以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態の便座を表す模式図である。
なお、図2(a)は、本実施形態の便座を上方から眺めた平面模式図であり、図2(b)は、図2(a)に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器800と、その上に設けられた暖房便座装置100と、を備える。暖房便座装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。つまり、ケーシング400は、便座200および便蓋300の回動(開閉)を支持する。便蓋300は、閉じた状態において便座200の上方を覆うことができる。
ケーシング400には、トイレ室への使用者の入室を検知する入室検知センサ(入室検知手段)402と、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ(着座検知手段)404と、便蓋300の開閉状態を検知する便蓋開閉検知センサ(便蓋開閉検知手段)406と、が設けられている。なお、入室検知センサ402と、着座検知センサ404と、便蓋開閉検知センサ406と、の設置形態は、一例であり、これだけに限定されるわけではない。
入室検知センサ402は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ402は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサ402としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
着座検知センサ404は、使用者が便座200に着座する直前において便座200の上方に存在する人体や、便座200に着座した使用者を検知することができる。すなわち、着座検知センサ404は、便座200に着座した使用者だけではなく、便座200の上方に存在する使用者を検知することができる。このような着座検知センサ404としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
便蓋開閉検知センサ406としては、例えば、ホールICと磁石との組み合わせ、またはマイクロスイッチなどを用いることができる。
なお、便蓋開閉検知センサ406は、ケーシング400に内蔵されていることに限定されず、便蓋300のヒンジ部やケーシング400の外部に設けられていてもよい。つまり、便蓋開閉検知センサ406は、便蓋300の開閉状態を検知できればよい。これは、入室検知センサ402および着座検知センサ404についても同様であり、入室検知センサ402および着座検知センサ404は、ケーシング400に内蔵されていることに限定されない。つまり、入室検知センサ402は、トイレ室への使用者の入室を検知できればよい。着座検知センサ404は、便座200への使用者の着座を検知できればよい。例えば、入室検知センサ402を別体としてトイレ室の入り口に取り付け、トイレ室への使用者の入室を赤外線通信によってケーシング400内の本体制御部410(図3参照)に伝達する方法でもよい。
便座200は、図2(b)に表したように、便座200の外形を形成する筐体210を有する。筐体210は、例えば樹脂などの絶縁性を有する材料により形成されている。なお、筐体210は、複数の部材により形成されていてもよいし、1つの部材により形成されていてもよい。
便座200の筐体210の内部には、高周波電流が通電されることにより磁界を発生する誘導加熱コイル222が設けられている。図2に表した便座200では、誘導加熱コイル222は、便座200の内部の上面(着座面に対向する内面)210aに付設されていている。但し、誘導加熱コイル222の設置形態は、これだけに限定されず、誘導加熱コイル222は、便座200の内部に設けられた図示しない支持体により支持されていてもよい。
便座200には、誘導加熱コイル222から発生した磁界により誘導加熱される導電体(発熱部)231が設けられている。より具体的には、導電体231は、誘導加熱コイル222から発生する磁界で誘起される渦電流により発熱する。導電体231は、便座200の上面(着座面)に付設されている。あるいは、導電体231は、便座200の筐体210の内部に設けられていてもよい。あるいは、導電体231は、便座200の内部の上面210aに付設されていてもよい。
導電体231としては、例えば鉄やステンレスなどの強磁性体、またはアルミニウムなどの常磁性体といった金属を用いることができる。便座200の外部に磁界を放出させにくくするためには、電気抵抗が大きい鉄やステンレスなどの強磁性体を導電体231に用いることがより好ましい。なお、導電体231が便座200の上面に設けられる場合には、人体と導電体231とが直接的に接触しないように、塗装やコーティングなどが導電体231の表面に施されることがより好ましい。
