸縮性の材料から構成してもよい。前者の場合は、線材の弾性を利用してベース固定片20をバケット200の底面203に密着させることが可能となるが、バケット200に対する作業用具収容装置1のがたつきの原因とならないように、線材の有するばね定数を適宜設定する必要がある。
リング39は、操作用線材37を上部フック41又は下部フック43の何れかに掛止する際に用いる。リング39を上部フック41に掛止した場合には、ベース固定片20が離間位置にある場合において操作用線材37の垂れ下がりを防止する。また、操作用線材37の中間部を上部フック41に掛止すると共に、リング39を下部フック43に掛止すれば、ベース固定片20を近接位置に固定することができる。
収容部材について、図4、及び図5に基づいて説明する。図4は、収容部材の分解斜視図である。図5(a)〜(c)は、内箱移動機構による内箱の移動を示す側面図である。
収容部材50は、ベース部材10によって回動自在に支持されると共に前面(前方側)が開口した外箱(回動部材)53と、作業用具を収容する収容部51を有し、外箱53によって支持された内箱55(収容箱)とを備える。内箱55は外箱53内に可動に収容されており、収容部材50は入れ子式の二重構造となっている。
収容部材50のサイズは、従来使用されている収納袋と同様に幅500mm、奥行200mm、高さ1000mm程度とすることができる。従来使用されている収納袋と同様のサイズに設定することで、従来と同様の使用感を得ることができる。
外箱53は、中空の直方体の上面及び前面を開口させた形状である。
内箱55は、中空の直方体の上面及び後面の上部を開口させた形状であり、作業用具を収容する空間である収容部51を有する。内箱55の対向する2つの側面板55Sの上端部には、作業員が内箱55を可動させる際に用いる取手57が設けられている。
内箱55は、収容部材50の下部に設けられた内箱移動機構60によって外箱53に対して進退可能に構成されている。
内箱移動機構60は、外箱53の2つの側面板53Sに夫々形成された概略「へ」の字形状(上方に凸となる山形状)のガイド穴61と、内箱55の2つの側面板55Sから外方に突出形成されてガイド穴61内に挿通される被ガイド軸63と、一端部65aを外箱53の側面板53Sに設けた軸穴67によって回動自在に支持され、他端部65bを内箱55の側面板55Sに設けた軸穴68によって回動自在に支持された第一リンク片65とを備える。被ガイド軸63はガイド穴61に沿って進退移動する。
ガイド穴61と被ガイド軸63は、第一リンク片65よりも下方に位置する。また、第一リンク片65の一端部65aは、第一リンク片65の他端部65bよりも上方かつ後方に位置する。内箱55の下部がガイド穴61に沿って移動するのに対して、内箱55の上部は、軸穴67を中心として外箱53に対して円弧状に移動する(図5参照)。
被ガイド軸63がガイド穴61の頂点に達した後は、被ガイド軸63がガイド穴61によって案内されることにより、内箱55は斜め前方に向かって下降する(図5(b)、(c))。このとき、内箱55の上部は第一リンク片65によって外箱53に対する移動量及び移動方向を制限されながら、被ガイド軸63を中心とした所定の範囲内にて揺動しつつ斜め下方に移動して、前進位置にて安定する(図5(c))。
また、内箱55が前進位置にあるとき、内箱55はバケット200から離間するが、内箱55は初期位置よりも上方にあるので、内箱55が作業員から遠くなりすぎず、作業用具の取り出し易さを維持できる。
図4に示すように、可動補助板70は概略矩形平板状であり、一端部70a(一辺)を内箱55の背面板55Rの上端部(一辺)によって上下方向(図中矢印A方向)に回動自在に支持され、他端部70bを外箱53の側面板53Sに設けたガイド長穴73によって上下動可能且つ上下方向(図中矢印B方向)に回動自在に支持されている。
可動補助板70の一端部70aと、内箱55の背面板55Rの上端部には、互いに噛合する複数の凹部及び凸部が形成されている。各凸部には軸穴が幅方向に貫通形成されており、各軸穴を連通させた状態にて各穴内に軸部材71を挿通することにより、可動補助板70が背面板55Rの上端部に回動可能に一体化される。
ガイド長穴73は側面板53Sに貫通形成された上下方向に伸びる長穴である。内箱55が初期位置にあるとき、可動補助板70は内箱55の背面板55Rと略平行、且つ面一な姿勢となる。
