JP5917391B2 - 注出容器 - Google Patents

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Description

本発明は、容器本体内に収容した液状内容物を注出キャップに設けた注出口から注出する注出容器に関するものであり、特に、内容物に対して高いバリア性を発揮することができる容器に関する。
従来、各種の食品調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の液状内容物を収容する容器としては、注出口を有する注出キャップを容器本体の口部に装着し、容器を傾けたり容器胴部を押圧したりすることで、内容物を所期する量だけ注出することができる注出容器が知られている。またこのような容器において、例えば酸素や水蒸気に接触すると品質劣化を引き起こしやすい内容物を収容する場合には、これらに対する透過性が低いシートを積層して形成した、バリア性の高い容器が用いられることも既知である。
一方、容器本体のバリア性は上記のシートを用いることで高めることができるものの、注出キャップに関しては未だ汎用性に優れる技術が確立されておらず、注出キャップそのものや注出キャップと口部との間から酸素や水蒸気が容器本体内へ侵入する懸念があった。このため、容器本体の口部に、例えば特許文献1で示されているような、ポリエチレンテレフタレートフィルムやアルミニウム箔等からなる基材層に接着層や剥離層を積層して形成した複合フィルムを固着しておき、内容物を注出する際にはこれを剥ぎ取ってから注出キャップを装着することが検討されている。このような容器によれば、未使用時における容器本体内への酸素等の侵入が十分に抑制されるため、保存中の品質劣化を有効に防止することができる。
特開2011−230818号公報
ところで、使用に当たって前述の複合フィルムを剥ぎ取ると、複合フィルムの一部が口部に残ってしまうことがあり、口部と注出キャップとの密着性が悪くなって容器本体内に空気が侵入しやすくなることや、これらの間から内容物が漏れ出しやすくなることがあった。また、口部と注出キャップとの密着性は、これらの寸法のばらつきによっても悪くなることから、寸法管理をより厳しくする必要があった。
本発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、口部にバリア性の高いシートを固着することで未使用時における内容物の品質劣化を起きにくくするとともに、使用中は口部と注出キャップとの密着性を高めてこれらの相互間から空気が侵入したり内容物が漏れ出したりする不具合を有効に防止できる、新規の注出容器を提案するところにある。
本発明は、上部を開口させた口部を有し、その内側に内容物の収容空間を備える容器本体と、該口部に着脱自在に装着され該収容空間に通じる注出口から内容物を注出する注出キャップとを備える注出容器であって、
前記容器本体は、前記口部の天面を覆って前記収容空間を密封する密封シートを有し、該密封シートは、該口部の天面に固着され該口部の内周面よりも径方向内側に突出させた内周縁部を有するリングシートと、該リングシート上に剥離層を設けて固着され内容物を注出する際には取り除かれるバリアシートとからなり、
前記注出キャップは、該口部への装着完了位置よりも上側位置にて該注出キャップを保持する保持手段を備えるとともに、該上側位置では前記バリアシートに対して離隔又は当接する一方、該装着完了位置では該バリアシートを取り除いた前記リングシートを該口部の内周面との間に挟み込んで該口部をシールするインナーリングを有する注出容器である。
前記保持手段は、前記口部を取り囲む前記注出キャップの外周壁を、前記上側位置にて該口部の根元に設けた段部に当接させるものであるか、或いは前記口部を取り囲む前記注出キャップの外周壁に弱化部を介して連結し、前記上側位置にて前記口部に繋がる肩部に当接するストッパーとすることが好ましい。
本発明では、容器本体の口部の天面を覆う密封シートを、口部の天面に固着され口部の内周面よりも径方向内側に突出させた内周縁部を有するリングシート、及びリングシート上に剥離層を設けて固着され内容物を注出する際には取り除かれるバリアシートにて形成し、注出キャップは、口部への装着完了位置よりも上側位置にて当該注出キャップを保持する保持手段を備えるとともに、上側位置では密封シートに対して離隔又は当接する一方、装着完了位置では、口部の内周面との間に、バリアシートを取り除いたリングシートを挟み込むインナーリングを設けている。これにより、口部とインナーリングとの間をリングシートで密着させることができるので、容器本体内への空気の侵入が有効に防止される。また、保持手段によってインナーリングと密封シートとの接触が防止できるので、インナーリングによって密封シートを破損させてしまうことがない。
