以下、画像形成装置を実施するための形態について、図1〜図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
また、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成装置の第1の実施の形態
2.画像形成装置の第2の実施の形態
3.変形例
1.画像形成装置の第1の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
まず、画像形成装置の第1の実施の形態の構成例について、図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置1は、原稿搬送部10と、用紙収納部20と、画像読取部30と、画像形成部40と、中間転写ユニット50と、2次転写部60と、定着部80と、制御基板90とを有する。
原稿搬送部10は、原稿をセットする原稿給紙台11と、複数のローラ12と、搬送ドラム13と、搬送ガイド14と、原稿排出ローラ15と、原稿排出トレイ16とを有している。原稿給紙台11にセットされた原稿Gは、複数のローラ12及び搬送ドラム13によって、画像読取部30の読取位置に1枚ずつ搬送される。搬送ガイド14及び原稿排出ローラ15は、複数のローラ12及び搬送ドラム13により搬送された原稿Gを原稿排出トレイ16に排出する。
画像読取部30は、原稿搬送部10により搬送された原稿G又は原稿台31に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。具体的には、原稿Gの画像がランプ
Lによって照射される。原稿Gからの反射光は、第1ミラーユニット32、第2ミラーユニット33、レンズユニット34の順に導かれて、撮像素子35の受光面に結像する。撮像素子35は、入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換されることにより画像データとして作成される。
また、画像読取部30は、画像読取制御部36を有している。画像読取制御部36は、A/D変換によって作成された画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施して、制御基板90のRAM103(図7参照)に格納する。なお、画像データは、画像読取部30から出力されるデータに限定されず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
用紙収納部20は、装置本体の下部に配置されており、用紙Sのサイズや種類に応じて複数設けられている。この用紙Sは、給紙部21により給紙されて搬送部23に送られ、搬送部23によって転写位置である2次転写部60に搬送される。また、用紙収納部20の近傍には、手差部22が設けられている。この手差部22からは、用紙収納部20に収納されていないサイズの用紙やタグを有するタグ紙、OHPシート等の特殊紙が転写位置へ送られる。
画像読取部30と用紙収納部20との間には、画像形成部40と中間転写ユニット50が配置されている。画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。
第1の画像形成ユニット40Yは、イエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mは、マゼンダのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の画像形成ユニット40Yについて説明する。
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45を有している。感光体41は、不図示の駆動モーターによって回転する。帯電部42は、感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データ又は外部装置から送信された画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光操作を行うことにより感光体41上に静電潜像を形成する。
現像部44は、トナーを用いて感光体41上に形成された静電潜像を現像する。この現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面は、イエローのトナー像が形成される。
なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させる。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させる。
クリーニング部45は、感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
感光体41上に付着したトナーは、中間転写ユニット50の中間転写ベルト51に転写される。中間転写ユニット50は、中間転写ベルト51と、中間転写ベルト51が掛け渡される複数のローラとを有している。中間転写ベルト51は、不図示の駆動モーターで感光体41の回転(移動)方向に対して逆方向に回転駆動する。
中間転写ベルト51における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写ローラ52が設けられている。この1次転写ローラ52は、中間転写ベルト51にトナーと反対の極性の電圧を印加させることで、感光体41上に付着したトナーを中間転写ベルト51に転写する。
そして、中間転写ベルト51が回転駆動することで、中間転写ベルト51の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー像が順次転写される。これにより、中間転写ベルト51上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラー画像が形成される。
また、中間転写ベルト51には、ベルトクリーニング装置69が対向している。このベルトクリーニング装置69は、用紙Sへのトナー画像の転写を終えた中間転写ベルト51の表面を清掃する。
中間転写ベルト51の近傍で、かつ搬送部23の用紙搬送方向下流には、2次転写部60が配置されている。この2次転写部60は、搬送部23によって送られてきた用紙Sを中間転写ベルト51に接触させて、中間転写ベルト51の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する。