本実施形態によれば、暖房便座装置100は、誘導加熱の原理を利用し、便座200の着座面を急速に加熱することができ、より速く着座面を適温にすることができる。また、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200の着座面を急速に加熱することができるため、使用者が便座200を使用していないときには便座200を保温しておく必要はない。そのため、待機時の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。
また、使用者が便座200に着座した後すなわち便座200に着座しているときには、便座200の着座面を適温に保温する必要がある。本実施形態によれば、暖房便座装置100は、急速加熱および保温加熱を誘導加熱により実行する。つまり、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200の着座面の温度を連続的に上昇させるように誘導加熱を行う急速加熱モードと、便座200の着座面の温度を所定温度内に保つように誘導加熱を行う保温加熱モードと、を実行することができる。これにより、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、より簡易的な構造で急速加熱と保温加熱とを実現することができる。
後に詳述するように、急速加熱モードでは、降圧部(降圧回路)520(図3参照)は、連続的にオン状態に制御される。一方で、保温加熱モードでは、降圧部520は、パルス駆動に制御されて電源電圧を降圧する。ここで、降圧部520がオン状態のままで保持される故障(以下説明の便宜上「オン故障」と称する)が生ずると、降圧部520は、パルス駆動を行うことができず、電源電圧を降圧することができない。そうすると、例えば使用者が便座200に着座しているときに急速加熱モードが実行される場合がある。
これに対して、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、降圧部520をオフ駆動している状態においてインバータ550(図3参照)に供給される電圧を検出する。そして、インバータ550に供給される供給電圧が所定の閾値の電圧よりも高い場合には、誘導加熱の実行が禁止(停止)される。
これによれば、降圧部520の駆動開始前に、降圧部520のオン故障を判断することができる。そして、降圧部520がオン故障している場合には、誘導加熱の実行が停止され、例えば使用者が便座200に着座しているときに急速加熱モードが実行されることを防止できる。これにより、安全性をより高めることができる。また、誘導加熱コイル222から発生する漏れ磁界を抑えることができる。
次に、本実施形態にかかる暖房便座装置100の回路および動作について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態にかかる暖房便座装置の回路図である。
ケーシング400の内部には、本体制御部410と、入室検知センサ402と、着座検知センサ404と、便蓋開閉検知センサ406と、が設けられている。入室検知センサ402と、着座検知センサ404と、便蓋開閉検知センサ406と、は、図1に関して前述した如くである。本体制御部410は、便座200の内部に設けられた発振制御部257へ出力指示(加熱指示)の制御信号を送信する。また、本体制御部410は、便座200の内部に設けられた降圧部520のゲートドライバ523へ制御信号を送信する。
便座200の内部には、高周波電流を生成し誘導加熱コイル222にその高周波電流を供給する高周波電源回路500が設けられている。高周波電源回路500は、整流部510と、降圧部520と、平滑部530と、共振回路540と、インバータ550と、を有する。
整流部510は、商用電源10から供給される電流を整流する。
降圧部520は、チョッパ式の降圧回路であり、第2のスイッチング素子521と、ダイオード522と、ゲートドライバ523と、平滑部530と、を有し、整流部510の整流出力を降圧してインバータ550に供給する。
平滑部530における平滑コイル531と平滑コンデンサ533とは、チョッパ式降圧回路の一部として機能するだけではない。平滑コンデンサ533は、インバータ550に流れる高周波大電流を平滑して供給する役割も果たす。平滑コイル531は、高周波に対して高インピーダンスとなって、商用電源10側へノイズが伝達することを防止する役割も果たす。なお、降圧機能と平滑機能とでコイルとコンデンサとを兼用せず、それぞれにコイルとコンデンサとの組み合わせを持ち直列に接続してもよい。
共振回路540は、誘導加熱コイル222と、共振コンデンサ541と、を有する。インバータ550は、第1のスイッチング素子551を有し、共振回路540に供給する電力を制御する。第1のスイッチング素子551には、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)が用いられる。
また、便座の内部には、電圧検出部260と、サーミスタ(温度センサ)255と、発振制御部257と、が設けられている。電圧検出部260は、分圧抵抗261と、コンパレータ263と、を有する。
