JP5930358B2 - 光学シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学シートの製造方法、光学シート、この光学シートを備える表示装置用光学フィルタおよび表示装置および表示装置に関する。
近年、薄型かつ大型のディスプレイの普及に伴い、家庭用テレビや業務用ディスプレイ装置など、使用される用途も多様化し、ディスプレイの画質についても高いレベルが要求されつつある。
これらに使用される光学シートについても、透過率やコントラストを向上させる機能等が要求されている。このようなことから、例えば、コントラストを向上させるコントラスト向上機能層を有する光学シートを配置する場合がある。
このようなコントラスト向上機能層は、シート面に沿って配列された、光を透過させる複数の光透過部と、光透過部間に配置され、かつ光を吸収する複数の光吸収部とを備えている。このコントラスト向上機能層によれば、映像光を光透過部から出射させることができるとともに、外光等を光吸収部により吸収することができるので、コントラストを向上させることができる。このようなコントラスト向上機能層を有する光学シートは、例えば以下のようにして作製することができる。
第1の方法においては、まず、光吸収部に対応する形状の溝を有する型ロールと圧ロールとの間にプライマー層を有する基材シートを送り込む。基材シートの送り込みに合わせて、型ロールと基材シートとの間に光吸収部形成用組成物を供給し、この組成物を硬化させて、光吸収部を形成する。その後、基材シートを型ロールから引き剥がすことにより、型ロールから光吸収部を引き抜く。光吸収部を型ロールから引き抜いた後、光吸収部間に光透過部形成用組成物を供給し、この組成物を硬化させて、光透過部を形成する(例えば、特許文献1参照)。
第2の方法においては、まず、光吸収部に対応する形状の溝を有する金型に光吸収部形成用組成物を供給して、余分な光吸収部形成用組成物を掻き取る。次いで、基材シートに設けられた粘着層と金型とを密着させた後、電離放射線によって光吸収部形成用組成物を硬化させて、光吸収部を形成する。そして、基材シートを金型から引き剥がすことにより、光吸収部を金型から引き抜く。光吸収部を金型から引き抜いた後、光吸収部間に光透過部形成用組成物を供給し、この組成物を硬化させて、光透過部を形成する(例えば、特許文献2参照)。
第3の方法においては、まず、光透過部に対応する形状の溝を有する型ロールと基材シートとの間に光透過部形成用組成物を供給し、電離放射線によって光透過部形成用組成物を硬化させて、光透過部を形成する。次いで、光透過部間の溝が埋め込まれるように光透過部の表面に着色粘着層を形成して、光吸収部を形成する(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、第1の方法においては、プライマー層上に光吸収部を形成しているので、基材シートと光吸収部との密着性が劣るおそれがある。また、第2の方法においては、粘着層と金型とを密着させているので、光吸収部を金型から離型しにくく、光学シートの生産性が劣るおそれがある。さらに、第3の方法においては、光透過部の溝以外に、光透過部上にも光吸収部が形成されているので、映像光の透過率が低下してしまうおそれがある。
また、特許文献4には、粘着剤を用いて光透過部を形成することが開示されているが、この光学シートにおいては、光吸収部の幅広側と、光吸収部の幅広側に接している基材シートとは接着されていないので、密着性に劣るおそれがある。
特許第2994073号公報 特開2008−309829号公報 特開2008−181056号公報 特開2010−113164号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、基材シートに対するコントラスト向上機能層の密着性を向上させることをでき、型から光吸収部を離型しやすく、透過率の低下を抑制できる光学シートの製造方法を提供することを目的とする。また、基材シートに対するコントラスト向上機能層の密着性が向上し、光透過率の低下を抑制できる光学シートおよび表示装置用光学フィルタを提供することを目的とする。さらに、基材シートに対するコントラスト向上機能層の密着性が向上し、光透過率の低下を抑制できる表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、並列して設けられかつ開口部が底部より幅広の複数の溝を有する型に、電離放射線硬化型樹脂組成物および光吸収材を含む光吸収部形成用組成物を供給して、前記溝に光吸収部形成用組成物を充填する工程と、前記溝内の前記光吸収部形成用組成物と、基材シートの一方の面に形成された、電離放射線硬化型樹脂組成物を含む透明樹脂層とが接触するように、前記型に前記透明樹脂層を接触させる工程と、前記基材シートを介して、前記光吸収部形成用組成物と前記透明樹脂層に電離放射線を照射し、前記透明樹脂層と前記光吸収部形成用組成物とを硬化させて、硬化透明樹脂層と前記硬化透明樹脂層上に底部が先端部よりも幅広の複数の光吸収部とを形成する工程と、前記光吸収部を前記型から離型する工程と、前記光吸収部間に光透過部を形成する工程とを具備することを特徴とする、光学シートの製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、並列して設けられかつ開口部が底部より幅広の複数の溝を有する型に、電離放射線硬化型樹脂組成物および光吸収材を含む光吸収部形成用組成物を供給して、前記溝に光吸収部形成用組成物を充填する工程と、前記光吸収部形成用組成物に電離放射線を照射し、前記光吸収部形成用組成物を硬化させて、複数の光吸収部を形成する工程と、前記溝内の前記光吸収部と、基材シートの一方の面に形成された、電離放射線硬化型樹脂組成物を含む透明樹脂層とが接触するように、前記型に前記透明樹脂層を接触させる工程と、前記基材シートを介して、前記透明樹脂層に電離放射線を照射し、前記透明樹脂層を硬化させて、硬化透明樹脂層を形成するとともに、前記硬化透明樹脂層に底部が先端部よりも幅広の複数の光吸収部を固着させる工程と、前記光吸収部を前記型から離型する工程と、前記光吸収部間に光透過部を形成する工程とを具備することを特徴とする、光学シートの製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、基材シートと、前記基材シートの一方の面に形成された、電離放射線硬化型樹脂組成物を含む透明樹脂層の硬化物である硬化透明樹脂層と、前記硬化透明樹脂層上に並列して形成された複数の光吸収部と、前記光吸収部間に形成された複数の光透過部とを備えるコントラスト向上機能層とを備え、前記光吸収部が、前記硬化透明樹脂層に固着した底部と前記底部より幅が狭い先端部とを有し、かつ前記光吸収部が実質的に離型剤を含んでおり、前記硬化透明樹脂層が実質的に離型剤を含んでいないことを特徴とする、光学シートが提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の光学シートを備えることを特徴とする、表示装置用光学フィルタが提供される。
本発明の他の態様によれば、表示部と、前記表示部よりも観察者側に配置された上記の光学シートとを備え、前記光吸収部の先端部が前記光吸収部の底部よりも観察者側に位置していることを特徴とする、表示装置が提供される。
本発明の一の態様および他の態様によれば、基材シートに対するコントラスト向上機能層の密着性を向上させることをでき、型から光吸収部を離型しやすく、光透過率の低下を抑制できる光学シートの製造方法を提供できる。
本発明の他の態様によれば、基材シートに対するコントラスト向上機能層の密着性が向上し、光透過率の低下を抑制できる光学シートおよび表示装置用光学フィルタを提供できる。また、硬化透明樹脂層には、実質的に離型剤を含まれていないので、基材シートと硬化透明樹脂層との密着性を向上させることができる。
