JP5928665B1 - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
融点が180〜250℃である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、金属ハロゲン化物(B)0.01〜1重量部を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径が0.1〜500nmである熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。溶融滞留安定性に優れ、機械物性および長期の耐酸化劣化性に優れた成形品を得ることのできる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品を提供する。
Description
本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれを成形して得られる成形品に関するものである。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた射出成形性や機械物性などの諸特性を生かし、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品などの幅広い分野に利用されている。しかしながら、熱可塑性ポリエステル樹脂は、高温時の酸化劣化により機械的強度が低下しやすいため、機械機構部品、電気部品、電子部品および自動車部品などの工業用材料として使用するためには、一般の化学的および物理的諸特性のバランスに加えて、長期における高温時の耐酸化劣化性を改善することが求められている。また、近年では、成形品の小型化とともに、薄肉化・軽量化に対する要求が高まっている。特にコネクターなどの薄肉成形品用途においては、溶融滞留時の熱分解が大きい場合、成形品に気泡が発生したり、機械的強度の低下や外観不良などの成形不具合が発生したり、熱分解によりカルボキシル基末端量が増加することによる耐加水分解性の低下が生じる。そのため、溶融滞留時の熱分解の小さい、溶融滞留安定性に優れた材料が求められている。
熱可塑性樹脂の熱安定性を向上させる方法としては、これまでに、例えば、ポリアミド、ポリエステルおよびその混合物からなる群から選択される熱可塑性樹脂に、銅安定剤としてヨウ化銅およびヨウ化カリウム、多価アルコール、およびポリマー強化剤を含有する熱可塑性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)や、少なくとも1種の熱可塑性ポリアミド樹脂を含むポリマー組成物と、銅ハロゲン化物/アルカリハロゲン化物などの熱的安定化系と、任意で、非繊維状無機充填剤、および/または繊維状強化剤を含まないその他の補助添加剤とからなる非繊維強化熱可塑性成形組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、これは主として熱可塑性ポリアミド樹脂の耐酸化劣化性向上を課題とする発明であり、また、耐酸化劣化性および機械特性が不十分であるという課題があった。
一方、熱可塑性ポリエステル樹脂に金属ハロゲン化物を含有する技術として、ポリエステルに平均粒径10〜800nmのヨウ化第1銅を含有するポリエステルフィルム(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献3は、主にポリエチレンテレフタレート樹脂を対象としており、配合前のヨウ化銅の平均粒径は十分に小さいものの、ポリエチレンテレフタレート樹脂に配合することによりヨウ化銅同士が凝集し、結果として粗大分散となるため、耐酸化劣化性が不十分となる課題があった。また、融点が250℃を超えるポリエチレンテレフタレートにヨウ化銅を配合するためには高温にする必要があるため、配合時にヨウ化銅が熱により変質しやすく、耐酸化劣化性が低下するという課題があった。
本発明は、溶融滞留安定性に優れ、機械物性および長期の耐酸化劣化性に優れた成形品を得ることのできる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記した課題を解決するために検討を重ねた結果、特定範囲の融点を有する熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に、金属ハロゲン化物(B)を特定量配合するとともに、金属ハロゲン化物(B)が特定の分散状態となるようにすることにより、上記した課題を解決できることを見出し、本発明に達した。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
融点が180〜250℃である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、金属ハロゲン化物(B)0.01〜0.6重量部を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、前記金属ハロゲン化物(B)がアルカリ金属ハロゲン化物であり、かつ、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径が0.1〜500nmである熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
前記の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
融点が180〜250℃である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と金属ハロゲン化物(B)を二軸押出機にて溶融混練する熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、前記二軸押出機のスクリュー全長に対するニーディングディスクの合計長さの割合が5〜50%である前記の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、溶融滞留安定性に優れる。本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物によれば、機械物性および長期の耐酸化劣化性に優れる成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物について、詳細に説明する。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と記載する場合がある)は、融点が180〜250℃の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)(以下、「熱可塑性ポリエステル樹脂(A)」と記載する場合がある)および金属ハロゲン化物(B)を含む。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の融点は、180〜250℃である。融点が180℃未満であると、成形品の耐熱性が低下する。190℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上である。一方、融点が250℃を超える場合、溶融加工温度を高く設定しなければならず、本発明の技術をもってしても溶融滞留安定性が充分でないために溶融加工時の熱分解が発生し、結果として耐酸化劣化性が低下する。融点は、245℃以下が好ましく、より好ましくは240℃以下である。ここで、融点とは、示差走査型熱量計(DSC)により測定した熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の単独結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を指す。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、(1)ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体、(2)ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、および、(3)ラクトンからなる群より選択される少なくとも一種の残基を主構造単位とする重合体である。ここで、「主構造単位とする」とは、全構造単位中(1)〜(3)からなる群より選択される少なくとも一種の残基を重合体中に50モル%以上、含有することを指す。それらの残基を80モル%以上含有することが好ましい。これらの中でも、(1)ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体の残基を主構造単位とする重合体が、機械物性や耐熱性により優れる点から好ましい。
上記のジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、上記のジオールまたはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ダイマージオールなどの炭素数2〜20の脂肪族または脂環式グリコール;ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの分子量200〜100000の長鎖グリコール;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどの芳香族ジオキシ化合物およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を構造単位とする重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート、ポリプロピレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/セバケートなどの芳香族ポリエステル樹脂などが挙げられる。ここで、「/」は共重合体を表す。
これらの中でも、機械物性および耐熱性をより向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体の残基と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体の残基を主構造単位とする重合体がより好ましい。テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体の残基とプロピレングリコール、ブタンジオールから選ばれる脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体の残基を主構造単位とする重合体がさらに好ましい。
中でも、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレートおよびポリブチレンテレフタレート/ナフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましく、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンナフタレートがより好ましく、成形性や結晶性に優れる点でポリブチレンテレフタレートがさらに好ましい。また、これらを2種以上任意の含有量で用いることもできる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)中の全ジカルボン酸に対するテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の割合は、30モル%以上であることが好ましく、より好ましくは40モル%以上である。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)として、溶融時に異方性を形成し得る液晶性ポリエステル樹脂も用いることができる。液晶性ポリエステル樹脂の構造単位としては、例えば、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位および芳香族イミノオキシ単位などが挙げられる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、機械物性をより向上させる点で、重量平均分子量(Mw)が8000を超え500000以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは8000を超え300000以下の範囲であり、さらに好ましくは8000を超え250000以下の範囲である。溶融加工時のせん断発熱による酸化劣化の進行を抑制する点で、重量平均分子量(Mw)は、最も好ましくは8000を超え35000以下の範囲である。本発明において、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)のMwは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値である。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、公知の重縮合法や開環重合法などにより製造することができる。製造方法は、バッチ重合および連続重合のいずれでもよく、また、エステル交換反応および直接重合による反応のいずれでも適用することができる。生産性の観点から、連続重合が好ましく、また、直接重合がより好ましく用いられる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体である場合には、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応することにより製造することができる。
