JP2002322252A - ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルおよびその製造方法

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JP2002322252A
JP2002322252A JP2002035389A JP2002035389A JP2002322252A JP 2002322252 A JP2002322252 A JP 2002322252A JP 2002035389 A JP2002035389 A JP 2002035389A JP 2002035389 A JP2002035389 A JP 2002035389A JP 2002322252 A JP2002322252 A JP 2002322252A
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polyester
acid
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compounds
aluminum
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Application number
JP2002035389A
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English (en)
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Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
Kenichi Tsukamoto
健一 塚本
Shoichi Gyobu
祥一 形舞
Mitsuhiro Kuwata
光啓 桑田
Nobuo Moriyama
暢夫 森山
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンチモンおよびゲルマニウム以外の金属成
分を含有するポリエステルであって、かつ成形時のフィ
ルター詰まり等が改善されたポリエステルならびにその
製造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウムおよびその化合物からなる
群より選ばれる少なくとも一種とリン化合物からなる群
より選ばれる少なくとも一種を含有するポリエステルで
あって、ポリエステル中に含まれるリン原子の量(ppm)
のアルミニウム原子の量(ppm) に対する比が0.5〜2
0の範囲にあることを特徴とするポリエステルならびに
その製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルおよび
その製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、成
形時のフィルター詰まり等が改善されたポリエステルお
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート(以下、PET と略す)は、機械的特性および化
学的特性に優れており、多用途への応用、例えば、衣料
用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などの各
種フィルムやシート、ボトルやエンジニアリングプラス
チックなどの成形物への応用がなされている。
【0003】PET は、工業的にはテレフタル酸もしくは
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステ
ル化もしくはエステル交換によってビス(2-ヒドロキシ
エチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下
で触媒を用いて重縮合することで得られる。重縮合時に
用いられる触媒としては、三酸化アンチモンが広く用い
られている。三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた
触媒活性をもつ触媒であるが、重縮合時に金属アンチモ
ンが析出するため、PET に黒ずみや異物が発生するとい
った問題点を有している。このような経緯で、アンチモ
ンを全く含まないか或いはアンチモンを触媒主成分とし
て含まないポリエステルが望まれている。
【0004】なおポリエステル中の上記の異物は例えば
以下のような問題を起こす。 (1)フィルム用のポリエステルにおいては、金属アン
チモンの析出は、ポリエステル中の異物となり、溶融押
し出し時の口金汚れの原因になるだけでなく、フィルム
の表面欠点の原因にもなる。また、中空の成形品等の原
料とした場合には、透明性の優れた中空成形品を得るこ
とが困難である。 (2)繊維用のポリエステル中の異物は、繊維中に強度
低下をもたらす異物となり、製糸時の口金汚れやフィル
ターの濾圧上昇の原因となる。ポリエステル繊維の製造
においては、主に操業性の観点から、異物の発生のない
ポリエステル重合触媒が求められる。
【0005】重縮合触媒として、三酸化アンチモンを用
いて、かつ PETの黒ずみや異物の発生を抑制する試みが
行われている。例えば、特許第2666502 号公報において
は、重縮合触媒として三酸化アンチモンとビスマスおよ
びセレンの化合物を用いることで、PET 中の黒色異物の
生成を抑制している。また、特開平9-291141号公報にお
いては、重縮合触媒としてナトリウムおよび鉄の酸化物
を含有する三酸化アンチモンを用いると、金属アンチモ
ンの析出が抑制されることを述べている。ところが、こ
れらの重縮合触媒では、結局アンチモンの含有量を低減
するという目的は達成できない。
【0006】アンチモン化合物以外の重縮合触媒として
は、チタン化合物やスズ化合物がすでに提案されている
が、これらを用いて製造されたポリエステルは溶融成形
時に熱劣化を受けやすく、またポリエステルが著しく着
色するという問題点を有する。
【0007】このような、チタン化合物を重縮合触媒と
して用いたときの問題点を克服する試みとして、例え
ば、特開昭55−116722号公報では、テトラアル
コキシチタネートをコバルト塩およびカルシウム塩と同
時に用いる方法が提案されている。また、特開平8−7
3581号公報によると、重縮合触媒としてテトラアル
コキシチタネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ
蛍光増白剤を用いる方法が提案されている。ところが、
これらの技術では、テトラアルコキシチタネートを重縮
合触媒として用いたときのPETの着色は低減されるも
のの、PETの熱分解を効果的に抑制することは達成さ
れていない。
【0008】アルミニウム化合物は一般に触媒活性に劣
ることが知られている。アルミニウム化合物の中でも、
アルミニウムのキレート化合物は他のアルミニウム化合
物に比べて重縮合触媒として高い触媒活性を有すること
が報告されているが、上述のアンチモン化合物やチタン
化合物と比べると十分な触媒活性を有しているとは言え
ず、しかもアルミニウム化合物を触媒として用いて長時
間を要して重合したポリエステルは熱安定性に劣るとい
う問題点があった。また、アルミニウム化合物を触媒と
して用いて重合したポリエステルは、ポリエステルに不
溶性の異物が多く生成し、ポリエステルの成形時に該異
物に起因したフィルター詰まりが起こり、かつ繊維に使
用したときには紡糸時の糸切れ等が頻繁に起こり、また
フィルムに使用したときはフィルム物性などが悪化する
という問題を有していた。
【0009】アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を
有しかつ上記の問題を有しないポリエステルを与える触
媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されて
いるが、この触媒は非常に高価であるという問題点や、
重合中に反応系から外へ留出しやすいため反応系の触媒
濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題を有し
ており、触媒主成分として使用することには問題があ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アン
チモンおよびゲルマニウム以外の金属成分を含有するポ
リエステルであって、かつ成形時のフィルター詰まり等
が改善されたポリエステルならびにその製造方法を提供
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決を目指して鋭意検討を重ねた結果、アルミニウム
化合物を含有するポリエステルの不溶性の異物は主にア
ルミニウム化合物に起因することを見いだし、さらに検
討を進めた結果、ポリエステル中にアルミニウム化合物
とリン化合物を共存し、かつアルミニウム化合物とリン
化合物の含有量を特定の比にすることでこれらの異物は
効果的に低減し、ポリエステルを成形する時のフィルタ
ー詰まり等の問題が改善されることを見いだし本発明に
到達した。
【0012】すなわち、本発明は上記課題の解決法とし
て、以下の手段を採用したものである。
【0013】1.アルミニウムおよびその化合物からな
る群より選ばれる少なくとも一種とリン化合物からなる
群より選ばれる少なくとも一種を含有するポリエステル
であって、ポリエステル中に含まれるリン原子の量(pp
m) のアルミニウム原子の量(ppm) に対する比が0.5
〜20の範囲にあることを特徴とするポリエステル。
【0014】2.ポリエステル中に含まれるアルミニウ
ム原子の含有量が1ppm〜100ppmの範囲にあることを特徴
とする上記1記載のポリエステル。
【0015】3.ポリエステル中に含まれるリン原子の
含有量が5ppm〜200ppmの範囲にあることを特徴とする上
記1または2に記載のポリエステル。
【0016】4.リン化合物が、ホスホン酸系化合物、
ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合
物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物お
よびホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種ま
たは二種以上の化合物であることを特徴とする上記1〜
3のいずれかに記載のポリエステル。
【0017】5.リン化合物が、ホスホン酸系化合物か
らなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物であ
ることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のポリ
エステル。
【0018】6.アルカリ金属およびそれらの化合物な
らびにアルカリ土類金属およびそれらの化合物からなる
群より選ばれる少なくとも一種をさらに含むことを特徴
とする上記1〜5のいずれかに記載のポリエステル。
【0019】7.アンチモンまたはその化合物を含有
し、かつポリエステル中に含まれるアンチモン原子とし
て50ppm以下の量含有することを特徴とする上記1
〜6のいずれかに記載のポリエステル。
【0020】8.ゲルマニウムまたはその化合物を含有
し、かつポリエステル中に含まれるゲルマニウム原子と
して20ppm以下の量含有することを特徴とする上記
1〜7のいずれかに記載のポリエステル。
【0021】9.チタンまたはその化合物を含有し、か
つポリエステル中に含まれるチタン原子として5ppm
以下の量含有することを特徴とする上記1〜8のいずれ
かに記載のポリエステル。
【0022】10.コバルトまたはその化合物を含有
し、かつポリエステル中に含まれるコバルト原子として
10ppm未満の量含有することを特徴とする上記1〜
9のいずれかに記載のポリエステル。
【0023】11.アルミニウムおよびその化合物から
なる群より選ばれる少なくとも一種とリン化合物からな
る群より選ばれる少なくとも一種を含有し、かつリン原
子の量(ppm) のアルミニウム原子の量(ppm) に対する比
が0.5〜20の範囲にあるポリエステル重合触媒を用
いることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の
ポリエステルの製造方法。
【0024】12.上記1〜10のいずれかに記載の金
属および/または金属化合物を触媒として用いて製造さ
れた上記1〜10のいずれかに記載のポリエステル。
【0025】13.上記1〜10のいずれかに記載の金
属および/または金属化合物を触媒として用いることを
特徴とする、上記1〜10のいずれかに記載のポリエス
テルの製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルは、アルミ
ニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる少なく
とも一種とリン化合物からなる群より選ばれる少なくと
も一種を含有するポリエステルであり、かつポリエステ
ル中に含まれるリン原子の量(ppm) のアルミニウム原子
の量(ppm) に対する比が0.5〜20の範囲にあること
が必要である。この比が0.5より小さいと、アルミニ
ウム化合物に起因するポリエステルに不溶性の異物が多
く生じ、その結果、紡糸時の糸切れや成形時のフィルタ
ー詰まり等が頻繁に起こるという問題が発生する。ま
た、レジンの着色が顕著になり、成形品の外観が損なわ
れるという問題やレジンの熱安定性が低下するという問
題が発生する。比が20を越えた場合も、ポリエステル
に不溶性の異物が多く生じ、その結果、紡糸時の糸切れ
や成形時のフィルター詰まり等が頻繁に起こるという問
題が発生する。また、触媒として用いる場合に触媒活性
が顕著に低下するという問題が発生する。比の好ましい
範囲は1〜15であり、より好ましくは3〜10であ
る。
【0027】ポリエステル中における、アルミニウムお
よびその化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種
とリン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の
含有量を上記範囲とすることで、ポリエステルに不溶性
の異物の発生が効果的に抑制され、紡糸時の糸切れや成
形時のフィルター詰まり等の問題が改善される。
【0028】また、本発明のアルミニウムおよびその化
合物は、ポリエステル中にアルミニウム原子として1ppm
以上100ppm以下の範囲で含有されていることが好まし
い。アルミニウム原子の含有量が100ppmを越えると、ア
ルミニウム化合物に起因するポリエステルに不溶性の異
物が多く生成したりポリエステルの熱安定性が低下する
ため好ましくない。アルミニウム原子の含有量が1ppmよ
り少ないようにすると、触媒として用いる場合に触媒活
性が顕著に低下するため好ましくない。より好ましく
は、5ppm以上70ppm 以下の範囲であり、さらに好ましく
は10ppm 以上30ppm以下の範囲である。
【0029】また、本発明のリン化合物は、ポリエステ
ル中にリン原子として5ppm以上200ppm以下の範囲で含有
されていることが好ましい。リン原子の含有量が5ppmよ
り少ないと、ポリエステルに不溶性の異物の生成を抑制
する効果に乏しく、またポリエステルの熱安定性が低く
なるため好ましくない。リン原子の含有量が200ppmを越
えると、ポリエステルに不溶性の異物が多く生成するた
め好ましくない。より好ましくは、10ppm 以上100ppm以
下の範囲であり、さらに好ましくは20ppm 以上80ppm 以
下の範囲である。
【0030】本発明のリン化合物のポリマー中における
存在形態は特に限定はされないが、ポリエステル中に、
ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィ
ンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホス
フィン酸系化合物、ホスフィン系化合物のいずれかの形
態で含まれることが好ましい。ポリエステルの重合時
に、これらの構造を有するリン化合物をアルミニウム化
合物と共存して用いることで触媒活性の向上効果が見ら
れる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物の形態であ
るようにすると、触媒として用いた場合に触媒活性の向
上効果が大きく好ましい。ホスホン酸系化合物の中で
も、芳香環構造を有する形態であるようにすると、触媒
として用いた場合に触媒活性の向上効果がとくに大きく
好ましい。
【0031】本発明のポリエステルは、アルカリ金属、
アルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物を含有して
いないものも一般的には好ましく使用できる。
【0032】また一方で、本発明のポリエステルには、
アルカリ金属およびそれらの化合物ならびにアルカリ土
類金属およびそれらの化合物からなる群より選ばれる少
なくとも一種を含有すると、ポリエステルの熱安定性等
の物性が向上するため好ましい。これらのうち、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム
およびそれらの化合物からなる群より選ばれる少なくと
も一種を含有することが、ポリエステル中の異物の低減
やポリエステルの着色の低減の観点から好ましい。
【0033】本発明はまた、前記1〜10に記載の金属
および/または金属化合物を触媒を用いて製造されたポ
リエステルおよびポリエステルの製造方法である。
【0034】本発明のポリエステルにアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属並びにそれらの化合物を含有する場合、