2次転写部60は、2次転写ローラ61を有している。2次転写ローラ61は、中間転写ユニット50の複数のローラのうちの1つである対向ローラ56に圧接されている。そして、2次転写ローラ61と中間転写ベルト51が接触する部分は、2次転写ニップ部62となる。この2次転写ニップ部62は、中間転写ベルト51の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する転写位置である。
2次転写部60における用紙Sの排出側には、定着部80が設けられている。この定着部80は、用紙Sを加圧及び加熱して、転写されたトナー像を用紙Sに定着させる。定着部80は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ81及び定着下ローラ82で構成されている。定着上ローラ81及び定着下ローラ82は、互いに圧接した状態で配置されており、定着上ローラ81と定着下ローラ82との圧接部として定着ニップ部が形成される。
定着上ローラ81の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ81のローラ部が温められる。そして、定着上ローラ81のローラ部の熱が用紙Sへ伝達されることにより、用紙S上のトナー画像が熱定着される。
用紙Sは、2次転写部60によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ81と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙Sには、定着上ローラ81と定着下ローラ82とによる加圧と、定着上ローラ81のローラ部の熱による加熱が行われる。
定着部80の用紙搬送方向下流には、切換ゲート24が配置されている。切換ゲート24は、定着部80を通過した用紙Sの搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合に、用紙Sを直進させる。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。また、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙Sを下方
に案内する。
フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、表裏が反転された用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。
両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送られる。
一対の排紙ローラ25の下流側には、用紙Sを折ったり、用紙Sに対してステープル処理等を行ったりする後処理装置を配置してもよい。
[中間転写ユニット]
次に、中間転写ユニット50の複数のローラについて、図2〜図4を参照して説明する。
図2は、中間転写ベルト51を解除状態にした場合の中間転写ユニット50を模式的に示す説明図である。図3は、中間転写ベルト51を単色画像形成状態にした場合の中間転写ユニット50を模式的に示す説明図である。図4は、中間転写ベルト51をカラー画像形成状態にした場合の中間転写ユニット50を模式的に示す説明図である。
図2に示すように、中間転写ユニット50の複数のローラは、駆動ローラ55と、対向ローラ56と、従動ローラ57と、ステアリングローラ58と、調整部である調整ローラ59とを含む。駆動ローラ55、対向ローラ56、従動ローラ57、ステアリングローラ58及び調整ローラ59に掛け渡された中間転写ベルト51は、上下方向に長い環状に形作られる。
また、中間転写ベルト51の内側に配置される複数の1次転写ローラ52は、4つの1次転写ローラ52Y,52M,52C,52Kから構成されている。1次転写ローラ52Yは画像形成ユニット40Yの感光体41に対向し、1次転写ローラ52Mは画像形成ユニット40Mの感光体41に対向している。また、1次転写ローラ52Cは画像形成ユニット40Cの感光体41に対向し、1次転写ローラ52Kは画像形成ユニット40Kの感光体41に対向する。
駆動ローラ55は、複数の1次転写ローラ52における中間転写ベルト51の回転方向の最下流に位置する1次転写ローラ52Kの下流側に配置されており、不図示のローラ支持部に回転可能に支持されている。この駆動ローラ55には、駆動ローラ回転機構121(図7参照)により回転される。駆動ローラ55が回転すると、中間転写ベルト51は、感光体41の回転方向に対して逆方向に回転駆動する。
対向ローラ56は、駆動ローラ55の下流側に配置されており、不図示のローラ支持部に回転可能に支持されている。この対向ローラ56は、中間転写ベルト51を挟んで2次転写ローラ61(図1参照)に対向する。従動ローラ57は、対向ローラ56の上方(下流側)に配置され、不図示のローラ支持部に回転可能に支持されている。
ステアリングローラ58は、従動ローラ57の下流側であり、複数の1次転写ローラ52における中間転写ベルト51の回転方向の最上流に位置する1次転写ローラ52Yの上流側に配置されている。調整ローラ59は、1次転写ローラ52Yとステアリングローラ58との間に配置されている。これらステアリングローラ58及び調整ローラ59については、後で図3を用いて詳しく説明する。
中間転写ベルト51の内側には、ベルト姿勢変更部71が設けられている。ベルト姿勢変更部71は、4つの1次転写ローラ52Y,52M,52C,52Kと、これら1次転写ローラ52Y,52M,52C,52Kを移動させる1次転写ローラ駆動機構72とを備えている。そして、1次転写ローラ駆動機構72は、第1ローラ支持部73と、第2ローラ支持部74と、第1ガイド部75と、第2ガイド部76と、不図示の駆動部とを有している。
第1ローラ支持部73は、1次転写ローラ52Y,52M,52Cを回転可能に支持する。この第1ローラ支持部73には、3つのニップ形成ローラ53Y,53M,53Cが回転可能に取り付けられている。3つのニップ形成ローラ53Y,53M,53Cは、それぞれ3つの1次転写ローラ52Y,52M,52Cの上方に配置されており、中間転写ベルト51が画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41に巻き掛けられる面積を規定する。
