以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本明細書において前、後、左、右とは図2の斜視図において矢印で示す方向により特定されるものとする。
図1は、可変入賞装置1が配設された本発明の実施形態例に係るパチンコ機10の全体正面図である。同図を用いてパチンコ機10の概略について説明する。パチンコ機10は、パチンコ機10の躯体を構成し、遊技施設内の島と称される設備に設置される外枠11と、外枠の一側部に設けられた一対のヒンジ12,13により軸支される内枠14とを備える。内枠14は、前記一対のヒンジ12,13に軸支されることにより外枠11に対して前後方向に開閉可能である。
内枠14の上部には矩形状の開口部が設けられ、遊技盤9が開口部を閉塞するように取り付け機構15Aを介して交換可能に取り付けられる。内枠14の上方一側部には図外のヒンジにより、窓部15を備える前面枠16が内枠14の前後方向に開閉可能に取り付けられる。前面枠16は内枠14の上方を覆うように閉鎖された状態において、ロック機構16Aが操作されることにより内枠14と一体に係合され、遊技者は窓部15を通して窓部15の形状の範囲内で遊技盤9の一部を視認可能となる。内枠14の下方一側部には図外のヒンジにより、内枠14の前後方向に開閉可能なパネル体17が取り付けられる。パネル体17は内枠14の下方を覆うように閉鎖された状態において、図外のロック機構が操作されることにより内枠14と一体に係止される。パネル体17の前面には払出し口18が開設され、皿構造体19及びハンドル20が前側に突設される。
払出し口18は、遊技盤9の裏側に設置された図外の賞球払出装置150から払出される遊技球を上側の皿構造体19上に排出する。皿構造体19は上記払出し口18から排出された、或いは遊技者によって供給された貯留球を整列させつつ、打ち出し機構21側に供給する図外の供給路を備える。供給路は払出し口18から漸次降下する傾斜面として形成され、貯留された遊技球を一列に整列させながら打ち出し機構21へ流下させる構造である。また、後述の大当り遊技等において皿構造体19に貯留しきれない余剰の遊技球は、皿構造体19の内部に配設された図外の球抜き流路を経由して、パチンコ機10の外部に排出可能である。
皿構造体19に貯留された遊技球が図外の供給路を流下して、打ち出し機構21に供給された状態において、遊技者によりハンドル20が回動操作されると、打ち出し機構21はハンドル20の操作量に応じた打ち出し力により遊技球を遊技盤9の上方へ打ち出す。なお、上記内枠14と一体に係止される前面枠16及びパネル体17の前面には複数の表示灯LやスピーカSが配設され、遊技の進行やエラーの発生等に合わせて後述する主制御装置100により駆動される。
遊技盤9内には外ガイドレール22及び内ガイドレール23とにより囲まれる遊技領域10Aが形成される。外ガイドレール22は遊技盤9の周囲を円形状に囲繞するように湾曲して配設される。内ガイドレール23は外ガイドレール22の一部の範囲に沿って並列配置される部材である。また、外ガイドレール22と内ガイドレール23との間に挟まれる遊技盤9の一側方の領域には打ち出し通路10Bが形成される。
遊技盤9の遊技領域10A内には概略、遊技領域10Aの略中央に配置される可変入賞装置1、可変入賞装置1よりも下方に配設される複数の始動入賞口(始動口)2A;2B、可変入賞装置1の周囲に配置される複数の一般入賞口3、遊技領域10Aの最も下方に開設されるアウト口4、及び遊技領域10A内に打ち出された遊技球が流下する過程においてその進路を誘導或いは妨げるように植設された多数の誘導釘5が配置される。なお、誘導釘5の本数は、省略して図示しており遊技領域10Aの略全域に亘って必要に応じて植設される。
可変入賞装置1は、遊技領域10A内に打ち出された遊技球の一部を取り込んで、取り込んだ遊技球Pを内部において多様な進路に導きながら転動させる装置であって、進路の最終地点に特別領域を含む複数の領域を有する。なお、可変入賞装置1の詳細については後述する。
始動入賞口2Aは、遊技領域10Aの左右方向に隔てて設けられる入賞部品であって、上方開口の取り込み口から遊技球を受け入れることが可能である。遊技球が遊技領域10Aを流下する過程において始動入賞口2Aに取り込まれると、始動入賞口2Aの内部に設けられた第一始動検出器(始動検出器)200Aによって検出され、後述の主制御装置(制御装置)100が当該検出信号に基づいて例えば5個の遊技球を遊技者に対して払出す制御を賞球払出装置150に対して行うとともに、可変入賞装置1に開閉自在に設けられた開閉体40;40が1回開放動作するように開閉駆動機構の一例としてのソレノイドSol1;Sol1を制御する。
始動入賞口2Bは、始動入賞口2A;2Aの間に設けられる入賞部品であって、始動入賞口2Aと同様に上方開口の取り込み口から遊技球を受け入れることが可能である。遊技球が遊技領域10Aを流下する過程において始動入賞口2Bに取り込まれると、始動入賞口2Bの内部に設けられた第二始動検出器(始動検出器)200Bによって検出され、後述の主制御装置100が当該検出信号に基づいて例えば5個の遊技球を遊技者に対して払出す制御を賞球払出装置150に対して行うとともに、可変入賞装置1に開閉自在に設けられた開閉体40;40が2回開放動作するようにソレノイドSol1;Sol1を制御する。
即ち、始動入賞口2A及び始動入賞口2Bは、開閉体40;40が開放動作するための契機となる入賞口であって、開閉体40;40の開放動作は、始動入賞口2A又は始動入賞口2Bへの遊技球の入賞を条件として実行される。
遊技球が遊技領域10Aを流下する過程において一般入賞口3に取り込まれると、一般入賞口3の内部に設けられた一般入賞検出器300によって検出され、後述の主制御装置100が当該検出信号に基づいて例えば5個の遊技球を遊技者に対して払出す制御を行う。即ち、遊技球が一般入賞口3に入賞しても開閉体40;40の開放動作は行われない。アウト口4は、前方開口の取り込み孔を有し、遊技領域10Aを流下する過程において上述の各入賞口に取り込まれなかった遊技球を回収する。当該アウト口4及び上述の各入賞口から取り込まれた遊技球は、遊技盤9の裏側に配設される図外の誘導路を流下した後に集合樋に集められ、逐次パチンコ機10外部に排出される。
