以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の液晶表示素子の構成例を示す模式的断面図である。本発明の液晶表示素子はVA型である。液晶表示素子は、第1透明基板1および第2透明基板2を含み、第1透明基板1と第2透明基板2との間に液晶層7が封止される。液晶層7の液晶分子は、電圧が印加されていないときに垂直配向となり、電圧が印加されると、第1透明基板1および第2透明基板2に対して水平に配向する。
以下、第1透明基板1および第2透明基板2を単に透明基板1,2と記す場合がある。なお、透明基板1,2間に液晶層7を封止するために用いられる周辺シール材の図示は省略している。
第1透明基板1には、第1の透明電極3と第3の透明電極5とが配置される。また、第2透明基板2には、第1の透明電極3に対向するように第2の透明電極4が配置され、第3の透明電極5に対向するように第4の透明電極6が配置される。
本実施形態では、第1の透明電極3と第2の透明電極4を用いて低デューティ比で駆動するセグメント表示が行われ、第3の透明電極5と第4の透明電極6を用いて高デューティ比で駆動するフルドット表示が行われる。すなわち、本実施形態の液晶表示素子は、セグメント表示を行う部分とフルドット表示を行う部分とが一体に形成されている。以下、セグメント表示を行う部分をセグメント表示部と記し、フルドット表示を行う部分をフルドット表示部と記す。ここで、低デューティ比による駆動とは、スタティック〜1/8デューティの駆動であり、高デューティ比による駆動とは、1/8デューティを超える駆動である。換言すれば、デューティの分母をnとすると、nが9以上の整数の場合を高デューティ比と規定し、nが8以下の正の整数の場合を低デューティ比と規定している。なお、スタティックはnが1の1/1デューティと見なすことができる。
セグメント表示部では、表示パターンの形状に合わせて設けられる1つ以上のセグメント電極(第1の透明電極3)が配置され、コモン電極(第2の透明電極4)が、少なくとも表示パターンに対向する領域に配置される。また、フルドット表示部では、第3の透明電極5として、複数の列電極が配置され、第4の透明電極6として、列電極に直交する複数の行電極が配置される。なお、第3の透明電極5として、複数の行電極が配置され、第4の透明電極6として、行電極に直交する複数の列電極が配置されるようにしてもよい。本実施形態では、第3の透明電極5が列電極であり、第4の透明電極6が行電極である場合を例に説明する。
透明基板1,2は、例えば、ガラス基板である。また、第1から第4までの各透明電極3〜6は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)によって形成される。本実施形態では、第1の透明電極3がセグメント電極であり、第2の透明電極4がコモン電極である場合を例に説明する。ただし、第1の透明電極3をコモン電極とし、第2の透明電極4をセグメント電極としてもよい。
第1透明基板1には、液晶層7と反対側の面に第1偏光板8が設けられる。また、第2透明基板2にも、液晶層7と反対側の面に第2偏光板9が設けられる。偏光板8,9は、互いの吸収軸が直交するように配置される。換言すれば、偏光板8,9は、互いの偏光軸が直交するように配置される。偏光板8,9の配置の詳細については後述する。
なお、図1では、第1偏光板8側の面の方向から画像を観察する場合を例にする。この場合、第2偏光板9側にバックライト(図示略)を配置する。ただし、第1偏光板8側にバックライトを設け、第2偏光板9側の面から画像を観察する構成であってもよい。
第1の透明電極3(セグメント電極)および第2の透明電極4(コモン電極)には、それぞれ十字形の開口部および小片の開口部が格子状になるように規則的に設けられる。なお、第1の透明電極3と第2の透明電極4に設けられる十字形の開口部および小片の開口部のパターンは同じである。ここでは、小片の開口部として、矩形の開口部を設ける場合を例にして説明する。なお、図1に示す模式的断面図では、各電極に設けられる開口部の図示を省略している。
同様に、第3の透明電極5および第4の透明電極6にも、それぞれ十字形の開口部および小片の開口部が格子状になるように規則的に設けられる。ここでは、小片の開口部として、矩形の開口部を設ける場合を例にして説明する。なお、図1に示す模式的断面図では、第3の透明電極5および第4の透明電極6における開口部の図示を省略している。
図2は、第1の実施形態において電極に設けられる開口部の例を示す説明図である。図2には、第4の透明電極6に設けられた十字形の開口部および矩形の開口部が例示されているが、第3の透明電極5にも第4の透明電極6と同じパターンの十字形の開口部および矩形の開口部が設けられる。同様に、第1の透明電極3および第2の透明電極4にも、十字形の開口部および矩形の開口部が設けられる。
十字形の各開口部11は、十字形の横方向に伸びる部分がそれぞれ直線上に並び、十字形の縦方向に伸びる部分がそれぞれ直線上に並ぶように設けられる。また、十字形の縦、横それぞれに伸びる部分の端部(以下、十字形の端部と記す)12同士が向き合っている部分に、矩形の開口部15が設けられる。すなわち、図2に示すように、隣接する十字形の端部12の間に矩形の開口部15が設けられる。
十字形の各開口部11の形状および大きさは同一であり、矩形の各開口部15の形状および大きさも同一である。また、十字形の縦方向に伸びる部分と横方向に伸びる部分とのなす角は直角であることが好ましい。矩形の開口部は、十字形の開口部の横方向に伸びる部分、縦方向に伸びる部分が並ぶ上記直線上に配置される。特に、十字形の開口部の中心同士を結ぶ直線上に矩形の開口部の中心が位置するように矩形の開口部を配置することが好ましい。
図3は、十字形の開口部11の幅等を示す説明図である。十字形の開口部11の縦、横に伸びる部分の幅は一定である。そして、十字形の縦に伸びる部分の幅と、横に伸びる部分の幅とは共通である。以下、この幅を、「十字形の開口部の幅」と記す(図3参照)。
矩形の開口部15において、矩形の一組の対辺は、その矩形に近接する十字形の開口部11の端部12と平行になるように設けられる。そして、十字形の開口部11の端部12と平行になる矩形の辺の長さは、十字形の開口部11の幅と等しい。また、開口部15は正方形の開口部であってもよい。この場合、正方形の各辺の長さが十字形の開口部11の幅と等しくなるように、矩形の開口部15が設けられる。
矩形の開口部の各辺は、十字形の開口部の横方向に伸びる部分の方向、または、十字形の開口部の縦方向に伸びる部分の方向に平行である。
なお、図2および図3では、十字形の開口部11同士の間に2つの矩形の開口部15を設ける場合を示しているが、十字形の開口部11同士の間に設ける矩形の開口部15の数は1つであっても、あるいは3つ以上であってもよい。本実施形態では、第1の透明電極3および第2の透明電極4には、十字形の開口部11同士の間に矩形の開口部15が1つ設けられ、第3の透明電極5および第4の透明電極6には、十字形の開口部11同士の間に矩形の開口部15が2つ設けられる場合を説明する。