エステル化反応またはエステル交換反応および重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合反応触媒を添加することが好ましい。重合反応触媒の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステルあるいはこれらの混合エステルなどの有機チタン化合物;ジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズハイドロオキシド、トリフェニルスズハイドロオキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキシド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸などのスズ化合物;ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどのジルコニア化合物;三酸化アンチモンおよび酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
これらの重合反応触媒の中でも、有機チタン化合物およびスズ化合物が好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステルがさらに好ましく用いられる。重合反応触媒の添加量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜0.2重量部の範囲が好ましい。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、融点が180〜250℃の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、金属ハロゲン化物(B)0.01〜0.6重量部を配合してなり、樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径が0.1〜500nmである。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、射出成形性や機械物性に優れるものの、高温における酸化劣化により主鎖から水素を引き抜かれることでラジカルが発生しやすく、このラジカルを基点に主鎖分解が生じるため、分子量が低下しやすい。酸化劣化による分子量低下の進行に伴い、樹脂組成物の溶融滞留安定性や成形品の機械物性が低下する。ここで、溶融滞留安定性とは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の融点以上の温度における樹脂組成物の安定性を指し、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の主鎖分解に起因するカルボキシル末端基の変化をその指標とすることができる。本発明においては、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に金属ハロゲン化物(B)を配合するとともに、金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径を0.1〜500nmに調整することにより、酸化劣化により生じるラジカルを効率よく捕捉して主鎖分解による分子量低下やカルボキシル末端基の増加を抑制することができ、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の有する高い機械物性を維持するとともに、溶融滞留安定性を向上させることができる。
金属ハロゲン化物(B)としては、特に限定されるものではないが、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属ハロゲン化物;ヨウ化マンガン(II)、臭化マンガン(II)、塩化マンガン(II)などの第7族金属ハロゲン化物;ヨウ化鉄(II)、臭化鉄(II)、塩化鉄(II)などの第8族金属ハロゲン化物;ヨウ化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、塩化コバルト(II)などの第9族金属ハロゲン化物;ヨウ化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)などの第10族金属ハロゲン化物;ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)などの第11族金属ハロゲン化物;ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛などの第12族金属ハロゲン化物;ヨウ化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)などの第13族金属ハロゲン化物;ヨウ化スズ(II)、臭化スズ(II)、塩化スズ(II)などの第14族金属ハロゲン化物;三ヨウ化アンチモン、三臭化アンチモン、三塩化アンチモン、ヨウ化ビスマス(III)、臭化ビスマス(III)、塩化ビスマス(III)などの第15族金属ハロゲン化物などが挙げられる。これらを2種以上併用してもよい。これらの中でも、入手が容易で、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)への分散性に優れ、ラジカルとの反応性がより高く、かつ、耐酸化劣化性をより向上させる観点から、アルカリ金属ハロゲン化物が好ましく、その中でもアルカリ金属ヨウ化物がより好ましい。
金属ハロゲン化物(B)の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜0.6重量部である。(B)成分の配合量が0.01重量部未満の場合、耐酸化劣化性および溶融滞留安定性が低下する。耐酸化劣化性をより向上させる観点から、配合量は、0.02重量部以上が好ましく、0.04重量部以上がより好ましい。一方、(B)成分の配合量が0.6重量部を超えると、金属ハロゲン化物(B)の自己凝集が進行することにより分散径が粗大となり、機械物性が低下しやすくなる。また、粗大分散となることにより表面積が低下し、金属ハロゲン化物(B)とラジカルの反応が低下するため、溶融滞留安定性および耐酸化劣化性が低下しやすくなる。配合量は、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。
本発明において、樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径は0.1〜500nmである。(B)成分の面積平均粒子径が500nmを超えると、耐酸化劣化性、溶融滞留安定性および機械物性が低下する。金属ハロゲン化物(B)とラジカルとの反応性をより向上させる観点から、面積平均粒子径は、好ましくは300nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは60nm以下である。
ここで、樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径は、次の方法により測定することができる。一般的な成形条件であれば、成形品における(B)成分の粒子径は樹脂組成物中における粒子径と同程度であることから、本発明においては、試験片厚み1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベルまたは試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)のASTM1号ダンベルの評価用試験片を用いて(B)成分の面積平均粒子径を測定する。まず、成形温度を(A)成分の融点+約30℃とし、金型温度を80℃として、射出時間と保圧時間を合わせて10秒、冷却時間を10秒とする成形サイクル条件により、樹脂組成物の射出成形を行い、前記評価用試験片を作製する。次いで、得られた評価用試験片から厚み100μmの切片を切り出し、ヨウ素染色法により(A)成分を染色した後、超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率10万倍で(B)成分の分散状態を観察する。無作為に選択した少なくとも100個の金属ハロゲン化物(B)粒子について粒子径を測定し、下記(式1)により面積平均粒子径を算出する。粒子が円形でない場合、長径を粒子径とする。
面積平均粒子径=Σ(di3×ni)/Σ(di2×ni)・・・(式1)
ここで、diは(B)成分の粒子径、niは粒子径diの(B)成分の個数を示す。
面積平均粒子径=Σ(di3×ni)/Σ(di2×ni)・・・(式1)
ここで、diは(B)成分の粒子径、niは粒子径diの(B)成分の個数を示す。
ここで、樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径が0.1〜500nmの分散状態となるようにすることが重要である。配合前の金属ハロゲン化物(B)の平均粒径が十分に小さかったとしても、配合の過程で凝集することにより分散径が前記範囲を超えると、溶融滞留安定性および耐酸化劣化性が低下しやすくなる。樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径を0.1〜500nmとするためには、金属ハロゲン化物(B)の種類や配合量を前述の好ましい範囲にすることが好ましい。また、樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径を0.1〜500nmとするために好ましい製造方法については、後述する。
樹脂組成物は、大気圧下、180℃で250℃加熱処理した後の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量保持率が80%以上であることが好ましい。重量平均分子量保持率を80%以上とすることで、長期間高温条件下に晒される場合においても、機械特性をより高く保持することができる。重量平均分子量保持率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。ここで、重量平均分子量保持率は、次の方法により求めることができる。まず、樹脂組成物2.5mgをヘキサフルオロイソプロパノール3mlに溶解した後、孔径0.45μmのクロマトディスクを用いてろ過することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液を得る。得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液について、GPCを用いてPMMA換算の重量平均分子量を算出する。これを加熱処理前の重量平均分子量とする。次に、ホットプレスを用い、樹脂組成物をプレス温度250℃で5分間加熱処理した後、110℃で5分間結晶化処理することにより、厚み600μmの試験用プレスシートを得る。ついで、得られた試験用プレスシートを、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理する。加熱処理後の、試験用プレスシートから2.5mgを切り出し、ヘキサフルオロイソプロパノール3mlに溶解し、孔径0.45μmのクロマトディスクを用いてろ過することにより、加熱処理後の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液を得る。次に、前記と同様に加熱処理後の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量を測定する。加熱処理後の重量平均分子量を、加熱処理前の重量平均分子量により除して100を乗ずることにより、重量平均分子量保持率(%)を算出する。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量保持率を前記範囲にする手段としては、例えば、金属ハロゲン化物(B)の配合量を前述の好ましい範囲にする方法、金属ハロゲン化物(B)として、ラジカルの捕捉能力の高いアルカリ金属ハロゲン化物、特にアルカリ金属ヨウ化物を配合する方法、樹脂組成物中の金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径を前述の好ましい範囲にする方法などが挙げられる。