その含有量は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン
酸ユニットのモル数に対して、1×10-6以上0.1モ
ル%未満であることが好ましく、より好ましくは5×1
-6〜0.05モル%であり、さらに好ましくは1×1
-5〜0.03モル%であり、特に好ましくは、1×1
-5〜0.01モル%である。アルカリ金属、アルカリ
土類金属の含有量が少量であるため、熱安定性低下、耐
加水分解性の低下、異物の発生、着色等の問題が低減さ
れる。アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合
物の含有量が0.1モル%以上になると熱安定性の低
下、異物発生や着色の増加、耐加水分解性の低下等が製
品加工上問題となる場合が発生する。含有量が1×10
-6モル%未満では、含有してもその効果が明確ではな
い。
【0035】本発明のポリエステルは、アンチモン化合
物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、スズ化合物な
どの重合触媒を用いないことが一般的には好ましい。
【0036】また一方で、本発明のポリエステルは、ア
ンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、
スズ化合物などの重合触媒を、これらの成分の添加が前
述のようなポリエステルの特性、加工性、色調等製品に
問題を生じない添加量の範囲内において共存させて用い
ることは、これらを重合触媒として用いる場合に重合時
間の短縮による生産性を向上させる際に有効であり、好
ましい。
【0037】本発明のポリエステルはアンチモン原子の
含有量がポリエステルに対して50ppm以下の量にな
るようにすると、ポリエステルの黒ずみや異物の発生が
抑制されるため好ましい。より好ましくは30ppm以
下であり、さらに好ましくは10ppm以下である。ま
た一方で、本発明のポリエステルはアンチモン原子を含
有していないことが好ましい。
【0038】また、本発明のポリエステルはゲルマニウ
ム原子の含有量がポリエステルに対して20ppm以下
の量になるようにすると、コスト的に不利にならないた
め好ましい。より好ましくは10ppm以下であり、さ
らに好ましくは5ppm以下である。また一方で、本発
明のポリエステルはゲルマニウム原子を含有していない
ことが好ましい。
【0039】また、本発明のポリエステルはチタン原子
の含有量がポリエステルに対して5ppm以下の量にな
るようにすると、ポリエステルの熱安定性や色調に優れ
るため好ましい。より好ましくは3ppm以下であり、
さらに好ましくは1ppm以下である。また一方で、本
発明のポリエステルはチタン原子を含有していないこと
が好ましい。
【0040】本発明のポリエステルには、さらに、コバ
ルトまたはその化合物を含有することが、ポリエステル
の着色を低減する観点から好ましい。ただし、ポリエス
テル中のコバルトまたはその化合物の含有量としては、
コバルト原子としてポリエステルに対して10ppm未
満の量で含有する事が好ましい。より好ましくは5pp
m未満であり、さらに好ましくは3ppm以下である。
【0041】コバルト化合物はそれ自体ある程度の触媒
活性を有していることは知られているが、十分な触媒効
果を発揮する程度に添加すると得られるポリエステル重
合体の明るさの低下や熱安定性の低下が起こる。本発明
においては、コバルト化合物を上記のような少量で添加
による触媒効果が明確でないような添加量にて添加する
ことにより、得られるポリエステルの明るさや熱安定性
の低下を起こすことなく着色をさらに効果的に消去でき
る。なお本発明におけるコバルト化合物は、着色の消去
が目的であり、添加時期は重合のどの段階であってもよ
く、重合反応終了後であってもかまわない。
【0042】また一方で、本発明のポリエステルはコバ
ルト原子を含有していないことが好ましい。
【0043】本発明は、上記した金属および化合物を触
媒として用いて製造されたポリエステルおよびその製造
方法にも関する。金属および化合物の添加量としては、
最終的に得られるポリエステル中における金属原子やリ
ン原子の含有量が上記のようになることが必要である。
該方法により、ポリエステルに不溶性の異物の発生が効
果的に抑制され、紡糸時の糸切れや成形時のフィルター
詰まり等の問題が改善される。
【0044】本発明において重合触媒として使用するア
ルミニウムまたはその化合物としては特に限定はされな
いが、金属アルミニウムの他に、例えば、ギ酸アルミニ
ウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プ
ロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル
酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン
酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢
酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニ
ウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩
化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アル
ミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホ
スホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメ
トキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウム
n-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、
アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキ
サイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウム
アセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテー
ト、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウ
ムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどの
アルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化
合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウム
などが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸
塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさ
らに酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アル
ミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウム
アセチルアセトネートがとくに好ましい。
【0045】本発明で用いられるリン化合物としては、
特に限定はされないが、リン酸ならびにトリメチルリン
酸、トリエチルリン酸、フェニルリン酸、トリフェニル
リン酸等のリン酸エステル、亜リン酸ならびにトリメチ
ルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニ
ルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニ
ル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフ
ェニル)4,4'- ビフェニレンジホスファイト等の亜リン
酸エステルなどが挙げられる。
【0046】また一方で、本発明で用いられるリン化合
物としては、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合
物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化
合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物な
どが挙げられる。本発明において重合触媒として使用す
るリン化合物としては、これらのリン化合物の使用が好
ましい。ポリエステルの重合時に、これらのリン化合物
を本発明のアルミニウム化合物と共存して用いることで
触媒活性の向上効果が見られる。これらの中でも、ホス
ホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0047】本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフ
ィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホ
スホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィ
ン系化合物とは、それぞれ下記化1〜化6、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】 で表される構造を有する化合物のことを言う。
【0048】本発明のホスホン酸系化合物としては、例
えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジ
フェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホス
ホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベン
ジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル
などが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物とし
ては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、
フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、
フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発
明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、
ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホ
スフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイ
ドなどが挙げられる。
【0049】ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサ
イド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸
系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明のリン
化合物としては、下記化7〜化12、
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】 で表される化合物を用いることが好ましい。
【0050】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0051】また、本発明の重縮合触媒を構成するリン
化合物としては、下記一般式化13〜化15で表される
化合物を用いると特に触媒活性の向上効果が大きく好ま
しい。
【0052】
【化13】
【化14】
【化15】 (化13〜化15中、R1 、R4 、R5 、R6 はそれぞ
れ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を
含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2 、R3
それぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水
酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化
水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等
の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含ん
でいてもよい。)。
【0053】本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物
としては、上記化13〜化15中、R1 、R4 、R5
6 が芳香環構造を有する基である化合物がとくに好ま
しい。
【0054】本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物
としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチル
ホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、
フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフ
ェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホ
ン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、
フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、
フェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン
オキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、
トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジ
ルホスホン酸ジエチルがとくに好ましい。
【0055】本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物
としてはフェノール部を同一分子内に有するリン化合物
を用いることが好ましい。フェノール部を同一分子内に
有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリ
ン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部
を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィ
ン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホス
ホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン
系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の
化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好まし
い。これらの中でも、一種または二種以上のフェノール
部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いると
触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
【0056】また、本発明の重縮合触媒を構成するフェ
ノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下
記一般式化16〜化18で表される化合物を用いると特
に触媒活性が向上するため好ましい。
【0057】
【化16】
【化17】
【化18】 (化16〜化18中、R1 はフェノール部を含む炭素数
1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基または
アルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェ
ノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R
4,R5,R6 はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭
化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル
基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の
炭化水素基を表す。R2,R3 はそれぞれ独立に水素、炭
素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル
基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表
す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等
の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含ん
でいてもよい。R2 とR4 の末端どうしは結合していて
もよい。)。
