JP5923888B2 - ハイブリッド車両およびその制御方法 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関を搭載するハイブリッド車両およびその制御方法に関する。
特開2009−227074号公報(特許文献1)は、エンジンと、エンジンに連結されて発電するモータMG1と、車両の駆動力を発生するモータMG2とを備えるハイブリッド車両を開示する。このハイブリッド車両においては、大気圧センサが設けられ、大気圧がしきい値未満のときには、大気圧がしきい値以上のときに比べてバッテリに充電される電力が大きくなる傾向に充放電電力が設定される。そして、その設定された充放電電力と運転者によって要求される要求トルクとに基づいて、エンジンに要求される要求パワーが設定される。これにより、高地などの大気圧が低い地域を走行するときでも、バッテリの蓄電量が低下するのを抑制することができるとされる(特許文献1参照)。
特開2009−227074号公報 特開2009−227073号公報 特開2009−173235号公報
高地においては、空気密度が低いためにエンジンのトルクおよびパワーが低下する。ハイブリッド車両においては、さらに、モータを駆動するインバータの絶縁性能が低下するので、インバータの入力電圧(システム電圧)を低下させる必要がある。これにより、エンジンに連結されて発電するモータ(発電機)のパワーが制限され、それによってモータの回転数が制限される。そうすると、その回転数が律則となって、モータに連結されたエンジンの回転数が制限され、それによってエンジンの出力がさらに制限される。その結果、ハイブリッド車両においては、高地での走行性能の低下が顕著となり得るという問題がある。
このようなハイブリッド車両の問題点およびその解決手法について、上記の公報では特に検討されていない。
そこで、この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、高地での走行性能の低下をできる限り抑制可能なハイブリッド車両を提供することである。
また、この発明の別の目的は、高地での走行性能の低下をできる限り抑制可能なハイブリッド車両の制御方法を提供することである。
この発明によれば、ハイブリッド車両は、内燃機関と、回転電機と、駆動制御装置と、直流電源と、電圧調整装置と、電子制御装置と、気圧検出装置とを備える。回転電機は、内燃機関に機械的に連結され、内燃機関によって駆動される。駆動制御装置は、回転電機の駆動を制御する。電圧調整装置は、直流電源と駆動制御装置との間に設けられ、駆動制御装置に与えられるシステム電圧を調整する。電子制御装置は、駆動制御装置および電圧調整装置を制御する。気圧検出装置は、大気圧を検出する。電子制御装置は、電圧制御部と、回転数制御部とを含む。電圧制御部は、電圧調整装置を制御することによって、気圧検出装置により検出される大気圧の低下に応じてシステム電圧を低下させる。回転数制御部は、気圧検出装置の検出結果に基づいて、内燃機関が出力可能な最大トルクに対する回転電機の反力トルクを算出し、その算出された反力トルクに基づいて回転電機の回転数を制御する。
好ましくは、回転数制御部は、気圧検出装置により検出される大気圧の低下に応じて回転電機の反力トルクを低下させ、その反力トルクの低下に応じて回転電機の回転数を増加させる。
好ましくは、ハイブリッド車両は、電動機と、動力分割装置とをさらに備える。電動機は、車両の駆動力を発生する。動力分割装置は、内燃機関の出力を回転電機および車両の駆動軸へ分割する。
好ましくは、回転数制御部は、気圧検出装置の測定誤差を考慮して、回転電機の過回転が発生しないように回転電機の反力トルクを算出する。
また、この発明によれば、制御方法は、ハイブリッド車両の制御方法である。ハイブリッド車両は、内燃機関と、回転電機と、駆動制御装置と、直流電源と、電圧調整装置と、気圧検出装置とを備える。回転電機は、内燃機関に機械的に連結され、内燃機関によって駆動される。駆動制御装置は、回転電機の駆動を制御する。電圧調整装置は、直流電源と駆動制御装置との間に設けられ、駆動制御装置に与えられるシステム電圧を調整する。気圧検出装置は、大気圧を検出する。そして、制御方法は、電圧調整装置を制御することによって、気圧検出装置により検出される大気圧の低下に応じてシステム電圧を低下させるステップと、気圧検出装置の検出結果に基づいて、内燃機関が出力可能な最大トルクに対する回転電機の反力トルクを算出するステップと、その算出された反力トルクに基づいて回転電機の回転数を制御するステップとを含む。