樹脂組成物は、大気圧下、180℃で250℃加熱処理した後に1H−NMRスペクトルを測定した場合、該1H−NMRスペクトルにおける化学シフト3.6〜4.0ppmのピーク積分値を100としたとき、5.2〜6.0ppmのピーク積分値が0〜2であることが好ましい。5.2〜6.0ppmのピークは熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の酸化劣化により発生する不飽和二重結合を、3.6〜4.0ppmのピークは熱可塑性ポリエステル樹脂(A)のメチレン基を示している。すなわち、3.6〜4.0ppmのピーク積分値に対する5.2〜6.0ppmのピーク積分値の大きさは、加熱処理による熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の酸化劣化の程度を表している。5.2〜6.0ppmの積分値を0〜2と低くすることで、長期間高温条件下に晒される場合においても、機械特性をより高く保持することができる。該ピーク積分値は、好ましくは0〜1、より好ましくは0〜0.5である。ここで、各ピークの積分値は、次の方法により求めることができる。まず、ホットプレスを用い、樹脂組成物をプレス温度250℃で5分間加熱処理した後、110℃で5分間結晶化処理することにより、厚み600μmの試験用プレスシートを得る。ついで、得られた試験用プレスシートを、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理する。加熱処理後の試験用プレスシートから10mgを切り出し、重ヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解し、1H−NMRスペクトルの測定を行い、3.6〜4.0ppmおよび5.2〜6.0ppmの積分値を算出する。
樹脂組成物の1H−NMR測定における5.2〜6.0ppmのピーク積分値を前記範囲にする手段としては、例えば、金属ハロゲン化物(B)の配合量を前述の好ましい範囲にする方法、金属ハロゲン化物(B)として、ラジカルの捕捉能力の高いアルカリ金属ハロゲン化物、特にアルカリ金属ヨウ化物を配合する方法、樹脂組成物中の金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径を前述の好ましい範囲にする方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、大気圧下、180℃で250℃加熱処理した後の引張強度保持率が80%以上であることが好ましい。引張強度保持率を80%以上とすることで、長期間高温条件下に晒される場合においても、成形品としての特性をより高く保持することができる。引張強度保持率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。ここで、成形品の引張強度保持率は、次の方法により求めることができる。まず、射出成形機にてダンベル型の評価用試験片を作製し、引張強度を測定する。ついで、評価用試験片を、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理した後、引張強度を測定する。加熱処理後の引張強度を、加熱処理前の引張強度により除して100を乗ずることにより、引張強度保持率(%)を算出する。
樹脂組成物からなる成形品の引張強度保持率を前記範囲にする手段としては、例えば、金属ハロゲン化物(B)の配合量を前述の好ましい範囲にする方法、金属ハロゲン化物(B)として、ラジカルの捕捉能力の高いアルカリ金属ハロゲン化物、特にアルカリ金属ヨウ化物を配合する方法、樹脂組成物中の金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径を前述の好ましい範囲にする方法などが挙げられる。
樹脂組成物は、さらに酸化防止剤(C)を配合してなることが好ましい。酸化防止剤(C)を配合することにより、高温時の酸素存在下により発生する過酸化物ラジカルの無害化を促進し、耐酸化劣化性および溶融滞留安定性をより向上させることができる。酸化防止剤(C)としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
ヒンダードフェノール化合物の例としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル‐4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド等を挙げることができる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイドである。ヒンダードフェノール化合物の具体的な商品名としては、ADEKA製“アデカスタブ”(登録商標)AO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80、AO−330、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製“イルガノックス”(登録商標)245、259、565、1010、1035、1076、1098、1222、1330、1425、1520、3114、5057、住友化学製“スミライザー”(登録商標)BHT−R、MDP−S、BBM−S、WX−R、NW、BP−76、BP−101、GA−80、GM、GS、サイアナミド製“サイアノックス”CY−1790などが挙げられる。
チオエーテル化合物の例としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)などが挙げられる。
これらの中でも、機械物性をより向上させる観点から、チオエーテル化合物がより好ましい。
また、酸化防止剤(C)の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部が好ましい。酸化防止剤(C)の配合量を0.01重量部以上とすることにより、耐酸化劣化性をより向上させることができる。配合量は、より好ましくは0.02重量部以上であり、さらに好ましくは0.03重量部以上である。一方、酸化防止剤(C)の配合量を1重量部以下とすることにより、機械物性をより向上させることができる。配合量は、より好ましくは0.5重量部以下であり、さらに好ましくは0.3重量部以下である。
樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤および帯電防止剤などの任意の添加剤などを1種以上配合してもよい。
樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、(A)成分以外の熱可塑性樹脂を配合してもよく、成形性、寸法精度、成形収縮および靭性などを向上させることができる。(A)成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族または脂肪族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、180〜250℃の範囲に融点を有しない熱可塑性ポリエステル樹脂などを挙げることができる。前記オレフィン樹脂の具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート、エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸、エチレン/プロピレン/無水マレイン酸、エチレン/無水マレイン酸などが挙げられる。また、前記ビニル系樹脂の具体例としては、メチルメタクリレート/スチレン樹脂(MS樹脂)、メタクリル酸メチル/アクリロニトリル、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS樹脂)、スチレン/ブタジエン樹脂、スチレン/N−フェニルマレイミド樹脂、スチレン/アクリロニトリル/N−フェニルマレイミド樹脂などのビニル系(共)重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/メタクリル酸メチル/スチレン樹脂(MABS樹脂)、ハイインパクト−ポリスチレン樹脂等のゴム質重合体で変性されたスチレン系樹脂、スチレン/ブタジエン/スチレン樹脂、スチレン/イソプレン/スチレン樹脂、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン樹脂などのブロック共重合体、さらにコアシェルゴムとして、ジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体(コア層)とメタクリル酸メチル重合体(シェル層)多層構造体、ジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体(コア層)とアクリロニトリル/スチレン共重合体(シェル層)多層構造体、ブタンジエン/スチレン重合体(コア層)とメタクリル酸メチル重合体(シェル層)の多層構造体、ブタンジエン/スチレン重合体(コア層)とアクリロニトリル/スチレン共重合体(シェル層)の多層構造体などが挙げられる。
樹脂組成物には、3つ以上の官能基を有し、アルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物(以下、「多価アルコール化合物」と記載する場合がある)を配合することができる。かかる化合物を配合することにより、射出成形など成形加工時の流動性を向上させることができる。ここで、多価アルコール化合物とは、水酸基を2つ以上有する化合物を指す。多価アルコール化合物は、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよい。また、水酸基以外の官能基としては、アルデヒド基、カルボン酸基、スルホ基、アミノ基、グリシジル基、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、オキサジン基、エステル基、アミド基、シラノール基、シリルエーテル基などが挙げられる。これらの中から同一あるいは異なる3つ以上の官能基を有することが好ましい。特に流動性、機械物性、耐久性、耐熱性および生産性をより向上させる点で、同一の官能基を3つ以上有することがさらに好ましい。
また、アルキレンオキシド単位の好ましい例として、炭素原子数1〜4である脂肪族アルキレンオキシド単位が挙げられる。具体例としては、メチレンオキシド単位、エチレンオキシド単位、トリメチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、テトラメチレンオキシド単位、1,2−ブチレンオキシド単位、2,3−ブチレンオキシド単位、イソブチレンオキシド単位などを挙げることができる。
特に、流動性、リサイクル性、耐久性、耐熱性および機械物性により優れるという点で、アルキレンオキシド単位としてエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位が含まれる化合物を使用することが好ましい。また、長期耐加水分解性および靭性(引張破断伸度)により優れるという点で、プロピレンオキシド単位が含まれる化合物を使用することが特に好ましい。アルキレンオキシド単位数については、流動性により優れるという点で、1官能基当たりのアルキレンオキシド単位が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは1以上である。一方、機械物性により優れるという点で、1官能基当たりのアルキレンオキシド単位が20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下である。
