JP5924337B2 - 微細構造転写フィルムの製造方法および製造装置 - Google Patents

微細構造転写フィルムの製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性フィルムの表面に微細な凹凸パターン構造を転写することにより微細構造転写フィルムを製造する方法およびその装置に関する。本方法により得られた微細構造転写フィルムは、拡散、集光、反射、透過等の光学的な機能を有する光学フィルム等、ミクロンサイズからナノサイズの微細構造をその表面に必要とする部材として用いられる。
プリズムシート、光拡散シート、レンズシート等の光学フィルムに用いられる光学フィルムの製造方法として、表面に微細な凹凸パターンが形成されているベルト状の金型の表面に、フィルムを押圧し、該フィルムの表面に金型の微細な凹凸パターンを転写する方法がある。そして、長尺の熱可塑性材料からなるフィルムに適用可能で、巻き出しから転写工程を経て巻き取りまで連続的に処理される方法または装置が提案されている。
特許文献1に、微細構造を表面に形成したエンドレスベルトからなる金型を適用して、加熱した金型に熱可塑性樹脂からなるフィルムを押圧してフィルム表面に微細凹凸構造を形成した後、金型を冷却してからフィルムを剥離する方法が記載されている。金型の加熱および冷却は、エンドレスベルトからなる金型を加熱ロールおよび冷却ロールと接触させることにより行われ、フィルムへの微細構造の転写は、加熱ロールと、加熱ロールと対向するニップロールとの間にエンドレスベルトからなる金型とフィルムを挟圧することにより行われている。この構造では、転写時の温度と、剥離時の温度を独立に制御できるので、転写時の金型温度を高く設定しても、剥離性が問題とならないので、高い精度での微細凹凸構造の転写が可能である。
特許第4450078号公報
しかしながら、特許文献1に記載の微細構造転写フィルムの製造方法において、より高い転写性を速い搬送速度で得るために、加熱ロールを高温にして搬送したところ、高温となったフィルムが軟化しすぎて、幅方向で均一な張力状態を維持できずに、加圧部でフィルムが急激に蛇行して、転写フィルムを安定的に連続成形できなくなるという問題が発生した。
本発明の目的は上記の先行技術の課題を解決することであり、熱可塑性樹脂からなるフィルムに、表面に微細構造を形成したエンドレスベルトからなる金型を押し当てて、フィルムの表面に微細構造を連続的に転写する微細構造転写フィルムの製造方法および製造装置において、高精度な形状転写を高速で行う場合にも、フィルムを蛇行させることなく、安定的に搬送できる微細構造転写フィルムの製造方法および製造装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)加熱ロールと冷却ロールに懸架された表面に微細構造を有するエンドレスベルト状の転写金型を有する微細構造転写フィルムの製造装置を用い、少なくとも一方の面に被転写層を有するフィルムを、少なくとも以下の[I]〜[V]の工程を以下の[A1]または[A2]を満たす条件の下でこの順に通すことにより加工する微細構造転写フィルムの製造方法。
[I]表面に微細構造が形成されたエンドレスベルト状の金型を、加熱された加熱ロールに抱かせながら加熱する金型加熱工程
[II]フィルムの転写側表面と前記金型の微細構造表面とを密着させた状態で、前記加熱ロールを含む一対のロールによりニップ加圧する加圧転写工程
[III]加圧後の前記金型と前記フィルムを密着させたまま冷却ゾーンまで搬送する搬送工程
[IV]前記冷却ゾーンで金型とフィルムを密着させたまま金型側から冷却する冷却工程
[V]冷却後の金型とフィルムとを剥離する剥離工程
[A1]前記フィルムの幅が、前記金型の幅よりも広く、かつ、前記加圧転写工程において、前記フィルムの幅方向両端部が前記加熱ロールに対し離間している。
[A2]前記金型の幅が、前記フィルムの幅よりも広く、かつ、前記加圧転写工程において、前記フィルムが加圧される領域の幅が、前記フィルムの幅よりも狭い。
(2)さらに以下の[B][C]の制御の下で加工を行う(1)に記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
[B]前記冷却ロールに、前記金型の搬送方向の位置を調整する手段と、前記金型に加わる張力を検出する手段とを設置し、前記金型に加わる張力を常に所定の範囲内となるように、前記冷却ロールの位置を制御する。
[C]前記金型に幅方向の位置を検出する蛇行検出センサーと、前記冷却ロールの角度を調整する手段とを設置し、前記金型の幅方向の位置が常に所定の範囲内となるように、前記冷却ロールの角度を制御する。
(3)前記剥離工程において金型からフィルムを剥離する剥離ロールを、前記冷却ロールの角度の調整に追従して、前記冷却ロールとの平行度を保持するように動作させる(2)に記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
(4)前記冷却ロールの角度を調整する手段が、前記冷却ロールを支持する一方あるいは両方の軸受を、前記金型の搬送方向に移動させるものである(2)または(3)に記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
(5)前記冷却ロールの角度調整の分解能が0.005度以下である(2)〜(4)のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
(6)前記加圧転写工程において、前記金型の幅方向両端で、幅方向外側に向って徐々に圧力を低下させる(1)〜(5)のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
(7)前記金型加熱工程において、加熱後の金型表面温度をフィルムのTg+50℃からTg+100℃の範囲に、
前記加圧転写工程において、フィルムに負荷される線圧を400kN/m以上に、
前記冷却工程において、冷却後の金型表面温度をフィルムのTg−40℃からTg−100℃の範囲に調整する(1)〜(6)のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
(8)加熱ロールと冷却ロールに懸架された表面に微細構造を有するエンドレスベルト状の転写金型を有する微細構造転写フィルムの製造装置であって、少なくとも以下の[i]〜[v]の基本構成を有し、以下の[a1]または[a2]を満たす微細構造転写フィルムの製造装置。
[i]転写金型の背面に接する加熱ロールに設けられた加熱手段
[ii]前記加熱ロールと、加熱ロールと平行に配置され、表面が弾性体に覆われたニップロールと、前記両ロールを用いた挟圧機構とを少なくとも備えた加圧手段
[iii]前記転写金型の背面に接する冷却ロールに設けられた冷却手段
[iv]前記加熱ロールおよび前記冷却ロールを回転させて、前記転写金型を搬送する搬送手段
[v]前記冷却ロールに近接して平行に配置され、前記冷却ロールと逆方向に回転する剥離ロールを少なくとも備えた剥離手段
[a1]前記加熱ロールと前記金型との接触部の幅方向両端部において、幅方向外側でロール径が小さくなるように前記加熱ロールの表面に段差を有する。
[a2]前記金型の幅が、前記ニップロール加圧部の幅よりも広い。
(9)さらに以下の[b][c]の制御手段を有する(8)に記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
[b]前記金型を懸架する冷却ロールが前記金型の搬送方向にスライド可能な架台に設置されており、前記架台と前記架台をスライドさせる可動手段が荷重検出器を介して連結されており、前記荷重検出器から得られる前記金型に加わる張力が常に所定の範囲内となるように前記可動手段による前記架台のスライド量を調整する制御手段。
[c]前記金型の幅方向位置を検出する蛇行検出センサーと、前記架台に設置された前記冷却ロールの角度を調整するロール傾動手段が設置されており、前記蛇行検出センサーから得られる前記金型の幅方向位置が常に所定の範囲内となるように前記冷却ロールの傾動量を調整する制御手段。
(10)前記冷却ロールと近接して配置される前記剥離ロールのロール傾動手段が、前記冷却ロールと同じロール傾動手段である(9)に記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
(11)前記ニップロールの表面の弾性体のゴム硬度が、ASTM D2240:2005規格で70〜97°である(8)〜(10)のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
(12)前記加熱ロールの幅方向両端部において、ロール径が幅方向外側に向かって徐々に小さくなる(8)〜(11)のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
(13)前記金型の幅方向両端部において、金型の厚みが幅方向外側に向かって徐々に小さくなる(8)〜(11)のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
(14)前記ニップロールの幅方向両端部において、ロール径が幅方向外側に向かって徐々に小さくなる(8)〜(11)のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
