JP2018066498A - 冷蔵庫 - Google Patents

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慶修 有年
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Abstract

【課題】回転仕切体が過度に温められることがなく、ヒーター等の加温手段への電力入力を低減することができる冷蔵庫を提供する。【解決手段】観音開き式扉を備えた冷蔵庫において、回転仕切体200は、少なくとも扉ガスケット110の吸着面を形成する仕切板210と、回転仕切体内部に配設された断熱材220と、仕切板210の周縁部および断熱材220の外面を覆う仕切枠体230と、仕切板内面に加温部分を直線状に配設した加温手段240とを備え、加温手段240の加温部分を1本のヒーター線で異なる発熱密度に区分し、加温手段240の発熱量は仕切板210の下部が最も高くなるようにヒーター線を配設したことにより、回転仕切体上部が過度に温められることがなく、回転仕切体200のヒーター等の加温手段への電力入力を低減することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、本体上部に設けた貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞した冷蔵庫に関する。
家庭用の大容量冷蔵庫は、多様なユーザニーズに対応すべく冷却貯蔵温度の多様化とともに貯蔵室ごとに多くの扉を設けた冷蔵庫が商品化されており、これまで、冷蔵庫に対して冷凍室を上部に配置したトップフリーザータイプ、上部の冷蔵室と下部の野菜室との間に冷凍室を配置したミドルフリーザータイプ、冷凍室を最下部に配置したボトムフリーザタイプ、上部の冷蔵室の下方に縦長の冷凍室と野菜室を併置したタイプ、冷凍室と冷蔵室とを左右に併置したサイドバイサイドタイプなど様々な形態が商品化されてきた。
このような商品環境の中で、近年では、使い勝手を考慮して、使用頻度が高く収納容積の最も大きい冷蔵室を観音開き式の扉として最上段に配置し、その下方に製氷室や温度切替室、そしてその下方に野菜室、最下部に冷凍室を設置したタイプが主流になっており、前記冷蔵室の観音開き式扉の一方の開放端側の内面に閉扉時には他方の扉側へ回動する仕切体を取付けてガスケットの吸着面を設けるようにしている。
更に、近年の冷蔵庫における観音開き式の扉では、扉が大型化して縦方向寸法も長くなっており、縦方向に長い仕切体が湾曲することによる外面意匠上の課題を解決するために、回転仕切体の扉ガスケットの吸着面を形成する薄鋼板製の仕切板を、平板状の吸着面とその両側端縁を内方に折り返して重ね合わせ、さらに内方に折曲してアングル部を有する形状とし、仕切板の周縁部および仕切板の庫内側に設けた断熱部材の外面を合成樹脂製の仕切枠体で覆うとともにこの仕切枠体で仕切板を係合保持し、加えて仕切板内面に面ヒーターを貼付けて仕切板表面に発生する結露を防止したものが広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
以下、図16、図17を用いて、従来の冷蔵庫の回転仕切体の仕様を説明する。
回転仕切体13の基本構成としては、吸着面を形成する磁性体である薄鋼板製の仕切板16と断熱層を形成する発泡スチロール製の成形断熱部材18と、これらを覆って回転仕切体13の外郭を形成する合成樹脂製の仕切枠体17と、仕切板16の内面に配設されたアルミ箔ヒーターなどからなる面ヒーター19と、回転仕切体13の上端部に配設され、上端面にガイド溝が形成されたキャップ部材58とから構成されている。
一般的には、上記の構成では、薄鋼板製の仕切板16と面ヒーター19が直接接触しているため、漏電対応として仕切板16と冷蔵庫1本体を接続するアース線を配設する必要がある。
また、冷蔵庫と回転仕切体13の嵌合を目的としたキャップ部材58は、仕切板16と仕切枠17のそれぞれの上部終端を覆って連結する役目も果たしている。
特開2010−249491号公報
しかしながら、上記従来の構成では、低温となった冷蔵室の温度影響で冷やされた扉ガスケット12が、熱伝導率の高い薄鋼板製の仕切板16に直接接触することで、仕切板16の大気開放部の表面温度が低下し、必要以上に面ヒーターの容量が大きくなり消費電力量が増加する。そして、冷蔵庫内下部にはチルド・パーシャル室を有する場合、その熱影響で冷蔵室内下部が低温となり回転仕切体下部が冷却され回転仕切体下部が発汗しやすいという課題を有していた。また、下部を基準に同一Wのヒーター線で構成すると、回転仕切体上部が過度に温められ、消費電力量が増加するという課題を有していた。