また、十字形の開口部11における凹部の頂点(以下、凹頂点と記す。)から、その凹頂点に最も近い十字形の端部までの長さを「十字形の開口部11の長さ」と記す(図3参照)。十字形の開口部11の長さは縦方向と横方向とで共通である。
また、2つの十字形の開口部間に設けられる矩形の開口部の配置態様は、縦方向と横方向で共通であることが好ましい。すなわち、矩形の開口部の数、形状、開口部の大きさは、縦方向と横方向で同じであることが好ましい。
また、後述のサブ画素領域内で液晶分子の配向を均一にするためには、後述のサブ画素領域において対角の頂点となる十字形の開口部の凹頂点同士を結ぶ仮想線を対称にして、矩形の開口部を同一形状、同一配置とすることが好ましい。この仮想線を基準にして対称配置された矩形の開口部によって、サブ画素領域の中心部分だけでなくサブ画素領域の外縁部分においても、仮想線と平行な液晶分子の配向が得られる。
また、十字形の開口部11における凹頂点から、隣接する十字形の開口部において対応する位置に存在する凹頂点までの距離を「十字形の開口部11のピッチ」と記す(図3参照)。十字形の開口部11のピッチは、縦方向と横方向とで共通である。
第4の透明電極6における十字形および矩形の開口部の並び方と、第3の透明電極5における十字形および矩形の開口部の並び方は同一である。そして、十字形の開口部および矩形の開口部の大きさと形状は、第4の透明電極6と第3の透明電極5とで共通である。ただし、第4の透明電極6および第3の透明電極5の各開口部は、第4の透明電極6および第3の透明電極5を対向させたときに、十字形の開口部の位置が互いにずれるように設けられる。
同様に、第2の透明電極4における十字形および矩形の開口部の並び方と、第1の透明電極3における十字形および矩形の開口部の並び方は同一である。そして、十字形の開口部および矩形の開口部の大きさと形状は、第2の透明電極4と第1の透明電極3とで共通である。ただし、第2の透明電極4および第1の透明電極3の各開口部は、第2の透明電極4および第1の透明電極3を対向させたときに、十字形の開口部の位置が互いにずれるように設けられる。
図2に示すように、十字形の開口部11および矩形の開口部15を格子状に規則的に設けることにより、十字形の開口部11の凹頂点33を頂点とする正方形の領域31が形成される。具体的には、正方形の領域31は、縦方向および横方向に2つずつ並んだ4つの十字形の開口部11において、対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形である。
第4の透明電極6に対向する第3の透明電極5に設けられた十字形の開口部(図2において図示せず。)は、表示の観察者方向から見たときに、この正方形の領域31内に含まれる。換言すれば、第3の透明電極5に対向する第4の透明電極6の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、第3の透明電極5側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形(具体的には、縦方向および横方向に2つずつ並んだ4つの十字形の開口部において、対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形)の領域に位置するように配置される。
同様に、第2の透明電極4に対向する第1の透明電極3に設けられた十字形の開口部(図2において図示せず。)は、表示の観察者方向から見たときに、この正方形の領域31内に含まれる。換言すれば、セグメント電極(第1の透明電極3)に対向するコモン電極(第2の透明電極4)の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、第1の透明電極3側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形(具体的には、縦方向および横方向に2つずつ並んだ4つの十字形の開口部において、対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形)の領域に位置するように配置される。
第4の透明電極6に対向する第3の透明電極5に設けられた十字形の開口部は、観察者方向から見たときに、正方形の領域31(図2参照)の中央位置に存在することが好ましい。この場合、第3の透明電極5に対向する第4の透明電極6の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、第3の透明電極5側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央位置に配置されることになる。
同様に、第2の透明電極4に対向する第1の透明電極3に設けられた十字形の開口部は、観察者方向から見たときに、正方形の領域31(図2参照)の中央位置に存在することが好ましい。この場合、セグメント電極(第1の透明電極3)に対向するコモン電極(第2の透明電極4)の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、セグメント電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央位置に配置されることになる。
図4は、第1の透明基板1および第2の透明基板2に設けられた電極の各開口部の位置関係を示す説明図である。図4では、第1の透明基板1および第2の透明基板2を対向させた状態において各開口部を観察者方向から見た場合を模式的に表している。図4において、実線で示した十字形および矩形の開口部は第2の透明基板2に設けられた電極の開口部を表し、破線で示した十字形および矩形の開口部は第1の透明基板1に設けられた電極の開口部を表す。
なお、以下の説明では、第1の透明基板1における第1の透明電極3と第2の透明基板2における第2の透明電極4との関係について説明するが、第1の透明基板1における第3の透明電極5と第2の透明基板2における第4の透明電極6との関係も同様である。ただし、両者は、小片の開口部の数が異なり、十字形の開口部のピッチが異なる。
コモン電極側の十字形の開口部11と、その開口部11に最も近いセグメント電極側の十字形の開口部41とに着目する。このとき、コモン電極側の十字形の開口部11の凹頂点のうちの1つと、セグメント電極側の十字形の開口部41の凹頂点のうちの1つが互いに向き合う。この凹頂点をそれぞれ凹頂点33a,34aとする(図4参照)。そして、コモン電極側の開口部11の凹頂点33aと、セグメント電極側の開口部41の凹頂点34aとを対角の頂点とする矩形を定めることができる。以下、この各凹頂点33a、34aで区画される矩形の領域35を、サブ画素領域と記す。
