以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
[実施形態1]図1は、本発明の液晶表示素子の構成例を示す模式的断面図である。本発明の液晶表示素子はVA型である。そして、第1電極3が配置された第1透明基板1と、第2電極4が配置された第2透明基板2との間に液晶層5が封止される。第1透明基板1および第2透明基板2を単に透明基板1,2と記す場合がある。また、図示を省略しているが、電圧無印加状態において液晶分子を基板に対して垂直に配向させる配向膜が第1電極上および第2電極上に配置される。
透明基板1,2間に液晶層5を封止するために用いる周辺シール材の図示は省略している。透明基板1,2は、電極3,4同士が液晶層5を挟んで対向するように配置される。液晶層5の液晶分子は、電圧が印加されていないときに垂直配向となる。そして、電圧が印加されると、液晶分子は透明基板1,2に対して水平に配向する。透明基板1,2と平行になったときの液晶分子の配向方向については後述する。
透明基板1,2は、例えば、ガラス基板である。第1電極3および第2電極4は、いずれも透明電極であり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)によって形成される。
図1には、セグメント表示型の液晶表示素子が例示されている。そして、第1電極3がセグメント電極であり、第2電極4がコモン電極である場合を例に説明する。
第1透明基板1には、液晶層5と反対側の面に第1偏光板6が設けられる。また、第2透明基板2にも、液晶層5と反対側の面に第2偏光板7が設けられる。偏光板6,7は、互いの吸収軸が直交するように配置される。換言すれば、偏光板6,7は、互いの偏光軸が直交するように配置される。偏光板6,7の配置の詳細については後述する。
なお、図1では、第1偏光板6側の面の方向から画像を観察する場合を例にする。この場合、第2偏光板7側にバックライト(図示略)を配置する。ただし、第1偏光板6側にバックライトを設け、第2偏光板7側の面から画像を観察する構成であってもよい。
セグメント電極(第1電極)3およびコモン電極(第2電極)4には、それぞれ十字形の開口部および小片の開口部が格子状になるように規則的に設けられる。ここでは、小片の開口部として、矩形の開口部を設ける場合を例にして説明する。なお、図1に示す模式的断面図では、セグメント電極3およびコモン電極4における開口部の図示を省略している。
図2は、第1の実施形態において電極に設けられる開口部の例を示す説明図である。図2には、コモン電極4に設けられた十字形の開口部および矩形の開口部が例示されているが、セグメント電極3にもコモン電極4と同じパターンの十字形の開口部および矩形の開口部が設けられる。
十字形の各開口部11は、十字形の横方向に伸びる部分がそれぞれ直線上に並び、十字形の縦方向に伸びる部分がそれぞれ直線上に並ぶように設けられる。また、十字形の縦、横それぞれに伸びる部分の端部(以下、十字形の端部と記す)12同士が向き合っている部分に、矩形の開口部15が設けられる。すなわち、図2に示すように、隣接する十字形の端部12の間に矩形の開口部15が設けられる。十字形の各開口部11の形状および大きさは同一であり、矩形の各開口部15の形状および大きさも同一である。また、十字形の縦方向に伸びる部分と横方向に伸びる部分とのなす角は直角であることが好ましい。矩形の開口部は、十字形の開口部の横方向に伸びる部分、縦方向に伸びる部分が並ぶ上記直線上に配置される。特に、十字形の開口部の中心同士を結ぶ直線上に矩形の開口部の中心が位置するように矩形の開口部を配置することが好ましい。
図3は、十字形の開口部11の幅等を示す説明図である。十字形の開口部11の縦、横に伸びる部分の幅は一定である。そして、十字形の縦に伸びる部分の幅と、横に伸びる部分の幅とは共通である。以下、この幅を、「十字形の開口部の幅」と記す(図3参照)。
矩形の開口部15において、矩形の一組の対辺は、その矩形に近接する十字形の開口部11の端部12と平行になるように設けられる。そして、十字形の開口部11の端部12と平行になる矩形の辺の長さは、十字形の開口部11の幅と等しい。また、開口部15は正方形の開口部であってもよい。この場合、正方形の各辺の長さが十字形の開口部11の幅と等しくなるように、開口部15が設けられる。
矩形の開口部の各辺は、十字形の開口部の横方向に伸びる部分の方向、または、十字形の開口部の縦方向に伸びる部分の方向に平行である。
なお、図2および図3では、十字形の開口部11同士の間に2つの矩形の開口部15を設ける場合を示しているが、十字形の開口部11同士の間に設ける矩形の開口部15の数は1つであっても、あるいは3つ以上であってもよい。
また、十字形の開口部11における凹部の頂点(以下、凹頂点と記す。)から、その凹頂点に最も近い十字形の端部までの長さを「十字形の開口部11の長さ」と記す(図3参照)。十字形の開口部11の長さは縦方向と横方向とで共通である。また、2つの十字形の開口部間に設けられる矩形の開口部の配置態様は、縦方向と横方向で共通であることが好ましい。すなわち、矩形の開口部の数、形状、開口部の大きさは、縦方向と横方向で同じであることが好ましい。また、後述のサブ画素領域内で液晶分子の配向を均一にするためには、後述のサブ画素領域において対角の頂点となる十字形の開口部の凹頂点同士を結ぶ仮想線を対称にして、矩形の開口部を同一形状、同一配置とすることが好ましい。この仮想線を基準にして対称配置された矩形の開口部によって、サブ画素領域の中心部分だけでなくサブ画素領域の外縁部分においても、仮想線と平行な液晶分子の配向が得られる。
また、十字形の開口部11における凹頂点から、隣接する十字形の開口部において対応する位置に存在する凹頂点までの距離を「十字形の開口部11のピッチ」と記す(図3参照)。十字形の開口部11のピッチは、縦方向と横方向とで共通である。
コモン電極4における十字形および矩形の開口部の並び方と、セグメント電極3における十字形および矩形の開口部の並び方は同一である。そして、十字形の開口部および矩形の開口部の大きさと形状は、コモン電極4とセグメント電極3とで共通である。ただし、コモン電極4およびセグメント電極3の各開口部は、コモン電極4およびセグメント電極3を対向させたときに、十字形の開口部の位置が互いにずれるように設けられる。図2に示すように、十字形の開口部11および矩形の開口部15を格子状に規則的に設けることにより、十字形の開口部11の凹頂点33を頂点とする正方形の領域31が形成される。具体的には、正方形の領域31は、縦方向および横方向に2つずつ並んだ4つの十字形の開口部11において、対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形である。コモン電極4に対向するセグメント電極に設けられた十字形の開口部(図2において図示せず。)は、表示の観察者方向から見たときに、この正方形の領域31内に含まれる。換言すれば、セグメント電極に対向するコモン電極4の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、セグメント電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形(具体的には、縦方向および横方向に2つずつ並んだ4つの十字形の開口部において、対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形)の領域に含まれる。
コモン電極4に対向するセグメント電極に設けられた十字形の開口部は、観察者方向から見たときに、正方形の領域31(図2参照)の中央に存在することが好ましい。この場合、セグメント電極に対向するコモン電極4の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、セグメント電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在することになる。
