JP5916916B2 - 潤滑性化合物及びそれを含む潤滑剤組成物 - Google Patents
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<1>下記一般式(1)で表される潤滑性化合物:
(式中、R1及びR6はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、
R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、
R2及びR5はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基であり、
mは1〜6の整数であり、
mが2以上の場合、複数存在するR2同士、R3同士、R4同士、R5同士は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。)。
(式中、R1’は、前記一般式(1)におけるR1と同義であり、R2’及びR2’’は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR2と同義であり、R3’及びR3’’は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR3と同義であり、R4’’は、前記一般式(1)におけるR4と同義であり、R5’及びR5’’は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR5と同義であり、R6’は、前記一般式(1)におけるR6と同義であり、nは1〜3の整数であり、pは0〜3の整数であり、nの添え字がついたかっこでくくられた単位と、pの添え字がついたかっこでくくられた単位とは、ブロックで存在しても、ランダムで存在してもよい。)。
[式中、
基Aは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基;あるいは、下記一般式(4)で表される一価の有機残基であり:
(式中、R11は、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、
R12及びR15はそれぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、
R13は、単結合;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基であり、
R14及びR16はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基である。)
基Wは置換されていてもよい2価のテトラリン基、置換されていてもよい2価の多環芳香族基、及び下記一般式(I)で表される基からなる群より選ばれる2価のメソ−ゲン基であり:
(式中、環D、環E及び環Fはそれぞれ独立にベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ジオキサン環、テトラリン環又は多環芳香族環であり、
Yはそれぞれ独立に、水素原子、重水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、又はシアノ基であり、
s1〜s3はそれぞれ独立に、1、ないし環D、環E又は環Fの置換基が結合し得る部位の数、までの整数であり、
s1〜s3が2以上の場合、同一の環に結合した複数のYは同一であっても異なっていてもよく、
Z1およびZ2はそれぞれ独立に単結合、−CO−O−、−O−CO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−、−CH=CHCH2O−、−CH=CH−、−CF2O−、−OCF2−、−S−、−SO−、−SO2−又は−C≡C−であり、
rは0、1又は2であり、
rが2の場合、二つ存在するZ1は同一であっても異なっていてもよく、二つ存在する環Dは同一であっても異なっていてもよく、二つの環Dにそれぞれ結合するYは、同一であっても異なっていてもよい。)
基Bは下記一般式(5)で表される一価の有機残基である:
(式中、R21及びR23はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基であり、
R24は、単結合;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基であり、
R22及びR25はそれぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、
R26は、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。)]。
本発明の化合物Aは、下記一般式(1)で表される。以下、式(1)における各基について説明する。
一般式(1)において、R1及びR6はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。
上記一般式(1)において、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。