また、多価アルコール化合物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と反応し、(A)成分の主鎖および/または側鎖に導入されていてもよいし、(A)成分と反応せずに、樹脂組成物中にそのまま存在していてもよい。
多価アルコール化合物の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜3重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましい。
樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、難燃剤(E)を配合することができる。難燃剤(E)としては、例えば、リン系難燃剤、臭素系難燃剤などのハロゲン系難燃剤、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩、シリコーン系難燃剤および無機系難燃剤などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
また、難燃剤(E)の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、1〜100重量部が好ましい。
リン系難燃剤としては、例えば、芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物、ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミン、リン酸エステルアミドおよび赤リンなどが挙げられる。これらの中でも、芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物およびホスフィン酸金属塩から選ばれた難燃剤が好ましく用いられる。
芳香族リン酸エステル化合物としては、例えば、レゾルシノールジフェニルホスフェート、ハイドロキノンジフェニルホスフェート、ビスフェノールAジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。その市販品としては、大八化学工業(株)社製PX−202、CR−741、PX−200、PX−201、(株)アデカ社製FP−500、FP−600、FP−700およびPFRなどを挙げることができる。
ホスファゼン化合物としては、ホスホニトリル線状ポリマーおよび/または環状ポリマーを挙げることができる。特に直鎖状のフェノキシホスファゼンを主成分とするものが好ましく用いられる。ホスファゼン化合物は、著者梶原『ホスファゼン化合物の合成と応用』などに記載されている公知の方法で合成することができる。例えば、りん源として五塩化リンあるいは三塩化リン、窒素源として塩化アンモニウムあるいはアンモニアガスを公知の方法で反応させて(環状物を精製してもよい)、得られた物質をアルコール、フェノールおよびアミン類で置換することで合成することができる。また、市販品として、(株)伏見製薬所製“ラビトル”(登録商標)FP−110、大塚化学(株)製SPB−100などが好ましく用いられる。
フォスファフェナントレン化合物は、分子内に少なくとも1個のフォスファフェナントレン骨格を有するリン系難燃剤であり、市販品としては、三光(株)社製HCA、HCA−HQ、BCA、SANKO−220およびM−Esterなどが挙げられる。特にM−Esterは、溶融混練時に末端の水酸基と熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の末端との反応が期待でき、高温多湿下でのブリードアウト抑制に効果があるため、好ましく用いられる。
ホスフィン酸金属塩は、ホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩および/またはその重合体であり、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の難燃剤として有用な化合物である。前記の塩としては、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛などの塩が挙げられる。ホスフィン酸金属塩の市販品としては、クラリアントジャパン製“Exolit”(登録商標)OP1230やOP1240などが挙げられる。
リン酸エステルアミドは、リン原子と窒素原子を含む芳香族アミド系難燃剤である。高い融点を持つ常温で粉末状の物質であることから、配合時のハンドリング性に優れ、成形品の熱変形温度をより向上させることができる。リン酸エステルアミドの市販品としては、四国化成(株)社製SP−703などが好ましく用いられる。
ポリ燐酸アンモニウムとしては、例えば、ポリ燐酸アンモニウム、メラミン変性ポリ燐酸アンモニウム、カルバミルポリ燐酸アンモニウムなどが挙げられる。熱硬化性を示すフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂などによって被覆されていてもよい。
ポリ燐酸メラミンとしては、例えば、リン原子燐酸メラミン、ピロ燐酸メラミンおよびメラミン、メラム、メレムとのリン酸塩などのポリ燐酸メラミンが挙げられる。ポリ燐酸メラミンの市販品としては、(株)三和ケミカル製“MPP−A、日産化学(株)製PMP−100やPMP−200などが好ましく用いられる。
赤リンとしては、熱硬化性樹脂被膜、金属水酸化物被膜、金属メッキ被膜などの化合物被膜により処理されたものが好ましい。熱硬化性樹脂被膜の熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂などが挙げられる。金属水酸化物被膜の金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどを挙げることができる。金属メッキ被膜の金属としては、例えば、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれらの合金などが挙げられる。さらに、これらの被膜は2種以上組み合わせて、あるいは2層以上に積層されていてもよい。
また、リン系難燃剤の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、1〜40重量部が好ましく、10〜24重量部がより好ましい。
臭素系難燃剤の具体例としては、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモベンゼン、1,1−スルホニル[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)]ベンゼン、ポリジブロモフェニレンオキサイド、テトラブロムビスフェノール−S、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、トリブロモネオペンチルアルコール、ブロム化ポリスチレン、ブロム化ポリエチレン、テトラブロムビスフェノール−A、テトラブロムビスフェノール−A誘導体、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマーまたはポリマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマーまたはポリマー、ブロム化フェノールノボラックエポキシなどのブロム化エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(2−ヒドロキシジエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモシクロオクタン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ジブロモネオペンチルグリコール、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、N,N’−エチレン−ビス−テトラブロモフタルイミドなどが挙げられる。これらのなかでも、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマーおよびブロム化エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
また、ハロゲン系難燃剤の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、3〜40重量部がより好ましい。
トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩としては、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレートが好ましく用いられる。トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との1対1(モル比)の塩が一般的であり、場合により1対2(モル比)の塩を用いることもできる。かかる化合物を配合することにより、冷却効果により樹脂組成物および成形品の難燃性をより向上させることができる。
メラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートは、任意の方法で製造することができる。例えば、メラミンとシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、よく混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥することにより、一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要はなく、多少未反応のメラミンないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していてもよい。また、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤やポリビニルアルコールおよびシリカなどの金属酸化物などの公知の表面処理剤などにより処理してもよく、分散性を向上させることができる。また、メラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートの樹脂に配合される前後の平均粒径はいずれも、成形品の難燃性、機械強度、表面性の観点から、0.1〜100μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。ここでいう平均粒径とは、レーザーミクロンサイザー法による累積分布50%粒子径で測定される平均粒径である。また、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の市販品としては、日産化学(株)製MC−4000、MC−4500およびMC−6000などが好ましく用いられる。
トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の配合量は、難燃性と機械物性の観点から、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、1〜50重量部が好ましく、10〜45重量部がより好ましい。
シリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂やシリコーンオイルを挙げることができる。シリコーン樹脂としては、SiO2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有する樹脂などを挙げることができる。ここで、Rは置換されていてもよいアルキル基または芳香族炭化水素基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基などが挙げられる。また、置換基としては、ビニル基などが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンの側鎖あるいは末端の少なくとも1つのメチル基が、水素、アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基およびトリフロロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により変性された変性ポリシロキサンなどが挙げられる。
