JP5923049B2 - 水性樹脂分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]ポリマー粒子が水に分散した水性樹脂分散体であって、ポリマー粒子が、スルホン酸系乳化剤及びチオフェン系ポリマーを含み、ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜5000nmであり、水性樹脂分散体をキャスト法で膜とした場合の導電率が0.05S/cm〜5000S/cmである、水性樹脂分散体。
[2]下記式(1)で表される水性樹脂分散体中のポリマー成分におけるチオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)が30質量%〜80質量%である、[1]に記載の水性樹脂分散体。
X=100×α/(α+β+γ) (1)
(式中、αはチオフェン系モノマーの仕込み量を示し、βはチオフェン系以外のモノマーの仕込み量を示し、γはスルホン酸系乳化剤の仕込み量を示す。)
[3]ポリマー粒子が、ガラス転移温度が30℃以下のポリマーを更に含む、[1]又は[2]に記載の水性樹脂分散体。
[4]ポリマー粒子がコア/シェル構造を有し、シェルが、スルホン酸系乳化剤及びチオフェン系ポリマーを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
[5]ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜180nmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
[6]ガラス転移温度が30℃以下のポリマーが、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを重合したアクリルポリマーを含有する、[3]〜[5]のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
[7](メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む、[6]に記載の水性樹脂分散体。
[8]アクリルポリマーが、(メタ)アクリル酸エステル及び多官能の(メタ)アクリレートを含むモノマーを重合した架橋型アクリルポリマーである、[6]又は[7]に記載の水性樹脂分散体。
[9]多官能の(メタ)アクリレートが、トリメチロールプロパントリ(メタ)クリレートを含む、[8]に記載の水性樹脂分散体。
[10]チオフェン系ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[9]のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
[11]スルホン酸系乳化剤が、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸及びトルエンスルホン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
[12]チオフェン系ポリマーと、該チオフェン系ポリマー以外のポリマーと、スルホン酸系乳化剤とを含み、海島構造を形成している導電膜であり、チオフェン系ポリマー以外のポリマーが島状に分散し、チオフェン系ポリマーが海状に連続体を形成し、チオフェン系ポリマー以外のポリマーの平均粒子径が5nm〜80nmであり、膜中のチオフェン系ポリマーの含有量が膜全体に対し30質量%〜80質量%である、導電膜。
[13]チオフェン系ポリマーと、チオフェン系ポリマー以外のポリマーと、スルホン酸系乳化剤とを含む導電膜であって、導電率が0.05S/cm〜5000S/cmであり、粒径0.1μm以上の粒子が10個/mm2以下である、導電膜。
[14]下記式(3)で表される導電膜中のチオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(Z)が30質量%〜80質量%である、[12]又は[13]に記載の導電膜。
Z=100×α/(α+β+γ) (3)
(式中、αはチオフェン系モノマーの仕込み量を示し、βはチオフェン系以外のモノマーの仕込み量を示し、γはスルホン酸系乳化剤の仕込み量を示す。)
[15]チオフェン系ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[12]〜[14]のいずれかに記載の導電膜。
[16]チオフェン系ポリマー以外のポリマーのガラス転移温度が30℃以下である、[12]〜[15]のいずれかに記載の導電膜。
[17]チオフェン系ポリマー以外のポリマーが、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを重合したアクリルポリマーである、[12]〜[16]のいずれかに記載の導電膜。
[18]アクリルポリマーが、(メタ)アクリル酸エステル及び多官能の(メタ)アクリレートを含むモノマーを重合した架橋型アクリルポリマーである、[17]に記載の導電膜。
[19](メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む、[17]又は[18]に記載の導電膜。
[20]多官能の(メタ)アクリレートが、トリメチロールプロパントリメタクリレートを含む、[18]又は[19]に記載の導電膜。
[21]スルホン酸系乳化剤が、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸及びトルエンスルホン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[12]〜[20]のいずれかに記載の導電膜。
[22]ポリマー粒子が水に分散した水性樹脂分散体を製造する方法であって、スルホン酸系乳化剤、チオフェン系モノマー及び水を含む第1の乳化液を調製する工程と、スルホン酸系乳化剤、前記チオフェン系モノマー以外のモノマー及び水を含む第2の乳化液を調製し、該第2の乳化液を重合してコア粒子を作製する工程と、コア粒子の存在下、第1の乳化液を重合してポリマー粒子を作製する工程と、を備え、コア粒子の平均粒子径が5nm〜80nmであり、ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜5000nmである、水性樹脂分散体の製造方法。
[23]下記式(2)で表されるポリマー成分におけるチオフェン系モノマーに由来するユニットの仕込み量(Y)が30質量%〜80質量%である、[22]に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
Y=100×α/(α+β+γ) (2)
(式中、αはチオフェン系モノマーの仕込み量を示し、βはチオフェン系以外のモノマーの仕込み量を示し、γはスルホン酸系乳化剤の仕込み量を示す。)