この発明においては、大気圧を検出する気圧検出装置が設けられ、大気圧の低下に応じてシステム電圧を低下させる。このシステム電圧の低下により回転電機のパワーは制限されるところ、この発明においては、気圧検出装置の検出結果に基づいて、内燃機関が出力可能な最大トルクに対する回転電機の反力トルクが算出され、その算出された反力トルクに基づいて回転電機の回転数が制御される。これにより、大気圧の低下による内燃機関の出力低下が回転電機の反力トルクの算出に反映され、その結果、回転電機の回転数制限およびそれに伴なう内燃機関の出力制限が緩和される。したがって、この発明によれば、高地での走行性能の低下を抑制することができる。
この発明の実施の形態によるハイブリッド車両の全体ブロック図である。 第1MG、第2MG、およびエンジンの回転数の関係を示した図である。 エンジンの回転数とトルクとの関係を示した図である。 第1MGの回転数と最大トルクとの関係を示した図である。 第1MGの回転数制限緩和の考え方を説明した図である。 図1に示すECUの機能ブロック図である。 第1MGの回転数制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。 変形例における第1MGの回転数制限緩和の考え方を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態によるハイブリッド車両の全体ブロック図である。図1を参照して、ハイブリッド車両100は、蓄電装置10と、コンバータ12と、電圧センサ13と、インバータ14,16と、第1モータジェネレータ(MG)18と、第2MG20と、エンジン22とを備える。また、ハイブリッド車両100は、動力分割装置24と、伝達ギヤ26と、駆動輪28と、電子制御ユニット(以下「ECU(Electronic Control Unit)」と称する。)30と、気圧センサ32とをさらに備える。
蓄電装置10は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池によって構成される。蓄電装置10は、コンバータ12へ電力を出力する。また、蓄電装置10は、第1MG18および/または第2MG20の発電時、発電された電力をコンバータ12から受けて充電される。なお、蓄電装置10として、大容量のキャパシタも採用可能であり、第1MG18および/または第2MG20により発電された電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をコンバータ12へ出力可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
コンバータ12は、ECU30からの制御信号PWCに基づいて、正極線PLと負極線NLとの間の電圧(以下「システム電圧VH」とも称する。)を調整する。一例として、コンバータ12は、電流可逆型の昇圧チョッパ回路によって構成され、システム電圧VHを蓄電装置10の電圧以上に昇圧する。電圧センサ13は、システム電圧VHを検出し、その検出値をECU30へ出力する。
インバータ14は、正極線PLからシステム電圧VHを受け、ECU30からの制御信号PWI1に基づいて第1MG18の駆動を制御する。インバータ14は、第1MG18が発電した電力を直流電力に変換して正極線PLへ出力する。また、インバータ14は、エンジン22の始動時、正極線PLから供給される直流電力を交流電力に変換して第1MG18へ出力する。
インバータ16は、正極線PLからシステム電圧VHを受け、ECU30からの制御信号PWI2に基づいて第2MG20の駆動を制御する。インバータ16は、正極線PLから供給される直流電力を交流電力に変換して第2MG20へ出力する。また、インバータ16は、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時、第2MG20により発電される電力を直流電力に変換して正極線PLへ出力する。
第1MG18および第2MG20の各々は、交流電動機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機によって構成される。第1MG18は、動力分割装置24(後述)を介してエンジン22に機械的に連結される。そして、第1MG18は、エンジン22によって駆動され、発電した電力をインバータ14へ出力する。また、第1MG18は、エンジン22の始動時、エンジン22のクランキングを行なうためのトルクを発生する。第2MG20は、車両の駆動力を発生して伝達ギヤ26へ出力する。また、第2MG20は、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時、伝達ギヤ26を介して駆動輪28から回転トルクを受けて発電し、インバータ16へ出力する。