固定間仕切81は、平板状の部材から構成される。固定間仕切81は、内箱55の下部空間を幅方向に分割するので、分割された各区画に作業用具を分類して収容できる。
可動間仕切83は、例えば帯板状のリンク片から構成される。内箱55の正面板55Fの内側には可動間仕切83の一端部83aを回動自在に軸支する丸穴86を有した支持部85が形成され、外箱53の背面板53Rの内側には可動間仕切83の他端部83bを上下動自在、且つ上下方向に回動自在に支持する長穴88を有した支持部87が形成されている。
なお、間仕切80の配置や数量は自由に設定することができる。間仕切80は、内箱55内を奥行方向にのみ複数に分割するものでもよいし、幅方向と奥行方向の双方に分割するものでもよい。例えば、固定間仕切81と可動間仕切83を格子状のパネル部材から構成することによって、収容部材50の内部空間を幅方向と奥行方向の双方に分割することができる。
作業用具収容装置1は、収容部材50をバケット200の側面に沿った方向に回動させる収容部材回動機構(以下、単に「回動機構」という)90を備えている。回動機構90について、図2、図5、及び図6を参照して説明する。図6は、ベース板と収容部材との関係を示す図であり、(a)は背面図であり、(b)は側面図である。
回動機構90は、ベース板11に貫通形成された軸穴91と、収容部材50(外箱53)の背面板53Rから後方(ベース板11側)に向けて突出形成されて軸穴91に挿通される回動軸93とを備える。回動軸93がベース板11の軸穴91内に挿通されることにより、図6(a)に示すように、収容部材50がベース板11によって回動自在に軸支持される。
外箱53に設けた回動軸93の後端部には、軸穴91の外径よりも大径、且つ軸穴91内を通過不能なフランジ部95が設けられている。図6(b)に示すようにフランジ部95は、ベース板11の後方側、即ちバケット200側に露出することにより、回動軸93が軸穴91から脱落することを防止する。
作業用具収容装置1は、収容部材50の回動角度を所定範囲に制限する回動角抑制機構(以下、単に「抑制機構」という)100を備えている。
抑制機構100は、ベース板11に貫通形成されて軸穴91を中心とした円弧状の長穴からなる回動角抑制穴101(図2、図6参照)と、収容部材50の外箱53の背面板53Rからベース板11側に突出形成されて回動角抑制穴101に挿入される回動角抑制棒103とを備える(図5、図6参照)。
抑制機構100を備えることにより、収容部材50が必要以上に回動して内部に収容した作業用具が落下することを防止する。回動角抑制穴101は、収容部材50の回動角が0度のとき(図6(a)の実線で示すに示す基準位置)を中心として、正転方向、及び逆転方向にそれぞれ所定角度ずつ回動するように設定されている。
なお、上述の回動角抑制棒と回動角抑制穴を用いた抑制機構は一例であって、収容部材50の回動角度を制限可能な機構であれば、その他の構成としてもよい。例えば、回動角抑制穴の代わりに凹所としてもよい。或いは、収容部材50が所定角度回動したときに回動角抑制棒と当接して収容部材50のその後の回動を禁止する突起をベース部材突出形成してもよい。また、回動角抑制棒をベース板11に配置し、回動角抑制穴を収容部材50に配置してもよい。
作業用具収容装置1は、ベース部材10に対して収容部材50を所定の回動角度にて固定する固定機構110(回動角固定機構)を備えている。図7は、固定機構の動作を説明する断面図であり、(a)は固定片が突出位置にある場合を示し、(b)は固定片が退避位置にある場合を示している。
固定片115は、固定穴111内を軸方向に進退する概略棒状の小径部115aと、作業員が固定片115を操作する際に握るための操作部115bとを備えている。操作部115bは挿通穴113よりも大径であり、背面板53Rからベース板11へ向けた小径部115aの突出長を所定に制限すると共に、固定片115の挿通穴113からの脱落を防止する。
操作部115bは、背面板53Rの内側に常時突出する長さを有しており、ゴムベルト117によって背面板53Rの外側(ベース板11側)に向けて常時押圧されている。
ゴムベルト117の一端部は背面板53R内側の適所に固定され、他端部は固定片115の操作部115b上を跨がって、背面板53R内側の他の適所に固定されている。ゴムベルト117は緊張した状態で背面板53Rに固定されており、ゴムベルト117の弾性変形力(収縮しようとする力)を利用して、操作部115bを押圧する構成である。
