JP5928117B2 - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
印刷装置の中には、帯状の媒体(例えば記録用紙)がロール状に巻かれたロール体から媒体を引き出して、媒体に印刷を行うものがある。このような印刷装置では、ロール体から離れた位置に搬送ローラーが設けられており、搬送モーターが搬送ローラーを回転させてロール体から媒体を引き出して、媒体を搬送する。
特許文献1の印刷装置は、ロール体を回転させるためのモーター(ロールモーター)を備えており、媒体を搬送するときにロールモーターを駆動することによって、搬送ローラーとロール体との間の媒体のテンションを制御している。具体的には、ロール体を回転させるための静負荷と搬送モーターの搬送速度との関係を予め測定しておき、搬送モーターを駆動して搬送ローラーを回転させて媒体を搬送する際に、測定された静負荷と、搬送時の搬送モーターの回転に応じた搬送速度とに基づく補間出力にてロールモーターを駆動することによって、搬送ローラーとロール体との間の媒体のテンションを制御している。(なお、特許文献2には、搬送ローラーとロール体の間の媒体のテンションを制御する印刷補法が記載されている。特許文献3には、ロール体の径を測定する方法が記載されている。特許文献4には、ロール体の支持構造が記載されている。)
特開2009−256095号公報 特開2009−280398号公報 特開2009−255496号公報 特開2007−290866号公報
媒体を一定速度で搬送し続けるならば、特許文献1の補間出力にてロールモーターを駆動すると、搬送ローラーとロール体との間の媒体のテンションを制御できる。但し、媒体の搬送速度を加速させる際には、搬送速度の変動に対してロール体の回転が遅れてしまい、媒体のテンションが変動し、媒体が搬送ローラーから滑ってしまい(搬送ローラーが空回りしてしまい)、正確な搬送量で媒体を搬送できないおそれがある。
本発明は、正確な搬送量で媒体を搬送することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、媒体が巻かれたロール体を回転させるための駆動力を与える第1モーターと、搬送ローラーを回転させるための駆動力を与える第2モーターと、前記第2モーターを駆動して前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送させるときに、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する制御部とを備えた印刷装置であって、前記制御部は、前記搬送ローラーの回転を加速させるとき、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量と付加制御量とを加算した制御量に基づいて、前記第1モーターを駆動することを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
図1は、印刷装置10の外観の説明図である。 図2は、印刷装置10の駆動機構と制御部の説明図である。 図3は、ロール体RPの周辺構造の説明図である。 図4は、制御部100の機能の説明図である。 図5は、PID制御を実現するときの搬送モーター制御部112のブロック図である。 図6は、印刷処理の前に行われる前処理のフロー図である。 図7は、径の測定処理の説明図である。 図8は、ロール体RPの任意の回転速度Vと、ロール体RPを回転させるために必要な静負荷Nとの関係を示すグラフである。 図9Aは、参考例の搬送処理の概要の説明図である。図9Bは、補助力Naのグラフである。 図10は、参考例のロールモーター制御部111のブロック図である。 図11A及び図11Bは、ロール体RPの回転の遅れが顕著な状況下で、媒体を間欠的に搬送したときに生じる現象の説明図である。図11Aは、媒体が弛む状態になるときの説明図である。図11Bは、媒体がつっぱった状態になるときの説明図である。 図12A及び図12Bは、参考例による搬送処理の説明図である。図12C及び図12Dは、参考例による別の搬送処理の説明図である。 図13は、本実施形態の搬送開始時のロールモーター制御部111のブロック図である。 図14A〜図14Cは、本実施形態による搬送処理の説明図である。図14D〜図14Fは、本実施形態による別の搬送処理の説明図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
媒体が巻かれたロール体を回転させるための駆動力を与える第1モーターと、搬送ローラーを回転させるための駆動力を与える第2モーターと、前記第2モーターを駆動して前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送させるときに、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する制御部とを備えた印刷装置であって、前記制御部は、前記搬送ローラーの回転を加速させるとき、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量と付加制御量とを加算した制御量に基づいて、前記第1モーターを駆動することを特徴とする印刷装置が明らかとなる。
このような印刷装置によれば、正確な搬送量で媒体を搬送できる。
前記制御部は、前記媒体に画像を印刷するとき、移動するヘッドからインクを吐出する動作と、前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送する動作とを交互に繰り返すことが望ましい。このような場合に特に有効である。
前記ロール体の回転速度と前記第1モーターに作用する静負荷との関係と、前記ロール体の径とを予め測定し、前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送するときの前記搬送ローラーの回転量を検出し、検出された前記搬送ローラーの回転量と、前記ロール体の径と、前記関係とに基づいて、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量を算出することが望ましい。このような場合に特に有効である。