第2ローラ支持部74は、1次転写ローラ52Kを回転可能に支持する。この第2ローラ支持部74には、ニップ形成ローラ53Kが回転可能に取り付けられている。ニップ形成ローラ53Kは、1次転写ローラ52Kの上方に配置されており、中間転写ベルト51が画像形成ユニット40Kの感光体41に巻き掛けられる面積を規定する。
第1ガイド部75は、第1ローラ支持部73を1次転写ローラ52Y,52M,52Cが並ぶ方向及び1次転写ローラ52Y,52M,52Cの軸方向に直交する水平方向に案内し、第2ガイド部76は、第2ローラ支持部74を水平方向に案内する。不図示の駆動部は、第1ローラ支持部73と第2ローラ支持部74を個別に移動させる。
不図示の駆動部としては、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構と、このラック・アンド・ピニオン機構のピニオンを回転させるモーターから構成することができる。また、不図示の駆動部としては、ベルトと、ベルトが掛け渡されるプーリと、プーリを回転させるモーターから構成してもよく、ローラ支持部73,74を個別に移動させるその他の機構を採用することができる。さらに、不図示の駆動部としては、エアシリンダー、リニアアクチュエーターなどローラ支持部73,74を個別に移動させるその他のアクチュエーターを採用することができる。
第1ローラ支持部73は、第1ガイド部75に沿って移動することにより、1次転写ローラ52Y,52M,52C及びニップ形成ローラ53Y,53M,53Cを画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41に対して接近及び離反させる。
第1ローラ支持部73が画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41に接近する方向へ移動すると、1次転写ローラ52Y,52M,52C及びニップ形成ローラ53Y,53M,53Cが中間転写ベルト51の内面に接触する。そして、1次転写ローラ52Y,52M,52C及びニップ形成ローラ53Y,53M,53Cが中間転写ベルト51の内面を押圧して画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41に接触させる。
第2ローラ支持部74は、第2ガイド部76に沿って移動することにより、1次転写ローラ52K及びニップ形成ローラ53Kを画像形成ユニット40Kの感光体41に対して接近及び離反させる。
第2ローラ支持部74が画像形成ユニット40Kの感光体41に接近する方向へ移動すると、1次転写ローラ52K及びニップ形成ローラ53Kが中間転写ベルト51の内面に接触する。そして、1次転写ローラ52K及びニップ形成ローラ53Kが中間転写ベルト51の外面を押圧して画像形成ユニット40Kの感光体41に接触させる。
画像形成装置1(図1参照)が用紙Sに画像を形成していないとき、ベルト姿勢変更部71は、中間転写ベルト51の姿勢を解除状態にする(図2参照)。すなわち、第1ローラ支持部73及び第2ローラ支持部74は、4つの感光体41から所定の距離をあけた位置である離反位置に配置される。これにより、1次転写ローラ52Y,52M,52C,52K及びニップ形成ローラ53Y,53M,53C,53Kは、中間転写ベルト51の内面から離れ、中間転写ベルト51は、画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41から離れる。
画像形成装置1(図1参照)が用紙Sに単色画像を形成するとき、ベルト姿勢変更部71は、中間転写ベルト51の姿勢を単色画像形成状態にする(図3参照)。すなわち、第1ローラ支持部73は、中間転写ベルト51から所定の距離をあけた位置である離反位置に配置され、第2ローラ支持部74は、画像形成ユニット40Kの感光体41に接近した位置である近接位置に配置される。
これにより、1次転写ローラ52Y,52M,52C及びニップ形成ローラ53Y,53M,53Cは、中間転写ベルト51の内面から離れ、1次転写ローラ52K及びニップ形成ローラ53Kは、中間転写ベルト51の内面を押圧する。その結果、中間転写ベルト51は、画像形成ユニット40Kの感光体41に接触する。
画像形成装置1(図1参照)が用紙Sにカラー画像を形成するとき、ベルト姿勢変更部71は、中間転写ベルト51の姿勢をカラー画像形成状態にする(図4参照)。すなわち、第1ローラ支持部73及び第2ローラ支持部74は、画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41に接近した位置である近接位置に配置される。これにより、1次転写ローラ52Y,52M,52C,52K及びニップ形成ローラ53Y,53M,53C,53Kは、中間転写ベルト51の内面を押圧し、中間転写ベルト51が画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41に接触する。
次に、ステアリングローラ58と調整ローラ59について、図5を参照して説明する。
図5は、ステアリングローラ58及び調整ローラ59を示す説明図である。
ステアリングローラ58は、回転駆動する中間転写ベルト51の位置を調整する。図5に示すように、ステアリングローラ58の一端部58aは、ローラ支持部材171に支持されており、他端部58bは、ステアリングローラ移動機構123(図7参照)に接続されている。
ステアリングローラ移動機構123は、ステアリングローラ58の一端部58aを支点として、ステアリングローラ58の他端部58bを、円を描く回動方向θaへ変位させる。この他端部58bの変位により、ステアリングローラ58が一端部58aを支点に回動し、中間転写ベルト51の幅方向W1の位置を移動させるステアリング調整が行われる。
例えば、ステアリングローラ58の他端部58bを回動方向θaに沿って一方に変位させると、中間転写ベルト51の幅方向W1の位置がステアリングローラ58の一端部58a側に移動する。また、ステアリングローラ58の他端部58bを回動方向θaに沿って他方に変位させると、中間転写ベルト51の幅方向W1の位置がステアリングローラ58の他端部58b側に移動する。