【0058】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニ
ルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメ
チル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p
−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p
−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキ
シフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェ
ニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェ
ニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフ
ェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィ
ン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェ
ニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキ
サイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン
オキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホ
スフィンオキサイド、および下記化19〜化22で表さ
れる化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記化
21で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホ
スホン酸ジメチルがとくに好ましい。
【0059】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】 上記の式化21にて示される化合物としては、SANKO-22
0 (三光株式会社製)があり、使用可能である。
【0060】これらのフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物をポリエステルの重合時に添加することに
よってアルミニウム化合物の触媒活性が向上するととも
に、重合したポリエステルの熱安定性も向上する。
【0061】本発明では、リン化合物としてリンの金属
塩化合物を用いることが好ましい。リンの金属塩化合物
とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされない
が、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると触媒活性の
向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩として
は、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれ
る。
【0062】また、上記したリン化合物の中でも、金属
塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、
Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用
いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの
うち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0063】本発明の重合触媒を構成するリンの金属塩
化合物としては、下記一般式化23で表される化合物か
ら選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上
効果が大きく好ましい。
【0064】
【化23】 (化23中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
2 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、
水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭
素数1〜50の炭化水素基を表す。l は1以上の整数、
mは0 または1以上の整数を表し、l+mは4以下であ
る。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以
上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環
構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を
含んでいてもよい。)。
【0065】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2 としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2 CH2 OHで表される基などが挙げられる。R
3- としては例えば、水酸化物イオン、アルコラート
イオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンな
どが挙げられる。
【0066】上記一般式化23で表される化合物の中で
も、下記一般式化24で表される化合物から選択される
少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0067】
【化24】 (化24中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜
50の炭化水素基を表す。l は1以上の整数、mは0ま
たは1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは
(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基はシキ
ロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチ
ル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0068】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3-
としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオ
ン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが
挙げられる。
【0069】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0070】上記化24の中でも、Mが、Li,Na、
K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Zn
から選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大
きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとく
に好ましい。
【0071】本発明のリンの金属塩化合物としては、リ
チウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、
ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホス
ホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホ
スホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチ
ル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホ
スホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エ
チル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチ
ル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、
ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マ
ンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホ
スホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホス
ホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホス
ホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリ
ル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒド
ロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス
[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリ
ウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグ
ネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチ
ル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチ
ル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン
酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシ
ウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フ
ェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの
中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エ
チル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン
酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチ
ルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸
エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、
マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベン
ジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジ
ルホスホン酸]がとくに好ましい。
【0072】本発明の重合触媒を構成する別の好ましい
リン化合物であるリンの金属塩化合物は、下記一般式化
25で表される化合物から選択される少なくとも一種か
らなるものである。
【0073】
【化25】 (式25中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 は、水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4 は、水素、
炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ
ル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。R4- としては例えば、水酸化物イオン、
アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセ
トンイオンなどが挙げられる。l は1以上の整数、mは
0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。
Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の
整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造
や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含ん
でいてもよい。)。
【0074】これらの中でも、下記一般式化26で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0075】
【化26】 (化26中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは
1,2,3または4を表す。)。
【0076】上記化25または化26の中でも、Mが、
Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、N
i、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性
の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、N
a、Mgがとくに好ましい。
【0077】本発明の特定のリンの金属塩化合物として
は、リチウム[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5 −ジ
−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エ
チル]、ナトリウム[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒ
ドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5 −ジ−
tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウ
ムビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベン
ジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5 −ジ−tert−
ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、
ストロンチウムビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒ
ドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス
[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホ
スホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5 −ジ−tert−
ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、
ニッケルビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5 −ジ−te
rt−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、亜鉛ビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロ
キシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。こ
れらの中で、リチウム[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −
ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム
[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホ
スホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5 −ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]
がとくに好ましい。
【0078】本発明のリン化合物としては、リン化合物
のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種を用い
ることが好ましい。リン化合物のアルミニウム塩に他の
リン化合物やアルミニウム化合物を組み合わせて使用し
てもよい。
【0079】リン化合物のアルミニウム塩とは、アルミ
ニウム部を有するリン化合物であれば特に限定はされな
いが、ホスホン酸系化合物のアルミニウム塩を用いると
触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物のア
ルミニウム塩としては、モノアルミニウム塩、ジアルミ
ニウム塩、トリアルミニウム塩などが含まれる。
【0080】上記したリン化合物のアルミニウム塩の中
でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の
向上効果が大きく好ましい。
【0081】本発明の重合触媒を構成するリン化合物の
アルミニウム塩としては、下記一般式化27で表される
化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活
