JP5919582B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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本発明は、本体上部に設けた貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞した冷蔵庫に関する。
家庭用の大容量冷蔵庫は、多様なユーザニーズに対応すべく冷却貯蔵温度の多様化とともに貯蔵室ごとに多くの扉を設けた冷蔵庫が商品化されており、これまで、冷蔵庫に対して冷凍室を上部に配置したトップフリーザータイプ、上部の冷蔵室と下部の野菜室との間に冷凍室を配置したミドルフリーザータイプ、冷凍室を最下部に配置したボトムフリーザタイプ、上部の冷蔵室の下方に縦長の冷凍室と野菜室を併置したタイプ、冷凍室と冷蔵室とを左右に併置したサイドバイサイドタイプなど様々な形態が商品化されてきた。
このような商品環境の中で、近年では、使い勝手を考慮して、使用頻度が高く収納容積の最も大きい冷蔵室を観音開き式の扉として最上段に配置し、その下方に製氷室や温度切替室、そしてその下方に野菜室、最下部に冷凍室を設置したタイプが主流になっており、前記冷蔵室の観音開き式扉の一方の開放端側の内面に閉扉時には他方の扉側へ回動する仕切体を取付けてガスケットの吸着面を設けるようにしている。
更に、近年の冷蔵庫における観音開き式の扉では、扉が大型化して縦方向寸法も長くなっており、縦方向に長い仕切体が湾曲することによる外面意匠上の課題を解決するために、回転仕切体の扉ガスケットの吸着面を形成する薄鋼板製の仕切板を、平板状の吸着面とその両側端縁を内方に折り返して重ね合わせ、さらに内方に折曲してアングル部を有する形状とし、仕切板の周縁部および仕切板の庫内側に設けた断熱部材の外面を合成樹脂製の仕切枠体で覆うとともにこの仕切枠体で仕切板を係合保持し、加えて仕切板内面に面ヒーターを貼付けて仕切板表面に発生する結露を防止したものが広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
以下、図8、図9を用いて、従来の冷蔵庫の回転仕切体の仕様を説明する。
回転仕切体13の基本構成としては、吸着面を形成する磁性体である薄鋼板製の仕切板16と断熱層を形成する発泡スチロール製の成形断熱部材18と、これらを覆って回転仕切体13の外郭を形成する合成樹脂製の仕切枠体17と、仕切板16の内面に配設されたアルミ箔ヒーターなどからなる面ヒーター19と、回転仕切体13の上端部に配設され、上端面にガイド溝が形成されたキャップ部材58とから構成されている。
一般的には、上記の構成では、薄鋼板製の仕切板16と面ヒーター19が直接接触しているため、漏電対応として仕切板16と冷蔵庫1本体を接続するアース線を配設する必要がある。
また、冷蔵庫と回転仕切体13の嵌合を目的としたキャップ部材58は、仕切板16と仕切枠17のそれぞれの上部終端を覆って連結する役目も果たしている。
特開2010−249491号公報
しかしながら、上記従来の構成では、低温となった冷蔵室の温度影響で冷やされた扉ガスケット12が、熱伝導率の高い薄鋼板製の仕切板16に直接接触することで、仕切板16の大気開放部の表面温度が低下し、必要以上に面ヒーターの容量が大きくなり消費電力量が増加するという課題を有していた。
本発明は、上記の課題を解決するもので、回転仕切体のヒーター等の加温手段への電力入力を低減できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
また、上記従来の構成では、仕切板が絶縁性のない薄鋼板製でその面積も大きく、内面に面ヒーター等電気部品を貼付ける場合に、漏電への配慮からアース線を配設する必要があり、構成が複雑で、高コストになるという課題を有していた。
本発明は、上記の課題を解決するもので、アース線を廃止し、簡単な構成で低コスト化が図れる冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞し、前記左右扉の少なくともいずれか一方の反枢支側の内面に縦方向に亙る回転仕切体を設けて扉ガスケットの吸着面とした冷蔵庫において、前記回転仕切体は、少なくとも扉ガスケットの吸着面を形成する仕切板と、前記回転仕切体内部に配設された断熱材と、前記仕切板の周縁部および前記断熱材の外面を覆う仕切枠体と、前記
仕切板内面に直線状に配設された加温手段とを備え、前記仕切板と前記仕切枠体とを合成樹脂製で形成したもので、前記加温手段は発熱量の異なる複数の部位を1本のヒータとしたもので、前記回転仕切体の長手方向において、両端部より中央部の発熱量を大きくしたものである。これにより、回動仕切体の結露を防止するための加温手段への電力入力が抑制され、アース線の廃止できる。さらに仕切体に内側に磁性体を配設するスペースが確保でき、簡単な構成で低コスト化が図れる。また、仕切板の表面温度が均一になり、加温手段への無駄な電力入力がさらに削減できる。