図4は、コモン電極4およびセグメント電極3(図1参照)に設けられた各開口部の位置関係を示す説明図である。図4では、コモン電極4およびセグメント電極3を対向させた状態において各開口部を観察者方向から見た場合を模式的に表している。図4において、実線で示した十字形および矩形の開口部はコモン電極4の開口部を表し、破線で示した十字形および矩形の開口部はセグメント電極3の開口部を表す。
コモン電極側の十字形の開口部11と、その開口部11に最も近いセグメント電極側の十字形の開口部41とに着目する。このとき、コモン電極側の十字形の開口部11の凹頂点のうちの1つと、セグメント電極側の十字形の開口部41の凹頂点のうちの1つが互いに向き合う。この凹頂点をそれぞれ凹頂点33a,34aとする(図4参照)。そして、コモン電極側の開口部11の凹頂点33aと、セグメント電極側の開口部41の凹頂点34aとを対角の頂点とする矩形を定めることができる。以下、この矩形の領域35を、サブ画素領域と記す。図4では、サブ画素領域35となる矩形を1つだけ明示しているが、サブ画素領域35は複数存在する。例えば、コモン電極側における1つの十字形の開口部11に着目した場合、その開口部11の周囲に4つのサブ画素領域35が存在する。セグメント電極側における1つの十字形の開口部41に着目した場合にも、その開口部41の周囲に4つのサブ画素領域35が存在する。
本例では、セグメント電極に設けられた十字形の開口部は、観察者方向から見たときに、図2に例示する正方形の領域31の中央に存在しているものとする。換言すれば、セグメント電極に対向するコモン電極4の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、セグメント電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在しているものとする。このとき、サブ画素領域35となる矩形は正方形となる。このように、サブ画素領域35となる矩形が正方形となることが好ましい。
本実施形態では、サブ画素領域35が形成されるように、コモン電極4およびセグメント電極3にそれぞれ十字形および矩形の開口部を設けることで、コモン電極4とセグメント電極3との間の液晶層5(図1参照)に電圧を印加した際、サブ画素領域35における液晶分子の配向方向を規定する。図5は、液晶層に電圧を印加したときのサブ画素領域35における液晶分子38の配向方向を模式的に示す説明図である。1つの十字形の開口部(図5に示す例ではセグメント電極側の十字形の開口部41)に着目した場合、その開口部41の周囲の4つのサブ画素領域35においてそれぞれ、液晶分子38はほぼ一方向に配向する。具体的には、サブ画素領域において、開口部41の凹頂点とその対角の頂点とを結ぶ対角線とほぼ同じ方向に配向する。従って、1つの十字形の開口部の周囲では、液晶分子38はその開口部を中心として4方向に配向する。ここでは、セグメント電極側の十字形の開口部41に着目した場合を例に説明したが、コモン電極側の十字形の開口部に着目した場合でも、その開口部の周囲では、液晶分子38はその開口部を中心として4方向に配向する。
なお、開口部と重なる領域の液晶には電圧が印加されず、コモン電極およびセグメント電極間の液晶層に電圧を印加した場合であっても、開口部と重なる領域は光透過状態にならない。
次に、第1偏光板6および第2偏光板7の配置について説明する。第1偏光板6は、第1偏光板6自身の偏光軸が、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分、または、縦方向に伸びる部分のいずれかと平行になるように配置される。そして、第2偏光板7は、第2偏光板7自身の偏光軸が第1偏光板6の偏光軸と直交するように配置される。この結果、第2偏光板7の偏光軸は、十字形の各開口部の縦方向に伸びる部分、または、横方向に伸びる部分と平行になる。図6は、液晶層への電圧印加時における液晶分子38の配向方向と、各偏光板の偏光軸との関係の例を示す模式図である。図6に示す例では、第1偏光板6(図6において図示略)の偏光軸61が、十字形の開口部の横方向に伸びる部分と平行であり、第2偏光板7(図6において図示略)の偏光軸71が、十字形の開口部の縦方向に伸びる部分と平行である場合を例示している。上記のように第1偏光板6および第2偏光板7を配置した場合、十字形の開口部の周辺のサブ画素領域における液晶分子38は、第1偏光板6の偏光軸61および第2偏光板7の偏光軸71それぞれに対して、ほぼ45度をなす方向に配向する。従って、液晶層に対する電圧印加時に、第2偏光板7を通過した直線偏光は、液晶の複屈折性により、第1偏光板6を通過しやすくなる。よって、液晶表示素子の透過率は向上する。
なお、上記のような偏光板6,7の配置は、第1偏光板6を、第1偏光板6自身の吸収軸が、十字形の各開口部の縦方向に伸びる部分、または、横方向に伸びる部分のいずれかと平行になるように配置し、第2偏光板7の吸収軸が第1偏光板6の吸収軸と直交するように第2偏光板7を配置することと同じである。
以下、十字形や矩形の各開口部やサブ画素領域35の好ましい寸法について説明する。
既に説明したように、矩形の開口部15において、矩形の一組の対辺は、その矩形に近接する十字形の開口部11の端部12と平行になるように設けられる。そして、十字形の開口部11の端部12(図3参照)に平行な矩形の開口部15の辺の長さは、十字形の開口部11の幅と等しい。ここで、十字形の開口部11の幅、および、十字形の開口部11の端部12(図3参照)に平行な矩形の開口部15の辺の長さは、7〜14μmの範囲内に設定されていることが好ましい。十字形の開口部11の幅、および、十字形の開口部11の端部12に平行な矩形の開口部15の辺の長さが7μm未満である場合、各開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、図5に示すような電圧印加時の液晶分子の配向状態を得にくくなるためである。また、十字形の開口部11の幅、および、十字形の開口部11の端部12に平行な矩形の開口部15の辺の長さが14μmよりも長いと、開口部の面積が大きくなり(すなわち、点灯しない部分の面積が増加し)、光透過率が低下するためである。
また、矩形の開口部15は、例えば、正方形であるが、長方形であってもよい。開口部15を長方形とする場合の例を図7に示す。この場合、十字形の開口部11の端部12に対して平行となる開口部15の一対の辺を短辺とし、もう一対の辺を長辺とすればよい。図7に示すように開口部15を長方形とした場合、その短辺の長さをaとし、長辺の長さをbとする。このとき、b/aが1〜1.4の範囲内になるように開口部15の長辺の長さbを定めることが好ましい。b/aが1.4よりも大きいと、液晶層に電圧を印加するときに、個々のサブ画素領域35内において液晶分子の配向方向をほぼ一方向に揃えることが困難になるためである。特に、サブ画素領域35内で、長方形の開口部15付近の液晶分子の配向方向が乱れやすくなる。その結果、液晶層に電圧を印加するときの液晶表示素子の光の透過率が低下し、液晶層に電圧を印加しないときの液晶表示素子の光の透過率が高くなり、コントラスト比が低下する。よって、b/aは1〜1.4の範囲内にあることが好ましい。
また、第1の実施形態では、十字形の開口部の長さ(図3参照)は5〜40μmの範囲内の長さであることが好ましく、特に、5〜30μmの範囲内にあることが好ましい。十字形の開口部の長さが5μm未満である場合、開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、図5に示すような電圧印加時の液晶分子の配向状態を得にくくなるためである。また、十字形の開口部の長さが40μmより長いと、開口部の面積が大きくなり、点灯しない部分の面積が増加するため、光透過率が低下するためである。また、液晶表示素子がドットマトリクス型の液晶表示素子であり、高いデューティ比で駆動する場合に、十字形の開口部の長さが40μmより長いと、電圧を印加しない場合の透過率が高くなり、コントラスト比が低下する。よって、液晶表示素子がセグメント表示型であっても、ドットマトリクス型であっても、十字形の開口部の長さを40μm以下とすることが好ましい。
