JP5920882B2 - 捕集ネット - Google Patents

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Description

本発明は、空気中の塵埃などのダストを捕集する捕集ネットに関する。
精密機械製造工場、電気部品製造工場、食品加工工場等では、空気中に浮遊するダストが製品の品質を低下させる原因となる。このため、工場内に、塵埃を捕集する捕集ネットを展張することが行われている。工場内の空気中に漂うダストは、粉塵、塗料ミスト、繊維屑、工業用微粉などであり、その多くは大きさが数μm〜数十μmオーダーである。
従来から、発明者は、鋭意探求を重ね、工場内に展張する捕集ネットを開発してきた。捕集ネットは、ダストの捕集効率が高いことが求められる。更に、工場内では、数m〜数十mの大きさで展張されるため、形状や構造を維持するための強度が必要とされる。例えば、特許文献1に開示されているように、ネット基材に粘着剤を塗布することで、塵埃などの捕集効率の高い捕集ネットを開発した。特許文献2に開示されているように、ネット基材の網目を斜め状又はクロス状に区切ることで更に捕集効率を高めた。
特開2002−233800号公報 特開2004−314008号公報
発明者は種々に改良を重ねて、更にダストの捕集効率の高い捕集ネットを開発した。特に、室内の無風速に近い状態又は微風状態で、ダストを効率よく捕集することを主眼として、捕集ネットの開発に臨んだ。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、空気中に浮遊するダストの捕集効率の高い捕集ネットを提供することを課題とする。
発明者は、ダストの捕集効率、特に室内の無風速に近い状態又は微風状態でダストを効率よく捕集するために、捕集ネットの網目を区切る糸の配置・構成に着目した。
(1)本発明の捕集ネットは、隣り合うループをくぐり抜けることで縦方向にループを互いに連結させて形成され互いにほぼ平行に縦方向に延びる複数の縦網脚と、横方向に延びて隣り合う前記縦網脚の間を連結した複数の横網脚とを有してなり、相対する一対の前記縦網脚と相対する一対の前記横網脚との間には四角形状の網目を形成してなるネット基材と、前記ネット基材に塗布された粘着剤と、からなる捕集ネットであって、前記ネット基材は、更に、各前記網目の中に前記縦網脚及び前記横網脚のいずれの見掛け分径よりも見掛け上小さい見掛け分径となる横挿入糸をそれぞれ2本以上前記横方向に延設させてなり、前記2以上の前記横挿入糸は、前記網目を挟んで相対する前記縦網脚間にほぼ等間隔を隔てて配置されることで、前記網目を前記縦網脚間でほぼ等間隔に、前記網目よりも横方向の長さが縦方向の長さよりも相対的に長い略長方形状の空間部に区切っていることを特徴とする。
本発明の捕集ネットの最も優れた作用効果は、空気を濾過するによって、その空気に含まれるダストを最も効果的に捕集することにある。そのため、単位面積当たりのネット基材を構成する網脚、網糸は、最大限空気と接触しダスト類を濾過して捕集することが必要である。それには、ネット基材全体が空気抵抗をできる限り小さくしつつ、ネット基材手前で反転しないようにする。しかも、網目開口率を小さくすることがよい。ネット基材全体の空気抵抗を小さくすることと、使用に耐えるネット基材形状を保持するため、網糸、網脚を強固にすること、及びネット基材の開口率を小さくしてダストとの接触面積を多くすることとは相反する要素である。本発明はこのことを解消するために、空気抵抗が大きくなるものの、ネット基材の形状、強度を維持する上で必要不可欠な縦網脚を単位面積当たり可能な限り少なくすると共に、同様に比較的大きい空気抵抗要素となる横網脚を少なくして、その上で空気抵抗の少ないより細い網目挿入糸(横挿入糸)でネット基材の全体を構成し、網目開口率を小さくするように工夫することでダスト類捕集性能を効果的に向上させたのである。
特に、低い風速(微風又は無風)でダストの濾過が最も効果的なのは、捕集ネットとダストを含む空気との接触抵抗が低く、且つ捕集ネットとダストを含む空気との接触面積が大きいことがよい。この相反する2つの要件を満足させるために、本発明の捕集ネットは最適な構成を有している。
即ち、網目を横挿入糸で仕切ることにより、空気が通過する開口領域が複数の空間部に分散される。このため、網目に1つの大きな開口領域が形成されているよりも、ダストが濾過される確率が格段に多くなる。このため、室内の無風速に近い状態又は微風状態でも、空気を通過させることができる。それ故、捕集ネットを室内に展張することで、室内に浮遊するダストを効果的に捕集することができる。
網目は、横挿入糸で略均等に複数の空間部に区切られることで、空間部の形状は、比較的細長い略長方形状になる。このため、相対する長辺間の距離が狭くなり、長辺でダストが捕集されやすくなる。また、空間部のどの部分でも、長辺間の距離が同程度に狭いため、空間部全体でのダスト捕集効率が高くなる。
横挿入糸の見掛け分径は、見掛け上縦網脚及び横網脚の見掛け分径よりも小さい。このため、横網脚と縦網脚とで捕集ネットの強度をある程度維持しながら、空間部での空気流通量を十分に確保することができる。よって、空気中のダストの捕集効率を高めることができる。