本発明の冷蔵庫は、回転仕切体の結露を防止するための電力入力を最小限に抑制でき、省エネを図ることができる。
本発明の実施の形態1による冷蔵庫の観音開き式扉の開扉状態を示す正面図 本発明の実施の形態1による冷蔵室の閉扉状態での要部を示す断面図 本発明の実施の形態1による冷蔵室の図2のA−A断面図 本発明の実施の形態1による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図 本発明の実施の形態1による冷蔵庫の加温手段の通電率と仕切板の表面温度の関係を説明したグラフ 本発明の実施の形態2による冷蔵庫の加温手段の具体構成図 本発明の実施の形態2による冷蔵庫のヒーター各部位におけるヒーター発熱量と仕切板表面温度の関係を説明した図 従来の冷蔵庫の冷蔵室扉の閉扉状態を示す断面図 従来の冷蔵庫の回転仕切体の分解斜視図
請求項1に記載の発明は、貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞し、前記左右扉の少なくともいずれか一方の反枢支側の内面に縦方向に亙る回転仕切体を設けて扉ガスケットの吸着面とした冷蔵庫において、前記回転仕切体は、少なくとも扉ガスケットの吸着面を形成する仕切板と、前記回転仕切体内部に配設された断熱材と、前記仕切板の周縁部および前記断熱材の外面を覆う仕切枠体と、前記仕切板内面に直線状に配設された加温手段とを備え、前記仕切板と前記仕切枠体とを合成樹脂製で形成したもので、前記加温手段は発熱量の異なる複数の部位を1本のヒータとしたもので、前記回転仕切体の長手方向において、両端部より中央部の発熱量を大きくしたことにより、前記回転仕切体の仕切板表面の結露を最小限の電力入力で防止することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記仕切体の内面に磁性体を配設し、前記磁性体は前記左右扉が閉塞された状態において、前記扉ガスケットに内蔵された磁性体と対向する位置に配置したことにより、前記扉ガスケットと前記仕切板の吸着力が確保され、外部からの庫内への熱侵入を抑えることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記加温手段は前記磁性体が複数ある場合に、前記磁性体の間に配置したことにより、限られたスペースで吸着力と表面温度を両立確保した回転仕切体が構成できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記加温手段はワット密度が異なる複数の部位を備えることにより、前記回転仕切体の仕切板表面温度が均一化されるので、温度分布ばらつきがなくなり不必要な電力入力が削減できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の観音開き式扉の開扉状態を示す正面図、図2は同実施の形態1による冷蔵室の閉扉状態での要部を示す断面図、図3は同実施の形態1による図2のA−A断面図、図4は同実施の形態1による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図、図5は同実施の形態1による冷蔵庫の加温手段の通電率と仕切板の表面温度の関係を説明したグラフである。
図1において、冷蔵庫100は向かって左側に位置する左側扉102及び向かって右側に位置する右側扉103を有し、図1では左側扉102と右側扉103を開扉させた状態を示している。左側扉102と右側扉103とが設けられている部分は冷蔵貯蔵室105の部分であり、左側扉102の下は製氷室106、さらに下は冷凍貯蔵室107、野菜室108とされている。右側扉103の下、製氷室106の右隣には切替室109が設けられている。
左側扉102と右側扉103はそれぞれヒンジ部により枢支されて左側と右側に開くように構成されており、左側扉102の非枢支側には回転仕切体200を設けている。この回転仕切体200は、左側扉102の開閉動作に応じて回転し、閉扉された状態では、左側扉102、右側扉103の非枢支側を扉ガスケット110を介して閉塞して、冷蔵貯蔵室105内からの冷気漏れを防止している。
ここで、各貯蔵室間には断熱仕切部材(図示せず)が配置されており、この断熱仕切部材の前面には、鋼板製のカバー501、502、503が配設され、各貯蔵室扉の扉ガスケットを介して閉塞し、各貯蔵室からの冷気漏れを防止している。