また、サブ画素領域35(図4参照)は正方形であることが好ましく、また、サブ画素領域35の一辺の長さが20〜60μmの範囲内に設定されていることが好ましい。サブ画素領域35の一辺の長さが20μm未満であると、電極パターニングの影響を受け、サブ画素領域35内での液晶分子の配向状態にばらつきが生じるためである。また、サブ画素領域35に比べて相対的に開口部の占める割合が大きくなり、光の透過率が低下するためである。また、サブ画素領域35の一辺の長さが60μmより大きいと、液晶層に電圧を印加したときのサブ画素領域35内での液晶分子の配向方向を一方向に揃えにくくなるためである。また、サブ画素領域35の面積が大きくなると、表示された画像が粗く見えたり、応答速度が遅くなったりするためである。
また、十字形の開口部のピッチは、60〜140μmの範囲内に設定されていることが好ましい。十字形の開口部のピッチが60μm未満であると、電極パターニングの影響を受け、サブ画素領域35内での液晶分子の配向状態にばらつきが生じるためである。また、サブ画素領域35に比べて相対的に開口部の占める割合が大きくなり、光の透過率が低下するためである。また、十字形の開口部のピッチが140μmより大きいと、開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、サブ画素領域35内での液晶分子の配向方向を一方向に揃えにくくなるためである。また、十字形の開口部のピッチが大きいと、表示された画像が粗く見えたり、応答速度が遅くなったりするためである。
本実施形態において、コモン電極4には、前述の十字形の開口部11および矩形の開口部15を規則的に設ければよい。換言すれば、コモン電極4全体に十字形の開口部11および矩形の開口部15が一様な配列となるように各開口部を設ければよい。また、セグメント電極3の形状は、表示したい内容に応じて予め定められている。所望の形状のセグメント電極3を形成する場合には、例えば、そのセグメント電極3を抜き出す前の大きな透明電極板に、前述の十字形の開口部および矩形の開口部を規則的に設け、その透明電極板から所望の形状のセグメント電極を抜き出せばよい。セグメント電極3が複数存在する場合にも、前述の十字形の開口部および矩形の開口部を規則的に設けた大きな透明電極から複数のセグメント電極3を抜き出せばよい。この場合、個々のセグメント電極3全体に十字形の開口部および矩形の開口部が一様な配列で設けられる。このようにセグメント電極3を作成すれば、開口部の形成に用いるフォト版の設計を早く終えることができる点で好ましい。
このような液晶表示素子では、第1電極3および第2電極4(上記の例では、セグメント電極およびコモン電極)の間の液晶層に電圧を印加していない場合、その液晶層の液晶分子は垂直配向となる。すると、第2偏光板7を通過したバックライトの光は第1偏光板6に達し、第1偏光板6で吸収される。従って、バックライトの光は液晶表示素子を通過せず、黒色表示となる。
また、第1電極3および第2電極4の間の液晶層に電圧を印加した場合、その液晶層の液晶分子は透明基板1,2(図1参照)に対して平行になる。このとき、既に説明したように、各液晶分子は、第1電極3および第2電極4の十字形の各開口部の周囲において、開口部を中心として4方向に配向する(図5参照)。すなわち、十字形の開口部の周囲の4つのサブ画素領域では、その開口部の凹頂点とその対角の頂点とを結ぶ対角線の方向に液晶分子が配向する。十字形の各開口部の周囲では、液晶分子が開口部を中心として4方向に配向するため、広い視野角を実現することができる。
また、十字形の開口部の周辺のサブ画素領域における液晶分子は、第1偏光板6の偏光軸61および第2偏光板7の偏光軸71に対して、それぞれほぼ45度をなす方向に配向した状態になる(図6参照)。従って、第2偏光板7を通過した直線偏光は、液晶の複屈折性により、第1偏光板6を通過しやすくなり、液晶表示素子の透過率は向上する。その結果、明るい表示が得られる。
本発明と、特許文献3,4に記載された発明とを比較すると、特許文献3,4に記載された発明では、液晶分子が放射状に均一に配向するので、各偏光板の偏光軸との間の角度がほぼ45度になっていない液晶分子も多数存在することになる。一方、本発明では、各偏光板の偏光軸と液晶分子の配向方向とのなす角度はほぼ45度であるので、液晶表示素子の透過率が向上する。
このように本発明によれば、広い視野角が得られるとともに、光の透過率を高くすることができる。
また、本実施形態において、第1電極3として、複数の列電極を配置し、第2電極4として、列電極に直交する複数の行電極を配置してもよい。この場合、液晶表示素子は、ドットマトリクス表示型の液晶表示素子となる。この場合にも、各第1電極3(ここでは、列電極3と記す。)および各第2電極4(ここでは、行電極4と記す。)に、前述と同様の十字形の開口部および矩形の開口部を規則的に設け、列電極3の十字形の開口部と、行電極4の十字形の開口部と位置とがずれるようにすればよい。
ただし、各画素(列電極3と行電極4とが交差する領域)における表示状態を均一にするため、ドットマトリクス表示型の液晶表示素子では、各列電極3において、十字形および矩形の開口部の配置が、個々の画素に該当する領域で共通になるようにする。同様に、各行電極4においても、十字形および矩形の開口部の配置が、個々の画素に該当する領域で共通になるようにする。この場合、例えば、列電極における1つの画素に該当する領域の開口部の配置を決定した後、全列電極の各画素に該当する領域の開口部の配置も全て共通にする。同様に、行電極における1つの画素に該当する領域の開口部の配置を決定した後、全行電極の各画素に該当する領域の開口部の配置も全て共通にする。なお、各行電極および各列電極において、線間に該当する部分には、開口部が設けられていなくてもよい。また、画素に該当する領域の開口部を形成する際、画素に該当する領域の端部の開口部が線間に該当する部分まで跨ってもよい。
仮に、十字形の開口部および矩形の開口部を規則的に設けた大きな透明電極版から、各列電極や各行電極を抜き出して、各列電極と各行電極とを直交するように配置した場合、各画素(列電極3と行電極4とが交差する領域)において、開口部および矩形の開口部の配置状況が異なる。すると、各画素の表示が均一にならない。そのため、ドットマトリクス表示型の液晶表示素子を実現する場合には、全列電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部および矩形の開口部の位置をそれぞれ共通とし、同様に、全行電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部および矩形の開口部の位置をそれぞれ共通とすることが好ましい。
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。上記の第1の実施形態では、第1電極3および第2電極4に対してそれぞれ、十字形の開口部および矩形の開口部を格子状に規則的に設ける場合を示した。小片の開口部として、矩形の開口部の代わりに円形の開口部を設けてもよい。すなわち、第1電極3および第2電極4に対してそれぞれ、十字形の開口部および円形の開口部を格子状に規則的に設けてもよい。矩形の開口部の代わりに円形の開口部を設ける点の他は、前述の第1の実施形態と同様である。このような変形例においても、第1の実施形態と同様の配向状態を実現することができ、広い視野角が得られるとともに、光の透過率を高くすることができる。