本発明の他の態様によれば、基材シートに対するコントラスト向上機能層の密着性が向上し、光透過率の低下を抑制できる表示装置を提供できる。
第1の実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る他の光学シートの製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る他の光学シートの作用効果を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る光学シートの他の製造工程を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る光学シートを備えた表示装置の断面図である。 第1の実施の形態に係る光学シートを備えた他の表示装置の断面図である。 第1の実施の形態に係る光学シートを備えた他の表示装置の断面図である。 第1の実施の形態に係る光学シートを備えた他の表示装置の断面図である。 第1の実施の形態に係る光学シートを備えた他の表示装置の断面図である。 第2の実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。 第2の実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。
(第1の実施の形態)
<光学シートの製造方法>
先ず、第1の実施の形態に係る光学シートの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1(a)〜図5(b)は、本実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。図6(a)および図6(b)は、本実施の形態に係る他の光学シートの製造工程を示す模式図であり、図7は本実施の形態に係る他の光学シートの作用効果を示す模式図であり、図8(a)および図8(b)は、本実施の形態に係る光学シートの他の製造工程を示す模式図である。
まず、並列して設けられた複数の溝1aを有する型1に光吸収部形成用組成物2を供給して、溝1aに光吸収部形成用組成物2を充填する(図1(a))。型1としては、例えば金型ロールを使用することができる。
溝1aは、開口部1bが底部1cよりも幅広となっている。すなわち、溝1bの断面形状は開口部1bから底部1cに向けて先細る略V字状または底部1cを上底、開口部1bを下底とする略台形状となっている。溝1aの断面形状は、略三角形状の後述する光吸収部8を形成することができる点から略V字状になっていることが好ましい。
溝1aの深さは、50〜200μmであることが好ましい。溝1aの深さを上記範囲としたのは、50μm未満であると、光吸収材を充填しても外光吸収が十分でないために十分なコントラストが得られないおそれがあるからであり、また、200μmを超えると、光吸収部8を型1から剥離する際に型1からの剥離力が大きくなり、後述する基材シート3が破断したり、型1内に光吸収部8が残存するおそれがあるからである。
光吸収部形成用組成物2は、電離放射線硬化型樹脂組成物と光吸収材を含んでいる。電離放射線硬化型樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物である。この樹脂組成物としては、従来、電離放射線硬化成分として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーおよびプレポリマーの中から適宜選択したものによって構成することができる。
電離放射線硬化型樹脂組成物としては、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーを使用することができる。
また、上記電離放射線硬化型樹脂組成物中には、反応性希釈モノマーを添加してもよく、このような反応性希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、スチレン等のビニルモノマー、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモノホリン等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。また、多官能モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、組成物中に光重合開始剤や光増感剤等を混合して用いる。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類、ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキサイドやビスアシルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、アミノケトン類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキサイドやビスアシルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、アミノケトン類が好ましい。これらの物質が好ましいとしたのは、これらの物質は、光吸収部8の表面のみならず内部まで確実に硬化させることができるので、光吸収部8の硬さを向上させることができ、光吸収部8の離型性を良好にすることができるからである。また、光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
光吸収材は、迷光や外光を吸収するように作用するものである。光吸収材としては、樹脂ビーズやガラスビーズに、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収できる着色微粒子を使用してもよく、カーボンブラック、グラファイト、繊維状炭素、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等の着色剤を練り込んだものを使用することができる。着色剤の練り込み易さの観点からは、樹脂ビーズを用いることが好ましい。樹脂ビーズとしては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩ビビーズ等を好適に使用することができる。また、ウレタン架橋微粒子やシリコン系ビーズも好適に使用できる。これらの樹脂ビーズは、上記した電離放射線硬化型樹脂組成物との屈折率差が0.1程度以下のものを用いることが好ましい。また、着色剤を練り込む前の樹脂としては、透明な樹脂でも使用できるが、顔料または染料等で着色された樹脂を用いることが好ましく、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収するものであってよいが、好ましくは黒色に着色された樹脂ビーズが用いられる。
着色剤としては、上記したもののなかでもカーボンブラックが好適に使用できる。樹脂ビーズへのカーボンブラックの練り込み量は、樹脂ビーズ1質量部に対してカーボンブラックを0.1〜0.7質量部程度であり、好ましくは0.15〜0.5質量部、より好ましくは0.2〜0.35質量部である。カーボンブラックの練り込み量が0.7質量部よりも多いと樹脂ビーズが割れやすくなる場合があり、一方、0.1質量部よりも少ないと、所望の黒色性を有する着色微粒子を得られない場合がある。また、カーボンブラックは、平均粒子径が10〜500nmのものを好適に使用することができ、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等が使用できる。また、市販のものを使用することもでき、例えば、HCFシリーズ、MCFシリーズ、RCFシリーズ、LFFシリーズ(いずれも三菱化学株式会社製)、バルカンシリーズ(キャボット社製)、ケッチェンシリーズ(ライオン株式会社製)を好適に使用することができる。なお、ここでの平均粒子径とは、カーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径を意味する。