(2)更に、また、前記ネット基材は、各前記空間部の中に前記縦網脚及び前記横網脚のいずれの見掛け分径よりも見掛け上小さい見掛け分径となる斜め挿入糸を前記横方向に対して斜めに延設させてなり、前記斜め挿入糸により前記空間部は複数の狭小空間部に区分されていることが好ましい。
各網目に横挿入糸を横方向に延設するためには、相対する縦網脚の同じ高さに位置する一対のループに、横挿入糸をくぐらせる必要がある。このため、各網目に配置可能な横挿入糸の数は、各網目を形成する縦網脚のループの数によって制限される。
そこで、各空間部を更に小さくする方法として、各空間部を横挿入糸の延び方向に対して斜めに延設された斜め挿入糸で仕切る。縦網脚のループには、編組上横挿入糸と斜め挿入糸を重ねてくぐらせることができるからである。この場合、斜め挿入糸は、空間部内で横挿入糸とは重なることなく、空間部を更に複数の狭小空間部に仕切る。ゆえに、横挿入糸だけで網目を仕切る場合よりも、網目が更に細分化される。このため、横挿入糸や斜め挿入糸にダストが捕集される機会が多くなる。
また、斜め挿入糸の見掛け分径は、見掛け上縦網脚及び横網脚の見掛け分径よりも小さい。このため、網目を通過する空気の流れを妨げない。ゆえに、空気の流通を十分に確保しつつ、ダストの捕集される糸部分を増やすことができる。従って、ダストの捕集効率が高くなる。
(3)前記網目を形成する前記横網脚の長さは、前記網目を形成する前記縦網脚の長さよりも大きいことが好ましい。この場合、網目を挟んで相対する一対の縦網脚間の間隔は、網目を挟んで相対する一対の横網脚間の間隔よりも大きくなり、網目は縦方向よりも横方向に広い長方形を呈する。ゆえに、ネット基材の強度を維持する上で必要不可欠な縦網脚を単位面積当たり可能な限り少なくすることができ、空気抵抗を少なくすることができる。
(4)前記横挿入糸は、350〜1000デニールのモノフィラメントからなることが好ましい。この場合には、横挿入糸の強度を高く維持しつつ、空間部の通気量を十分に確保して、ダストの捕集効率を向上させることができる。
(5)前記斜め挿入糸は、350〜1000デニールのモノフィラメントからなることが好ましい。この場合には、斜め挿入糸の強度を高く維持しつつ、狭小空間部の通気量を十分に確保して、ダストの捕集効率を向上させることができる。
(6)前記捕集ネットの開口率は、10〜80%であることが好ましい。この場合には、ダストの捕集率を効果的に高めることができる。
また、このように比較的細い挿入糸(横挿入糸、斜め挿入糸)を挿入することで、網目形状は相対する縦網脚の間隔を相対的に大きくとることとなって、ネット基材単位面積当たりの縦網脚の使用量を減少することができる。網目内の空間部に狭小空間部をより多数形成しつつ空気抵抗を妨げることがないよう、濾過効果を高め、ダスト捕集効果を高めることができる。
本発明の捕集ネットによれば、各網目を構成する縦網脚及び横網脚よりも見掛け分径が小さい横挿入糸を網目に横方向に配置することで略長方形状の空間部に仕切っているため、空気中に浮遊するダストの捕集効率を高めることができる。
本発明の実施例1、1Aの捕集ネットの部分正面図である。 実施例2の捕集ネットの部分正面図である。 実施例3の捕集ネットの部分正面図である。 実施例4の捕集ネットの部分正面図である。 比較例1、1Aの捕集ネットの部分正面図である。 比較例2の捕集ネットの部分正面図である。 比較例3の捕集ネットの部分正面図である。
本発明の実施形態に係る捕集ネットについて詳細に説明する。
捕集ネットは、ネット基材と、ネット基材に塗布された粘着剤とを有する。ネット基材は、縦方向に延びる縦網脚と、横方向に延びる横網脚とを有する。縦網脚と横網脚とは格子状に交差して、相対する一対の縦網脚と相対する一対の横網脚との間に網目を形成している。網目の中には、2以上の横挿入糸が横方向に延びている。
縦網脚は、隣り合うループをくぐり抜けることで縦方向にループを互いに連結させて形成されている。縦網脚は、縦方向に連なる複数のループから構成されている。各ループの中に隣り合う他のループがくぐり抜けることで複数のループが鎖状に連結している。ループ同士の連結により縦網脚が形成されている。
縦網脚を構成する糸は、モノフィラメントでも、マルチフィラメントでもよい。縦網脚を構成する糸がマルチフィラメントである場合には、無撚り糸、又は撚り糸のいずれでもよい。
横網脚は、縦網脚間を横方向に連結して略正方形状の網目を形成している。横網脚は、隣り合うループをくぐり抜けることで縦方向にループを互いに連結させて形成されていてもよいし、また、ループを作ることなく直線状に延びていてもよい。横網脚を構成する糸は、モノフィラメントでも、マルチフィラメントでもよい。横網脚を構成する糸がマルチフィラメントであって直線状に延びている場合には、無撚り糸、又は撚り糸のいずれでもよい。
縦網脚は、その編組構成上隣り合うループをくぐり抜けることで、縦方向にループを互いに連結させて形成され、これによりネット基材全体の形状保持や強度保持を達成せしめる必要がある。縦網脚は、このようなループ構成を有しているので、横網脚よりも見掛け分径は必然的に太くなる。しかもその反面、ネット基材は、空気の遮断をできるだけ少なくする、という相反する条件を満たす必要がある。このため、編地強度を維持した上で縦網脚間の間隔をできるだけ大きくとることが望ましい。即ち、縦網脚間の間隔は、横網脚と同等以上とすることがよい。