次に、図2から図4において、回転仕切体200は、扉ガスケット110の吸着面111を形成する仕切板210と、回転仕切体200内部に配設された発泡スチロール製の断熱材220と、仕切板210の周縁部および断熱材220の外面を覆う合成樹脂製の仕切
枠体230と、仕切板210内面中央に配設された加温手段240とから構成されている。
ここで、仕切板210は、合成樹脂製であり、内面には2つの磁性体211が取り付けられている。磁性体211は、冷蔵庫の高さ方向に対して回転仕切体200の略全高域に構成されており、左側扉102、右側扉103が閉扉した状態において、扉ガスケット110内に構成された磁性体112と対向するように配置されており、本実施例では直方体のプラスチックマグネットを使用した。更に、加温手段240及び磁性体211は、仕切板210と断熱材220の間で圧接して保持されている。また、加温手段240は線状ヒーター等の直線状なもので、磁性体211の間に磁性体211と並行して配置される。
また、回転仕切体200の全体構成を図4の斜視図を用いてもう少し詳細に説明する。回転仕切体200は、扉ガスケット110の吸着面111を形成する合成樹脂製の仕切板210と、回転仕切体200内部に配設された発泡スチロール製の断熱材220(図示せず)と、仕切板210の周縁部および断熱材220の外面を覆う合成樹脂製の仕切枠体230と、仕切板210内面中央に配設された加温手段240と、仕切板210の内面には加温手段240を挟む形で2つの磁性体211が取り付けられている。
このとき、仕切枠体230の上端面にガイド溝231が形成されており、冷蔵庫100の天井面から下方に突設されたガイドピン(図示せず)が係合している。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
まず、従来の構成では、低温となった冷蔵室3の温度影響で冷やされた扉ガスケット11,12が、熱伝導率の高い薄鋼板製の仕切板16に直接接触することで、必要以上に仕切板16の大気開放部の表面温度が低下し、これを補って露点温度以上にするために、面ヒーター19の容量を大きくする必要があったのに対して、本実施の形態の場合、回転仕切体200の扉ガスケット110の吸着面111を形成する仕切板210を合成樹脂製としている。このことで図5の加温手段の通電率と仕切板の表面温度の関係のグラフが示す様に、同一の通電率の条件では、本実施例の場合の仕切板210の表面温度は、従来の仕切板の表面温度に対して約3K高く、また、外気条件が30℃、75%のときの露点温度を維持するための通電率は、約10%低減できることがわかる。これは、扉ガスケット110が接触する仕切板210を熱伝導率の小さな合成樹脂にしたことで、仕切板210の大気開放部212の温度の低下が抑制されたことによる。
加えて、扉ガスケット110内に構成された磁性体112と対向するように、磁性体211を配置することで、扉ガスケット110との吸着という、回転仕切体200の基本機能を確保することができる。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵貯蔵室105の左右扉の少なくともいずれか一方(ここでは左側扉102)の反枢支側の内面に、縦方向に亙る回転仕切体200を設けて扉ガスケット110の吸着面111を合成樹脂性の仕切板210とし、仕切板210内側に磁性体211を扉ガスケット110内蔵の磁性体112と対向する位置に配置し、その磁性体211の間に加温手段240を直線的に並行に配置し、仕切板210周縁部および断熱材220の外面を合成樹脂製の仕切枠体230で覆うことにより、仕切板210の表面温度を従来の薄鋼板製よりも高く維持でき、結露防止のための加温手段240の電力入力が少なくなるので、冷蔵庫100の消費電力を削減することができる。また、加温手段240が直線状に配置されるので、仕切板210内面に配置する磁性体211の取り付けスペースが確保でき、扉ガスケット110内面の磁性体112と精度良く対向されるので、回転仕切体200と扉ガスケット110との吸着状態の信頼性が確保できる。
さらに、加温手段240は合成樹脂製の仕切板210の内面に配設され、人が触れる部分が合成樹脂のため漏電対応の必要がなく、アース線の廃止で低コスト化を図ることができる。
加えて、仕切板210が樹脂製で、上部端面の形状に自由度があり、仕切枠体230との係合が可能で、かつ仕切枠体230の上端面にガイド溝231が成形されているので、別途キャップを用いることなく、観音開き式扉を簡素な構成にすることができる。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2による冷蔵庫の加温手段の具体構成図、図7は同実施の形態2による冷蔵庫のヒーター各部位におけるヒーター発熱量と仕切板表面温度の関係を説明した図である。なお、実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、異なる部分について説明する。