ステアリングローラ移動機構123は、後述する制御部100により制御される。制御部100は、後述するベルト端部検出部110の検出結果に基づいて、ステアリングローラ58における他端部58bの位置を決定する。そして、ステアリングローラ移動機構123を駆動制御し、ステアリングローラ58における他端部58bを決定した位置に配置させる。
また、ステアリングローラ58は、中間転写ベルト51に張力を付与するテンションローラとしての機能も有している。本実施の形態では、ステアリングローラ58をバネ部材(不図示)によって上方に付勢し、中間転写ベルト51に張力を付与している。なお、中間転写ベルト51に張力を付与する構造は、通常のテンションローラに適用する構造を採用することができる。本実施の形態では、中間転写ベルト51に張力を付与する構造全体を、ステアリングローラ移動機構123によって回動方向θaへ回動させる。
調整ローラ59の一端部59aは、ローラ支持部材172に回転可能に支持されている。調整ローラ59は、調整ローラ移動機構124(図7参照)により移動される。調整ローラ移動機構124は、調整ローラ59を回転可能に支持するローラ支持部材172と、ローラ支持部材172の移動を案内するガイド部と、ローラ支持部材172を移動させる移動部(不図示)から構成されている。
ローラ支持部材172を移動させる移動部としては、上述した第1ローラ支持部73と第2ローラ支持部74を移動させる不図示の駆動部と同様に、モーターと各種の機構を組み合わせたものや、各種のアクチュエーターを採用することができる。
調整ローラ移動機構124の移動部は、後述する制御部100により制御される。制御部100は、調整ローラ移動機構124の移動部を駆動制御し、予め設定された位置に調整ローラ59を移動させる。
ベルト端部検出部110は、中間転写ベルト51の近傍に配置されており、中間転写ベルト51の端部51a,51bの位置を検出する。このベルト端部検出部110は、ベース部111と、2つのレバー112,113を備えている。
2つのレバー112,113は、中間転写ベルト51を幅方向に挟んで配置されており、ベース部111に回動可能に取り付けられている。レバー112は、中間転写ベルト51の一方の端部51aに対向しており、レバー113は、中間転写ベルト51の他方の端部51bに対向している。
レバー112は、回動軸112aと、接触ピン112bを有している。このレバー112は、ばねなどの付勢部によって中間転写ベルト51の一方の端部51a側に付勢されている。これにより、レバー112の接触ピン112bが中間転写ベルト51の一方の端部51aに接触する。
レバー113は、回動軸113aと、接触ピン113bを有している。このレバー113は、ばねなどの付勢部によって中間転写ベルト51の他方の端部51b側に付勢されている。これにより、レバー113の接触ピン113bが中間転写ベルト51の他方の端部51bに接触する。
ベルト端部検出部110は、レバー112,113の回動角度θb,θcを検出し、検出結果を後述する制御部100(図7参照)へ送信する。そして、制御部100は、ベルト端部検出部110の検出結果に基づいて、中間転写ベルト51の端部51a,51bの位置を検知する。
制御部100の後述するROM102(図7参照)には、中間転写ベルト51の端部51a,51bが適正位置であるときの回動角度θb,θcの値である基準値が設定されている。制御部100は、回動角度θb,θcが基準値から変化したときに、中間転写ベルト51の端部51a,51bが適正位置でないと判定する。そして、回動角度θb,θcの基準値からの変化量を端部51a,51bの変位量に換算し、端部51a,51bの位置を検知する。
[調整部の移動位置]
次に、調整部である調整ローラ59の移動位置について、図6を参照して説明する。
図6は、調整ローラ59の回転中心の軌跡を示す説明図である。
調整ローラ59は、中間転写ベルト51の姿勢に応じて位置が変更され、ステアリングローラ58に対する中間転写ベルト51の巻き付き角が変化しないようにする。本実施の形態における調整ローラ59は、中間転写ベルト51が解除状態のときに解除位置に配置される。また、調整ローラ59は、中間転写ベルト51が単色画像形成状態のときに単色画像形成時位置に配置され、中間転写ベルト51がカラー画像形成状態のときにカラー画像形成時位置に配置される。
中間転写ベルト51の各状態(姿勢)における調整ローラ59の位置は、ステアリングローラ58及び従動ローラ57の位置、ステアリングローラ58の付勢方向、中間転写ベルト51のベルト長、感光体41と中間転写ベルト51の接触面積に基づいて決定する。なお、中間転写ベルト51のベルト長は常に一定であることとする。
中間転写ベルト51の姿勢に応じて調整ローラ59の位置を変化させ、ステアリングローラ58に対する中間転写ベルト51の巻き付き角が変化しないようにすると、ステアリング制御時の中間転写ベルト51の蛇行を抑制することができる。しかも、ステアリングローラ58がテンションローラを兼ねているため、中間転写ベルト51の姿勢が変更されても、中間転写ベルト51のテンションを一定に保つローラに対する中間転写ベルト51の巻き付き角を変化させないようにすることができる。
図6に示すように、単色画像形成時位置は、解除位置よりも斜め下方に設定され、カラー画像形成時位置は、単色画像形成時位置よりも斜め下方に設定されている。
調整ローラ59の解除位置から単色画像形成時位置までの移動経路は、解除位置における調整ローラ59の回転中心と単色画像形成時位置における調整ローラ59の回転中心を結ぶ直線に設定されている。また、調整ローラ59の単色画像形成時位置からカラー画像形成時位置までの移動経路は、単色画像形成時位置における調整ローラ59の回転中心とカラー画像形成時位置の回転中心を結ぶ直線に設定されている。
これにより、調整ローラ59の移動距離を最短にすることができ、ステアリングローラ58に対する中間転写ベルト51の巻き付き角が変化している時間を短くすることができる。また、調整ローラ59の移動動作を単純にすることができ、調整ローラ移動機構124の構成を簡単にすることができる。
本実施の形態では、調整ローラ59の解除位置からカラー画像形成時位置までの移動経路が略直線に設定されている。これにより、単色画像形成時位置からカラー画像形成時位置に向かう場合に調整ローラ59が移動方向を変える場合よりも調整ローラ移動機構124の構成を簡単にすることができる。