本発明は、上記の課題を解決するもので、回転仕切体のヒーター等の加温手段への電力入力を低減し、回転仕切体の構成をも簡素化できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞し、前記左右扉の少なくともいずれか一方の反枢支側の内面に縦方向に亙る回転仕切体を設けて扉ガスケットの吸着面とした冷蔵庫において、前記回転仕切体は、少なくとも扉ガスケットの吸着面を形成する仕切板と、前記回転仕切体内部に配設された断熱材と、前記仕切板の周縁部および前記断熱材の外面を覆う仕切枠体と、前記仕切板内面に加温部分を直線状に配設した加温手段とを備え、前記加温手段の加温部分を1本のヒーター線で異なる発熱密度に区分し、前記加温手段の発熱量は前記仕切板の下部が最も高くなるように前記ヒーター線を配設したものである。
これにより、回転仕切体上部が過度に温められることがなく、回転仕切体のヒーター等の加温手段への電力入力を低減することができる。
また、前記ヒーター線とリード線とのリード線に、前記ヒーター線の上下方向取り付け間違い防止部材を備えることにより、組立時の配線間違いも確実に低減することができる。
本発明の冷蔵庫は、回転仕切体が過度に温められることがなく、回転仕切体のヒーター等の加温手段への電力入力を低減することができる。また、組立時の配線間違いも確実に低減することができ、消費電力量を低減した信頼性の高い冷蔵庫を提供することができる。
本発明の実施の形態1による冷蔵庫の観音開き式扉の開扉状態を示す正面図 本発明の実施の形態1による冷蔵室の閉扉状態での要部を示す断面図 本発明の実施の形態1による冷蔵室の図2のA−A断面図 本発明の実施の形態1による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図 (a)本発明の実施の形態1による冷蔵室の断熱材と加温手段の組立て側面図、(b)図5(a)のB−B断面図、(c)図5(a)のC部拡大図 本発明の実施の形態1による冷蔵庫の加温手段の通電率と仕切板の表面温度の関係を説明したグラフ 本発明の実施の形態2による冷蔵庫の加温手段の具体構成図 本発明の実施の形態2による冷蔵庫のヒーター各部位におけるヒーター発熱量と仕切板表面温度の関係を説明した図 本発明の実施の形態3による冷蔵室の閉扉状態での要部を示す断面図 本発明の実施の形態3による冷蔵室の図9のD−D断面図 本発明の実施の形態3による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図 本発明の実施の形態3による冷蔵庫の加温手段の具体構成図 本発明の実施の形態4による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図 本発明の実施の形態4による冷蔵庫の加温手段の具体構成図 本発明の実施の形態4による上下方向取付け間違い防止部材の具体構成図 従来の冷蔵庫の冷蔵室扉の閉扉状態を示す断面図 従来の冷蔵庫の回転仕切体の分解斜視図
請求項1に記載の発明は、貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞し、前記左右扉の少なくともいずれか一方の反枢支側の内面に縦方向に亙る回転仕切体を設けて扉ガスケットの吸着面とした冷蔵庫において、前記回転仕切体は、少なくとも扉ガスケットの吸着面を形成する仕切板と、前記回転仕切体内部に配設された断熱材と、前記仕切板の周縁部および前記断熱材の外面を覆う仕切枠体と、前記仕切板内面に加温部分を直線状に配設した加温手段とを備え、前記加温手段の加温部分を1本のヒーター線で異なる発熱密度に区分し、前記加温手段の発熱量は前記仕切板の下部が最も高くなるように前記ヒーター線を配設したことにより、回転仕切体上部が過度に温められることがなく、回転仕切体のヒーター等の加温手段への電力入力を低減することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ヒーター線とリード線とのリード線に、前記ヒーター線の上下方向取り付け間違い防止部材を備えることにより、作業ミス等の不良品発生を抑制することができ、上下非対称の可変ヒーターを適用することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記上下方向取り付け間違い防止部材は、ヒーター線に接続する2本のリード線を異なる色で構