[24]ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜180nmである、[22]又は[23]に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[25]第1の乳化液及び第2の乳化液が、過硫酸アンモニウムを更に含む、[22]〜[24]のいずれかに記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[26]チオフェン系モノマーが、3,4−エチレンジオキシチオフェンである、[22]〜[25]のいずれかに記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[27]チオフェン系モノマー以外のモノマーを重合して得られるポリマーのガラス転移温度が30℃以下である、[22]〜[26]のいずれかに記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[28]チオフェン系モノマー以外のモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルを含む、[22]〜[26]のいずれか1項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[29](メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む、[28]に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[30]チオフェン系モノマー以外のモノマーが、(メタ)アクリル酸エステル及び多官能の(メタ)アクリレートを含む、[22]〜[29]のいずれかに記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[31]多官能の(メタ)アクリレートが、トリメチロールプロパントリメタクリレートを含む、[30]に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[32]スルホン酸系乳化剤が、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸及びトルエンスルホン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[22]〜[31]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[33]第1の乳化液を調製する際の温度が20℃〜60℃である、[22]〜[32]のいずれかに記載の水性樹脂分散体の製造方法。
本実施形態の水性樹脂分散体は、スルホン酸系乳化剤及びチオフェン系ポリマーを含むポリマー粒子が水に分散した水性樹脂分散体であって、ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜5000nmであり、水性樹脂分散体からなる膜の導電率が0.05S/cm〜5000S/cmであることを特徴とする。また、水性樹脂分散体の全固形分のポリマー成分中、チオフェン系ポリマーの含有量は30質量%〜80質量%であることが好ましい。
X=100×α/(α+β+γ) (1)
α:チオフェン系モノマーの仕込み量
β:チオフェン系以外のモノマーの仕込み量
γ:スルホン酸系乳化剤の仕込み量
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・Wn/Tgn
[上記FOX式は、n種の単量体からなる重合体を構成する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTgi(K)とし、各モノマーの重量分率をWiとしており、(W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1)である。]
式中、nは0〜3の整数であり、R1は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基又は炭素数5〜6のシクロアルキル基を示す。nが2又は3の場合、複数存在するR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R2は炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示す。nが0〜2の場合、複数存在するR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
本実施形態の水性樹脂分散体は、例えば、以下の方法により製造することができる。
Y=100×α/(α+β+γ) (2)
α:チオフェン系モノマーの仕込み量
β:チオフェン系以外のモノマーの仕込み量
γ:スルホン酸系乳化剤の仕込み量
本実施形態の導電膜は、チオフェン系ポリマーと、チオフェン系ポリマー以外のポリマーと、スルホン酸系乳化剤とを含み、均一構造もしくは海島構造を形成している導電膜である。また、該導電膜の導電率は、0.05S/cm〜5000S/cmである。
Z=100×α/(α+β+γ) (3)
α:チオフェン系モノマーの仕込み量
β:チオフェン系以外のモノマーの仕込み量
γ:スルホン酸系乳化剤の仕込み量
(水溶液1の調製)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水3000質量部、過硫酸アンモニウム0.6質量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げて、10分間攪拌し、水溶液1を調製した。
(水溶液2の調製)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水3500質量部、過硫酸アンモニウム0.6質量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げて、10分間攪拌し、水溶液2を調製した。
(水溶液3の調製)
反応容器中の温度を50℃とした以外は調製例2と同様にして、水溶液3を調製した。