上記一般式(1)において、R2及びR5はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基である。
上記一般式(1)において、mは1〜6の整数である。mが6を超えると、本発明の化合物Aの合成が困難になるとともに、後述する潤滑剤用途に好適な低粘度や低動摩擦係数を達成することが困難となる。
以上説明した本発明の化合物Aは、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
式中、R1’は、前記一般式(1)におけるR1と同義であり、
R2’及びR2’’は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR2と同義であり、
R3’及びR3’’は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR3と同義であり、
R4’’は、前記一般式(1)におけるR4と同義であり、
R5’及びR5’’は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR5と同義であり、
R6’は、前記一般式(1)におけるR6と同義であり、
nは1〜3の整数であり、
pは0〜3の整数であり、
nの添え字がついたかっこでくくられた単位と、pの添え字がついたかっこでくくられた単位とは、ブロックで存在しても、ランダムで存在してもよい。
次に、本発明の化合物Bについて説明する。本発明の化合物Bは、下記一般式(3)で表される。以下、式(3)における各基について説明する。
一般式(3)において、基Aは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基;あるいは、下記一般式(4)で表される一価の有機残基である。
上記一般式(4)において、R11は、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。
上記一般式(4)において、R12及びR15はそれぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。
上記一般式(4)において、R13は、単結合;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基である。
上記一般式(4)において、R14及びR16はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基である。
本発明の化合物Bの構造を示す上記一般式(3)において、基Aは以上説明したとおり、所定のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は上記一般式(4)の一価の有機残基である。
上記一般式(3)において、基Wは置換されていてもよい2価のテトラリン基、置換されていてもよい2価の多環芳香族基、及び下記一般式(I)で表される基からなる群より選ばれる2価のメソ−ゲン基である。
基Wは剛直な構造であり、本発明の化合物Bにおける液晶形成要素(コア部分)である。
次に、上記一般式(3)における基Bについて説明する。一般式(3)において基Bは、下記一般式(5)で表される一価の有機残基である。
一般式(5)においてR21及びR23はそれぞれ独立に、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基である。
上記一般式(5)においてR24は、単結合;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基である。
上記一般式(5)においてR22及びR25はそれぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。
上記一般式(5)においてR26は、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基;あるいは、フッ素原子、ヒドロキシル基又はシアノ基で置換されていてもよく分岐を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。
以上説明したとおり、一般式(3)において基A及び基Bは各個独立に定義されるものであるが、これらの選択肢には共通するものがある。
以上説明した本発明の化合物Aは、所定のエステル構造及び鎖状エーテル構造を有しており、一方本発明の化合物Bは、所定の鎖状エーテル構造及び剛直なコア構造(基W)を有している。
垂直荷重:100g
摩擦速度:600mm/min
往復回数:1800
往復ストローク:5mm
加重変換器容量:19.61N
試験片温度:−10℃〜40℃
摩擦相手材:SUS304 ステンレス球 直径10mm
サンプル量:0.2mL
続いて、本発明の化合物A及びBの製造方法について説明する。
まず、本発明の化合物Aの製造方法について説明する。前記化合物Aの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の反応を組み合わせることで、化合物Aを製造することができる。
なお、R2〜R5は一般式(1)におけるものと同様である。