横挿入糸は、網目の中に横方向に2以上延びている。横挿入糸は、縦網脚及び横網脚よりも見掛け分径が小さい糸で構成されている。横挿入糸は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよい。また、横挿入糸は、隣り合うループをくぐり抜けることで縦方向にループを互いに連結させて形成されていてもよいし、また、ループを作ることなく直線状に延びていてもよい。
ここで、横挿入糸の見掛け分径は、縦網脚及び横網脚の見掛け分径よりも見掛け上小さい。横網脚の見掛け分径D1に対する横挿入糸の見掛け分径D2の比率(D2/D1)は0.1〜0.9であることが好ましく、更には0.2〜0.75であることが望ましい。上記比率(D2/D1)が過小の場合には、横挿入糸の強度が低下し、破断するおそれがあり、上記比率(D2/D1)が過大である場合には、横挿入糸が太すぎて、空気の流通性を妨げ、ダストの捕集効率が低下するおそれがある。
縦網脚の見かけ分径は横網脚の見掛け分径よりも大きいことがよい。縦網脚の見掛け分径D0は、0.5〜2.0mmであることが好ましく、更には、1〜1.5mmであることが望ましい。この場合には、空気抵抗を大きくすること無く、ネット基材の強度を保持し、全体としての捕集ネットを良好に形成することができる。
横網脚の見掛け分径D1は、0.3〜1.5mmであることが好ましく、更には、0.4〜1.0mmであることが望ましい。横挿入糸の見掛け分径D2は、0.15〜0.4mmであることが好ましく、更には、0.2〜0.3mmであることが望ましい。
横挿入糸は、モノフィラメントからなることが好ましい。また、横挿入糸は、350〜1000デニールのモノフィラメントからなることが好ましく、更には、400〜600デニールのモノフィラメントからなることが望ましい。モノフィラメントが細すぎる場合には、横挿入糸の剛性が低くなり、モノフィラメントが太すぎる場合には空気の流通が妨げられダストの捕集効率が低下するからである。
縦網脚は、その複数本が、互いに縦方向に平行に延びている。ここで、「縦方向に平行に」とは、縦網脚が鉛直方向に対して±15°以内の範囲で延びていることをいう。また、横網脚は、その複数本が互いに横方向に平行に延びている。ここで、「横方向に平行に」とは、横網脚が横方向に対して±15°以内の範囲で延びていることをいう。縦網脚の延び方向は縦方向であり、横網脚の延び方向である横方向に対して直角をなす。
また、横挿入糸は、横方向に延びており、横挿入糸の延び方向は、横網脚の延び方向と平行である。ここで、「横網脚の延び方向と平行」とは、横挿入糸が、横網脚の延び方向に対して±15°以内の範囲で延びていることをいう。
縦網脚と横網脚とは、互いに格子状に交差して、略正方形の形状を呈する網目を形成している。網目の縦方向では、一対の横網脚が互いに対向している。網目の横方向では、一対の縦網脚が互いに対向している。各網目には、2以上の横挿入糸が横方向に延びており、網目を3以上の空間部に区分している。横挿入糸は、網目を挟んで相対する縦網脚間にほぼ等間隔を隔てて配置されることで、網目をほぼ等間隔の空間部に区切っている。
各網目を区切る横挿入糸の数は、2以上であればよく、例えば、2以上7以下、更には、2以上5以下であることが好ましい。各網目を区切る横挿入糸の数は、各網目を構成する縦網脚のループの数に制限される。各網目を構成する縦網脚のループが4である場合には、各網目を区切る横挿入糸の数は2以上4以下となる。各網目を構成する縦網脚のループが6である場合には、各網目を区切る横挿入糸の数は2以上6以下となる。このように、各網目を構成する縦網脚のループの数が多いほど、各網目を区切る横挿入糸の数を多くすることができる。
各網目は、一般に、ほぼ略正方形又は横長の略長方形であることが好ましい。更に例えば、網目は、ネット基材形状や強度を維持する範囲で横方向に大きい略長方形であることがよい。各網目の中に横方向に延びる横挿入糸を等間隔に2本以上配置することで、各編目が略長方形状の空間部に区切られる。
各空間部は、上下に配置する一対の長辺と、左右に配置する一対の短辺とからなる略長方形を呈している。一対の長辺は、横挿入糸と横挿入糸、又は横挿入糸と横網脚とで構成される。一対の短辺は、互いに向かい合う一対の縦網脚で構成される。長方形の空間部は、相対する長辺の間の距離が短いため、ダストが捕集されやすい。
空間部の横方向の長さL3に対する、空間部の縦方向の長さL2の比率(L2/L3)は、1以下であることが好ましく、1/2以下であることが望ましい。正方形の網目を2以上の横挿入糸によりほぼ等間隔に仕切ると、上記比率は1/3前後となる。横長の長方形の網目を2以上の横挿入糸で等間隔に仕切ると、上記比率は1/3よりも多くなる。上記比率が1を超える場合には、網目を構成する縦網脚の本数が少なすぎて、ネット基材の強度が低下するおそれがある。上記比率(L2/L3)は1/6以上であることがよい。比率が小さすぎると、粘着剤の皮膜が空間部を塞ぎ、空気の流通を妨げ。ダスト捕集率が低下するおそれがある。