前記制御部は、前記搬送ローラーの回転の加速が終わった後、前記付加制御量を加算せずに、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量に基づいて前記第1モーターを駆動することが望ましい。
前記付加制御量は、前記ロール体の目標回転速度との偏差の比例成分の制御量と積分成分の制御量の和に相当することが望ましい。但し、前記付加制御量は、前記ロール体の目標回転速度との偏差の比例成分の制御量に相当しても良い。
媒体が巻かれたロール体を回転させるための駆動力を与える第1モーターと、搬送ローラーを回転させるための駆動力を与える第2モーターと、を用い、前記第2モーターを駆動して前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送させるときに、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する印刷方法であって、前記搬送ローラーの回転を加速させるとき、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に付加制御量を加算した制御量に基づいて、前記第1モーターを駆動することを特徴とする印刷方法が明らかとなる。
このような印刷装置によれば、正確な搬送量で媒体を搬送できる。
===全体構成===
図1は、印刷装置10の外観の説明図である。図2は、印刷装置10の駆動機構と制御部の説明図である。図3は、ロール体RPの周辺構造の説明図である。
印刷装置10は、ロール体RPから媒体Pを引き出して、媒体に印刷を行うインクジェット式のプリンターである。ロール体RPは、硬質の筒体RP1に帯状の媒体Pをロール状に巻き回した構成となっている。媒体Pは、例えば、記録用紙、フィルム、布などである。ロール体RPの重さは例えば80kgであり、媒体Pの幅は例えば64インチである。
印刷装置10は、ロール体駆動機構30と、キャリッジ駆動機構40と、媒体搬送機構50と、制御部100とを備えている。
ロール体駆動機構30は、ロール体RPを回転させる駆動機構である。ロール体RPが回転すると、ロール体RPから媒体が引き出されて供給される。ロール体駆動機構30は、回転ホルダ31と、ギヤ輪列32と、ロールモーター33と、回転検出部34とを有する。回転ホルダ31は、ロール体RPの筒体RP1の中空孔に両側から挿入するものであり、ロール体RPを両端側から支持するため、一対設けられている。一方の回転ホルダ31aには、ギヤ輪列32を介して、ロールモーター33が連結されている。他方の回転ホルダ31は、軸方向に可動な可動支持部35(図3参照)によって、回転可能に支持されている。ロールモーター33は、ロール体RPを回転させるための駆動力を与えるモーター(第1モーター)である。回転検出部34は、ロール体の回転量を検出する検出部(第1検出部)である。具体的には、回転検出部34は、ロールモーター33の駆動軸の回転量を検出するロータリーエンコーダーである。
なお、ギヤ輪列32は、重いロール体RPを回転させることができる程度の減速比に設定されており、ここでは減速比は50である。
キャリッジ駆動機構40は、インクを吐出するヘッドHを移動方向に移動させるためのものである。キャリッジ駆動機構40は、キャリッジ41と、キャリッジ軸42と、不図示のキャリッジモーターなどを具備している。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジ軸42に沿って、キャリッジモーターによって駆動される。キャリッジ41の下面には、インクを吐出するヘッドHが設けられている。ヘッドHには、インクカートリッジからチューブを介してインクが供給されている。但し、キャリッジ31にインクカートリッジが搭載されていても良い。
媒体搬送機構50は、媒体を搬送方向に搬送するためのものである。媒体搬送機構50は、搬送ローラー51と、従動ローラー52(図7A及び図7B参照)と、搬送モーター53と、回転検出部54とを有する。ロール体RPから引き出された媒体は、搬送ローラー51と従動ローラー52との間に挟持される。搬送モーター53は、搬送ローラー51を回転させるための駆動力を与えるモーター(第2モーター)である。回転検出部54は、搬送ローラーの回転量を検出する検出部(第2検出部)である。具体的には、回転検出部54は、搬送モーター53の駆動軸の回転量を検出するロータリーエンコーダーである。
制御部100は、印刷装置10の様々な動作を制御する。例えば、制御部100は、媒体に印刷を行うときに、キャリッジ41を移動方向に移動させ、移動中のヘッドHからインクを吐出させて媒体にドットを形成させるドット形成動作と、媒体を搬送方向に搬送させる搬送動作とを繰り返させるように、印刷装置10の各機構を制御する。
制御部100は、図2に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、PROM104、ASIC105、ドライバー106等を備えており、これらがバス等の伝送路107を介して接続されている。また、制御部100は、コンピューターCOMに接続されている。制御部100を構成するハードウエアと、ROM102などのメモリーに記憶されているソフトウエアの協働によって、モーター制御部などの各種機能や、測定処理などの各種処理が実現される。
図4は、制御部100の機能の説明図である。主制御部110は、ロールモーター制御部111及び搬送モーター制御部112に指令を与える。主制御部110は、ロールモーター33と搬送モーター53をそれぞれ独立して駆動するように、若しくは、ロールモーター33と搬送モーター53を同期駆動するように、ロールモーター制御部111及び搬送モーター制御部112に指令を与えることが可能である。