本実施の形態では、1次転写ローラ52Y,52M,52C,52Kが各感光体41から離れてから、調整ローラ59の解除位置への移動を開始する。また、1次転写ローラ52Y,52M,52C,52Kが各感光体41に圧着される前に、調整ローラ59のカラー画像形成時位置への移動を完了する。
これにより、ステアリングローラ58に対する中間転写ベルト51の巻き付き角が変わらないようにすることができる。その結果、中間転写ベルト51の姿勢を変更するときに中間転写ベルト51を回転駆動させていても、中間転写ベルト51が蛇行しないようにすることができ、用紙Sに形成する画像の色ずれを防止或いは抑制することができる。
なお、中間転写ベルト51をカラー画像形成状態から単色画像形成状態にする場合は、1次転写ローラ52Kが感光体41から離れてから、調整ローラ59の単色画像形成時位置への移動を開始する。また、中間転写ベルト51を解除状態から単色画像形成状態にする場合は、1次転写ローラ52Kが感光体41に圧着される前に、調整ローラ59の単色画像形成時位置への移動を完了する。
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
次に、画像形成装置1の各部のハードウェア構成について、図7を参照して説明する。
図7は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。
図7に示すように、画像形成装置1は、制御部100を備えている。この制御部100は、上述の制御基板90(図1参照)上に構成されている。
制御部100は、例えばCPU(中央演算処理装置)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102と、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103とを有している。なお、ROM102としては、例えば、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMを用いる。
CPU101は、装置全体を制御する。このCPU101は、HDD(Hard disk drive)104、操作表示部105及びベルト端部検出部110にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。また、CPU101は、通信部108、画像読取部30、画像処理部106、画像形成部40、給紙部21、定着部80にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。さらに、CPU101は、駆動ローラ回転機構121、1次転写ローラ移動機構122、ステアリングローラ移動機構123、調整ローラ移動機構124にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。
HDD104は、画像読取部30で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする。操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて入力信号を出力する。
ベルト端部検出部110は、中間転写ベルト51の端部51a,51bの位置を検出し、その検出結果をCPU101に送信する。
通信部108は、外部の情報処理装置であるPC(パーソナルコンピュータ)120から送信されるジョブ情報を、通信回線を介して受け取る。そして、受け取ったジョブ情報を、システムバス107を介して制御部100に送る。ジョブ情報には、形成する画像の画像データと、その画像データに対応付けられた使用する用紙の情報などが設定されている。
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
画像読取部30は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、一画素当たりRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。画像読取部30によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続された外部装置の一例を示すPC120から送信される画像データは、画像処理部106に送られ、画像処理される。画像処理部106は、受信した画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
例えば、画像形成装置1でカラー印刷を実行する場合は、画像読取部30等によって生成されたR・G・Bの画像データを画像処理部106における色変換LUT(Look up Table)に入力する。そして、画像処理部106は、R・G・BデータをY・M・C・Kの画像データに色変換する。そして、色変換した画像データに対して、階調再現特性の補正、濃度補正LUTを参照した網点などのスクリーン処理、あるいは細線を強調するためのエッジ処理などを行う。
画像形成部40は、制御部100により駆動制御され、用紙S上にトナー像を形成する。定着部80は、制御部100により駆動制御され、用紙Sを加圧及び加熱して、トナー像を用紙Sに定着させる。駆動ローラ回転機構121は、制御部100により駆動制御され、
中間転写ベルト51を回転駆動させる。
1次転写ローラ移動機構122は、制御部100により駆動制御され、1次転写ローラ52Y,52M,52Cを支持する第1ローラ支持部73と、1次転写ローラ52Kを支持する第2ローラ支持部74を移動させる。これにより、中間転写ベルト51の一部が感光体41に対して接触及び離反し、中間転写ベルト51は、解除状態、単色画像形成状態又はカラー画像形成状態になる。
ステアリングローラ移動機構123は、制御部100により駆動制御され、ステアリングローラ58の一端部58aの位置を変位させる。制御部100は、中間転写ベルト51が感光体41と接触した状態(単色画像形成状態又はカラー画像形成状態)のとき、ステアリングローラ58の一端部58aの位置を変位させるステアリング制御を行う。すなわち、制御部100は、ベルト端部検出部110の検出結果に基づいて、中間転写ベルト51が感光体41に対して適正な位置に配置されるように、ステアリングローラ58の傾斜角度を設定する。そして、ステアリングローラ58が設定した傾斜角度になるように、ステアリングローラ58の一端部58aの位置を変位させる。