成することによりヒーター線の上下方向確認をすることができ、簡素な構造で取り付け間違いを防止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記上下方向取り付け間違い防止部材は、一端のヒーター線にマーキングを有することによりヒーター線の上下方向確認をすることができ、簡素な構造で取り付け間違いを防止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記上下方向取り付け間違い防止部材は、ヒーター線に方向認識部材を有することによりヒーター線の上下方向確認をすることができ、簡素な構造で取り付け間違いを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の観音開き式扉の開扉状態を示す正面図、図2は同実施の形態1による冷蔵室の閉扉状態での要部を示す断面図、図3は同実施の形態1による図2のA−A断面図、図4は同実施の形態1による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図、図5(a)は同実施の形態1による冷蔵室の断熱材と加温手段の組立て側面図、(b)は図(a)のB−B断面図、(c)は図(a)のC部拡大図、図6は同実施の形態1による冷蔵庫の加温手段の通電率と仕切板の表面温度の関係を説明したグラフである。
図1において、冷蔵庫100は向かって左側に位置する左側扉102及び向かって右側に位置する右側扉103を有し、図1では左側扉102と右側扉103を開扉させた状態を示している。左側扉102と右側扉103とが設けられている部分は冷蔵室105の部
分であり、左側扉102の下は製氷室106、さらに下は冷凍貯蔵室107、野菜室108とされている。右側扉103の下、製氷室106の右隣には切替室109が設けられている。
左側扉102と右側扉103はそれぞれヒンジ部により枢支されて左側と右側に開くように構成されており、左側扉102の非枢支側には回転仕切体200を設けている。この回転仕切体200は、左側扉102の開閉動作に応じて回転し、閉扉された状態では、左側扉102、右側扉103の非枢支側を扉ガスケット110を介して閉塞して、冷蔵室105内からの冷気漏れを防止している。
ここで、各貯蔵室間には断熱仕切部材(図示せず)が配置されており、この断熱仕切部材の前面には、鋼板製のカバー501、502、503が配設され、各貯蔵室扉の扉ガスケットを介して閉塞し、各貯蔵室からの冷気漏れを防止している。
次に、図2から図5において、回転仕切体200は、扉ガスケット110の吸着面111を形成する仕切板210と、回転仕切体200内部に配設された発泡スチロール製の断熱材220と、仕切板210の周縁部および断熱材220の外面を覆う合成樹脂製の仕切枠体230と、仕切板210内面中央に配設された加温部分241とリード線242で構成される加温手段240とから構成されている。また断熱材220と仕切枠体230の間には、熱膨張係数の小さな例えば金属プレートの補強板250が、冷蔵庫の高さ方向に対して回転仕切体200の略全高域に配置される。
ここで、仕切板210は、合成樹脂製であり、内面には2つの磁性体211が取り付けられている。磁性体211は、冷蔵庫の高さ方向に対して回転仕切体200の略全高域に構成されており、左側扉102、右側扉103が閉扉した状態において、扉ガスケット110内に構成された磁性体112と対向するように配置されており、本実施例では直方体のプラスチックマグネットを使用した。更に、加温手段240の加温部分241及び磁性体211は、仕切板210と断熱材220の間で圧接して保持されている。また、加温手段240の加温部分241は線状ヒーター等の直線状なもので、磁性体211の間に磁性体211と並行して配置される。また加温手段240のリード線242は発熱しない抵抗値の小さな電線であり、加温部分241とは逆面側で断熱材220と仕切枠体230で圧接保持されている。
次に、回転仕切体200の全体構成を図4の斜視図、加温手段240の配置を図5の組立て図を用いてもう少し詳細に説明する。回転仕切体200は、扉ガスケット110の吸着面111を形成する合成樹脂製の仕切板210と、回転仕切体200内部に配設された発泡スチロール製の断熱材220と、金属製プレートの補強板250と、仕切板210の周縁部および断熱材220の外面を覆う合成樹脂製の仕切枠体230と、断熱材220の仕切板210側に加温部分241を、補強板250側にリード線242が配置された加温手段240で構成される。また、仕切板210内面中央に配設された加温部分241と、仕切板210の内面には加温部分241を挟む形で2つの磁性体211が取り付けられている。尚、加温手段240は組立てられた断熱材220の最下部で、加温部分241(ヒーター)とリード線242(電線)に区切られている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