ただし、円形の開口部の直径は7〜14μmの範囲内にあることが好ましい。円形の開口部の直径が7μm未満である場合、各開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、図5に示す場合と同様の液晶分子の配向状態を得にくくなるためである。また、円形の開口部の直径が14μmよりも長いと、開口部の面積が大きくなり、点灯しない部分の面積が増加するため、光透過率が低下するためである。また、十字形の開口部の中心同士を結ぶ直線上に円形の開口部の中心が位置するように円形の開口部を配置することが好ましい。
さらに他の変形例としては、小片の開口部として、円形の開口部の代わりに四角形以上の多角形の開口部を設けてもよい。この場合、多角形を正多角形としてもよい。正多角形の開口部を設ける場合、正多角形の1つの辺がサブ画素領域の辺に沿うように開口部を設けることが好ましい。また、円形の開口部の代わりに楕円形の開口部を設けてもよい。
また、隣接する十字形の開口部間に配置する小片の開口部の数を3以上とする場合、小片の開口部の形状はどのような形状であってもよい。なお、最も好ましい配置形態は、隣接する十字形の開口部間に配置する小片の開口部の数を1または2とし、小片の開口部の形状を正方形とすることである。
[実施形態2]第2の実施形態の液晶表示素子は、第1電極および第2電極に設ける開口部の態様の他は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態の液晶表示素子の模式的断面図も図1と同様であり、以下、適宜図1を参照して説明する。また、ここでは、セグメント表示型の液晶表示素子を例にして説明する。そして、第1電極3がセグメント電極であり、第2電極4がコモン電極であるものとする。
セグメント電極(第1電極)3およびコモン電極(第2電極)4には、それぞれ十字形の開口部が格子状になるように規則的に設けられる。図8は、第2の実施形態において電極に設けられる開口部の例を示す説明図である。図8では、コモン電極4に設けられた開口部を例示しているが、セグメント電極3にもコモン電極4と同じパターンの開口部が設けられる。第2の実施形態は、十字形の開口部11同士の間に矩形の開口部が設けられない点で、第1の実施形態と異なる。
十字形の各開口部11は、十字形の横方向に伸びる部分がそれぞれ直線上に並び、十字形の縦方向に伸びる部分がそれぞれ直線上に並ぶように設けられる。十字形の各開口部11の形状および大きさは同一である。
十字形の開口部11の縦、横に伸びる部分の幅(十字形の開口部11の幅)は一定である。また、十字形の開口部の幅は、縦方向と横方向とで共通である。
また、十字形の開口部11の長さ(すなわち、十字形の開口部11における凹頂点から、その凹頂点に最も近い十字形の端部までの長さ)も、縦方向と横方向とで共通である。
また、十字形の開口部11のピッチ(すなわち、十字形の開口部11における凹頂点から、隣接する十字形の開口部において対応する位置に存在する凹頂点までの距離)も、縦方向と横方向とで共通である。
コモン電極4における十字形の開口部の並び方と、セグメント電極3(図1参照)における十字形の開口部の並び方は同一である。そして、十字形の開口部の大きさおよび形状は、コモン電極4とセグメント電極3とで共通である。ただし、コモン電極4およびセグメント電極3の十字形の各開口部は、コモン電極4およびセグメント電極3を対向させたときに、互いの位置がずれるように設けられる。図8に示すように、十字形の開口部11を格子状に規則的に設けることにより、十字形の開口部11の凹頂点33を頂点とする正方形の領域31が形成される。正方形の領域31は、縦方向および横方向に2つずつ並んだ4つの十字形の開口部11において、対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形である。コモン電極4に対向するセグメント電極に設けられた十字形の開口部(図8において図示せず。)は、観察者方向から見たときに、この正方形の領域31内に含まれる。換言すれば、セグメント電極に対向するコモン電極4の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、セグメント電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形(具体的には、縦方向および横方向に2つずつ並んだ4つの十字形の開口部において、対向する凹頂点同士を対角の頂点とする正方形)の領域に含まれる。
コモン電極4に対向するセグメント電極に設けられた十字形の開口部は、観察者方向から見たときに、正方形の領域31(図8参照)の中央に存在することが好ましい。この場合、セグメント電極に対向するコモン電極4の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、セグメント電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在することになる。この点は、第1の実施形態と同様である。
図9は、コモン電極4およびセグメント電極3(図1参照)に設けられた十字形の開口部の位置関係を示す説明図である。図9では、コモン電極4およびセグメント電極3を対向させた状態において十字形の各開口部を観察者方向から見た場合を模式的に表している。図9において、実線で示した十字形の開口部はコモン電極4の開口部を表し、破線で示した十字形の開口部はセグメント電極3の開口部を表す。
第2の実施形態においても、コモン電極側の十字形の開口部11と、その開口部11に最も近いセグメント電極側の十字形の開口部41とに着目した場合、コモン電極側の十字形の開口部11の凹頂点のうちの1つと、セグメント電極側の十字形の開口部41の凹頂点のうちの1つが互いに向き合う。この凹頂点をそれぞれ凹頂点33a,34aとする(図9参照)。そして、コモン電極側の開口部11の凹頂点33aと、セグメント電極側の開口部41の凹頂点34aとを対角の頂点とする矩形の領域であるサブ画素領域を定めることができる。図9では、サブ画素領域35となる矩形を1つだけ明示しているが、コモン電極側における1つの十字形の開口部11に着目した場合、その開口部11の周囲に4つのサブ画素領域35が存在する。同様に、セグメント電極側における1つの十字形の開口部41に着目した場合にも、その開口部41の周囲に4つのサブ画素領域35が存在する。
本例では、セグメント電極に設けられた十字形の開口部は、観察者方向から見たときに、図8に例示する正方形の領域31の中央に存在しているものとする。換言すれば、セグメント電極に対向するコモン電極4の十字形の開口部11は、観察者方向から見たときに、セグメント電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在しているものとする。このとき、サブ画素領域35となる矩形は正方形となる。第1の実施形態と同様に、サブ画素領域35となる矩形が正方形となることが好ましい。
本実施形態では、図9に例示するサブ画素領域35が形成されるように、コモン電極4およびセグメント電極3にそれぞれ十字形の開口部を設けることで、コモン電極4とセグメント電極3との間の液晶層5(図1参照)に電圧を印加した際、サブ画素領域35における液晶分子の配向方向を規定する。図10は、液晶層に電圧を印加したときのサブ画素領域35における液晶分子38の配向方向を模式的に示す説明図である。1つの十字形の開口部(図10に示す例ではセグメント電極側の十字形の開口部41)に着目した場合、その開口部41の周囲の4つのサブ画素領域35においてそれぞれ、液晶分子38はほぼ一方向に配向する。サブ画素領域35における液晶分子38の配向態様は、第1の実施形態と同様である。すなわち、1つの十字形の開口部の周囲では、液晶分子38はその開口部の重心を中心として4方向に配向する。換言すると、1つの十字形の開口部の周囲に4つの異なるドメイン領域を形成している。この4つのドメイン領域によって、視野角を広くすることができるとともに、偏光板との配置関係で光の透過率も高くなる。