性の向上効果が大きく好ましい。
【0082】
【化27】 (化27中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
2 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、
水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭
素数1〜50の炭化水素基を表す。l は1以上の整数、
mは0 または1以上の整数を表し、l+mは3である。
nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル
等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香
環構造を含んでいてもよい。)。
【0083】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2 としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2 CH2 OHで表される基などが挙げられる。上
記のR3- としては例えば、水酸化物イオン、アルコ
ラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテー
トイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0084】本発明のリン化合物のアルミニウム塩とし
ては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアル
ミニウム塩、(1−ナフチル)メチルホスホン酸のアル
ミニウム塩、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル
のアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミ
ニウム塩、ベンジルホスホン酸のアルミニウム塩、(9
−アンスリル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム
塩、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミ
ニウム塩、2−メチルベンジルホスホン酸エチルのアル
ミニウム塩、4−クロロベンジルホスホン酸フェニルの
アルミニウム塩、4−アミノベンジルホスホン酸メチル
のアルミニウム塩、4−メトキシベンジルホスホン酸エ
チルのアルミニウム塩、フェニルホスホン酸エチルのア
ルミニウム塩などが挙げられる。これらの中で、(1−
ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、
ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩がとくに好
ましい。
【0085】本発明のリン化合物としては、下記一般式
化28で表されるリン化合物のアルミニウム塩から選択
される少なくとも一種を用いることが好ましい。リン化
合物のアルミニウム塩に他のリン化合物やアルミニウム
化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0086】
【化28】 (化28中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 は、水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4 は、水素、
炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ
ル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。l は1以上の整数、mは0 または1以上の整
数を表し、l+mは3である。nは1以上の整数を表
す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構
造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいても
よい。)。
【0087】これらの中でも、下記一般式化29で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0088】
【化29】 (化29中、R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。R4 は、水素、炭素数1〜50の
炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボ
ニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。l は1
以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+m
は3である。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造
や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含ん
でいてもよい。)。
【0089】上記のR3 としては例えば、水素、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の
脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニ
ル基やナフチル基、−CH2CH2 OHで表される基な
どが挙げられる。上記のR4- としては例えば、水酸
化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラー
トイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオン
などが挙げられる。
【0090】本発明のリン化合物のアルミニウム塩とし
ては、3,5 −ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5 −ジ−tert
−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルの
アルミニウム塩、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロ
キシベンジルホスホン酸イソプロピルのアルミニウム
塩、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジル
ホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、3,5 −ジ−tert
−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸のアルミ
ニウム塩などが挙げられる。これらの中で、3,5 −ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ルのアルミニウム塩、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒ
ドロキシベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩が
とくに好ましい。
【0091】本発明では、リン化合物としてP-OH結合を
少なくとも一つ有するリン化合物を用いることが好まし
い。P-OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、
分子内にP-OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれ
ば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、
P-OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を
用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0092】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0093】本発明の重合触媒を構成するP-OH結合を少
なくとも一つ有するリン化合物としては、下記一般式化
30で表される化合物から選択される少なくとも一種を
用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0094】
【化30】 (化30中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
2 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロ
ヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル
等の芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0095】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2 としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2 CH2 OHで表される基などが挙げられる。
【0096】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0097】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有
するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホス
ホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、
(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホ
スホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリ
ル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチ
ル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミ
ノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホ
スホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1
−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホ
ン酸エチルがとくに好ましい。
【0098】また本発明で用いられる好ましいリン化合
物としては、P-OH結合を少なくとも一つ有する特定のリ
ン化合物が挙げられる。P-OH結合を少なくとも一つ有す
る特定のリン化合物とは、下記一般式化31で表される
化合物から選択される少なくとも一種の化合物のことを
言う。
【0099】
【化31】 (化31中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 は、水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整
数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や
分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んで
いてもよい。)。
【0100】これらの中でも、下記一般式化32で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0101】
【化32】 (化32中、R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の
脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構
造を含んでいてもよい。)。
【0102】上記のR3 としては例えば、水素、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の
脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニ
ル基やナフチル基、−CH2CH2 OHで表される基な
どが挙げられる。
【0103】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有
する特定のリン化合物としては、3,5 −ジ−tert−ブチ
ル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5 −
ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸
メチル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベン
ジルホスホン酸イソプロピル、3,5 −ジ−tert−ブチル
−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5 −
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸
オクタデシル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキ
シベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中
で、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒド
ロキシベンジルホスホン酸メチルがとくに好ましい。
【0104】好ましいリン化合物としては、化学式化3
3であらわされるリン化合物が挙げられる。
【0105】
【化33】 (化33中、R1 は炭素数1〜49の炭化水素基、また
は水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基または
アミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R
2,R3 はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水
素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜5
0の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構
造や芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0106】また、更に好ましくは、化学式化33中の
1,R2,R3 の少なくとも一つが芳香環構造を含む化合
物である。
【0107】本発明に使用するリン化合物の具体例は以
下の化学式化34〜化39、
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】 で示される。
【0108】また、本発明で重縮合触媒として用いられ
るリン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留
去されにくいため効果が大きく好ましい。
【0109】本発明で使用する事が望ましい別のリン化
合物は、下記一般式化40で表される化合物から選ばれ
る少なくとも一種のリン化合物である。
【0110】
【化40】 (化40中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 、R4 はそれぞれ独
立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基または
アルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表
す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキ
シル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の
芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0111】上記一般式化40の中でも、下記一般式化
41で表される化合物から選択される少なくとも一種を
用いると触媒活性の向上効果が高く好ましい。
【0112】
【化41】 (化41中、R3 、R4 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を
含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は
シクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナ
フチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0113】上記のR3 、R4 としては例えば、水素、
メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル
等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換さ
れたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2
2 OHで表される基などが挙げられる。