本発明によれば、熱可塑性樹脂からなるフィルムに、表面に微細構造を形成したエンドレスベルトからなる金型を押し当てて、フィルムの表面に微細構造を連続的に転写する微細構造転写フィルムの製造方法および製造装置において、高精度な形状転写を高速で行う場合にも、フィルムを蛇行させることなく、安定的に搬送することにより、高い生産性で高性能な転写フィルムを製造することができる。
本発明の微細構造転写フィルム製造装置の一実施形態を、成形用フィルム幅方向から見た概略図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置の一実施形態において、加熱ロールと、加熱ロールに対向するニップロールにより、成形用フィルムが金型に押圧される構造を、成形用フィルムの搬送方向から見た概略図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置の別の実施形態において、加熱ロールと、加熱ロールに対向するニップロールにより、成形用フィルムが金型に押圧される構造を、成形用フィルムの搬送方向から見た概略図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置における、金型の張力制御および蛇行防止機構の第1の実施形態を示す概略平面図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置における、金型の張力制御および蛇行防止機構の第1の実施形態を、成形用フィルム幅方向から見た概略図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置における、金型の張力制御および蛇行防止機構の第2の実施形態を示す概略平面図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置における、金型の張力制御および蛇行防止機構の第3の実施形態を示す概略平面図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置における、金型の張力制御および蛇行防止機構の第3の実施形態を、成形用フィルム幅方向から見た概略図である。 蛇行検出センサーによる金型の幅方向位置測定方法の概略図である。 本発明の一実施形態における、ニップロール表面の弾性層の変形量を示すための概略図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置の別の実施形態において、加熱ロールの金型を懸架する部分の両端部において、ロール径が幅方向外側に向かって徐々に小さくなる時の、成形用フィルムが金型に押圧される構造を示す概略図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置の別の実施形態において、金型の幅方向両端部において、金型の厚みが幅方向外側に向かって徐々に小さくなる時の、成形用フィルムが金型に押圧される構造を示す概略図である。 本発明の微細構造転写フィルム製造装置の別の実施形態において、ニップロールの幅方向両端部において、ロール径が幅方向外側に向かって徐々に小さくなる時の、成形用フィルムが金型に押圧される構造を示す概略図である。
本発明の微細構造転写フィルムの製造装置は、表面に微細構造が形成されたエンドレスベルト状の金型と、前記金型を加熱するための加熱ロールと、加熱ロールと平行に配置され、表面が弾性体に覆われたニップロールと、前記両ロールを用いた挟圧手段とを少なくとも備えた加圧機構と、前記金型を冷却するための冷却ロールと、金型に密着したフィルムを剥がすための剥離機構と、前記加熱ロールおよび前記冷却ロールを回転させて、前記金型を搬送する搬送機構と、を少なくとも備えた微細構造転写フィルムの製造装置であって、
前記加熱ロールと前記金型との接触部の幅方向両端部において、幅方向外側でロール径が小さくなるように前記加熱ロールの表面に段差を有すること、または、前記金型の幅が前記ニップロール加圧部の幅よりも広くなっていること、を特徴とするものである。
図1に、本発明の実施形態の一例を示す、微細構造転写フィルムの製造装置1を成形用フィルム幅方向から見た概略断面図を示す。
図1に示すように、本発明の微細構造転写フィルムの製造装置1は、前記のエンドレスベルト状である金型3と、該金型3を懸架する加熱ロール4と冷却ロール5と、加熱ロール4と平行に配置され、フィルムを加圧成形するニップロール6と、成形後のフィルムを金型3より剥離する剥離機構たる剥離ロール7を備えている。そして加熱ロール4とニップロール6は、両ロールで金型3と成形用フィルム2とを積層した状態で挟んで加圧するために、少なくともどちらか一方が押圧手段12に接続され、加圧機構として構成されている。また、加熱ロール4と冷却ロール5に懸架した金型3を周回させるように搬送するための搬送機構として、加熱ロール4および/または冷却ロール5を回転駆動する駆動手段を備えている。また、成形用フィルム2の搬送装置として、巻出ロール8、巻取ロール9を備えており、さらに、必要に応じて図示しないガイドロールを1本ないしは複数本備えている。
微細構造転写フィルム製造装置1の動作としては、巻出ロール8より巻き出された成形用フィルム2が、加熱ロール4により加熱された金型3上に供給されると同時に、ニップロール6により金型3の微細構造面3aに押し付けられ、フィルム2の成形面2aに金型3の表面の形状に対応する形状、すなわち金型3の微細構造とは逆パターンの微細構造が転写成形され、その後、フィルム2は金型3と密着したまま搬送され、冷却ロール5によって冷却され、剥離ロール7によって金型3から剥離され、巻取ロール9に巻き取られる。この動作が連続的に行われる。
本発明の特徴部分である、加熱ロール4と、加熱ロール4と対となるニップロール6により、成形用フィルム2が挟圧される加圧成形部の装置構成について、図2、3を用いて説明する。
図2は成形用フィルム2の幅を金型3の幅より広くし、かつ、加熱ロール4の両端に段差4aを設けた場合の構造を示す模式図である。加圧転写工程において、高温に加熱された金型3の微細構造面3aにニップロール6が直接接触すると、ニップロール6表面の弾性層10の熱損傷や、微細構造面3aのキズの発生といった問題が生じるため、それを防止するためにフィルム2の幅を金型3の幅より広くすることが好ましい。そして段差4aを設けることで、フィルム2の両端部が加熱ロール4と離間するため、フィルム2と加熱ロール4が局所的に粘着することなく、フィルム2の蛇行を抑え安定した搬送が可能となる。
また、図3は金型3の幅を成形用フィルム2の幅より広くし、かつ、ニップロール6によって加圧される領域の幅をフィルム2の幅より狭くした場合の模式図である。図2の構成とは反対に、フィルム2の幅をニップロール6の加圧領域の幅より広くすることで、金型3の微細構造面3aとニップロール6が直接接触することによるニップロール6の弾性層10の熱損傷を防止する。そして金型3の幅をフィルム2の幅より広くすることで、フィルム2が全面で金型3に支持されるために、フィルム2と加熱ロール4の局所的な粘着が防止され、その結果、図2の構成と同様にフィルム2の蛇行を抑え安定した搬送が可能となる。
従来技術では、一般的に金型3の幅よりもニップロール6の加圧領域の幅を広く取り、成形用フィルム2の幅を金型3の幅より広くすることで、高温に加熱された金型3の微細構造面3aにニップロール6が直接接触することを防止してきた。しかしながら、その場合、金型3および加熱ロール4を高温に加熱して搬送したときに、金型3より幅方向外側の領域で加熱ロール4とフィルム2が局所的に粘着し、フィルム2の搬送張力を幅方向で不均一にさせてしまい、フィルム2の蛇行を引き起こすことを発明者らは突き止めた。
本発明は、成形用フィルム2、金型3、加熱ロール4およびニップロール6について、加圧成形部におけるそれぞれの幅を決められた大小関係となるようにすることで、金型3および加熱ロール4を高温にして連続転写させてもフィルム2と加熱ロール4が粘着することなく、連続的に安定した張力状態で搬送を行える。その結果、従来よりも高温または高速でフィルムを搬送することが可能となり、より高精度な転写精度の実現あるいは高速搬送による生産性向上の効果をもたらすことができる。
また、成形用フィルム2の蛇行防止においては、フィルム2だけでなく金型3の蛇行も防止することが好ましい。加圧転写工程後のフィルム2と金型3が密着したまま搬送する搬送工程において、金型3が蛇行すると金型3に支持されたフィルム2も一緒に蛇行してしまい、それにより金型3から離型した後の搬送が不安定となる場合があるためである。発明者らは、エンドレスベルトからなる金型3を加熱する加熱工程において、金型3の熱膨張によって金型3に加わる張力が弱まりたるみが生じること、そして、金型3の幅方向で温度ムラが存在すると、熱膨張のばらつきにより金型3の幅方向の張力が不均一となって蛇行が発生するということを突き止めた。そこで金型3の蛇行を防止するために、金型3を懸架する一方のロールである冷却ロール5に、金型3に加わる張力および金型3の幅方向位置を検出し、制御する金型蛇行防止機構を備えた構成例を図で説明する。なお、制御は手動、自動いずれでもよいが、自動が好ましい。