図2は、可変入賞装置1を示す拡大斜視図、図3は、図2のA−A断面図である。同図を用いて可変入賞装置1の主要部について詳説する。可変入賞装置1は概略、躯体30を遊技盤9に対して配設するためのベースプレート25、ベースプレート25と一体に成形され、遊技球が転動する内部空間Rを形成する躯体30、躯体30の内部空間R内への遊技球の進入を阻止又は許容する一対の開閉体40;40、開閉体40;40の開放動作によって進入が許容された遊技球の進路を振分ける振分回転体(回転体)50、躯体30の内部空間R内に配設された特別領域V1を含む複数の領域V1及びV2を備える。以下、各部の詳細について説明する。
ベースプレート25は、躯体30の外周面から左右方向に張り出す拡翼部25A;25Aを有する盤体であって、止めネジ等の固定手段によって、遊技盤9の前面に取り付けられる。ベースプレート25は、躯体30の内部空間Rと連通する開口部25Bを中央に有し、当該開口部25Bを通過した遊技球が内部空間Rへと進入する。
ベースプレート25が遊技盤9の前面に取り付けられることにより、躯体30が遊技盤9に開設された取り付け孔に取着される。拡翼部25A;25Aよりも下方の形状は拡翼部25A;25Aから下方に向かって折曲部が形成されることにより、左右の幅が漸次縮小する形状である。拡翼部25A;25Aよりも上方における中央部には、演出用表示部26が設けられる。
演出用表示部26は、前後方向に延長する筒状のケーシング27と、ケーシング27の後方に配設され、複数のLEDを有する演出基板28と、ケーシング27内部に収容され、前後方向に複数のカットレンズ29A;29Bが配設された発光部29とを有する。演出用表示部26は、演出基板28が遊技中において主制御装置100によって制御されることにより、例えば遊技球が始動入賞口2A;2Bに入賞した時、遊技球が可変入賞装置1内に進入した時、大当り遊技中等、遊技状態の変化に応じてLEDを点灯,点滅させる。LEDの点灯,点滅は、演出基板28よりも前方に位置する発光部29及びケーシング27の前面の円周方向に沿って配設された複数の発光部27Aを介して視認可能であり、遊技者が現在の遊技状態を知ることにより遊技が盛り上げられる。なお、ベースプレート25及び演出用表示部26の形状は上記形状に何ら限定されるものではなく、意匠上の多様な変更が可能である。
躯体30は、前方開口の箱型に形成される内部空間Rを有する部材であって、ベースプレート25よりも前側において前方に突出する前側壁部30Aと、ベースプレート25よりも後側において後方に延在する後側壁部30Bとから構成される。
前側壁部30Aは、アーチ状に形成された下側壁部31と下側壁部31の両端部から上方に延在する左右壁部32;32とから構成される枠状の構造体である。下側壁部31の前面には、装飾としてステージを模した形状の凹凸部31Aと、凹凸部の中央部に配置されるV字を模した特定領域表示部31Bとが形成され、後方に位置する後述の特別領域V1の位置を遊技者にとって認識し易い意匠が施されている。また、特定領域表示部31Bの下方には、セグメント表示器を含むラウンド表示部31Cが形成され、後述の大当り遊技中におけるラウンド数が表示される。
左右壁部32;32は、下側壁部31の両端部から上方に延在し、前面部が人型を模した形状に形成されるとともに、当該前面部とベースプレート25の前面部との間において、くの字状に折曲する進入球検出器保持部32A;32Bを備える。
進入球検出器保持部32A;32Bは、内部に介挿される進入球検出器400A;400B(図3参照)を保持する部材であって、内部に保持される進入球検出器400A;400Bの検出孔の孔径と略同径に設定された遊技球進入口34を有する。遊技球進入口34は、遊技球一個分の直径よりも大径、かつ、遊技球二個分の直径よりも小径な貫通孔であって、遊技球Pは、上下何れかの遊技球進入口34を通過することにより、開口部25Bを経由して躯体30の内部空間R内へ進入することが可能となる。
遊技球進入口34を通過する遊技球Pは、内部に保持された進入球検出器400A又は400Bによって検出される。進入球検出器400A又は400Bは、遊技球進入口34と略同径な検出孔を遊技球Pが通過したことに基づいて後述の主制御装置100に対して検出信号を出力する。また、進入球検出器400A;400Bは、くの字状に折曲して形成された進入球検出器保持部32A;32Bによって互いの傾斜角度が異なるように保持されており、破線で示すように進入球検出器400A;400B通過後の遊技球Pの進路は、進入球検出器400A;400Bいずれの検出器を通過するかによって異なる。
なお、窓部15が閉じられた場合において下側壁部31及び左右壁部32;32と窓部15との距離は、遊技球Pの直径よりも狭く、下側壁部31及び左右壁部32;32よりも前側から躯体30の内部空間R内に遊技球Pが進入することはできない。つまり、遊技球Pは、ベースプレート25と左右壁部32;32の前面部との間に位置する遊技球進入口34を通過しなければ内部空間R内に進入することができない。
遊技球進入口34よりも左右方向外側、かつ、ベースプレート25と左右壁部32;32の前面部との間には、一対の開閉体40;40が回転自在に設けられる。図4に示すように、開閉体40;40は、躯体30の後方に搭載される一対のソレノイドSol1;Sol1の駆動によって開閉動作可能な部材である。開閉体40;40は、左右方向外側から内側に向かって流下する遊技球Pを内側に誘導する平板状の誘導バー40Aと、誘導バー40Aの前面部に形成された意匠板部40Bとからなり、開放状態中において遊技球Pが誘導バー40A上を転動することにより遊技球進入口34の方向へ誘導される。
開閉体40;40はそれぞれ、躯体30内において前後方向に延在するシャフト41に接続され、シャフト41の後端部に形成されたクランク部42が進入口ソレノイドSol1;Sol1のプランジャ41Aと接続されるリンク機構43の一端部に支承されることにより、矢印方向に開閉動作可能である。
例えば、主制御装置100の制御によって進入口ソレノイドSol1;Sol1が通電状態となると、プランジャ41Aがスプリングの復元力に抗して上方に吸引され、リンク機構43の一端部により支承されるクランク部42が回転し、シャフト41及び当該シャフト41に接続された開閉体40;40が破線で示す開放状態となる。一方、開放状態中において進入口ソレノイドSol1;Sol1の通電を停止すると、スプリングの復元力によってクランク部42が逆方向に回転し、シャフト41及び当該シャフト41に接続された開閉体40;40が実線で示す閉鎖状態となる。
