以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態の便座を表す模式図である。
なお、図2(a)は、本実施形態の便座を上方から眺めた平面模式図であり、図2(b
)は、図2(a)に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器800と、その上に設けられた暖房便座装置100と、を備える。暖房便座装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。便蓋300は、閉じた状態において便座200の上方を覆うことができる。なお、便蓋300は、必ずしも設けられていなくてもよい。
ケーシング400には、トイレ室への使用者の入室を検知する入室検知センサ402と、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404と、便蓋300の開閉状態を検知する便蓋開閉検知センサ406と、が設けられている(図3参照)。
入室検知センサ402は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ402は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサ402としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
着座検知センサ404としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。便蓋開閉検知センサ406としては、例えば、ホールICと磁石の組み合わせ、またはマイクロスイッチなどを用いることができる。
なお、便蓋開閉検知センサ406は、ケーシング400に内蔵されていることに限定されず、便蓋300のヒンジ部やケーシング400の外部に設けられていてもよい。つまり、便蓋開閉検知センサ406は、便蓋300の開閉状態を検知できればよい。これは、着座検知センサ404および入室検知センサ402についても同様であり、着座検知センサ404および入室検知センサ402は、ケーシング400に内蔵されていることに限定されない。つまり、着座検知センサ404は、便座200への使用者の着座を検知できればよく、入室検知センサ402は、トイレ室への使用者の入室を検知できればよい。たとえば、入室センサを別体としてトイレ室の入り口に取り付け、トイレ室への使用者の入室を赤外線通信によってケーシング400内の制御部に伝達する方法でもよい。
便座200は、図2(b)に表したように、便座200の外形を形成する筐体210を有する。筐体210は、例えば樹脂などの絶縁性を有する材料により形成されている。なお、筐体210は、複数の部材により形成されていてもよいし、1つの部材により形成されていてもよい。
便座200の筐体210の内部には、高周波電流が通電されることにより磁界を発生する誘導加熱コイル222が設けられている。図2に表した便座200では、誘導加熱コイル222は、便座200の内部の上面(着座面に対向する内面)210aに付設されていている。但し、誘導加熱コイル222の設置形態は、これだけに限定されず、誘導加熱コイル222は、便座200の内部に設けられた図示しない支持体により支持されていてもよい。
便座200には、誘導加熱コイル222から発生した磁界により誘導加熱される導電体(発熱部)231が設けられている。より具体的には、導電体231は、誘導加熱コイル222から発生する磁界で誘起される渦電流により発熱する。導電体231は、便座200の上面(着座面)に付設されている。あるいは、導電体231は、便座200の筐体210の内部に設けられていてもよい。あるいは、導電体231は、便座200の内部の上面210aに付設されていてもよい。
導電体231としては、例えば鉄やステンレスなどの強磁性体、またはアルミニウムなどの常磁性体といった金属を用いることができる。便座200の外部に磁界を放出させにくくするためには、電気抵抗が大きい鉄やステンレスなどの強磁性体を導電体231に用いることがより好ましい。なお、導電体231が便座200の上面に設けられる場合には、人体と導電体231とが直接的に接触しないように、塗装やコーティングなどが導電体231の表面に施されることがより好ましい。
本実施形態によれば、暖房便座装置100は、誘導加熱の原理を利用し、便座200の着座面を急速に加熱することができ、より速く着座面を適温にすることができる。また、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200の着座面を急速に加熱することができるため、使用者が便座200を使用していないときには便座200を保温しておく必要はない。そのため、待機時の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。
一方、使用者が便座200に着座した後すなわち便座200に着座しているときには、便座200の着座面を適温に保温する必要がある。例えば、着座面を保温するために電気的な抵抗体としてヒータを設けると、急速加熱モードのための加熱手段(誘導加熱手段)と保温加熱モードのための加熱手段(ヒータ加熱手段)とが別系統として必要になる。そうすると、暖房便座装置100の構造が複雑になったり、コストアップにつながるおそれがある。