図4に加熱ロール4と冷却ロール5に懸架された金型3について、その張力変動および蛇行を検出し、制御する金型蛇行防止機構の第1の構成例の概略平面図を、図5に同構成例をフィルム幅方向から見た概略図を、図9に金型3の蛇行を検出する蛇行検出センサー24による、金型の幅方向位置測定方法の概略図を示す。
エンドレスベルト状の金型3が加熱ロール4と冷却ロール5に懸架され、冷却ロール5は金型の搬送方向に平行にスライド移動可能な架台15上に設置されている。架台15の移動によって加熱ロール4と冷却ロール5の間の距離が変化し、金型3に加わる張力が変化する。架台15の移動はサーボモーター17と送りねじ18を組み合わせた可動手段19によってなされ、架台15と可動手段19は荷重検出器20を介して連結されている。金型3に加わる張力はこの荷重検出器20によって検出され、この検出された値が定められた範囲内となるように可動手段19の移動量が制御され、金型3の張力が一定に保たれる。
そして、冷却ロール5の両端を支持する軸受13、14のうち、少なくとも一方の軸受14を架台15上で金型3の搬送方向に平行移動可能とする。軸受14の移動はサーボモーター21と送りねじ22を組み合わせた可動手段23によってなされ、金型3の幅方向位置が蛇行によってずれた際には、この軸受14の移動によって冷却ロール5が軸受13を支点に傾動し、金型3の幅方向位置が中心となるように修正する。金型3の幅方向位置のずれは蛇行検出センサー24によって検出され、そのずれ量に応じて可動手段23の移動量、すなわち、冷却ロール5の傾動量が制御され、冷却ロール5の傾動により金型3の幅方向位置が常に中心で維持される。
以上の金型蛇行防止機構により、金型3の熱膨張による張力のたるみや、幅方向の温度ムラによる張力不均一を起因とした金型3の蛇行が防止される。そして、その結果、加圧転写工程後の搬送工程においてフィルム2が金型3に追従して蛇行することがなく、高精度な微細構造転写フィルムをより安定して高い生産性で成形することが可能となる。
なお、架台15を移動させる可動手段として、サーボモーターと送りねじでなく、油圧や空気圧を作動流体とする流体圧シリンダを用いても良い。図6に本発明の第2の構成例における概略平面図を示す。架台15と流体圧シリンダ25が荷重検出器20を介して連結されており、荷重検出器20にて検出された値に応じて流体圧シリンダ25の圧力が制御される。可動手段に流体圧シリンダを使用する場合も荷重検出器を連結する理由は、シリンダの劣化による摺動抵抗の変動や作動流体の圧力不安定によらずに金型の張力を一定にするため、および、金型の張力を視覚的にわかりやすく表示するためである。また、図6の構成例は、冷却ロール5を支持する軸受13、14の両方をそれぞれ架台15上で移動可能とした場合を示す。これにより、一方の軸受のみを移動可能とした場合よりも、より微細な精度で冷却ロール5の角度を調整することが可能となる。
また、金型3の蛇行防止において冷却ロール5を傾動させた際には、冷却ロール5と近接する剥離ロール7も追従して傾動させ、冷却ロール5と剥離ロール7が常に平行を保つようにすることがさらに望ましい。冷却ロール5に対して剥離ロール7が傾いていた場合、金型3より成形用フィルム2が剥離するときの剥離位置が幅方向で異なり、フィルム2の幅方向で剥離温度ムラが生じるたり、剥離張力の不均一によるフィルム2や金型3の蛇行が発生する場合がある。冷却ロール5の傾動に剥離ロール7を追従させるための構成例を図で説明する。
本発明の金型の張力制御および蛇行防止機構の第3の構成例の概略平面図を図7に、フィルム幅方向から見た概略図を図8に示す。
剥離ロール7が架台15上に冷却ロール5と近接して平行に設置され、剥離ロール7を支持する軸受26、27のうちの少なくとも一方の軸受27が、冷却ロール5を支持する一方の軸受14とともに、サーボモーター21と送りねじ22からなる可動手段23によって、架台15上で金型3の搬送方向に平行移動可能とされている。これにより、金型3の蛇行防止のために冷却ロール5を傾動させたときに、冷却ロール5と同じロール傾動手段に接続された剥離ロール7が、冷却ロール5に追従して傾動するために両ロールが常に平行を保たれ、その結果、フィルム2は幅方向に均一な温度および剥離張力で剥離される。
ただし、このときの注意点として、剥離ロール7の支点間距離が冷却ロール5の支点間距離と等しく、かつ、両ロールの中心が金型3の幅方向中心断面上に位置するように設置される必要がある。これらが満たされないとき、可動手段23を用いて冷却ロール5と剥離ロール7を傾動させたときに、両ロールの傾く角度が異なり平行が保たれない。
なお、図7、8において剥離ロール7は成形用フィルム2の冷却ロール5に対する抱き付き角が90度となるように配置されているが、0〜180度の範囲であれば他の位置に配置されていても良い。成形用フィルム2の冷却ロール5に対する抱き付き角が大きくなるほど、フィルム2が冷却される時間が長くなり、フィルム2を十分に冷やすことが可能となる。
以下に本発明の特徴である加圧成形部を構成する加熱ロール4およびニップロール6について説明する。
ニップロール6は芯層の外表面に弾性層10を被覆した構造である。芯層は、強度および加工精度が求められ、例えば鋼や繊維強化樹脂、セラミックス、アルミ合金などが適用される。また、弾性層10は、押圧力により変形する層であり、ゴムに代表される樹脂層もしくはエラストマー材質が好ましく適用される。芯層はその両端部で軸受11によって回転支持されており、さらに前記軸受11は、シリンダなどの押圧手段12と接続されている。ニップロール6はこの押圧手段12のストロークにより開閉し、成形用フィルム2を挟圧または開放する。
また、ニップロール6は所望のプロセスやフィルム材質に合わせて、温調機構を有しても良い。温調機構としては、ロール内部を中空にしてカートリッジヒーターや誘導加熱装置を埋め込んだり、内部に流路を加工して油や水、蒸気等の熱媒を流すことにより、ロール内部から加熱する構造でも良い。また、ロール外表面付近に赤外線加熱ヒーターを設置して、ロール外表面から加熱する構造でも良い。
ニップロール6の加工精度は、JIS B 0621(改訂年1984)にて定義される円筒度公差において0.03mm以下、円周振れ公差において0.03mm以下であることが好ましい。これらの値が大きくなりすぎると、挟圧時の加熱ロール4とニップロール6の間に部分的な隙間ができるため、成形用フィルム2を均一に押圧できなくなり、フィルム2の成形面2aに転写ムラが生じる場合がある。また、弾性層10の表面粗さは、JIS
B 0601(改訂年2001)にて定義される、算術平均粗さRaが1.6μm以下のものが好ましい。Raが1.6μmを超えると、押圧時にフィルム2の裏面に弾性層11の表面形状が転写してしまう場合があるためである。
ニップロール6の弾性層10の耐熱性は、160℃以上の耐熱温度を有するものが好ましく、さらに好ましくは180℃以上の耐熱温度を有するものが好ましい。ここで耐熱温度とはその温度で24時間放置したときの引張強さの変化率が10%を超えるときの温度を言う。
弾性層10の材質としては、例えばゴムを用いる場合には、シリコーンゴムやEDPM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ネオプレン、CSM(クロロスルホン化ポリエチレンゴム)、ウレタンゴム、NBR(ニトリルゴム)、エボナイトなどを用いることができる。更に高い弾性率と硬度を求める場合には、カレンダーローラ用樹脂としてゴムメーカ各社から上記ゴムに特殊な処方を用いたものや、じん性を向上させた硬質耐圧樹脂(例:ポリエステル樹脂)を用いることができる。
図10は押圧力が与えられたときのニップロール6のみを取り出して、成形用フィルム2の幅方向から見た概略図である。このとき、弾性層10の厚さ方向には変形量δが発生し、これにともないニップロール6と成形用フィルム2は接触幅Bをもって接触する。弾性層10の変形量δを制御するために、好ましくは弾性層10のゴム硬度がASTM
D2240:2005(ショアD)規格で70〜97°の範囲であることが好ましい。なぜなら、硬度が70°を下回ると弾性層11の変形量δが大きくなり、フィルム2との接触幅Bが大きくなりすぎて、微細構造の転写に必要な圧力を確保することができなくなる恐れがあり、また硬度が97°を超えると、逆に該層の変形量δが小さくなり、接触幅Bが小さくなりすぎて、微細構造の転写に必要な押圧時間が確保できない恐れがあるためである。
次にニップロール6と対向して成形用フィルム2および金型3を挟圧する加熱ロール4について説明する。
加熱ロール4はニップ時に荷重を受けるので、強度および加工精度が求められ、さらに加熱手段を含む。材質としては、例えば鋼や繊維強化樹脂、セラミックス、アルミ合金などが考えられる。また、加熱手段としては内部を中空にしてカートリッジヒーターや誘導加熱装置を設置したり、内部に流路を加工して油や水、蒸気等の熱媒を流すことにより、ロール内部から加熱する構造でも良い。また、ロール外表面付近に赤外線加熱ヒーターや誘導加熱装置を設置して、ロール外表面から加熱する構造でも良い。
加熱ロール4の加工精度も、前述したニップロール6と同じく、JIS B 0621(改訂年1984)にて定義される円筒度公差において0.03mm以下、円周振れ公差において0.03mm以下であることが好ましい。これらの値が大きくなりすぎると、挟圧時の加熱ロール4とニップロール6の間に部分的な隙間ができるため、成形用フィルム2を均一に押圧できなくなり、フィルム2の成形面2aに転写ムラが生じる場合がある。また、加熱ロール4の表面粗さは、JIS