図5は、PID制御を実現するときの搬送モーター制御部112のブロック図である。搬送モーター制御部112は、位置演算部121と、速度演算部122と、タイマー123と、第1減算部124と、目標速度発生部125と、第2減算部126と、比例要素131と、積分要素132と、微分要素133と、加算部134と、PWM出力部135とを備えている。
位置演算部121は、回転検出部54(ロータリーエンコーダー)からのパルス信号をカウントすることにより、搬送ローラー51の現在の回転位置(基準位置に対する角度)を算出する。なお、搬送ローラー51の直径が既知なので、位置演算部121は、搬送ローラー51の回転位置を算出する代わりに、媒体の搬送量を算出しても良い。速度演算部122は、回転検出部54(ロータリーエンコーダー)からのパルス信号と、タイマー123で計測される時間とに基づいて、搬送ローラー51の回転速度を算出する。
第1減算部124は、位置演算部121から出力される回転位置(搬送ローラー51の現在の回転位置)と、主制御部110から指令された目標位置との位置偏差を算出する。目標速度発生部125は、第1減算部124から出力される位置偏差に基づいて、所定の速度テーブルに応じた目標速度を算出する。第2減算部126は、速度演算部122から出力される回転速度(搬送ローラー51の現在の回転速度)と、目標速度発生部125から出力される目標速度との速度偏差ΔVを算出する。
比例要素131、積分要素132及び微分要素133には、第2減算部126から出力される速度偏差ΔVが入力される。それぞれの要素は、速度偏差ΔVに基づいて、以下の制御値Qを算出する。
QP(j)=ΔV(j)×Kp (式1)
QI(j)=Q(j−1)+ΔV(j)×Ki (式2)
QD(j)={ΔV(j)−ΔV(j−1)}×Kd (式3)
ここで、jは時間であり、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、Kdは微分ゲインである。
加算部134は、比例要素131、積分要素132及び微分要素133から出力される各制御値を加算し、合計された制御値QpidをPWM出力部135に出力する。PWM出力部135は、制御値Qpidに応じたDuty値のPWM信号を出力する。モータードライバー106は、PWM出力部135から出力されるPWM信号に基づいて、搬送モーター53(DCモーター)をPWM制御にて駆動する。
ここでは、PID制御を実現するときの搬送モーター制御部112について説明したが、PI制御を実現するように搬送モーター制御部112を構成することも可能であり、求められる機能に応じて搬送モーター制御部112を構成することが可能である。また、ロールモーター制御部111も同様に、機能に応じた構成にすることが可能である。なお、本実施形態のロールモーター制御部111の構成については、後述する。
===印刷前の前処理===
図6は、印刷処理の前に行われる前処理のフロー図である。
まず、弛み解消処理が行われる(S001)。弛み解消処理は、ロール体RPと搬送ローラー51との間の媒体Pの弛みを解消するための処理である。この弛み解消処理では、まず、制御部100は、媒体Pを搬送方向に搬送するように、搬送モーター53を回転(正転)させる。ロール体RPと搬送ローラー51との間で媒体Pが弛んでいれば、搬送モーター53を回転させても、ロール体RPは回転しない。但し、搬送モーター53を回転させると、徐々に媒体Pの弛みが解消されていく。そして、媒体Pの弛みがなくなると、ロール体RPから媒体Pが引っ張られることにより、ロール体RPが回転する。制御部100は、ロール体RPが回転したことを回転検出部34によって検出したら、弛み解消処理を終了し、搬送モーター53を停止させる。
次に、ロール体RPの径の測定処理が行われる(S002)。図7は、径の測定処理の説明図である。
制御部100は、回転検出部34及び回転検出部54のカウント値をリセットした後、搬送モーター53を回転(正転)させる。既に媒体Pの弛みが解消されているため、搬送ローラー51が回転して媒体Pが搬送されると、ロール体RPから媒体Pが引っ張られることにより、ロール体RPが回転する。制御部は、媒体Pを所定の搬送量にて搬送させた後、搬送モーター53を停止させる。搬送モーター53を停止させてから所定時間経過した後、制御部100は、回転検出部34によりロール体RPの回転量を検出し(カウント値を取得し)、回転検出部54により搬送ローラー51の回転量を検出する。なお、搬送モーター53を停止させてから所定時間経過させる理由は、媒体に弾性があるため、ロール体RPと搬送ローラー51との間の媒体Pに作用する張力によって、搬送モーター53の停止後もロール体RPが回転を続けることがあるためである。
搬送ローラー51による媒体Pの搬送量と、この搬送に伴って回転するロール体RPによる媒体Pの搬送量は等しいと考えると、次式が成立する。
Lk×(Ck/Rk)=D×π×(Cr/Rr) (式4)
Lk:搬送ローラー51の外周長(ここでは1インチ)
Ck:検出された搬送ローラー51の回転量(回転検出部54のカウント値)
Rk:搬送ローラー51が1回転したときの回転検出部54のカウント値
D:ロール体RPの直径
π:円周率
Cr:検出されたロール体RPの回転量(回転検出部34のカウント値)
Rr:ロール体RPが1回転したときの回転検出部34のカウント値
なお、CkとCrはS002の処理で制御部100が取得する検出値であり、Lk、Rk及びRrは既知の値である。このため、ロール体RPの直径Dは、次式のように算出される。
D={Lk×(Ck/Rk)}/{π×(Cr/Rr)} (式5)
制御部100は、ロール体RPの直径Dを、RAM27又はPROM104に記憶し、径の測定処理(S002)を終了する。
ロール体RPの径の測定処理後、静負荷の測定処理が行われる(S003)。静負荷は、ロール体RPの回転速度に応じて線形的に変動するため、低速回転時の静負荷Nlと、高速回転時の静負荷Nhとが測定される。