調整ローラ移動機構124は、本発明に係る調整部移動機構の一具体例を示すものである。この調整ローラ移動機構124は、制御部100により駆動制御され、調整ローラ59を解除位置、単色画像形成時位置又はカラー画像形成時位置に配置する。
[調整部の動作]
次に、調整ローラ59の動作例について、図2及び図4を参照して説明する。
まず、中間転写ベルト51を解除状態からカラー画像形成状態にする場合について説明する。
最初に、制御部100のCPU101は、駆動ローラ回転機構121の駆動を制御し、解除状態の中間転写ベルト51を回転駆動させると共に、不図示の感光体回転機構を駆動制御し、4つの感光体41を回転駆動させる(図2参照)。そして、中間転写ベルト51と4つの感光体41の回転速度が所定の速度に達すると、CPU101は、調整ローラ移動機構124を駆動制御し、調整ローラ59をカラー画像形成時位置に移動させる(図4参照)。
続いて、CPU101は、1次転写ローラ移動機構122を駆動制御し、第1ローラ支持部73と第2ローラ支持部74を、4つの感光体41に接近した位置である近接位置に移動させる。これにより、1次転写ローラ52Y,52M,52C,52K及びニップ形成ローラ53Y,53M,53C,53Kが中間転写ベルト51の内面を押圧する。その結果、1次転写ローラ52Y,52M,52C,52Kが4つの感光体41に圧着され、中間転写ベルト51が4つの感光体41に接触する(図4参照)。
1次転写ローラ52Y,52M,52C,52Kは、調整ローラ59がカラー画像形成時位置に配置されてから、4つの感光体41に圧着される。これにより、画像形成動作の準備が完了する。
次に、中間転写ベルト51をカラー画像形成状態から解除状態にする場合について説明する。
最初に、制御部100のCPU101は、1次転写ローラ移動機構122を駆動制御し、第1ローラ支持部73と第2ローラ支持部74を、4つの感光体41から所定の距離をあけた位置である離反位置へ移動させる(図2参照)。このとき、中間転写ベルト51及び4つの感光体41は回転駆動している。
続いて、CPU101は、調整ローラ移動機構124を駆動制御し、調整ローラ59をカラー画像形成時位置から解除位置に移動させる。そして、調整ローラ59の解除位置への移動が完了すると、CPU101は、駆動ローラ回転機構121の駆動を制御し、中間転写ベルト51の回転駆動を停止させると共に、不図示の感光体回転機構を駆動制御し、4つの感光体41の回転駆動を停止させる。
2.画像形成装置の第2の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第2の実施の形態について、図8を参照して説明する。
図8は、画像形成装置の第2の実施の形態に係る中間転写ユニットを示す説明図である。
画像形成装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図1参照)と同様の構成を有している。画像形成装置の第2の実施の形態が画像形成装置1と異なる点は、中間転写ユニット250である。したがって、ここでは、画像形成装置の第2の実施の形態に係る中間転写ユニット250について説明する。
[中間転写ユニット]
図8に示すように、中間転写ユニット250は、中間転写ベルト251と、中間転写ベルトが掛け渡される複数のローラとを有している。中間転写ユニット250の複数のローラは、駆動ローラ255と、対向ローラ256と、従動ローラ257と、ステアリングローラ258と、調整部である調整ローラ259とを含む。駆動ローラ255、対向ローラ256、従動ローラ257、ステアリングローラ258及び調整ローラ259に掛け渡された中間転写ベルト251は、上下方向に長い環状に形作られる。
駆動ローラ255、対向ローラ256、従動ローラ257、ステアリングローラ258は、第1の実施の形態に係る駆動ローラ55、対向ローラ56、従動ローラ57、ステアリングローラ58と同様の構成を有している。
中間転写ベルト251の内側には、ベルト姿勢変更部271が設けられている。ベルト姿勢変更部271は、4つの1次転写ローラ252Y,252M,252C,252Kと、これら1次転写ローラ252Y,252M,252C,252Kを移動させる1次転写ローラ駆動機構272とを備えている。そして、1次転写ローラ駆動機構272は、第1ローラ支持部273と、第2ローラ支持部274と、回動アーム275と、駆動カム276と、不図示の駆動源とを有している。
第1ローラ支持部273は、不図示のフレームに移動可能に係合されており、1次転写ローラ252Y,252M,252Cを回転可能に支持している。1次転写ローラ252Y,252M,252Cは、それぞれ付勢部材278によって画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41側に付勢されている。
付勢部材278としては、例えば、ばね部材、ゴム部材などの弾性部材を適用することができる。
また、第1ローラ支持部273には、調整ローラ259と、2つのニップ形成ローラ253M,253Cが回転可能に取り付けられている。2つのニップ形成ローラ253M,253Cは、1次転写ローラ252M,252Cの上流側に配置されており、中間転写ベルト251が画像形成ユニット40M,40Cの感光体41に巻き掛けられる面積を規定する。
調整ローラ259は、1次転写ローラ252Yとステアリングローラ258との間に配置されている。この調整ローラ259は、中間転写ベルト251の姿勢に応じて位置が変更され、ステアリングローラ258に対する中間転写ベルト251の巻き付き角が変化しないようにする。
また、調整ローラ259は、ニップ形成ローラを兼ねる。この調整ローラ259は、1次転写ローラ52Yの上流側に配置されており、中間転写ベルト51が画像形成ユニット40Yの感光体41に巻き掛けられる面積を規定する。このように、調整ローラ259がニップ形成ローラを兼ねることにより、中間転写ベルト251が掛け渡されるローラの数を減らすことができ、中間転写ユニット250の部品点数を削減することができる。