また、空間部の縦方向の長さL2は、0.5〜2mmであることが好ましい。空間部の縦方向の長さL2が長すぎると、空間部が大きくなり、ダストの捕集効率が低下するおそれがある。空間部の縦方向の長さL2が短すぎると、空間部が狭すぎて捕集ネットを通過する際に空気抵抗が発生し、空気の流れが悪くなり、ダストの捕集効率が低下するおそれがある。また、塗布する粘着剤の皮膜が過剰に形成されて縦方向の間隔を隈なく埋め尽くして空気の流れが悪くなり、ダスト捕集効率が低下するおそれがある。
各網目を構成する横網脚の長さL3は、4.0〜15mmであることが好ましく、更には、4.5〜10mmであることが望ましい。横網脚の長さL3が小さすぎると(縦網脚の間隔が狭すぎると)、ネット基材の形状及び強度は保持することが可能であるが、一方で、見掛け分径の大きな縦網脚の数が相対的に多くなり、ネット基材単位面積当たりの空気抵抗が飛躍的に大きくなる。それゆえ、空気の流れが悪くなり、ダストの捕集効率が大幅に低下するおそれがある。横網脚の長さL3が長すぎると(縦網脚の間隔が広すぎると)、網目の形成が不安定になり、ネット基材の強度が低下して使用に耐え難くなるおそれがある。
網目を区切って形成される空間部の面積は、3mm以上21mm以下であることが好ましく、更には、3.5mm以上10mm以下であることが望ましい。空間部の面積が過小の場合には、粘着剤が空間部を皮膜状に覆って、空気流通量が低下するおそれがある。空間部の面積が過大である場合には、ダストの多くが通過して捕集効果が低下するおそれがある。
網目に横挿入糸を配置するには、隣合う縦網脚の間で、縦方向に連結された複数のループのうち縦方向の位置が同じループに横挿入糸を連結させる。このため、各網目の中に配列可能な横挿入糸の数は、各網目を囲む縦網脚のループの数に依存する。このため、最大限ループの数と等しい数の横挿入糸を、網目の中に配列させることが可能となる。更に、空間部を小さく仕切りたい場合には、空間部を斜め挿入糸で区切ることが好ましい。
即ち、ネット基材には、更に、空間部の中に横方向に対して斜めに延びる斜め挿入糸を配設していることが好ましい。これにより、空間部が、複数に仕切られて、ダストが捕集されやすくなる。斜め挿入糸は、各空間部に1又は2以上配列されている。各空間部に2以上の斜め挿入糸が配列されている場合には、各空間部内の各斜め挿入糸は互いに平行に横方向に対して斜めに延びていても良く、また、異なった角度で斜め方向に延びていても良い。また、斜め挿入糸は、空間部内でX字状に交差していてもよい。斜め挿入糸は、網目内の複数のすべての空間部を複数に区切っていてもよく、また、各網目内の複数の空間部のうちの一部を複数に区切っていてもよい。
空間部に斜め挿入糸を配置するには、隣り合う縦網脚の間で、縦方向に連結された複数のループのうち縦方向の位置の異なるループに斜め挿入糸を連結させる。ループの全てに横挿入糸が連結されていたとしても、横挿入糸で仕切られた空間部を、斜め挿入糸で更に細かい狭小空間部に細分化することができる。網目内の空間部を小さく区切れば区切るほど、ダストの捕集効率が高くなる。
斜め挿入糸の見掛け分径は、横挿入糸の見掛け分径と同様に、縦網脚及び横網脚のいずれの見掛け分径よりも小さい。斜め挿入糸の見掛け分径は、縦網脚及び横網脚よりも小さければ良く、横挿入糸の見掛け分径と同じであっても、横挿入糸の見掛け分径よりも大きくても良く、または横挿入糸の見掛け分径よりも小さくても良い。
横網脚の見掛け分径D1に対する斜め挿入糸の見掛け分径D3の比率(D3/D1)は0.1〜0.9であることが好ましく、更には0.2〜0.75であることが望ましい。斜め挿入糸の見掛け分径D3は、0.15〜0.4mmであることが好ましく、更には、0.2〜0.3mmであることが望ましい。
斜め挿入糸は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよい。また、斜め挿入糸は、隣り合うループをくぐり抜けることでループを互いに連結させて形成されていてもよいし、また、ループを作ることなく直線状に延びていてもよい。
斜め挿入糸は、モノフィラメントからなることが好ましい。また、斜め挿入糸は、350〜1000デニールのモノフィラメントからなることが好ましく、更には、400〜600デニールのモノフィラメントからなることが望ましい。モノフィラメントが細すぎる場合には、斜め挿入糸の剛性が低くなり、モノフィラメントが太すぎる場合には空気の流通が妨げられダストの捕集効率が低下するからである。
ネット基材を構成する糸の材料、即ち、縦網脚、横網脚、及び横挿入糸の材料、並びに斜め挿入糸の材料は、比重が軽いことがよい。例えば、比重が2以下であることがよい。軽い糸でネット基材を構成することにより、捕集ネットの軽量化を図ることができる。ネット基材を構成する糸は、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)等の熱可塑性樹脂からなる合成樹脂材料から構成されていることがよい。その中でも、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルを用いると、ポリアミドやポリオレフィン等に比して防炎性や網目形状維持などに優れ、ダストが付着しても、再利用に支障を来さず、かつ再利用がきわめて容易であり最も利用価値が高い。ポリオレフィン又はポリアミドを用いると取り扱い性及び強度の点で良好となる。