無機系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム水和物、水酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、硼酸亜鉛、硼酸亜鉛水和物、水酸化亜鉛酸化第一鉄、酸化第二鉄、硫化イオウ、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、スルファミン酸アンモニウム、ジルコニウム系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛などを挙げることができる。
無機系難燃剤は、脂肪酸やシランカップリング剤などで表面処理されていてもよい。無機系難燃剤の中でも、硼酸亜鉛水和物、膨潤性黒鉛が難燃性の点で好ましく、難燃性と滞留安定性に優れる無機系難燃剤として、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの混合物、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、硼酸亜鉛、亜鉛酸化第一鉄、酸化第二鉄および硫化イオウから選ばれた難燃剤が特に好ましく用いられる。
無機系難燃剤の配合量は、燃焼熱の吸熱効果および膨張による燃焼防止効果が発揮されるという点で、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.05〜4重量部が好ましく、0.15〜2重量部がより好ましい。
樹脂組成物には、フッ素系樹脂を配合することができる。フッ素系樹脂を配合することにより、燃焼時の溶融落下を抑制し、難燃性を向上させることができる。
フッ素系樹脂とは、物質分子中にフッ素を含有する樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、およびポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
また、フッ素系樹脂の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.15〜1.5重量部がより好ましい。
樹脂組成物には、離型剤を配合することができる。離型剤を配合することにより、射出成形時の離型性を向上させることができる。離型剤としては、例えば、エチレンビスステアリルアマイドなどの脂肪酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸からなる重縮合物あるいはフェニレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物からなる脂肪酸アミド、ポリアルキレンワックス、酸無水物変性ポリアルキレンワックスおよび上記の滑剤とフッ素系樹脂やフッ素系化合物の混合物などの公知のプラスチックス用離型剤が挙げられる。
離型剤の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部が好ましく、0.03〜0.6重量部がより好ましい。
樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維強化材(D)を配合することができる。繊維強化材(D)を配合することにより、機械強度と耐熱性をより向上させることができる。
繊維強化材(D)の具体例としては、ガラス繊維、アラミド繊維、および炭素繊維などが挙げられる。ガラス繊維としては、チョップドストランドタイプやロービングタイプのガラス繊維であって、アミノシラン化合物やエポキシシラン化合物などのシランカップリング剤および/またはウレタン、酢酸ビニル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック系エポキシ化合物などの一種以上のエポキシ化合物などを含有した集束剤で処理されたガラス繊維が好ましく用いられる。シランカップリング剤および/または集束剤はエマルジョン液に混合されて使用されていてもよい。また、繊維径は通常1〜30μm、好ましくは5〜15μmである。また、繊維断面は通常円形であるが、任意の縦横比の楕円形ガラス繊維、扁平ガラス繊維およびまゆ型形状ガラス繊維など任意な断面を持つ繊維強化材を用いることもでき、射出成形時の流動性向上と、ソリの少ない成形品が得られる特徴がある。
繊維強化材(D)の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、1〜100重量部が好ましく、3〜95重量部がより好ましい。
樹脂組成物には、繊維強化材以外の無機充填材を配合することができる。これにより、成形品の結晶化特性、耐アーク性、異方性、機械強度、難燃性あるいは熱変形温度などの一部を改良することができ、特に、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。
繊維強化材以外の無機充填材としては、針状、粒状、粉末状および層状の無機充填材が挙げられる。具体例としては、ガラスビーズ、ミルドファイバー、ガラスフレーク、チタン酸カリウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、ワラステナイト、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの混合物、微粉ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト)、バーミキュライト、マイカ、フッ素テニオライト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウム、およびドロマイトなどが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。ミルドファイバー、ガラスフレーク、カオリン、タルクおよびマイカを用いた場合は、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。また、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの混合物、微粉ケイ酸、ケイ酸アルミニウムおよび酸化ケイ素を熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部の範囲で配合した場合は、滞留安定性をより向上させることができる。
繊維強化材以外の無機充填材には、カップリング剤処理、エポキシ化合物、あるいはイオン化処理などの表面処理が行われていてもよい。また、粒状、粉末状および層状の無機充填材の平均粒径は、衝撃強度の点から、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましい。繊維強化材以外の無機充填材の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、1〜50重量部が好ましい。また、繊維強化材と繊維強化材以外の無機充填材とを併用する場合、合計の配合量は、成形時の流動性と成形機や金型の耐久性の点から、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、100重量部以下が好ましい。
樹脂組成物は、さらに、カーボンブラック、酸化チタンおよび種々の色の顔料や染料を1種以上配合することができる。これにより、種々の色に調色したり、耐候(光)性および導電性を改良することも可能である。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、アントラセンブラック、油煙、松煙、および、黒鉛などが挙げられる。カーボンブラックは、平均粒径が500nm以下であり、ジブチルフタレート吸油量が50〜400cm3/100gであるものが好ましく用いられる。酸化チタンとしては、ルチル形あるいはアナターゼ形などの結晶形を持ち、平均粒径5μm以下の酸化チタンが好ましく用いられる。
これらカーボンブラック、酸化チタンおよび種々の色の顔料や染料は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ポリオール、およびシランカップリング剤などで処理されていてもよい。また、樹脂組成物における分散性向上や製造時のハンドリング性の向上のため、種々の熱可塑性樹脂と溶融ブレンドあるいは単にブレンドした混合材料として用いてもよい。
顔料や染料の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜1重量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、例えば、(1)前記(A)成分、(B)成分および必要に応じてその他成分を溶融混練する方法や、(2)前記(A)成分の製造時に、前記(B)成分および必要に応じて他成分を添加する方法などにより得ることができる。金属ハロゲン化物(B)の分散性を向上させる観点から、(1)の方法がより好ましい。
前記(1)の方法としては、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、金属ハロゲン化物(B)、必要に応じて(C)酸化防止剤、および各種添加剤などを予備混合して、押出機などに供給して十分溶融混練する方法、あるいは、重量フィダーなどの定量フィダーを用いて各成分を所定量押出機などに供給して十分溶融混練する方法などが挙げられる。
上記の予備混合の例としては、ドライブレンドする方法や、タンブラー、リボンミキサーおよびヘンシェルミキサー等の機械的な混合装置を用いて混合する方法などが挙げられる。また、繊維強化材や繊維強化材以外の無機充填材は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中に設置したサイドフィーダーから添加してもよい。また、液体の添加剤の場合は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中に液添ノズルを設置してプランジャーポンプを用いて添加する方法や、元込め部などから定量ポンプで供給する方法などを用いてもよい。
押出機などを用いて溶融混練する場合、溶融混練装置として二軸押出機を用いることが好ましく、せん断により金属ハロゲン化物(B)の分散性をより向上させることができる。
二軸押出機を用いる場合のスクリュー構成としては、フルフライトおよびニーディングディスクを組み合わせることが一般的である。本発明においては、金属ハロゲン化物(B)を前述の面積平均粒子径となるように分散させる観点から、スクリューにより均一に混練することが好ましい。そのため、スクリュー全長に対するニーディングディスクの合計長さ(ニーディングゾーンの長さ)の割合は、5〜50%の範囲が好ましく、10〜40%の範囲がより好ましい。
前記(2)の方法としては、例えば、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応またはエステル交換反応するとき、および/または、重縮合反応するときに、金属ハロゲン化物(B)、必要に応じて(C)酸化防止剤、および各種添加剤などを添加する方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、ペレット化してから成形加工することが好ましい。ペレット化の方法として、例えば“ユニメルト”あるいは“ダルメージ”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、コニカル押出機およびニーダータイプの混練機などを用いて、樹脂組成物をストランド状に吐出し、ストランドカッターでカッティングする方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を溶融成形することにより、フィルム、繊維およびその他各種形状の成形品を得ることができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形およびブロー成形などが挙げられる。射出成形が特に好ましく用いられる。
射出成形の方法としては、通常の射出成形方法以外にもガスアシスト成形、2色成形、サンドイッチ成形、インモールド成形、インサート成形およびインジェクションプレス成形などが知られているが、いずれの成形方法も適用できる。