また保持手段として、口部を取り囲む注出キャップの外周壁を、上側位置にて口部の根元に設けた段部に当接させるか、或いは外周壁に弱化部を介して連結し、上側位置にて容器の肩部に当接するストッパーを設ける場合は、簡単な構成で保持手段が実現できる。
本発明に従う注出容器の第1実施形態につき、注出キャップの上側位置においてその要部を示す断面図である。 (a)は密封シートを構成するリングシートとバリアシートを示すとともに、密封シートを容器の口部に固着する状態を示す図であり、(b)はバリアシートを剥ぎ取った状態を示す図である。 図1に示す状態から一旦注出キャップを取り外してバリアシートを取り除き、再度注出キャップを装着して最後まで締め込んだ、注出キャップの装着完了位置における断面図である。 本発明に従う注出容器の第2実施形態につき、注出キャップの上側位置においてその要部を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う注出容器の第1実施形態につき、注出キャップの上側位置においてその要部を示す断面図であって、図2(a)は密封シートを構成するリングシートとバリアシートを示すとともに、密封シートを容器の口部に固着する状態を示す図であり、図2(b)はバリアシートを剥ぎ取った状態を示す図であって、図3は、図1に示す状態から一旦注出キャップを取り外してバリアシートを取り除き、再度注出キャップを装着して最後まで締め込んだ、注出キャップの装着完了位置における断面図であって、図4は、本発明に従う注出容器の第2実施形態につき、注出キャップの上側位置においてその要部を示す断面図である。
図1において、符号1は容器本体であり、符号2は密封シートであり、符号3は注出キャップである。また注出キャップ3は、図示の例では中栓10、弁体20、注出キャップ本体30、蓋体40にて構成されている。
図示の例で容器本体1は、容器本体1の外殻を形成する外層体1Aと、外層体1Aの内側に設けられその内側に内容物の収容空間Mを有する内層体1Bとからなる、積層剥離容器である。外層体1Aは、上部を開口させるとともに外周面にねじ部を有する円筒状の口部1aを備えていて、口部1aの根元には、口部1aの先端よりも大径となる段部1bを備えている。また、段部1bには肩部1cを連結させるとともに、図示しない胴部、底部を一体連結させている。本実施形態において外層体1Aは合成樹脂製であって、可撓性を有するものである。また内層体1Bは、薄肉の合成樹脂にて形成されていて保形性がほとんど無く、外層体1Aに対して剥離可能に設けられるものである。なお、図示は省略するが、外層体1Aと内層体1Bとの相互間には、縦方向に延在する接着帯が設けられていて、内層体1Bは外層体1Aに対して部分的に固着されている。また、本実施形態において外層体1Aには、口部1aの外周面に縦溝1dを設けるとともに、口部1aの表裏を貫いて縦溝1dに繋がる孔1eを設けている。これにより、外層体1Aと内層体1Bとの相互間に空気を導入して、内層体1Bのみを減容させることができる。なお、外層体1Aの底部には、外層体1Aと内層体1Bとを接合したピンチオフ部が設けられるが、このピンチオフ部を利用した底割れ状のスリットから空気を導入するようにしてもよい。
密封シート2は、口部1aの天面上に設けられるリングシート4と、リングシート4の上部に設けられるバリアシート5とからなる。図2(a)に示すようにリングシート4は環状であって、またその内周縁部4aは、図1に示すように口部1aの内周面よりも径方向内側に突出している。リングシート4は、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)によって形成される。また図2に示すようにバリアシート5は、図示の例では円板状の基部から径方向外側に突出する摘み部を有するものであり、その層構成は、例えばアルミニウム(AL)等の金属箔や、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン(PO)で形成されるバリア層5aと、例えば接着性ポリオレフィンで形成され、バリア層5aに対して強固に固着する接着層5bと、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、酢酸ビニル等によって形成され、接着層5bには強固に固着する一方、リングシート4に対しては疑似接着する剥離層5cとからなる。そして、内層体1Bの収容空間M内に内容物を充填した後、密封シート2を口部1aに載置した状態で、例えば溶着や高周波誘導加熱を施すことによって、口部1aとリングシート4とを強固に固着させている。バリア層5aは、例えば金属箔を選択する場合には酸素の透過を抑制でき、また低密度ポリエチレンを選択する場合には水蒸気の透過を抑制できるので、所期するバリア性に応じて収容空間M内に充填された内容物の品質劣化が有効に防止される。