ネット基材には、粘着剤が塗布されている。粘着剤は、縦網脚、横網脚、及び横挿入糸に付着している。ネット基材が斜め挿入糸を有する場合には、斜め挿入糸にも粘着剤が付着している。また、縦網脚のループや、横網脚の糸間、横挿入糸の糸間には、少なくとも一部にランダムに粘着剤が皮膜を形成しているとよい。
塗布時の粘着剤の粘性を調整することにより、網目に塗布される粘着剤の皮膜形成面積を多少することができ、その結果、捕集ネットの開口率を更に細かく調整することができる。捕集ネットの開口率は、捕集ネットを展開したときの平面方向の全体の面積に対する、空気が通過可能な部分の面積の比率(百分率)をいう。
捕集ネットの空気が通過可能な部分の面積を開口面積としたときに、捕集ネット全体の面積に対する開口面積の比率、即ち、捕集ネットの開口率は、10〜80%であることが好ましく、更には15〜55%であることが望ましい。空気が通過可能な部分は、空間部を含む、空気が通過可能な開口部をいう。この場合には、十分な空気流通量を確保しつつ、ダストの粘着剤への付着機会を多くすることができる。また、捕集ネットの開口率は、上記範囲を逸脱した場合にも、室内のダスト捕集効果は十分である。
粘着剤としては、アクリル系、天然ゴム系、SBR、ブロックSIS、シリコンゴム系等を用いると、粘着力が高く、かつ粘着持続期間が長いので好ましい。またその性能としては下記の範囲がよい。
・粘着力( g ) 200〜700 ( JIS Z0237に準拠)
・P.タック( g ) 200〜700 (JIS Z0237参考欄に準拠)
・剥離力( g ) 5〜20 (JIS Z0237に準拠)
・ボールタック 5〜20 (JISZ0237に準拠)
捕集ネットの使用方法は、前記従来例と同様であるが、その際使用箇所に応じた寸法に裁断するものとする。またネット基材は塗装工場内においてカーテン状に垂下する。この場合、捕集ネットが1枚のみの一重とすることも可能であるが、2枚、3枚のように複数枚重ねの状態で使用することも可能であり、さらに複数枚重ねの場合において網目をずらした張り方もある。尚、複数重ねのものにおいて網目の空隙面積の異なるネット基材の組み合わせもあり得る。
(実施例1)
本発明の実施例1の捕集ネットは、図1に示すように、ネット基材1と、ネット基材1に塗布された粘着剤2とからなる。ネット基材1は、上下方向に延びる複数の縦網脚11と、横方向に延びる複数の横網脚12とを有し、相対する一対の縦網脚11の間と、相対する一対の横網脚12との間には、網目10が形成されている。網目10は、ネット基材1の上下方向及び横方向に格子状に多数配列している。各網目10の縦方向の長さL1は4.5mmであり、横方向の長さL3は4.5mmであって、ほぼ正方形状を呈している。
ネット基材1を編成する糸は、ポリ塩化ビニリデンから紡糸されたモノフィラメントからなる。ネット基材1は、ラッセル織りにより編成されている。縦網脚11は、1本のモノフィラメントにより互いに連結するループを形成することで構成されている。
縦網脚11は、隣り合うループをくぐり抜けることで縦方向にループを互いに連結させて形成されている。複数の縦網脚11は、互いにほぼ平行に縦方向に延びている。単位当たりの網目10を構成している縦網脚11のループの数は、4目である。
横網脚12は、2本のモノフィラメントから構成されている。横網脚12を構成する2本のモノフィラメントは、相対する一対の縦網脚11の同じ高さのループに連結されている。2本のモノフィラメントは、互いに撚り合わせられることなく、互いに重なり合って同じ方向に延びることで横網脚12を形成している。縦網脚11の見掛け分径D0は、1.0mmである。横網脚12の見掛け分径D1は、0.5mmである。
各網目10の中には、2本の横挿入糸13が横方向に延びている。横挿入糸13を構成するモノフィラメントの見掛け分径D2は、0.25mmである。横網脚12の見掛け分径D1に対する横挿入糸13の見掛け分径D2の比率(D2/D1)は0.5である。2本の横挿入糸13は、それぞれ1本のモノフィラメントから構成されている。
横挿入糸13は、横網脚12に平行に延びている。2本の横挿入糸13は、縦網脚11のループに等間隔に連結されることで、網目10を縦方向に等間隔に3分割している。即ち、各網目10を構成する縦網脚11の4目のループのうち、中央側の2番目と3番目にそれぞれ横挿入糸13が連結されている。
各網目10は、2本の横挿入糸13で縦方向に等間隔に分割されて、3つの略長方形状の空間部100に仕切られている。各空間部100の縦方向の長さL2は1.5mmであり、空間部100の横方向の長さは網目10の横方向の長さL3に等しい。空間部100の横方向の長さL3に対する縦方向の長さL2の比率(L2/L3)は0.3である。
ネット基材1に粘着剤2が塗布されている。粘着剤2はアクリル系粘着剤からなる。粘着剤2をネット基材1に塗布するために、粘着剤はバインダーに所定の粘度となるように溶解され、溶解液の中にネット基材を通し、乾燥させる。粘着剤2は、ネット基材1の縦網脚11,横網脚12、横挿入糸13に付着しており、また、縦網脚11のループ内部、横網脚12の2本のモノフィラメントの間にも少なくとも一部にランダムに膜状に付着している。ネット基材1に粘着剤2を塗布して形成された捕集ネットの開口率は、35%とした。