本体制御部410は、発振制御部257へ出力指示(加熱指示)の制御信号を送信する。発振制御部257は、本体制御部410から送信された制御信号に基づいて第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御する。
また、本体制御部410は、降圧部520のゲートドライバ523へ制御信号を送信する。ゲートドライバ523は、本体制御部410から送信された制御信号に基づいて第2のスイッチング素子521のオン/オフを制御する。第2のスイッチング素子521は、ゲートドライバ523から出力された信号に基づいて整流部510の整流出力を降圧するか否かを切り替える。
電圧検出部260は、降圧部520の出力電圧V1すなわちインバータ550に供給される供給電圧V1を検出する。そして、電圧検出部260は、供給電圧V1が分圧抵抗261により適宜低減された電圧と、基準電圧(所定の閾値の電圧)と、をコンパレータ263で比較し、比較結果(信号)を本体制御部410へ出力する。
前述したように、発振制御部257は、本体制御部410から送信された制御信号に基づいて第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御する。つまり、本体制御部410は、加熱指示を出し、発振制御部257を介して第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御する。本体制御部410は、誘導加熱のオン/オフの動作指示を行うだけであり、第1のスイッチング素子521の直接のオン/オフ制御を行うのは、発振制御部257である。発振制御部257の動作は、次のようになる。
まず、発振制御部257が第1のスイッチング素子551をオン状態に制御すると、商用電源10から供給された電流は、整流部510により整流され、平滑部530により平滑化され、誘導加熱コイル222に流れる。保温加熱モードが実行される場合には、整流部510の整流出力は、降圧部520の第2のスイッチング素子521のスイッチング制御により適宜降圧される。
降圧動作は、降圧部520においてフィードフォワード制御により行われる。但し、これだけに限定されず、降圧動作は、フィードバック制御により行われてもよい。降圧動作が降圧部520においてフィードフォワード制御により行われる場合には、例えば想定以上の大電流が流れるように高周波電源回路500が動作し、平滑コンデンサ533の電圧が異常に低下したときでも、降圧部520の入力側の電圧で降圧制御する。そのため、降圧部520の出力を挙げてさらに大電流を流そうとする動作に入ることがない。そのため、安全性をより高めることができる。一方、降圧動作がフィードバック制御により行われる場合には、例えば商用電源10の電圧が変動したときでも、出力の変動を抑えより安定化させることができる。
電流が誘導加熱コイル222に流れると、誘導加熱コイル222に磁気エネルギーが溜まる。続いて、発振制御部257が第1のスイッチング素子551をオフ状態に制御すると、商用電源10からは電流が供給されない一方で、誘導加熱コイル222に溜められた磁気エネルギーが共振コンデンサ541へ静電エネルギーとして移動する。その後、再び共振コンデンサ541から誘導加熱コイル222へエネルギーが戻り、共振する。
この共振動作の途中で、発振制御部257によって第1のスイッチング素子551が再びオン状態に制御されると、誘導加熱コイル222に磁気エネルギーが補充され、前述の動作を繰り返して共振が継続する。
このように、発振制御部257が第1のスイッチング素子551のオン状態とオフ状態とを切り替え制御することにより、誘導加熱コイル222および共振コンデンサ541において共振が発生し、高周波電流が生成される。高周波電流は、誘導加熱コイル222へ供給される。誘導加熱コイル222は、供給された高周波電流によって高周波磁界を発生する。この高周波磁界によって導電体231に渦電流が発生し、導電体231が発熱する。以上の動作により、便座200の着座面を加熱することができる。
例えば、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、本体制御部410は、誘導加熱コイル222への通電を制御し便座200を急速に加熱することができる。そのため、使用者が便座200に座った際に冷たさを感じさせないような適温にすることができる。
本体制御部410は、急速加熱モードを実行する場合には、第2のスイッチング素子521を連続的にオン状態に制御する。これにより、急速加熱モードでは、整流部510の整流出力は、降圧部520において降圧されずにインバータ550に供給される。つまり、整流後の商用電源10と、誘導加熱コイル222と、が直結した状態となる。本体制御部410は、便座200の着座面の温度を連続的に上昇させ急速に加熱することができる。