電離放射線硬化型樹脂組成物への光吸収材の分散性を向上させるために、光吸収材を表面処理しておくこともできる。表面処理としては、従来公知のシリカコーティングによる親水処理や、プラズマ等による表面改質が挙げられる。
光吸収部形成用組成物2には、さらに離型剤を含ませることが好ましい。離型剤は型1からの光吸収部8の剥離性を良好にするためのものであり、疎水性のものである。離型剤としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、リン酸エステル、シリコーンオイル等が挙げられる。これらの中でも特に剥離性に優れている観点からリン酸エステルが好ましい。
離型剤は、電離放射線硬化型樹脂組成物100質量部に対して、0.02〜1.50質量部の割合で添加されることが好ましい。離型剤の添加量を上記範囲としたのは、0.02質量部未満であると、離型効果が不十分となり、また1.50質量部を超えると、光吸収部形成用組成物2中で長期保存した際に、離型剤が分離したり、得られた光学シートの湿熱試験や高温試験で離型剤成分が析出するおそれがあるからである。
光吸収部形成用組成物2の粘度は、500〜5,000mPa・sの範囲であることが好ましい。この範囲が好ましいとしたのは、光吸収部形成用組成物2の粘度が500mPa・s未満であると、光吸収部形成用組成物2の掻き取り性は良好であるものの、溝1aに光吸収部形成用組成物2を充満させることが困難となるからである。また、粘度が5,000mPa・sを超えると、光吸収部形成用組成物2の粘度が高すぎて溝1aの底部1cまで光吸収部形成用組成物2が充填されない場合がある。また、光吸収部形成用組成物2の掻き取り性が悪化する。なお、光吸収部形成用樹脂組成物2の粘度は、B型粘度計を用いて25℃の環境下にて測定した値を意味するものとする。
次いで、例えばドクターブレード等の掻取部材(図示せず)を用いて、型1上に存在する余分な光吸収部形成用組成物2を掻き取る(図1(b))。
一方で、基材シート3の一方の面に粘着層4を形成する(図2(a))。基材シート3は、後述する光吸収部8や光透過部10を形成するためのベースとなる層である。
基材シート3としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスを用いることができる。透明樹脂フィルムとしては、トリアセテートセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルロニトリルフィルム等を好適に使用できるが、これらの中でも、ポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。ポリエステル系フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートの他、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
粘着層4は、コントラスト向上機能層を表示装置の表示部の映像光出射面に直接または他の層を介して間接的に貼り付けるためのものである。粘着層4に用いられる粘着剤は、電離放射線および映像光を透過させるとともに、適切にコントラスト向上機能層を他に接着することができれば、その材料は特に限定されるものではない。粘着剤としては、例えばアクリル系の共重合体等や感圧接着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)が挙げられる。
基材シート3の一方の面に粘着層4を形成した後、粘着層4の基材シート3が形成された面とは反対側の面に剥離フィルム5を積層する(図2(b))。剥離フィルム5は、光学シートが表示装置のディスプレイに取り付けられるまでの間、粘着層4を汚れ等から保護する役割をする。従って、光学シートが表示装置のディスプレイに取り付けられる際には、剥離フィルム5は剥がされる。
その後、基材シート3の粘着層4が形成された面とは反対側の面に透明樹脂組成物を塗布して、基材シート3上に透明樹脂層6を形成する(図2(c))。
透明樹脂層6を構成する透明樹脂組成物は、電離放射線硬化型樹脂組成物を含んでいる。この電離放射線硬化型樹脂組成物としては、光吸収部形成用組成物2に含まれる電離放射線硬化型樹脂組成物と同様のものを使用することができるので、ここでは説明は省略するものとする。
そして、溝1a内の光吸収部形成用組成物2と透明樹脂層6とが接触するように、型1に透明樹脂層6を接触させる(図3(a))。型1に透明樹脂層6を接触させると、光吸収部形成用組成物2が透明樹脂層6に密着する。
ここで、型1に透明樹脂層6を接触させる前に、溝1aに充填された光吸収部形成用組成物2と、透明樹脂層6との少なくともいずれか、好ましくは光吸収部形成用組成物2と透明樹脂層6の両方を半硬化させることが好ましい。光吸収部形成用組成物2と、透明樹脂層6との少なくともいずれかを半硬化させることにより、光吸収部形成用組成物2が透明樹脂層6と混ざり合うことを抑制することができる。
上記「半硬化」とは、光吸収部形成用組成物2の内部や透明樹脂層6の内部は硬化されているが、光吸収部形成用組成物2の表面や透明樹脂層6の表面は硬化されていない状態を意味する。この半硬化は、例えば、空気中にて光吸収部形成用組成物2や透明樹脂層6を硬化させることにより行われる。
その後、型1に透明樹脂層6を接触させた状態で、剥離フィルム5側(基材シート3側)から電離放射線を照射して、透明樹脂層6および光吸収部形成用組成物2を硬化させて、硬化透明樹脂層7および光吸収部8を形成する(図3(b))。光吸収部8は、硬化透明樹脂層7と光吸収部8との間の界面にて硬化透明樹脂層7に固着されている。「硬化透明樹脂層」とは、内部のみならず、表面も硬化された透明樹脂層を意味し、未硬化状態や半硬化状態の透明樹脂層は含まない。
電離放射線として、電子線を照射する場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速機から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等を使用することができる。また、紫外線を照射する場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用することができる。
硬化透明樹脂層7および光吸収部8を形成した後、光吸収部8を型1から離型する(図4(a))。光吸収部8は、硬化透明樹脂層7に対して光吸収部8と硬化透明樹脂層7との間の界面にて固着しているので、型1から基材シート3を剥離することにより、型1から光吸収部8を離型することができる。
光吸収部8は、底部8aが先端部8bよりも幅広となっている。図1(a)等に示される型1の溝1aは断面形状が開口部1bから底部1cに向けて先細る略V字状となっているので、図4(a)では光吸収部8の断面形状も底部8aから先端部8bに向けて先細る略三角形状になっている。なお、溝1aの断面形状が底部1cより開口部1bが広い略台形状の場合には、光吸収部8の断面形状は、底部8aが先端部8bよりも幅広の略台形状となる。