本例の捕集ネットを室内に展張すると、室内の空気が、ネット基材1に形成された空間部100を通過する。空間部100を通過する際に、空気中のダストが、粘着剤2の粘着力によりネット基材1に確実に捕獲される。
(実施例1A)
本例の捕集ネットは、実施例1と同じ網構成をもつネット基材1に、塗布時の粘性を高めた粘着剤2を塗布してなる。粘着剤は、ネット基材1の縦網脚11、横網脚12、横挿入糸13にランダムに付着している。捕集ネットの開口率は25%とした。
(実施例2)
本例の捕集ネットは、図2に示すように、ネット基材1に形成されている網目10は、2本の横挿入糸13により縦方向に均等に3つの略長方形状の空間部100に仕切られている。3つの空間部100のうち、上側と下側の2つの空間部100は、それぞれ、横挿入糸13に対して斜め方向に延びる斜め挿入糸14により2つの狭小空間部101に区切られている。
図2において、上側の空間部100を区切る斜め挿入糸14の左側は、左側の縦網脚11の上から1番目のループに連結され、斜め挿入糸14の右側は、右側の縦網脚11の上から2番目のループに連結されている。下側の空間部100を区切る斜め挿入糸14の左側は、左側の縦網脚11の下から1番目のループに連結され、斜め挿入糸14の右側は、右側の縦網脚11の下から2番目のループに連結されている。
網目10を形成する横網脚12は3本のモノフィラメントからなり、横挿入糸13は1本のモノフィラメントからなる。図2において、左側の縦網脚11の上から第1番目のループと下から第1番目のループには、横網脚12と斜め挿入糸14とが連結されており、上から2番目と3番目のループには横挿入糸13が連結されている。右側の縦網脚11の上から第2番目のループと下から第2番目のループには、横挿入糸13と斜め挿入糸14とが連結されており、上から1番目と下から1番目のループには横網脚12が連結されている。捕集ネットの開口率は、25%とした。その他は実施例1と同様である。
図2に示す実施例2の捕集ネットでは、実施例1の捕集ネットの空間部が、斜め挿入糸14によって更に複数に区切られている。このため、実施例2の捕集ネットの開口領域は、実施例1よりも更に狭く、斜め挿入糸14,横挿入糸13,横網脚12及び縦網脚11に捕集される。
なお、本実施例2では、各網目10に形成された3つの空間部100のうち上段と下段の空間部に斜め挿入糸14を配置したが、中段の空間部100にも斜め挿入糸14を配置しても良い。
(実施例3)
本例の捕集ネットは、図3に示すように、網目10を構成する横網脚12が、縦網脚11よりも長い点で、実施例1と相違する。網目10は、横方向に長い長方形であり、縦網脚11の長さL1が4.5mmであり、横網脚12の長さL3は6.0mmであって、縦網脚11の長さL1に対する横網脚12の長さL3の比率(L3/L1)が1.5である。空間部100の横方向の長さL3に対する縦方向の長さL2の比率(L2/L3)は1/4(4.5mm÷3/6.0mm)である。網目10には、横方向に延びる2本の横挿入糸13が等間隔に配置されて、網目10を3つの空間部100に区切っている。空間部100は、網目10よりも相対的に横方向に長い長方形を呈している。
縦網脚11、横網脚12及び横挿入糸13には、粘着剤2が付着している。捕集ネットの開口率は、37%である。
(実施例4)
本例の捕集ネットは、図4に示すように、網目10を構成する横網脚12が、縦網脚11よりも長い点で、実施例2と相違する。網目10の大きさ、形状、及びL1、L2、L3は実施例3と同様である。網目10を区切る横挿入糸13及び斜め挿入糸14は、実施例2と同様である。縦網脚11、横網脚12及び横挿入糸13には、粘着剤2が付着している。捕集ネットの開口率は、27%である。
(比較例1)
本比較例の捕集ネットは、図5に示すように、横挿入糸及び斜め挿入糸がない点を除いて、実施例2の捕集ネットと同様である。ネット基材1は、縦網脚11と横網脚12とからのみで構成されている。相対する一対の縦網脚11と、相対する一対の横網脚12との間には網目10が形成されている。捕集ネットの開口率は、35%とした。
(比較例1A)
本比較例の捕集ネットは、比較例1と同じ網構成をもつネット基材に、粘性を高めた粘着剤を塗布してなる。粘着剤は、ネット基材1の縦網脚11、横網脚12、横挿入糸13にランダム(不規則)に付着している。捕集ネットの開口率は25%とした。
(比較例2)
本比較例の捕集ネットは、図6に示すように、横挿入糸がなく、2本合わせの斜め挿入糸14が網目10を2つに区切っている点で、実施例2の捕集ネットと同様である。
本比較例では、網目10を構成する縦網脚11は4つのループで網目10を形成している。図4において、斜め挿入糸14の左側は、縦網脚11の上から2番目のループに連結され、右側は、他方の縦網脚11の下から2番目のループに連結されている。捕集ネットの開口率は、32%とした。その他は、実施例2と同様である。
(比較例3)