続いて、使用者が便座200を使用すると、あるいは便座200を使用しようとすると、本体制御部410は、保温加熱の指示を出して第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御し、便座200の着座面の温度を所定温度内に保温する。
本体制御部410は、保温加熱モードを実行する場合には、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御の指示を行う。そして、本体制御部410は、整流部510の整流出力を降圧部520により急速加熱モードにおける降圧出力(整流出力に等しい)よりも充分に降圧させる。つまり、整流部510の整流出力は、降圧部520において急速加熱モードにおける降圧出力よりも充分に降圧されインバータ550に供給される。
整流部510の整流出力が降圧部520により充分に降圧されるため、誘導加熱コイル222に流れるコイル電流は、急速加熱モードにおけるコイル電流よりも小さい。つまり、保温加熱モードにおけるコイル電流の振動振幅は、急速加熱モードにおけるコイル電流の振動振幅よりも小さい。そのため、保温加熱モードにおける共振電圧の共振振幅は、急速加熱モードにおける共振電圧の共振振幅よりも小さくなる。また、保温加熱モードにおける共振エネルギーは、急速加熱モードにおける共振エネルギーよりも小さくなる。なお、共振電圧は、第1のスイッチング素子551の両端にかかる電圧である。
これにより、本体制御部410は、共振動作(第1のスイッチング素子551のオン/オフ制御条件)を変更することなく、整流部510の整流出力を降圧部520により充分に降圧させることで保温加熱モードにおける誘導加熱出力を急速加熱モードにおける誘導加熱出力よりも抑えることができる。そのため、本体制御部410は、電力消費量を急速加熱モードにおける電力消費量よりも低くし、便座200の着座面の温度を所定温度内に保温することができる。
しかしながら、第2のスイッチング素子521がオン故障している場合には、本体制御部410が第2のスイッチング素子521のスイッチング制御の指示を行っても、第2のスイッチング素子521は、パルス駆動を行うことができない。つまり、整流後の商用電源10と、誘導加熱コイル222と、が直結した状態となる。そうすると、整流部510の整流出力は、降圧部520において降圧されずにインバータ550へ供給される。これにより、例えば使用者が便座に着座しているときに急速加熱が実行されるおそれがある。
これに対して、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、電圧検出部260を備える。電圧検出部260は、降圧部520の出力電圧V1すなわちインバータ550に供給される供給電圧V1を検出する。そして、電圧検出部260は、供給電圧V1が分圧抵抗261により適宜低減された電圧と、基準電圧(所定の閾値の電圧)と、をコンパレータ263で比較し、比較結果(信号)を本体制御部410へ出力する。
ゲートドライバ523が本体制御部410から送信された制御信号に基づいて第2のスイッチング素子521をオフ駆動している状態において、電圧検出部260により検出された供給電圧V1が所定の閾値の電圧よりも高い場合には、本体制御部410は、第1のスイッチング素子551への作動指示を禁止(停止)する。
これによれば、降圧部520の駆動開始前に、第2のスイッチング素子521のオン故障を判断することができる。そして、第2のスイッチング素子521がオン故障している場合には、第1のスイッチング素子551への作動指示が禁止される。そのため、例えば使用者が便座200に着座しているときに急速加熱モードが実行されることを防止できる。これにより、安全性をより高めることができる。また、本体制御部410が第1のスイッチング素子551への作動指示を禁止することで、より簡単に誘導加熱を停止することができる。
図4は、本実施形態にかかる暖房便座装置の他の回路図である。
図4に表した回路図では、図3に関して前述した回路図に対してカプラ253がさらに設けられている。電圧検出部260のコンパレータ263から出力される信号は、カプラ253を介してサーミスタ255と本体制御部410とに接続された信号線を伝って本体制御部410に入力される。また、コンパレータ263は、本体制御部410が発振制御部257を作動させる制御信号に基づき、その作動を制御するように構成されてなる。具体的には、コンパレータ263は、発振制御部257が停止しているときに作動し、発振制御部257が作動しているときには停止する。その他の回路構成は、図3に関して前述した回路図の回路構成と同様である。
これによれば、電圧検出部260が第2のスイッチング素子521のオン故障を検出すると、サーミスタ255の出力を短絡して本体制御部410に温度センサの異常として伝達する。よって、サーミスタ255から出力された信号が送信される信号線と、電圧検出部から出力された信号か送信される信号線と、を共用化できるため、図3に関して前述した回路図と比較して信号線を減らすことができる。これにより、回路構成をより簡略化することができる。
図3および図4に表した回路図における暖房便座装置の動作の具体例について、図面を参照しつつさらに説明する。