また、図1に示すように中栓10は、円板状の天壁11を有し、その縁部に上方へ向けて立ち上がる周壁12を備えている。天壁11及び周壁12の連結部には、貫通孔13を設けている。更に天壁11の裏面には、下方に向けて垂下される環状のインナーリング14を設けている。天壁11の中央部には、その表裏を貫くとともに収容空間M内の内容物が流れる流通孔15を設けている。また天壁11の表面において、流通孔15の径方向外側には、弁体20を嵌合保持する環状の嵌合壁16を備えている。
弁体20は、前述の嵌合壁16にてその下部が嵌合保持される環状部21を備えている。環状部21の径方向内側には、定常状態では流通孔15を閉鎖する一方、収容空間M内の圧力が高まると流通孔15を開放する内側弁部22を設けている。図示の例で内側弁部22は、弾性変形するアームを介して環状部21と一体連結する3点弁であるが、1点弁や2点弁であってもよい。また、環状部21の径方向外側には、定常状態では後述する注出キャップ本体30の頂壁に弾性接触する一方、収容空間M内の圧力が低くなるとこの頂壁から離隔して外気を収容空間Mに向けて流入させる、薄肉環状の外側弁部23を備えている。
注出キャップ本体30は、外層体1Aの口部1aを取り囲む外周壁31と、外周壁31の上部を閉鎖するとともに前述の外側弁部23が弾性接触する頂壁32とを備えている。外周壁31の内周面には、口部1aのねじ部に連係するねじ部を設けていて、注出キャップ本体30は、外層体1Aに着脱自在に保持される。なお、外層体1Aと注出キャップ本体30とは、ねじによる保持に代えてアンダーカットで保持するようにしてもよい。更に外周壁31の内周面には、ねじ部よりも上方において、中栓10を抜け止め保持する凸部33を備えていて、頂壁32の裏面には、環状部21の上部を嵌合保持する環状の嵌合壁34を設けている。これにより弁体20の環状部21は、天壁11及び頂壁32に液密に当接し、環状部21の内側には、流通孔15からの内容物が流れる流路が形成される。また、頂壁32には、その表裏を貫いて環状部21の内側に通じる注出口35と、注出口35を取り囲んで起立する注出筒36とを設けている。更に頂壁32は、定常状態では弁体20の外側弁部23にて閉鎖される外気導入孔37を備えている。
ここで注出キャップ本体30は、図3に示す口部1aへの装着完了位置に対し、図1に示すようにこれよりも上方(上側位置)にて注出キャップ本体30を保持することが可能な保持手段を備えている。保持手段としては、図1に示す第1実施形態のように、注出キャップ本体30の外周壁31を口部1aの段部1bに当接(仮止め)するように構成したものや、図4に示す第2実施形態のように、外周壁31に弱化部31aを介して一体連結するストッパー31bを外層体1Aの肩部1cに当接するように構成したものが挙げられる。なお、弱化部31aとは、図示のように外周壁31に対して肉厚を薄くしたものや、周方向に隙間を持たせて外周壁31とストッパー31bとを間欠状に連結したもの等、容易に破断できる既知の各種構成を適用できる。
蓋体40は、注出キャップ本体30の頂壁32を覆う上壁41と、上壁41の縁部に連結するとともに注出キャップ本体30の外周壁31に連なる外形を呈す外壁42とを備えている。また、上壁41の裏面には、注出筒36を取り囲むとともに液密に当接する環状のシール壁43を設けている。更に、外壁42と外周壁31とはヒンジ44を介して一体連結していて、ヒンジ44に対向する側には、蓋体40を開栓する際の指掛かりとなる摘み部45を設けている。なお、ヒンジ44による一体連結に代えて、注出キャップ本体30及び蓋体40をそれぞれ別部材とし、これらをねじやアンダーカットにて連係させてもよい。
上記のように構成される注出容器は、図1に示すように注出キャップ本体30が上側位置に保持された状態において、中栓10のインナーリング14は、バリアシート5に対して離隔又は当接する位置にある。これにより、注出キャップ本体30を口部1aに装着した状態で輸送等を行っても、密封シート2がインナーリング14によって破損することはなく、内容物の品質を維持することができる。