本発明の成形品は、長期の耐酸化劣化性や引張強度や伸びなどの機械物性、耐熱性に優れる特徴を活かした機械機構部品、電気部品、電子部品および自動車部品の成形品として用いることができる。本発明の成形品は、長期の耐加水分解性に優れることから、特に外層部品に有用である。
機械機構部品、電気部品、電子部品および自動車部品の具体的な例としては、ブレーカー、電磁開閉器、フォーカスケース、フライバックトランス、複写機やプリンターの定着機用成形品、一般家庭電化製品、OA機器などのハウジング、バリコンケース部品、各種端子板、変成器、プリント配線板、ハウジング、端子ブロック、コイルボビン、コネクター、リレー、ディスクドライブシャーシー、トランス、スイッチ部品、コンセント部品、モーター部品、ソケット、プラグ、コンデンサー、各種ケース類、抵抗器、金属端子や導線が組み込まれる電気・電子部品、コンピューター関連部品、音響部品などの音声部品、照明部品、電信機器関連部品、電話機器関連部品、エアコン部品、VTRやテレビなどの家電部品、複写機用部品、ファクシミリ用部品、光学機器用部品、自動車点火装置部品、自動車用コネクター、および各種自動車用電装部品などが挙げられる。
次に、実施例により本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物について具体的に説明する。実施例および比較例に用いられる原料を次に示す。ここで%および部とは、すべて重量%および重量部を表す。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
<A−1>ポリブチレンテレフタレート樹脂:東レ(株)製、ポリブチレンテレフタレート樹脂(融点225℃、重量平均分子量1.8万)を用いた。
<A−2>ポリエチレンテレフタレート樹脂:東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレート樹脂(融点260℃、重量平均分子量1.9万)を用いた。
<A−3>ポリブチレンテレフタレート樹脂:東レ(株)製、ポリブチレンテレフタレート樹脂(融点225℃、重量平均分子量5.0万)を用いた。
<A−1>ポリブチレンテレフタレート樹脂:東レ(株)製、ポリブチレンテレフタレート樹脂(融点225℃、重量平均分子量1.8万)を用いた。
<A−2>ポリエチレンテレフタレート樹脂:東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレート樹脂(融点260℃、重量平均分子量1.9万)を用いた。
<A−3>ポリブチレンテレフタレート樹脂:東レ(株)製、ポリブチレンテレフタレート樹脂(融点225℃、重量平均分子量5.0万)を用いた。
金属ハロゲン化物(B)
<B−1>ヨウ化カリウム:和光純薬工業(株)製のヨウ化カリウム(試薬)を用いた。
<B−2>ヨウ化ナトリウム:東京化成工業(株)製のヨウ化ナトリウム(試薬)を用いた。
<B−3>ヨウ化リチウム:和光純薬工業(株)製のヨウ化リチウム(試薬)を用いた。
<B−4>臭化カリウム:東京化成工業(株)製の臭化カリウム(試薬)を用いた。
<B−5>ヨウ化銅(I):和光純薬工業(株)製のヨウ化カリウム(試薬)を用いた。
<B−1>ヨウ化カリウム:和光純薬工業(株)製のヨウ化カリウム(試薬)を用いた。
<B−2>ヨウ化ナトリウム:東京化成工業(株)製のヨウ化ナトリウム(試薬)を用いた。
<B−3>ヨウ化リチウム:和光純薬工業(株)製のヨウ化リチウム(試薬)を用いた。
<B−4>臭化カリウム:東京化成工業(株)製の臭化カリウム(試薬)を用いた。
<B−5>ヨウ化銅(I):和光純薬工業(株)製のヨウ化カリウム(試薬)を用いた。
酸化防止剤(C)
<C−1>ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート):(株)ADEKA製“アデカスタブ”(登録商標)AO−412Sを用いた。
<C−1>ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート):(株)ADEKA製“アデカスタブ”(登録商標)AO−412Sを用いた。
繊維強化材(D)
<D−1>ガラス繊維:繊維径約10μmのチョップドストランド状のガラス繊維、日東紡績(株)製の3J948を用いた。
<D−1>ガラス繊維:繊維径約10μmのチョップドストランド状のガラス繊維、日東紡績(株)製の3J948を用いた。
[各特性の測定方法]
実施例、比較例においては、次に記載する測定方法によって、その特性を評価した。
実施例、比較例においては、次に記載する測定方法によって、その特性を評価した。
1.平均粒子径
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、(A)成分としてポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合、成形温度250℃、金型温度80℃の温度条件で、また、(A)成分としてポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した場合、成形温度285℃、金型温度80℃の温度条件で、射出時間と保圧時間を合わせて10秒、冷却時間を10秒とする成形サイクル条件で、試験片厚み1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベルの評価用試験片を得た。ガラス繊維を配合した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の場合、成形サイクルは上記と同じ条件とし、試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)のASTM1号ダンベルの評価用試験片を得た。次いで、得られた評価用試験片の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、(B)金属ハロゲン化物の分散状態を観察した。射出成形品から厚み100μmの切片を切り出し、ヨウ素染色法により(A)成分を染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行った。少なくとも100個の(B)金属ハロゲン化物からなる粒子について観察を行い、面積平均粒子径を求めた。
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、(A)成分としてポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合、成形温度250℃、金型温度80℃の温度条件で、また、(A)成分としてポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した場合、成形温度285℃、金型温度80℃の温度条件で、射出時間と保圧時間を合わせて10秒、冷却時間を10秒とする成形サイクル条件で、試験片厚み1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベルの評価用試験片を得た。ガラス繊維を配合した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の場合、成形サイクルは上記と同じ条件とし、試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)のASTM1号ダンベルの評価用試験片を得た。次いで、得られた評価用試験片の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、(B)金属ハロゲン化物の分散状態を観察した。射出成形品から厚み100μmの切片を切り出し、ヨウ素染色法により(A)成分を染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行った。少なくとも100個の(B)金属ハロゲン化物からなる粒子について観察を行い、面積平均粒子径を求めた。
2.溶融滞留安定性
樹脂組成物2.0gをアルミ皿に秤量し、ついで、大気圧下のギアオーブンで2時間加熱処理した。加熱温度は、(A)成分としてポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合は250℃とし、(A)成分としてポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した場合は285℃とした。加熱処理後の樹脂組成物をo−クレゾール/クロロホルム(2/1vol)混合溶液に溶解させた溶液を、1%ブロモフェノールブルーを指示薬として、0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定し、下記式によりカルボキシル末端基濃度を算出した。なお、滴定の終点は、青色(色調D55−80(2007年Dpockettype日本塗料工業会)とした。
カルボキシル末端基濃度[eq/t]=((A)成分を溶解させたo−クレゾール/クロロホルム(2/1vol)混合溶液の滴定に要した0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウム[ml]−o−クレゾール/クロロホルム(2/1vol)混合溶液の滴定に要した0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウム[ml])×0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウムの濃度[mol/ml]×1/滴定に用いた(A)成分の採取量[g]。
樹脂組成物2.0gをアルミ皿に秤量し、ついで、大気圧下のギアオーブンで2時間加熱処理した。加熱温度は、(A)成分としてポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合は250℃とし、(A)成分としてポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した場合は285℃とした。加熱処理後の樹脂組成物をo−クレゾール/クロロホルム(2/1vol)混合溶液に溶解させた溶液を、1%ブロモフェノールブルーを指示薬として、0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定し、下記式によりカルボキシル末端基濃度を算出した。なお、滴定の終点は、青色(色調D55−80(2007年Dpockettype日本塗料工業会)とした。
カルボキシル末端基濃度[eq/t]=((A)成分を溶解させたo−クレゾール/クロロホルム(2/1vol)混合溶液の滴定に要した0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウム[ml]−o−クレゾール/クロロホルム(2/1vol)混合溶液の滴定に要した0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウム[ml])×0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウムの濃度[mol/ml]×1/滴定に用いた(A)成分の採取量[g]。
前述の滴定により算出した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物のカルボキシル末端基濃度と、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中の(A)成分の配合量から、下記式により熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中における(A)由来のカルボキシル末端基濃度を算出した。
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中における(A)成分のカルボキシル末端基濃度[eq/t]=熱可塑性ポリエステル樹脂組成物のカルボキシル末端基濃度×熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の全体量[重量部]/(A)成分の配合量[重量部])。