B 0601(改訂年2001)にて定義される、算術平均粗さRaが0.2μm以下のものが好ましい。Raが0.2μmを超えると、金型3の裏面に加熱ロール4の形状が転写し、さらにそれがフィルム2の成形面2aに転写してしまう場合があるためである。
加熱ロール4の表面には、硬質クロムめっき、セラミック溶射、ダイヤモンド・ライク・カーボン・コーティングなどの高硬度皮膜の形成処理を施すことが好ましい。なぜなら、加熱ロール4は常に金型3と接触しているうえ、ニップロール6による押圧力を受けるため、その表面は非常に磨耗しやすく、加熱ロール4の表面が磨耗したり、傷がはいったりすると、前述したような成形用フィルム2の転写ムラや、フィルム2の成形面2aへのロール表面形状の転写といった問題が生じるためである。
そして、本発明の特徴である加圧成形部の構成として、加熱ロール4とニップロール6で成形用フィルム2および金型3を密着させて挟圧する加圧転写工程において、以下の(1)または(2)の条件を満たす構成とする。すなわち、
(1)成形用フィルム2の幅が金型3の幅よりも広く、かつ、加圧転写工程において成形用フィルム2の幅方向両端部が加熱ロール4に対し離間している。
(2)金型3の幅が成形用フィルム2の幅よりも広く、かつ、加圧転写工程において成形用フィルム2が加圧される領域の幅が、成形用フィルム2の幅よりも狭い。
以下に本発明の加圧成形部の構成について図2、3を用いて詳細に説明する。なお、図2、3においては成形用フィルム2が加圧される領域の幅をW、加圧される領域の端から成形用フィルム2の端部までの長さをvと定義しており、図2のように金型3の幅がニップロール6の幅より狭い場合は金型3の幅がWとなり、図3のようにニップロール6の幅が金型3の幅より狭い場合は、ニップロール6の幅がWとなる。
(1)の条件を満たす場合の加圧成形部の構成を図2を用いて説明する。図2に示すように、成形用フィルム2の幅を金型3の幅、すなわちフィルム2が加圧される領域の幅Wより長くする。この理由は、高温に加熱された金型3の微細構造面3aにニップロール6が直接接触することによる、ニップロール6表面の弾性層10の熱損傷や、金型の微細構造面3aのキズの発生を防止するためである。そして、金型3の幅方向端部から、フィルム2の幅方向端部までの長さvは5〜15mmの範囲とすることが好ましい。なぜならvが5mmを下回ると、フィルム2の搬送中に自然に発生しうるわずかな蛇行により、金型3とニップロール6が直接接触する恐れがあるためである。一方、vが15mmを上回ると、フィルム2の面積に対して得られる微細構造転写フィルムの面積が小さくなり、収率の低下が顕著となるため好ましくない。
そして、加熱ロール4の表面構造として、成形用フィルム2の端部において、フィルム2と加熱ロール4が接触しないように離間された領域を設ける。離間させる手段としては段差4aを設ける。段差の高低差(離間距離)Hは10〜30mmの範囲内とすることが好ましく、金型3の端部から段差4aまでの距離uは1〜3mmの範囲内とすることが好ましい。
発明者らは、本発明に適用される高圧力条件を適用したプロセスでは、成形用フィルム2が加圧部の端部で屈曲する現象が顕著になることを突き止めた。そこで加熱ロール4に段差4aを設けることにより、屈曲現象により撓んだフィルム端部が加熱ロール4に接触および粘着を抑制することができる。フィルム2はニップロール6により非転写面の幅方向全面に渡って押圧力を受けるのに対し、転写面は金型3の範囲でのみ支持される。このとき、フィルム2の金型3よりも幅方向外側の領域に、金型3の幅方向端部を支点とした曲げモーメントが発生し、それにより、図2に示すように成形用フィルム2の端部は加熱ロール4側に向かって屈曲する。このとき、H及びuを上記の適正な範囲とすることで、屈曲現象が起きた場合でもフィルム2が加熱ロール4と接触することなく、より安定してフィルムを連続成形することが可能となる。
従来技術ではこの離間部分が無いために、金型3および加熱ロール4を高温に加熱して搬送したときに、加熱ロール4と成形用フィルム2が局所的に粘着し、フィルム2の搬送張力を幅方向で不均一にさせてしまい、フィルム2の蛇行を引き起こすことが多かった。本構成の離間部分を設けた転写方法では、金型3および加熱ロール4を高温にして連続転写させてもフィルム2と加熱ロール4が粘着することなく、連続的に安定した張力状態で搬送を行える。その結果、従来よりも高温または高速でフィルムを搬送することが可能となり、より高精度な転写精度の実現あるいは高速搬送による生産性向上の効果をもたらすことができる。
続いて(2)の条件を満たす場合の加圧成形部の構成を図3を用いて説明する。図3に示すように、金型3の幅を成形用フィルム2の幅より広くし、かつ、ニップロール6の加圧部の幅、すなわちフィルム2が加圧される領域の幅Wを、フィルム2の幅よりも狭くする。この理由は(1)の条件と同様に、金型3とニップロール6が直接接触することによる弾性層10の熱損傷や、金型の微細構造面3aのキズの発生を防止するためである。そして、ニップロール6の加圧部の幅方向端部から、フィルム2の幅方向端部までの長さvは5〜15mmの範囲とすることが好ましい。この理由も(1)の条件と同様で、vが5mmを下回ると、フィルム2の搬送中のわずかな蛇行により金型3とニップロール6が接触する恐れがあり、一方、vが15mmを上回ると、フィルム2の面積に対して得られる微細構造転写フィルムの収率の低下が顕著となるためである。
本構成は、金型3の幅を成形用フィルム2の幅より広くすることで、フィルム2が幅方向全面で金型3によって支持され、金型3および加熱ロール4を高温にして連続転写させてもフィルム2と加熱ロール4が粘着することなく、連続的に安定した張力状態で搬送を行える。その結果、従来よりも高温または高速でフィルムを搬送することが可能となり、より高精度な転写精度の実現あるいは高速搬送による生産性向上の効果をもたらすことができる。
また、(1)および(2)の両方の構成において、加圧部の幅方向端部で徐々に圧力を端部に向かって低下させることが好ましい。端部の圧力を低下させることにより、成形用フィルム2の端部における屈曲現象や、加圧領域と非加圧領域の境界部に生じる加圧跡が緩和され、成形後のフィルムの平面性悪化や巻き姿の乱れを抑制し、フィルムをより安定した状態で連続的に搬送・成形することができる。
図11〜図13に加圧部の端部で圧力を低下させる手段の一例を示す。なお、各図において(a)は条件(1)を満たす構成の、(b)は条件(2)を満たす構成の場合の一例を示す。
図11は加熱ロール4の幅方向端部でロール径を徐々に小さくした場合の、加圧成形部の装置構成を示す模式図である。弾性層10の変形量が加圧部の幅方向外側に向かうにつれて小さくなり、それに従い、成形用フィルム2に負荷される圧力も加圧部の幅方向端部に向かうにつれて小さくなる。その結果、フィルム2の端部における屈曲現象や、加圧領域と非加圧領域の境界部に生じる加圧跡が緩和される。
また、図12には金型3の厚みを端部で幅方向外側に向かって徐々に小さくしている構造を、図13にはニップロール6のロール径を幅方向端部に向かって小さくした構造を示す。これらも図11の構成と同様に、成形用フィルム2に負荷される圧力を加圧部の幅方向端部に向かうにつれて小さくすることで、フィルム2の端部における屈曲現象や、加圧領域と非加圧領域の境界部に生じる加圧跡が緩和される。
加熱ロール4とニップロール6の好ましい加圧条件について以下に説明する。
加熱ロール4とニップロール6の相対位置精度は、JIS B 0621(改訂年1984)にて定義される平行度公差において、0.1mm以下とすることが好ましい。平行度公差が0.1mm超となった場合、成形用フィルム2に負荷される押圧力が幅方向で均一とならず、転写ムラが生じたり、フィルム2の蛇行が発生する場合がある。
また、両ロールの加圧時のたわみ量の合計は、成形用フィルム2が加圧される領域の幅W内において50μm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは30μm以下とすることが好ましい。たわみ量が50μm超となると、ニップロール6の弾性層10が変形に追従しきれなくなり、フィルム2に負荷される押圧力が不均一となる。
好ましいニップ圧は、図10に示されるように、押圧手段12によりニップロール6に与えられる力P、成形用フィルム2とニップロール6の接触長さBとし、図2、3に示されるように成形用フィルム2が加圧される領域の幅をWとしたときに、σ=P/BWで定義される見かけのニップ圧σを80MPa以上とすることが好ましく、さらに好ましくは100MPa以上とすることが好ましい。また、弾性層10の押圧距離、すなわち接触長さBは、4〜8mmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは5〜7mmの範囲内であることが好ましい。接触長さBが4mmよりも狭くなると、フィルム2への微細構造転写に十分な押圧時間が確保できなくなる。一方、8mmよりも広くなると、前述のニップ圧を十分な値で確保することが難しくなる。また、ニップロールに与えられる力Pを加圧領域の幅Wで割ったP/Wは線圧と定義され、この値は単位幅あたりに加わるニップ荷重を示す。線圧P/Wの範囲は400kN/m以上とすることが好ましく、さらに好ましくは500kN/m以上とすることが好ましい。