図2に戻り、開閉体40;40と遊技球Pの内部空間Rへの進入の関係について説明する。開閉体40;40よりも上方、かつ、演出用表示部26よりも下方には、アーチ体44が設けられる。アーチ体44は、左右方向に弓なりに延長する部材であって、ベースプレート25の前面から前側に突出する進入阻止壁部45;45を有する。進入阻止壁部45;45の前面と、窓部15が閉じられた状態における窓部15との距離は遊技球Pの直径よりも狭く、進入阻止壁部45;45よりも前方から遊技球Pが内部空間Rに進入することはできない。
また、開閉体40;40が閉鎖状態となった場合において、進入阻止壁部45;45の側面45Aと開閉体40;40の誘導バー40Aとは互いに当接し、遊技球Pが内部空間R内に進入することはできない。なお、本例においては開閉体40;40が閉鎖状態となった場合において遊技球Pが内部空間R内に進入することができない構成としたが、側面45Aと誘導バー40Aとの間に遊技球Pの直径に相当する間隙を設けることにより、進入を困難なものとする構成としてもよい。以上のとおり、開閉体40;40は、開閉動作によって遊技球Pの内部空間Rへの進入を許容、或いは、阻止又は困難なものとする部材である。
以下、図3及び図5を参照して躯体30を構成する後側壁部30Bについて説明する。図5は、ベースプレート25よりも後側において後方に延在する後側壁部30Bを模式的に示す斜視図である。同図において後側壁部30Bは、ベースプレート25よりも前側に突出する左右壁部32;32と連続して後方に延在する左右壁部60;60と、左右壁部60;60同士を結ぶ背壁61及び前方から後方に向かうに従って漸次下方に傾斜する屋根壁62とからなる前方開口の箱型であって、各壁部により箱型の内部空間Rが形成される。左右壁部60;60との間には、内部空間Rを上下に区画するように第一ステージ63と、第一ステージ63よりも下方に位置する第二ステージ64とが架け渡される。
第一ステージ63は、下方の第二ステージ64よりも遊技球Pの直径以上上方に離間して配置される板状部材であって、前後方向に延長する。図3に示すように、第一ステージ63の前縁部63Aは、ベースプレート25よりも前側における左右壁部32;32の前面部と略面一となる位置に達する。
図3の矢印で示すように、進入球検出器400A又は400Bによって検出された遊技球Pは、第一ステージ63の前縁部63A近傍に落下し、後方に向かって傾斜する傾斜面に沿って後方に誘導される。第一ステージ63上を後方に向かって転動する遊技球Pは、第一ステージ63の後縁部における中央に開設された中央落下口70、又は、中央落下口70の左右方向に離間して開設された側方落下口71;71から下方に落下する。
中央落下口70は、背壁61と、第一ステージ63との間に設けられた円形孔であって、第一ステージ63よりも上方の空間及び下方の空間とに連通する。当該中央落下口70から落下した遊技球Pは、図3の矢印で示すように下方に位置する第二ステージ64の中央部上に落下し、第二ステージ64の前縁部64A側に向かって転動する。
側方落下口71;71は、中央落下口70の側方において、左右壁部60;60と対向する仕切り板72との間に設けられる間隙であって、当該側方落下口71;71から落下した遊技球Pは、下方に位置する第二ステージ64の側方部から第二ステージ64の前縁部64A側に向かって転動するか、或いは、第二ステージ64上に誘導されることなく第二ステージ64よりも下方に設けられた排出通路91に誘導される。なお、側方落下口71;71上には、後述する進路変化部75の上側変化部77の先端部77Aが突出し、側方落下口71;71に向かって転動する遊技球の落下を阻止又は許容する。
中央落下口70には、振分回転体50が設けられる。振分回転体50は、円形な中央落下口70の内側において一定方向に回転する誘導壁部51と、誘導壁部51の頂部より上方に設けられた接続フランジ52とを有するドーム状の構造体であって、第一ステージ63上を後方に向かって転動する遊技球Pの進路を中央落下口70又は側方落下口71に振り分ける。誘導壁部51は、中央落下口70を形成する縁部よりも僅かに小径な下方開口の円筒体であって、下縁部から上方に向かって開設される略半円状の取り込み口(振分け孔)53を複数有する。取り込み口53は、誘導壁部51の円周方向に沿って例えば120°間隔で開設される孔である。
そして、第一ステージ63上を後方に転動する遊技球Pの内、図5の矢印P1で示すようにタイミング良く取り込み口53を通過した遊技球Pのみが中央落下口70から下方に落下することが可能であり、矢印P2で示すようにタイミングにより誘導壁部51に衝突して一方の側方落下口71側に誘導された遊技球Pは側方落下口71から下方に落下する。即ち、振分回転体50は、第一ステージ63上を転動する遊技球Pの進路に変化を与える遊技部品であり、遊技球Pの進入時期、転動速度、転動の軌跡、及び、振分回転体50の取り込み口53の円周方向角度等の多様な条件により、第一ステージ63上を転動する遊技球Pの進路をランダムに振り分ける機能を有する。
図6に示すように、振分回転体50は、接続フランジ52を介してモーターMを含む回転機構55と接続される。接続フランジ52は、ドーム状の誘導壁部51の頂部から延出する出力軸上に設けられる円盤体であって、中央部に略矩形状の係合部52Aを有する。また、接続フランジ52の円周方向には、半径方向内側に延在する取付け孔52Bが等間隔に開設される(図5参照)。
図6に示すように、接続フランジ52上には、係合部52A、複数の取付け孔52B及び固定手段を介して後述の第三ギア58を有する円形プレート65が載置される。円形プレート65は、中央部の回転軸周りに設けられる第三ギア58と、円周方向の一部に半径方向内側に延在する位置検出のための切り込み孔66を有する。切り込み孔66は、後述の位置決めセンサー500によるセンシングの基準となる細孔であって、当該切り込み孔66が位置決めセンサー500により検出されることにより、振分回転体50が所定の位置で停止する。位置決めセンサー500は、例えば投光部と受光部とを有するフォトカプラーであって、投光部から照射される光が切り込み孔66以外の部分によって遮断されている間はOFF動作し、切り込み孔66によって、投光部から照射される光が受光部に到達するとON動作する形態である。なお、位置決めセンサー500に基づくモーターMの停止制御については後述する。