S003では、まず、制御部100は、所定の一定速度Vl(低速)でロール体RPが回転(正転)するように、ロールモーター33を駆動する。このとき、制御部100のロールモーター制御部111(図4参照)は、PID制御にてロールモーター33を駆動できるように、図5の搬送モーター制御部112と同様に構成される。そして、ロールモーター制御部111は、回転検出部34の検出する回転量が一定速度Vlに対応した回転速度になるように、PID制御にてロールモーター33を駆動する。そして、制御部100は、ロール体RPの回転速度が安定したところで、そのときにロールモーター33に出力しているDuty値を静負荷Nlとして取得する。なお、このDuty値は、ロール体RPの回転速度が安定したときの積分要素132の制御値QI(式2)に基づいて取得することもできる。このときのDuty値である静負荷Nlは、ロール体RPを速度Vlで回転させるために必要なトルクを示している。
次に、制御部100は、ロールモーター33を停止させた後、所定の一定速度Vh(高速)でロール体RPが回転するように、ロールモーター33を駆動する。そして、低速回転時の静負荷Nlの取得のときと同様に、制御部100は、高速回転時の静負荷Nhを取得し、ロールモーター33を停止させる。
制御部100は、低速回転時の静負荷Nlと高速回転時の静負荷Nhを、RAM27又はPROM104に記憶し、静負荷の測定処理を終了する。
図8は、ロール体RPの任意の回転速度Vと、ロール体RPを回転させるために必要な静負荷Nとの関係を示すグラフである。回転速度Vと静負荷Nは、線形的な対応関係を有することが分かっている。このため、静負荷の測定処理(S003)によって、低速回転時の静負荷Nlと高速回転時の静負荷Nhが分かれば、近似直線(N=a×V+b)の傾きaと切片bが決定され、任意の回転速度Vに対応する静負荷Nを線形補間によって算出可能になる。
===印刷時の搬送処理===
<参考例>
図9Aは、参考例の搬送処理の概要の説明図である。
仮にロールモーター33を駆動せずに、搬送モーター53を駆動して搬送ローラー51を回転させて媒体を搬送すると、搬送ローラー51とロール体RPとの間の媒体には、静負荷Nに相当分の張力が作用する(図9A参照)。なお、静負荷Nは、媒体の搬送速度と直径Dとから定まる回転速度Vに対応している(図8参照)。
静負荷Nに相当分の張力が大きい場合、媒体が搬送ローラー51から滑ってしまい(搬送ローラー51が空回りしてしまい)、正確な搬送量で媒体を搬送できなくなる。また、搬送ローラー51とロール体RPとの間の媒体の張力が変動しても、正確な搬送量で媒体を搬送できなくなる。そこで、参考例では、補助力Naを出力するようにロールモーター33を駆動することによって、媒体にかかる張力Tを減少させると共に、搬送速度に応じた補助力Naを出力するようにロールモーター33を制御することによって、張力Tが一定になるようにしている。
図9Bは、補助力Naのグラフである。グラフの縦軸は、ロール体RPの回転速度Vを示し、縦軸は、補助力Naの大きさを示している。図中の点線は、図8の静負荷Nのグラフである。補助力Naは、静負荷Nの近似直線(N=a×V+b)よりも、張力Tに相当する所定量だけ小さい値として算出される。媒体の搬送速度とロール体RPの径Dが分かればロール体RPの回転速度Vが分かるため、必要な補助力Naが定まることになる。
図10は、参考例のロールモーター制御部111のブロック図である。ロールモーター制御部111は、速度演算部141と、搬送速度演算部142と、補助力演算部143と、PWM出力部135とを備えている。なお、図中の搬送モーター53は、図5に示す搬送モーター制御部112によって、PID制御されている。
速度演算部141は、回転検出部54(搬送ローラー51の回転位置を検出するロータリーエンコーダー)からのパルス信号と、不図示のタイマーで計測される時間とに基づいて、搬送ローラー51の回転速度を算出する。搬送速度演算部142は、搬送ローラー51の回転速度と、搬送ローラー51の径(既知)とに基づいて、媒体の搬送速度を算出する。
補助力演算部143は、媒体の搬送速度に基づいて、ロールモーター33に求められる補助力に相当する制御値を算出する。具体的には、補助力演算部143は、搬送速度演算部142から出力される媒体の搬送速度と、S002で測定したロール体RPの径Dとに基づいて、ロール体RPに求められる回転速度Vを算出し、この回転速度VとS003で測定した2つの静負荷(Nl、Nh)とに基づいて、図9Bに示すように回転速度Vに応じた補助力Naを算出する。算出される補助力Naは、ロール体RPを回転させるために必要な力Nよりも、張力Tに相当する所定量だけ小さい値である。補助力演算部143は、算出された補助力Naに相当する制御値を、PWM出力部135に出力する。
PWM出力部135は、補助力Naに応じたDuty値のPWM信号を出力する。モータードライバー106は、PWM出力部135から出力されるPWM信号に基づいて、ロールモーター33(DCモーター)をPWM制御にて駆動する。なお、PWM出力部135とモータードライバー106の機能は、図5に示すものと同様である。
ロールモーター33が駆動されることによって、ロール体RPに補助力(トルク)が加えられて、ロール体RPの回転(正転)が補助される。これにより、搬送ローラー51とロール体RPとの間の媒体に作用する張力が減少し、搬送ローラー51での媒体Pの滑りが抑制され、正確な搬送量で媒体を搬送できる。また、搬送速度に応じた補助力Naを出力するようにロールモーター33を制御することによって、張力Tが一定になり、媒体に作用する張力の変動を抑制できる。
<参考例の搬送処理の問題点>
参考例の搬送処理は、媒体を一定の速度で搬送する場合(若しくは、媒体の搬送速度の加速度が小さい場合)であれば、媒体に作用する張力Tをほぼ一定にできる。また、参考例の搬送処理は、ロール体RPが軽ければ、媒体に作用する張力Tをほぼ一定に制御できる。但し、媒体の搬送速度の加速度が大きい場合には、搬送速度の変動に対してロール体の回転が遅れてしまい、媒体に作用する張力が変動してしまい、媒体が搬送ローラーから滑ってしまい(搬送ローラーが空回りしてしまい)、正確な搬送量で媒体を搬送できなくなるおそれがある。