続いて、本発明における微細構造転写フィルムの製造装置を構成するその他の部材について説明する。
金型3は、表面に微細構造面を加工されたエンドレスベルトである。材質は強度と熱伝導率が高い金属が好ましく、例えばニッケルや鋼、ステンレス鋼、銅などが好ましい。また、上記の金属ベルトの表面に鍍金を施したものを使用してもよい。表面に微細構造をもつ金型3の作成方法については、金属ベルトの表面に直接切削やレーザー加工を施工する方法、金属ベルトの表面に形成した鍍金皮膜に直接切削やレーザー加工を施工する方法、微細構造を内面に有する円筒状の原版に電気鋳造を施す方法、金属ベルトの表面に微細構造面を有する薄板を連続して張り付ける方法などが挙げられる。
エンドレス状の金属ベルトは、所定の厚み、長さを持つ金属板の端部同士を突き合わせ溶接する方法、所定の倍の厚みの金属板を所定の半分の長さで溶接してエンドレス状にした後に圧延する方法、などによって製造される。このとき、厚みは金属ベルトの強度とハンドリング性の理由により、0.1〜0.4mmの範囲とすることが好ましい。この範囲よりも厚みが小さくなると、加熱ロール4と冷却ロール5によって懸架されるときに与えられる張力により、金属ベルトが破断あるいは塑性変形する恐れがある。一方、この範囲よりも厚みが大きい場合、金属ベルトの曲げ剛性が大きくなりすぎて、加熱ロール4および冷却ロール5に懸架したり、これらのロールに懸架した状態で搬送させることが難しくなる。
エンドレス状の金属ベルトの表面に鍍金を施す場合は、鍍金の材質はニッケルや銅などが好ましい。また、金属ベルトの厚みは0.1〜0.3mm、鍍金の厚みは0.03〜0.1mmの範囲とすることが好ましい。金属ベルトの厚みに対して鍍金の厚みが大きくなると、金属ベルトと鍍金の境界面で剥離が発生する恐れがある。一方、鍍金の厚みが小さすぎると、微細構造を精度よく加工することが困難となる。
エンドレスベルト金型の製造方法の一例を以下に示す。
まず、薄肉のステンレス鋼板の端部を突き合わせ溶接し、エンドレス状の金属ベルトに加工する。続いて、この金属ベルトをロールにはめて固定し、表面にニッケル鍍金処理を施す。その後、旋盤加工機にて金属ベルトの鍍金層に所定の微細構造を切削加工する。そして、切削加工を施した金属ベルトをロールより取外すことで、表面に所定の微細構造をもったエンドレスベルト金型が得られる。
微細構造とは、高さ10nm〜1mmの凸形状がピッチ10nm〜1mm、より好ましくは高さ1μm〜100μmの凸形状がピッチ1μm〜100μmで周期的に繰り返された形状のことを示し、例えば、三角形状の溝が複数個ストライプ状に並んでいるものであったり、矩形、半円形状もしくは半楕円形状等でも良い。さらには溝が直線である必要はなく、曲線のストライプパターンでも良い。また、その稜線方向はベルトの周方向に限らず幅方向であっても良い。さらに、微細構造は他にも直線状あるいは曲線状に連続したものに限られず、半球や円錐や直方体などの凸形状あるいは凹形状がドット状に離散的に配置されたものでも良い。
図4、5に示すように、金型3は加熱ロール4と冷却ロール5に懸架され、冷却ロール5は両端を軸受13、14によって回転支持された状態で架台15上に設置される。そして架台15はスライドレール16により、金型3の搬送方向に平行にスライド移動可能となっており、これにより、冷却ロール5が設置された架台15を移動させることで、冷却ロール5に懸架された金型3の搬送方向の位置が調整される。このとき、架台15およびスライドレール16は水平な面に設置されており、可動方向の外力に対して極めて小さい抵抗で移動することが好ましい。架台15はサーボモーター17と送りねじ18を組み合わせてなる可動手段19と荷重検出器20を介して連結されており、荷重検出器20は架台15の可動方向に加わる力、すなわち、架台15上に設置された冷却ロール5に対し、金型3より伝わる張力を測定する向きで接続されている。よって、架台15が移動し、金型3が加熱ロール4と冷却ロール5の間にテンションのかかった状態で懸架されたとき、荷重検出器20には金型3の上下面に加わっている張力とほぼ同等の力が負荷される。サーボモーター17と荷重検出器20は図示しない制御回路によって接続され、荷重検出器20の検出値の変動に合わせて可動手段19の移動量が制御され、金型3に加わる張力が常に一定に保たれるように、冷却ロール5の位置が自動で調整される。
冷却ロール5の両端を支持する軸受のうち一方の軸受14は、架台15上に設置されたサーボモーター21と送りねじ22の組み合わせからなる可動手段23によって、架台15上で更に金型3の搬送方向に平行移動可能となっている。このとき、もう一方の軸受13は架台15上に固定されており、軸受14が架台15上で移動することで、冷却ロール5は軸受13を支点に回転し、加熱ロール4に対して傾動する。冷却ロール5の傾動する角度を決める軸受14の位置は金型3の幅方向位置に合わせて制御され、図4において、加熱ロール4と冷却ロール5が平行なときの軸受14の位置を基準とし、金型3の幅方向位置が図4のy1方向にずれたとき軸受14はx1方向に動き、金型3がy2方向にずれたとき軸受14はx2方向に動く。金型3の幅方向位置の変動は蛇行検出センサー24によって監視される。図9に蛇行検出センサー24と金型3を、フィルム搬送方向下流側から見たときの概略図を示す。蛇行検出センサー24は発信側24aと受信側24bに分かれた光量検出式等の非接触のラインセンサーであり、発信信号の一部が金型3によって遮られるように、金型3の幅方向端部に被さるように設置される。そして、受信側24bが受け取る信号量の大小によって金型3の幅方向位置を検出する。サーボモーター21と蛇行検出センサー24は図示しない制御回路によって接続され、蛇行検出センサー24の検出値に合わせて可動手段23の移動量が定められる。そして、金型3の幅方向位置が常に所定の範囲内となるように冷却ロール5の角度が制御され、金型3の蛇行が防止される。
なお、冷却ロール5を傾動させる手段として、図6に示すように、冷却ロール5を支持する軸受13および14の両方を架台15上で移動させてもよい。これにより、一方の軸受のみを移動させる場合より、高精度に冷却ロール5の角度を調整することが可能となる。
また、金型3の幅方向位置を高精度に位置決めするために、冷却ロール5の角度を微細に制御することが好ましく、具体的には冷却ロール5の角度分解能を0.005度以下とすることが好ましい。ここで冷却ロール5の角度分解能とは、金型3の蛇行修正のために冷却ロール5を傾動させる際に、加熱ロール4の回転軸に対して冷却ロール5の回転軸の角度が変化する最小量のことを示す。冷却ロール5の角度分解能を0.005度以下とすることで、蛇行修正時に金型3の幅方向位置が揺動・発散することなく、中心の基準位置に速やかに収束する。その結果、金型3が常に幅方向の中心に位置し、フィルム2を安定して連続的に成形することが可能となる。
冷却ロール5の角度分解能は、軸受け13固定側、軸受14を移動側とする場合は、両軸受13、14の支点間距離と軸受14の移動分解能によって定まり、例えば支点間距離が600mmであれば、軸受14の移動分解能を0.05mmとすると、冷却ロール5の角度分解能は約0.0048度となる。
冷却ロール5は例えば内部に通水路が設けられ、一定の温度の水を連続して循環させる水冷式の冷却手段などによって冷却されることが好ましい。そして金型3との接触面における熱伝導により金型3を冷却する。
剥離ロール7は冷却ロール5と同様に冷却手段を内蔵しており、成形用フィルム2を裏面側から冷却し、金型3からの剥離を補助する役割を果たす。このとき、金型3の蛇行防止において冷却ロール5を傾動させた際には、剥離ロール7も冷却ロール5に追従して傾動させ、常に冷却ロール5との平行度を保持するように動作させることが好ましい。剥離ロール7の傾動は、例えば、図7および8に示すように、冷却ロール5の傾動手段と同じ手段によってなされる。あるいは、剥離ロール7は流体圧シリンダなどにより冷却ロール5に対して押し当てられる構造であってもよい。剥離ロール7の成形用フィルム2に対する押圧力は特に制限されず、剥離ロール7の周面が成形用フィルム2の裏面に密着していればよい。
巻出ロール8および巻取ロール9はともに成形用フィルム2を巻きつけるコアを固定できる構造となっており、端部はモータ等の駆動手段と連結され、速度を制御しながら回転可能となっている。また、トルク制御により、成形用フィルム2に与えられる張力を調整できることが好ましい。
各ロールの端部は、ころがり軸受などにより回転支持される。加熱ロール4はモータ等の駆動手段と連結され、速度を制御しながら回転可能となっている。また冷却ロール5はベルト金型を通じて、加熱ロール4の駆動力により回転することが好ましい。搬送速度は微細構造の成形性と成形フィルムの生産性のバランスを考慮して決定されるが、微細構造を高精度に転写しながら生産性を高くするために、速度は1〜30m/分の範囲より決定されることが好ましい。ニップロール6の駆動手段は、加熱ロール4の端部とチェーンまたはベルトなどで連結し、加熱ロール4と連動して回転できるようにしたり、あるいは、加熱ロール4と速度を同期可能なモータなどを用いて独立して回転させることが好ましいが、回転自在の構造とし、成形用フィルム2との摩擦によって回転されるようにしても良い。