さらに、第1ローラ支持部273には、略V字状の2つのガイド溝281が設けられている。これら2つのガイド溝281は、中間部が感光体41側に凸となるように形成されている。そして、2つのガイド溝281には、それぞれ固定ピン291が係合されている。これにより、2つのガイド溝281は、第1ローラ支持部273の移動を案内する。
第1ローラ支持部273は、ガイド溝281に沿って移動し、1次転写ローラ252Y,252M,252C、ニップ形成ローラ253M,253Cを、画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41に対して接近及び離反させる。
図8に示すように、各固定ピン291が各ガイド溝281の中間部に位置すると、第1ローラ支持部273は、画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41側に移動する。その結果、1次転写ローラ252Y,252M,252Cは、画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41に圧着される。
また、各固定ピン291が各ガイド溝281の上端部又は下端部に位置すると、第1ローラ支持部273は、画像形成ユニット40Y,40M,40Cの感光体41から離れる。その結果、1次転写ローラ252Y,252M,252Cは、中間転写ベルト251の内面から離れる。
第2ローラ支持部274は、図示のフレームに固定されており、1次転写ローラ252Kを回転可能に支持している。1次転写ローラ252Kは、付勢部材278によって画像形成ユニット40Kの感光体41側に付勢されている。
回動アーム275は、不図示のフレームに回動可能に支持されており、回動軸275aを中心に回動する。この回動アーム275は、略長方形状に形成されており、長手方向の一端部が1次転写ローラ252Kに係合している。また、回動アーム275の他端部は、駆動カム276に係合している。回動アーム275は、駆動カム276に押圧されて回動し、付勢部材278の付勢力に抗して1次転写ローラ252Kを押圧する。その結果、1次転写ローラ252が中間転写ベルト251の内面から離れる。
また、回動アーム275には、ニップ形成ローラ253Kが回転可能に取り付けられている。ニップ形成ローラ253Kは、1次転写ローラ252Kの上流側に配置されており、中間転写ベルト251が画像形成ユニット40Kの感光体41に巻き掛けられる面積を規定する。
駆動カム276は、第1カム部材292と、第2カム部材293とを有している。これら第1カム部材292と第2カム部材293は、不図示のフレームに回動可能に取り付けられており、回動軸294を中心に回動する。第1カム部材292と第2カム部材293は、一体的に構成されており、不図示の駆動源によって一緒に回動される。不図示の駆動源としては、例えば、モーターと、モーターの回転速度を減速させるギヤ列から構成される。
第1カム部材292は、略扇形に形成されており、径方向の長さが連続的に変化している。この第1カム部材292の円弧部は、第1ローラ支持部273の下端部に係合する。そのため、第1カム部材292が回動軸294を中心に回動することにより、第1ローラ支持部273は上下方向へ移動する。
第2カム部材293は、略楕円形に形成されている。この第2カム部材293の外周部は、回動アーム275の他端部に係合する。そのため、第2カム部材293が回動軸294を中心に回動することにより、第2カム部材293は回動軸275aを中心に回動する。
また、第2カム部材293は、第1カム部材292との係合が外れた第1ローラ支持部273の下端部と係合する。第1ローラ支持部273の下端部が第2カム部材293に係合すると、第1ローラ支持部273が下方に移動し、各固定ピン291が各ガイド溝281の下端部に位置する。
第2の実施の形態の画像形成装置が用紙Sに画像を形成していないとき、ベルト姿勢変更部271は、中間転写ベルト251の姿勢を解除状態にする。すなわち、第1ローラ支持部273は、固定ピン291がガイド溝281の下端部に位置し、感光体41から所定の距離をあけた位置である第1離反位置に配置される。また、第2ローラ支持部274の一端部は、画像形成ユニット40Kの感光体41から離れて、1次転写ローラ252Kを付勢部材278の付勢力に抗して押圧する押圧位置に配置される。
これにより、1次転写ローラ252Y,252M,252C,252K及びニップ形成ローラ253M,253C,253Kは、中間転写ベルト51の内面から離れる。その結果、中間転写ベルト251は、画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41から離れる。そして、調整ローラ259は、ステアリングローラ258に対する中間転写ベルト251の巻き付き角が変化しない解除位置に配置される。
第2の実施の形態の画像形成装置が用紙Sに単色画像を形成するとき、ベルト姿勢変更部271は、中間転写ベルト251の姿勢を単色画像形成状態にする。すなわち、第1ローラ支持部273は、固定ピン291がガイド溝281の上端部に位置し、感光体41から適当な距離をあけた位置である第2離反位置に配置される。また、第2ローラ支持部274の一端部は、画像形成ユニット40Kの感光体41に接近した位置である近接位置に配置される。
これにより、1次転写ローラ252Y,252M,252C及びニップ形成ローラ253M,253Cは、中間転写ベルト251の内面から離れ、1次転写ローラ252K及びニップ形成ローラ253Kは、中間転写ベルト251の内面を押圧する。その結果、中間転写ベルト251は、画像形成ユニット40Kの感光体41に接触する。そして、調整ローラ259は、ステアリングローラ258に対する中間転写ベルト251の巻き付き角が変化しない単色画像形成時位置に配置される。
第2の実施の形態の画像形成装置が用紙Sにカラー画像を形成するとき、ベルト姿勢変更部271は、中間転写ベルト251の姿勢をカラー画像形成状態にする(図8参照)。すなわち、第1ローラ支持部273は、固定ピン291がガイド溝281の中間部に位置し、感光体41に接近した位置である近接位置に配置される。また、第2ローラ支持部274の一端部は、画像形成ユニット40Kの感光体41に接近した位置である近接位置に配置される。