本比較例の捕集ネットは、図7に示すように、横挿入糸がなく、網目10が2本合わせの2本の斜め挿入糸14でX状に区切られている点で、実施例2の捕集7ネットと相違する。図5において、一方の斜め挿入糸14の左側は、縦網脚11の上から2番目のループに連結され、一方の斜め挿入糸14の右側は、他方の縦網脚11の下から2番目のループに連結されている。他方の斜め挿入糸14の左側は、縦網脚11の下から2番目のループに連結され、他方の斜め挿入糸14の右側は、他方の縦網脚11の上から2番目のループに連結されている。X状の2本の斜め挿入糸14は、網目10を4つに区切っている。捕集ネットの開口率は、25%とした。その他は、比較例2と同様である。
(比較例4)
本比較例は、フィルムの表裏両面に粘着剤を塗布している。フィルムには、開口がない。
<実験例1>
網目を有する捕集ネット(実施例1、2,3,4及び比較例1、2、3)と、不織布で形成されたフィルタと、穴があいていないフィルム(比較例4)とを室内に展張したときに、空気中のダストの挙動をビデオ撮影により観察した。
上記実施例1、2、3,4及び比較例1、2、3のいずれの捕集ネットでも、ネット基材に網目が形成されているため、捕集ネットに空気中のダストが吸い寄せられた。空気が自然の風のように緩やかに流れているとき(例えば、風速0.3〜1.0m/sec)でも、また無風のときでも、捕集ネット近傍の空気は捕集ネットに近づき、空気中のダストが捕集ネットに捕集された。捕集ネットの存在は、空気の流れを妨げることが無かった。空気は、捕集ネットにより流れを乱されることなく、捕集ネットの網目を通過した。空気が網目を通過するとき、空気中のダストが、網目を構成する縦網脚、横網脚、横挿入糸に引っかかった。縦網脚、横網脚、横挿入糸には粘着剤が付着しているため、粘着剤の粘着力により、ダストは、ネット基材に留まり、脱落することなく捕集された。
実施例1、2、3,4の捕集ネットと比較例1、2、3の捕集ネットとでは、実施例1、2、3,4の方が、多くのダストが捕集ネットに引き寄せられた。
これに対して、表裏に粘着剤を塗布したフィルム(比較例4)を室内に垂れ下げたときには、フィルムの近辺で空気が反転して、フィルムから離れる方向に向かって逆流してしまい、空気中のダストの一部のみがフィルムに近づいて付着したにすぎなかった。
また、不織布から形成された通気性のフィルタでは、強制的にフィルタに圧送された空気は通過して、空気中のダストの一部はフィルタに捕集された。しかし、自然の風のような低速の空気は通過せず、空気中のダストは捕集されなかった。
<実験例2>
捕集ネットのダスト捕集率を測定した。捕集ネットは、上記の実施例1、1A、2、3、4及び比較例1、1A、2、3、4の捕集ネットを用いた。
ダスト捕集実験では、風速0.3〜1.0m/secに設定した空調実験装置(風洞実験装置)内に各種捕集ネットを展張した。室内には、ダストとして、大きさ30〜50μmの塩化ビニル樹脂粉末を浮遊させた。捕集ネットの表裏間を流通するダストの流れをビデオ撮影して、ダストの動向を観察し、空気中に浮遊せしめた単位面積当たりのダストの数(N1)と、単位面積当たりの捕集ネットに付着したダストの数(N2)を測定した。空気中に浮遊せしめた単位面積当たりのダストの数(N1)に対する単位面積当たりの捕集ネットに付着したダストの数(N2)の比率(N2/N1)を、ダスト捕集率として求めた。実験は5回行い、ダスト捕集率は5回実験値の平均値として求めた。実験結果を表1に示した。
Figure 0005920882
表1に示すように、実施例1,1A、2、3、4の捕集ネットは、比較例1、1A、2、3,4の捕集ネットに比べて、ダスト捕集率が高かった。実施例2の捕集ネットは、実施例1の捕集ネットよりもダスト捕集率が高かった。実施例3,4の捕集ネットは、それぞれ実施例1,2よりもダスト捕集率が高かった。また、実施例1と比較例1とでは、開口率が同じであるにも拘わらず、実施例1のダスト捕集率が比較例1よりも高かった。その理由は、以下のように考えられる。
図1に示す実施例1の捕集ネットは、相対する一対の縦網脚11と、相対する一対の横網脚12との間に四角形の網目10を形成している。単位当たりの網目10は、横網脚12と平行に延びる2以上の横挿入糸13で複数の空間部100に区切られている。2以上の横挿入糸13は、網目10を構成する横網脚12と平行に延びているため、横挿入糸13で区切られて形成された空間部100は、比較的狭い略長方形状の開口領域となる。ゆえに、空間部100を流通するダストの殆どが、空間部100を囲んでいる横挿入糸13、横網脚12、又は縦網脚11に捕集される。
また、2以上の横挿入糸13は、横網脚12、12間にほぼ等間隔を隔てて配置されることで、網目10をほぼ等間隔の空間部100に区切っている。このため、どの空間部100においてもダストが通過可能な開口領域は狭くなる。ゆえに、空間部100のいずれの開口領域を通過しても、ダストが捕集されやすく、効果的にダストが捕集される。
また、網目10を複数に仕切る横挿入糸13を縦網脚11及び横網脚12よりも見掛け分径を小さくして、空気抵抗を極力抑えている。このため、縦網脚11及び横網脚12で捕集ネットの形状及び強度を保持しつつ、空間部100の空気抵抗を低く抑え、空気流通量を十分に確保することができる。よって、実施例1のダスト捕集率が高くなったと考えられる。