図5は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の具体例を表すフローチャートである。
まず、本体制御部410は、入室検知センサ402の検知信号に基づいて使用者がトイレ室に入室中であるか否かを判断する(ステップS101)。使用者がトイレ室に入室中である場合には(ステップS101:在室)、本体制御部410は、便座200の温度が適温であるか否かを判断する(ステップS103)。一方、使用者がトイレ室に入室中でない場合には(ステップS101:不在)、便座200を加熱する必要はない。そのため、本体制御部410は、第2のスイッチング素子をオフ状態に制御し(ステップS119)、第1のスイッチング素子551のスイッチング動作の停止指示を出して誘導加熱を停止させる(ステップS121)。
続いて、便座200の温度が適温未満である場合には(ステップS103:適温未満)、本体制御部410は、インバータ550が作動中であるか否かを判断する(ステップS105)。インバータ550が停止中である場合には(ステップS105:停止中)、本体制御部410は、電圧検出部260により検出された供給電圧V1が所定の閾値の電圧よりも高いか否かを判断する(ステップS107)。
ここで、所定の閾値の電圧は、例えば0V(ボルト)よりも大きく1V(ボルト)よりも小さい電圧である。所定の閾値の電圧は、例えば約0.1V(ボルト)程度の電圧である。第2のスイッチング素子521がオン故障しておらず、正常なオフ状態であれば、供給電圧V1は、0V(ボルト)となる。これにより、電圧検出部260により検出された供給電圧V1が例えばノイズなどでわずかに0V(ボルト)でなくなった場合にまで誤って誘導加熱が停止することを抑えることができる。
一方、便座200の温度が適温以上である場合には(ステップS103:適温以上)、便座200を加熱する必要はない。そのため、本体制御部410は、ステップS119、S121に関して前述した動作を実行する。続いて、電圧検出部260により検出された供給電圧V1が所定の閾値の電圧よりも高い場合には(ステップS107:閾値よりも高)、第2のスイッチング素子521がオン故障している可能性があるため、本体制御部410は、ステップS119、S121に関して前述した動作を実行する。つまり、本体制御部410は、第1のスイッチング素子551への作動指示を禁止する。これにより、例えば使用者が便座200に着座しているときに急速加熱モードが実行されることを防止でき、安全性をより高めることができる。
一方、電圧検出部260により検出された供給電圧V1が所定の閾値の電圧以下である場合には(ステップS107:閾値以下)、本体制御部410は、着座検知センサ404の検知信号に基づいて使用者が便座200に着座中であるか否かを判断する(ステップS109)。また、インバータ550が作動中である場合(ステップS105:作動中)には、本体制御部410は、ステップS107に関して前述した動作を行うことなく、ステップS109に関して前述した動作を行う。つまり、本体制御部410は、インバータ550の作動を継続させる。インバータ550の作動を開始する前に、第2のスイッチング素子521がオン故障していないことを確認しているため、ステップS107に関して前述した動作を改めて行う必要はない。
使用者が便座200に着座中でない場合には(ステップS109:非着座)、本体制御部410は、サーミスタ255により測定された便座200の温度と適温との差が5℃以上であるか否かを判断する(ステップS111)。便座200の温度と適温との差が5℃以上である場合には(ステップS111:適温との差が5℃以上)、本体制御部410は、第2のスイッチング素子521を連続的にオン状態に制御する(ステップS113(急速加熱モード))。
一方、便座200の温度と適温との差が5℃未満である場合には(ステップS111:適温との差が5℃未満)、本体制御部410は、第2のスイッチング素子521のスイッチング制御の指示を行い、第2のスイッチング素子521のチョッパ駆動(パルス駆動)を指示する(ステップS115(保温加熱モード))。続いて、本体制御部410は、第1のスイッチング素子551のスイッチング動作の開始指示を出し、インバータ550を作動させる(ステップS117)。これにより、誘導加熱が実行される。
図6は、本実施形態にかかる暖房便座装置のさらに他の回路図である。
図6に表した回路図では、図3に関して前述した回路図に対してインバータ作動指示ラッチ(インバータ作動指示部)270と、AND回路259と、がさらに設けられている。電圧検出部260のコンパレータ263から出力される信号Dは、AND回路259に入力される。本体制御部410から出力されるインバータ550の作動指示信号Aは、AND回路259に入力される。AND回路259は、コンパレータ263の出力信号Dと、インバータ550の作動指示信号Aと、のAND(アンド)をとり、信号Eとしてインバータ作動指示ラッチ270のSET(セット)端子へ出力する。