同図に示すように回転機構55は、躯体30の後方において取り付け機構を介して装着されるパルスモーターからなるモーターMと、モーターMの出力軸と連結される第一ギア56、当該第一ギア56と噛み合う第二ギア57、及び、当該第二ギアと噛み合い、接続フランジ52の係合部52Aと接続される円形プレート65上に形成される第三ギア58とにより構成され、モーターMの回転速度が減速されて振分回転体50に伝達される。
図7は、図2のB−B断面図である。また、図8は、進路変化部75の正面及び側面図である。同図に基づいて側方落下口71;71から落下した遊技球Pの進路について説明する。図7,図8に示すように、側方落下口71から落下した遊技球Pは、落下通路73内に設けられた進路変化部75の下側変化部78;78によって、前方に位置する第二ステージ64又は後方に位置する排出通路91へと誘導される。
図8に示すように進路変化部75は、ソレノイドSol2とリンク機構を介して接続される基体76と、側方落下口71上において突出する上側変化部77;77、及び、落下通路73内に位置する下側変化部78;78とを有し、躯体30の後方に装着されたソレノイドSol2の駆動により前後方向に傾動動作する。
基体76は、側方落下口71:71間に延在する板状部材であって、下方に形成される取り付け片76A間に左右方向に延長する回転軸82が挿通される。取り付け片76Aは、中央部に後方延長するリンク片76Bを有し、リンク片76Bは連結孔76Cを介してソレノイドSol2と接続される。ソレノイドSol2の駆動により、基体76は回転軸82を回転中心として図8(c)の矢印で示す方向に回転動作し、基体76に一体に形成された上側変化部77が前方に向かって突出する。
上側変化部77;77は、基体76の左右方向端部に形成される一対の突片であって、基体76上端部から上方に向かって前側に傾斜するとともに、端部にかけて緩やかに湾曲するフック形状である。図8(b)に示すように、上側変化部77;77の先端部77Aは、ソレノイドSol2の非通電時において、下方に位置する第一ステージ63の上面と遊技球Pの直径よりも離間し、第一ステージ63上を側方落下口71;71に向かって転動する遊技球Pの落下を許容する。一方、図8(c)に示すように、上側変化部77;77の先端部77Aは、ソレノイドSol2の通電時において、基体76の回転動作に伴って前方に傾動し、下方に位置する第一ステージ63の上面と遊技球Pの直径よりも短く近接し、第一ステージ63上を側方落下口71;71に向かって転動する遊技球Pの落下を阻止、或いは、前方に向かって跳ね返す。即ち、上側変化部77;77は、第一ステージ63上を転動する遊技球Pの進路を変化させる部材である。
下側変化部78;78は、基体76の前面から前方に突出する一対の突出板79よりも外側に設けられる一対の突片であって、基体76の回転動作に伴って、中心軸80を中心として傾動する。中心軸80は、一端が下側変化部78;78内部に挿通されるとともに、他端部が図外の躯体30に形成された軸受け部に挿通される。また、中心軸80の前方には、傾動軸81が回転可能に取り付けられる。傾動軸81は、突出板79の前方に開設された切り欠き部79Aと下側変化部78との間に介在する軸体であって、基体76の回転動作に伴って突出板79が下方に傾動することにより、傾動軸81が下方に傾動し、下側変化部78が中心軸80を回転中心として傾動動作する。即ち、下側変化部78;78は上側変化部77;77の傾動動作と同期して傾動する部材である。
そして、図8(b)に示すように、下側変化部78;78は、ソレノイドSol2の非通電時において、後方に傾斜した状態で停止し、上方の側方落下口71;71から落下した遊技球Pを後方に誘導する。下側変化部78;78よりも後方に誘導された遊技球Pは、排出通路91を経由して排出球検出器700により検出された後に躯体30外部に排出される。
一方、下側変化部78;78は、ソレノイドSol2の通電時において、前方に傾斜した状態で停止し、上方の側方落下口71;71から落下した遊技球Pを前方の第二ステージ64側に誘導する。下側変化部78;78よりも前方に誘導された遊技球Pは、第二ステージ64上を前方に向かって転動し、後述の特別領域V1又は一般領域V2に取り込まれた後に排出通路91を経由して排出球検出器700により検出された後に躯体30外部に排出される。
以上説明したとおり、下側変化部78;78は、上側変化部77;77と同期して傾動動作する部材であって、落下通路73を落下する遊技球Pを前方に位置する第二ステージ64側、又は、後方に位置する排出通路91側へとその進路を振り分ける部材である。よって、第一ステージ63上を転動する遊技球Pの進路が側方落下口71;71側へ誘導された場合であっても、図8(c)に示すように側方落下口71;71からの落下タイミングが下側変化部78;78が前方に傾斜したタイミングと同時であれば、第二ステージ64へ誘導されることとなり、第二ステージ64の前方に開設された特別領域V1に取り込まれる機会を得ることが可能となる。
一方、側方落下口71;71からの落下タイミングが下側変化部78;78が後方に傾斜したタイミングと同時であれば、第二ステージ64へ誘導されることなく排出通路91に誘導されるため、第二ステージ64の前方に開設された特別領域V1に取り込まれる機会を得ることはできない。なお、ソレノイドSol2は、通常遊技中において主制御装置100により例えばランダムに駆動制御されており、タイミングによって、遊技球Pの進路が振り分けられる。
第二ステージ64は、上方の第一ステージ63よりも遊技球Pの直径以上下方に離間し、前後方向に延長する板状部材である。第二ステージ64は、前方に向かって傾斜する斜面として形成され、前述の中央落下口70から落下した遊技球P又は側方落下口71;71から落下して、前述の下側変化部78;78によって誘導された遊技球Pを前方に向かって転動させる。
図3,図5に示すように、第二ステージ64の前縁部64Aは、第一ステージ63の前縁部63Aよりも短く、当該前縁部64Aと下側壁部31との間に特別領域V1を含む複数の領域が開設される。特別領域V1は、躯体30の左右方向中央部に開設される取り込み口であって、前縁部64Aと下側壁部31との間において左右に相対向する隔壁90;90と当該隔壁90;90間に介挿される特別入賞検出器600とにより構成される。特別入賞検出器600は、遊技球Pが第二ステージ64の後方から前方に転動し、特別領域V1に取り込まれると特別領域V1に遊技球Pが取り込まれた旨の検出信号を後述の主制御装置100へ出力する。