そして注出容器から内容物を注出させるに当たっては、注出キャップ本体30を口部1aから取り外した後、図2(b)に示すようにバリアシート5をリングシート4から剥がす。本実施形態のように容器本体1として積層剥離容器を用いる場合、バリアシート5のみを口部1aに固着させると、剥離層5cを設けていても、バリアシート5を剥がす際に内層体1Bがバリアシート5とともに持ち上げられて口部1aから引っ張り出されるおそれがあるところ、バリアシート5とリングシート4とを重ね合わせた密封シート2を用いることで、リングシート4は口部1aに残ったままとなるので、上記不具合が生じることはない。そして、第1実施形態においては、再度注出キャップ本体30を口部1aに取り付けて図3に示す装着完了位置までねじ込むことで、また第2実施形態においては、ストッパー31bを取り除いた後に、第1実施形態と同様に装着完了位置までねじ込むことで、リングシート4は口部1aの内周面(ここでは内層体1Bの内周面)とインナーリング14の外周面との間に挟み込まれる。これにより、内層体1Bと注出キャップ本体30との密着性が高まり、これらの相互間から収容空間M内へ空気が侵入する不具合を有効に防止できるので、収容空間M内の空気置換を伴わずに内容物を注出することができる積層剥離容器の利点を、特に高めることができる。
その後、蓋体40を開いて注出筒36が下方を向くように容器本体1を傾倒させ、外層体1Aの胴部を押圧する。ここで、装着完了位置にて外層体1Aの段部1bと注出キャップ本体30の外周壁31とは気密に当接し、また外気導入孔37は外側弁部23にて閉鎖されているので、外層体1Aと内層体1Bの相互間に存在する空気は、外部に漏れ出すことなく内層体1Bを押圧する。これにより収容空間Mの圧力が高まるので、内容物は内側弁部22を押し上げつつ流通孔15及び注出口35を通って注出筒36より注出される。注出後、胴部の押圧を緩めれば、胴部の復元に応じて収容空間M内が減圧状態となるので、外側弁部23が頂壁32から離れ、外気は、注出キャップ本体30の外気導入孔37、中栓10の貫通孔13、外層体1Aの縦溝1d及び孔1eを経由して外層体1Aと内層体1Bとの相互間に導入される。これにより、内層体1Bを減容させたまま外層体1Aを元の形状に戻すことができる。
なお、本発明は、上述した注出キャップ3の他、中栓10及び弁体20、外気導入孔37を省略し容器本体1を傾倒させるだけで内容物を注出させることができる注出キャップにも適用することができる。なおこの場合、インナーリングは、注出キャップ本体30の頂壁32の下面から垂下するように設ければよい。また、容器本体1としては、外層体1Aと内層体1Bとを備えるとともに接着帯を省略した二重容器や、内層体1Bや縦溝1d、孔1eを省略し、外層体1Aの内側が内容物の収容空間Mとなる通常の容器を用いることもできる。
本発明によれば、未使用時における内容物の品質劣化を起きにくくすることができ、また、口部と注出キャップとの密着性を高めてこれらの相互間から空気が侵入したり内容物が漏れ出したりする不具合を有効に防止できる、新たな注出容器を提供することができる。
1 容器本体
1a 口部
1b 段部
1c 肩部
2 密封シート
3 注出キャップ
4 リングシート
4a リングシートの内周縁部
5 バリアシート
5a バリア層
5b 接着層
5c 剥離層
10 中栓
14 インナーリング
20 弁体
30 注出キャップ本体
31 外周壁
31a 弱化部
31b ストッパー
40 蓋体
M 収容空間

Claims (3)

  1. 上部を開口させた口部を有し、その内側に内容物の収容空間を備える容器本体と、該口部に着脱自在に装着され該収容空間に通じる注出口から内容物を注出する注出キャップとを備える注出容器であって、
    前記容器本体は、前記口部の天面を覆って前記収容空間を密封する密封シートを有し、該密封シートは、該口部の天面に固着され該口部の内周面よりも径方向内側に突出させた内周縁部を有するリングシートと、該リングシート上に剥離層を設けて固着され内容物を注出する際には取り除かれるバリアシートとからなり、
    前記注出キャップは、該口部への装着完了位置よりも上側位置にて該注出キャップを保持する保持手段を備えるとともに、該上側位置では前記バリアシートに対して離隔又は当接する一方、該装着完了位置では該バリアシートを取り除いた前記リングシートを該口部の内周面との間に挟み込んで該口部をシールするインナーリングを有する注出容器。
  2. 前記保持手段は、前記口部を取り囲む前記注出キャップの外周壁を、前記上側位置にて該口部の根元に設けた段部に当接させるものである請求項1に記載の注出容器。
  3. 前記保持手段は、前記口部を取り囲む前記注出キャップの外周壁に弱化部を介して連結し、前記上側位置にて前記口部に繋がる肩部に当接するストッパーである請求項1に記載の注出容器。
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