JP5916307B2 - 非水電解質二次電池用負極、非水電解質二次電池および非水電解質二次電池用負極の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、リチウムイオン二次電池などに用いることができる、高容量で、充放電サイクルによる容量低下が抑制された非水電解質二次電池用負極と、長寿命で高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することである。
(1)非水溶媒電解液を用いる二次電池用の負極であって、集電体と、前記集電体の片面または両面に形成された負極活物質層と、前記負極活物質層上に形成された導電性ポリマー層と、を備えることを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
(2)前記導電性ポリマー層が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、またはこれらの誘導体を含むことを特徴とする(1)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(3)前記導電性ポリマー層の厚さが、0.001〜3μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(4)前記負極活物質層が、シリコンを含むことを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
(5)前記負極活物質層が、シリコンを含み、さらにリン、酸素、およびフッ素からなる群より選ばれた少なくとも一種の第2元素を含むことを特徴とする(4)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(6)前記負極活物質層が、シリコンを含み、さらにクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅からなる群より選ばれた少なくとも一種の第3元素を含むことを特徴とする(4)または(5)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(7)前記集電体の、前記負極活物質層を形成する面の表面粗さRzが、1μm以上であることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載の負極を用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
(9)集電体の片面または両面に、リチウムと合金を形成することが可能な元素を含む薄膜状の負極活物質層を形成する工程(a)と、前記負極活物質層の表面に導電性ポリマー層を形成する工程(b)と、を備えることを特徴とする非水電解質二次電池用負極の製造方法。
(10)前記導電性ポリマー層が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、またはこれらの誘導体を含むことを特徴とする(9に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
(11)前記負極活物質層が、シリコンを含むことを特徴とする(9)または(10)に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
(1.非水電解質二次電池用負極)
(1−1.非水電解質二次電池用負極の構成)
まず、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池用負極を、図1を参照して説明する。本発明の非水電解質二次電池用負極1は、非水溶媒電解液を用いる二次電池用の負極1であって、集電体3と、集電体3の片面または両面に形成された負極活物質層7と、負極活物質層7上に形成された導電性ポリマー層9と、を備えている。導電性ポリマー層9が負極活物質層7の表面を覆うように密着一体化しているため、充放電の繰り返しの際の負極活物質層7の膨張収縮にも導電性ポリマーが追従し、負極活物質が集電体3または負極活物質層7から脱離するのを防ぐようにしている。以下、各部の詳細について説明する。
本発明における集電体3は、リチウムと合金化しない材料で構成することができ、例えば、銅、ニッケル、ステンレスからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる箔を用いることができる。これらの金属は、単体で用いてもよいし、それぞれの合金等であってもよい。箔の薄さ、強度、導電率等の観点から、銅箔を用いるのが好ましい。集電体3は、用途にもよるが、突起部5を除いた厚さが4μm〜35μm程度であるのが好ましく、さらに6μm〜20μm程度であることがより好ましい。
本発明の負極活物質層7は、負極集電体3の片面あるいは両面に一体的に成膜される薄膜状の積層である。負極活物質層7は、リチウムと合金を形成することが可能な物質で構成することができ、例えば、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素からなる金属または固溶体等が例示される。本発明では、理論容量が大きいことから、負極活物質層7は主としてシリコン(Si)を含むことが好ましい。