第1偏光板6および第2偏光板7の配置は、第1の実施形態と同様である。すなわち、第1偏光板6は、第1偏光板6自身の偏光軸が、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分、または、縦方向に伸びる部分のいずれかと平行になるように配置される。そして、第2偏光板7は、第2偏光板7自身の偏光軸が第1偏光板6の偏光軸と直交するように配置される。この結果、十字形の開口部の周辺のサブ画素領域における液晶分子は、図6に示す例と同様に、第1偏光板6の偏光軸61および第2偏光板7の偏光軸71それぞれに対して、ほぼ45度をなす方向に配向する。よって、第1の実施形態と同様に、液晶表示素子の透過率が向上する。
サブ画素領域35の一辺の長さをk[μm]とする。第2の実施形態では、十字形の開口部の長さは、(k/2)〜k[μm]の範囲内に設定されていることが好ましく、特に、{(2・k)/3}〜k[μm]の範囲内にあることが好ましい。十字形の開口部の長さがk/2[μm]未満であると、各開口部により生じる斜め電界の影響が小さくなり、図10に示すような電圧印加時の液晶分子の配向状態を得にくくなるためである。また、十字形の開口部の長さがk[μm]よりも長いと、開口部の面積が大きくなり(すなわち、点灯しない部分の面積が増加し)、光透過率が低下するためである。また、電極内で断線する可能性が高くなるためである。
また、十字形の開口部のピッチは、第1の実施形態と同様に、60〜140μmの範囲内に設定されていることが好ましい。また、サブ画素領域35は正方形であることが好ましく、サブ画素領域35の一辺の長さが20〜60μmの範囲内にあることが好ましい。十字形の開口部のピッチをp[μm]とすると、十字形の開口部の長さは、{(p−20)/4}〜{(p−20)/2}μmの範囲内に設定されていることが好ましく、特に、{(p−20)/3}〜{(p−20)/2}μmの範囲内にあることが好ましい。ただし、サブ画素領域35の一辺の長さkが20〜60μmの範囲内にあり、十字形の開口部の長さが(k/2)〜k[μm]の範囲内にあるという条件を満たしているものとする。
十字形の開口部の幅は、第1の実施形態と同様に、7〜14μmの範囲内に設定されていることが好ましい。
第2の実施形態においても、第1電極3および第2電極4(上記の例では、セグメント電極およびコモン電極)の間の液晶層に電圧を印加していない場合、その液晶層の液晶分子は垂直配向となる。すると、第2偏光板7を通過したバックライトの光は第1偏光板6に達し、第1偏光板6で吸収される。従って、バックライトの光は液晶表示素子を通過せず、黒色表示となる。
また、第1電極3および第2電極4の間の液晶層に電圧を印加した場合、その液晶層の液晶分子は透明基板1,2(図1参照)に対して平行になる。このとき、各液晶分子は、第1電極3および第2電極4の十字形の各開口部の周囲において、開口部を中心として4方向に配向する(図10参照)。よって、第1の実施形態と同様に、広い視野角を実現することができる。
また、図6に示す例と同様に、十字形の開口部の周辺のサブ画素領域における液晶分子は、第1偏光板6の偏光軸61および第2偏光板7の偏光軸71それぞれに対して、ほぼ45度をなす方向に配向した状態になる。従って、第2偏光板7を通過した直線偏光は、液晶の複屈折性により、第1偏光板6を通過しやすくなり、液晶表示素子の透過率は向上する。その結果、明るい表示が得られる。
このように第2の実施形態においても、広い視野角が得られるとともに、光の透過率を高くすることができる。
第2の実施形態においても、液晶表示素子をセグメント表示型にする場合には、セグメント電極3を抜き出す前の大きな透明電極板に、前述の十字形の開口部を規則的に設け、その透明電極板から所望の形状のセグメント電極を抜き出せばよい。この場合、個々のセグメント電極3全体に十字形の開口部が一様な配列で設けられる。また、コモン電極4に関しても、コモン電極4全体で一様な配列となるように十字形の開口部11を設ければよい。
第2の実施形態において、液晶表示素子をドットマトリクス表示型としてもよい。この場合、第1電極3として、複数の列電極を配置し、第2電極4として、列電極に直交する複数の行電極を配置すればよい。ドットマトリクス表示型の液晶表示素子とする場合には、全列電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部の位置をそれぞれ共通とし、全行電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部の位置をそれぞれ共通とすることが好ましい。このようにすることで、各画素における表示状態を均一にすることができる。
なお、第1、第2の実施形態において、液晶表示素子に、VA型液晶表示素子用の光学補償フィルムとして使用されるCプレートや2軸フィルムを設けてもよい。
また、各実施形態において、ドットマトリクス型の液晶表示素子を実現する場合、第1電極3として、複数の行電極を配置し、第2電極4として、行電極に直交する複数の列電極を配置してもよい。
上記の各実施形態は、アクティブマトリクス型の液晶表示素子にも適用可能である。例えば、TFT(Thin Film Transistor)液晶表示素子の各画素電極に、第1または第2の実施形態における第1電極3と同様の開口部を設け、TFT液晶表示素子のコモン電極に、第1または第2の実施形態における第2電極4と同様の開口部を設けてもよい。あるいは、各画素電極に第2電極4と同様の開口部を設け、コモン電極に第1電極3と同様の開口部を設けてもよい。
実施例1および後述の実施例2,3は、第1の実施形態の液晶表示素子をセグメント表示型の液晶表示素子として実現した実施例である。
図11(a)は、実施例1のセグメント電極の一部を示す拡大図である。図11(b)は、実施例1のコモン電極の一部を示す拡大図である。セグメント電極およびコモン電極にそれぞれ十字形の開口部および正方形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上にセグメント電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上にコモン電極をパターニングした。十字形の開口部の形状および大きさは、セグメント電極およびコモン電極で共通である。十字形の開口部の長さを10μmとした。十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。十字形の開口部のピッチを60μmとした。実施例1では、隣接する十字形の開口部の間の中央に、正方形の開口部を1つ設ける(図11参照)。
また、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分が、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。
また、パターニングの際、セグメント電極およびコモン電極を対向させたときに、セグメント電極の十字形の開口部とコモン電極の十字形の開口部とが縦方向および横方向に30μmずれるようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが20μmの正方形となる。
次に、第1透明基板1および第2透明基板2の液晶層側の面に、垂直性の配向膜を成膜し、リタデーションΔn・dを469nmにした。また、液晶材料として、誘電異方性(Δε)が−4.4のものを用い、第1透明基板および第2透明基板の間に液晶層5(図1参照)を封止した。