これに対して、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、急速加熱モードおよび保温加熱モードを誘導加熱により実行する。つまり、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200の着座面の温度を連続的に上昇させるように誘導加熱を行う急速加熱モードと、便座200の着座面の温度を所定温度内に保つように誘導加熱を行う保温加熱モードと、を実行することができる。これにより、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、より簡易的な構造で急速加熱モードと保温加熱モードとを実現することができる。
図3は、本実施形態にかかる暖房便座装置の回路図である。
例えば、ケーシング400内には、制御部410と、誘導加熱通電スイッチ421と、電力消費量検知部430と、が設けられている。制御部410は、誘導加熱コイル通電スイッチ421に制御信号を送る。誘導加熱通電スイッチ421は、制御部410から送られた制御信号によって高周波電源回路500(後述)への通電のON(オン)/OFF(オフ)を制御する。電力消費量検知部430は、高周波電源回路500への通電電流を測定し、商用電源の電圧と掛け算することにより便座200に設けられた導電体231の電力消費量を間接的に検知する(実際には、高周波電源回路500の消費電力を測定している)。制御部410および誘導加熱コイル通電421には、商用電源10が接続されている。
便座200内には、高周波電流を生成し誘導加熱コイル222にその高周波電流を供給する高周波電源回路500が設けられている。高周波電源回路500は、整流部510と、高出力部560と、降圧部520と、平滑部530と、共振回路540と、インバータ550と、を有する。
整流部510は、商用電源10から供給される電流を整流する。
整流出力は2つの経路によってインバータ550に供給される。1つは、降圧部520の第2のスイッチング素子521を通る経路である。降圧部520は、第2のスイッチング素子521と、ダイオード522と、平滑部の平滑コイル531と、平滑コンデンサ533と、降圧制御部523と、チョークコイル524を有し、整流部520の整流出力を降圧してインバータ550に供給する。平滑部の平滑コイル531と平滑コンデンサ533は、チョッパ式降圧回路の一部として機能するだけでなく、平滑コンデンサ533はインバータ550に流れる高周波大電流を供給し、平滑コイル530は高周波に対して高インピーダンスとなって、商用電源側へノイズが伝達するのを防止する役割も果たす。よって、降圧機能と平滑機能でコイルとコンデンサを兼用せず、それぞれにコイルとコンデンサの組み合わせを持っても(直列に接続する)良い。
もう1つの経路は、高出力部560の第3のスイッチング素子565を通る経路である。高出力部560は、第3のスイッチング素子565と、信号伝達部563と、半導体SW素子561と、電流制限抵抗567とを有し、整流部510の整流出力を降圧せずにそのままインバータ550に供給する。本経路ではスイッチング制御を行なわないため、スイッチングノイズ対策としてのチョークコイルは不要となる。平滑部530以降は降圧部520を通る経路と同様のため説明を割愛する。
共振回路540は、誘導加熱コイル222と、共振コンデンサ541と、を有する。インバータ550は、第1のスイッチング素子551を有し、共振回路540に供給する電力を制御する。第1のスイッチング素子551には、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)が用いられる。
また、便座200内には、出力指示判別部251と、動作/停止指示部253と、便座200の温度を検知するサーミスタ(温度センサ)255と、発振制御部257と、が設けられている。低出力条件回路部412及び高出力条件回路部414を内包する制御部410は、出力条件により強制遮断スイッチング素子260をオン/オフ制御を行い、半導体SW素子561にはオン/オフ信号及び出力指示判別部251には出力指示および降圧指示の制御信号を送信する。出力指示判別部251は、制御部410から送信された制御信号に基づいて降圧制御部523へ制御信号を送信する。降圧制御部523は、出力指示判別部251から送信された制御信号に基づいて第2のスイッチング素子521のオン/オフを制御する。第2のスイッチング素子521は、降圧制御部523から送信された制御信号に基づいて整流部510の整流出力を降圧するか否かを切り替える。出力指示判別部251は、出力指示判別の状態を制御部410へ送信することができる。
動作/停止指示部253は、出力指示判別状態送信部251から送信された制御信号に基づいて発振制御部257へ制御信号を送信する。発振制御部257は、動作/停止指示部253から送信された制御信号に基づいて第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御する。動作/停止指示部253には、サーミスタ255が接続されている。動作/停止指示部253は、サーミスタ255で検知した便座200の温度の情報に基づき、発振制御部257を介して第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御することができる。これにより、動作/停止指示部253は、便座200の加熱時間や加熱特性、あるいは高周波電源回路500の動作/停止を制御することができる。