本体制御部410から出力されるインバータ550の停止指示信号Bは、インバータ作動指示ラッチ270のRESET(リセット)端子に入力される。セット端子に立ち上がりパルスが入力されると、インバータ作動指示ラッチ270の出力信号Fは、「H(HIGH:ハイ)」となる。一方、リセット端子に立ち上がりパルスが入力されると、インバータ作動指示ラッチ270の出力信号Fは、「L(LOW:ロー)」となる。そして、インバータ作動指示ラッチ270の出力信号Fは、発振制御部257に入力される。
発振制御部257の作動/停止は、インバータ作動指示ラッチ270の出力信号Fに基づいて制御される。そして、発振制御部257は、インバータ作動指示ラッチ270から送信された出力信号Fに基づいて第1のスイッチング素子551のオン/オフを制御する。つまり、インバータ作動指示ラッチ270は、発振制御部257を介してインバータ550に作動/停止の制御指示を行う。また、本体制御部410は、ゲートドライバ523へ制御信号Cを出力する。その他の回路構成は、図3に関して前述した回路図の回路構成と同様である。
図7は、図6に表した回路図における暖房便座装置の動作の一例を表すタイミングチャートである。
本具体例の動作は、第2のスイッチング素子521がオン故障していない場合の動作の一例である。
図7(d)に表したように、便座200の加熱を開始する前には、本体制御部410は、制御信号Cにより第2のスイッチング素子521をオフ状態としている(タイミングt1以前)。続いて、例えば、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、図7(b)に表したように、本体制御部410は、インバータ550の作動指示信号Aを出力する(タイミングt1)。
ここで、図7(e)および図7(f)に表したように、電圧検出部260のコンパレータ263は、インバータ550への供給電圧V1が所定の閾値の電圧以下である場合には、「H」の信号を出力する。一方、電圧検出部260のコンパレータ263は、インバータ550への供給電圧V1が所定の閾値の電圧よりも高い場合には、「L」の信号を出力する。
本具体例では、本体制御部410がインバータ550の作動指示信号Aを出力したときには、コンパレータの出力信号Dは、「H」である(タイミングt1)。そのため、図7(g)に表したように、AND回路259の出力信号E(立ち上がりパルス)がインバータ作動指示ラッチ270のセット端子に入力される。そうすると、図7(h)に表したように、インバータ作動指示ラッチ270の出力信号Fは、「H」となる。これにより、図7(i)に表したように、発振制御部257は、第1のスイッチング素子551のスイッチング動作(オン/オフ制御)を開始し、インバータ550を作動させる。
続いて、図7(d)に表したように、本体制御部410は、ゲートドライバ523へ制御信号Cを出力し、第2のスイッチング素子521を連続的にオン状態に制御する(タイミングt2)。これにより、急速加熱モードが実行される。続いて、図7(d)に表したように、本体制御部410は、ゲートドライバ523へ制御信号Cを出力し、第2のスイッチング素子521のスイッチング動作(オン/オフ制御)を開始する(タイミングt3)。これにより、保温加熱モードが実行される。
続いて、図7(c)に表したように、インバータ550の停止指示信号B(立ち上がりパルス)がインバータ作動指示ラッチ270のリセット端子に入力される(タイミングt4)。そうすると、図7(h)に表したように、インバータ作動指示ラッチ270の出力信号Fは、「L」となる。これにより、図7(i)に表したように、発振制御部257は、第1のスイッチング素子551のスイッチング動作を停止し、インバータ550を停止させる。これにより、誘導加熱が停止する。
図8は、図6に表した回路図における暖房便座装置の動作の他の一例を表すタイミングチャートである。
本具体例の動作は、図7に関して前述した具体例と同様に、第2のスイッチング素子521がオン故障していない場合の動作の一例である。本具体例の動作では、便座200の加熱を開始すると、保温加熱モードが実行される。
タイミングt11における動作は、図7に関して前述したタイミングt1における動作と同様である。続いて、図8(d)に表したように、本体制御部410は、ゲートドライバ523へ制御信号Cを出力し、第2のスイッチング素子521のスイッチング動作(オン/オフ制御)を開始する(タイミングt12)。これにより、保温加熱モードが実行される。続いて、タイミングt13における動作は、図7に関して前述したタイミングt4における動作と同様である。
このように、便座200の加熱が開始され、保温加熱モードのみが実行される場合でも、図7に関して前述した動作と同様の動作が行われる。
図9は、図6に表した回路図における暖房便座装置の動作のさらに他の一例を表すタイミングチャートである。
本具体例の動作は、第2のスイッチング素子521がオン故障している場合の動作の一例である。