主制御装置100は、特別入賞検出器600からの入力により遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技の開始処理を実行する。即ち、遊技球Pが特別領域V1に取り込まれることが大当り遊技の条件である。また、特別領域V1に取り込まれた遊技球は、下方に形成される排出通路91内を経由して排出球検出器700によって検出された後に躯体30の外部に排出される。
第二ステージ64上を前方に向かって転動し、特別領域V1に取り込まれなかった遊技球P(外れ球)は、一般領域V2;V2に取り込まれる。一般領域V2;V2は、特別領域V1を挟んで左右方向に離間して開設された取り込み口であって、隔壁90;90と左右壁部32;32との間に設けられる。また、一般領域V2に取り込まれた遊技球は、排出通路91内を経由して排出球検出器700によって検出された後に躯体30の外部に排出される。つまり、遊技球Pが特別領域V1及び一般入領域V2いずれに取り込まれた場合であっても、排出通路91を経由して排出球検出器700によって検出された後に躯体30の外部に排出される。
なお、第二ステージ64の形状は、側方落下口71から第二ステージ64に誘導される遊技球よりも、中央落下口70から第二ステージ64に誘導される遊技球の方が特別領域V1に取り込まれる確率が高くなるように設定されている。よって、遊技者にとっては第一ステージ63に開設された中央落下口70を通過させる方が大当り遊技の機会を得易いと言え、第一ステージ63上を転動する遊技球Pが振分回転体50の取り込み口53に取り込まれることにその注意が向き易い。
図9は、可変入賞装置1を備えるパチンコ機10の主制御装置100を中心とした概略ブロック図である。以下、パチンコ機10の制御の概略を説明する。同図においてパチンコ機10は、遊技全般を制御する主制御装置100を備える。主制御装置100はCPUと、賞球情報や演出情報等を始めとする遊技に必要なプログラムが書き込まれたROMと、プログラムの実行に必要な作業領域としてのRAMとを備えるいわゆるマイクロコンピュータであって、入力側に接続された各検出器の入力信号に基づいて出力側に接続された各遊技部品を制御する。主制御装置100には、図外の検出回路及び入力ポート介して第一始動検出器200A、第二始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400A;400B、位置決めセンサー500、特別入賞検出器600、及び、排出球検出器700が接続される。
〈開閉体開放制御について〉
主制御装置100は、第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bからの入力信号に基づいて(即ち、作動開始条件が成立したことに基づいて)、開閉体40;40を開閉駆動させるソレノイドSol1;Sol1を駆動制御するとともに、演出制御装置100A及び払出制御装置100Bに対してコマンドを送信する。具体的には、主制御装置100は、第一始動検出器200Aからの入力信号に基づいてソレノイドSol1;Sol1を例えば0.45秒間励磁状態とした後、消磁する。即ち、開閉体40;40を0.45秒間開放状態とした後に閉鎖状態とする。また、第二始動検出器200Bからの入力信号に基づいてソレノイドSol1;Sol1を例えば0・75秒間励磁状態とした後、消磁し、これを再び繰り返す。即ち、開閉体40;40を0.75秒間開放状態とした後に閉鎖状態とし、これを2回繰り返す。
〈賞球払出制御について〉
主制御装置100は、第一始動検出器200A、第二始動検出器200B、一般入賞検出器300及び進入球検出器400A;400Bからの入力信号に基づいて払出コマンドを生成し、払出制御装置100Bに対して送出する。払出コマンドには、遊技球1個の入賞に対する払出個数情報が含まれており、払出制御装置100Bは当該情報に基づいて賞球払出装置150を制御して遊技者に賞球を払いだす。また、払出制御装置100Bには、払出スイッチSW1が接続されており、払出スイッチSW1から出力される賞球カウント数が払出個数情報と一致したときに賞球の払出を停止する。
〈演出制御について〉
主制御装置100は、第一始動検出器200A、第二始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400A;400B及び特別入賞検出器600からの入力信号に基づいてそれぞれ異なる演出コマンドを生成し、演出制御装置100Aに対して送出する。演出制御装置100Aは、主制御装置100からの演出コマンドに基づいて演出基板28、表示灯L及びスピーカSを駆動して遊技者に対して遊技状態を示唆、或いは遊技を盛り上げる演出を行う。
〈通常遊技中のモーター回転制御について〉
以下、図10(a),(b)に基づいて通常遊技中におけるモーターMの回転制御について説明する。なお、通常遊技とは、後述する大当り遊技以外の遊技である。主制御装置100は、第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bからの入力信号の有無を判定し、YESの場合S101に移行し、NOの場合処理をループする(S100)。主制御装置100は、S100における判定がYESとなったことに基づきモーターMに通電し、回転を開始させる(S101)。この時のモーターMの回転速度は例えば1250ppsであって、加速区間を経て高速区間へと移行する。
また、主制御装置100は、カウントタイマーを所定時間(t)にセットして、モーターMの回転開始からの経過時間を計測する(S102,S103)。そして、所定時間を経過した場合(即ち、作動終了条件が成立した場合)にS104に移行し、所定時間経過前である場合にS106に移行する。なお、S104に移行する場合とは、第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bからの入力によって、開閉体40;40が開放動作したが、所定時間内に進入球検出器400A又は400Bによる入力が無かった場合、即ち、躯体30の内部空間R内に遊技球が進入しなかった場合である。