図4(a)においては、硬化透明樹脂層7と光吸収部8との界面は略平坦状となっているが、図6(a)に示されるように光吸収部8の底部8aが凹んでいるとともに硬化透明樹脂層7における光吸収部8の下方に位置する部分が隆起し、この硬化透明樹脂層7の隆起部7aが光吸収部8の底部8aの凹みに入り込んでいてもよい。このような光吸収部8の底部8aの凹みおよび硬化透明樹脂層7の隆起部7aは、光吸収部形成用組成物2および透明樹脂層6の硬化の際に、光吸収部形成用組成物2が収縮するとともに、この収縮に追随して光吸収部形成用組成物2の下方に存在する透明樹脂層6の部分が光吸収部形成用組成物2側に引っ張られることにより形成される。
また、型1から離型した光吸収部8を巻き取り法で搬送する場合には、粘着層付きサイドテープ(図示せず)を、光吸収部8が形成された基材シート3の幅方向の両端部に基材シート3の長手方向に沿って貼り付けることが好ましい。この粘着層付きサイドテープは、光吸収部8の高さ以上の厚さを有するものである。粘着層付きサイドテープを基材シート3に設けることにより、巻締り等による光吸収部8の破損を防ぐことができる。
光吸収部8を形成した後、光吸収部8間に光透過部形成用組成物9を供給する(図4(b))。光透過部形成用組成物9は粘着剤を含んでいる。
粘着剤としては、特に限定されないが、光学シートの貼り合わせに多く用いられていること等からアクリル系等の感圧接着剤が好ましい。光透過部形成用組成物は、実質的に離型剤を含んでいない。
光透過部形成用組成物9には、粘着剤の他、近赤外線を吸収可能な近赤外線吸収色素、プラズマディスプレイから放射されるネオン光を吸収するNe光吸収色素、表示画像を好みの色調(天然色、あるいは天然色から多少偏移した色)に補正するための色補正色素の少なくともいずれかの色素、好ましくは全ての色素を含ませることも可能である。
近赤外線吸収色素としては、具体的には、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、シアニン系色素、ナトフキノン系色素、アントラキノン系色素、ジチオール系色素、イモニウム系色素、アミニウム系色素、ピリリウム系色素、セリリウム系色素、スクアリリウム系色素、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類の有機系赤外線吸収色素が挙げられる。これらの中でも、ジイモニウム系色素は、可視光透過率が極めて高いことから近赤外線吸収色素として好ましい。
Ne光吸収色素としては、ネオン原子の発光スペクトル帯域、すなわち550nm〜660nmの波長領域を吸収し、かつこの波長領域を除いた可視光領域380nm〜780nmの波長領域中でなるべく吸収が少なくて十分な光透過率を有する色素が好ましい。Ne光吸収色素としては、具体的には、シアニン系色素、オキソノール系色素、メチン系色素、サブフタロシアニン系色素、ポリフィリン系色素、またはこられの混合物等が挙げられる。
色補正色素としては、有機系色素、無機系色素、またはこれらの混合物が挙げられる。具体的には、アントラキノン系色素、ナフタレン系色素、アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ピロメテン色素、テトラアザポリフィリン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素等が挙げられる。
次いで、例えばドクターブレード等の掻取部材(図示せず)を用いて、光吸収部上に存在する余分な光透過部形成用組成物9を掻き取り、乾燥させる。これにより、光透過部10が形成され、光吸収部8および光透過部10を有するコントラスト向上機能層11が形成される(図5(a))。
上記においては、光吸収部8間に光透過部形成用組成物9を直接供給し、その後余分な光透過部形成用組成物9を掻き取ることにより、光透過部10を形成しているが、光吸収部8間に光透過部形成用組成物9を形成する方法としては、この方法の他、(1)ベース基材上に光透過部形成用組成物を塗布し、半乾燥させた後、光吸収部が光透過部形成用組成物に密着するように光透過部形成用組成物に基材シートごとを押し付けて、ラミネートする方法、(2)予め、ベース基材と、ベース基材上に塗布された層状の光透過部形成用組成物と、光透過部形成用組成物上に積層された剥離フィルムとを有するフィルムを形成しておき、剥離フィルムを剥がし、光吸収部が光透過部形成用組成物に密着するように光透過部形成用組成物に基材シートごとを押し付けて、ラミネートする方法等がある。
上記(1)の方法は、例えば、図8(a)に示される装置を用いて行うことが可能である。図8(a)に示されるように、この装置は、光透過部形成用組成物9を塗布する塗布ヘッド71と、塗布ヘッド71よりも下流に配置された一対のニップロール72、73とを備えている。この装置においては、ベース基材74を図8(a)中の矢印方向に流しながら、塗布ヘッド71からベース基材74上に光透過部形成用組成物9を塗布し、その後ニップロール72、73により光吸収部8が光透過部形成用組成物9に密着するように光透過部形成用組成物9に基材シート3ごとを押し付ける。これにより、光吸収部8間に光透過部形成用組成物9が入り込み、光透過部10が形成される。この方法によれば、比較的柔らかい状態の光透過部形成用組成物9に光吸収部8を押し付けるので、光吸収部8の形状に追随した光透過部10を形成することができる。
上記(2)の方法は、例えば、図8(b)に示される装置を用いて行うことが可能である。図8(b)に示されるように、この装置は、後述する剥離フィルム79を剥離するための剥離ロール75と、剥離ロール75よりも下流に配置された一対のニップロール76、77とを備えている。この装置においては、ベース基材78と、ベース基材78上に塗布された層状の光透過部形成用組成物9と、光透過部形成用組成物9上に積層された剥離フィルム79とを有するフィルム80を図8(b)中の矢印方向に流しながら、剥離フィルム79を剥離ロール75により剥がし、その後、ニップロール76、77により光吸収部8が光透過部形成用組成物9に密着するように光透過部形成用組成物9に基材シート3ごとを押し付ける。これにより、光吸収部8間に光透過部形成用組成物9が入り込み、光透過部10が形成される。この方法によれば、予めフィルム80を作成しておき、かつ作成されたフィルム80のうち良品と判断されたフィルム80のみを使用するので、光透過部形成用組成物9の塗布不良等により、光吸収部8を有する基材シート3を無駄にすることがない。これにより、後述する光学シート13の歩留まりを向上させることができる。
最後に、光透過部10上に剥離フィルム12を直接積層する(図5(b))。これにより、光学シート13が作製される。なお、図6(a)のような硬化透明樹脂層7の隆起部7aが光吸収部8の底部8aの凹み部分に入り込んでいる場合には、図6(b)に示されるような光学シート14が形成される。
本実施形態によれば、光吸収部形成用組成物2を基材シート3の一方の面に形成された透明樹脂層6に接触させた状態で、光吸収部形成用組成物2と透明樹脂層6とを硬化させるので、基材シート3に対する光吸収部8の密着性を向上させることができる。これにより、基材シート3に対するコントラスト向上機能層11の密着性を向上させることができる。
本実施形態によれば、透明樹脂層6が粘着層となっていないので、型1から光吸収部8を離型しやすい。また、光透過部10は、光吸収部8または光吸収材を含む層で覆われていないので、光透過率の低下を抑制できる。
本実施形態によれば、余分な光吸収部形成用組成物2を掻き取る際に、掻取部材により型1上を掻くので、スジ不良や帯ムラを低減することができる。
本実施形態によれば、光透過部10が粘着層となっているので、光透過部10上に更なる粘着層を設けずに他の層を貼り付けることができる。これにより、層数を削減することができる。