なお、上記角度固定機構の構成は一例であって、収容部材50を所定の回動角度にて固定することができれば、上記以外の構成を用いてもよい。例えば固定穴111の代わりに、外箱53に位置するベース板11に形成した凹所としてもよい。
以上説明した作業用具収容装置の使用方法について説明する。作業用具収容装置1をバケット200に取り付ける前に、収容部材50の回動角度を0度(図6に示す基準位置)に固定し、収容部材50の内箱55を初期位置にし、ベース固定片20を離間位置にしておく。
作業員は図3に示すように、本実施形態に係る作業用具収容装置1の掛止部13をバケット200の上端縁201に引っ掛ける。作業員は、操作用線材37の他端側(リング39側)を引き上げることにより、間接的にベース固定片20を離間位置から近接位置まで移動させて、ベース固定片20をバケット200の底面203に密着させる。操作用線材37の中間部を上部フックに掛止すると共に、リング39を下部フック43に掛止することで、ベース部材10をバケット200に固定する。
絶縁操作棒等の長尺の作業用具を内箱55内に出し入れする際、作業員は図5に示すように、内箱55の取手57を持って初期位置から前進位置に移動させる。内箱55が前進位置にあるとき、内箱55上部の開口が大きく広がるので、作業用具の出し入れが容易となる。
電線の間を縫ってバケット200を移動させる際に、収容部材50内に立てた長尺の作業用具が電線に引っ掛かる虞がある場合には、収容部材50を適宜回動させて、これを回避する。即ち図7に示すように、固定片115を固定穴111から引き出して退避位置に移動させると共に、図6に示すように収容部材50を所望の角度まで回動させた後、固定片115を何れかの固定穴111に掛止して、収容部材50を固定する。このようにすることで、バケット200の上端からの作業用具の突出量を抑制することができ、バケット200を移動させる際に作業用具が電線に引っ掛かる事態を効果的に防止できる。
本発明の第二の実施形態に係る作業用具収容装置について図8に基づいて説明する。図8は本発明の第二の実施形態に係る作業用具収容装置の斜視図であり、(a)は収容部材が初期位置にある状態を示し、(b)は収容部材が下降した状態を示す図である。本実施形態に係る作業用具収容装置は、従来一般的に使用されている収納袋を使用できるようにした点、及び収容装置に作用する重力方向の力によってベース固定片を進退させるようにした点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同様の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
作業用具収容装置2の収容部材120(回動部材)は、第一の実施形態の外箱53(図1参照)に相当する部材であり、ベース部材10によって回動自在に支持されている。収容部材120は、中空の直方体の少なくとも上面及び下面が開口した概略筒状に形成されている。特に、本実施形態における収容部材120は、収容部材120の下部の一部分にのみ正面板120Fを有する構成である。
収容部材120の内側面適所、本例では背面板120Rの前方側上部には、従来使用されている間接活線作業用工具を収納する収納袋210を係止可能なフック123(係止部)が形成されている。フック123には、収納袋210に設けられたループ211(被係止部)が係止される。収納袋210のループ211をフック123に掛止すると、収納袋210の下部が収容部材120の下方から突出し、収納袋210をバケット200の上端縁201に掛止した従来と同様の使用感を得ることができる。
収容部材120の背面には第一の実施形態に係る外箱53と同様に、回動機構90を構成するフランジ部95を有した回動軸93、及び、抑制機構100を構成する回動角抑制棒103が突出形成されている(図11参照)。同様に収容部材120は、固定機構110を構成する挿通穴113、固定片115、及びゴムベルト117を備えている(図9、図11参照)。
本実施形態において、収容部材120を図11(a)に示すように回動させると収納袋210は側面板120Sに当接して、収容部材120と共に傾斜する。