前述したように、制御部410は、強制遮断スイッチング素子260及び半導体SW素子561のオン/オフ制御をした上で、出力指示判別部251に加熱指示を出し、動作/停止指示部253と、発振制御部257と、を介して第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御する。制御部410は誘導加熱の動作指示であり、第1のスイッチング素子551の直接のオン/オフ制御を行うのは、発振制御部257である。発振制御部257の動作は、次のようになる。
まず、発振制御部257が第1のスイッチング素子551をオン状態に制御すると、商用電源10から供給された電流は、整流部510により整流され、平滑部530により平滑化され、誘導加熱コイル222に流れる。このとき、整流部510の整流出力は、降圧部520の第2のスイッチング素子521のスイッチング制御により適宜降圧される。
降圧動作は、図3に表した降圧部520においてフィードフォワード制御により行われてもよい。図3に表した降圧部520がフィードフォワード制御により整流部510の整流出力を降圧する場合には、例えば想定以上の大電流が流れるように高周波電源回路500が動作し、平滑コンデンサ533の電圧が異常に低下したときでも、降圧部520の入力側の電圧で降圧制御しているために、降圧部520の出力を上げて更に大電流を流そうとする動作に入ることが無い。そのため、安全性をより高めることができる。
次に、本実施形態にかかる暖房便座装置100の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の具体例を表すタイミングチャートである。
まず、入室検知センサ402が使用者の入室を検知する前には、便座200の着座面の温度は、室温であり、使用者が冷たさを感じないような所定温度内には保温されていない(タイミングt301以前)。続いて、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオン状態に制御し、同時に第1のスイッチング素子551のスイッチング制御の開始指示を出して急速加熱モードを実行する(タイミングt301)。これにより、便座200の着座面は、連続的に温度上昇し急速に加熱される。
続いて、便座200の着座面の温度が適温(目標温度や設定温度など)になると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を降圧させて保温加熱モードを実行する(タイミングt302)。これにより、便座200の着座面は、使用者が冷たさを感じないような適温すなわち所定温度内に保温される。言い換えれば、便座200の着座面を保温する加熱量と、便座200からの放熱量と、が熱平衡する温度で安定する。
続いて、使用者が便蓋300を手動により開けると、あるいは図示しないリモコンなどの操作により開けると、便蓋開閉検知センサ406は、便蓋300が開き始めたことを検知し(タイミングt303)、便蓋300が閉じた状態と開いた状態との中間の状態を検知する(タイミングt303〜t304)。続いて、便蓋開閉検知センサ406は、便蓋300が開いた状態を検知する(タイミングt304)。なお、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、図示しない便蓋開閉駆動部などにより自動的に便蓋300を開く制御を実行してもよい。
続いて、使用者が便座200に着座すると、着座検知センサ404は、使用者が便座200に座ったことを検知する(タイミングt305)。そして、使用者が便座200から離座すると、着座検知センサ404は、使用者が便座200に座っていないことを検知する(タイミングt306)。
続いて、使用者が便蓋300を手動により閉じると、あるいは図示しないリモコンなどの操作により閉じると、便蓋開閉検知センサ406は、便蓋300が閉じ始めたことを検知し(タイミングt307)、便蓋300が開いた状態と閉じた状態との中間の状態を検知する(タイミングt307〜t308)。続いて、便蓋開閉検知センサ406は、便蓋300が閉じた状態を検知する(タイミングt308)。なお、入室検知センサ402が使用者の退室を検知すると、制御部410は、図示しない便蓋開閉駆動部などにより自動的に便蓋300を閉じる制御を実行してもよい(タイミングt309以降)。
続いて、入室検知センサ402が使用者の退室を検知すると、制御部410は、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を停止し、第1のスイッチング素子551のスイッチング制御の停止指示を出して保温加熱モードを停止する(タイミングt309)。つまり、制御部410は、便座200の加熱を停止する。そのため、便座200の着座面の温度は、徐々に低下する(タイミングt309以降)。
本具体例によれば、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、急速加熱モードを実行し、誘導加熱により便座200の着座面を急速に加熱することができる。これにより、使用者が便座200を使用していないときには便座200を保温しておく必要はなく、待機時の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。また、便座200の着座面の温度が適温になると、制御部410は、保温加熱モードを実行し、誘導加熱により便座200の着座面の温度を所定温度内に保温することができる。これにより、急速加熱モードのための加熱手段と、保温加熱モードのための加熱手段と、を別系統として設ける必要はなく、より簡易的な構造で急速加熱モードと保温加熱モードとを実現することができる。