本実施形態によれば、光吸収部8の先端部8bが底部8aよりも観察者側に配置された場合であっても、基材シート3側に粘着層4を配置することができ、工程数を削減することができる。
本実施形態によれば、断面形状が略V字状の溝1aを有する型1を用いて光吸収8を形成しているので、より鋭角な先端部8bを有する略三角形状の光吸収部8を形成することができる。すなわち、型の溝はバイトによる切削により形成されるが、型に光透過部に対応する形状の溝を形成する場合、光吸収部の先端部に対応する部分を鋭角にすることは極めて困難である。したがって、光透過部に対応する形状の溝を有する型を用いて光透過部を形成し、その後光透過部間の溝に光吸収部を形成した場合には、光吸収部の先端は平坦となってしまうおそれがある。これに対し、本実施形態においては、型1に光吸収部8に対応する形状の溝1aを形成しているので、溝1aの底部1cを鋭角にすることができる。これにより、より鋭角な先端部8bを有する略三角形状の光吸収部8を形成することができる。なお、映像光源が光吸収部8の底部8a側に配置されている場合において、先端部8bが鋭角になっている場合には、先端部8bが平坦となっている場合によりも映像光を全反射させることができる領域が増えるので、より映像光を集光させることができる。
硬化透明樹脂層7の光吸収部8に接触している部分が平坦である場合には、光吸収部8に向かう映像光は光吸収部8で吸収されてしまう。これに対し、光学シート14においては、図7に示されるように硬化透明樹脂層7の隆起部7aが光吸収部8の底部8aの凹みに入り込んでいるので、硬化透明樹脂層7の隆起部7aに入射した映像光の一部は、隆起部7aにより屈折し、光吸収部8に吸収されずに出射する。これにより、コントラストを維持しながら映像光の透過率を向上させることができる。
<光学シート>
上記のようにして得られた光学シート13は、基材シート3と、基材シート3の一方の面に形成された硬化透明樹脂層7と、硬化透明樹脂層7上に並列して形成された複数の光吸収部8と、光吸収部8間に形成された複数の光透過部10とを備えるコントラスト向上機能層11とを備えている。なお、光学シート13は、粘着層4、剥離フィルム5、12を備えているが、粘着層4および剥離フィルム5、12は必ずしも備えられていなくともよい。
光吸収部8は、硬化透明樹脂層7に固着した底部8aと底部8aより幅が狭い先端部8bとを有している。また、光吸収部8は実質的に離型剤を含んでおり、硬化透明樹脂層7が実質的に離型剤を含んでいない。硬化透明樹脂層7が実質的に離型剤を含まないことにより、基材シート3と硬化透明樹脂層7との密着性を向上させることができる。
光吸収部8は、光透過部10の屈折率と同じかまたは小さい屈折率を有する。光吸収部8と光透過部10との屈折率が上記のような関係となることにより、所定条件で光透過部10に入射した光源からの映像光を光吸収部8と光透過部10との境界面で適切に反射させ、観測者に明るい映像を提供することができる。また、観測者側からの外光の一部を吸収するため、コントラストも向上する。また、光吸収部8と光透過部10との境界面で反射せずに、光吸収部8の内側に入射した迷光が、光吸収部8中の光吸収材によって吸収される。また、所定角度で入射した観測者側からの外光を適切に吸収することができるため、コントラストを向上させることもできる。
また、光学シートを2層重ね合わせてもよく、その場合、各光学シートで異なった構造となるようにしてもよい。例えば、1層目の光学シートと2層目の光学シートとで、光吸収部の幅やピッチ、深さ、形状を変えたり、光吸収部の厚み方向の向きを変えたり、映像光に対する光吸収部のバイアス角度(水平方向に対する光吸収部の傾斜角度)を変えたりすることができる。また、光吸収部を形成する材料(樹脂の種類や着色微粒子の濃度)を変えることもできる。例えば、1層目は効率良く外光をカットし、コントラストの向上を重視した設計とし、2層目は反射を利用した正面輝度向上効果を重視した設計とするような、各層で作用効果を変えることが好ましい。
本発明による光学シートは、従来の光学シートや視野角拡大部材に採用されている他の機能層を含んでいてもよい。具体的には、反射防止層、粘着層、電磁波遮蔽層、波長フィルタ層、防眩層、ハードコート層などを適宜組み合わせてもよい。これらの各機能層の積層順や積層数は、使用する光学シートの用途に応じて適宜決定することができる。なお、コントラスト向上機能層11上に他の光学機能層を貼り付ける場合には、光透過部10が粘着層となっているので、粘着層を設けずに他の光学機能層を貼り付けることができる。
本発明による光学シートは、例えば、表示装置の表示部上に配置することができる。具体的には、光学シートは、例えば、表示装置用光学フィルタとして使用することができる。表示装置の表示部としては、例えばプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、プロジェクションテレビ等が挙げられる。
<表示装置用光学フィルタおよび表示装置>
以下、本発明による光学シートを表示装置用光学フィルタとしてプラズマディスプレイに取り付けた例について説明する。図9は本実施の形態に係る光学シートを備えた表示装置の断面図であり、図10〜13は本実施の形態に係る光学シートを備えた他の表示装置の断面図である。
表示装置としては、本発明の光学シートを備えていれば、特に限定されず、例えば図9〜図13に示されるものが挙げられる。
図9に示される表示装置20は、上記した製造方法により製造された光学シート13から剥離フィルム5、12を剥離した光学シート21を備えている。すなわち、光学シート21は、粘着層4、基材シート3、硬化透明樹脂層7、コントラスト向上機能層11を備えている。図9に示される光学シート21は、光吸収部8の底部8aが映像光源側となりかつ先端部8bが観察者側となるように映像光源であるプラズマディスプレイ22の映像光出射側に貼り付けられている。
図9に示される表示装置20においては、光学シート21の他、光学シート21の前面側に、光学機能層23、基材シート24、電磁波遮蔽層25、およびハードコート層26がこの順で配置されている。
光学機能層23は、近赤外線吸収色素、Ne光吸収色素、色補正色素の少なくともいずれかを含んでいる。光学機能層23に含まれる近赤外線吸収色素等は、上記光透過部形成用組成物で説明した近赤外線吸収色素等と同じものを使用することができる。光学機能層23は、例えば基材シート24の一方の面に近赤外線吸収色素等を含む組成物をコーティングすることにより形成することが可能である。
基材シート24は、一方の面に光学機能層23および他方の面に電磁波遮蔽層25を形成するためのものである。基材シート24としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体などのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等を用いて形成されたシートが挙げられる。
電磁波遮蔽層25は、プラズマディスプレイ22から漏洩する電磁波を遮蔽(シールド)するためのものである。電磁波遮蔽層24は、例えば、導電性粒子または無電解めっき触媒性粒子とバインダー樹脂とを含む組成物を所定のパターン状に印刷することにより、または金属層(金属箔)を腐食加工によって所望のパターンにすることにより形成することが可能である。
ハードコート層26は、透明性を有し、JISK5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものである。ハードコート層26は、例えば、電離放射線硬化型樹脂組成物等を溶剤で希釈して、電磁波遮蔽層25上に塗工した後、硬化させることにより形成することが可能である。
図10に示される表示装置30においては、プラズマディスプレイ22の前面側に、光学機能層32、基材シート24、電磁波遮蔽層25、光学シート31およびハードコート層26がこの順で配置されている。