ベース固定片20を、バケット200の底面203から離間した離間位置とバケット200の底面203に近接した近接位置との間で進退させる進退機構130、及び進退機構に関わる作業用具収容装置の各部について説明する。図9は収容部材を除く作業用具収容装置を示した斜視図であり、(a)は正面側から観察した図であり、(b)はリンク機構部分を背面側から観察した図である。図10は、軸受可動片を示す図である。図11は、作業用具収容装置の側面図であり、(a)は収容部材が初期位置にある状態を示し、(b)は収容部材が下降位置にある状態を示す図である。
ベース板11に形成された軸穴91は、本実施形態においては上下方向に伸びる長穴であり、収容部材120と軸受可動片131はベース板11に対して上下方向に相対移動する。
進退機構130の動作概略は以下の通りである。即ち、収容部材120を下方に移動させると、軸受可動片131が下降し、アーム133がリンク機構160を作動させる。ベース固定片20は、リンク機構160の動作に応じて離間位置から近接位置へと移動する。
即ち、ベース固定片20は進退機構130によって収容部材120と連動して動作し、収容部材120が初期位置にあるときベース固定片20はバケット200の底面203から離間した離間位置にあり、収容部材120が下降位置に移動したときベース固定片はバケット200の底面203に近接した近接位置に移動する。
<ベース部材>
図9に示すように、ベース板11に貫通形成されて回動機構90を構成する軸穴91は、収容部材120の回動軸93(図11参照)の上下動を許容する長穴である。収容部材120は、回動軸93が軸穴91の下端部に位置したときに回動する。
抑制機構100を構成する回動角抑制穴101は、軸穴91の下端部を中心とした円弧状の長穴である。回動角抑制穴101は、回動軸93が軸穴91の下端部に位置した状態にて収容部材120が回動したときに、収容部材120の背面に設けた回動角抑制棒103が描く軌跡に沿って形成されている。
固定機構110を構成する固定穴111は、軸穴91の下端部を中心とする円弧に沿って所定の角度毎に形成されている。固定穴111は、回動軸93が軸穴91の下端部に位置した状態にて収容部材120が回動したときに、収容部材120の背面に設けた挿通穴113と連通する位置に形成されている。
ベース板11の上端縁には、固定片115が掛止される凹所137が形成されている。収容部材120の固定片115が凹所137に掛止されることにより、収容部材120の下降を阻止する。
軸受可動片131は図10に示すように概略平板状の部材であり、収容部材120の回動軸93を回動自在に支持する真円形の第二軸穴132と、幅方向各端部から左右方向に突出形成された一対のアーム133と、を備えている。また、軸受可動片131は、第二軸穴132の斜め上方に、軸受可動片131をベース板11に対して上昇させる方向に弾性付勢する弾性付勢部材139を係止する係止部141を備えている。第二軸穴132を回避した軸受可動片131の面内には、ベース板11の背面からバケット200側に突出形成された突起143を相対的に上下動自在に挿通するスリット状の長穴145が形成されている。図10において長穴145は、第二軸穴の直下に貫通形成されている。
弾性付勢部材139は、例えばコイルバネであり、一端部が軸受可動片131の係止部141に係止され、他端部が係止部141よりも上方に位置するベース板11の背面の適所に設けた係止部142に取り付けられている。
長穴145は、軸受可動片131がベース板11に対して上下動した場合に、ベース板11に設けた突起143の相対的な上下動を許容する。また、収容部材120を回動させる場合、軸受可動片131は、長穴145に挿通された突起143により相対回転を禁止される。
リンク機構160を作動させるには、軸受可動片131を弾性付勢部材139の弾性力に抗して下降させる必要がある。弾性付勢部材139は、収容部材120を介して軸受可動片131に所定の重力方向の力が加えられたときに下降するように設定されている。例えば、収納袋210内に数本の作業用具が収容されたときに、軸受可動片131が下降するように設定される。
図9に示すようにベース板11の幅方向両端部には、リンク機構160を支持するリンク機構支持部150が夫々形成されている。