まず、従来の構成では、低温となった冷蔵室3の温度影響で冷やされた扉ガスケット11,12が、熱伝導率の高い薄鋼板製の仕切板16に直接接触することで、必要以上に仕切板16の大気開放部の表面温度が低下し、これを補って露点温度以上にするために、面ヒーター19の容量を大きくする必要があったのに対して、本実施の形態1の場合、回転
仕切体200の扉ガスケット110の吸着面111を形成する仕切板210を合成樹脂製としている。
このことで図6の加温手段の通電率と仕切板の表面温度の関係のグラフが示す様に、同一の通電率の条件では、本実施例の場合の仕切板210の表面温度は、従来の仕切板16の表面温度に対して約3K高く、また、外気条件が30℃、75%のときの露点温度を維持するための通電率は、約10%低減できることがわかる。これは、扉ガスケット110が接触する仕切板210を熱伝導率の小さな合成樹脂にしたことで、仕切板210の大気開放部212の温度の低下が抑制されたことによる。
加えて、扉ガスケット110内に構成された磁性体112と対向するように、磁性体211を配置することで、扉ガスケット110との吸着という、回転仕切体200の基本機能を確保することができる。
また、仕切板210と仕切枠体230を合成樹脂製とした場合、熱膨張の影響で例えば庫内温度が低いと仕切枠体230は縮み、庫外温度が高いと仕切板210は伸びる方向となる。従ってこの伸縮差により回転仕切体200は長手側に反る力が働くが、金属製の補強板250が回転仕切体200の略全高域に挿入されているので、反りの影響を排除することができる。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室105の左右扉の少なくともいずれか一方(ここでは左側扉102)の反枢支側の内面に、縦方向に亙る回転仕切体200を設けて扉ガスケット110の吸着面111を合成樹脂性の仕切板210とし、仕切板210内側に磁性体211を扉ガスケット110内蔵の磁性体112と対向する位置に配置し、その磁性体211の間に加温手段240の加温部分241を直線的に並行に配置し、仕切板210周縁部および断熱材220の外面を合成樹脂製の仕切枠体230で覆うことにより、仕切板210の表面温度を従来の薄鋼板製よりも高く維持でき、結露防止のための加温手段240の電力入力が少なくなるので、冷蔵庫100の消費電力を削減することができる。
また、加温手段240のリード線242を断熱材220を介して、加温部分241と逆面に配置するので、加温部分241が直線状に配置され、仕切板210内面に配置する磁性体211の取り付けスペースが確保でき、扉ガスケット110内面の磁性体112と精度良く対向されるので、回転仕切体200と扉ガスケット110との吸着状態の信頼性が確保できる。
さらに、加温手段240は合成樹脂製の仕切板210の内面に配設され、人が触れる部分が合成樹脂のため漏電対応の必要がなく、アース線の廃止で低コスト化を図ることができる。
また、断熱材220と仕切枠体230の間に略全高域に金属製の補強板250を挿入するので、合成樹脂製の仕切板210と仕切枠体230の熱膨張差による回転仕切体200の反りが防止でき、外部からの熱侵入を抑えた高信頼性の扉密閉が確保できる。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2による冷蔵庫の加温手段の具体構成図、図8は同実施の形態2による冷蔵庫のヒーター各部位におけるヒーター発熱量と仕切板表面温度の関係を説明した図である。なお、実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、異なる部分について説明する。
図7において、加温手段240は図中一点鎖線右側に長さLを持つ直線状のヒーターの加温部分241、左側に発熱しない電線等のリード線242で構成される。加温部分241は実施の形態1の図4に示す様に、回転仕切体200の略全高域とほぼ同じ長さで、合成樹脂製の仕切板210の中央に配置される。加温部分241はその発熱量すなわちワット密度が可変であり、図7では部位a、b、cと3区分を可変としている。尚、加温部分241のヒーターを可変にする具体的な手段としては、線状巻線抵抗線の巻きピッチを変えて抵抗値を可変したり、印刷抵抗の抵抗ペースト成分を可変してシート抵抗としたり、抵抗値の異なる発熱抵抗線を直列接続すれば可能である。また、本実施の形態では部位を3区分としたが、目的に応じて複数区分とすれば良い。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について図8を用いて説明する。