一方、本実施形態の印刷装置は、ヘッドHを移動方向に移動させて媒体にドットを形成するドット形成動作と、媒体を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことによって、媒体に画像を印刷する。このような印刷装置では、媒体を間欠的に搬送することになるため、媒体が加速と減速を繰り返して搬送されるため、搬送速度の変動が大きい。更に、印刷速度を速くするためには、媒体の搬送速度を高速化する必要があり、この場合、加速度が大きくなる。この結果、参考例の搬送処理では、媒体に作用する張力が変動してしまう。
加えて、本実施形態では、ロール体RPが80kg程度の重さであることを想定している。このようにロール体RPが重くなると、ロール体RPを回転させるためのロールモーター33の駆動力を大きくする必要が生じるため、ロールモーター33が大型化し、ロールモーター33の回転子が重くなる。また、回転ホルダ31や可動支持部35も大型化して重くなると共に、重たいロール体RPが外れないように支持するため、ロール体RPを側方から挟み込む力を大きくする必要がある。これらの要因によって、ロール体RPが重くなると、ロール体RPを回転させるために必要な力が大きくなり、ロール体が回転しにくくなる。この結果、ロール体RPが重くなると、ロール体RPの回転の遅れが顕著になる。
図11A及び図11Bは、ロール体RPの回転の遅れが顕著な状況下で、媒体を間欠的に搬送したときに生じる現象の説明図である。図11Aは、媒体が弛む状態になるときの説明図である。図11Bは、媒体がつっぱった状態になるときの説明図である。
媒体の搬送速度の減速が大きいとき、例えば、所定の搬送速度で媒体が搬送されている状態から急停止するとき、搬送ローラー51の回転が停止しても、ロール体RPが慣性により回り続けようとする。この結果、図11Aに示すように、搬送ローラー51とロール体RPとの間の媒体が弛んだ状態になる。
次に、搬送ローラー51とロール体RPとの間の媒体が弛んだ状態で、媒体の搬送を再開すると、搬送ローラー51の回転が開始しても、ロール体RPの回転が遅れるため、媒体の弛みが解消されていく。媒体の弛みが解消される前は、搬送ローラー51とロール体RPとの間の媒体に作用する張力はゼロであるが、媒体の弛みが解消されたときに媒体に張力が急に作用することになる(媒体がつっぱった状態:図11B参照)。このとき作用する張力は、ロール体RPの回転が遅れているので、前述の補助力Naによって張力が軽減されていないため、大きなものとなる。加えて、媒体の弛み量が大きい場合、媒体がつっぱった状態になるときの搬送ローラー51の回転速度が比較的速くなっているため、媒体に作用する張力が大きなものになる。
このように、ロール体RPの回転の遅れが顕著な状況下で、媒体を間欠的に搬送すると、媒体が弛む状態になったり、つっぱった状態になったりする。そして、媒体が弛む状態からつっぱった状態になるときに、大きな張力が媒体に急激に作用する。この結果、張力が媒体に急に作用するときに、媒体が搬送ローラーから滑ってしまい(搬送ローラーが空回りしてしまい)、正確な搬送量で媒体を搬送できなくなるおそれがある。
図12A及び図12Bは、参考例による搬送処理の説明図である。図12Aは、回転速度と径から算出した搬送速度の時間変化のグラフである。図12Bは、回転位置と径から算出した搬送量の時間変化のグラフである。図12Bに示すように、搬送ローラー51の回転による媒体の搬送量と、ロール体の回転による搬送量とが異なっている。これは、搬送処理後もロール体RPが慣性により回転し、媒体が弛んだためだと考えられる。
図12C及び図12Dは、参考例による別の搬送処理の説明図である。図12C及び図12Dの搬送処理では、図12A及び図12Bの搬送処理と同じ条件で、ロールモーター33及び搬送モーター53を制御している。しかし、図12C及び図12Dのグラフは、図12A及び図12Bのものとは大きく異なっている。例えば、図12A及び図12Cに示されたロール体RPの回転速度は、大きく異なっている。また、図12B及び図12Dに示されたロール体RPの回転による搬送量も、大きく異なっている。これは、それぞれの搬送処理の前後において、媒体の弛み方が異なっているためだと考えられる。つまり、参考例の搬送処理では、搬送処理後(若しくは搬送処理前)の媒体の弛み方の再現性が乏しいと考えられる。
媒体の弛み方に再現性が無い状況下で、図11Bに示す張力(媒体が弛んだ状態からつっぱった状態になったときに媒体に作用する張力)も再現性がなくなり、搬送処理ごとに搬送誤差が異なるおそれがある。この結果、参考例の搬送処理では、同じ搬送処理を繰り返しても、同じ搬送量で媒体が繰り返し搬送されないおそれがある。つまり、参考例の搬送処理では、搬送処理ごとの搬送量にばらつきが生じるおそれがある。
<本実施形態の搬送処理>
参考例の搬送処理では、図12A及ぶ図12Cに示すように、搬送ローラー51の回転開始に対して、ロール体RPの回転が大きく遅れている。この結果、強い張力が媒体に作用し、ロール体RPが比較的速い速度で回転する。このため、搬送ローラー51の回転が停止しても、ロール体RPに強い慣性が残り、媒体の弛む量が大きくなってしまう。(また、媒体の弛む量が大きくなると、次の搬送処理でのロール体RPの回転が遅れることになる。)
これに対し、本実施形態の搬送処理では、搬送開始直後のロールモーターの駆動力を参考例の場合よりも大きくすることによって、搬送ローラー51の回転開始に対するロール体RPの回転の遅れを改善している。この結果、強い張力が媒体に作用しにくくなり、搬送誤差が小さくなる。また、強い張力が媒体に作用しにくくなるため、ロール体RPの最高回転速度が抑制され、ロール体RPの慣性が小さくなり、媒体の弛む量が小さくなる。そして、媒体の弛む量が小さくなることによって、次の搬送処理でのロール体RPの回転の遅れが改善されるとともに、強い張力が媒体に作用しにくくなる。以下、本実施形態の搬送処理について説明する。