リンク機構支持部150は、上下方向に貫通した中空の角筒状に形成されている。リンク機構支持部150の背面板151R(バケット200との対向面)には、バケット200の外側面202と接触したときに、外側面202に傷が付くことを防止する緩衝材15が配置されている。
また、リンク機構支持部150の側面板151Sは、後述するリンク機構160の駆動リンク163の一端部163aと、従動リンク165の一端部165aとを夫々回動自在に支持する(図12参照)。
リンク機構支持部150及びベース板11は、リンク機構160の動作を阻害しないように形成されている。即ち、リンク機構支持部150の背面板151Rの一部(下端部)には、切欠部152が形成され、リンク機構支持部150の前方側に位置するベース板11の一部(下端部)には、凹状の切欠部153が形成されている。各切欠部152,153は、リンク機構160と、リンク機構支持部150又はベース板11との接触を防止する。
図12は、リンク機構の動作を説明する図であり、(a)〜(c)は側面図であり、(d)は背面側から観察した図である。なお、図12(a)は収容部材が初期位置、且つベース固定片が離間位置にある場合を示し、(b)は収容部材が下降位置、且つベース固定片が近接位置にある場合を示している。
リンク機構160は、ベース固定片20を支持すると共にベース固定片20を進退させる。より具体的にいうとリンク機構160は、収容部材120及び軸受可動片131が初期位置にあるときにはベース固定片20を離間位置に維持する一方で、収容部材120及び軸受可動片131が下降位置に移動したときにはベース固定片20を近接位置に移動させる。
リンク機構160は、ベース固定片20を水平姿勢のまま離間位置と近接位置との間で進退させる平行リンク161と、平行リンク161に対してこれを作動させるための駆動力を与える入力リンク170とを備えている。
駆動リンク163の一端部163aと従動リンク165の一端部165aを夫々支持したリンク機構支持部150の側面板151Sは、いわゆる平行リンク機構の固定リンクに相当する。また、中間リンク167からバケット200側に向けて延びる延在部にはベース固定片20が配置されている。
駆動リンク163の一端部163aには、入力リンク170からの駆動力を受ける駆動片169が連結されている。駆動片169は駆動リンク163の長手方向と交差する方向に伸びると共に、駆動リンク163との相対変位が禁止されており、駆動片169と駆動リンク163は一体的に動作する。なお、図12(a)〜(c)においては、リンク機構160の動作を理解しやすくするため、駆動リンク163と駆動片169との間の線を一部省略して描画している。
平行リンク161は入力リンク170から入力された駆動力により、平行四辺形状を保持したまま変形動作する。この過程で、離間位置にあったベース固定片20は、円弧状の軌跡を描きながら近接位置にまで移動して、バケット200の底面203に密着する。このように本例においてベース固定片20はリンク機構160によって、バケット200の外側面202よりも前方側に退避した離間位置と、バケットの底面に近接した近接位置との間を進退する。
本実施形態に係る作業用具収容装置の使用方法について説明する。
図13は、作業用具収容装置の動作を収容部材側から観察した図であり、(a)は収容部材が初期位置にある場合を示し、(b)は収容部材が下降位置にある場合を示している。図14は、作業用具収容装置の背面図であり、特に収容部材の回転動作について説明する図である。なお、図13では説明の便宜上、固定機構110の一部についての図示を省略している。
予め、収容部材120の固定片115をベース板11の凹所137に掛止して、収容部材120が図11(a)に示す初期位置から移動しないようにしておく。収容部材120が初期位置にあるとき、収容部材120はスリット135によってその回動が禁止されるので、バケット200に対して作業用具収容装置2を安全に着脱できる。
この状態でバケット200の上端縁201にベース部材10の掛止部13を掛止し、固定片115を引き出して凹所137による掛止状態を解除する。収納袋210内に必要な作業用具を収容すると、作業用具及び収容部材120等の自重により、収容部材120が弾性付勢部材139の弾性付勢力に抗して下降する。なお、重量不足で収容部材120が下降しない場合には、作業員が収容部材を上から下に向かって押し付けるようにすればよい。