液晶表示素子の長辺方向を基準軸として、観察者方向から見たときの基準軸から第1偏光板6(図1参照)の吸収軸までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=0°となるように、第1偏光板6を配置した。なお、各実施例では、第1偏光板6を観察者側の偏光板とした。また、基準軸から第2偏光板7(図1参照)の吸収軸までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=90°となるように第2偏光板7を配置した。
なお、基準軸から第1偏光板6の偏光軸までの反時計回りの角度をθ1’とした場合、θ1’=0°となるように第1偏光板6を配置してもよい。このとき、基準軸から第2偏光板7の偏光軸までの反時計回りの角度をθ2’とすると、θ2’=90°となるように第2偏光板6を配置すればよい。
なお、第1偏光板6として、株式会社ポラテクノ製のSHC−13UL2SZ9を用いた。そして、第2偏光板7として、株式会社ポラテクノ製の000R220N−SH38L2S(Re≦7nm,Rth=220nmの光学補償フィルム付偏光板)を用いた。
上記のように作成した液晶表示素子をデューティ比1/4で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
図12(a)は、実施例2のセグメント電極の一部を示す拡大図である。図12(b)は、実施例2のコモン電極の一部を示す拡大図である。セグメント電極およびコモン電極にそれぞれ十字形の開口部および正方形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上にセグメント電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上にコモン電極をパターニングした。十字形の開口部の形状および大きさは、セグメント電極およびコモン電極で共通である。十字形の開口部の長さを10μmとした。十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。十字形の開口部のピッチを80μmとした。実施例2では、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を均等間隔になるように2つ設ける(図12参照)。
また、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分が、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。
また、パターニングの際、セグメント電極およびコモン電極を対向させたときに、セグメント電極の十字形の開口部とコモン電極の十字形の開口部とが縦方向および横方向に40μmずれるようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが30μmの正方形となる。
他の点に関しては、実施例1と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/4で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
図13(a)は、実施例3のセグメント電極の一部を示す拡大図である。図13(b)は、実施例3のコモン電極の一部を示す拡大図である。セグメント電極およびコモン電極にそれぞれ十字形の開口部および正方形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上にセグメント電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上にコモン電極をパターニングした。十字形の開口部の形状および大きさは、セグメント電極およびコモン電極で共通である。十字形の開口部の長さを10μmとした。十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。十字形の開口部のピッチを100μmとした。実施例3では、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を均等間隔になるように3つ設ける(図13参照)。
また、十字形の各開口部の横方向に伸びる部分が、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。
また、パターニングの際、セグメント電極およびコモン電極を対向させたときに、セグメント電極の十字形の開口部とコモン電極の十字形の開口部とが縦方向および横方向に50μmずれるようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが40μmの正方形となる。
他の点に関しては、実施例1,2と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/4で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
[比較例1]
図14(a)は、比較例1のセグメント電極の一部を示す拡大図である。図14(b)は、比較例1のコモン電極の一部を示す拡大図である。比較例1では、セグメント電極およびコモン電極にそれぞれ、正方形の開口部のみが格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上にセグメント電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上にコモン電極をパターニングした。すなわち、比較例1では、十字形の開口部を設けずに、正方形の開口部を縦方向および横方向に規則的に設けた。セグメント電極およびコモン電極において、正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。正方形の開口部の列および行の交差部同士の距離を80μmとした。比較例1では、1つの交差部に存在する開口部から、次の交差部に存在する開口部までの間に、3つの開口部が存在する(図14参照)。
また、正方形の各開口部の一対の辺が、液晶表示素子の長辺と平行になり、また、正方形の開口部の行も、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。
また、セグメント電極およびコモン電極を対向させたときに、セグメント電極側における行および列の交差部に存在する開口部と、コモン電極側における行および列の交差部に存在する開口部とが、縦方向および横方向に40μmずれるようにした。また、セグメント電極およびコモン電極を対向させた状態で、観察者方向から見ると、セグメント電極側における行および列の交差部に存在する開口部の頂点と、コモン電極側における行および列の交差部に存在する開口部の頂点とを対角の頂点とする正方形を想定することができる。この正方形の一辺の長さは、30μmである。
他の点に関しては、実施例1〜3と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/4で駆動したところ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合に明るさのむら等が観察された。また、実施例2に比べて透過率が低く、視認性が低下していた。この結果から、本発明のように4つの異なる方向にドメイン領域を形成するためには、十字形の開口部の凹部の頂点(凹頂点)が必要であることがわかる。互いに対向する電極に形成された十字形の凹頂点同士を結ぶ線の方向(サブ画素領域の対角線方向)に液晶分子が配列するためには、十字形開口部において凹頂点を挟む2つの辺が必要であり、この辺が、液晶分子を、サブ画素領域の対角線方向に配列するように規制していると考えられる。そして、比較例1のように矩形の開口部だけを設けただけでは、液晶分子に対する配向規制力が弱いと推定される。