(水性樹脂分散体の作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル600質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム1.4質量部及び水1500質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液B−1を得た。乳化液B−1を滴下槽より45分かけて、水溶液1に滴下した。滴下中は反応容器の温度を80℃に保ち、滴下終了後、反応容器の温度を80℃のまま45分間攪拌し、その後、50℃に保った。これにより、コア粒子1を含む反応液1を得た。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェン400質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム100質量部及び水10000質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−1を得た。その乳化液A−1を50℃に保った反応液1に混合した後、さらに水13930質量部を加えて、8時間重合した。その後、降温し、水性樹脂分散体1を回収した。回収時に重合残渣がないことを確認した。水性樹脂分散体1の固形分濃度は3.5質量%であった。また、チオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)は、38.2質量%であった。
水性樹脂分散体1をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。
(水性樹脂分散体の作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル400質量部、スチレンスルホン酸ナトリウム100質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム1.2質量部及び水1600質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液B−2を得た。その乳化液B−2を滴下槽より45分かけて、水溶液2に滴下した。滴下中は反応容器の温度を80℃に保ち、滴下終了後、過硫酸アンモニウム0.2質量部及び水250質量部を加え、反応容器の温度を80℃のまま45分間攪拌し、その後、50℃に保った。ここに水を3000部加え、室温まで温度を下げた。この水分散液を陽イオン交換樹脂のビーズを入れ撹拌し、ビーズをろ過することで、コア粒子2を含む反応液2を得た。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェン500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸40質量部、及び水5000質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−2を得た。その乳化液A−2を50℃にした反応液2に混合した。さらに15000質量部の水を加えた。次に滴下ロートに過硫酸アンモニウム1000質量部、水20000部を混合したものを5時間かけて滴下し、重合した。滴下終了後さらに3時間重合した。その後、1657質量部の水を加え、さらに降温し、水性樹脂分散体2を回収した。回収時に重合残渣が反応器の壁面に付着していることを確認した。水性樹脂分散体2の固形分濃度は約3.9質量%であった。また、チオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)は、46.3質量%であった。
水性樹脂分散体2に陰イオン交換樹脂のビーズを入れて撹拌し、ビーズを除去した後の液をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。
(水性樹脂分散体の作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル400質量部、スチレンスルホン酸ナトリウム100質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム1.2質量部及び水1600質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液B−3を得た。その乳化液B−3を滴下槽より45分かけて、水溶液2に滴下した。滴下中は反応容器の温度を80℃に保ち、滴下終了後、過硫酸アンモニウム0.2質量部及び水250質量部を加え、反応容器の温度を80℃のまま45分間攪拌し、その後、50℃に保った。ここに水を3000部加え、コア粒子3を含む反応液3を得た。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェン500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム40質量部、及び水5000質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−3を得た。その乳化液A−3を50℃にした反応液3に混合した。さらに15000質量部の水を加えた。次に滴下ロートに過硫酸アンモニウム1000質量部、水20000部を混合したものを5時間かけて滴下し、重合した。滴下終了後さらに3時間重合した。その後、1657質量部の水を加え、さらに降温し、水性樹脂分散体3を回収した。回収時に重合残渣がないことを確認した。水性樹脂分散体3の固形分濃度は約4質量%であった。また、チオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)は、46.3質量%であった。
水性樹脂分散体3をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。水性樹脂分散体3は非常に成膜性が高く、ガラス基板にスピンコート法で200nmの薄膜を作製することができた。島津製作所製のUV2500を用いて、550nm波長の光の透過率を測定した所、透過率が90%と非常に高い値を示した。
(水性樹脂分散体の作製)
3,4−エチレンジオキシチオフェン500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム40質量部及び水5000質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−4を得た。その乳化液A−4を50℃にした反応液2に混合した。さらに15000質量部の水を加えた。次に滴下ロートに過硫酸アンモニウム1000質量部、水20000部を混合したものを5時間かけて滴下し、重合した。滴下終了後さらに3時間重合した。その後、1657質量部の水を加え、さらに降温し、水性樹脂分散体4を回収した。回収時に重合残渣が反応器の壁面に付着していることを確認した。水性樹脂分散体4の固形分濃度は約4質量%であった。また、チオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)は、46.9質量%であった。
水性樹脂分散体4に陰イオン交換樹脂のビーズを入れて撹拌し、ビーズを除去した後の液をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。