主制御装置100は、位置決めセンサー500からの入力の有無を判定し、YESの場合S105に移行し、NOの場合処理をループする(S104)。主制御装置100は、位置決めセンサー500からの入力に基づいてモーターMの駆動を停止させ、一回の処理を終了する(S105)。上記S104,S105の処理により、S101において回転を開始した振分回転体50は、毎回同じ位置(即ち、原点位置)で停止することとなる。即ち、図6(a)に示すように円形プレート65の切り込み孔66が円周上の一箇所に設けられているため、当該切り込み孔66と正対する振分回転体50の取り込み口53が毎回遊技者に対して正面を向いた状態で停止する。このように、本実施形態では、振分回転体50の取り込み口53が正面を向く位置が原点位置となっており、この位置で毎回停止するようにモーターMの回転制御がなされているのである。
主制御装置100は、S103においてNOと判定された場合、進入球検出器400A又は400Bの入力の有無を判定する。判定がYESの場合、S107に移行し、NOの場合S103に移行する(S106)。主制御装置100は、進入球検出器400A又は400Bからの入力に基づいてモーターMの回転速度を減速させる(S107)。このときのモーターMの回転速度は例えば845ppmであって、減速区間を経て低速区間へと移行する(図10(b)参照)。
主制御装置100は、排出球検出器700からの入力の有無を判定する。判定がYESの場合(即ち、作動終了条件が成立した場合)、S109に移行し、NOの場合処理をループする(S108)。つまり、モーターMの低速回転は、遊技球Pが躯体30内から排出されるまで継続される。主制御装置100は、位置決めセンサー500からの入力の有無を判定し、YESの場合S110に移行し、NOの場合処理をループする(S109)。主制御装置100は、位置決めセンサー500からの入力に基づいてモーターMの駆動を停止させ、一回の処理を終了する(S110)。上記S109,S110の処理により、S101において回転を開始した振分回転体50は、前記同様に毎回同じ位置(即ち、原点位置)で停止することとなる。
以上、S101,S107の処理から明らかなとおり、本発明に係る可変入賞装置1の振分回転体50は、第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bによる遊技球の検出に基づいて高速で回転動作を開始し、進入球検出器400A又は400Bによる遊技球の検出に基づいて回転速度が低速に変化するため、遊技球が躯体30の内部空間R内に進入した時点の振分回転体50の角度が、遊技球が第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bにより検出されてから、進入球検出器400A又は400Bにより検出されるまでの時間(タイムラグ)に依存することとなり、内部空間R内に進入時点の振分回転体50の角度(回転位置)を毎回異なるものとすることが可能となる。
よって、内部空間R内に進入した遊技球が中央落下口70及び側方落下口71のいずれかに偏って誘導されるようなことがなくなり、内部空間R内における遊技球の進路にバラツキを与えることができる。さらに、第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bによる遊技球の検出に基づいて開始されるモーターMの回転速度が速ければ速い程、上記バラツキが顕著なものとなる。
また、進入球検出器400A又は400Bによる遊技球の検出に基づくモーターMの回転速度を第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bによる遊技球に基づくモーターMの回転速度よりも遅くすれば、当初高速で回転していた振分回転体50が遅くなるため、遊技者に対して第一ステージ63上を転動する遊技球が中央落下口70から落下するかも知れないという期待感を増大させることができるため好適である。
さらに、S104,S105の処理、およびS109,S110の処理から明らかなとおり、カウントタイマーにセットされた所定時間(t)が経過したこと(S103でYes)、または、進入球検出器400A;400BがON(S106でYes)となって後に、排出球検出器700がON(S108でYes)となったことの何れかの作動終了条件が成立すると、主制御装置100は、モーターMを直ちに停止するのではなく、位置決めセンサー500からの入力があるまで待ってから、モーターMを停止している。そのため、振分回転体50は、常に、取り込み口53が正面を向いた原点位置で停止しており、次に遊技球Pが始動入賞口2A,2Bに入賞すると、必ず原点位置から回り始めることになる。
よって、本実施形態では、第一始動検出器200Aまたは第二始動検出器200Bが遊技球Pを検出し、同じタイミングで遊技球Pが遊技球進入口34を通過した場合には、振分回転体50の回転位置は、常に同じとなる。即ち、取り込み口53は常に同じ位置まで回転しているのである。これにより、熟練した遊技者、および経験の浅い遊技者のどちらの遊技者が遊技を行っても、始動入賞口2A;2Bに遊技球Pが入賞してから遊技球Pが遊技球進入口34を通過するまでの時間が同じであれば、振分回転体50の角度は同じであるから、その後の遊技球Pの振分先は殆ど同じとなる。このように、本実施形態によれば、可変入賞装置1に進入した遊技球Pが特別領域V1に入って大当りとなる確率は、遊技者の技量に殆ど左右されることなく同じとなるから、経験の浅い遊技者にとっても安心して遊技を楽しむことができるのである。
ここで、遊技球Pが始動入賞口2A;2Bに入賞して、可変入賞装置1を構成する各種装置がどのようなタイミングで作動するかについて、図12を参照しながら説明する。図12に示すように、例えば、第一始動検出器200Aが遊技球Pを検出すると、作動開始条件が成立し、モーターMが反負荷側から見て反時計回り(CCW)に回転を開始する。また、作動開始条件が成立すると、第一始動検出器200Aおよび第二始動検出器200Bの機能は無効となる。具体的には、主制御装置100は、第一始動検出器200Aおよび第二始動検出器200Bによる入力があっても、その入力に基づいて行う各処理を実行しないようにする。
そして、作動開始条件が成立して0.75秒経過したタイミングで、可変入賞装置1が作動して、開閉体40;40を駆動するソレノイドSol1;Sol1が0.45秒間だけオンとなる。つまり、開閉体40;40が0.45秒間だけ開放された状態となる。また、作動開始条件が成立して0.75秒経過したタイミングで特別領域V1が有効となる。なお、この特別領域V1が有効となっている間に遊技球Pが特別領域V1に入ると、後述する大当り遊技が開始されることになる。