まず、ヒーターに通電がない場合、仕切板210の表面温度は点線で示す様に、中央部(部位b)では低く、両端に向かうほど温度は高くなる(部位a、c)。これは冷蔵室105と扉ガスケット110の密閉性や熱伝導、あるいは冷蔵室105内の冷気循環影響により温度分布の不均一が発生してしまうからである。次に、ヒーターを通電する場合、仕切板210の表面温度が結露領域にあるので、ヒーターを通電して各部位を結露境界線以上の温度に昇温させる必要がある。
この時、従来の様な一点鎖線で示す発熱量一定のヒーターでは、各部位の温度上昇が一定のため、最も温度の低い部位bに発熱量を合わせる必要があり、部位a、cに対しては一点鎖線の様に不必要な温度上昇が発生してしまう。
一方、本実施の形態では図7に示す様に、ヒーターの発熱量を部位により可変にしている。すなわち実線で示す様に、部位bは発熱量を大きくし、部位a、cでは小さくする。こうすることで、ヒーター通電なしの仕切板210の表面温度(点線)は、露点境界線を必要最小限越えた均一な表面温度(実線)にすることができる。これをヒーターの発熱量で従来と比較すると、斜線で囲った領域分の発熱量が不要で、その分消費電力量が削減できる。
以上のように、本実施の形態においては、加温手段240の加温部分241を複数に分割した部位とし、各部位のワット密度を可変としたことにより、冷蔵庫100の回転仕切体200の形状変更等による断熱性能差に対しても、仕切板210の表面温度が均一化されるので、温度分布ばらつきがなくなり不必要な電力入力が削減できる。
(実施の形態3)
図9は本発明の実施の形態3による冷蔵室の閉扉状態での要部を示す断面図、図10は同実施の形態3による図9のD−D断面図、図11は同実施の形態3による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図、図12は同実施の形態3による冷蔵庫の加温手段の具体構成図である。なお、実施の形態1および2と同一構成については同一符号を付して、異なる部分について説明する。
図9から図12において、加温手段240の加温部分241は、仕切板210に直線的に配置された2本の磁性体211の間に配置され、2本(往復)の加温部分241は並行して磁性体211と接触しないように断熱材220で圧接保持されている。尚、本実施の形態では磁性体211の間に配置する加温部分241を2本としたが、スペースが確保できれば更に本数を増やしてもよい。
また、加温手段240にはヒーターの加温部分241と電線のリード線242を電気的
に接続する切替え部分243が部位aの範囲にある。切替え部分243には防水性が要求され、樹脂モールドやチューブ封止するのが一般的で、加温部分241の線形より太くなる。そのためその横を並走する加温部分241の本数は、他の部位b、cと比べ少ない本数となる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
先に実施の形態1および2で説明した様に、図8に示す仕切板210の表面温度を全長Lにおいて一定にするように、加温部分241のヒーターのワット密度を同様に可変させる。本実施の形態では複数本の加温部分241が配置されているので、実施の形態1および2よりもさらに低入力で所望の温度上昇を得ることができる。
しかしながら、部位aには切替え部位243a、243bがあり部位cよりも加温部分241の本数が少なくなり、部位cと同じワット密度のヒーターでは加温不足となる。そこで部位aのヒーター線は1本に対し部位cは2本であるため、部位aのワット密度を部位cの約2倍にすれば同等の温度上昇を得ることができる。
尚、本実施の形態では部位aに関してワット密度を上げることとしたが、加温部分241のヒーター本数が他の部位に対して少ない任意の部位に対して行えば良い。
以上のように、本実施の形態においては、仕切板210内側の磁性体211の間に加温手段240の加温部分241を複数本直線的に配置するので、狭スペースでの配置が可能で、かつ加温部分241のヒーターの単位長さ当たりのワット密度を小さく、あるいは通電率を下げることが可能で、結露防止のための入力電力を低減できる。さらに断熱材220の片側面だけで加温手段240を構成するので、配線作業も簡素化でき工数削減を図ることができる。