図5は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の他の具体例を表すタイミングチャートである。
入室検知センサ402が使用者の入室を検知する前の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt301以前の動作と同様である(タイミングt311以前)。
続いて、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオン状態に制御し、第1のスイッチング素子551のスイッチング制御の開始指示を出して急速加熱モードを実行する(タイミングt311)。これにより、便座200の着座面は、連続的に温度上昇し急速に加熱される。
続いて、便座200の着座面の温度が適温よりも例えば3℃低い温度まで上昇すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を降圧させて中速加熱モードを実行する(タイミングt312)。これにより、中速加熱モードにおける誘導加熱出力は、急速加熱モードにおける誘導加熱出力よりも抑えられる。そのため、図5に表したように、中速加熱モードにおける便座200の着座面の温度の上昇率(上昇速度)は、急速加熱モードにおける便座200の着座面の温度の上昇率よりも低くなる(タイミングt312〜t313)。
中速加熱モードにおいても、制御部410は、便座200の着座面の温度を連続的に上昇させ急速に加熱することができる。なお、制御部410が急速加熱モードから中速加熱モードに切り替えるタイミングは、便座200の着座面の温度が適温よりも3℃低い温度まで上昇したときに限定されるわけではない。加熱モードの切り替えのタイミングとなる温度差(本具体例では3℃)については、適宜変更することができる。
続いて、便座200の着座面の温度が適温になると、制御部410は、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御の条件を変え、具体的には第2のスイッチング素子521のオン時間のデューティー比を小さくし、整流部510の整流出力を第1および中速加熱モードにおける整流出力よりもさらに降圧させて保温加熱モードを実行する(タイミングt313)。これにより、便座200の着座面は、使用者が冷たさを感じないような適温すなわち所定温度内に保温される。続いて、タイミングt314〜t320の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt303〜t309の動作と同様である。
本具体例によれば、急速加熱モードは、急速加熱モードと、中速加熱モードと、を有する。急速加熱モードでは、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオン状態に制御し、整流部510の整流出力を降圧せずにインバータ550に供給する。一方、中速加熱モードでは、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を降圧してインバータ550に供給する。これにより、制御部410は、急速加熱モードにおける便座200の着座面の温度上昇速度を降圧部520により制御し、オーバーシュートを抑えることができる。
以下の具体例では、所定条件が成立したときに急速加熱モードが実行され、所定条件が成立しないときには保温加熱モードが実行される。つまり、急速加熱モードの実行時期は、所定条件が成立したときに制限される。
図6は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、使用者が便座200に着座していないときには急速加熱モードが実行され、使用者が便座200の着座しているときには保温加熱モードが実行される。つまり、使用者の着座中には、急速加熱モードの実行が抑止される。本具体例の動作は、暖房便座装置100が便蓋300を有していない場合や、便蓋開閉検知センサ406が設けられていない場合や、便蓋開閉検知センサ406が故障し便蓋300が開いている状態を閉じている状態と認識する場合などに有効な動作の1つである。
入室検知センサ402が使用者の入室を検知する前の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt301以前の動作と同様である(タイミングt321以前)。続いて、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオン状態に制御し、急速加熱モードを実行する(タイミングt321)。これにより、便座200の着座面は、連続的に温度上昇し急速に加熱される。
続いて、便座200の着座面の温度が適温になる前に、使用者が便座200に座ったことを着座検知センサ404が検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を急速加熱モードにおける整流出力よりも降圧させて保温加熱モードを実行する(タイミングt322)。そして、制御部410が保温加熱モードを実行することで、便座200の着座面の温度は適温になる(タイミングt323)。