図4では、サブ画素領域35となる矩形を1つだけ明示しているが、サブ画素領域35は複数存在する。例えば、コモン電極側における1つの十字形の開口部11に着目した場合、その開口部11の周囲に4つのサブ画素領域35が存在する。セグメント電極側における1つの十字形の開口部41に着目した場合にも、その開口部41の周囲に4つのサブ画素領域35が存在する。
以下、第1の透明電極3の十字形の開口部と、その十字形の開口部に最も近い第2の透明電極4の十字形の開口部の対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形の領域として規定される第1サブ画素領域をセグメント表示部サブ画素領域と記すことがある。また、第3の透明電極5の十字形の開口部と、その十字形の開口部に最も近い第4の透明電極6の十字形の開口部の対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形の領域として規定される第2サブ画素領域をフルドット表示部サブ画素領域と記すことがある。
本例では、第1の透明電極3および第3の透明電極5に設けられた十字形の開口部は、観察者方向から見たときに、図2に例示する正方形の領域31の中心位置に存在しているものとする。換言すれば、第1の透明電極3および第3の透明電極5にそれぞれ対向する第2の透明電極4および第4の透明電極6の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、それぞれ第1の透明電極3および第3の透明電極5側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中心位置に存在しているものとする。このとき、サブ画素領域35となる矩形は正方形となる。このように、サブ画素領域35となる矩形が正方形となることが好ましい。
本実施形態では、第1の透明電極3(セグメント電極)と第2の透明電極4(コモン電極)の関係、および、第3の透明電極5と第4の透明電極6の関係においてサブ画素領域35が形成されるように、各電極にそれぞれ十字形および矩形の開口部を設ける。このようにすることで、各電極間の液晶層7(図1参照)に電圧を印加した際、サブ画素領域35における液晶分子の配向方向が規定される。
具体的には、第1の透明電極3および第3の透明電極5側の1つの十字形の開口部に着目した場合、その開口部41の周囲の4つのサブ画素領域35においてそれぞれ、液晶分子はほぼ一方向に配向する。すなわち、サブ画素領域において、開口部41の凹頂点とその対角の頂点とを結ぶ対角線とほぼ同じ方向に配向する。従って、1つの十字形の開口部の周囲では、液晶分子はその開口部を中心として4方向に配向する。なお、第2の透明電極4および第4の透明電極6側の十字形の開口部に着目した場合でも、その開口部の周囲では、液晶分子はその開口部を中心として4方向に配向する。このように、十字形の開口部の横方向に伸びる部分、または、縦方向に伸びる部分に対して、液晶はほぼ45°方向に配向するため、明るい表示が得られることになる。
なお、開口部と重なる領域の液晶には電圧が印加されず、各電極間の液晶層に電圧を印加した場合であっても、開口部と重なる領域は光透過状態にならない。
本実施形態では、セグメント表示部サブ画素領域の一辺の長さが、フルドット表示部サブ画素領域の一辺の長さより短くなるように、十字形の開口部および矩形の開口部を設ける。すなわち、本実施形態では、低デューティ比で駆動されるセグメント表示部におけるサブ画素領域の一辺の長さが、高デューティ比で駆動されるフルドット表示部におけるサブ画素領域の一辺の長さより短くなる。そのため、フルドット表示部では明るく広い視野角が得られるとともに、セグメント表示部では、表示の明るさを低下させることができる。したがって、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整を容易に行うことが可能になる。
また、サブ画素領域の一辺の長さが短いということは、サブ画素領域を区画する開口部が密に存在することになり、画素領域の単位面積当たりの開口部占有面積が大きいこととなる。また、開口部の占有面積が大きくなると、画素領域における表示の寄与面積が小さくなり、開口部がない画素に比べると表示が暗くなる。したがって、フルドット表示領域よりもセグメント表示領域における単位面積当たりの開口部の占有面積が大きくなり、フルドット表示領域よりも明るさを抑えることができ、セグメント表示領域とフルドット表示領域の表示の明るさを合わせることができる。換言すれば、セグメント表示領域の画素における開口部の占有面積をフルドット表示領域の画素における開口部の占有面積よりも大きくすることで、セグメント表示部の表示の明るさを低下させることができ、セグメント表示部とフルドット表示部の明るさの調整を簡便にすることができる。
次に、第1偏光板8および第2偏光板9の配置について説明する。第1偏光板8は、第1偏光板8自身の偏光軸が、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分、または、縦方向に伸びる部分のいずれかと平行になるように配置される。そして、第2偏光板9は、第2偏光板9自身の偏光軸が第1偏光板8の偏光軸と直交するように配置される。この結果、第2偏光板9の偏光軸は、十字形の各開口部の縦方向に伸びる部分、または、横方向に伸びる部分と平行になる。
図5は、液晶層への電圧印加時における液晶分子38の配向方向と、各偏光板の偏光軸との関係の例を示す模式図である。図5に示す例では、第1偏光板8(図5において図示略)の偏光軸61が、十字形の開口部の横方向に伸びる部分と平行であり、第2偏光板9(図5において図示略)の偏光軸71が、十字形の開口部の縦方向に伸びる部分と平行である場合を例示している。
上記のように第1偏光板8および第2偏光板9を配置した場合、十字形の開口部の周辺のサブ画素領域における液晶分子38は、第1偏光板8の偏光軸61および第2偏光板9の偏光軸71それぞれに対して、ほぼ45度をなす方向に配向する。従って、液晶層に対する電圧印加時に、第2偏光板9を通過した直線偏光は、液晶の複屈折性により、第1偏光板8を通過しやすくなる。よって、液晶表示素子の透過率は向上する。
なお、上記のような偏光板8,9の配置は、第1偏光板8を、第1偏光板8自身の吸収軸が、十字形の各開口部の縦方向に伸びる部分、または、横方向に伸びる部分のいずれかと平行になるように配置し、第2偏光板9の吸収軸が第1偏光板8の吸収軸と直交するように第2偏光板9を配置することと同じである。
以下、十字形や矩形の各開口部やサブ画素領域35の好ましい寸法について説明する。