(水性樹脂分散体の作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム1.2質量部及び水1600質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液B−5を得た。その乳化液B−5を滴下槽より45分かけて、水溶液2に滴下した。滴下中は反応容器の温度を80℃に保ち、滴下終了後、過硫酸アンモニウム0.2質量部及び水250質量部を加え、反応容器の温度を80℃のまま45分間攪拌し、その後、50℃に保った。ここに水を3000部加え、室温まで温度を下げ、コア粒子5を含む反応液5を得た。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェン500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム40質量部、トルエンスルホン酸150質量部、及び水5000質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−5を得た。その乳化液A−5を50℃にした反応液5に混合した。さらに15000質量部の水を加えた。次に滴下ロートに過硫酸アンモニウム1500質量部、水40000部を混合したものを5時間かけて滴下し、重合した。滴下終了後さらに3時間重合した。その後、2150質量部の水を加え、さらに降温し、水性樹脂分散体5を回収した。回収時に重合残渣がないことを確認した。水性樹脂分散体5の固形分濃度は約3.7質量%であった。また、チオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)は、40.7質量%であった。
水性樹脂分散体5に陰イオン交換樹脂のビーズを入れて撹拌し、ビーズを除去した後の液をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。また、水性樹脂分散体5は非常に成膜性が高く、ガラス基板にスピンコート法で200nmの薄膜を作製することができた。
(水性樹脂分散体の作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル450質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート50質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム1.2質量部及び水1600質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液B−6を得た。その乳化液B−6を滴下槽より45分かけて、水溶液2に滴下した。滴下中は反応容器の温度を80℃に保ち、滴下終了後、過硫酸アンモニウム0.2質量部及び水250質量部を加え、反応容器の温度を80℃のまま45分間攪拌し、その後、50℃に保った。ここに水を3000部加え、室温まで温度を下げ、コア粒子6を含む反応液6を得た。
次に、乳化液A−5を50℃にした反応液6に混合した。さらに15000質量部の水を加えた。次に滴下ロートに過硫酸アンモニウム1500質量部、水40000部を混合したものを5時間かけて滴下し、重合した。滴下終了後さらに3時間重合した。その後、2150質量部の水を加え、さらに降温し、水性樹脂分散体6を回収した。回収時に重合残渣が反応容器壁面に付着していることを確認した。水性樹脂分散体6の固形分濃度は約3.7質量%であった。また、チオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)は、40.7質量%であった。
水性樹脂分散体6をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。
(水性樹脂分散体の作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル350質量部、スチレンスルホン酸ナトリウム100質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート50質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム1.2質量部及び水1600質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液B−7を得た。その乳化液B−7を滴下槽より45分かけて、水溶液2に滴下した。滴下中は反応容器の温度を80℃に保ち、滴下終了後、過硫酸アンモニウム0.2質量部及び水250質量部を加え、反応容器の温度を80℃のまま45分間攪拌し、その後、50℃に保った。ここに水を3000部加え、室温まで温度を下げ、コア粒子7を含む反応液7を得た。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェン500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム40質量部、トルエンスルホン酸150質量部及び水5000質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−7を得た。その乳化液A−7を50℃にした反応液7に混合した。さらに15000質量部の水を加えた。次に滴下ロートに過硫酸アンモニウム1500質量部、水40000部を混合したものを5時間かけて滴下し、重合した。滴下終了後さらに3時間重合した。その後、2150質量部の水を加え、さらに降温し、水性樹脂分散体7を回収した。回収時に重合残渣が反応容器壁面に付着していることを確認した。また、チオフェン系モノマーに由来するユニットの含有量(X)は、40.7質量%であった。
水性樹脂分散体7をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。
(水性樹脂分散体の作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部、過硫酸アンモニウム1.2質量部及び水1600質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液B−8を得た。その乳化液B−8を滴下槽より45分かけて、水溶液2に滴下した。滴下中は反応容器の温度を80℃に保ち、滴下終了後、過硫酸アンモニウム0.2質量部及び水250質量部を加え、反応容器の温度を80℃のまま45分間攪拌し、その後、50℃に保った。ここに水を3000部加え、室温まで温度を下げ、コア粒子8を含む反応液8を得た。
水性樹脂分散体8をガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。また、水性樹脂分散体8は非常に成膜性が高く、ガラス基板にスピンコート法で200nmの薄膜を作製することができた。