続いて、タイミングt324〜t325の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt306〜t309の動作であって、便蓋開閉検知センサ406の動作を除く動作と同様である。
本具体例によれば、便座200の着座面の温度が適温になる前であっても、使用者が便座200に座ったことを着座検知センサ404が検知すると、制御部410は、急速加熱モードを停止し保温加熱モードを実行する。つまり、使用者が便座200に着座しているときには、制御部410は、急速加熱モードの実行を抑止する。これにより、便座200に着座する使用者への安全性をより高めることができる。
図7は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、便蓋300が閉じた状態を便蓋開閉検知センサ406が検知したときにのみ急速加熱モードが実行され、便蓋300が閉じた状態を便蓋開閉検知センサ406が検知しないときには保温加熱モードが実行される。つまり、便蓋300が閉じた状態以外では、急速加熱モードは実行されない。本具体例の動作は、急速加熱モードの実行中に便蓋300が開けられた場合などに有効な動作の1つである。
入室検知センサ402が使用者の入室を検知する前の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt301以前の動作と同様である(タイミングt331以前)。続いて、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオン状態に制御し、急速加熱モードを実行する(タイミングt331)。これにより、便座200の着座面は、連続的に温度上昇し急速に加熱される。
続いて、便座200の着座面の温度が適温になる前に、便蓋300が開き始めたことを便蓋開閉検知センサ406が検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を急速加熱モードにおける整流出力よりも降圧させて保温加熱モードを実行する(タイミングt332)。そして、制御部410が保温加熱モードを実行することで、便蓋300が開いた状態を便蓋開閉検知センサ406が検知した後に(タイミングt333)、便座200の着座面の温度は適温になる(タイミングt334)。続いて、タイミングt335〜t339の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt305〜t309の動作と同様である。
図8は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、便蓋300が開いた状態を便蓋開閉検知センサ406が検知しないときにのみ急速加熱モードが実行され、便蓋300が開いた状態を便蓋開閉検知センサ406が検知したときには保温加熱モードが実行される。つまり、急速加熱モードの実行中に便蓋300が開けられても、便蓋300が全開状態となるまでは急速加熱モードが実行される。
入室検知センサ402が使用者の入室を検知する前の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt301以前の動作と同様である(タイミングt341以前)。続いて、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオン状態に制御し、急速加熱モードを実行する(タイミングt341)。これにより、便座200の着座面は、連続的に温度上昇し急速に加熱される。
続いて、便座200の着座面の温度が適温になる前に、便蓋300が開き始めたことを便蓋開閉検知センサ406が検知しても、制御部410は、急速加熱モードを継続させる(タイミングt342)。そして、便蓋300が開いた状態を便蓋開閉検知センサ406が検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を急速加熱モードにおける整流出力よりも降圧させて保温加熱モードを実行する(タイミングt343)。制御部410が保温加熱モードを実行することで、便座200の着座面の温度は適温になる(タイミングt334)。続いて、タイミングt345〜t349の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt305〜t309の動作と同様である。
本具体例によれば、急速加熱モードの実行中に便蓋300が開けられても、便蓋300が全開状態となるまでは、制御部410は急速加熱モードを実行する。そのため、便蓋300が開き始めてから全開状態となるまでの間において、制御部410は、急速加熱モードを継続させ便座200の温度を適温に近づけることができる。これにより、使用者が便座200に座った際に冷たさを感じることをより確実に抑えることができる。
図9は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、便座200の温度すなわちサーミスタ255の検知温度が所定値よりも高くなると又は所定値になると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し誘導加熱を停止させる。本具体例の動作は、誘導加熱出力が一時的に過大となった場合や、想定外の動作が生じた場合などに有効な動作の1つである。