また、加温手段240の加温部分241を複数に分割した部位として各部位のワット密度を可変とし、切替え部位243a、243bと平行となる加温部分241の範囲のワット密度を、他の範囲のワット密度よりも大きくしたことにより、切替え部位243a、243b付近の加温部分241の本数減による温度上昇不足分を補え、回転仕切体200の仕切板210の表面温度が均一化され、温度分布ばらつきがなくなりさらに電力入力が低減できる。
(実施の形態4)
図13は本発明の実施の形態4による冷蔵室の回転仕切体の分解斜視図、図14は同実施の形態による冷蔵庫の加温手段の具体構成図、図15は同実施の形態による冷蔵庫の加温手段の取り付け防止部材の構成図である。なお、実施の形態1から3と同一構成については同一符号を付して、異なる部分について説明する。
図13および14において、加温手段240のリード線(電線)242と加温部分(ヒーター)241を電気的に接続する切替え部位243aおよび243bは、回転仕切体200の長手方向の中心に近接して配置される。一方の切替え部位243aのリード線242側にはワット密度W1で長さL1の部位dが接続され、部位dに連接して上方向にワット密度W2で長さL2の部位e、部位eに連接して部位dと平行に下方向にワット密度W3で長さL3の部位f、部位fに連接して切替え部位243a、243bに併設してワット密度W4で長さL4の部位g、部位gに連接して下方向にワット密度W5で長さL5の部位h、部位hに連接してワット密度W6で長さL6の部位iが最下部に配設され、部位iから連接して上方向にワット密度W7と長さL7の部位j、部位jの他端に切替え部位243bが接続されている。
そして、回転仕切体200の長手方向において、加温手段であるヒーターの各ワット密度は回転仕切体200の下部が最も高くなるようにヒーター線の各ワット密度を設定している。
具体的には、少なくとも、ワット密度W1<ワット密度W7、ワット密度W2<ワット密度W6、ワット密度W3<ワット密度W5、としている。
また、図15に示すように、ヒーター線とリード線とのリード線である切替え部位243b近傍に、加温手段240であるヒーター線の上下方向の取り付け間違いを視覚的に防止するための上下方向取り付け間違い防止部材を備える。
具体的には、上下方向取り付け間違い防止部材として、切替え部位243aおよび243bに接続されるそれぞれのリード線242の被覆を異なる色で構成している。
また、上下方向取り付け間違い防止部材として、一方の切替え部位243bまたはその近傍のヒーター線にマーキング252を備えている。
また、上下方向取り付け間違い防止部材として、一方の切替え部位243bまたはその近傍のヒーター線に方向認識部材253を備えている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下、回転仕切体200の動作、作用について説明する。
加温手段240が通電されると、加温部分241の各部位dからjが発熱し、回転仕切体200の仕切板210の表面を全長Lにおいて所望の温度に加温される。この時、冷蔵室105内の下方に内蔵された、冷蔵室温度より低く設定されたパーシャル室やチルド室の温度影響を受けて回転仕切体200の下部が上部より低く冷却されるが、回転仕切体200の長手方向において、加温手段であるヒーターの各ワット密度は回転仕切体200の下部が最も高くなるようにヒーター線の各ワット密度に設定している(ワット密度W1<ワット密度W7、ワット密度W2<ワット密度W6、ワット密度W3<ワット密度W5)ので、回転仕切体200の外表面は冷蔵室105内側の温度に対応した発汗防止のための表面温度を効率的に確保することができ、消費電力を低減しながら、確実に回転仕切体200の発汗を抑制することができる。
また、回転仕切体200の組立工程において、何らかの作業ミスが発生し、切替え部位243aと243bが逆設置、すなわち加温部分241の正しい発熱部位の順d→e→f→g→h→i→jが、間違ってj→i→h→g→f→e→dの順にならないように視覚的な取り付け間違い防止部材を有している。
具体的には、上下方向取り付け間違い防止部材として、切替え部位243aおよび243bに接続されるそれぞれのリード線242の被覆を異なる色で構成しているので、作業者は、リード線242の被覆の色を確認しながら、正しい方向にヒーター線を組み込むことができる。加えて次工程の作業者や検査工程においても、リード線242の被覆の色を確認しながら品質管理をすることができる。