【0114】本発明の特定のリン化合物としては、3,5
−ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン
酸ジイソプロピル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒド
ロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5 −ジ−
tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオ
クタデシル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシ
ベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これ
らの中で、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベ
ンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5 −ジ−tert−ブ
チル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルが
とくに好ましい。
【0115】本発明で使用する事が望ましい別のリン化
合物は、化学式化42、化43で表される化合物から選
ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
【0116】
【化42】
【化43】 上記の化学式化42にて示される化合物としては、Ir
ganox1222(チバ・スペシャルティーケミカル
ズ社製)が市販されており、また化学式化43にて示さ
れる化合物としてはIrganox1425(チバ・ス
ペシャルティーケミカルズ社製)が市販されており、使
用可能である。
【0117】上記したリン化合物の中で、アルミニウム
の塩を用いる場合、それらの添加量としては、最終的に
得られるポリエステル中におけるアルミニウム原子とリ
ン原子の含有量が上述のようになるようにすることが必
要である。該方法により、ポリエステルに不溶性の異物
の発生が効果的に抑制され、紡糸時の糸切れや成形時の
フィルター詰まり等の問題が改善される。
【0118】本発明において重合触媒として使用するア
ルカリ金属およびそれらの化合物ならびにアルカリ土類
金属およびそれらの化合物としては、Li,Na,K,
Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択さ
れる少なくとも1種の金属ないしその化合物であること
が好ましく、このうちアルカリ金属ないしその化合物を
使用するとポリエステルに不溶性の異物が低減し、ポリ
エステルの熱安定性にも優れるためより好ましい。アル
カリ金属ないしその化合物を使用する場合、Li,N
a,Kないしそれらの化合物の使用が好ましく、このう
ちLiないしその化合物を使用するとポリエステルに不
溶性の異物がより低減するためとくに好ましい。アルカ
リ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、
これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸な
どの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル
酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳
香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有
カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒド
ロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホス
ホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チ
オ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機
酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラ
ウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n
−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、t
ert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセ
トネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、
水酸化物などが挙げられる。
【0119】これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属
またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性
の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール
等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解し
にくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなけれ
ばならず重合工程上問題となる場合が有る。さらに、水
酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時
にポリエステルが加水分解等の副反応を受け易くなると
ともに、重合したポリエステルは着色し易くなる傾向が
あり、耐加水分解性も低下する傾向がある。従って、本
発明のアルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアル
カリ土類金属またはそれらの化合物として好適なもの
は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪
族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カ
ルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカル
ボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水
素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、
塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸
塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物であ
る。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易
さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金
属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ま
しい。
【0120】本発明において重合触媒として添加可能な
アンチモン化合物としては、好適な化合物として三酸化
アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アン
チモングリコキサイドなどが挙げられ、特に三酸化アン
チモンの使用が好ましい。また、ゲルマニウム化合物と
しては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなど
が挙げられ、特に二酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0121】また、チタン化合物、スズ化合物などの他
の重合触媒としては、テトラ−n−プロピルチタネー
ト、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチ
ルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−
tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチ
タネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジル
チタネートなどが挙げられ、特にテトラブチルチタネー
トの使用が好ましい。またスズ化合物としては、ジブチ
ルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テ
トラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリ
エチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシ
スズオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジフ
ェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライ
ド、ジブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシス
ズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン
酸などが挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズオキ
サイドの使用が好ましい。
【0122】本発明において添加可能なコバルト化合物
としては特に限定はないが、具体的には例えば、酢酸コ
バルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、コバルトアセチ
ルアセトネート、ナフテン酸コバルトおよびそれらの水
和物等が挙げられる。その中でも特に酢酸コバルト四水
塩が好ましい。
【0123】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際にフェノール系化合物を添加すると、ポリエステ
ルの熱安定性が効果的に向上するため好ましい。また、
フェノール系化合物を添加することで、触媒活性の向上
効果も見られる。
【0124】本発明のフェノール系化合物としては、フ
ェノール構造を有する化合物であれば特に限定はされな
いが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4- メチルフェノー
ル、2,6-ジ-tert-ブチル-4- エチルフェノール、2,6-ジ
シクロヘキシル-4- メチルフェノール、2,6-ジイソプロ
ピル-4- エチルフェノール、2,6-ジ-tert-アミル-4-メ
チルフェノール、2,6-ジ-tert-オクチル-4-n- プロピル
フェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-n- オクチルフェ
ノール、2-イソプロピル-4- メチル-6-tert-ブチルフェ
ノール、2-tert- ブチル-2- エチル-6-tert-オクチルフ
ェノール、2-イソブチル-4- エチル-6-tert-ヘキシルフ
ェノール、2-シクロヘキシル-4-n- ブチル-6- イソプロ
ピルフェノール、1,1,1-トリス(4- ヒドロキシフェニ
ル) エタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4- ヒドロキシ-5
-tert-ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコー
ル−ビス[3-(3-tert- ブチル-5- メチル-4- ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール
−ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、2,2-チオジエチレンビス[3-
(3,5-ジ-tert-ブチル-4,4- ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]、N,N'- ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-ter
t-ブチル-4- ヒドロキシ- ヒドロシンナミド)、1,3,5-
トリス(2,6-ジメチル-3- ヒドロキシ-4-tert-ブチルベ
ンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-ter
t-ブチル-4- ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレー
ト、トリス(4-tert-ブチル−2,6-ジメチル-3- ヒドロ
キシベンジル)イソシアヌレート、2,4-ビス(n−オク
チルチオ)-6- (4-ヒドロキシ-3,5- ジ-tert-ブチルア
ニリノ)-1,3,5- トリアジン、テトラキス[メチレン
(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシ)ヒドロシンナメ
ート]メタン、ビス[(3,3-ビス(3-tert- ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)ブチリックアシッド)グリコール
エステル、N,N'- ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒ
ドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2,2'-
オギザミドビス[エチル-3- (3,5-ジ-tert-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2-tert
- ブチル-4- メチル-6- (3-tert- ブチル-5- メチル−
2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,
3,5-トリメチル-2,4,6- トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4
- ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9-ビス[1,1-ジメ
チル2-{β- (3-tert- ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-2,4,8,10-
テトラオキサスピロ[5,5 ]ウンデカン、2,2-ビス[4-
(2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシシンナモイル
オキシ))エトキシフェニル]プロパン、β- (3,5-ジ
-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ア
ルキルエステル、テトラキス-[メチル-3-(3',5'-ジ-ter
t-ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロピオネート] メ
タン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロ
キシフェニル) プロピオネート、1,1,3-トリス(2- メチ
ル-4- ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル) ブタン、チ
オジエチレンービス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロ
キシフェニル) プロピオネート] 、エチレンビス(オキ
シエチレン)ビス[3-(5-tert- ブチル-4- ヒドロキシ-m
- トリル) プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-
(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロピ
オネート、トリエチレングリコール- ビス-[-3-(3'-ter
t-ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)]プロピオ
ネート、1,1,3-トリス[2- メチル-4-[3-(3,5- ジ-tert-
ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロピオニルオキシ]-
5-tert- ブチルフェニル] ブタンなどを挙げることがで
きる。これらは、同時に二種以上を併用することもでき
る。これらのうち、1,3,5-トリメチル-2,4,6- トリス
(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス-[メチル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル) プロピオネート] メタン、チオジ
エチレンービス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシ
フェニル) プロピオネート] が好ましい。
【0125】本発明のフェノール系化合物の使用量とし
ては、重合して得られるポリエステルのジカルボン酸や
多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニット
のモル数に対して5X10-5モル%から1モル%の範囲であ
ることが好ましく、更に好ましくは1X10-4モル%から0.