また、負極活物質層7は、第2元素として、さらにリン、酸素およびフッ素からなる群より選ばれた少なくとも一種を含むことができる。リンは原子半径が、酸素及びフッ素はイオン半径が、シリコンの原子半径(0.117nm)に匹敵する大きさであり、余計な歪を生じさせず、またLiイオンの侵入と脱離の障害となることなく、シリコンの体積変化を抑制し、充放電サイクル寿命を向上させる効果がある。特にリンは、シリコンの乏しい導電性を向上させ、充電時のLiイオンのシリコンとの合金化、および放電時のLiイオンの脱離時の層内外への移動を容易にする点で好ましい。酸素とフッ素は、Liの一部と化合分散し、活物質を安定化させる効果をも有する。これらの第2元素は、負極活物質層7の全体に均一に含まれていてもよいし、例えばその表面部等の一部に含まれていてもよい。例えば、リンをドープしたシリコンからなる負極活物質層7や上層にリン含むシリコン層を備える負極活物質層7は、シリコンの酸化膜の発生を抑え、酸素とLiイオンの結合による不可逆容量の増加、すなわち充放電容量低下を防ぐことができる。また、これら元素の存在により、体積変化の緩衝となる酸化リチウムの生成や、電解質フッ化物との反応性、濡れ性向上の効果が得られ、充放電サイクル繰り返しによる容量低下を抑制することができる。
負極活物質層7には、CVD法等などの製膜手法によって、負極活物質層が水素や水素終端されたシリコン、水素化シリコン等が含まれても良い。
このような負極活物質層7は、0.5μm〜10μmの厚さとすることができ、実用的には1μm以上の厚さであることが好ましく、電子機器等の高エネルギー密度用途には、1μm〜6μm程度の厚さとするのが望ましい。なお、本発明に係る負極活物質層の表面は、Liイオンとの反応面積を確保するため、平滑である必要はなく凹凸があることが好ましい。
本発明の導電性ポリマー層9は、負極活物質層7上に一体的に成膜される薄膜状の積層である。導電性ポリマー層9は、導電性を有し、負極活物質層7の剥離を防止できる程度の強度および延性を備える各種の導電性ポリマーにより構成することができる。導電性ポリマー層9により負極1の導電性を確保することで、負極活物質層7とLiイオンとの反応を妨げることなく、Liイオンの負極活物質層への侵入や合金化、脱合金化反応のバランスを向上させることができる。このような導電性ポリマー層9は、負極活物質層7より大きな導電率を有する方が望ましく、導電率が1×10−2S/cm以上の導電性ポリマーで構成されることが望ましい。例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン(ポリ芳香族ビニレン)、ポリアセン、またはこれらの誘導体などの導電性ポリマーである。中でもポリピロールやPEDOTは分解温度が比較的高く、耐熱性も備えることができる。導電性ポリマー層9の厚さは、0.001〜3μmであるのが好ましく、より好適には0.005〜2μmの範囲であり、さらには0.05〜1μmとすることができる。
以上の本発明の非水電解質二次電池用負極1の製造方法は、集電体3の片面または両面に、リチウムと合金を形成することが可能な元素を含む薄膜状の負極活物質層7を形成する工程(a)と、この負極活物質層7の表面に導電性ポリマー層9を形成する工程(b)と、を備えることを特徴とする。
また、負極活物質層7が、リチウムと合金を形成することが可能な元素としてシリコンを含み、その他に第2元素および/または第3元素を含む場合は、最初からこれらの元素を含有するシリコンの薄膜を形成してもよいし、シリコンの薄膜を形成した後にこれら元素をドープまたは後処理により含有させるようにしてもよい。
本発明の非水電解質二次電池用負極1によれば、導電性ポリマー層9が負極活物質層7の表面を覆うように密着一体化しているため、充放電により負極活物質層7が体積変化しても導電性ポリマー層9が追従し、負極活物質材料が集電体3または負極活物質層7から脱離するのが防止される。従って、充放電サイクルにおいて負極1を構成する負極活物質層7が膨張収縮を繰り返しても、活物質材料の脱離による容量低下やこれによる電子やリチウムイオンの導電経路の遮断によるサイクル容量の低下が抑制されて、充放電サイクル特性と電池寿命がより改善された非水電解質二次電池用負極が提供される。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を、図2を参照して説明する。本発明の非水電解質二次電池11は、上記のとおりの本発明の非水電解質二次電池用負極1を用いたことを特徴とする。より具体的には、本発明の非水電解質二次電池11は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極13と、上記の本発明の非水電解質二次電池用負極1と、正極13と負極1との間に配置されたセパレータ15とを有し、リチウムイオン伝導性を有する電解質17中に、正極13と負極1とセパレータ15とが設けられている。