また、上下方向取り付け間違い防止部材として、一方の切替え部位243bまたはその近傍のヒーター線にマーキング252を備えているので、作業者は、マーキング252を確認しながら、正しい方向にヒーター線を組み込むことができる。加えて次工程の作業者や検査工程においても、マーキング252を確認しながら品質管理をすることができる。
また、上下方向取り付け間違い防止部材として、一方の切替え部位243bまたはその近傍のヒーター線に方向認識部材253を備えているので、作業者は、方向認識部材253を確認しながら、正しい方向にヒーター線を組み込むことができる。加えて次工程の作業者や検査工程においても、方向認識部材253を確認しながら品質管理をすることができる。
なお、上下方向取り付け間違い防止部材である、リード線242の被覆を異なる色にする点、一方の切替え部位またはその近傍のヒーター線にマーキング252を備える点、一方の切替え部位またはその近傍のヒーター線に方向認識部材253を備える点は、それぞれ単独でも上下方向取り付け間違い防止の効果を有するが、それぞれを複数組み合わせることにより、多重安全を図ることができ、確実に取り付け間違いを防止することができる。
以上のように、本実施の形態においては、回転仕切体200の外表面は冷蔵室105内側の温度に対応した発汗防止のための表面温度を効率的に確保することができ、消費電力を低減しながら、確実に回転仕切体200の発汗を抑制することができる。
さらに、切替え部位243a、243bを中心に非対称な発熱分布としたヒータ線(加温手段)240の回転仕切体200への組立工程において、ヒーター線の上下方向取り付け間違いを上下方向取り付け間違い防止部材により確実に防止することができ、消費電力量を抑えて、信頼性の高い冷蔵庫を提供することができる。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、回転仕切体内のヒーター線を上下非対称の可変ヒーターとして最適な表面温度にし、結露を防止しつつ消費電力が削減できるので、回転仕切体を備えた業務用冷蔵庫等にも適用できる。
100 冷蔵庫
102 左側扉
103 右側扉
105 冷蔵室
106 製氷室
107 冷凍貯蔵室
108 野菜室
109 切替室
110 扉ガスケット
111 吸着面
112 磁性体
200 回転仕切体
210 仕切板
211 磁性体
212 大気開放部
220 断熱材
230 仕切枠体
240 加温手段
241 加温部分(ヒーター)
242 リード線(電線)
243a、243b 切替え部位
250 補強板
252 マーキング
253 方向認識部材
501、502、503 カバー

Claims (5)

  1. 貯蔵室の前面開口を併置した左右扉で観音開き式に閉塞し、前記左右扉の少なくともいずれか一方の反枢支側の内面に縦方向に亙る回転仕切体を設けて扉ガスケットの吸着面とした冷蔵庫において、前記回転仕切体は、少なくとも扉ガスケットの吸着面を形成する仕切板と、前記回転仕切体内部に配設された断熱材と、前記仕切板の周縁部および前記断熱材の外面を覆う仕切枠体と、前記仕切板内面に加温部分を直線状に配設した加温手段とを備え、前記加温手段の加温部分を1本のヒーター線で異なる発熱密度に区分し、前記加温手段の発熱量は前記仕切板の下部が最も高くなるように前記ヒーター線を配設したことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記ヒーター線とリード線とのリード線に、前記ヒーター線の上下方向取り付け間違い防止部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫
  3. 前記上下方向取り付け間違い防止部材は、ヒーター線に接続する2本のリード線を異なる色で構成することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記上下方向取り付け間違い防止部材は、一端のヒーター線にマーキングを有することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
  5. 前記上下方向取り付け間違い防止部材は、ヒーター線に方向認識部材を有することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
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