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中における(A)成分のカルボキシル末端基濃度[eq/t]=熱可塑性ポリエステル樹脂組成物のカルボキシル末端基濃度×熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の全体量[重量部]/(A)成分の配合量[重量部])。
3.機械物性(引張物性)
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、上記1.項の引張物性と同一射出成形条件で、試験片厚み1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベル、および1/8インチ(約3.2mm)厚みのASTM1号ダンベルの評価用試験片を得た。得られた引張物性評価用試験片を用い、ASTMD638(2005年)に従い、引張最大点強度(引張強度)および引張最大点伸び(引張伸度)を測定した。値は3本の測定値の平均値とした。引張強度および引張伸度の値が大きい材料を靭性に優れていると判断した。
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、上記1.項の引張物性と同一射出成形条件で、試験片厚み1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベル、および1/8インチ(約3.2mm)厚みのASTM1号ダンベルの評価用試験片を得た。得られた引張物性評価用試験片を用い、ASTMD638(2005年)に従い、引張最大点強度(引張強度)および引張最大点伸び(引張伸度)を測定した。値は3本の測定値の平均値とした。引張強度および引張伸度の値が大きい材料を靭性に優れていると判断した。
4.重量平均分子量保持率
樹脂組成物2.5mgをヘキサフルオロイソプロパノール3mlに溶解した後、孔径0.45μmのクロマトディスクを用いてろ過することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液を得た。得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液について、GPCを用いてPMMA換算の重量平均分子量を算出した。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにMODEL510高速液体クロマトグラフィーを用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速1.0mL/分とし、注入量は0.1mLとした。これを加熱処理前の重量平均分子量とした。
樹脂組成物2.5mgをヘキサフルオロイソプロパノール3mlに溶解した後、孔径0.45μmのクロマトディスクを用いてろ過することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液を得た。得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液について、GPCを用いてPMMA換算の重量平均分子量を算出した。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにMODEL510高速液体クロマトグラフィーを用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速1.0mL/分とし、注入量は0.1mLとした。これを加熱処理前の重量平均分子量とした。
次に、ホットプレスを用い、(A)成分としてポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合はプレス温度を250℃、(A)成分としてポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した場合はプレス温度を280℃として、樹脂組成物を5分間加熱処理した後、110℃で5分間結晶化処理することにより、厚み600μmの試験用プレスシートを得た。ついで、得られた試験用プレスシートを、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理した後、試験用プレスシート2.5mgをヘキサフルオロイソプロパノール3mlに溶解し、孔径0.45μmのクロマトディスクを用いてろ過することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)溶液を得た。次に、加熱処理前と同様に熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の加熱処理後の重量平均分子量を測定した。加熱処理後の重量平均分子量を、加熱処理前の重量平均分子量により除して100を乗ずることにより、重量平均分子量保持率を算出した。
5.1H−NMRスペクトルにおける化学シフト5.2〜6.0ppmのピーク積分値
上記4.項で得られた、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理後の試験用プレスシート10mgを重ヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解し、測定サンプルとした。Varian社製、UNITY INOVA500型NMR測定機を用いて、測定核1H、基準としてTMSを用い、観測周波数125.7MHz、積算回数6000回として、温度15℃にて測定を行った。得られた1H−NMRスペクトルにおいて、3.6〜4.0ppmのピーク積分値を100としたときの5.2〜6.0ppmのピーク積分値を算出した。
上記4.項で得られた、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理後の試験用プレスシート10mgを重ヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解し、測定サンプルとした。Varian社製、UNITY INOVA500型NMR測定機を用いて、測定核1H、基準としてTMSを用い、観測周波数125.7MHz、積算回数6000回として、温度15℃にて測定を行った。得られた1H−NMRスペクトルにおいて、3.6〜4.0ppmのピーク積分値を100としたときの5.2〜6.0ppmのピーク積分値を算出した。
6.引張強度保持率
上記1.項で得られた試験片厚み1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベル、および1/8インチ(約3.2mm)厚みのASTM1号ダンベルの評価用試験片を、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理した後、ASTMD638(2005年)に従い、引張最大点強度(引張強度)および引張最大点伸び(引張伸度)を測定した。値は3本の測定値の平均値とした。加熱処理後の引張強度を、加熱処理前の引張強度により除して100を乗ずることにより、引張強度保持率(%)を算出した。
上記1.項で得られた試験片厚み1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベル、および1/8インチ(約3.2mm)厚みのASTM1号ダンベルの評価用試験片を、180℃、大気圧下のギアオーブンで250時間加熱処理した後、ASTMD638(2005年)に従い、引張最大点強度(引張強度)および引張最大点伸び(引張伸度)を測定した。値は3本の測定値の平均値とした。加熱処理後の引張強度を、加熱処理前の引張強度により除して100を乗ずることにより、引張強度保持率(%)を算出した。
7.金属ハロゲン化物(B)の含有量
樹脂組成物2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させた。得られた吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対する金属ハロゲン化物(B)の配合量を測定した。
樹脂組成物2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させた。得られた吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対する金属ハロゲン化物(B)の配合量を測定した。
[実施例1〜8、比較例1〜6、10]
スクリュー径30mm、ニーディングゾーンの割合20%、L/D35の同方向回転ベント付き二軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30α)を用いて、(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)金属ハロゲン化物および(C)酸化防止剤を表1および表2に示した組成で混合し、二軸押出機の元込め部から添加した。さらに、混練温度250℃、スクリュー回転150rpmの押出条件で溶融混合を行い、得られた樹脂組成物をストランド状に吐出し、冷却バスを通し、ストランドカッターによりペレット化した。
スクリュー径30mm、ニーディングゾーンの割合20%、L/D35の同方向回転ベント付き二軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30α)を用いて、(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)金属ハロゲン化物および(C)酸化防止剤を表1および表2に示した組成で混合し、二軸押出機の元込め部から添加した。さらに、混練温度250℃、スクリュー回転150rpmの押出条件で溶融混合を行い、得られた樹脂組成物をストランド状に吐出し、冷却バスを通し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1および表2にその結果を示した。
[実施例9]
ニーディングゾーンの割合を0%、すなわち全てフルフライトとする以外は、実施例2と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
ニーディングゾーンの割合を0%、すなわち全てフルフライトとする以外は、実施例2と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
[実施例10〜12]
(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂および金属ハロゲン化物(B)を表1に示した組成で用い、ニーディングゾーンの割合を55%とする以外は、実施例2と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂および金属ハロゲン化物(B)を表1に示した組成で用い、ニーディングゾーンの割合を55%とする以外は、実施例2と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
[比較例7]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−2)とし、混練温度を285℃とする以外は、比較例1と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを130℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−2)とし、混練温度を285℃とする以外は、比較例1と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを130℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
[比較例8]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−2)とし、混練温度を285℃とする以外は、実施例2と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを130℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−2)とし、混練温度を285℃とする以外は、実施例2と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを130℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
[実施例13〜14、比較例9]