実施例1Aの捕集ネットは、粘着剤の付着量が実施例1よりも多く、開口率が小さい。このため、皮膜をより多く形成した粘着剤にダストが付着しやすく、ダスト捕集率が高くなったと考えられる。
更に、図2に示す実施例2の捕集ネットは、空間部100の中に、縦網脚11及び横網脚12よりも細い斜め挿入糸14を配置して、複数の狭小空間101に区切っている。このため、空気抵抗を低く抑えて空気流通量を十分に確保しつつ、ダストが通過する開口領域を更に狭くして、更にダスト捕集率が高くなったと考えられる。
図3に示す実施例3の捕集ネットは、網目10の横網脚12の長さを長くして、縦網脚11の本数を減らす一方、横網脚12と横挿入糸13の間の間隔は実施例1と同様である。このため、横網脚13で仕切られた空間部100の上下間の距離は実施例1と変わらず、且つ、空気抵抗となる縦網脚11が少ないため、空気流通量が多くなり、実施例1よりもダスト捕集率が高かったと考えられる。
図4に示す実施例4の捕集ネットは、網目10を構成する横網脚12の長さを長くしている点を除いて、実施例2と同様である。このため、横網脚13で仕切られた空間部100の上下間の距離は実施例2と変わらず、且つ、空気抵抗となる縦網脚11が少ないため、空気流通量が多くなり、実施例2よりもダスト捕集率が高かったと考えられる。
一方、図5に示す比較例1の捕集ネットでは、網目10には横挿入糸が挿入されておらず、網目は複数の空間部に細分化されていない。空間部よりも大きな網目10は、空気中のダストの多くを通過させてしまい、捕集ネットには捕集されにくい。
図6に示す比較例2の捕集ネットでは、網目10が1本の斜め挿入糸14で2つの空間部100に仕切られている。この空間部100は、略台形を呈し、互いに平行な長辺と短辺との間に形成されている。空間部100には、その長辺側に糸間の距離が比較的大きな開口領域が存在する。この大きな開口領域では、ダストがいまひとつ捕集されにくく、ダスト捕集率が比較的低位となったと考えられる。
図7に示す比較例3の捕集ネットでは、X字状にクロスさせた2本の斜め挿入糸14が網目10を4つに区切っている。区切られた空間部109の2つは小さい三角形状で粘着剤2により閉塞されやすく、他の2つの空間部109は、中央部分の上下方向の高さが大きく、その部分で、ダストが濾過されることなくダストが通過し易い。また、空気抵抗が生じやすい2本の見掛け分径の大きな斜め挿入糸の影響で、空気の反転も比較的大きく、ダスト濾過の機会が全体として小さくなる。従って、比較例3の捕集ネットは、実施例2と同様に開口率が小さくダスト捕集面積が大きいにもかかわらず、効果的なダスト濾過作用が発揮されなかったと考えられる。
比較例4のフィルムでは、開口が形成されていないため、空気が流通しない。しかも、フィルム近傍で空気が反転して、フィルム表面までダストが近づきにくく、ダスト捕集率が極めて低かったと考えられる。
1:ネット基材、10:網目、11:縦網脚、12:横網脚、13:横挿入糸、14:斜め挿入糸、100:空間部、101:狭小空間部、2:粘着剤。

Claims (6)

  1. 隣り合うループをくぐり抜けることで縦方向にループを互いに連結させて形成され互いにほぼ平行に縦方向に延びる複数の縦網脚と、横方向に延びて隣り合う前記縦網脚の間を連結した複数の横網脚とを有してなり、相対する一対の前記縦網脚と相対する一対の前記横網脚との間には四角形状の網目を形成してなるネット基材と、
    前記ネット基材に塗布された粘着剤と、からなる捕集ネットであって、
    前記ネット基材は、更に、各前記網目の中に前記縦網脚及び前記横網脚のいずれの見掛け分径よりも見掛け上小さい見掛け分径となる横挿入糸をそれぞれ2本以上前記横方向に延設させてなり、前記2以上の前記横挿入糸は、前記網目を挟んで相対する前記縦網脚間にほぼ等間隔を隔てて配置されることで、前記網目を前記縦網脚間でほぼ等間隔に、前記網目よりも横方向の長さが縦方向の長さよりも相対的に長い略長方形状の空間部に区切っていることを特徴とする捕集ネット。
  2. 前記ネット基材は、各前記空間部の中に前記縦網脚及び前記横網脚のいずれの見掛け分径よりも見掛け上小さい見掛け分径となる斜め挿入糸を前記横方向に対して斜めに延設させてなり、前記斜め挿入糸により前記空間部は複数の狭小空間部に区分されている請求項1記載の捕集ネット。
  3. 前記網目を形成する前記横網脚の長さは、前記網目を形成する前記縦網脚の長さよりも大きい請求項1又は2に記載の捕集ネット。
  4. 前記横挿入糸は、350〜1000デニールのモノフィラメントからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の捕集ネット。
  5. 前記斜め挿入糸は、350〜1000デニールのモノフィラメントからなる請求項2〜4に記載の捕集ネット。
  6. 前記捕集ネットの開口率は、10〜80%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の捕集ネット。
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