既に説明したように、矩形の開口部15において、矩形の一組の対辺は、その矩形に近接する十字形の開口部11の端部12と平行になるように設けられる。そして、十字形の開口部11の端部12(図3参照)に平行な矩形の開口部15の辺の長さは、十字形の開口部11の幅と等しい。ここで、十字形の開口部11の幅、および、十字形の開口部11の端部12(図3参照)に平行な矩形の開口部15の辺の長さは、7〜14μmの範囲内に設定されていることが好ましい。
十字形の開口部11の幅、および、十字形の開口部11の端部12に平行な矩形の開口部15の辺の長さが7μm未満である場合、各開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、電圧印加時の液晶分子の良好な配向状態を得にくくなるためである。また、十字形の開口部11の幅、および、十字形の開口部11の端部12に平行な矩形の開口部15の辺の長さが14μmよりも長いと、開口部の面積が大きくなり(すなわち、点灯に寄与しない部分の面積が増加し)、光透過率が低下するためである。
なお、低デューティ比で駆動されるセグメント表示部のように透過率を低下させる必要がある場合、点灯に寄与しない部分を多くするため、十字形の開口部11の幅、および、十字形の開口部11の端部12に平行な矩形の開口部15の辺の長さを14μmより大きくしても差し支えない。
また、小片の開口部15の形状は、矩形または円形である。なお、小片の開口部15の形状は、多角形や楕円形であってもよいが、四角形以上の正多角形または円形が好ましく、正方形がより好ましい。図6は、開口部15を長方形とした場合の例を示す説明図である。この場合、十字形の開口部11の端部12に対して平行となる開口部15の一対の辺を短辺とし、もう一対の辺を長辺とすればよい。
また、第1の実施形態では、十字形の開口部の長さ(図3参照)は5〜40μmの範囲内の長さであることが好ましく、特に、5〜30μmの範囲内にあることが好ましい。十字形の開口部の長さが5μm未満である場合、開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、電圧印加時の良好な液晶分子の配向状態を得にくくなるためである。
また、十字形の開口部の長さが40μmより長いと、開口部の面積が大きくなり、点灯しない部分の面積が増加するため、光透過率が低下するためである。また、液晶表示素子がドットマトリクス型の液晶表示素子であり、高いデューティ比で駆動される場合に、十字形の開口部の長さが40μmより長いと、電圧を印加しない場合の透過率が高くなり、コントラスト比が低下する。よって、液晶表示素子のセグメント表示部であっても、フルドット表示部であっても、十字形の開口部の長さを40μm以下とすることが好ましい。
また、サブ画素領域35(図4参照)は正方形であることが好ましく、また、サブ画素領域35の一辺の長さが20〜60μmの範囲内に設定されていることが好ましい。サブ画素領域35の一辺の長さが20μm未満であると、電極パターニングの影響を受け、サブ画素領域35内での液晶分子の配向状態にばらつきが生じるためである。また、サブ画素領域35に比べて相対的に開口部の占める割合が大きくなり、光の透過率が低下するためである。また、サブ画素領域35の一辺の長さが60μmより大きいと、液晶層に電圧を印加したときのサブ画素領域35内での液晶分子の配向方向を一方向に揃えにくくなるためである。また、サブ画素領域35の面積が大きくなると、表示された画像が粗く見えたり、応答速度が遅くなったりするためである。
また、十字形の開口部のピッチは、60〜140μmの範囲内に設定されていることが好ましい。十字形の開口部のピッチが60μm未満であると、電極パターニングの影響を受け、サブ画素領域35内での液晶分子の配向状態にばらつきが生じるためである。また、サブ画素領域35に比べて相対的に開口部の占める割合が大きくなり、光の透過率が低下するためである。また、十字形の開口部のピッチが140μmより大きいと、開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、サブ画素領域35内での液晶分子の配向方向を一方向に揃えにくくなるためである。また、十字形の開口部のピッチが大きいと、表示された画像が粗く見えたり、応答速度が遅くなったりするためである。
本実施形態において、第2の透明電極4(コモン電極)には、前述の十字形の開口部11および矩形の開口部15を規則的に設ければよい。換言すれば、第2の透明電極4全体に十字形の開口部11および矩形の開口部15が一様な配列となるように各開口部を設ければよい。なお、第1の透明電極3(セグメント電極)の形状は、表示したい内容に応じて予め定められている。所望の形状の第1の透明電極3を形成する場合には、例えば、その第1の透明電極3を抜き出す前の大きな透明電極板に、前述の十字形の開口部および矩形の開口部を規則的に設け、その透明電極板から所望の形状の第1の透明電極3を抜き出せばよい。
第1の透明電極3が複数存在する場合にも、前述の十字形の開口部および矩形の開口部を規則的に設けた大きな透明電極から第1の透明電極3を複数抜き出せばよい。この場合、個々の第1の透明電極3全体に十字形の開口部および矩形の開口部が一様な配列で設けられる。このように第1の透明電極3を作成すれば、開口部の形成に用いるフォト版の設計を早く終えることができる点で好ましい。
このような液晶表示素子では、各電極の間の液晶層7に電圧を印加していない場合、その液晶層の液晶分子は垂直配向となる。すると、第2偏光板9を通過したバックライトの光は第1偏光板8に達し、第1偏光板8で吸収される。従って、バックライトの光は液晶表示素子を通過せず、黒色表示となる。
また、各電極の間の液晶層7に電圧を印加した場合、その液晶層7の液晶分子は透明基板1,2(図1参照)に対して平行になる。このとき、既に説明したように、各液晶分子は、各電極の十字形の各開口部の周囲において、開口部を中心として4方向に配向する。すなわち、十字形の開口部の周囲の4つのサブ画素領域では、その開口部の凹頂点とその対角の頂点とを結ぶ対角線の方向に液晶分子が配向する。十字形の各開口部の周囲では、液晶分子が開口部を中心として4方向に配向するため、広い視野角を実現することができる。4つの十字形の開口部で区画されるサブ画素領域はそれぞれの十字形の凹頂点の液晶分子の配向に支配され、1つのサブ画素領域において4つの方向に液晶分子が配向することになる
。これを4ドメイン型の配向と称する。
また、上述するように、十字形の開口部の周辺のサブ画素領域における液晶分子は、第1偏光板8の偏光軸61および第2偏光板9の偏光軸71に対して、それぞれほぼ45度をなす方向に配向した状態になる(図5参照)。従って、第2偏光板9を通過した直線偏光は、液晶の複屈折性により、第1偏光板8を通過しやすくなり、液晶表示素子の透過率は向上する。その結果、明るい表示が得られる。