図13は、本実施形態の搬送開始時のロールモーター制御部111のブロック図である。本実施形態では、搬送開始後の所定時間の間、ロールモーター制御部111は、参考例のロールモーター制御部111の構成(図10参照)と、PI制御を実現するための構成とから構成されている。これにより、搬送開始時のロールモーター制御部111は、参考例の補助力Naに相当する制御量に、PI制御に基づく制御量を加算して、ロールモーター33を制御することになる。
ロールモーター制御部111は、PI制御を実現するための構成として、速度演算部151と、搬送速度演算部152と、目標速度発生部153と、減算部154と、比例要素155と、積分要素156と、加算部157と、PWM出力部135とを備えている。
速度演算部151は、回転検出部34(ロールモーター33の回転位置を検出するロータリーエンコーダー)からのパルス信号と、不図示のタイマーで計測される時間とに基づいて、ロール体RPの回転速度を算出する。搬送速度演算部152は、速度演算部151から出力される回転速度と、ロール体RPの直径D(測定済み)とに基づいて、媒体の搬送速度を算出する。
目標速度発生部153は、時間に比例した目標速度を出力する。つまり、目標速度発生部153は、等加速度で時間変化する目標速度を出力する。減算部154は、速度演算部152から出力される搬送速度(ロール体RPの回転による搬送速度)と、目標速度発生部153から出力される目標速度との速度偏差ΔVを算出する。
比例要素155及び積分要素156には、減算部154から出力される速度偏差ΔVが入力される。それぞれの要素は、速度偏差ΔVに基づいて、以下の制御値Qを算出する。
QP1(j)=ΔV(j)×Gp (式6)
QI1(j)=Q(j−1)+ΔV(j)×Gi (式7)
ここで、jは時間であり、Gpは比例ゲイン、Giは積分ゲインである。
加算部157は、補助力演算部143から出力される制御値と、比例要素155及び積分要素156から出力される各制御値とを加算し、合計された制御値をPWM出力部135に出力する。言い換えると、加算部157は、参考例の補助力Naに相当する制御量と、PI制御に基づく制御量とを加算し、合計された制御値をPWM出力部135に出力する。PWM出力部135は、制御値に応じたDuty値のPWM信号を出力する。モータードライバー106は、PWM出力部135から出力されるPWM信号に基づいて、ロールモーター33(DCモーター)をPWM制御にて駆動する。
搬送開始時のロールモーター33の駆動力は、参考例の補助力Naと、PI制御量に相当する駆動力との合計に相当する。つまり、本実施形態では、搬送開始時のロールモーター33の駆動力は、参考例の場合よりも大きくなる。
なお、搬送開始から所定時間が経過した後、ロールモーター制御部111の構成は、参考例のロールモーター制御部と同じ構成になる。つまり、搬送開始から所定時間が経過した後のロールモーターの駆動力は、参考例の補助力Naに相当する。
図14A〜図14Cは、本実施形態による搬送処理の説明図である。
図14Aは、制御値のグラフである。実線は、PI制御量(比例要素155及び積分要素156から出力される制御値の合計)のグラフである。点線は、PWM出力部135に入力される制御量のグラフである。(なお、点線のグラフの制御量と実線のグラフの制御量の差は、補助力Naに相当する制御量となる。)ここでは、搬送開始から90msの間、補助力Naに相当する制御量に、PI制御量を加算した制御量が、PWM出力部135に入力されている。すなわち、少なくとも搬送ローラー51の搬送速度の加速期間中(0〜60ms)、補助力Naに相当する制御量に、PI制御量を加算した制御量が、PWM出力部135に入力されている。また、搬送開始から90ms経過後、PI制御量はゼロとなり、補助力Naに相当する制御量だけがPWM出力部135に入力されている。
図14Bは、搬送速度の時間変化のグラフである。細線(実線)は、搬送ローラー51の回転速度と径から算出した搬送速度の時間変化のグラフである。点線は、ロール体RPの回転速度と径から算出した搬送速度の時間変化のグラフである。太線は、ロール体RPの目標速度である。
本実施形態によれば、搬送ローラー51の搬送速度の加速期間中(0〜60ms)におけるロール体RPの搬送速度は、参考例のロール体RPの搬送速度よりも速い(図14Bと図12Aの点線のグラフの比較)。言い換えると、この間のロール体RPの回転速度は、参考例の場合よりも速い。つまり、本実施形態では、ロール体RPの回転が、参考例の場合ほど遅れていない。
また、本実施形態によれば、ロール体RPの最高回転速度は、参考例の場合よりも遅い(図14Bと図12Aの点線のグラフの比較)。この理由は、搬送開始後の初期の段階でロール体RPの回転が速くなったためであると考えられる。また、本実施形態では、ロール体RPの最高回転速度が遅くなるので、ロール体RPの慣性力が低下し、搬送ローラー51の停止後におけるロール体RPの慣性による回転も減少する。この結果、図11Aに示すような媒体の弛み量が小さくなる。
図14Cは、搬送量の時間変化のグラフである。実線は、搬送ローラー51の回転位置と径から算出した搬送量の時間変化のグラフである。点線は、ロール体RPの回転位置と径から算出した搬送量の時間変化のグラフである。
本実施形態によれば、搬送ローラー51の回転による媒体の搬送量と、ロール体の回転による搬送量との差が、参考例の場合(図12B参照)よりも小さい。これは、本実施形態では、媒体の弛み量が小さくなったためだと考えられる。なお、媒体の弛み量が小さくなることによって、媒体に大きな張力が急激に作用することが抑制されるので、正確な搬送量で媒体を搬送できるようになる。
図14D〜図14Fは、本実施形態による別の搬送処理の説明図である。図14Dは、制御値のグラフである。図14Eは、搬送速度の時間変化のグラフである。図14Fは、搬送量の時間変化のグラフである。
図14D〜図14Fの搬送処理では、図14A〜図14Cの搬送処理と同じ条件で、ロールモーター33及び搬送モーター53を制御している。図14D〜図14Fのグラフを、図14A〜図14Cのグラフと比較して分かる通り、本実施形態では、参考例の場合と比べて再現性が向上している。