図6において、加温手段240は長さLを持つ直線状のヒーターで、実施の形態1の図4に示す様に回転仕切体200の長さとほぼ同じ長さで、合成樹脂製の仕切板210の中央に配置される。加温手段240はその発熱量すなわちワット密度が可変であり、図6では部位a、b、cと3区分を可変としている。尚、加温手段240のヒーターを可変にする具体的な手段としては、線状巻線抵抗線の巻きピッチを変えて抵抗値を可変したり、印刷抵抗の抵抗ペースト成分を可変してシート抵抗としたり、抵抗値の異なる発熱抵抗線を直列接続すれば可能である。また、本実施の形態2では部位を3区分としたが、目的に応じて複数区分とすれば良い。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について図7を用いて説明する。
まず、ヒーターに通電がない場合、仕切板210の表面温度は点線で示す様に、中央部(部位b)では低く、両端に向かうほど温度は高くなる(部位a、b)。これは冷蔵貯蔵室105と扉ガスケット110の密閉性や熱伝導、あるいは冷蔵貯蔵室105内の冷気循環影響により温度分布の不均一が発生してしまうからである。次に、ヒーターを通電する場合、仕切板210の表面温度が結露領域にあるので、ヒーターを通電して各部位を結露境界線以上の温度に昇温させる必要がある。
この時、従来の様な一点鎖線で示す発熱量一定のヒーターでは、各部位の温度上昇が一定のため、最も温度の低い部位bに発熱量を合わせる必要があり、部位a、cに対しては一点鎖線の様に不必要な温度上昇が発生してしまう。
一方、本実施の形態では図7に示す様に、ヒーターの発熱量を部位により可変にしている。すなわち実線で示す様に、部位bは発熱量を大きくし、部位a、cでは小さくする。こうすることで、ヒーター通電なしの仕切板210の表面温度(点線)は、露点境界線を必要最小限越えた均一な表面温度(実線)にすることができる。これをヒーターの発熱量で従来と比較すると、斜線で囲った領域分の発熱量が不要で、その分消費電力量が削減できる。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、回転仕切体と扉ガスケットの吸着面である仕切板を樹脂製としたものであり、結露を防止しつつ消費電力を削減できるので、業務用冷蔵庫等にも適用できる。また、樹脂製のフランジ内面に磁性体を配設して、扉ガスケットとの吸着を行う方法は、冷蔵庫の各貯蔵室を仕切る断熱仕切部材の前面のカバーにも応用できる。
100 冷蔵庫
102 左側扉
103 右側扉
105 冷蔵貯蔵室
106 製氷室
107 冷凍貯蔵室
108 野菜室
109 切替室
110 扉ガスケット
111 吸着面
112 磁性体
200 回転仕切体
210 仕切板
211 磁性体
212 大気開放部
220 断熱材
230 仕切枠体
231 ガイド溝
240 加温手段
501、502、503 カバー

Claims (4)

  1. 貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞し、前記左右扉の少なくともいずれか一方の反枢支側の内面に縦方向に亙る回転仕切体を設けて扉ガスケットの吸着面とした冷蔵庫において、前記回転仕切体は、少なくとも扉ガスケットの吸着面を形成する仕切板と、前記回転仕切体内部に配設された断熱材と、前記仕切板の周縁部および前記断熱材の外面を覆う仕切枠体と、前記仕切板内面に直線状に配設された加温手段とを備え、前記仕切板と前記仕切枠体とを合成樹脂製で形成したもので、前記加温手段は発熱量の異なる複数の部位を1本のヒータとしたもので、前記回転仕切体の長手方向において、両端部より中央部の発熱量を大きくしたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記仕切板の内面に磁性体を配設し、前記磁性体は前記左右扉が閉塞された状態において、前記扉ガスケットに内蔵された磁性体と対向する位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記加温手段は前記磁性体が複数ある場合に、前記磁性体の間に配置したことを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
  4. 前記加温手段はワット密度が異なる複数の部位を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
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