エンジン22は、燃料の燃焼による熱エネルギーをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギーに変換し、その変換された運動エネルギーを動力分割装置24へ出力する。たとえば、運動子がピストンであり、その運動が往復運動であれば、いわゆるクランク機構を介して往復運動が回転運動に変換され、ピストンの運動エネルギーが動力分割装置24に伝達される。
動力分割装置24は、エンジン22、第1MG18および伝達ギヤ26に結合されてこれらの間で動力を分割する。たとえば、サンギヤ、プラネタリキャリアおよびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車を動力分割装置24として用いることができ、この3つの回転軸が第1MG18、エンジン22および伝達ギヤ26の回転軸にそれぞれ接続される。なお、第2MG20の回転軸は、伝達ギヤ26の回転軸に連結される。すなわち、第2MG20と伝達ギヤ26とは、同一の回転軸を有し、その回転軸が動力分割装置24のリングギヤに接続される。
そして、エンジン22が発生する動力は、動力分割装置24によって第1MG18と伝達ギヤ26とに分割される。すなわち、エンジン22は、駆動輪28へ動力を伝達する伝達ギヤ26を駆動するとともに第1MG18を駆動する動力源としてハイブリッド車両100に組込まれる。そして、第1MG18は、エンジン22から動力を受けて発電する発電機として動作し、かつ、エンジン22の始動を行ない得る電動機として動作するものとしてハイブリッド車両100に組込まれる。また、第2MG20は、駆動輪28を駆動する動力源としてハイブリッド車両100に組込まれる。
気圧センサ32は、ハイブリッド車両100の周囲の大気圧Pを検出し、その検出値をECU30へ出力する。気圧センサ32は、たとえば、ブルドン管気圧計や、電気式気圧計等によって構成することができるが、これらに限定されるものではない。
ECU30は、予め記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、コンバータ12およびインバータ14,16を制御する。具体的には、ECU30は、電圧センサ13からシステム電圧VHの検出値を受け、システム電圧VHが目標に一致するようにコンバータ12を制御する。ここで、ECU30は、気圧センサ32から大気圧Pの検出値を受け、大気圧Pの低下に応じてシステム電圧VHを低下させる。大気圧Pの低下に応じてシステム電圧VHを低下させるのは、大気圧Pが低下すると空気密度が低くなり、システム電圧VHを受けるインバータ14,16の絶縁性能が低下するからである。
また、ECU30は、大気圧Pの検出値に基づいて、エンジン22が出力可能な最大トルクを算出し、その算出されたエンジントルクに対する第1MG18の反力トルクを算出する。そして、ECU30は、大気圧Pを反映して算出された上記反力トルクに基づいて第1MG18の回転数を設定し、上記反力トルクおよび設定回転数に基づいてインバータ14を制御する。これにより、高地でのシステム電圧VHの低下による第1MG18の回転数制限が緩和され、その結果、エンジン22の出力制限が緩和される。この点について、以下に詳しく説明する。
図2は、第1MG18、第2MG20、およびエンジン22の回転数の関係を示した図である。図2を参照して、第1MG18、第2MG20、およびエンジン22の各回転軸は、動力分割装置24(図1)に結合され、第1MG18、第2MG20、およびエンジン22の回転数は、図に示されるように直線で結ばれる関係となる。第2MG20の回転数は、走行速度によって制約されるので、第1MG18の回転数が制限されると、エンジン22の回転数が制限される。したがって、第1MG18の回転数が不必要に制限されると、エンジン22の回転数およびパワーが不必要に制限されることとなる。
図3は、エンジン22の回転数とトルクとの関係を示した図である。図3を参照して、曲線k2は、空気密度が低下する高地を走行するときのエンジン22のトルク曲線を示し、曲線k1は、高地ではない低地を走行するときのトルク曲線を示す。高地では、低地に比べて空気密度が低く、燃焼に必要な吸入酸素量が減少する。したがって、図に示されるように、高地走行時は、低地走行時に比べてエンジントルクが低下し、その結果、エンジンパワーは低下する。
図3に示すエンジンパワーの低下は、ハイブリッド車両に限らず、エンジンのみを動力源として搭載する従来の車両においても発生する。しかしながら、このハイブリッド車両100においては、さらに、大気圧Pの低下に応じたシステム電圧VHの低減によって第1MG18の回転数が制限され、これによってもエンジン22のパワーが制約を受ける。