スクリュー径30mm、ニーディングゾーンの割合20%、L/D35の同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30α)を用いて、(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂および金属ハロゲン化物(B)を表1および表2に示した組成で混合し、2軸押出機の元込め部から添加した。繊維強化材(D)は、表1および2に示した組成に従い、サイドフィーダーを用い、元込め部とベント部の間から添加した。混練温度250℃、スクリュー回転150rpmの押出条件で溶融混合を行い、得られた樹脂組成物をストランド状に吐出し、冷却バスを通し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で6時間乾燥後、前記方法で評価し、表1および表2にその結果を示した。
スクリュー径30mm、ニーディングゾーンの割合20%、L/D35の同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30α)を用いて、(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂および金属ハロゲン化物(B)を表1および表2に示した組成で混合し、2軸押出機の元込め部から添加した。繊維強化材(D)は、表1および2に示した組成に従い、サイドフィーダーを用い、元込め部とベント部の間から添加した。混練温度250℃、スクリュー回転150rpmの押出条件で溶融混合を行い、得られた樹脂組成物をストランド状に吐出し、冷却バスを通し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で6時間乾燥後、前記方法で評価し、表1および表2にその結果を示した。
[実施例15]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−3)とする以外は、実施例3と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
[実施例16]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−3)とする以外は、実施例4と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−3)とする以外は、実施例3と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
[実施例16]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を(A−3)とする以外は、実施例4と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表1にその結果を示した。
[比較例11]
スクリュー径40mm、ニーディングゾーンの割合20%、L/D32の一軸押出機(田辺プラスチックス製、VS40)を用いる以外は、実施例3と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
スクリュー径40mm、ニーディングゾーンの割合20%、L/D32の一軸押出機(田辺プラスチックス製、VS40)を用いる以外は、実施例3と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
[比較例12]
(A)ポリエステル樹脂を(A−3)とする以外は、比較例11と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
(A)ポリエステル樹脂を(A−3)とする以外は、比較例11と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で12時間乾燥後、前記1.項〜7.項に記載の方法で評価し、表2にその結果を示した。
[比較例13]
テレフタル酸100重量部と1,4−ブタンジオール100重量部、およびテトラ−n−ブトキシチタネート0.06重量部を混合した。100℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら、圧力87kPaの減圧下にてエステル化反応を開始した。その後、230℃まで昇温し、230℃でエステル化反応を行った。エステル化反応の反応時間を240分間とし、ビス(ヒドロキシブチル)テレフタレートを得た。
テレフタル酸100重量部と1,4−ブタンジオール100重量部、およびテトラ−n−ブトキシチタネート0.06重量部を混合した。100℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら、圧力87kPaの減圧下にてエステル化反応を開始した。その後、230℃まで昇温し、230℃でエステル化反応を行った。エステル化反応の反応時間を240分間とし、ビス(ヒドロキシブチル)テレフタレートを得た。
得られたビス(ヒドロキシブチル)テレフタレートを重縮合して得られるポリマー理論量100gに対して、0.02gのテトラ−n−ブトキシチタネートおよび0.1gのヨウ化カリウムをそれぞれ計量し、それぞれの重量に対し、それぞれ15倍量のエチレングリコールを添加し混合物を調製した。
ビス(ヒドロキシブチル)テレフタレートを試験管に投入し、245℃で溶融させた後、上述のように調製したテトラ−n−ブトキシチタネート、ヨウ化カリウムをすべて投入し、圧力を常圧から80Paまで60分かけて減圧し、245℃、80Paで重縮合反応させた。目標とする試験管攪拌棒にかかるトルクをモニターし、所定のトルクに達した時点で重縮合を停止した。重縮合反応終了後、溶融物をストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングし、分子量1.8万の(A−4)ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むポリエステル樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で6時間乾燥後、前記方法で評価し、表2にその結果を示した。
[比較例14]
ヨウ化カリウムの投入量を0.6重量部とする以外は、比較例13と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で6時間乾燥後、前記方法で評価し、表2にその結果を示した。
ヨウ化カリウムの投入量を0.6重量部とする以外は、比較例13と同様にしてペレットを得た。得られたペレットを110℃の温度の熱風乾燥機で6時間乾燥後、前記方法で評価し、表2にその結果を示した。
実施例1〜12と比較例1〜8の比較、実施例13、14と比較例9の比較、および実施例15、16と比較例10の比較より、特定範囲の融点を有する(A)成分に対し、特定の配合量の(B)成分を配合し、(A)成分中における(B)成分の分散径を特定の範囲とすることにより、溶融滞留安定性、機械特性および耐酸化劣化性のバランスに優れる材料が得られることがわかる。実施例1〜4と比較例1〜3の比較より、(B)成分を0.01〜1重量部配合することにより、溶融滞留安定性、機械特性および耐酸化劣化性のバランスに優れる材料が得られることがわかる。実施例11と比較例4、実施例12と比較例5の比較から、熱可塑性ポリエステル樹脂中の(B)成分の面積平均粒子径を0.1〜500nmとすることにより、機械特性および耐酸化劣化性に優れる材料が得られることがわかる。
実施例2、5、6と実施例7、11の比較から、(B)成分としてアルカリ金属ヨウ化物を用いることにより、溶融滞留安定性、機械特性および耐酸化劣化性のバランスにより優れる材料が得られることがわかる。実施例2と実施例8の比較から、(C)成分を特定の範囲で配合することにより、耐酸化劣化性がより向上することがわかる。実施例2と実施例9、10の比較から、二軸押出機のスクリュー全長に対するニーディングディスクの合計長さ(ニーディングゾーンの長さ)の割合を特定の範囲とすることにより、溶融滞留安定性、機械特性および耐酸化劣化性のバランスにより優れる材料が得られることがわかる。
実施例3と比較例11、実施例15と比較例12の比較から、二軸押出機を用いることにより、(A)成分中における(B)成分の分散性が向上し、溶融滞留安定性、機械特性および耐酸化劣化性のバランスに優れる材料が得られることがわかる。実施例3と比較例13、実施例4と比較例14の比較から、(A)成分と(B)成分を二軸押出機で溶融混練することにより、(A)成分の重合時に(B)成分を投入するよりも、樹脂組成物中の(B)成分の分散性が向上するとともに、含有量を高くすることが可能となることで、溶融滞留安定性、機械特性および耐酸化劣化性のバランスに、より優れる材料が得られることがわかる。
実施例3、4と実施例15、16の比較から、(A)成分の分子量を特定の範囲とすることにより、溶融加工時のせん断発熱による酸化劣化を抑制できることから、溶融加工時の(B)成分の消費を抑制し、樹脂組成物中の(B)成分の含有量を高くすることが可能なり、溶融加工時における(B)成分の消費を抑制でき、溶融滞留安定性、機械特性および耐酸化劣化性のバランスに、より優れる材料が得られることがわかる。
Claims (11)
- 融点が180〜250℃である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、金属ハロゲン化物(B)0.01〜0.6重量部を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、前記金属ハロゲン化物(B)がアルカリ金属ハロゲン化物であり、かつ、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中における金属ハロゲン化物(B)の面積平均粒子径が0.1〜500nmである熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を、大気圧下、180℃で250時間加熱処理した後の前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量保持率が80%以上である請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がポリブチレンテレフタレート樹脂である請求項1または2に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、酸化防止剤(C)0.01〜1重量部をさらに配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記酸化防止剤(C)がチオエーテル化合物を含む請求項4に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、繊維強化材(D)1〜100重量部をさらに配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、難燃剤(E)1〜100重量部をさらに配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品を、大気圧下、180℃で250時間加熱処理した後の、該成形品の引張強度保持率が80%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を大気圧下、180℃で250時間加熱処理した後の、1H−NMRスペクトルにおける3.6〜4.0ppmのピーク積分値を100としたとき、5.2〜6.0ppmのピーク積分値が0〜2である請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
- 融点が180〜250℃である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と金属ハロゲン化物(B)を二軸押出機にて溶融混練する熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、前記二軸押出機のスクリュー全長に対するニーディングディスクの合計長さの割合が5〜50%である請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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