なお、各ロールを支持する軸受は、そのロールの質量や受ける負荷、回転速度などに応じて設計されるが、冷却ロール5および剥離ロール7を支持する軸受には調心式の軸受を用いることが望ましい。これらのロールに調心式でない軸受を用いた場合、ロールが傾動したときに軸受をこじって損傷する恐れがある。
上記の装置を用いて微細構造が表面に形成されたフィルムの製造方法を説明する。
本発明の微細構造転写フィルムの製造方法は、加熱ロールと冷却ロールに懸架された表面に微細構造を有するエンドレスベルト状の転写金型を有する微細構造転写フィルムの製造装置を用い、少なくとも一方の面に被転写層を有するフィルムの加工を、表面に微細凹凸構造が形成されたエンドレスベルト状の金型を、加熱された加熱ロールに抱かせながら加熱する金型加熱工程、フィルムの転写側表面と前記金型の微細構造表面とを密着させた状態で、前記加熱ロールを含む一対のロールによりニップ加圧する加圧転写工程、加圧後の前記金型と前記フィルムを密着させたまま冷却ゾーンまで搬送する搬送工程、前記冷却ゾーンで金型とフィルムを密着させたまま金型側から冷却する冷却工程、冷却後の金型とフィルムとを剥離する剥離工程、の5工程を、以下の(1)または(2)を満たす条件の下でこの順に通すことにより行うものである。ここで(1)とは、前記フィルムの幅が、前記金型の幅よりも広く、かつ、前記加圧転写工程において、前記フィルムの幅方向両端部が前記加熱ロールに対し離間していることである。(2)とは、前記金型の幅が、前記フィルムの幅よりも広く、かつ、前記加圧転写工程において、前記フィルムが加圧される領域の幅が、前記フィルムの幅よりも狭いことである。
本発明の実施形態の一例を図1〜4を用いて説明する。
まず製造方法の準備段階として、成形用フィルム2を巻出ロール8より引き出し、ニップロール6を開放した状態で、加熱ロール4と冷却ロール5に懸架された金型3上に沿わせ、剥離ロール7を経由し、巻取ロール9で巻き取っている状態とする。
続いて、駆動手段により成形用フィルム2を低速で搬送しながら、加熱ロール4の加熱手段及び冷却ロール5の冷却手段を作動し、加熱ロール4及び冷却ロール5の表面温度が所定の温度になるまで温調する。搬送しながら温調する理由は、搬送していないと成形用フィルム2の加熱ロール4上に位置する部分が蓄熱し、そこでフィルムが溶けて破れてしまうからである。加熱ロール4の表面温度、冷却ロール5の表面温度の条件は、成形用フィルム2の材質、金型3の微細構造の形状、アスペクト比等に依存し、加熱ロール4の表面温度はフィルム2のTg+50℃からTg+100℃、冷却ロール5の表面温度はフィルム2のTg−40℃からTg−100℃の範囲で設定されることが好ましい。ここで、Tgとはフィルムのガラス転移温度のことを示す。また、温調中の搬送速度は0.1〜5m/分とすることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1m/分とすることが好ましい。
加熱ロール4及び冷却ロール5の表面温度(なお、金型表面温度は同温度。以下同じ。)が設定値まで温調されたら、フィルムを成形速度で搬送すると同時に、ニップロール6を閉じ、加熱ロール4とニップロール6で成形用フィルム2及び金型3を加圧し、金型3の微細構造面3aの形状を成形用フィルム2の成形面2aに転写する。このときの条件として、フィルムの成形速度は1〜30m/分、線圧は400kN/m以上の範囲で設定される。
フィルムの連続転写は、金型の周回動作に合わせて各工程を並べると、金型加熱工程、加圧転写工程、搬送工程、冷却工程、剥離工程から構成される。金型3は加熱ロール4と接触する部分において、常に高温の加熱ロール4からの熱伝導により加熱され、加熱ロール4とニップロール6によって挟圧されるまでに、金型3の温度は加熱ロール4の表面温度まで昇温される(金型加熱工程)。成形用フィルム2は、加熱ロール4とニップロール6による挟圧部において、加熱された金型3に押し当てられて密着し、軟化したフィルムを構成する樹脂が金型3の微細構造面3aのパターン内に充填される(加圧転写工程)。金型3に押圧されたフィルムは、金型3と密着したまま冷却ゾーンまで搬送される(搬送工程)。ここで冷却ゾーンとは金型3と冷却ロール5が接触している範囲を示す。フィルムは該冷却ゾーンにおいて、冷却ロール5との熱伝導により、金型3ごとフィルムを構成する樹脂のガラス転移点以下まで冷却される(冷却工程)。冷却後のフィルムは剥離ロール7により、冷却ロール5から連続的に剥がすように離型される(剥離工程)。剥離後のフィルムは巻取ロール9に巻き取られる。
そして、このうちの加圧転写工程において、図2に示すように成形用フィルム2の幅を金型3の幅よりも広くし、かつ、フィルム2の幅方向両端部を加熱ロール4に対して離間させる。あるいは、図3に示すように金型3の幅をフィルム2の幅よりも広くし、かつ、ニップロール6の加圧部の幅をフィルム2の幅より狭くする。これにより、フィルム2が高温の加熱ロール4と直接接触することを防止でき、フィルム2の端部が高温で溶けて加熱ロール4の表面に貼り付き、加熱ロール4の回転方向に引っ張られることで、フィルム2の張力状態が乱れて蛇行することを防止できる。従って、加圧転写工程において、フィルム2と加熱ロール4が直接接触することの無いようにすることが好ましい。
また、上記の方法にて微細構造転写フィルムを製造している間中、図4に示す金型の張力制御および蛇行防止機構によって、金型3の張力および幅方向位置を常に所定の範囲内で一定に保つことが好ましい。金型3の張力変動および蛇行を防止することで、加圧転写工程後の搬送工程において、フィルム2が密着した金型3の蛇行に引っ張られて一緒に蛇行することを防止できる。
そしてさらに上記に加えて、加圧転写工程において、加圧領域の幅方向両端部で幅方向外側に向かって徐々に圧力を低下させるようにしても良い。成形用フィルム2の端部における屈曲や、加圧領域と非加圧領域の境界部に生じる加圧跡が緩和され、成形後のフィルムの平面性悪化や巻取り時の巻き姿の乱れを抑制することができる。
本発明に適用される成形用フィルム2は、熱可塑性樹脂を主たる成分とした熱可塑性フィルムが用いられ、具体的に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂などからなるものである。このなかで共重合するモノマー種が多様であり、かつそのことによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましく、上述の熱可塑性樹脂が50重量%以上からなることがさらに好ましい。
成形用フィルム2は上述の樹脂の単体からなるフィルムであっても構わないし、複数の樹脂層からなる積層体であってもよい。この場合、単体フィルムと比べて、易滑性や耐摩擦性などの表面特性や、機械的強度、耐熱性を付与することができる。このように複数の樹脂層からなる積層体とした場合はフィルム全体が前述の熱可塑性樹脂を主たる成分とする要件を満たすことが好ましいが、フィルム全体としては前記要件を満たしていなくても、少なくとも前記要件を満たす層が表層に形成されていれば容易に表面を形成することができる。特に、フィルムの成形性を良くするために金型温度を高温にしたい場合は、表層にガラス転移点が低く微細構造を転写しやすい樹脂、芯層にガラス転移点が高く強度の強い樹脂、という構成のフィルムを用いることで、フィルムの平面性を維持しつつ、フィルムの成形性を高めることができる。
以上の微細構造転写フィルムの製造方法を用いれば、表面に微細構造を形成したエンドレスベルトからなる金型を押し当てて、フィルムの表面に微細構造を連続的に転写する際に、フィルムを蛇行させることなく安定的に搬送することができ、高い生産性で高精度な転写フィルムを製造することができる。
実施例1
成形用フィルム2には、ポリカーボネート樹脂を芯層とし、その両面に成形層としてPMMA樹脂を積層した3層積層フィルムを共押出しにより作成し用いた。該フィルムの総厚みは200μm、各層の積層比はおよそ1:8:1であり、幅は220mmとした。
金型3は厚み0.2mmのステンレス鋼ベルトの表面に厚み0.1mmのニッケル鍍金をしたものに、ピッチ40μm、深さ20μmのV溝形状を該ベルトの周方向と平行に切削加工して作成した。また、該ベルトの幅は200mm、周長は1200mmとした。
加熱ロール4は炭素鋼からなる筒状の芯材の表面に硬質クロム鍍金をしたものを用いた。加熱ロール4はロール部の幅方向両端に段差4aを有する形状とし、金型3を懸架する中央部は幅204mm、外径180mmであり、両端の段差4aの表面とフィルム幅方向端部との離間距離Hは10mm、該段差4aから金型3の端部までの長さuは2mmであり、中央部と両端の段差4a部を合わせた全体の幅は220mmである。また、中央部は全幅に渡ってテーパ等の外径変化はない円筒形とした。加熱手段には赤外線ランプヒータを用い、加熱ロール4の表面温度を180℃まで加熱した。
冷却ロール5は加熱ロール4と同様に、炭素鋼を芯材とし、表面に硬質クロム鍍金をしたものを用いた。冷却ロール5は内部を循環する流水により、常に表面温度20℃に保った。