図4は、第1MG18の回転数と最大トルクとの関係を示した図である。なお、この図4では、発電時のトルクが負として示されている。図4を参照して、曲線k3は、システム電圧VHが最大定格(たとえば650V)のときの第1MG18の最大トルク曲線を示す。曲線k4は、大気圧Pの低下に応じてシステム電圧VHを低下させたとき(たとえば500V)の第1MG18の最大トルク曲線を示す。
第1MG18の出力は、システム電圧VHに依存し、システム電圧VHが低下すると、最大トルク曲線はk3からk4に遷移する。ここで、仮に、第1MG18がエンジン22から受ける反力トルク(第1MG18の駆動トルク)を、エンジン22の最大定格トルクから算出されるトルクTR1とすると、そのトルクTR1を担保するための第1MG18の回転数は、N1からN2に大きく制限される。すなわち、第1MG18がエンジン22から受ける反力トルクをトルクTR1と想定した場合、大気圧Pの低下に応じてシステム電圧VHを曲線k4のレベルに低下させると、第1MG18の回転数はN2に大きく制限される。そうすると、この第1MG18の回転数が律則となって、第1MG18に連結されるエンジン22の回転数およびパワーも大きく制限されてしまう。
図5は、この実施の形態による第1MG18の回転数制限緩和の考え方を説明した図である。図5を参照して、この実施の形態では、気圧センサ32が設けられ、気圧センサ32によって検出される大気圧Pに基づいて、エンジン22が出力可能な最大トルクが算出される。そして、その算出されたエンジン22の最大トルクに対する第1MG18の反力トルクTR2が算出される。
すなわち、大気圧Pが低下すると、図3に示したようにエンジン22が出力可能な最大トルクが低下し、エンジン22の最大トルクに対する第1MG18の反力トルクも小さくなる。たとえば、図5に示されるように、大気圧Pの低下によって第1MG18の反力トルクがTR1からTR2に低下する。つまり、大気圧Pが低下すると、第1MG18は、反力トルクTR1を受けることはなく、最大でもトルクTR2しか受けない。したがって、第1MG18の回転数は、N2よりも高いN3まで出力可能となり、システム電圧VHの低下に伴なう第1MG18の回転数の制限が緩和される。
このように、この実施の形態においては、気圧センサ32が設けられ、気圧センサ32の検出値を用いてエンジン22の出力の低下が推定される(図3)。そして、低下したエンジン最大トルクに対する第1MG18の反力トルクが算出され(トルクTR2)、その反力トルクに基づいて第1MG18の回転数が決定される(回転数N3)。これにより、第1MG18の回転数制限が緩和され、その結果、システム電圧VHの低減によるエンジン22の出力制限が緩和される。
図6は、図1に示したECU30の機能ブロック図である。図6を参照して、ECU30は、システム電圧制御部52と、コンバータ制御部54と、反力トルク算出部56と、回転数制御部58と、インバータ制御部60,62とを含む。
システム電圧制御部52は、システム電圧VHの目標を示す目標システム電圧VSを設定する。システム電圧制御部52は、気圧センサ32(図1)から大気圧Pの検出値を受け、大気圧Pの低下に応じて目標システム電圧VSを低下させる。一例として、システム電圧制御部52は、大気圧Pが低地における基準気圧のときの目標システム電圧VSを最大定格電圧として、基準気圧からの気圧低下量に応じて目標システム電圧VSを低下させる。
コンバータ制御部54は、システム電圧VHが目標システム電圧VSに一致するようにコンバータ12を駆動するための制御信号PWCを生成し、その生成した制御信号PWCをコンバータ12へ出力する。
反力トルク算出部56は、第1MG18がエンジン22から受ける反力トルクを算出する。詳しくは、反力トルク算出部56は、気圧センサ32から大気圧Pの検出値を受け、大気圧Pに基づいてエンジン22の最大トルクを算出する。一例として、低地における基準気圧からの気圧低下量とエンジン22のトルク低下量との関係、ならびに基準気圧におけるエンジン22の最大トルク特性が予め求められ、大気圧Pの検出値に基づいて基準気圧からの気圧低下量が算出される。そして、その気圧低下量からエンジン22のトルク低下量を求めることによって、エンジン22の最大トルクが算出される。
次いで、反力トルク算出部56は、その算出されたエンジン22の最大トルクに対する第1MG18の反力トルクを算出する。エンジン22の出力トルクと、エンジン22から第1MG18が受ける反力トルクとの関係は、動力分割装置24の機構(ギヤ比)によって決まり、エンジン22の最大トルクから第1MG18の反力トルクを算出することができる。