なお、本実施形態では、セグメント表示部サブ画素領域の一辺の長さが、フルドット表示部サブ画素領域の一辺の長さより短くなるように、十字形の開口部および矩形の開口部を設ける場合について説明した。ただし、セグメント表示部サブ画素領域の一辺の長さとフルドット表示部サブ画素領域の一辺の長さを同じにしてもよい。この場合、フルドット表示部における十字形の開口部の横方向に伸びる部分または縦方向に伸びる部分と、セグメント表示部における十字形の開口部の横方向に伸びる部分または縦方向に伸びる部分との交差角を変えるように回転させればよい。
このように交差角を変えることにより、セグメント表示部の透過率が低下するため、セグメント表示部における表示の明るさを低下させることができる。このようにしても、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整を容易に行うことが可能になる。
[実施形態2]
第2の実施形態の液晶表示素子は、第1の透明電極3および第2の透明電極4に設けられる開口部の形態の他は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態の液晶表示素子の模式的断面図も図1と同様であり、以下、適宜図1を参照して説明する。
図7は、第2の実施形態においてセグメント表示部の電極に設けられる開口部の例を示す説明図である。図7(a)が第1の透明電極3(セグメント電極)の例を示し、図7(b)が第2の透明電極4(コモン電極)の例を示している。
図7に例示する液晶表示素子では、第1の透明電極3(セグメント電極)に、規則的に配置された複数のL字形の開口部が設けられる。ただし、開口部が設けられる電極は、第1の透明電極3(セグメント電極)ではなく、第2の透明電極4(コモン電極)であってもよい。すなわち、第1の透明電極3と第2の透明電極4のうちいずれか一方の透明電極に、規則的に配置された複数のL字形の開口部が設けられていればよい。また、図7(b)に示す例では、第2の透明電極4(コモン電極)には、開口部は設けられていない。
なお、図7(a)では、説明を簡単にするために、L字形の開口部が上下左右に並ぶように回転された状態で図示されている。
図7(a)に示すように、第1の透明電極3(セグメント電極)は、L字形状の開口部21が規則的に配置されることによって、複数の矩形の領域に分割されたようになっている。以下、このように分割された矩形を第3サブ画素領域と記す。具体的には、第1の透明電極3(セグメント電極)は、以下に説明する複数の第3サブ画素領域20が並ぶ構造になっている。なお、図示していないが、高デューティ比で駆動されるフルドット表示部における電極には、第1実施形態と同様の第2サブ画素領域が4つの十字形開口部で規定されている。
各第3サブ画素領域20は、一つのL字形状の開口部21によって、矩形を構成する4つの角のうちの1つの角と、その角から伸びる二辺が規定される。また、第3サブ画素領域20の残りの3つの角は開口しており、その開口している3つの角を介して、各第3サブ画素領域20は、隣接する4つの第3サブ画素領域20に接続される。以下、各第3サブ画素領域20の説明において、この3つの角に付随し、他の第3サブ画素領域20に接続される部位(領域)を接続部と記す。
例えば、図7(a)に図示する第3サブ画素領域s5では、右上の角とその角から伸びる上辺と右辺が、L字形状の開口部(第1の開口部)によって規定される。そして、左辺は、第1の開口部の1つ左に設けられたL字形状の開口部(第2の開口部)によって規定され、下辺は、第1の開口部の1つ下に設けられたL字形状の開口部(第3の開口部)によって規定される。
図8は、第3サブ画素領域の例を示す説明図である。図8に例示する第3サブ画素領域20は、図7に例示する第3サブ画素領域s5に対応する。図8に例示する第3サブ画素領域s5は、左上の角部(矩形の一角を形成する一定の領域)に、上方向に隣接する第3サブ画素領域s2(図示せず)との接続部22を有している(図8参照)。
同様に、図8に例示する第3サブ画素領域s5は、右下の角部に、右方向に隣接する第3サブ画素領域s6(図示せず)との接続部22を有している。また、図8に例示する第3サブ画素領域s5は、左下の角部に下方向に隣接する第3サブ画素領域s8(図示せず)との接続部22および左方向に隣接する第3サブ画素領域s4(図示せず)との接続部22を有している(図8参照)。すなわち、第3サブ画素領域は、L字形状の開口部によって規定される角(図8に示す例では、右上の角)の対角線上に位置する角部に2つの接続部を有する形になっている。
言い換えると、第1の透明電極3(セグメント電極)にこのようなL字形の開口部を設けることによって、第1の透明電極3が複数の矩形の第3サブ画素領域に分割される。その際、第3サブ画素領域は、隣接する第3サブ画素領域との接続に用いられる接続部を、開口部によって規定される右上の角以外の3つの角部に有する。なお、L字形の開口部は、少なくとも第1の透明電極3と第2の透明電極4とが重なる領域内に設けられる。
第2の透明電極4(コモン電極)は、少なくとも第1の透明電極(セグメント電極)が重なる領域に配置されていればよい。
なお、第2の実施形態の液晶表示素子において、フルドット表示部の電極(すなわち、第3の透明電極5および第4の透明電極6)に設けられる十字形の開口部および小片の開口部の態様は、第1の実施形態と同様である。
第3サブ画素領域20は、一辺のサイズ(図7(a)におけるα)が40〜85μmであることが好ましい。一辺のサイズを40μmよりも小さくすると、開口部により生じる斜め電界の影響が大きくなり過ぎて液晶の配向状態が悪くなるからである。
また、一辺のサイズを85μmよりも大きくすると、開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなって第3サブ画素領域の中央まで液晶配向が得られにくくなり、液晶の配向状態が悪くなるからである。また、第3サブ画素領域の一辺のサイズが大きいと表示された画像が粗く見えたり、応答速度が遅くなったりするためである。
また、第3サブ画素領域20の形状は正方形であることが好ましい。換言すると、L字形状の開口部21の内角は90度であることが好ましい。
なお、上記説明では、第2の透明電極4(コモン電極)に開口部が設けられていない場合を例に説明したが(図7(b)参照)、第2の透明電極4(コモン電極)に開口部を設けるようにしてもよい。
図9は、第2の透明電極4(コモン電極)に円形の開口部を設けた場合の例を示す説明図である。図9(a)は、第1の透明電極3(セグメント電極)の例を示す平面図であり、図9(b)は、第2の透明電極4(コモン電極)の例を示す平面図である。なお、図9(a)に例示するセグメント電極は、図7(a)に例示したセグメント電極と同様である。
図9(b)に示すように、第2の透明電極4に、第3サブ画素領域20の中央部に対向する位置に円形状の開口部23を形成してもよい。なお、ここでは、第2の透明電極4に円形状の開口部を形成する場合を例に説明したが、第2の透明電極4に形成する開口部の形状は、矩形状であってもよく、楕円形状であってもよい。すなわち、第2の透明電極4に形成する開口部の形状を、小径のドット状にすればよい。