すると、収容部材120が下降して下降位置に移動する(図11(b))。また、収容部材120の下降と共に軸受可動片131が下降するので、リンク機構が作動して、ベース固定片20が離間位置から近接位置に移動する。固定片115を何れかの固定穴111に掛止すれば、ベース固定片20を近接位置に固定することができる。このように、作業用具収容装置1をバケット200に対して着脱操作する際の操作が自動化されている。
また、ベース固定片20が近接位置に固定されたとき、収容部材120は回動軸93及び軸穴91の下端部を中心として図14の点線のように回動する。また、収容部材120を所望の角度まで回動させると共に、固定片115を何れかの固定穴111に掛止することで、収容部材120を所望の回動角度にて固定することができる。
以上、本発明の作業用具収容装置に関して、2つの実施形態に基づいて説明した。第一の実施形態と第二の実施形態は、矛盾しない限り適宜構成を入れ替えて実施することができる。例えば、第一の実施形態に係る収容部材の構成と、第二の実施形態に係るベース固定片可動機構とを組み合わせた作業用具収容装置として実施してもよい。或いは、第一の実施形態に係るベース固定片可動機構と、第二の実施形態に係る収容部材の構成と、を組み合わせた作業用具収容装置として実施してもよい。
本発明は、それぞれ以下の態様にて実施することができる。
<第一の実施態様>
本態様は、上面が開口したバケット200の一外側面202に着脱自在に装着される作業用具収容装置1、2であって、バケットの上端縁201に掛止する掛止部13を備えたベース部材10と、バケットの底面203から離間した離間位置とバケットの底面に近接した近接位置との間を進退自在に構成されて、近接位置にあるときに掛止部との間でバケットを挟むことによりベース部材をバケットに対して固定するベース固定片20と、作業用具を収容する収容部51を有し、バケットの一外側面と並行な方向に回動するようにベース部材によって支持された収容部材50と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、作業用具を収容する収容部材がバケットの一外側面と並行な方向に回動するので、バケットを移動させる際に作業用具を架線等に干渉させないようにすることができる。また、収容部材の回動方向がバケットの一外側面と並行な方向であるので、作業用具のバケットからの突出量を最小限にしながら、架線等への干渉を防止できる。
本態様に係る作業用具収容装置は、ベース固定片20を離間位置と近接位置との間で進退させる進退機構30を備え、進退機構は、ベース固定片に一体化された被ガイド部33と、ベース部材10に設けられて被ガイド部を上下方向にガイドするガイド部31と、を備えることを特徴とする。
本態様における進退機構は非常に簡易な構成であるため、作業用具収容装置自体を軽量化できる。
なお、本態様における収容部材は、第一の実施形態に示した収容部材50としてもよいし、第二の実施形態に示した収容部材120としてもよい。
本態様に係る作業用具収容装置は、ベース固定片20を離間位置と近接位置との間で進退させる進退機構130を備え、進退機構は、収容部材をバケット200の一外側面202と並行な方向に回動自在に支持すると共に、収容部材と共にベース部材10に対して上昇した初期位置と下降した下降位置との間で上下動するようにベース部材によって支持された軸受可動片131と、軸受可動片の上下動に応じて作動して、ベース固定片を進退させるリンク機構160と、を備え、リンク機構は、収容部材及び軸受可動片が初期位置にあるときにはベース固定片を離間位置に維持する一方で、収容部材及び軸受可動片が下降位置に移動したときにはベース固定片を近接位置に移動させることを特徴とする。
収容部材内に必要な作業用具が収容されたとき、作業用具及び収容部材の自重により、収容部材及び軸受可動片が下降位置に移動する。収容部材及び軸受可動片の下降によりリンク機構が作動して、ベース固定片が離間位置から近接位置に移動する。本実施態様では、作業用具収容装置をバケットに対して着脱操作する際の操作を自動化できる。
なお、本態様における収容部材は、第一の実施形態に示した収容部材50としてもよいし、第二の実施形態に示した収容部材120としてもよい。
本態様に係る作業用具収容装置においてベース部材10は、収容部材が初期位置にあるときに収容部材の回動を禁止する回動禁止手段(スリット135)を備えていることを特徴とする。