回転数制御部58は、反力トルク算出部56により算出された第1MG18の反力トルクに基づいて、第1MG18の回転数を制御する。具体的には、回転数制御部58は、目標システム電圧VS(システム電圧VHの検出値でもよい。)を受け、その目標システム電圧VSに応じた第1MG18の最大トルク曲線(図5の曲線k4)と、反力トルク算出部56により算出された第1MG18の反力トルク(図5のトルクTR2)とに基づいて、第1MG18の回転数を設定する(図5の回転数N3)。
インバータ制御部60は、回転数制御部58により算出された第1MG18の回転数や目標システム電圧VS等に基づいて、第1MG18を駆動するための制御信号PWI1を生成し、その生成された制御信号PWI1をインバータ14へ出力する。
インバータ制御部62は、アクセルペダルの踏込量を示すアクセル開度信号ACCや車両速度を示す車速信号SV等に基づいて、第2MG20を駆動するための制御信号PWI2を生成し、その生成された制御信号PWI2をインバータ16へ出力する。
図7は、この実施の形態における第1MG18の回転数制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、一定時間毎または所定の条件の成立時にメインルーチンから呼出されて実行される。
図7を参照して、気圧センサ32によって大気圧Pが検出される(ステップS10)。次いで、ECU30は、コンバータ12を制御することによって、ステップS10において検出された大気圧Pの低下に応じてシステム電圧VHを低下させる(ステップS20)。たとえば、ECU30は、低地における基準気圧からの気圧低下量とシステム電圧VHの低減量との関係、あるいは大気圧Pとシステム電圧VHとの関係を予め求めておく等して、大気圧Pの低下に応じて目標システム電圧VSを低下させ、その目標システム電圧VSにシステム電圧VHが一致するようにコンバータ12を制御する。
続いて、ECU30は、大気圧Pの検出値に基づいてエンジン22の最大トルクを算出する(ステップS30)。一例として、ECU30は、基準気圧からの気圧低下量からエンジン22のトルク低下量を求めることによって、大気圧Pに応じたエンジン22の最大トルクを算出する。
そして、ECU30は、ステップS30において算出されたエンジン22の最大トルクに対する第1MG18の反力トルクを算出する(ステップS40)。この反力トルクは、動力分割装置24の機構(ギヤ比)によって決まる、エンジン22の出力トルクとエンジン22から第1MG18が受ける反力トルクとの関係に基づいて算出される。
次いで、ECU30は、ステップS40において算出された反力トルクに基づいて、第1MG18の回転数を制御する(ステップS50)。詳しくは、ECU30は、低下したシステム電圧VHに応じた第1MG18の最大トルク曲線(図5の曲線k4に相当)と、ステップS40において算出された第1MG18の反力トルク(図5のトルクTR2に相当)とに基づいて、第1MG18の回転数を設定する(図5の回転数N3に相当)。
以上のように、この実施の形態においては、大気圧Pを検出する気圧センサ32が設けられ、大気圧Pの低下に応じてシステム電圧VHを低下させる。このシステム電圧VHの低下により第1MG18のパワーが制限されるところ、この実施の形態においては、気圧センサ32の検出値に基づいて、エンジン22が出力可能な最大トルクに対する第1MG18の反力トルクが算出され、その算出された反力トルクに基づいて第1MG18の回転数が制御される。これにより、大気圧Pの低下によるエンジン22の出力低下が第1MG18の反力トルクの算出に反映され、その結果、第1MG18の回転数制限およびそれに伴なうエンジン22の出力制限が緩和される。したがって、この実施の形態によれば、高地での走行性能の低下を抑制することができる。
[変形例]
上記においては、図5で説明したように、システム電圧VHを低下させたときの第1MG18の最大トルク曲線(曲線k4)と反力トルク(トルクTR2)とに基づいて、第1MG18の回転数(N3)を設定するものとしたが、気圧センサ32の公差(誤差許容範囲)を考慮して第1MG18の回転数を設定してもよい。
図8は、変形例における第1MG18の回転数制限緩和の考え方を説明するための図である。なお、この図8は、図5に対応している。図8を参照して、この変形例では、気圧センサ32の公差に対応する第1MG18の反力トルクTR2の範囲が算出される。そして、その気圧センサ32の公差を考慮したときの反力トルクTR2の最大値(線k6)に基づいて、第1MG18の回転数N4が設定される。