次に、本発明の化合物Bの製造方法について説明する。前記化合物Bの製造方法もまた特に限定されるものではなく、公知の反応を組み合わせることで、化合物Bを製造することができる。
一方、基Aと基Bとが異なる基である場合には、一般式(3)における基Wとなる化合物X’−W−X’(コア原料)と、基Aとなる化合物A−X(原料1)と、基Bとなる化合物B−X(原料2)とを反応させることになる。ここで、これらを同時に反応させると、コア原料の2か所の反応点のいずれに原料1又は2が反応するかは確率の問題となり、一般式(3)の基Wにおける左側の反応点に原料1又は2が反応し、右側の反応点に原料1又は2が反応して、合計4種類の化合物が生成する。なお、一般式(3)において基Wが左右対称の構造の基である場合には、3種類の化合物が生成することになる。この複数種類の化合物の生成を反応式で示すと、例えば以下の通りである。
(Xは互いに独立にハロゲン原子又はヒドロキシル基であり、X’は互いに独立にハロゲン原子又はヒドロキシル基である。)
上述の通り、本発明の化合物は広範な温度範囲において粘度が低く、また動摩擦係数も低いため、潤滑性に優れ、潤滑剤組成物の基油または添加剤として好適に用いることができる。
また、本発明の化合物Bの製造方法の説明で上述した通り、コア原料と原料1(一般式(3)における基Aを形成)及び2(一般式(3)における基Bを形成)とを同時に反応させると、確率の問題で4種類(又は3種類)の化合物が生成し、本発明の化合物Bは混合物として得られる。このようにして得られた混合物は、A−O−W−O−A、A−O−W−O−B、B−O−W−O−A、そしてB−O−W−O−Bという構造の化合物の混合物である。
次に、本発明の潤滑剤組成物が、本発明の効果を損なわない範囲において含んでもよい、その他の成分について、順に説明する。これらは基本的に潤滑剤組成物の含有成分として従来公知の物質であって、その含有量は、特にほかに言及しない限り、従来公知の範囲で当業者が適宜選択することができる。また、いずれの成分も1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の化合物Bには液晶化合物であるものがあるが、本発明の潤滑剤組成物は、それ以外の液晶化合物を含有してもよい。
本発明の化合物を添加剤として潤滑剤組成物に含める場合、基油としては、従来公知の各種の潤滑剤基油を使用することができる。
本発明の化合物を基油として潤滑剤組成物に含める場合、従来公知の各種添加剤を潤滑剤組成物に添加可能である。なお、本発明の化合物Aを基油として配合し、本発明の化合物Bを添加剤として配合してもよい。その逆も可能である。
本発明の潤滑剤組成物は、以上説明した本発明の化合物やその他の成分を、従来公知の方法で混合することによって、調製することができる。本発明の潤滑剤組成物の調製方法の一例を示せば、以下のとおりである。
本発明の潤滑剤組成物は、上述の通り広い温度範囲、特に低温域において良好な低粘度を示し、また動摩擦係数も小さいので、各種の機械装置における潤滑剤として使用可能である。
<合成例1>
以下に示す反応スキームに従い、本発明の化合物A1を合成した。
1000mlのナス型フラスコにエタノール400mlを入れ、金属ナトリウム13.8g(0.6mol)を溶解した。これに、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを71.0g(0.6mol)を加え、エタノールをエバポレーターで減圧除去した。
100mlの三つ口フラスコに化合物(A1−ii)を27.4g(0.14mol)、ピリジン1.0g(0.013mol)を入れた。滴下漏斗に三臭化燐36.6g(0.14mol)をトルエン20mlに溶解させたものを入れ、反応液を5℃以下に保つよう氷浴で冷却しながら滴下した。窒素雰囲気下で室温、24時間撹拌した。
500mlのナス型フラスコにエタノール100mlを入れ、金属ナトリウム2.2g(0.1mol)を溶解した。これに、化合物(A1−iv)を8.1g(0.08mol)を加え、エタノールをエバポレーターで減圧除去した。
500mlの三ツ口フラスコにジエチルエーテル80mlと、化合物(A1−v)8.3g(0.029mol)と、ピリジン2.3g(0.029mol)を入れ撹拌した。滴下漏斗に1−デカン酸クロライド5.5g(0.029mol)を入れ、反応液を5℃以下に保つよう氷浴で冷却しながら滴下した。窒素雰囲気下で50℃、24時間撹拌した。
上記のとおり得られた化合物A1の、各種温度での粘度を評価した。粘度の測定方法は以下のとおりである。回転粘度計(東機産業(株)製TV−22LT形粘度計)を使用し、下記表1に示す各測定温度で、化合物A1の粘度を測定した。評価結果を下記表1にあわせて示す。
新東科学株式会社製表面性測定機TYPE:14FWを使用した。本装置の移動台にステンレス板を固定して試料(化合物A1及びDOS)をたらし、固定したボールで点圧を加え往復運動による摩耗を繰り返し、下記表4に示される所定の往復回数におけるDOS及び本発明の化合物A1の動摩擦係数を測定し、またこれらの平均値(平均動摩擦係数)を算出した。結果を下記表4・5にあわせて示す。本発明の化合物A1はDOSよりも動摩擦係数が小さいことがわかる。
垂直荷重:100g
摩擦速度:600mm/min
往復回数:1800
往復ストローク:5mm
加重変換器容量:19.61N