図15は、セグメント電極およびコモン電極によって液晶層に電圧を印加した状態で、セグメント電極とコモン電極とが対向する領域に対して偏光顕微鏡観察を行った結果を示す。図15(a)〜(c)は、それぞれ実施例1〜3の偏光顕微鏡観察の結果である。図15(a)〜(c)に示す観察結果から、図5を参照して説明したように、十字形の開口部の周囲の4つのサブ画素領域で、その開口部の凹頂点とその対角の凹頂点とを結ぶ対角線の方向に液晶分子が配向していることがわかる。また、液晶分子が十字形の開口部を中心として4方向に配向していることがわかる。このため、実施例1〜3では、広い視野角と高い透過率を実現できている。なお、サブ画素領域のサイズが大きいほど、あるいは、十字形の開口部のピッチが大きいほど、表示が粗く見え、応答速度が遅くなる傾向があった。
図15(d)は、比較例1において、電圧印加開始後、時間が経過したときの偏光顕微鏡観察の結果である。比較例1では、電圧印加開始直後には実施例2(図15(b)参照)と同様の観察結果が得られるが、その後、徐々に、サブ画素領域毎に液晶分子の配向状態にばらつきが生じるようになる(図15(d)参照)。このことから、十字形の開口部を設けることで、液晶分子の配向状態の安定性が得られていると考えられる。
実施例4および後述の実施例5〜7は、第1の実施形態の液晶表示素子をドットマトリクス側の液晶表示素子として実現した実施例である。
図16(a)は、実施例4の列電極(第1電極)の一部を示す拡大図である。図16(b)は、実施例4の行電極(第2電極)の一部を示す拡大図である。ドットマトリクス側の液晶表示素子では、複数の列電極と複数の行電極とが直交するように配置され、列電極と行電極との交差する領域が画素となる。各列電極や各行電極は、細長い長方形であるが、図16(a)では、1本の列電極における画素に該当する部分のみを示している。具体的には、1行目の行電極との交差部分と、24行目(本例では最終行)の行電極との交差部分とを示している。また、図16(b)では、1本の行電極の画素に該当する部分のみを示している。具体的には、列電極との交差部分のみを示している。この点は、後述の図17から図21においても同様である。
実施例4では、各列電極における個々の画素に該当する領域および各行電極における個々の画素に該当する領域にそれぞれ十字形の開口部および正方形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上に複数の列電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上に複数の行電極をパターニングした。このとき、全列電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部および正方形の開口部の位置をそれぞれ共通とした。同様に、全行電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部および正方形の開口部の位置をそれぞれ共通とした。上記のように開口部を設けたので、線間に該当する部分と画素に該当する部分とで一様に開口部が設けられるわけではない。なお、画素に該当する領域の端部の開口部が線間に該当する部分に跨ってもよい。この点は、後述の実施例5〜8でも同様である。
画素の大きさは、340×340μmとし、線間を10μmとした。後述の実施例5〜8でも同様である。
画素に該当する領域に設ける十字形の開口部の形状および大きさは、列電極および行電極で共通である。十字形の開口部の長さを10μmとした。十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。十字形の開口部のピッチを80μmとした。実施例4では、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を均等間隔になるように2つ設ける(図16参照)。
また、行電極の方向が、液晶表示素子の長辺と平行になるようにした。この点は、後述の実施例6〜8でも同様である。
また、パターニングの際、列電極および行電極を対向させたときに、行電極側の十字形の開口部が、列電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在するようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが30μmの正方形となる。
次に、第1透明基板1および第2透明基板2の液晶層側の面に、垂直性の配向膜を成膜し、リタデーションΔn・dを810nmにした。また、液晶材料として、誘電異方性(Δε)が−2.7のものを用い、第1透明基板および第2透明基板の間に液晶層5(図1参照)を封止した。
液晶表示素子の長辺方向を基準軸として、観察者方向から見たときの基準軸から第1偏光板6(図1参照)の吸収軸までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=0°となるように、第1偏光板6を配置した。また、基準軸から第2偏光板7(図1参照)の吸収軸までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=90°となるように第2偏光板7を配置した。
なお、基準軸から第1偏光板6の偏光軸までの反時計回りの角度をθ1’とした場合、θ1’=0°となるように第1偏光板6を配置してもよい。このとき、基準軸から第2偏光板7の偏光軸までの反時計回りの角度をθ2’とすると、θ2’=90°となるように第2偏光板6を配置すればよい。
なお、第1偏光板6として、株式会社ポラテクノ製のSKN−18243TL2Sを用いた。そして、第2偏光板7として、株式会社ポラテクノ製の045R660N2−VH39L2S(Re=45nm,Rth=660nmの光学補償フィルム付偏光板)を用いた。
上記のように作成した液晶表示素子をデューティ比1/24で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
図17(a)は、実施例5の列電極(第1電極)の一部を示す拡大図である。図17(b)は、実施例5の行電極(第2電極)の一部を示す拡大図である。各列電極における個々の画素に該当する領域および各行電極における個々の画素に該当する領域にそれぞれ十字形の開口部および正方形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上に複数の列電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上に複数の行電極をパターニングした。
画素に該当する領域に設ける十字形の開口部の形状および大きさは、列電極および行電極で共通である。十字形の開口部の長さを20μmとした。十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。十字形の開口部のピッチを80μmとした。実施例5では、隣接する十字形の開口部の間の中央に、正方形の開口部を1つ設ける(図17参照)。
また、パターニングの際、列電極および行電極を対向させたときに、行電極側の十字形の開口部が、列電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在するようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが30μmの正方形となる。
他の点に関しては、実施例4と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/24で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
図18(a)は、実施例6の列電極(第1電極)の一部を示す拡大図である。図18(b)は、実施例6の行電極(第2電極)の一部を示す拡大図である。各列電極における個々の画素に該当する領域および各行電極における個々の画素に該当する領域にそれぞれ十字形の開口部および正方形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上に複数の列電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上に複数の行電極をパターニングした。