開閉体40が開閉動作して、運よく遊技球Pが可変入賞装置1の内部に進入し、その遊技球Pが遊技球進入口34を通過すると、進入球検出器400A,400Bの何れか一方がオンとなる。その後、内部空間R内を転動した遊技球Pが排出通路91を通過すると、排出球検出器700がオンとなって作動終了条件が成立し、この作動終了条件が成立したタイミングで、特別領域V1は無効となる。なお、第一始動検出器200Aが遊技球Pを検出して3秒経過すると、進路変化部75を駆動するためのソレノイドSol2が0.3秒間だけ作動する。
また、作動開始条件が成立して回転を開始したモーターMは、作動終了条件が成立し、さらに、位置決めセンサー500がオンとなったタイミングで停止する。そして、モーターMが停止したタイミングで第一始動検出器200Aおよび第二始動検出器200Bの機能が有効となる。つまり、第一始動検出器200Aおよび第二始動検出器200Bは、第一始動検出器200Aが遊技球Pを検出してから、モーターMが停止するまでの間、無効となっている。そのため、第一始動検出器200Aおよび第二始動検出器200Bが無効となっている間は、たとえ遊技球Pが始動入賞口2A;2Bに入賞しても、開閉体40;40が開閉動作することはなく、賞球が払い出されることもない。
なお、上記例においては、モーターMの回転速度を高速区間、低速区間において一定速度としたが、これに限られるものではなく、図11に示すような速度制御としてもよい。例えば、図11(a)に示すように、高速区間においては加減速を繰り返すような制御を行い、低速区間において一定速度として制御することや、図11(b)に示すように、高速区間を一定速度として制御し、低速区間において加減速を繰り返すような制御を行ってもよい。さらには、上記2つの形態を組み合わせて高速区間、低速区間ともに加減速を繰り返すような制御を行ってもよい。
本形態にあっては、モーターMが加減速を繰り返すように制御されるので、振分回転体50の回転動作が遊技者にとって不規則に変化するものとして視認でき、遊技者に対して第一ステージ63上を転動する遊技球の進路について常にハラハラ感や期待感を持たせることが可能となる。
また、上記形態にあっては、低速区間の平均回転速度が高速区間の平均回転速度よりも遅いので、遊技者に対して第一ステージ63上を転動する遊技球が中央落下口70から落下するかも知れないという期待感を増大させることができる。
なお、上記形態の高速区間と低速区間とを逆にしてもよいが、遊技球が中央落下口70から落下するかも知れないという期待感を増大させるためには、図10(b),図11に示すように進入球検出器400A又は400Bによる遊技球の検出に基づいて回転するモーターMの平均回転速度を第一始動検出器200A又は第二始動検出器200Bによる遊技球の検出に基づいて回転するモーターMの平均回転速度よりも遅くするのが好ましい。
〈大当り遊技について〉
主制御装置100は、内部空間R内に開設された特別領域V1に設けられた特別入賞検出器600により検出信号が入力されると、所定時間経過後に、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技処理を実行する。具体的に主制御装置100は、特別入賞検出器600からの入力に基づいてソレノイドSol1;Sol1を連続的に駆動することにより、開閉体40;40の開閉動作を連続的に行う。
開閉体40;40の開閉動作は、例えば、遊技球の進入球検出器400A又は400Bによる検出数が合計10カウントに達するまで、或いは、開閉体40;40の開閉数の合計が18回に達するまでの内、いずれか早い条件が成立するまでを1ラウンドとして、これを例えば12ラウンド繰り返すことにより行われる。よって、通常遊技の場合と比較して遊技球が進入球検出器400A又は400Bに検出される可能性が飛躍的に向上し、短時間の内に多量の賞球を得ることが可能となる。なお、ラウンド数はこれに限るものではなく、例えば1回,3回,5回,10回,15回等ランダムに設定してもよい。
また、ラウンド中において振分回転体50はS110の処理における原点で停止しており、ラウンド間においてのみ回転動作する。当該ラウンド間における回転動作は、遊技者に対して次回のラウンドが開始されることを認識させるために行われる演出動作であって、遊技球の進入球検出器400A又は400Bによる検出数が合計10カウントに達した時、又は開閉体40;40の開閉数の合計が18回に達した時に回転を開始し、次回のラウンド開始前に原点で停止する。
また、主制御装置100は、大当り遊技中において、ソレノイドSol2を通電状態とすることにより進路変化部75が前側に傾動した状態を維持し、第一ステージ63上を転動する遊技球が中央落下口70から第二ステージ64に落下し易いように側方落下口71を封鎖する。即ち、進路変化部75が前側に傾動した状態となることにより、上側変化部77が側方落下口71;71上において前側に突出して遊技球の進入を阻止するため、大当り遊技中において第一ステージ63上には遊技球が滞留し易い状態となる。そして、滞留した遊技球は、停止中の振分回転体50の取り込み口53を通過して中央落下口70から第二ステージ64上へと落下することとなるため、特別領域V1に取り込まれ易くなる。
なお、進路変化部75の傾動維持動作は、ラウンド開始後の開閉体40;40の開閉動作が10回に達するまで継続され、11回目から18回目までは、ソレノイドSol2が非通電状態とされる。よって、開閉体40;40の開閉動作が10回に到達するまでに、特別領域V1によって遊技球が取り込まれない場合、以降の第一ステージ63上を転動する遊技球は、側方落下口71から落下する可能性が高くなる。
また、主制御装置100は、ラウンドが継続している途中又は終了後から所定時間内に、特別入賞検出器600から検出信号の入力があったか否かを判定(継続判定)し、入力があった場合は、所定時間経過後に再度ソレノイドSol1;Sol1を駆動し、次回のラウンドを開始する。そして、当該処理を最高継続回数(本例では12ラウンド)に達するまで繰り返し行い、最高継続回数に達したときに通常の遊技に復帰する。
一方で、特別入賞検出器600からの検出信号の入力がない場合は、予め設定された最高継続回数に到達する以前であっても大当り遊技を終了し、通常の遊技状態に復帰する(パンク処理)。なお、主制御装置100による継続判定を実行せず、予め設定された最高継続回数に到達するまでは遊技者にとって有利な遊技状態となる処理を必ず繰り返す構成としてもよい。