図10に示される光学シート31は、光学シート21と同様のものであるが、粘着層4を備えていない。光学シート31は、光吸収部8の先端部8bが映像光源側となりかつ底部8aが観察者側となるように配置されている。
図10に示される光学機能層32は、近赤外線吸収色素、Ne光吸収色素、色補正色素の少なくともいずれかと、粘着剤とを含んでおり、光学機能層32は粘着層となっている。
図11に示される表示装置40においては、プラズマディスプレイ22の前面側に、光学シート41、光学機能層42、基材シート24、電磁波遮蔽層25およびハードコート層26がこの順で配置されている。
図11に示される光学シート41は、光学シート21と同様のものであるが、粘着層4を備えていない。光学シート41は、光吸収部8の先端部8bが映像光源側となりかつ底部8aが観察者側となるように配置されている。
図11に示される光学機能層42は、近赤外線吸収色素、Ne光吸収色素、色補正色素の少なくともいずれかと、粘着剤とを含んでおり、光学機能層42は粘着層となっている。
図12に示される表示装置50においては、プラズマディスプレイ22の前面側に、光学シート51、電磁波遮蔽層25、ハードコート層26がこの順で配置されている。
図12に示される光学シート51は、光学シート21と同様のものであるが、粘着層4を備えておらず、また光透過部10が、粘着剤の他、近赤外線吸収色素、Ne光吸収色素および色補正色素の少なくともいずれかを含んでいる。光学シート51は、光吸収部8の先端部8bが映像光源側となりかつ底部8aが観察者側となるように配置されている。
図13に示される表示装置60においては、プラズマディスプレイ22の前面側に、光学シート61およびハードコート層26がこの順で配置されている。
図13に示される光学シート61は、光学シート21と同様のものであるが、粘着層4を備えておらず、また光透過部10が、粘着剤の他、近赤外線吸収色素、Ne光吸収色素および色補正色素の少なくともいずれかを含んでいる。光学シート61は、光吸収部8の先端部8bが映像光源側となりかつ底部8aが観察者側となるように配置されている。
なお、図9〜図13に示される表示装置20、30、40、50、60の他にも、光学シートを備えた表示装置も考えられるが、下記の理由から、図9〜図13に示される表示装置20、30、40、50、60が好ましい。
例えば、プラズマディスプレイの前面に、粘着剤を含む光学機能層、光学シート、基材シート、電磁波遮蔽層およびハードコート層をこの順で配置した表示装置も考えられる。この表示装置においては、光学シートは、光吸収部の先端部が映像光源側となりかつ底部が観察者側となるように配置される。しかしながら、この表示装置を作製する際において、光学機能層を基材シートに形成した後に基材シート上に光吸収部や光透過部を形成する場合には、高付加価値の光学機能層の損失が多く、生産性に劣るおそれがある。また、光学シートを形成した後に光学機能層を積層する場合には、工程数が増え、生産性に劣るおそれがある。
また、プラズマディスプレイの前面に、粘着剤を含む光学機能層、基材シート、電磁波遮蔽層、粘着層、光学シートおよびハードコート層が映像光出射側に向けてこの順で配置された表示装置も考えられる。この表示装置においては、光学シートは、光吸収部の先端部が映像光源側となりかつ底部が観察者側となるように配置され、また光透過部が粘着剤を含まない。しかしながら、この表示装置を作製する際に、光透過部が粘着剤を含まないので、別途粘着層を必要とし、コストの上昇を引き起こすおそれがある。
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態に係る光学シートの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図14(a)〜図15は、本実施の形態に係る光学シートの製造工程を示す模式図である。なお、以下、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様の符号を用いた部材の構成および材料等は、第1の実施の形態で説明した部材の構成および材料等と同一であるので、説明を省略する。
本実施の形態において、型1に透明樹脂層6を接触させる工程以前の工程は、第1の実施形態と同様である。すなわち、まず、第1の実施形態と同様に、並列して設けられた複数の溝1aを有する型1に光吸収部形成用組成物2を供給して、溝1aに光吸収部形成用組成物2を充填する。次いで、型1上に存在する余分な光吸収部形成用組成物2を掻き取る。
一方で、基材シート3の一方の面に粘着層4を形成し、その後、基材シート3の粘着層4が形成された面とは反対側の面に透明樹脂組成物を塗布して、基材シート3上に透明樹脂層6を形成する。
ここで、本実施形態においては、型1に透明樹脂層6を接触させる前に、光吸収部形成用組成物2に電離放射線を照射して、光吸収部形成用組成物2を硬化させて、光吸収部8を形成する(図14(a))。
光吸収部8を形成した後、溝1a内の光吸収部8と透明樹脂層6が接触するように、型1に透明樹脂層6を接触させる(図14(b))。
その後、型1に透明樹脂層6を接触させた状態で、剥離フィルム5側(基材シート3側)から電離放射線を照射し、透明樹脂層6を硬化させて、硬化透明樹脂層7を形成するとともに、硬化透明樹脂層7に底部8aが先端部8bよりも幅広の複数の光吸収部8を固着させる(図15)。
硬化透明樹脂層7を形成した後、第1の実施形態と同様に、光吸収部8を型1から離型する。そして、光吸収部8間に光透過部形成用組成物9を供給して、次いで、光吸収部8上に存在する余分な光透過部形成用組成物9を掻き取り、乾燥させる。これにより、光透過部10が形成され、光吸収部8および光透過部10を有するコントラスト向上機能層11が形成される。
そして、最後に、第1の実施形態と同様に、光透過部10上に剥離フィルム12を直接積層し、これにより、光学シート13が作製される。
本実施形態によれば、光吸収部形成用組成物2を硬化させて、光吸収部8を形成した後に、光吸収部8に透明樹脂層6を接触した状態で、透明樹脂層6を硬化させ、硬化透明樹脂層7に光吸収部8を固着させているので、基材シート3に対する光吸収部8の密着性を向上させることができるとともに、光吸収部形成用組成物2が透明樹脂層6と混ざり合うことを抑制することができる。
実施例1
まず、下記のような金型ロールおよび下記のように調整された粘着剤組成物、透明樹脂組成物、光吸収部形成用組成物を用意した。
(金型ロール)
金型ロールは円柱状のものである。金型ロールの表面部には銅めっき層が施されており、この銅めっき層をバイトにより切削することにより、光吸収部に対応する溝を形成した。バイトとしては、深さ85μmのときの幅が10μmとなるような略三角形状のダイヤモンドバイトを用いた。このようなダイヤモンドバイトを用いて、ロール軸方向の溝間のピッチを45μmとして金型ロールの銅めっき層の外周を切削して、深さ85μm、底部幅が10μmの略V字状の溝を形成した。そして、この切削した金型ロールにクロムめっきを施した。
(粘着剤組成物の調整)
まず、ブチルアクリレート80.0質量部、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン10.0質量部、アセトアセトキシエチルアクリレート10.0質量部、トリエチレングリコールジメルカプタン10.0質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部およびトルエン100.0質量部を撹拌し、窒素ガス気流中において、80℃で8時間反応させた。得られた溶液を、トルエンで希釈して、固形分40%のシランカップリング剤溶液を得た。