このように、第2の透明電極4において、第3サブ画素領域20の中心部に対向する位置に円形の開口部を設けることで、液晶の配向状態をより安定させることができ、さらに応答速度を速めることができる。通常、円形の開口部の直径は、7〜14μmであることが好ましい。直径を7μmよりも小さくすると、開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、液晶の配向状態が悪くなるからである。また、14μmよりも大きくすると、開口部によって点灯しない部分が増えるため、透過率が低下するからである。なお、透過率を低下させる必要がある場合には、円形の開口部の直径を14μmより大きくしても差し支えない。
また、上記説明では、第1の透明電極3(セグメント電極)側にL字形状の開口部を形成し、その対向電極である第2の透明電極4(コモン電極)側に円形状の開口部を形成する例を示した。ただし、第2の透明電極4(コモン電極)にL字形状の開口部を形成し、第1の透明電極3(セグメント電極)に円形状の開口部を形成するようにしてもよい。
また、L字形状の開口部21や円形状の開口部23の配置は、各セグメント電極に対してそれぞれ個別に決定してもよいが、表示領域全体を通して一様な配列となるようにしたほうが、フォト版の設計を早く終えることができる点で好ましい。この場合、表示領域全体に対して開口部の配置を決めた後で、各セグメント電極の部分あるいは表示パターンとなる領域の電極部分に開口部を残すようにすればよい。
また、第1偏光板8自身の吸収軸が十字形の各開口部の縦方向に伸びる部分、または、横方向に伸びる部分のいずれかと平行になるように第1偏光板8が配置され、第2偏光板9の吸収軸が第1偏光板8の吸収軸と直交するように第2偏光板9が配置される。このとき、L字形の開口部の伸びる部分(すなわち、L字形の開口部により規定される二辺のうちの一方)と、偏光板の偏光軸および吸収軸とのなす角が、ほぼ45°になることが望ましい。すなわち、十字形の開口部の横方向に伸びる部分または縦方向に伸びる部分と、L字形の開口部の伸びる部分とのなす角が、ほぼ45°になることが望ましい。開口部をこのように形成することで、応答速度を速めることができる。
また、第1、第2の実施形態において、液晶表示素子に、VA用の光学補償フィルムとして使用されているCプレートや2軸フィルムを設けてもよい。これらを設けることにより、オフ(OFF)時の透過率の角度依存性が良好になり、さらに広視野角が得られる。
以上のように、第2の実施形態では、セグメント表示部の液晶配向を、第1の透明電極3(セグメント電極)にL字形の開口部を設けることで回転配向型としている。回転配向型としたことで、直交する2方向に偏光軸を有する偏光板を通過するとき、回転配向した一部の光が透過できないようにすることができる。そして、フルドット表示部の液晶配向を、各電極に十字形の開口部を設けることで、4方向に配向する4ドメイン型にした。このようにすることで、フルドット表示部では明るく広い視野角が得られ、セグメント表示部では、第1の実施形態と同様に、表示の明るさを大きく低下させることができるため、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整を容易に行うことが可能になる。
次に、第2の実施形態の変形例を説明する。上記説明では、セグメント表示部の液晶配向を回転配向型にするため、セグメント電極にL字形の開口部を設ける場合について説明した。本変形例では、セグメント電極に設けられる開口部の形状がL字形以外の場合を説明する。
図10は、第2の実施形態の変形例においてセグメント表示部の電極に設けられる開口部の例を示す説明図である。図10(a)が第1の透明電極3(セグメント電極)の例を示し、図10(b)が第2の透明電極4(コモン電極)の例を示している。
図10に例示する液晶表示素子では、第1の透明電極3(セグメント電極)に、I字型の開口部が設けられる。
第1の透明電極3(セグメント電極)には、第1の方向62に所定の間隔41で設けられるI字型の開口部42の集合(以下、第1の開口部集合45と記す。)が複数設けられる。さらに、第1の透明電極3(セグメント電極)には、第1の方向62に対して垂直な第2の方向72に所定の間隔43で設けられるI字型の開口部44の集合(以下、第2の開口部集合46と記す。)が複数設けられる。
このとき、第1の開口部集合45同士は平行に設けられ、第2の開口部集合46同士も平行に設けられる。また、第1の開口部集合45に属するI字型の各開口部42の間に、第2の開口部集合46に属するI字型の開口部44が設けられる。同様に、第2の開口部集合46に属するI字型の各開口部44の間に、第1の開口部集合45に属するI字型の開口部42が設けられる。ただし、各開口部は、少なくとも第1の透明電極3と第2の透明電極4とが重なる領域内に設けられる。また、各開口部42の間に設けられる開口部44の中心が、間隔41の中央に位置し、各開口部44の間に設けられる開口部42の中心が、間隔43の中央に位置する。
また、本変形例の第3サブ画素領域40は、図10(a)に示すように、第1の方向62に平行に設けられるI字型の開口部42と、第2の方向72に平行に設けられるI字型の開口部44の向かい合う長辺同士を対辺とする四角形の領域として規定される。
なお、図10(b)に例示するコモン電極は、図9(b)に例示したコモン電極と同様である。すなわち、第2の透明電極4において、第3サブ画素領域40の中心に対向する位置に円形状の開口部23が形成される。ただし、コモン電極には、開口部が形成されていなくてもよい。
図11は、本変形例のセグメント表示部におけるセグメント電極及びコモン電極の一部を示す拡大図である。図11(a)では、長さが70μm、幅が10μmのI字型の開口部が配置され、平行に配置されるI字型の開口部間の幅が40μmである場合のセグメント電極を例示している。この場合、第3サブ画素領域40の一辺の長さは40μmになる。また、図11(b)では、第3サブ画素領域40の中心に対向する位置に直径10μmの開口部23が形成されているコモン電極を例示している。
本変形例では、第1の透明電極3(セグメント電極)側に矩形の開口部を形成し、その対向電極である第2の透明電極4(コモン電極)側に円形状の開口部を形成する例を示した。ただし、第2の透明電極4(コモン電極)に矩形の開口部を形成し、第1の透明電極3(セグメント電極)に円形状の開口部を形成するようにしてもよい。