この変形例によれば、気圧センサ32の公差による第1MG18の過回転を防止することができる。
なお、上記の実施の形態およびその変形例においては、第1MG18および第2MG20が設けられる2モータタイプのハイブリッド車両を例に説明したが、第2MG20およびインバータ16を備えず、第1MG18を発電機としてだけでなく走行駆動力をアシストするモータとしても用いる1モータタイプのハイブリッド車両にも、この発明は適用可能である。
なお、上記において、エンジン22は、この発明における「内燃機関」の一実施例に対応し、第1MG18は、この発明における「回転電機」の一実施例に対応する。また、インバータ14は、この発明における「駆動制御装置」の一実施例に対応し、蓄電装置10は、この発明における「直流電源」の一実施例に対応する。さらに、コンバータ12は、この発明における「電圧調整装置」の一実施例に対応し、ECU30は、この発明における「電子制御装置」の一実施例に対応する。
また、さらに、気圧センサ32は、この発明における「気圧検出装置」の一実施例に対応し、システム電圧制御部52は、この発明における「電圧制御部」の一実施例に対応する。そして、第2MG20は、この発明における「電動機」の一実施例に対応する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 蓄電装置、12 コンバータ、14,16 インバータ、18,20 MG、22 エンジン、24 動力分割装置、26 伝達ギヤ、28 駆動輪、30 ECU、32 気圧センサ、52 システム電圧制御部、54 コンバータ制御部、56 反力トルク算出部、58 回転数制御部、60,62 インバータ制御部、100 ハイブリッド車両。

Claims (5)

  1. 内燃機関と、
    前記内燃機関に機械的に連結され、前記内燃機関によって駆動される回転電機と、
    前記回転電機の駆動を制御する駆動制御装置と、
    直流電源と、
    前記直流電源と前記駆動制御装置との間に設けられ、前記駆動制御装置に与えられるシステム電圧を調整する電圧調整装置と、
    前記駆動制御装置および前記電圧調整装置を制御する電子制御装置と、
    大気圧を検出する気圧検出装置とを備え、
    前記電子制御装置は、
    前記電圧調整装置を制御することによって、前記気圧検出装置により検出される大気圧の低下に応じて前記システム電圧を低下させる電圧制御部と、
    前記気圧検出装置の検出結果に基づいて、前記内燃機関が出力可能な最大トルクに対する前記回転電機の反力トルクを算出し、その算出された反力トルクを担保するための前記回転電機の回転数の制限値を超えないように前記回転電機の回転数を制御する回転数制御部とを含む、ハイブリッド車両。
  2. 前記回転数制御部は、前記気圧検出装置により検出される大気圧の低下に応じて前記反力トルクが低下した場合に、前記反力トルクの低下に応じて、前記制限値を前記反力トルクの低下を考慮しない場合と比較して上昇させる、請求項1に記載のハイブリッド車両。
  3. 車両の駆動力を発生する電動機と、
    前記内燃機関の出力を前記回転電機および車両の駆動軸へ分割する動力分割装置とをさらに備える、請求項1または2に記載のハイブリッド車両。
  4. 前記回転数制御部は、前記気圧検出装置の測定誤差を考慮して、前記回転電機の過回転が発生しないように前記反力トルクを算出する、請求項1に記載のハイブリッド車両。
  5. ハイブリッド車両の制御方法であって、
    前記ハイブリッド車両は、
    内燃機関と、
    前記内燃機関に機械的に連結され、前記内燃機関によって駆動される回転電機と、
    前記回転電機の駆動を制御する駆動制御装置と、
    直流電源と、
    前記直流電源と前記駆動制御装置との間に設けられ、前記駆動制御装置に与えられるシステム電圧を調整する電圧調整装置と、
    大気圧を検出する気圧検出装置とを備え、
    前記制御方法は、
    前記電圧調整装置を制御することによって、前記気圧検出装置により検出される大気圧の低下に応じて前記システム電圧を低下させるステップと、
    前記気圧検出装置の検出結果に基づいて、前記内燃機関が出力可能な最大トルクに対する前記回転電機の反力トルクを算出するステップと、
    その算出された反力トルクを担保するための前記回転電機の回転数の制限値を超えないように前記回転電機の回転数を制御するステップとを含む、ハイブリッド車両の制御方法。
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