画素に該当する領域に設ける十字形の開口部の形状および大きさは、列電極および行電極で共通である。十字形の開口部の長さを10μmとした。十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。十字形の開口部のピッチを100μmとした。実施例6では、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を均等間隔になるように3つ設ける(図18参照)。
また、パターニングの際、列電極および行電極を対向させたときに、行電極側の十字形の開口部が、列電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在するようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが40μmの正方形となる。
他の点に関しては、実施例4,5と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/24で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
図19(a)は、実施例7の列電極(第1電極)の一部を示す拡大図である。図19(b)は、実施例7の行電極(第2電極)の一部を示す拡大図である。各列電極における個々の画素に該当する領域および各行電極における個々の画素に該当する領域にそれぞれ十字形の開口部および正方形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上に複数の列電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上に複数の行電極をパターニングした。
画素に該当する領域に設ける十字形の開口部の形状および大きさは、列電極および行電極で共通である。十字形の開口部の長さを20μmとした。十字形の開口部の幅および正方形の開口部の一辺の長さを10μmとした。十字形の開口部のピッチを100μmとした。実施例6では、隣接する十字形の開口部の間に、正方形の開口部を均等間隔になるように2つ設ける(図19参照)。
また、パターニングの際、列電極および行電極を対向させたときに、行電極側の十字形の開口部が、列電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在するようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが40μmの正方形となる。
他の点に関しては、実施例4〜6と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/24で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
実施例8は、第2の実施形態の液晶表示素子をドットマトリクス側の液晶表示素子として実現した実施例である。
図20(a)は、実施例8の列電極(第1電極)の一部を示す拡大図である。図20(b)は、実施例8の行電極(第2電極)の一部を示す拡大図である。各列電極における個々の画素に該当する領域および各行電極における個々の画素に該当する領域にそれぞれ十字形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上に複数の列電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上に複数の行電極をパターニングした。このとき、全列電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部の位置をそれぞれ共通とした。同様に、全行電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部の位置を共通とした。
また、画素に該当する領域に設ける十字形の開口部の形状および大きさは、列電極および行電極で共通である。十字形の開口部の長さを25μmとした。十字形の開口部の幅を10μmとした。十字形の開口部のピッチを80μmとした。
また、パターニングの際、列電極および行電極を対向させたときに、行電極側の十字形の開口部が、列電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在するようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが30μmの正方形となる。すなわち、k=30μmである。十字形の開口部の長さは25μmであり、(k/2)〜kの範囲に属している。
他の点に関しては、実施例4〜7と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/24で駆動したところ、良好な視認性が得られた。すなわち、電圧非印加時や電源オフ時には良好な黒色表示が得られ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合には、視野角が広く、明るい白色表示が得られた。
[比較例2]図21は、比較例2の列電極(第1電極)の一部を示す拡大図である。図20(b)は、実施例8の行電極(第2電極)の一部を示す拡大図である。各列電極における個々の画素に該当する領域および各行電極における個々の画素に該当する領域にそれぞれ十字形の開口部が格子状に形成されるように、第1透明基板1(図1参照)上に複数の列電極をパターニングし、第2透明基板2(図1参照)上に複数の行電極をパターニングした。全列電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部の位置をそれぞれ共通とした。同様に、全行電極の各画素に該当する領域において、十字形の開口部の位置を共通とした。
また、画素に該当する領域に設ける十字形の開口部の形状および大きさは、列電極および行電極で共通である。十字形の開口部の長さを10μmとした。十字形の開口部の幅を10μmとした。十字形の開口部のピッチを80μmとした。
また、パターニングの際、列電極および行電極を対向させたときに、行電極側の十字形の開口部が、列電極側の十字形の開口部の凹頂点を頂点とする正方形の領域の中央に存在するようにした。この場合、サブ画素領域は、一辺の長さが30μmの正方形となる。すなわち、k=30μmである。十字形の開口部の長さは10μmであり、k/2よりも小さな値となっている。
他の点に関しては、実施例8と同様に液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子をデューティ比1/24で駆動したところ、電源をオンとして液晶に電圧を印加した場合に明るさのむら等が観察された。また、実施例8と比べて透過率が低く、視認性が低下していた。
実施例8と比較例2とを比較すると、十字形の開口部の長さが(k/2)〜kの範囲に属している実施例8の液晶表示素子の方が視認性が良好であった。実施例8と比較例2との比較により、サブ画素領域の対角線上に十字形の開口部の凹頂点が2つ存在することだけでなく、凹頂点を挟む2つの辺の長さが重要であることがわかる。対向する2つの電極のそれぞれの十字形の開口部から形成される矩形状のサブ画素領域において、中央部の液晶分子は2つの凹頂点を結ぶ線の方向に配向される。比較例2では、サブ画素領域の辺に相当する部分に開口部がないため、辺に相当する部分における液晶分子に対する配向規制力が弱くなり、配向が乱れたと推定される。従って、サブ画素領域の辺に相当する部分の配向規制力を確保するために十字形の開口部の長さは重要な要素の一つである。