ニップロール6は幅220mm、外径160mmの炭素鋼からなる筒状の芯材表面全面に、弾性層10としてポリエステル樹脂(硬度:ショアD86°)を20mmの厚みで被膜したものを用いた。
押圧手段12には空気圧シリンダを用い、ニップロール6に対し押圧力120kNを負荷した。このとき、ニップロール6と成形用フィルム2との接触幅Bを、圧力測定フィルム(プレスケール、富士フィルム株式会社製)を用いて確認したところ6mmであった。これより、成形用フィルム2に負荷される見かけのニップ圧σ=100MPaである。
フィルムの成形速度は5m/分、10m/分、15m/分の3条件とした。
本実施例では、加圧成形部におけるフィルム2と加熱ロール4の粘着無く、搬送速度15m/分まで安定して連続的に微細構造転写フィルムを成形することができた。
実施例2
本実施例は実施例1の構成に加え、加熱ロール4の金型3を懸架する中央部の幅方向長さ204mmのうちの両端12mmの範囲において、ロール径を元の外径180mmより幅方向外側に向かって最大0.1mmまで徐々に小さくした。段差4aの表面とフィルム幅方向端部との離間距離H、段差4aから金型3の端部までの長さuは実施例1と同様であり、また、加熱ロール4以外の構成についても実施例1と同様である。
押圧手段12には空気圧シリンダを用い、ニップロール6に対し押圧力120kNを負荷した。このとき、ニップロール6と成形用フィルム2との接触幅Bを、圧力測定フィルム(プレスケール、富士フィルム株式会社製)を用いて測定したところ、ニップ部の中央部では6mmであったが、両端部で徐々に減少し、一番端での幅が5.5mmとなり、これよりフィルム幅方向両端部においてニップ圧が徐々に小さくなっていることを確認した。
フィルムの成形速度は5m/分、10m/分、15m/分の3条件とした。
本実施例では、搬送速度15m/分まで蛇行なしに連続的に微細構造転写フィルムを成形できたことに加え、成形後のフィルム端部における屈曲が緩和され、平面性に優れたフィルムを安定して成形することができた。
実施例3
成形用フィルム2には、ポリカーボネート樹脂を芯層とし、その両面に成形層としてPMMA樹脂を積層した3層積層フィルムを共押出しにより作成し用いた。該フィルムの総厚みは200μm、各層の積層比はおよそ1:8:1であり、幅は180mmとした。
金型3は厚み0.2mmのステンレス鋼ベルトの表面に厚み0.1mmのニッケル鍍金をしたものに、ピッチ40μm、深さ20μmのV溝形状を該ベルトの周方向と平行に切削加工して作成した。また、該ベルトの幅は200mm、周長は1200mmとした。
加熱ロール4は炭素鋼からなる筒状の芯材の表面に硬質クロム鍍金をしたものを用いた。加熱ロール4はロール部の全幅で段差やテーパ等の形状変化のない円筒形とし、外径は180mm、幅は220mmとした。また、加熱手段には赤外線ランプヒータを用い、加熱ロール4の表面温度を180℃まで加熱した。
冷却ロール5は加熱ロール4と同様に、炭素鋼を芯材とし、表面に硬質クロム鍍金をしたものを用いた。冷却ロール5は内部を循環する流水により、常に表面温度20℃に保った。
ニップロール6は幅160mm、外径160mmの炭素鋼からなる筒状の芯材表面全面に、弾性層10としてポリエステル樹脂(硬度:ショアD86°)を20mmの厚みで被膜したものを用いた。
押圧手段12には空気圧シリンダを用い、ニップロール6に対し押圧力96kNを負荷した。このとき、ニップロール6と成形用フィルム2との接触幅Bを、圧力測定フィルム(プレスケール、富士フイルム株式会社製)を用いて確認したところ6mmであった。これより、成形用フィルム2に負荷される見かけのニップ圧σ=100MPaである。
フィルムの成形速度は5m/分、10m/分、15m/分の3条件とした。
本実施例も実施例1と同様に、加圧成形部におけるフィルム2と加熱ロール4の粘着無く、搬送速度15m/分まで安定して連続的に微細構造転写フィルムを成形することができた。
実施例4
本実施例は実施例3の構成に加え、加熱ロール4の金型3を懸架する中央部の幅方向長さ220mmのうちの両端30mmの範囲において、ロール径を元の外径180mmより幅方向外側に向かって最大0.2mmまで徐々に小さくした。加熱ロール4以外の構成については実施例3と同様である。
押圧手段12には空気圧シリンダを用い、ニップロール6に対し押圧力96kNを負荷した。このとき、ニップロール6と成形用フィルム2との接触幅Bを、圧力測定フィルム(プレスケール、富士フィルム株式会社製)を用いて測定したところ、ニップ部の中央部では6mmであったが、両端部で徐々に減少し、一番端での幅が5.6mmとなり、これよりフィルム幅方向両端部においてニップ圧が徐々に小さくなっていることを確認した。
フィルムの成形速度は5m/分、10m/分、15m/分の3条件とした。
本実施例では、搬送速度15m/分まで蛇行なしに連続的に微細構造転写フィルムを成形できたことに加え、成形後のフィルム端部における加圧/非加圧領域の境界部に生じる加圧跡が緩和され、平面性に優れたフィルムを安定して成形することができた。
実施例5
本実施例は実施例1の構成に加え、図4に示すような金型3の張力制御および蛇行防止機構を用い、金型3の張力と幅方向位置の制御を行った。金型3に加える張力は6kN/mとし、装置運転中は常にこの値を保つように架台15の位置を制御した。また、金型3の幅方向位置を蛇行検出センサー24で監視し、金型3の幅方向位置が常に中央となるように、冷却ロール5の角度を0.005度単位で制御した。
その他の構成および成形条件については実施例1と同様である。
本実施例は実施例1と同様に、加圧成形部におけるフィルム2と加熱ロール4の粘着無く、搬送速度15m/分まで安定して微細構造転写フィルムを連続成形できたことに加え、成形後のフィルム2を金型3より離型した後の搬送状態も安定しており、巻きズレの小さい成形フィルムのロールを得ることができた。
実施例6
本実施例は実施例5の構成に加え、加熱ロール4の幅方向長さ204mmのうちの両端12mmの範囲において、ロール径を元の外径180mmより幅方向外側に向かって最大0.1mmまで徐々に小さくした。
また、押圧手段12には空気圧シリンダを用い、ニップロール6に対し押圧力120kNを負荷したときの、ニップロール6と成形用フィルム2との接触幅Bを圧力測定フィルム(プレスケール、富士フィルム株式会社製)を用いて測定したところ、ニップ部の中央部では6mmであったが両端部で徐々に減少して一番端での幅が5.5mmとなり、これよりフィルム幅方向両端部においてニップ圧が徐々に小さくなっていることを確認した。
その他の構成および成形条件については実施例5と同様である。
本実施例では、加圧成形部におけるフィルム2と加熱ロール4の粘着無く、離型後のフィルム2の搬送状態も安定しており、さらに成形後の平面性に優れ、巻き姿に乱れのない微細構造転写フィルムの連続成形を行うことができた。
実施例7
本実施例は実施例3の構成に加え、図4に示すような金型3の張力制御および蛇行防止機構を用い、金型3の張力と幅方向位置の制御を行った。金型3に加える張力は6kN/mとし、装置運転中は常にこの値を保つように架台15の位置を制御した。また、金型3の幅方向位置を蛇行検出センサー24で監視し、金型3の幅方向位置が常に中央となるように、冷却ロール5の角度を0.005度単位で制御した。
その他の構成および成形条件については実施例3と同様である。
本実施例は実施例3と同様に、加圧成形部におけるフィルム2と加熱ロール4の粘着無く、搬送速度15m/分まで安定して微細構造転写フィルムを連続成形できたことに加え、成形後のフィルム2を金型3より離型した後の搬送状態も安定しており、巻きズレの小さい成形フィルムのロールを得ることができた。
実施例8
本実施例は実施例7の構成に加え、加熱ロール4の幅方向長さ220mmのうちの両端30mmの範囲において、ロール径を元の外径180mmより幅方向外側に向かって最大0.2mmまで徐々に小さくした。
また、押圧手段12には空気圧シリンダを用い、ニップロール6に対し押圧力96kNを負荷したときの、ニップロール6と成形用フィルム2との接触幅Bを圧力測定フィルム(プレスケール、富士フィルム株式会社製)を用いて測定したところ、ニップ部の中央部では6mmであったが両端部で徐々に減少して一番端での幅が5.6mmとなり、これよりフィルム幅方向両端部においてニップ圧が徐々に小さくなっていることを確認した。
その他の構成および成形条件については実施例7と同様である。
本実施例では、加圧成形部におけるフィルム2と加熱ロール4の粘着無く、離型後のフィルム2の搬送状態も安定しており、さらに成形後の平面性に優れ、巻き姿に乱れのない微細構造転写フィルムの連続成形を行うことができた。
比較例1
成形用フィルム2には、ポリカーボネート樹脂を芯層とし、その両面に成形層としてPMMA樹脂を積層した3層積層フィルムを共押出しにより作成し用いた。該フィルムの総厚みは200μm、各層の積層比はおよそ1:8:1であり、幅は220mmとした。
金型3は厚み0.2mmのステンレス鋼ベルトの表面に厚み0.1mmのニッケル鍍金をしたものに、ピッチ40μm、深さ20μmのV溝形状を該ベルトの周方向と平行に切削加工して作成した。また、該ベルトの幅は200mm、周長は1200mmとした。