これにより、1次転写ローラ252Y,252M,252C,252K及びニップ形成ローラ253M,253C,253Kは、中間転写ベルト251の内面を押圧する。その結果、中間転写ベルト251は、画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41に接触する。そして、調整ローラ259は、ステアリングローラ258に対する中間転写ベルト251の巻き付き角が変化しないカラー画像形成時位置に配置される。
中間転写ベルト251の各状態(姿勢)における調整ローラ259の位置は、ステアリングローラ258及び従動ローラ257の位置、ステアリングローラ258の付勢方向、中間転写ベルト251のベルト長、感光体41と中間転写ベルト251の接触面積に基づいて決定する。なお、中間転写ベルト251のベルト長は常に一定であることとする。
このような中間転写ユニット250を備える第2の実施の形態の画像形成装置においても、第1の実施の形態の画像形成装置1と同様の効果を得ることができる。すなわち、中間転写ベルト251の姿勢に応じて調整ローラ259の位置を変化させ、ステアリングローラ258に対する中間転写ベルト251の巻き付き角が変化しないようにする。その結果、ステアリング制御時の中間転写ベルト251の蛇行を抑制することができる。
しかも、ステアリングローラ258がテンションローラを兼ねているため、中間転写ベルト251の姿勢が変更されても、中間転写ベルト251のテンションを一定に保つローラに対する中間転写ベルト251の巻き付き角を変化させないようにすることができる。
また、本実施の形態では、調整ローラ259がニップ形成ローラを兼ねるため、中間転写ベルト251が掛け渡されるローラの数を減らすことができ、中間転写ユニット250の部品点数を削減することができる。
また、本実施の形態では、ベルト姿勢変更部271が調整ローラ259を移動させる調整部移動機構を兼ねるため、移動機構及び駆動源を減らすことができ、中間転写ユニット250の構成を簡略化することができる。
3.変形例
以上、画像形成装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の画像形成装置は、上述の第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述の第1及び第2実施の形態では、調整部として調整ローラ59,259を適用する構成とした。しかし、本発明に係る調整部としては、ローラに限定されるものではなく、ステアリングローラに対する中間転写ベルトの巻き付き角が変化しないようにする部材であればよい。このような調整部としては、例えば、中間転写ベルトの内面に接触する円弧状の周面をする非回転部材であってもよい。
また、上述した第1及び第2実施の形態では、ステアリングローラ58,258と1次転写ローラ52Y,252Yとの間に、調整ローラ59,259を配置する構成とした。しかし、本発明に係る調整部としては、ステアリングローラと従動ローラの間(ステアリングローラの上流側)に配置してもよい。つまり、調整部は、中間転写ベルトの周方向でステアリングローラに隣り合う位置に配置されていればよい。
また、上述の第1の実施の形態では、1次転写ローラ52Y及びニップ形成ローラ53Yとは別に調整ローラ59を設けた。また、上述の第2の実施の形態では、調整ローラ259がニップ形成ローラを兼ねる構成とした。しかしながら、本発明に係る中間転写体ユニットとしては、調整部(調整ローラ)が1次転写ローラを兼ねる構成であってもよい。この場合においても、中間転写ベルトが掛け渡されるローラの数を減らすことができ、中間転写ユニットの部品点数を削減することができる。
また、上述の第1の実施の形態では、第1ローラ支持部73が1次転写ローラ52Y,52M,52Cを回転可能に支持する構成とした。また、上述の第2の実施の形態では、第1ローラ支持部273が1次転写ローラ252Y,252M,252Cを回転可能に支持する構成とした。しかし、本発明に係る中間転写ユニットとしては、各1次転写ローラを個別に支持する支持部を設ける構成であってもよい。
また、上述の第1及び第2実施の形態では、用紙Sに単色画像及びカラー画像を形成する構成とした。そのため、中間転写ベルト51,251の姿勢を、解除状態、単色画像形成状態又はカラー画像形成状態にする構成とした。しかし、本発明の画像形成装置としては、用紙Sに単色画像、カラー画像及び通常のカラーに特色を加えた画像(特色+カラー画像)を形成する構成としてもよい。
この場合は、中間転写ユニットに、特色(例えば、金色など任意に設定できる色)用の感光体、1次転写ローラ、ニップ形成ローラ等を設ける。そして、中間転写ベルトの姿勢を、解除状態、単色画像形成状態、カラー画像形成状態又は特色+カラー画像形成状態に変化させる構成とする。このような構成では、調整ローラが解除位置、単色画像形成時位置、カラー画像形成時位置又は特色+カラー画像形成時位置のいずれかに配置される。
なお、特色+カラー画像を形成可能な構成にした場合は、例えば、上述の第1及び第2実施の形態の第1ローラ支持部73及び第2ローラ支持部74と、特色用の感光体に圧着される1次転写ローラを支持する特色用ローラ支持部とを設ける。この場合は、上述の第1の実施の形態のように、調整ローラを支持する支持部材を別に設けてもよいが、特色用ローラ支持部が調整ローラを支持する構成であってもよい。
また、特色+カラー画像を形成可能な構成にした場合は、調整部(調整ローラ)が、特色用の感光体に圧着される1次転写ローラを兼ねる構成にしてもよい。また、調整部(調整ローラ)が、特色用の感光体に圧着される1次転写ローラの上流に配置されるニップ形成ローラを兼ねる構成にしてもよい。
また、上述の第1及び第2実施の形態では、本発明に係るベルトとして中間転写ベルトを適用した。しかし、本発明に係るベルトとしては、転写部に用紙を搬送する搬送ベルトであってもよい。
また、上述の第1及び第2実施の形態では、ステアリングローラ58,258の上流側に従動ローラ57,257を配置する構成とした。しかし、本発明に係る中間転写ユニットにおける従動ローラの位置は、任意に設定することができる。本発明に係る中間転写ユニットとしては、例えば、ステアリングローラ58,258の上流側に駆動ローラを配置し、1次転写ローラの下流側に従動ローラを配置してもよい。