本具体例では、第2のスイッチング素子521がオン故障している。なお、本願明細書において「オン故障」という範囲には、第2のスイッチング素子521をバイパスする経路が生じている故障が含まれるものとする。そのため、図9(d)に表したように、便座200の加熱を開始する前において、第2のスイッチング素子521は、本体制御部410から出力される制御信号Cにかかわらずオン状態となっている(タイミングt21以前)。続いて、例えば、入室検知センサ402が使用者の入室を検知すると、図9(b)に表したように、本体制御部410は、インバータ550の作動指示信号Aを出力する(タイミングt21)。
ここで、第2のスイッチング素子521がオン故障しているため、図9(e)に表したように、降圧部520の出力電圧V1すなわちインバータ550に供給される供給電圧V1は、所定の閾値の電圧よりも高い。降圧部520の出力電圧V1の波形は、平滑コンデンサ533により平滑された波形となる。また、電圧検出部260が分圧抵抗261を有するため、降圧部520の出力電圧V1は、徐々に低下しつつ所定の閾値の電圧よりも高い電圧に保持される。
そのため、本体制御部410がインバータ550の作動指示信号Aを出力したときには、コンパレータの出力信号Dは、「L」である(タイミングt21)。そのため、図9(g)に表したように、AND回路259の出力信号Eは、「L」のままとなり、インバータ作動指示ラッチ270のセット端子には入力されない。そうすると、図9(h)に表したように、インバータ作動指示ラッチ270の出力信号Fは、「L」のままとなる。これにより、図9(i)に表したように、発振制御部257は、第1のスイッチング素子551のスイッチング動作(オン/オフ制御)を停止したままとし、インバータ550を作動させない。これにより、本体制御部410からの指示にかかわらず急速加熱モードが実行されることを防止することができる。
続いて、第2のスイッチング素子521は、オン故障しているため、図9(d)に表したように、本体制御部410から出力される制御信号Cにかかわらずオン状態のままとなる(タイミングt22)。これにより、本体制御部410からの指示にかかわらず保温加熱モードは、実行されない。
図6に表した回路構成および本具体例の動作によれば、降圧部520の駆動開始前に、本体制御部410を介することなく第2のスイッチング素子521のオン故障を判断することができる。そして、第1のスイッチング素子551への作動指示を禁止することができる。つまり、インバータ550の作動を直接制御するインバータ作動指示ラッチ270や発振制御部257は、降圧部520の出力電圧V1を確認する安全機能を有する。そのため、本体制御部410に故障(例えば、マイコンの暴走)などの不具合が生じた場合でも、本体制御部410からの指示にかかわらず急速加熱モードが実行されることを防止できる。これにより、安全性をより高めることができる。
図6〜図9に表した回路図およびタイミングチャートにおける暖房便座装置の動作の具体例について、図面を参照しつつさらに説明する。
図10は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の他の具体例を表すフローチャートである。
まず、ステップS201〜S205における動作は、図5に関して前述したステップS101〜S105における動作と同様である。続いて、インバータ550が停止中である場合には(ステップS105:停止中)、インバータ550への供給電圧V1が所定の閾値の電圧以下であるときに、インバータ550の作動が開始される(ステップS207)。このとき、図7〜図9に関して前述したように、第2のスイッチング素子521のオン故障は、本体制御部410を介することなく電圧検出部260やAND回路259やインバータ作動指示ラッチ270において判断される。
続いて、ステップS209〜S215における動作は、図5に関して前述したステップS109〜S115における動作と同様である。また、ステップS219およびS221における動作は、図5に関して前述したステップS119およびS121における動作と同様である。本具体例によれば、本体制御部410に故障などの不具合が生じた場合でも急速加熱モードが実行されることを防止できる。これにより、安全性をより高めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、暖房便座装置100は、降圧部520をオフ駆動している状態においてインバータ550に供給される供給電圧V1を検出する。そして、インバータ550に供給される供給電圧V1が所定の閾値の電圧よりも高い場合には、誘導加熱の実行が禁止される。そのため、例えば使用者が便座200に着座しているときに急速加熱モードが実行されることを防止できる。これにより、安全性をより高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや電圧検出部260の回路構成などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。