加熱ロール4は炭素鋼からなる筒状の芯材の表面に硬質クロム鍍金をしたものを用いた。加熱ロール4はロール部の全幅で段差やテーパ等の形状変化のない円筒形とし、外径は180mm、幅は220mmとした。また、加熱手段には赤外線ランプヒータを用い、加熱ロール4の表面温度を180℃まで加熱した。
冷却ロール5は加熱ロール4と同様に、炭素鋼を芯材とし、表面に硬質クロム鍍金をしたものを用いた。冷却ロール5は内部を循環する流水により、常に表面温度20℃に保った。
ニップロール6は幅220mm、外径160mmの炭素鋼からなる筒状の芯材表面全面に、弾性層10としてポリエステル樹脂(硬度:ショアD86°)を20mmの厚みで被膜したものを用いた。これにより成形用フィルム2は全幅に渡ってニップされ、フィルムの幅方向両端部は加熱ロール4に直接接触した。
押圧手段12には空気圧シリンダを用い、ニップロール6に負荷する押圧力は120kNとし、成形用フィルムに負荷される見かけのニップ圧σ=100MPaとした。
フィルムの成形速度は5m/分、10m/分、15m/分の3条件とした。
比較例1の微細構造転写フィルムは、搬送速度5m/分でわずかに蛇行が発生し、安定して連続成形することができなかった。また搬送速度10m/分以上になると、加圧直後からフィルムが急激に蛇行し、連続的に成形することができなかった。
1:微細構造転写フィルムの製造装置
2:成形用フィルム
2a:成形用フィルムの成形面
3:金型
3a:金型の微細構造面
4:加熱ロール
4a:加熱ロールの段差部
5:冷却ロール
6:ニップロール
7:剥離ロール
8:巻出ロール
9:巻取ロール
10:弾性層
11、13、14、26、27:軸受
12:押圧手段
15:架台
16:スライドレール
17、21:サーボモーター
18、22:送りねじ
19、23:可動手段
20:荷重検出器
24:蛇行検出センサー
24a:蛇行検出センサーの送信側
24b:蛇行検出センサーの受信側
25:流体圧シリンダ
28:フィルムパス
W:成形用フィルムが金型とニップロールによって加圧される領域の幅方向長さ
H:加熱ロールの金型を懸架する部分の表面から、両端段差部の表面までの高さ(離間距離)
v:成形用フィルムの加圧される領域の端部から、成形用フィルムの幅方向端部までの長さ
u:加熱ロールに懸架される金型の端部から、加熱ロール両端の段差部までの長さ
P:押圧手段によりニップロールに与えられる力
B:ニップロール表面弾性層の変形に伴う成形用フィルムとの接触幅
δ:ニップロール表面の弾性層の厚さ方向変形量
σ:加圧部において成形用フィルムに加わる圧力

Claims (14)

  1. 加熱ロールと冷却ロールに懸架された表面に微細構造を有するエンドレスベルト状の転写金型を有する微細構造転写フィルムの製造装置を用い、少なくとも一方の面に被転写層を有するフィルムを、少なくとも以下の[I]〜[V]の工程を以下の[A1]または[A2]を満たす条件の下でこの順に通すことにより加工する微細構造転写フィルムの製造方法。
    [I]表面に微細構造が形成されたエンドレスベルト状の金型を、加熱された加熱ロールに抱かせながら加熱する金型加熱工程
    [II]フィルムの転写側表面と前記金型の微細構造表面とを密着させた状態で、前記加熱ロールを含む一対のロールによりニップ加圧する加圧転写工程
    [III]加圧後の前記金型と前記フィルムを密着させたまま冷却ゾーンまで搬送する搬送工程
    [IV]前記冷却ゾーンで金型とフィルムを密着させたまま金型側から冷却する冷却工程
    [V]冷却後の金型とフィルムとを剥離する剥離工程
    [A1]前記フィルムの幅が、前記金型の幅よりも広く、かつ、前記加圧転写工程において、前記フィルムの幅方向両端部が前記加熱ロールに対し離間している。
    [A2]前記金型の幅が、前記フィルムの幅よりも広く、かつ、前記加圧転写工程において、前記フィルムが加圧される領域の幅が、前記フィルムの幅よりも狭い。
  2. さらに以下の[B][C]の制御の下で加工を行う請求項1に記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
    [B]前記冷却ロールに、前記金型の搬送方向の位置を調整する手段と、前記金型に加わる張力を検出する手段とを設置し、前記金型に加わる張力を常に所定の範囲内となるように、前記冷却ロールの位置を制御する。
    [C]前記金型に幅方向の位置を検出する蛇行検出センサーと、前記冷却ロールの角度を調整する手段とを設置し、前記金型の幅方向の位置が常に所定の範囲内となるように、前記冷却ロールの角度を制御する。
  3. 前記剥離工程において金型からフィルムを剥離する剥離ロールを、前記冷却ロールの角度の調整に追従して、前記冷却ロールとの平行度を保持するように動作させる請求項2に記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
  4. 前記冷却ロールの角度を調整する手段が、前記冷却ロールを支持する一方あるいは両方の軸受を、前記金型の搬送方向に移動させるものである請求項2または3に記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
  5. 前記冷却ロールの角度調整の分解能が0.005度以下である請求項2〜4のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
  6. 前記加圧転写工程において、前記金型の幅方向両端で、幅方向外側に向って徐々に圧力を低下させる請求項1〜5のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
  7. 前記金型加熱工程において、加熱後の金型表面温度をフィルムのTg+50℃からTg+100℃の範囲に、
    前記加圧転写工程において、フィルムに負荷される線圧を400kN/m以上に、
    前記冷却工程において、冷却後の金型表面温度をフィルムのTg−40℃からTg−100℃の範囲に調整する請求項1〜6のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造方法。
  8. 加熱ロールと冷却ロールに懸架された表面に微細構造を有するエンドレスベルト状の転写金型を有する微細構造転写フィルムの製造装置であって、少なくとも以下の[i]〜[v]の基本構成を有し、以下の[a1]または[a2]を満たす微細構造転写フィルムの製造装置。
    [i]表面に微細構造が形成されたエンドレスベルト状の金型
    [ii]前記金型を加熱するための加熱ロールと、加熱ロールと平行に配置され、表面が弾性体に覆われたニップロールと、前記両ロールを用いた挟圧手段とを少なくとも備えた加圧機構
    [iii]前記金型を冷却するための冷却ロール
    [iv]金型に密着したフィルムを剥がすための剥離機構
    [v]前記加熱ロールおよび前記冷却ロールを回転させて、前記金型を搬送する搬送機構
    [a1]前記加熱ロールと前記金型との接触部の幅方向両端部において、幅方向外側でロール径が小さくなるように前記加熱ロールの表面に段差を有する。
    [a2]前記金型の幅が、前記ニップロール加圧部の幅よりも広い。
  9. さらに以下の[b][c]の制御手段を有する請求項8に記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
    [b]前記金型を懸架する冷却ロールが前記金型の搬送方向にスライド可能な架台に設置されており、前記架台と前記架台をスライドさせる可動手段が荷重検出器を介して連結されており、前記荷重検出器から得られる前記金型に加わる張力が常に所定の範囲内となるように前記可動手段による前記架台のスライド量を調整する制御手段。
    [c]前記金型の幅方向位置を検出する蛇行検出センサーと、前記架台に設置された前記冷却ロールの角度を調整するロール傾動手段が設置されており、前記蛇行検出センサーから得られる前記金型の幅方向位置が常に所定の範囲内となるように前記冷却ロールの傾動量を調整する制御手段。
  10. 前記冷却ロールと近接して配置される前記剥離ロールのロール傾動手段が、前記冷却ロールと同じロール傾動手段である請求項9に記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
  11. 前記ニップロールの表面の弾性体のゴム硬度が、ASTM D2240:2005規格で70〜97°である請求項8〜10のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
  12. 前記加熱ロールの幅方向両端部において、ロール径が幅方向外側に向かって徐々に小さくなる請求項8〜11のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
  13. 前記金型の幅方向両端部において、金型の厚みが幅方向外側に向かって徐々に小さくなる請求項8〜11のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
  14. 前記ニップロールの幅方向両端部において、ロール径が幅方向外側に向かって徐々に小さくなる請求項8〜11のいずれかに記載の微細構造転写フィルムの製造装置。
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