ここで、大当り遊技の最終ラウンドにおけるモーターMの回転の制御について、図13を参照しながら説明を補足する。大当り遊技の最終ラウンドが開始されると、可変入賞装置1が作動して、開閉体40;40を駆動するソレノイドSol1が0.75秒間だけオンとなる動作を最大で18回繰り返す。つまり、開閉体40が0.75秒間だけ開放された状態が最大18回繰り返される。また、最終ラウンドの開始と同じタイミングで、特別領域V1が有効となると共に、進路変化部75を駆動するためのソレノイドSol2がオンとなる。
開閉体40;40が開閉動作している間に、進入球検出器400A;400Bのカウントが10個(即ち、遊技球進入口34を通過した遊技球Pの数が10個)になるか、開閉体40が18回目の開閉動作を終了するかの何れかの作動開始条件が成立すると、大当り遊技は終了となるため可変入賞装置1の作動は停止される。それと同時に、モーターMは回転を開始する。そして、排出球検出器700のカウントが10個(排出通路91を通過した遊技球Pの数が10個)になると作動終了条件が成立するので、モーターMは、位置決めセンサー500がオンとなったタイミングで停止する。モーターMが停止すると、そのタイミングで第一始動検出器200Aおよび第二始動検出器200Bの機能が有効となる。つまり、第一始動検出器200Aおよび第二始動検出器200Bは、大当り遊技中は、その機能が無効となっており、大当り遊技の最終ラウンドが終了して、モーターMが停止すると有効となる。
このように、本実施形態例では、大当りの最終ラウンドにおいても、モーターMは、振分回転体50を原点位置まで回転させてから停止するため、大当り後に新たに始動入賞口2A;2Bに遊技球Pが入賞した場合であっても、振分回転体50は、常に、原点位置から回転を開始することができる。よって、遊技者は、大当り遊技後も安心して遊技を楽しむことができるのである。
なお、上記した実施形態例では、モーターMの回転速度を回転開始から停止までの間で途中変化する構成を示したが、モーターMの回転速度を回転開始から停止まで予め定めた一定とする構成にしても良い。
また、上記した実施形態例では、第一始動検出器200Aまたは第二始動検出器200Bが遊技球を検出したことを契機にソレノイドSol1:Sol1をオンにして開閉体40;40を開閉動作する構成のパチンコ機を例に挙げて、モーターMの回転をどのように制御しているかを説明したが、第一始動検出器200Aまたは第二始動検出器200Bが遊技球を検出したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行い、当該電子抽選で小当たりに当選した場合に、開閉体40;40を開閉動作する構成のパチンコ機(所謂、特図を搭載した羽根モノ)についても、同じようにモーターMの回転と停止の制御、および、始動検出器200A,200Bを無効とする処理を行うことができる。
具体的には、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に設けられた始動口と、この始動口に遊技球が入賞したことを検出する始動検出器と、この始動検出器による遊技球の検出を契機に特別図柄に係る抽選を行う電子抽選手段と、この電子抽選手段による抽選の結果を、特別図柄を所定時間変動させた後に停止させる表示態様によって表示する特別図柄表示装置と、特別図柄の変動中に前記始動検出器が遊技球を検出した場合に、その検出により発生した前記電子抽選手段による抽選の権利を所定の上限個数まで記憶する保留記憶手段と、前記遊技領域に設けられ、前記電子抽選手段による抽選の結果が当たりである場合に作動する可変入賞装置と、遊技に関する各種処理を行うと共に前記可変入賞装置の作動の制御を行う制御装置とを備えたパチンコ機についても、上記した実施形態例と同様に、前記可変入賞装置は、遊技球が進入する遊技球進入口、この遊技球進入口を通過した遊技球を受け入れる内部空間、この内部空間にある遊技球を外部に排出する排出通路を有して成る躯体と、前記遊技球進入口を開閉する開閉体と、前記遊技球進入口を通過する遊技球を検出する進入球検出器と、前記排出通路を通過する遊技球を検出する排出球検出器と、遊技球が通過可能な複数の振分け孔を有し、前記遊技球進入口から進入した遊技球の前記内部空間内における進路を振り分ける回転体と、この回転体を駆動するモーターとを備えるようにしておき、前記制御装置は、前記電子抽選手段による抽選の結果が当たりであることに基づいて特別図柄の変動が開始したことを作動開始条件とし、この作動開始条件が成立したことに基づいて前記モーターを回転させ、前記電子抽選手段による抽選の結果が当たりであって、前記特別図柄表示装置に前記当たりを示す表示態様で特別図柄が停止表示されたことを条件に、前記開閉体を開閉動作させ、予め定めた作動終了条件が成立したことに基づき、前記回転体が原点位置に復帰するまで前記モーターを回転させた後に、その回転を停止するよう制御し、さらに、前記作動開始条件が成立してから前記モーターが停止するまでの間、前記始動検出器の機能を無効とする処理を行うようにすれば良い。
このとき、前記予め定めた作動終了条件は、前記作動開始条件が成立してから所定時間が経過するまで前記進入球検出器による遊技球の検出がないこと、または、前記進入球検出器が遊技球を検出した後に前記排出球検出器が遊技球を検出したことに設定すれば良い。
なお、このような特図を搭載した羽根モノのパチンコ機では、電子抽選手段による抽選の結果がハズレである場合には、モーターを回転させないようにしておくのが好ましい。ハズレの場合にモーターを回転させてしまうと、開閉体は開閉動作しないにも拘わらず、回転体が原点位置に復帰するまで次の遊技を待たせることになり、遊技の進行が妨げられてしまうからである。
また、特別図柄の変動時間は、例えば0.1秒のように短時間で一定の時間とするのが好ましい。特別図柄の変動時間が長いと、開閉体が開閉するまで長時間待たされることになり、遊技が遅延してしまうからである。また、電子抽選手段が行う抽選に当選する確率は適宜に設定できるが、始動口に遊技球が入賞した場合にほぼ開閉体を開閉動作させたい場合には、例えば、当選確率を99.9%に設定しておけば良い。
以上、本発明を実施の形態に基いてを説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。