5 モル%の範囲であることである。
【0126】本発明によるポリエステルの製造は、従来
公知の方法で行うことができる。例えば、PET を製造す
る場合は、テレフタル酸とエチレングリコールとのエス
テル化後、重縮合する方法、もしくは、テレフタル酸ジ
メチルなどのテレフタル酸のアルキルエステルとエチレ
ングリコールとのエステル交換反応を行った後、重縮合
する方法のいずれの方法でも行うことができる。また、
重合の装置は、回分式であっても、連続式であってもよ
い。
【0127】本発明の触媒は、重縮合反応のみならずエ
ステル化反応およびエステル交換反応にも触媒活性を有
する。テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸のアル
キルエステルとエチレングリコールなどのグリコールと
のエステル交換反応は、通常亜鉛などのエステル交換触
媒の存在下で行われるが、これらの触媒の代わりかもし
くはこれらの触媒と共存して本発明の触媒を用いること
もできる。また、本発明の触媒は、溶融重合のみならず
固相重合や溶液重合においても触媒活性を有しており、
いずれの方法によってもポリエステルを製造することが
可能である。
【0128】本発明の重合触媒は、重合反応の任意の段
階で反応系に添加することができる。例えば、エステル
化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途
中の任意の段階、もしくは重縮合反応の開始直前あるい
は反応途中に反応系へ添加することができる。特に、ア
ルミニウムないしその化合物は重縮合反応の開始直前に
添加することが好ましい。
【0129】本発明の重合触媒の添加方法は、粉末状も
しくはニート状であってもよいし、エチレングリコール
などの溶媒のスラリー状もしくは溶液であってもよく、
特に限定されない。また、本発明の重合触媒の構成成分
を予め混合したものを添加してもよいし、これらを別々
に添加してもよい。また、本発明の重合触媒の構成成分
を同じ添加時期に重合系に添加してもよく、それぞれの
成分を別々の添加時期に添加してもよい。
【0130】本発明に言うポリエステルとは、ジカルボ
ン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成
性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコール
を含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上
とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこ
れらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状
エステルから成るものをいう。
【0131】ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン
酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1, 3ーシクロブタン
ジカルボン酸、1, 3ーシクロペンタンジカルボン酸、
1, 2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1, 3ーシクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボ
ン酸、2, 5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸
などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれら
のエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタ
コン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸また
はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スル
ホイソフタル酸、ジフェニン酸、1, 3ーナフタレンジ
カルボン酸、1, 4ーナフタレンジカルボン酸、1, 5
ーナフタレンジカルボン酸、2, 6ーナフタレンジカル
ボン酸、2, 7ーナフタレンジカルボン酸、4、4' ー
ビフェニルジカルボン酸、4、4' ービフェニルスルホ
ンジカルボン酸、4、4' ービフェニルエーテルジカル
ボン酸、1, 2ービス(フェノキシ)エタンーp, p'
ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン
酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらの
エステル形成性誘導体が挙げられ、これらのジカルボン
酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸と
くに2, 6ーナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0132】これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸
として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン
酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメ
リット酸、トリメシン酸、3、4、3' 、4' ービフェ
ニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性
誘導体などが挙げられる。
【0133】グリコールとしてはエチレングリコール、
1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレン
グリコール、2、3ーブチレングリコール、1, 4ーブ
チレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1, 6ーヘキサンジオール、1, 2
ーシクロヘキサンジオール、1, 3ーシクロヘキサンジ
オール、1, 4ーシクロヘキサンジオール、1, 2ーシ
クロヘキサンジメタノール、1, 3ーシクロヘキサンジ
メタノール、1, 4ーシクロヘキサンジメタノール、
1, 4ーシクロヘキサンジエタノール、1, 10ーデカ
メチレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポ
リエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族
グリコール、ヒドロキノン、4, 4' ージヒドロキシビ
スフェノール、1, 4ービス(βーヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、1, 4ービス(βーヒドロキシエトキシ
フェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)
エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス
(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA
、ビスフェノールC、2, 5ーナフタレンジオール、
これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリ
コール、などに例示される芳香族グリコールが挙げら
れ、これらのグリコールのうちエチレングリコールおよ
び1, 4ーブチレングリコールが好ましい。
【0134】これらグリコール以外の多価アルコールと
して、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリ
セロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0135】ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒド
ロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー(2ーヒド
ロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘキ
サンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体
などが挙げられる。
【0136】環状エステルとしては、ε- カプロラクト
ン、β- プロピオラクトン、β- メチル- β- プロピオ
ラクトン、δ- バレロラクトン、グリコリド、ラクチド
などが挙げられる。
【0137】また、本発明のポリエステルには公知のリ
ン系化合物を共重合成分として含むことができる。リン
系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例
えば、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン
酸ジフェニル、(2-カルボキシルエチル)メチルホスフ
ィン酸、(2-カルボキシルエチル)フェニルホスフィン
酸、(2-メトキシカルボキシルエチル)フェニルホスフ
ィン酸メチル、(4-メトキシカルボニルフェニル)フェ
ニルホスフィン酸メチル、[2- (β- ヒドロキシエトキ
シカルボニル)エチル] メチルホスフィン酸のエチレン
グリコールエステル、(1,2-ジカルボキシエチル)ジメ
チルホスフィンオキサイド、9,10- ジヒドロ-10-オキサ
- (2,3-カルボキシプロピル)-10-ホスファフェナンス
レン-10-オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系
化合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエ
ステルの難燃性等を向上させることが可能である。
【0138】多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボ
ン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキ
ルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられ
る。
【0139】本発明で用いられるポリエステルは主たる
酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体
もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレン
グリコールであるポリエステルが好ましい。主たる酸成
分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もし
くはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性
誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレ
フタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレン
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計し
て70モル%以上含有するポリエステルであることが好ま
しく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステ
ルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリ
エステルである。主たるグリコール成分がアルキレング
リコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に
対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含
有するポリエステルであることが好ましく、より好まし
くは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに
好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基
や脂環構造を含んでいても良い。
【0140】本発明で用いられるナフタレンジカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1, 3ー
ナフタレンジカルボン酸、1, 4ーナフタレンジカルボ
ン酸、1, 5ーナフタレンジカルボン酸、2, 6ーナフ
タレンジカルボン酸、2, 7ーナフタレンジカルボン
酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0141】本発明で用いられるアルキレングリコール
としては、エチレングリコール、1、2ープロピレング
リコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブ
チレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、
3ーブチレングリコール、1, 4ーブチレングリコー
ル、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1, 6ーヘキサンジオール、1, 2ーシクロヘキサ
ンジオール、1, 3ーシクロヘキサンジオール、1, 4
ーシクロヘキサンジオール、1, 2ーシクロヘキサンジ
メタノール、1, 3ーシクロヘキサンジメタノール、
1, 4ーシクロヘキサンジメタノール、1, 4ーシクロ
ヘキサンジエタノール、1, 10ーデカメチレングリコ
ール、1、12ードデカンジオール等があげられる。こ
れらは同時に2種以上を使用しても良い。
【0142】本発明のポリエステルには、テレフタル酸
またはそのエステル形成性誘導体、ナフタレンジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体以外の酸成分とし
て蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テト
ラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、
1, 3ーシクロブタンジカルボン酸、1, 3ーシクロペ
ンタンジカルボン酸、1, 2ーシクロヘキサンジカルボ
ン酸、1, 3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシ
クロヘキサンジカルボン酸、2, 5ーノルボルナンジカ
ルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカ
ルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル
酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂
肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導
体、オルソフタル酸、イソフタル酸、5ー(アルカリ金
属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、4、4' ービ
フェニルジカルボン酸、4、4'ービフェニルスルホン
ジカルボン酸、4、4' ービフェニルエーテルジカルボ
ン酸、1, 2ービス(フェノキシ)エタンーp, p' ー
ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸
などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエ
ステル形成性誘導体、エタントリカルボン酸、プロパン
トリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリッ
ト酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3' 、
4' ービフェニルテトラカルボン酸などに例示される多
価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体など
を共重合成分として含むことができる。また、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒド
ロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒ
ドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘ
キサンカルボン酸などに例示されるヒドロキシカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体を含むこともでき
る。また、ε- カプロラクトン、β- プロピオラクト
ン、β- メチル- β- プロピオラクトン、δ- バレロラ
クトン、グリコリド、ラクチドなどに例示される環状エ
ステルを含むこともできる。
【0143】本発明のポリエステルには、アルキレング
リコール以外のグリコール成分として、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒド
ロキノン、4, 4' ージヒドロキシビスフェノール、
1, 4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベンゼン、
1, 4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スル
ホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキ
シフェニル)エタン、ビスフェノールA 、ビスフェノー
ルC、2, 5ーナフタレンジオール、これらのグリコー
ルにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例
示される芳香族グリコール、トリメチロールメタン、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールな
どに例示される多価アルコールなどを共重合成分として
含むことができる。
【0144】また、本発明のポリエステルには公知のリ
ン系化合物を共重合成分として含むことができる。リン
系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例
えば、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン
酸ジフェニル、(2-カルボキシルエチル)メチルホスフ
ィン酸、(2-カルボキシルエチル)フェニルホスフィン
酸、(2-メトキシカルボキシルエチル)フェニルホスフ
ィン酸メチル、(4-メトキシカルボニルフェニル)フェ
ニルホスフィン酸メチル、[2- (β- ヒドロキシエトキ
シカルボニル)エチル] メチルホスフィン酸のエチレン
グリコールエステル、(1,2-ジカルボキシエチル)ジメ
チルホスフィンオキサイド、9,10- ジヒドロ-10-オキサ
- (2,3-カルボキシプロピル)-10-ホスファフェナンス
レン-10-オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系
化合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエ
ステルの難燃性等を向上させることが可能である。
【0145】本発明のポリエステルとしてはポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
プロピレンテレフタレート、ポリ(1,4 ーシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフ
タレートおよびこれらの共重合体が好ましく、これらの
うちポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体が
特に好ましい。
【0146】本発明のポリエステル中にはフェノール
系、芳香族アミン系等の酸化防止剤を含むことができ、
これらを一種もしくは二種以上含有することによって、
例えばポリエステルの熱安定性を高めることなどができ
る。
【0147】本発明のポリエステル中には、青み付け
剤、有機系、無機系、あるいは有機金属系の染料、顔
料、ならびに蛍光増白剤などを含むことができ、これら
を一種もしくは二種以上含有することによって、ポリエ
ステルの黄み等の着色を抑えることができる。
【0148】本発明のポリエステル中には他の任意の重
合体や安定剤、酸化防止剤、制電剤、消泡剤、染色性改
良剤、染料、顔料、艶消剤、その他の添加剤が含有され
ていてもよい。
【0149】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが本発
明はもとよりこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0150】本発明における分析方法及び評価方法につ
いて以下に示す。
【0151】(1)ポリマー中の金属およびリンの含有
量 (1−1)リン、アンチモン、マグネシウム及びゲルマ
ニウムの含有量は蛍光X線分析法により測定した。測定
試料であるポリエステルを写真用フェロタイプ板上に置
いた高さ5mm、直径40mmのステンレス製リング内
に投入し、オーブン中で300℃にて10分間加熱し、
溶融する。オーブンから取り出して冷却した後、ステン
レス製リングから成形サンプルを取り出し、平滑な表面
について測定を行った。また別途に化学分析法で含有量
が確認されたポリエステル数点を上記の方法にて成形
し、蛍光X線強度を測定して化学分析法で求められた値
と蛍光X線強度の検量線を作成した。測定試料であるポ
リエステルの蛍光X線強度データから検量線に基づいて
各測定試料中のリン、アンチモン、マグネシウム及びゲ
ルマニウムの含有量を算出した。 (1−2)その他の金属については、高周波プラズマ発
光分析、原子吸光分析により測定した。まず測定試料で
あるポリエステル1.0gを白金ルツボに秤取して炭化
した後に電気炉で550℃にて灰化し、室温まで冷却し
た後に得られた灰分を6N塩酸(Tiの測定においては
弗酸/塩酸)に溶解し、蒸発乾固した後1.2N塩酸に
溶解し、測定サンプル液とした。Al,Ca,Co,T
iについては高周波プラズマ分析を、またNa,Li,
Kについては原子吸光分析を行った。高周波プラズマ分
析は、ICPS−2000(島津製作所製)を、また原
子吸光分析はAA−640−12(島津製作所製)を、
それぞれ使用して行った。また別途、測定金属ごとに市
販の原子吸光分析用標準溶液を使用して0.01〜30
mg/lの濃度範囲の検量線作成用溶液を調製し、検量
線を作成した。この検量線に基づき、上記の個々の測定
サンプル液の分析データからポリエステル中の金属含有
量を算出した。
【0152】(2)ポリエステルの固有粘度(IV) ポリエステルをフェノール/1,1,2,2−テトラク
ロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒に80〜100
℃で加熱溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、温度30
℃で測定した。濃度は、4g/lを中心にして数点測定
し、得られた還元粘度を濃度に対してプロットし、得ら
れる直線を濃度ゼロに外挿したときの還元粘度の値を固
有粘度(IV)とした。
【0153】(3)紡糸時の濾圧上昇および延伸時の糸
切れの評価 溶融重合で得られたPETレジンチップを乾燥後、溶融
押出機に供給し、フィルターとして20μmのものを使
用し、孔径0.14mmΦのオリフィスを108個有す
る紡糸口金から290℃で吐出させ、常法に従って冷
却、オイリング後、1720m/分で引き取った。引き
続き、予熱ローラー80℃、セット温度150℃で2.
127倍に延伸して47デシテックス、108フィラメ
ントのポリエステル延伸糸を得た。
【0154】紡糸時の濾圧上昇の程度により、以下のよ
うに評価した。 ○:濾圧上昇がほとんど認められない。 △:濾圧上昇が少し認められる。 ×:顕著に濾圧が上昇する。
【0155】延伸時の糸切れの頻度により、以下のよう
に評価した。 ○:糸切れがほとんど起こらない。 △:糸切れが少し起こる。 ×:糸切れが多発する。
【0156】(4)合成したリン化合物の1H-NMR測定 化合物をCDCl3 またはd6-DMSO に溶解させ、室温下でVa
rian GEMINI-200 を使って測定した。
【0157】(5)合成したリン化合物の融点測定 化合物をカバーガラス上にのせ、Yanaco MICRO MELTING
POINT APPARATUSを使って1 ℃/minの昇温速度で測定し
た。
【0158】(6)合成したリン化合物の元素分析 リンの分析は、PETレジンチップを湿式分解後、モリ
ブデンブルー比色法により行った。その他の金属は、灰
化/酸溶解後、高周波プラズマ発光分析および原子吸光
分析により行った。
【0159】(実施例1) (リン化合物の合成例) 下記式化44で表されるリン化合物(リン化合物A)の
合成
【化44】 Sodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylph
osphonate)の合成 50% 水酸化ナトリウム水溶液6.5g(84mmol)とメタノー
ル6.1ml の混合溶液中にdiethyl(3,5-di-tert-butyl-4-
hydroxybenzyl)phosphonate (Irganox1222(チバ・スペ
シャルティーケミカルズ社製) ) 5g (14mmol)のメタ
ノール溶液6.1ml を加え、窒素雰囲気下24時間加熱還流
を行った。反応後、反応混合物を冷却しながら濃塩酸7.
33g (70mmol)を加え、析出物をろ取、イソプロパノー
ルで洗浄後、ろ液を減圧留去した。得られた残渣を熱イ
ソプロパノールに溶解させ、不溶分をろ取し、イソプロ
パノールを減圧留去後、残渣を熱ヘプタンで洗浄、乾燥
してSodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyben
zylphosphonate) を3.4g(69% )得た。 形状:白色粉体 融点:294-302 ℃(分解)1 H-NMR(d6-DMSO, δ): 1.078(3H, t, J=7Hz), 1.354 (1
8H, s), 2.711(2H, d),3.724(2H, m, J=7Hz), 6.626(1
H, s), 6.9665(2H, s) 元素分析(カッコ内は理論値):Na 6.36%(6.56%), P
9.18%(8.84%) 。
【0160】O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyben
zylphosphonic acid(リン化合物A)の合成 室温で攪拌下のSodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-
hydroxybenzyl-phosphonate) 1g (2.8mmol )の水溶液
20mlに濃塩酸1.5gを加えて1 時間攪拌した。反応混合物
に水150ml を加え、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し
てO-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylphospho
nic acidを826mg (88% )得た。 形状:板状結晶 融点:126-127 ℃1 H-NMR(CDCl3, δ):1.207(3H, t, J=7Hz), 1.436(18H,
s), 3.013(2H, d), 3.888(2H, m, J=7Hz.), 7.088(2H,
s), 7.679-8.275(1H, br) 。
【0161】(ポリエステルの重合例)高純度テレフタ
ル酸とエチレングリコールから常法に従って製造したビ
ス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびオリ
ゴマーの混合物に対し、重縮合触媒としてアルミニウム
トリスアセチルアセトネートの2.5g/lのエチレン
グリコール溶液と上述のリン化合物Aの10g/lエチ
レングリコール溶液を加えた。これらの化合物は最終的
に得られるポリマー中のアルミニウム原子およびリン原
子の含有量が表1に示す量となるように添加した。重合
時に添加した触媒中の金属成分は重合中、成形中にほと
んど揮散することがないので、分析結果で得られた数値
がほぼ仕込み量であるが、リン成分は重合中、成形中に
揮散するので分析結果より多めに添加した。上記溶液の
添加後、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間撹拌
した。次いで50分間を要して275℃まで昇温しつつ
反応系の圧力を徐々に下げて0.1Torrとしてさら
に275℃、0.1Torrで重縮合反応を行った。撹
拌トルクのチェックにより、ポリエチレンテレフタレー
トのIVが0.65dl/gに到達するまでに要した重
合時間を表1に示す。また、上記の重縮合にて得られた
IVが0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート
(前記ポリエステルの固有粘度の測定方法で測定)を常
法に従ってチップ化した。即ち溶融重合で固有粘度0.