また、第1偏光板8の吸収軸が十字形の各開口部の縦方向に伸びる部分、または、横方向に伸びる部分のいずれかと平行になるように第1偏光板8が配置され、第2偏光板9の吸収軸が第1偏光板8の吸収軸と直交するように第2偏光板が配置される。このときI字形の開口部の伸びる部分と、偏光板の吸収軸とのなす角がほぼ45°になることが好ましい。換言すれば、十字形の開口部の横方向に伸びる部分または縦方向に伸びる部分と、I字形の開口部の伸びる部分とのなす角をほぼ45°とする。開口部をこのように配置にすることで応答速度を向上することができる。
以上のように、第2の実施形態の変形例では、セグメント表示部の液晶配向を、第1の透明電極3(セグメント電極)においてI字型の開口部を垂直に交互に設けることで回転配向型とし、フルドット表示部の液晶配向を、各電極に十字形の開口部を設けることで、4方向に配向する4ドメイン型にした。このようにすることで、フルドット表示部では明るく広い視野角が得られ、セグメント表示部では、表示の明るさを大きく低下させることができるため、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整を容易に行うことが可能になる。
実施例1は、第1の実施形態の液晶表示素子を実現した実施例である。
図12(a)は、実施例1のセグメント表示部におけるセグメント電極の一部を示す拡大図である。図12(b)は、実施例1のセグメント表示部におけるコモン電極の一部を示す拡大図である。図13(a)は、実施例1のフルドット表示部における列電極の一部を示す拡大図である。図13(b)は、実施例1のフルドット表示部における行電極の一部を示す拡大図である。
セグメント表示部において、セグメント電極及びコモン電極に形成する開口部の形状及び大きさをほぼ同一にする。具体的には、十字形の開口部の長さを10μm、十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μm、十字形の開口部のピッチを60μmとし、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を1つ設ける(図12参照)。ここで、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分が、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。また、セグメント電極およびコモン電極を対向させたときに、セグメント電極の十字形の開口部とコモン電極の十字形の開口部とが縦方向および横方向に30μmずれるようにパターニングした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが20μmの正方形になる。
一方、フルドット表示部では、縦方向に伸びる短冊状の複数の列電極と、これに交差する短冊状の複数の行電極をパターニングした。具体的には、各列電極および各行電極は、それぞれ線幅340μm、線間10μmとした。また、フルドット表示部において、列電極及び行電極に形成する開口部の形状及び大きさをほぼ同一にする。具体的には、十字形の開口部の長さを10μm、十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μm、十字形の開口部のピッチを100μmとし、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を3つ設ける(図13参照)。セグメント表示部と同様に、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分が、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。また、列電極および行電極を対向させたときに、列電極の十字形の開口部と行電極の十字形の開口部とが縦方向および横方向に50μmずれるようにパターニングした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが40μmの正方形になる。
次に、第1透明基板1および第2透明基板2の液晶層側の面に、垂直性の配向膜を成膜し、リタデーションΔn・dを900nmにした。また、液晶材料として、誘電異方性(Δε)が−2.7のものを用い、第1透明基板および第2透明基板の間に液晶層7(図1参照)を封止した。
第1偏光板8として、株式会社ポラテクノ製のVHC−128UL2SZ−K1を用いた。第2偏光板9として、株式会社ポラテクノ製の045R660N2−VH39L2S(Re=45nm,Rth=660nmの光学補償フィルム付偏光板)を用いた。
液晶表示素子の長辺方向を基準軸として、観察者方向から見たときの基準軸から第1偏光板8(図1参照)の吸収軸までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=0゜になるように第1偏光板8を配置した。また、基準軸から第2偏光板9(図1参照)の吸収軸までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=90゜になるように第2偏光板9を配置した。なお、本実施例では、第1偏光板8と第2偏光板9の吸収軸が直行するように配置したが、第1偏光板8と第2偏光板9の偏光軸が直行するように配置してもよい。
以上のように作製した液晶表示素子のフルドット表示部を、デューティ比1/48で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
また、以上のように作製した液晶表示素子のセグメント表示部を、デューティ比1/4で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。さらに、後述する比較例の場合と比較すると、セグメント表示部の明るさを約30%低下させることができるので、電圧の調整しやすく、セグメント表示部の明るさをフルドット表示部の明るさに近づけることができた。
実施例2および実施例3は、第2の実施形態の液晶表示素子を実現した実施例である。
図14(a)は、実施例2のセグメント表示部におけるセグメント電極の一部を示す拡大図である。図14(b)は、実施例2のセグメント表示部におけるコモン電極の一部を示す拡大図である。なお、フルドット表示部の電極の形態は、図13に例示する実施例1の態様と同様である。
セグメント表示部において、セグメント電極には、規則的に配置された複数のL字形の開口部を設ける。具体的には、L字形の開口部の幅を10μm、サブ画素領域の一辺のサイズを55μmとする。また、セグメント表示部のコモン電極には、サブ画素領域の中央部に円形の開口部を設ける(図14参照)。
なお、透明基板1,2に成膜する配向膜および液晶層7に封止される液晶材料は、第1の実施例と同様である。また、第1偏光板8および第2偏光板9に用いられた素材および配置方法も、第1の実施例と同様である。
以上のように作製した液晶表示素子のフルドット表示部を、デューティ比1/48で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