収容部材120が初期位置にあるとき、収容部材120はスリット135によってその回動が禁止されるので、バケット200に対して作業用具収容装置2を安全に着脱できる。
本態様に係る作業用具収容装置において収容部材50は、ベース部材10によって回動自在に支持されると共に前面が開口した外箱53と、収容部51を有し外箱によって支持された内箱53と、を備え、内箱は、外箱内の奥部に収容された初期位置と、外箱内から前方且つ斜め上方へ移動した前進位置との間で進退可能に構成されていることを特徴とする。
内箱55を前進位置に移動させることで初期位置にあるときに比して作業用具の出し入れが容易となる。
本態様に係る作業用具収容装置の収容部材120の下面は開口しており、収容部材の内側面適所には、作業用具を収納する収納袋210を係止可能な係止部(フック123)を備えていることを特徴とする。
従来一般的に使用されている収納袋を使用できる。
ベース部材10に対して収容部材50、120を所定の回動角度にて固定する回動角固定機構110を備えたことを特徴とする。
バケット200の移動の際に、作業員が収容部材を支持する必要がない。
Claims (7)
- 上面が開口したバケットの一外側面に着脱自在に装着される作業用具収容装置であって、
前記バケットの上端縁に掛止する掛止部を備えたベース部材と、
前記バケットの底面から離間した離間位置と前記バケットの底面に近接した近接位置との間を進退自在に構成されて、近接位置にあるときに前記掛止部との間で前記バケットを挟むことにより前記ベース部材を前記バケットに対して固定するベース固定片と、
作業用具を収容する収容部を有し、前記バケットの一外側面と並行な方向に回動するように前記ベース部材によって支持された収容部材と、を備えることを特徴とする作業用具収容装置。 - 前記ベース固定片を離間位置と近接位置との間で進退させる進退機構を備え、
該進退機構は、前記ベース固定片に一体化された被ガイド部と、前記ベース部材に設けられて前記被ガイド部を上下方向にガイドするガイド部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業用具収容装置。 - 前記ベース固定片を離間位置と近接位置との間で進退させる進退機構を備え、
該進退機構は、前記収容部材を前記バケットの一外側面と並行な方向に回動自在に支持すると共に、前記収容部材と共に前記ベース部材に対して上昇した初期位置と下降した下降位置との間で上下動するように前記ベース部材によって支持された軸受可動片と、該軸受可動片の上下動に応じて作動して、前記ベース固定片を進退させるリンク機構と、を備え、
前記リンク機構は、前記収容部材及び前記軸受可動片が初期位置にあるときには前記ベース固定片を離間位置に維持する一方で、前記収容部材及び前記軸受可動片が下降位置に移動したときには前記ベース固定片を近接位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の作業用具収容装置。 - 前記ベース部材は、前記収容部材が初期位置にあるときに前記収容部材の回動を禁止する回動禁止手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の作業用具収容装置。
- 前記収容部材は、前記ベース部材によって回動自在に支持されると共に前面が開口した外箱と、前記収容部を有し前記外箱によって支持された内箱と、を備え、
前記内箱は、前記外箱内の奥部に収容された初期位置と、前記外箱内から前方且つ斜め上方へ移動した前進位置との間で進退可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の作業用具収容装置。 - 前記収容部材の下面は開口しており、前記収容部材の内側面適所には、作業用具を収納する収納袋を係止可能な係止部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の作業用具収容装置。
- 前記ベース部材に対して前記収容部材を所定の回動角度にて固定する回動角固定機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の作業用具収容装置。
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