入室検知センサ402が使用者の入室を検知する前の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt301以前の動作と同様である(タイミングt351以前)。続いて、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、急速加熱モードを実行する(タイミングt351)。これにより、便座200の着座面は、連続的に温度上昇し急速に加熱される。
続いて、便座200の温度すなわちサーミスタ255の検知温度が上限温度(所定値)になると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、誘導加熱を停止させる(タイミングt352)。これにより、便座200の着座面の温度は、徐々に低下する。続いて、便蓋開閉検知センサ406は、便蓋300が開き始めたことを検知し(タイミングt353)、便蓋300が閉じた状態と開いた状態との中間の状態を検知する(タイミングt353〜t354)。
便座200の着座面の温度が適温になると、制御部410は、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を急速加熱モードにおける整流出力よりも降圧させて保温加熱モードを実行する(タイミングt355)。これにより、便座200の着座面は、使用者が冷たさを感じないような適温すなわち所定温度内に保温される。続いて、タイミングt356〜t360の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt305〜t309の動作と同様である。
本具体例によれば、第2のスイッチング素子は、安全装置としての機能を有する。つまり、制御部410は、第2のスイッチング素子をオフ状態に制御し、高周波電源回路500を遮断することができる。そのため、安全性をさらに高めることができる。
例えば、発振制御回部257に何らかの回路故障が生じて第1のスイッチング素子のスイッチング動作を停止させることができなくなったとしても、誘導加熱動作を停止して便座200の温度上昇を防止できる。
図10は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例の動作は、図5に関して前述した具体例の動作と、図7に関して前述した具体例の動作と、を組み合わせた動作の一例である。本具体例では、便蓋300が閉じた状態と開いた状態との中間の状態すなわち開いている途中の状態において、制御部410は、比較的弱い急速加熱モード(中速加熱モード)を実行する。本具体例の動作は、急速加熱モードの実行中に便蓋300が開けられた場合などに有効な動作の1つである。
入室検知センサ402が使用者の入室を検知する前の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt301以前の動作と同様である(タイミングt361以前)。続いて、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオン状態に制御し、急速加熱モードを実行する(タイミングt361)。これにより、便座200の着座面は、連続的に温度上昇し急速に加熱される。
続いて、便座200の着座面の温度が適温になる前に、便蓋300が開き始めたことを便蓋開閉検知センサ406が検知すると、制御部410は、第3のスイッチング素子565をオフ状態に制御し、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を降圧させて中速加熱モードを実行する(タイミングt362)。これにより、中速加熱モードにおける誘導加熱出力は、急速加熱モードにおける誘導加熱出力よりも抑えられる。そのため、図10に表したように、中速加熱モードにおける便座200の着座面の温度の上昇率は、急速加熱モードにおける便座200の着座面の温度の上昇率よりも低くなる(タイミングt362〜t363)。
続いて、便蓋300が全開状態となったことを便蓋開閉検知センサ406が検知すると、制御部410は、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御を行い、整流部510の整流出力を第1および中速加熱モードにおける整流出力よりも降圧させて保温加熱モードを実行する(タイミングt363)。これにより、便座200の着座面は、使用者が冷たさを感じないような適温すなわち所定温度内に保温される。
そして、制御部410が保温加熱モードを実行することで、使用者が便座200に座ったことを着座検知センサ404が検知した後に(タイミングt364)、便座200の着座面の温度は適温になる(タイミングt365)。続いて、タイミングt366〜t369の動作は、図4に関して前述した具体例におけるタイミングt306〜t309の動作と同様である。
本具体例によれば、急速加熱モードの実行中に便蓋300が開けられる行為があった場合には、便蓋300が完全に開ききるまでの間、制御部410は、誘導加熱出力が急速加熱モードよりも抑えられた中速加熱モードを実行する。これにより、安全性を確保しつつ、使用者が便座200に座った際に冷たさを感じることをより確実に抑えることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、暖房便座装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや誘導加熱コイル222および導電体231の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。