また、以上のように作製した液晶表示素子のセグメント表示部を、デューティ比1/4で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。さらに、後述する比較例の場合と比較すると、セグメント表示部の明るさを約40%低下させることができるので、電圧の調整しやすく、セグメント表示部の明るさをフルドット表示部の明るさに近づけることができた。
図15(a)は、実施例3のセグメント表示部におけるセグメント電極の一部を示す拡大図である。図15(b)は、実施例3のセグメント表示部におけるコモン電極の一部を示す拡大図である。なお、フルドット表示部の電極の形態は、図13に例示する実施例1の態様と同様である。
セグメント表示部において、セグメント電極には、規則的に配置された複数のL字形の開口部を設ける。具体的には、L字形の開口部の幅を10μm、サブ画素領域の一辺のサイズを40μmとする。また、セグメント表示部のコモン電極には、サブ画素領域の中央部に円形の開口部を設ける(図15参照)。
なお、透明基板1,2に成膜する配向膜および液晶層7に封止される液晶材料は、第1の実施例と同様である。また、第1偏光板8および第2偏光板9に用いられた素材および配置方法も、第1の実施例と同様である。
以上のように作製した液晶表示素子のフルドット表示部を、デューティ比1/48で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
また、以上のように作製した液晶表示素子のセグメント表示部を、デューティ比1/4で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。さらに、後述する比較例の場合と比較すると、セグメント表示部の明るさを約50%低下させることができるので、電圧の調整しやすく、セグメント表示部の明るさをフルドット表示部の明るさに近づけることができた。
[比較例]
比較例では、セグメント表示部における電極の形態と、フルドット表示部の電極の形態とが同一である場合について説明する。図16(a)は、比較例のセグメント表示部におけるセグメント電極の一部を示す拡大図である。図16(b)は、比較例のセグメント表示部におけるコモン電極の一部を示す拡大図である。
セグメント表示部において、セグメント電極及びコモン電極に形成する開口部の形状及び大きさをほぼ同一にする。具体的には、十字形の開口部の長さを10μm、十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μm、十字形の開口部のピッチを100μmとし、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を3つ設ける(図16参照)。ここで、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分が、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。また、セグメント電極およびコモン電極を対向させたときに、セグメント電極の十字形の開口部とコモン電極の十字形の開口部とが縦方向および横方向に50μmずれるようにパターニングした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが40μmの正方形になる。
なお、フルドット表示部の電極の形態は、図13に例示する実施例1の態様と同様である。また、透明基板1,2に成膜する配向膜および液晶層7に封止される液晶材料は、第1の実施例と同様である。また、第1偏光板8および第2偏光板9に用いられた素材および配置方法も、第1の実施例と同様である。
以上のように作製した液晶表示素子のフルドット表示部を、デューティ比1/48で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
また、以上のように作製した液晶表示素子のセグメント表示部を、デューティ比1/4で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
しかし、比較例の場合、セグメント表示部とフルドット表示部の明るさが大きく異なる。そのため、セグメント表示部の電圧を調整して、フルドット表示部の明るさに近づけることを試みた。しかし、比較例のセグメント表示部では、電圧に対する明るさの変化量が大きいため、電圧を調整するだけで明るさをフルドット表示部と同じにするのは困難であった。
この結果から、実施例1に示すように、セグメント表示部サブ画素領域の一辺の長さがフルドット表示部サブ画素領域の一辺の長さより短くなるように十字形の開口部および矩形の開口部を設けることで、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整を容易に行うことが可能になる。
また、実施例2および実施例3に示すように、セグメント表示部のセグメント電極にL字形の開口部を設けることでセグメント表示部の液晶配向を回転配向型とし、フルドット表示部の各電極に十字形の開口部を設けることで液晶配向を4ドメイン型にすることで、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整を容易に行うことが可能になる。
すなわち、実施例1〜3のいずれの場合も、セグメント表示部の明るさを低下させているため、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整が容易になる。
図17は、第1透明基板1の電極および第2透明基板2の電極によって液晶層に電圧を印加した状態で、両電極が対向する領域に対して偏光顕微鏡観察を行った結果を示す。図17(a)は、実施例1のセグメント表示部を偏光顕微鏡観察した結果である。図17(b)は、実施例2のセグメント表示部を偏光顕微鏡観察した結果である。図17(c)は、比較例のセグメント表示部を偏光顕微鏡観察した結果である。図17(d)は、実施例1〜3および比較例のフルドット表示部を偏光顕微鏡観察した結果である。なお、実施例3のセグメント表示部を偏光顕微鏡観察した結果は、図17(b)に例示する結果と同様である。
図17を参照すると、図17(a)および図17(b)に示す観察結果の方が、図17(d)に示す観察結果よりも透過率が低下していることがわかる。一方、図17(c)に示す観察結果と、図17(d)に示す観察結果を比較すると、透過率にほとんど差がないことがわかる。このように、セグメント表示部の明るさがすでに低下していることから、セグメント表示部とフルドット表示部との明るさを同じにするための電圧調整を容易に行うことができる。また、本発明は種々偏光が可能である。さらに、デューティ比に係らず、表示領域によって表示の明るさを変えるために、開口部の占有面積やサブ画素領域の配向のドメイン種を変更してもよい。