その後、ブチルアクリレート94.0質量部、アクリル酸5.0質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.0質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部および酢酸エチル100.0質量部を撹拌させながら、窒素ガス気流中において、70℃で8時間反応させた。得られた溶液を酢酸エチルで希釈して、固形分20%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液の固形分100.0質量部に対して、シランカップリング剤溶液の固形分を0.4質量部、さらに架橋剤としてポリイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)の固形分を0.2質量部それぞれ加えて混合し、粘着剤組成物を得た。
(透明樹脂組成物の調整)
まず、ビスフェノールA−エチレンオキシド2モル付加物41.0質量部、イソホロンジイソシアネート14.0質量部、ウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液))0.02質量部を加え、80℃で5時間反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.0質量部を加え、80℃で5時間反応させて得られたウレタンアクリレート系オリゴマーを、光硬化型プレポリマーとして用いた。このウレタンアクリレート系オリゴマー32.0質量部と、光硬化性モノマーとして、フェノキシエチルアクリレート(分子量192)10.0質量部、およびビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物のジアクリレート(分子量512)30.0質量部と、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティケミカルズ株式会社製)3.0質量部と、を混合し、均一化して透明樹脂組成物を得た。なお、この透明樹脂組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して、透明樹脂組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.550であった。
(光吸収部形成用組成物の調整)
まず、光硬化型プレポリマーとして、エチレンオキシド、2,2´−[(1−メチルエチリデン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス−、ホモポリマー、ジ−2−プロペノアート20.0質量部と、反応性希釈モノマーとして、2−フェノキシエチル=アクリラート20.0質量部、α−アクリロイル−ω−フェノキシポリ(オキシエチレン)20.0質量部、および2−{2−[2−(アクリロイルオキシ)(メチル)エトキシ](メチル)エトキシ}(メチル)エチル=アクリラート13.0質量部と、光吸収材として、平均粒径4.0μmのカーボンブラックを25%含有したアクリル架橋微粒子(ガンツ化成株式会社製)20.0質量部と、金型離型剤として、テトラデカノール−エチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(モノエステル/ジエステル=モル比1/1)0.05質量部と、ステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物0.05質量部と、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティケミカルズ株式会社製)7.0質量部と、を混合し、均一化して光吸収部形成用組成物を得た。なお、この光吸収部形成用組成物の光吸収材を除いた組成物を厚さ10μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.547であった。
次いで、上記のように調整された粘着剤組成物を厚さ38μmの剥離フィルム(商品名:E7007、東洋紡績製)に塗布し、乾燥させて、厚さ25μmの粘着層を形成した。なお、この粘着層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。その後、この粘着層付き離型フィルムを厚さ100μmのPET基材シート(A4300、東洋紡績製)の一方の面に貼り合わせた。
その後、PET基材シートの他方の面に、上記のように調整された透明樹脂組成物を塗布し、PET基材シート上に厚さ10μmの透明樹脂層を形成した。
一方で、上記のように調整された光吸収部形成用組成物を供給装置から上記の金型ロールに供給した。また、金型ロールの進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、金型に形成された略V字状の溝に光吸収部形成用組成物を充填するとともに余分な光吸収部形成用組成物を掻き取った。
その後、溝内の光吸収部形成用組成物と透明樹脂層とが接触するように、金型ロールに透明樹脂層付きPET基材シートを接触させた。そして高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線をPET基材シート側から光吸収部形成用組成物と透明樹脂層に照射し、光吸収部形成用組成物と透明樹脂層とを硬化させて、光吸収部と硬化透明樹脂層を形成した。
光吸収部と硬化透明樹脂層を形成した後、PET基材シートを型から剥離して、光吸収部を型から離型した。その後、上記のように調整された粘着剤組成物を塗布し、余分な粘着剤組成物を掻き取り、乾燥させて、厚さ25μmの光透過部を形成した。なお、この光透過部について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。
光透過部を形成した後、光透過部上に厚さ38μmの剥離フィルム(商品名:E7007、東洋紡績製)を貼り付けた。
実施例2
光吸収部形成用組成物の光重合開始剤を、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャリティケミカルズ株式会社製)に変えた以外は実施例1と同一の材料、工程を用いて、硬化透明樹脂層、光吸収部、光透過部、剥離フィルムを形成し、光学シートを作製した。
実施例3
(ハードコート層形成用組成物の調整)
透明樹脂として、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、及びPMMA(ポリメタクリル酸メチル)を質量比で86/5/9の割合で混合したものに、溶剤としてトルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合して得られたハードコート層形成組成物を得た。
(ハードコート層の形成)
厚さ100μmのPET基材シート(A4300、東洋紡績製)にハードコート層形成用組成物を塗布し、12m/分の流速で70℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させた。その後、窒素雰囲気下にて200mJ/cmの紫外線を照射して、ハードコート層形成用組成物を硬化させ、厚さ10μmのハードコート層を形成した。このハードコート層を多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.510であった。
得られたハードコート層付基材上に、実施例1と同一の材料、工程を用いて、硬化透明樹脂層、光吸収部、光透過部、剥離フィルムを形成し、光学シートを作製した。
比較例1