例えば、参考例ではロール体RPの回転速度が搬送処理ごとに大きく異なっていたが(図12A及び図12Cの点線のグラフ参照)、本実施形態では、ロール体RPの回転速度はほぼ同じである(図14B及び図14Eの点線のグラフ参照)。また、参考例では搬送処理後の媒体の弛み方が搬送処理ごとに大きく異なっていたが(図12B及び図12Dの実線と点線のグラフの差を参照)、本実施形態では、媒体の弛み方はほぼ同じである(図14C及び図14Fの実線と点線のグラフの差を参照)。このように、本実施形態では再現性が向上するので、搬送処理ごとの搬送量のばらつきは小さくなると考えられる。
本実施形態によれば、制御部100は、搬送ローラー51の回転を加速させるときに、参考例の補助力演算部143が出力する制御量(搬送ローラー51の回転に応じた制御量に相当)と、PI制御量(付加制御量に相当)とを加算した制御量に基づいて、ロールモーター33(第1モーターに相当)を駆動している。これにより、本実施形の搬送処理では、参考例の場合と比べて、ロールモーター33の駆動力が大きくなり、ロール体RPの回転の遅れを改善できる。
なお、本実施形態の印刷装置は、移動するヘッドHからインクを吐出するドット形成動作と、搬送ローラー51を回転させて媒体を搬送する搬送動作とを交互に繰り返す。このような印刷装置では、媒体を間欠的に搬送することになるので、搬送ローラー51の回転の加速と減速が繰り返されため、媒体が弛む状態になったり、つっぱった状態になったりする。但し、本実施形態の搬送処理を行えば、媒体の弛み量を小さくできるとともに、搬送処理ごとの搬送量のばらつきを小さくできる。
また、本実施形態によれば、予め前処理の際に、ロール体RPの径を測定すると共に、ロール体RPの回転速度とロールモーター33に作用する静負荷との関係を測定している(図6:S002、S003参照)。そして、印刷の際に、制御部100は、回転検出部54により搬送ローラー51の回転量を検出し、検出された搬送ローラーの回転量と、ロール体RPの径Dとに基づいて、ロール体RPに求められる回転速度Vを算出し、この回転速度VとS003で測定した静負荷とに基づいて、図9Bに示す補助力Naに相当する制御量を算出する。補助力Naに相当する制御量でロールモーター33を駆動すれば、媒体に作用する張力をほぼ一定にできるはずであるが、媒体の搬送速度の加速度が大きい場合には、搬送速度の変動に対してロール体の回転が遅れてしまう。だからこそ、本実施形態では、搬送ローラー51の回転を加速させるときに、補助力Naに相当する制御量に、PI制御量を加算して、ロールモーター33を駆動しているのである。
本実施形態によれば、搬送開始から90ms経過後においては、制御部100は、PI制御量(付加制御量に相当)を加算せずに、補助力演算部143が出力する制御量に基づいてロールモーター33を駆動する。搬送開始から90ms経過後には搬送ローラー51の回転の加速が終わっているため、PI制御量を加算しなくても良いためである。
なお、本実施形態では、搬送モーター51の回転の加速期間(0〜60ms)の全てにおいて、PI制御量を加算しているが、これに限られるものではない。例えば、加速期間の後半(例えば搬送開始から50ms)でPI制御量の加算を止めても良い。このような場合であっても、搬送開始後にPI制御量が加算されている期間(例えば0〜50ms)があれば、参考例の場合よりも、ロールモーター33の駆動力が大きくなり、ロール体RPの回転の遅れを改善できる。
===変形例===
前述の実施形態によれば、PI制御量(ロール体RPの目標回転速度との偏差ΔVの比例成分の制御量と積分制御量の制御量の和)を加算している。これにより、ロールモーター33の駆動力が大きくなり、ロール体RPの回転の遅れを改善している。
但し、補助力演算部143が出力する制御量(搬送ローラー51の回転に応じた制御量に相当)に加算する付加制御量は、PI制御量に限られるものではない。例えば、制御部100は、P制御量(ロール体RPの目標回転速度との偏差ΔVの比例成分の制御量)に基づいてロールモーター33を駆動しても良い。前述の実施形態では積分ゲインGiが比較的小さく設定されているにもかかわらず(積分ゲインGiが小さく設定されていることは、図14Bの太線の目標速度と点線の現在速度との差がほぼ一定で推移していることから理解できる)、ロール体RPの回転の遅れが改善されているので、P制御量だけでロールモーター33を駆動してもほぼ同様の効果が得られると考えられる。
また、付加制御量は、フィードバック制御による制御量ではなく、オープン制御による制御量であっても良い。具体的には、図14Aの太線のような時間と制御量との関係をテーブルとしてメモリーに予め保存しておき、制御部100が、搬送開始後の経過時間に対応する制御量をテーブルに基づいて求め、その制御量を付加制御量にしても良い。これにより、ロール体RPの回転量を検出しなくても、付加制御量を求めることができる。なお、付加制御量を加算することによって搬送処理の再現性が向上しているため、オープン制御による制御量であっても妥当な値となる。
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
10 印刷装置、
30 ロール体駆動機構、
31 回転ホルダ、32 ギヤ輪列、33 ロールモーター、
34 回転検出部、35 可動支持体、
40 キャリッジ駆動機構、
41 キャリッジ、42 キャリッジ軸、
50 媒体搬送機構、
51 搬送ローラー、52 従動ローラー、
53 搬送モーター、54 回転検出部、
100 制御部、
101 CPU、102 ROM、103 RAM、104 PROM、
105 ASIC、106 ドライバー、
110 主制御部、
111 ロールモーター制御部、
112 搬送モーター制御部、
121 位置演算部、122 速度演算部、123 タイマー、
124 第1減算部、125 目標速度発生部、126 第2減算部、
131 比例要素、132 積分要素、133 微分要素、134 加算部、
135 PWM出力部、
141 速度演算部、142 搬送速度演算部、143 補助力演算部、
151 速度演算部、152 搬送速度演算部、153 目標速度発生部、