撹拌機、還流冷却器、温度計を取り付けた反応容器に水3000質量部を投入し、反応容器中の温度を50℃に上げた。次に、3,4−エチレンジオキシチオフェン400質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム26質量部、過硫酸アンモニウム100質量部及び水7094質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−1’を得た。その乳化液A−1’を50℃に保った上記反応容器に投入し、さらに水16834質量部を加えて、8時間重合した。その後、降温し、反応液を回収したが、回収時に粒径が大きなポリマー粒子による重合残渣が多数発生し、ポリマー粒子が分散した水性樹脂分散体は得られなかった。該ポリマー粒子は凝集しているため、粒子径を測定することは出来なかった。また、回収したポリマーは膜にはならなかった。
3,4−エチレンジオキシチオフェン500質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20質量部及び水5000質量部をホモジナイザーで乳化し、乳化液A−2’を得た。その乳化液A−2’を50℃にした水溶液3に混合した後、15000質量部の水を加えた。次に滴下ロートに過硫酸アンモニウム1000質量部、水40000部を混合したものを5時間かけて滴下し、重合した。滴下終了後、さらに3時間重合した後、2150質量部の水を加え、降温した。しかし、ポリマー粒子が凝集し、多数沈殿しポリマー粒子が分散した水性樹脂分散体は得られなかった。該ポリマー粒子は凝集しているため、粒子径を測定することは出来なかった。沈殿物を採取し、成膜を試みたが、膜にはならなかった。
22.2質量部のポリスチレンスルホン酸を含む2012質量部の水溶液中に、49質量部の1%硫酸鉄(III)水溶液、8.8質量部の3,4−エチレンジオキシチオフェン及び17.4質量部のペルオキソ二硫酸ナトリウムを加えた混合物を20℃で、23時間攪拌し、水性樹脂分散体を得た。水性樹脂分散体9の固形分濃度は約2.3質量%であった。
(1)コア粒子及びポリマー粒子の平均粒子径の測定
反応液中に含まれるコア粒子の平均粒子径、及び、水性樹脂分散体に含まれるポリマー粒子の平均粒子径を、大塚電子株式会社製の製品名「ELSZ−2」を用いた光散乱法により測定した。
重合安定性とは、重合後の水性樹脂分散体に含まれるポリマー粒子の分散安定性のことである。
○:重合残渣が全くなく、ポリマー粒子が均一に分散している状態。
△:重合残渣が発生するが、ポリマー粒子が均一に分散している状態。
×:ポリマー粒子が凝集し、均一に分散していない状態。
水性樹脂分散体をキャスト法又はスピンコート法を用いて成膜性を評価した。成膜性とは、均一膜が作製できる状態のことである。
(キャスト法)
水性樹脂分散体を、ピペットを用いて滴下することで、ガラス基板に塗布し、120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。
(スピンコート法)
水性樹脂分散体を、ピペットを用いて滴下することで、ガラス基板に塗布し、スピンコーター(ミカサ株式会社製)を用いて、1500rpm、30秒の条件で成膜した。そして、その膜を120℃、10分間乾燥させることで、導電膜を作製した。
○:均一な膜が作製できる状態。
△:膜にはなるが、均一ではなく、凹凸や一部割れがある状態。
×:膜にならない状態。
水性樹脂分散体1mLをガラス基板に塗布(滴下)し、120℃、10分間乾燥するキャスト法で、導電膜を作製した。導電膜の導電性を、三菱化学アナリテック社製のロレスターにて測定した。測定条件は、24℃とした。
Claims (12)
- ポリマー粒子が水に分散した水性樹脂分散体を製造する方法であって、
スルホン酸系乳化剤、チオフェン系モノマー及び水を含む第1の乳化液を調製する工程と、
スルホン酸系乳化剤、前記チオフェン系モノマー以外のモノマー及び水を含む第2の乳化液を調製し、該第2の乳化液を重合してコア粒子を作製する工程と、
前記コア粒子の存在下、前記第1の乳化液を重合してポリマー粒子を作製する工程と、
を備え、
前記コア粒子の平均粒子径が5nm〜80nmであり、前記ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜5000nmである、水性樹脂分散体の製造方法。 - 下記式(2)で表されるポリマー成分におけるチオフェン系モノマーに由来するユニットの仕込み量(Y)が30質量%〜80質量%である、請求項1に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
Y=100×α/(α+β+γ) (2)
(式中、αはチオフェン系モノマーの仕込み量を示し、βはチオフェン系以外のモノマーの仕込み量を示し、γはスルホン酸系乳化剤の仕込み量を示す。) - 前記ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜180nmである、請求項1又は2に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記第1の乳化液及び前記第2の乳化液が、過硫酸アンモニウムを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記チオフェン系モノマーが、3,4−エチレンジオキシチオフェンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記チオフェン系モノマー以外のモノマーを重合して得られるポリマーのガラス転移温度が30℃以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記チオフェン系モノマー以外のモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む、請求項7に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記チオフェン系モノマー以外のモノマーが、(メタ)アクリル酸エステル及び多官能の(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記多官能の(メタ)アクリレートが、トリメチロールプロパントリメタクリレートを含む、請求項9に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記スルホン酸系乳化剤が、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸及びトルエンスルホン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記第1の乳化液を調製する際の温度が20℃〜60℃である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
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