比較例1においては、まず、実施例1で用いられた光吸収部に対応する形状の溝を有する型ロールと圧ロールとの間に実施例1で用いられた硬化透明樹脂層を有する基材シートを送り込んだ。基材シートの送り込みに合わせて、型ロールと基材シートとの間に実施例1で用いられた光吸収部形成用組成物から金型離型剤を除いた組成物を供給し、紫外線を照射した。これにより、この組成物が硬化し、光吸収部が形成された。その後、基材シートを型ロールから引き剥がすことにより、型ロールから光吸収部を引き抜いた。型ロールから光吸収部を引き抜いた後、光吸収部間に実施例1で用いられた透明樹脂組成物を供給し、この組成物を硬化させて、光透過部を形成した。
比較例2
比較例2においては、まず、実施例1で用いられた光吸収部に対応する形状の溝を有する金型に実施例1で用いた光吸収部形成用組成物から金型離型剤を除いた組成物を供給して、その後余分な組成物を掻き取った。次いで、基材シートに設けられた粘着層として実施例1で用いられた粘着剤組成物を用い、金型とを密着させた後、紫外線により光吸収部形成用組成物を硬化させて、光吸収部を形成した。そして、基材シートを金型から引き剥がすことにより、光吸収部を金型から引き抜いた。金型から光吸収部を引き抜いた後、光吸収部間に実施例1で用いられた透明樹脂組成物を供給し、この組成物を硬化させて、光透過部を形成した。
比較例3
比較例3においては、まず、光透過部に対応する形状の溝を有する型ロールと基材シートとの間に実施例1で用いられた透明樹脂組成物に金型離型剤としてテトラデカノール−エチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(モノエステル/ジエステル=モル比1/1)0.05質量部と、ステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物0.05質量部を添加した組成物を供給し、電離放射線によってこの組成物を硬化させ、光透過部を形成した。その後、基材シートを型ロールから引き剥がすことにより、型ロールから光透過部を引き抜いた。次いで、光透過部間の溝が埋め込まれるように光透過部の表面に、実施例1で用いられた粘着剤の共重合体溶液の固形分100.0質量部に対し、カーボンブラックを3.5質量部追加した調整された着色粘着剤組成物を供給して、光吸収部を形成した。
比較例4
比較例4においては、まず、光透過部に対応する形状の溝を有する型ロールと基材シートとの間に実施例1で用いられた粘着剤組成物を供給し、乾燥させて、型ロールから離型し、光透過部を形成した。次いで、光透過部間の溝が埋め込まれるように実施例1で用いられた光吸収部形成用組成物から金型離型剤を除いた組成物を充填させ、余分なこの組成物を掻き取り、光吸収部を形成した。
(1)基材シートに対する光吸収部の密着性評価
実施例1〜3および比較例1〜4の光学シートを用いて、基材シートに対する光吸収部の密着性について評価した。なお、基材シートとは、光吸収部に接触している基材シートを意味するものとする。この評価は、JIS K5600−5−6に基づいて行った。また、評価基準は以下の通りとした。
○:光吸収部が基材シートに対して、分類0から1であり、カットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれがない、もしくは剥がれていても5%を上回ることはなかった。
△:光吸収部が基材シートに対して、分類2であり、カットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれていて、5%を超えるが15%を上回ることはなかった。
×:光吸収部が基材シートに対して、分類3以上であり、カットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれていて、15%を超えていた。
(2)金型離型性評価
実施例1〜3および比較例1〜4の光学シートを作製する際に、金型からの光吸収部または光透過部の離型性について評価した。この金型離型性の評価基準は以下の通りとした。
◎:金型から極めて容易に離型できた。
○:金型から容易に離型できた。
×:金型から離型できなかった、または離型できたが離型した光吸収部または光透過部が破損していた。
(3)全光線透過率評価
実施例1〜3および比較例1〜4の光学シートを用いて、全光線透過率を評価した。この評価は、JIS7361−1に基づき、ヘイズメーター(HR−100:村上色彩研究所)を用いて行われた。また、この評価基準は以下の通りとした。
○:透過率が50%以上であった。
×:透過率が50%未満であった。
以下、結果について述べる。
表1に示されるように比較例1〜4に係る光学シートにおいては、(1)〜(3)の全てを満足する結果は得られなかった。これに対し、実施例1〜3に係る光学シートにおいては、(1)〜(3)の全てを満足する結果が得られた。なお、実施例2において、金型離型性が極めて良好であるのは、実施例2で用いた光重合開始剤により光吸収部の表面のみならず内部まで確実に硬化が進み、光吸収部の硬さが増したためと考えられる。
これらの結果から、実施例1〜3に係る光学シートは、基材シートに対する密着性、金型離型性、および全光線透過率の全てにおいて優れていることが確認できた。
1…型、1a…溝、1b…開口部、1c…底部、2…光吸収部形成用組成物、3…基材シート、6…透明樹脂層、7…硬化透明樹脂層、8…光吸収部、8a…底部、8b…先端部、9…光透過部形成用組成物、10…光透過部、13、21、31、41、51、61…光学シート、20、30、40、50、60…表示装置。

Claims (6)

  1. 並列して設けられかつ開口部が底部より幅広の複数の溝を有する金型に、電離放射線硬化型樹脂組成物および光吸収材を含む光吸収部形成用組成物を供給して、前記溝に光吸収部形成用組成物を充填する工程と、
    前記溝内の前記光吸収部形成用組成物と、基材シートの一方の面に形成された、電離放射線硬化型樹脂組成物を含む透明樹脂層とが接触するように、前記金型に前記透明樹脂層を接触させる工程と、
    前記基材シートを介して、前記光吸収部形成用組成物と前記透明樹脂層に電離放射線を照射し、前記透明樹脂層と前記光吸収部形成用組成物とを硬化させて、硬化透明樹脂層と前記硬化透明樹脂層上に底部が先端部よりも幅広の複数の光吸収部とを形成する工程と、
    前記光吸収部を前記金型から離型する工程と、
    前記光吸収部間に光透過部を形成する工程と
    を具備し、
    前記金型に前記透明樹脂層を接触させる前に、前記溝に充填された前記光吸収部形成用組成物と、前記透明樹脂層との少なくともいずれかを半硬化させる工程をさらに備えることを特徴とする、光学シートの製造方法。
  2. 前記光透過部が粘着剤を含んでいる、請求項1に記載の光学シートの製造方法。
  3. 前記光吸収部の断面が略三角形状である、請求項1または2に記載の光学シートの製造方法。
  4. 前記溝に前記光吸収部形成用組成物を充填した後かつ前記金型に前記透明樹脂層を接触させる前に、前記金型上の余分な前記光吸収部形成用組成物を掻き取る工程をさらに備える、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学シートの製造方法。
  5. 前記光吸収部形成用組成物が実質的に離型剤を含んでおり、前記透明樹脂層が実質的に離型剤を含んでいない、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学シートの製造方法。
  6. 前記金型が、金型ロールである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学シートの製造方法。
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