65に相当する所定のトルクに到達した時点で反応容器
に窒素を導入して常圧に戻し、重縮合反応を停止した後
に約0.1MPaの加圧下に溶融ポリマーを連続的に反
応容器下部に設けられた吐出ノズルより冷水中にストラ
ンド状に押し出して急冷し、カッターにより長さ約3m
m,直径約2mmのシリンダー形状のレジンチップとし
た。冷水中での保持時間は約20秒であった。このPE
Tレジンチップを用いて紡糸時の濾圧上昇および延伸時
の糸切れの評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0162】(実施例2)高純度テレフタル酸とエチレ
ングリコールから常法に従って製造したビス(2−ヒド
ロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合
物に対し、重縮合触媒としてアルミニウムトリスアセチ
ルアセトネートの2.5g/lのエチレングリコール溶
液とIrganox1425(チバ・スペシャルティー
ケミカルズ社製)の10g/lエチレングリコール溶液
を加えた。これらの化合物は最終的に得られるポリマー
中のアルミニウムおよびリンの含有量が表1に示す量と
なるように添加した。重合時に添加した触媒中の金属成
分は重合中、成形中にほとんど揮散することがないの
で、分析結果で得られた数値がほぼ仕込み量であるが、
リン成分は重合中、成形中に揮散するので分析結果より
多めに添加した。上記溶液の加後、窒素雰囲気下常圧
にて245℃で10分間撹拌した。次いで50分間を要
して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げ
て0.1Torrとしてさらに275℃、0.1Tor
rで重縮合反応を行った。ポリエチレンテレフタレート
のIVが0.65dl/gに到達するまでに要した重合
時間を表1に示す。また、上記の重縮合にて得られたI
Vが0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート
(前記ポリエステルの固有粘度の測定方法で測定)を常
法に従ってチップ化した。即ち溶融重合で固有粘度0.
65に相当する所定のトルクに到達した時点で反応容器
に窒素を導入して常圧に戻し、重縮合反応を停止した後
に約0.1MPaの加圧下に溶融ポリマーを連続的に反
応容器下部に設けられた吐出ノズルより冷水中にストラ
ンド状に押し出して急冷し、カッターにより長さ約3m
m,直径約2mmのシリンダー形状のレジンチップとし
た。冷水中での保持時間は約20秒であった。このPE
Tレジンチップを用いて紡糸時の濾圧上昇および延伸時
の糸切れの評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0163】(比較例1〜2)触媒を変更したこと以外
は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。各実
施例および比較例で、触媒として用いた化合物を表1に
それぞれ示す。これらの化合物は最終的に得られるポリ
マー中のアルミニウムおよびリンの含有量が表1に示す
量となるように添加した。重合結果と紡糸時の濾圧上昇
および延伸時の糸切れの評価結果を表1に示す。リン化
合物Aは上述のものを使用した。
【0164】
【表1】 上記した実施例および比較例から明らかなように、ポリ
エステル中のアルミニウムおよびリンの含有量が本発明
の特許請求の範囲にあるものは、紡糸および延伸の操業
性に優れるのに対して、本発明の特許請求の範囲外のも
のは、紡糸時に濾圧上昇が顕著に起こったり、延伸時に
糸切れが多発したりし、操業性に劣る結果となる。
【0165】
【発明の効果】本発明によれば、アンチモンおよびゲル
マニウム以外の金属成分を触媒の主たる金属成分とする
重合触媒を用いて製造されたポリエステルであって、か
つ成形時のフィルター詰まり等が改善されたポリエステ
ルおよびその製造方法が提供される。本発明のポリエス
テルは、衣料用繊維、産業資材用繊維、各種フィルム、
シート、ボトルやエンジニアリングプラスチックなどの
各種成形物、および塗料や接着剤などへの応用が可能で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 形舞 祥一 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 桑田 光啓 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 森山 暢夫 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA01 AB04 AE01 BA03 CB06A JC461 JC551 JC561 JC591 JF011 JF111 JF221 JF361 JF461

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムおよびその化合物からなる
    群より選ばれる少なくとも一種とリン化合物からなる群
    より選ばれる少なくとも一種を含有するポリエステルで
    あって、ポリエステル中に含まれるリン原子の量(ppm)
    のアルミニウム原子の量(ppm) に対する比が0.5〜2
    0の範囲にあることを特徴とするポリエステル。
  2. 【請求項2】 ポリエステル中に含まれるアルミニウム
    原子の含有量が1ppm〜100ppmの範囲にあることを特徴と
    する請求項1記載のポリエステル。
  3. 【請求項3】 ポリエステル中に含まれるリン原子の含
    有量が5ppm〜200ppmの範囲にあることを特徴とする請求
    項1または2に記載のポリエステル。
  4. 【請求項4】 リン化合物が、ホスホン酸系化合物、ホ
    スフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、
    亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物および
    ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または
    二種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載のポリエステル。
  5. 【請求項5】 リン化合物が、ホスホン酸系化合物から
    なる群より選ばれる一種または二種以上の化合物である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ
    エステル。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属およびそれらの化合物なら
    びにアルカリ土類金属およびそれらの化合物からなる群
    より選ばれる少なくとも一種をさらに含むことを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル。
  7. 【請求項7】 アンチモンまたはその化合物を含有し、
    かつポリエステル中に含まれるアンチモン原子として5
    0ppm以下の量含有することを特徴とする請求項1〜
    6のいずれかに記載のポリエステル。
  8. 【請求項8】 ゲルマニウムまたはその化合物を含有
    し、かつポリエステル中に含まれるゲルマニウム原子と
    して20ppm以下の量含有することを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載のポリエステル。
  9. 【請求項9】 チタンまたはその化合物を含有し、かつ
    ポリエステル中に含まれるチタン原子として5ppm以
    下の量含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれ
    かに記載のポリエステル。
  10. 【請求項10】 コバルトまたはその化合物を含有し、
    かつポリエステル中に含まれるコバルト原子として10
    ppm未満の量含有することを特徴とする請求項1〜9
    のいずれかに記載のポリエステル。
  11. 【請求項11】 アルミニウムおよびその化合物からな
    る群より選ばれる少なくとも一種とリン化合物からなる
    群より選ばれる少なくとも一種を含有し、かつリン原子
    の量(ppm) のアルミニウム原子の量(ppm) に対する比が
    0.5〜20の範囲にあるポリエステル重合触媒を用い
    ることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の
    ポリエステルの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれかに記載の金
    属および/または金属化合物を触媒として用いて製造さ
    れた請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル。
  13. 【請求項13】 請求項1〜10のいずれかに記載の金
    属および/または金属化合物を触媒として用いることを
    特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のポリエ
    ステルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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