試験片温度:40℃
摩擦相手材:SUS304 ステンレス球 直径10mm
サンプル量:0.2mL
〔合成例2〜5〕
以下に示す通り、一般式(1)においてR1が各種の炭素鎖長のアルキル基である本発明の化合物A2〜A5を製造した。
(本発明の化合物A3の中間体の合成)
500mlの三角フラスコにエタノール200mlを入れ、Na 4.7g(0.20mol)を溶解させた。これに、エタノール100mlに式(i)の化合物を25.0g(0.19mol)溶解させたものを加え、エタノールをエバポレーターで減圧除去した。
合成例2において、式(ii)の化合物(RBr)のRをC8H17、C12H25及びC14H29に替えて同様の反応を実施し、それぞれ本発明の化合物A2、A4及びA5を得た。
合成例2で製造された本発明の化合物A3、及びDOSについて、各種温度での粘度を測定した。結果を下記表6に示す。
<合成例6>
以下に示す反応スキームに従い、本発明の化合物B1を合成した。
500mlのナス型フラスコにエタノール300mlを入れ、金属ナトリウム19.0g(0.83mol)を溶解した。これに、化合物(B1−i)を71.0g(0.60mol)を加え、エタノールをエバポレーターで減圧除去した。
100mlの三つ口フラスコに化合物(B1−ii)を25.4g(0.15mol)、ピリジン2.0g(0.026mol)を入れた。滴下漏斗に三臭化燐44.3g(0.16mol)をトルエン30mlに溶解させたものを入れ、反応液を5℃以下に保つよう氷浴で冷却しながら滴下した。窒素雰囲気下で室温、12時間撹拌した。
500mlの三つ口フラスコに4,4’−ビフェノール5.0g(0.027mol)と、DMFを130ml加え撹拌溶解した。次に、炭酸カリウム15.38g(0.11mol)を加え室温で一晩撹拌した。そこに、化合物(B1−iii)16.56g(0.069mol)を加え、室温で48時間撹拌した。
合成例6(化合物B1−iiの合成)において、「1−ブロモブタン」を「1−ブロモ−2−メチルブタン」、「1−ブロモヘキサン」、「1−ブロモ−2−エチルヘキサン」及び「1−ブロモデカン」に替えて同様の反応を実施し、それぞれ本発明の化合物B2、B3、B4およびB5を得た。
以下に示す反応スキームに従い、混合物態様の本発明の化合物B(B1、B3及びB6)を合成した。
<合成例12>
以下に示す通り、混合物態様の本発明の化合物B(B3、B7及びB8)を合成した。
以下に示す反応スキームに従い、化合物(A2−iii)を合成した。
1000mlのナス型フラスコにエタノール400mlを入れ、金属ナトリウム13.8g(0.6mol)を溶解した。これに、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを71.0g(0.6mol)を加え、エタノールをエバポレーターで減圧除去した。
100mlの三口フラスコに式(A2−ii)の化合物を22.4g(0.14mol)、ピリジン1.0g(0.013mol)を入れた。三臭化燐36.6g(0.14mol)をトルエン20mlに溶解させた溶液を、反応液を5℃以下に保つように氷浴で冷却しながら、滴下漏斗により反応液に滴下した。滴下終了後、窒素雰囲気下、室温にて12時間撹拌した。
下記に示す反応スキームに従い、混合物様態の本発明の化合物B(B3、B7及びB8)の合成を行った。
(B7)、(B8)、及び(B3)の混合物16.5gを得た。
以上の合成例12で得た(B7)、(B8)、及び(B3)の混合物と、代表的な潤滑油であるDOS(セバシン酸ジオクチルエステル)とを、それぞれステンレス製容器に1.0000g入れたものを3個ずつ用意した。それらを100℃の恒温槽(常圧)に入れ、所定の時間で取り出し、電子天秤にて重量を測定し、減少した重量(蒸発損失)の平均値をグラフにプロットした。結果を図1に示す。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表される潤滑性化合物:
(式中、R1及びR6はそれぞれ独立に、分岐を有していてもよい炭素数4〜14のアルキル基であり、
R3及びR4はそれぞれ独立に、エチル基、2−メチルプロピル基、プロピル基、ブチル基、又はt−ブチル基であり、
R2及びR5はそれぞれ独立に、分岐を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基であり、
mは1である。)。 - 前記一般式(1)において、R 2 及びR 5 が同一の基である、請求項1に記載の潤滑性化合物。
- 前記一般式(1)において、
R 1 及びR 6 はそれぞれ独立に、分岐を有していてもよい炭素数8〜14のアルキル基であり、
R 3 及びR 4 はエチル基であり、
R 2 及びR 5 はメチレン基である、
請求項1に記載の潤滑性化合物。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑性化合物を含む潤滑剤組成物。
- 互いに接触して相対運動する複数の機械要素と、該機械要素の接触面の少なくとも一部に配置された請求項4に記載の潤滑剤組成物とを有する磁気記録媒体。
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