154 減算部、155 比例要素、156 積分要素、157 加算部、
H ヘッド、P 媒体、
RP ロール体、RP1 筒体

Claims (7)

  1. 媒体が巻かれたロール体を回転させるための駆動力を与える第1モーターと、
    搬送ローラーを回転させるための駆動力を与える第2モーターと、
    前記第2モーターを駆動して前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送させるときに、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する制御部と
    を備えた印刷装置であって、
    前記制御部は、前記搬送ローラーの回転を加速させるとき、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量と付加制御量とを加算した制御量に基づいて、前記第1モーターを駆動するとともに、
    前記ロール体の回転速度と前記第1モーターに作用する静負荷との関係と、前記ロール体の径とを予め測定し、
    前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送するときの前記搬送ローラーの回転量を検出し、
    検出された前記搬送ローラーの回転量と、前記ロール体の径と、前記関係とに基づいて、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量を算出する
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 媒体が巻かれたロール体を回転させるための駆動力を与える第1モーターと、
    搬送ローラーを回転させるための駆動力を与える第2モーターと、
    前記第2モーターを駆動して前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送させるときに、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する制御部と
    を備えた印刷装置であって、
    前記制御部は、前記搬送ローラーの回転を加速させるとき、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量と付加制御量とを加算した制御量に基づいて、前記第1モーターを駆動するとともに、
    前記制御部は、前記搬送ローラーの回転の加速が終わった後、前記付加制御量を加算せずに、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する
    ことを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1又は2に記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、前記媒体に画像を印刷するとき、移動するヘッドからインクを吐出する動作と、前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送する動作とを交互に繰り返す
    ことを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記付加制御量は、前記ロール体の目標回転速度との偏差の比例成分の制御量と積分成分の制御量の和に相当する
    ことを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記付加制御量は、前記ロール体の目標回転速度との偏差の比例成分の制御量に相当する
    ことを特徴とする印刷装置。
  6. 媒体が巻かれたロール体を回転させるための駆動力を与える第1モーターと、搬送ローラーを回転させるための駆動力を与える第2モーターと、を用い、
    前記第2モーターを駆動して前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送させるときに、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する
    印刷方法であって、
    前記搬送ローラーの回転を加速させるとき、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に付加制御量を加算した制御量に基づいて、前記第1モーターを駆動するとともに、
    前記ロール体の回転速度と前記第1モーターに作用する静負荷との関係と、前記ロール体の径とを予め測定し、
    前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送するときの前記搬送ローラーの回転量を検出し、
    検出された前記搬送ローラーの回転量と、前記ロール体の径と、前記関係とに基づいて、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量を算出する
    ことを特徴とする印刷方法。
  7. 媒体が巻かれたロール体を回転させるための駆動力を与える第1モーターと、搬送ローラーを回転させるための駆動力を与える第2モーターと、を用い、
    前記第2モーターを駆動して前記搬送ローラーを回転させて前記媒体を搬送させるときに、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する
    印刷方法であって、
    前記搬送ローラーの回転を加速させるとき、前記搬送ローラーの回転に応じた制御量に付加制御量を加算した制御量に基づいて、前記第1モーターを駆動するとともに、
    前記搬送ローラーの回転の加速が終わった後、前記付加制御量を加算せずに、前記搬送ローラーの回転に応じた前記制御量に基づいて前記第1モーターを駆動する
    ことを特徴とする印刷方法。
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