正極は、正極活物質の組成物をアルミ箔などの金属集電体上に直接塗布・乾燥して、作製することができる。正極活物質の組成物は、正極活物質、導電助剤、結着剤および溶媒を混合して調製することができる。
前記正極活物質としては、一般に使われる各種のものが使用可能であり、例えばLiCoO2、LiMn2O4、LiMnO2、LiNiO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiFePO4などの化合物を用いることができる。
導電助剤は、炭素、銅、ニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種の導電性物質からなる粉末である。炭素、銅、ニッケルの単体の粉末でもよいし、それぞれの合金の粉末でもよい。例えば、ファーネスブラックやアセチレンブラックなどの一般的なカーボンブラックを使用できる。また、カーボンナノホーンを導電助剤として加えることもできる。ここで、カーボンナノホーン(CNH)とは、グラフェンシートを円錐形に丸めた構造をしており、実際の形態は多数のCNHが頂点を外側に向けて、放射状のウニの様な形態の集合体として存在する。CNHのウニ様集合体の外径は50nm〜250nm程度である。
結着剤は、樹脂の結着剤であり、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などのフッ素樹脂やゴム系、さらには、ポリイミド(PI)水溶性アクリル系バインダーなどの有機材料を用いることができる。
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水などを使用する。このとき、正極活物質、導電助剤、結着剤および溶媒の含量は、リチウムイオン二次電池で通常的に使用するレベルで適宜調整できる。
以上のように調製した正極活物質の組成物を、例えば、コーターを用いて、集電体の片面に均一に塗布する。コーターは、組成物を集電体に塗布可能な一般的な塗工装置を用いることができ、例えばロールコーターやドクターブレードによるコーター、コンマコーター、ダイコーターである。
集電体は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる箔である。それぞれを単独で用いてもよいし、それぞれの合金でもよい。厚さは、用途にもよるが4μm〜35μmが好ましく、さらに6μm〜20μmがより好ましい。正極には、安価で軽量なアルミ箔を用いることが出来る。
正極活物質の組成物を塗布した後、50〜150℃程度で乾燥し、厚みを調整するため、ロールプレスを通して、正極を得る。
セパレータとしては、正極と負極の電子伝導を絶縁する機能を有し、リチウムイオン二次電池で通常的に使われるものであればいずれも使用可能である。例えば、微多孔性のポリオレフィンフィルムを使用できる。
電解質としては、リチウムイオン伝導性を有する各種の電解液および電解質を使用することができる。例えば、有機電解液(非水系電解液)、無機固体電解質、高分子固体電解質等が使用できる。
有機電解液の溶媒の具体例として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ―ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の非プロトン性溶媒、あるいはこれらの溶媒のうちの2種以上を混合した混合溶媒が挙げられる。
有機電解液には、添加剤として、負極活物質の表面に有効な固体電解質界面被膜を形成できる化合物を添加することが望ましい。例えば、分子内に不飽和結合を有し、充電時に還元重合できる物質、例えばビニレンカーボネート(VC)などを添加する。
さらに、リチウム窒化物、リチウムハロゲン化物、リチウム酸素酸塩、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、Li3PO4−Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物などの無機材料を無機固体電解質として用いてもよい。
本発明の非水電解質二次電池は、前述したような正極と本発明の非水電解質二次電池用負極との間にセパレータを配置して、電池素子を形成している。このような電池素子を巻回、または積層して円筒形や角形の電池ケースに入れた後、電解質を注入して、非水電解質二次電池とする。
本発明に係る非水電解質二次電池は、負極の活物質層の表面に薄膜状の導電性ポリマー層を有するので、導電性に優れる上、充放電の繰り返し体積変化に伴う負極活物質層の脱落が抑止されている。そのため、サイクル特性に優れ、経済的な非水電解質二次電池が提供される。
(集電体の作製)
厚さ10μmの電解銅箔(古河電工製 NC−WS箔、表面粗さRz1.5μm)に電解めっきを施して、下記のめっき条件(a)では、表面粗さRz=1μmとなり、めっき条件(b)では、表面粗さRz=3μmとなる突起部のある集電体を作製した。めっき条件は以下のとおりである。
(b)粗面化処理の平滑状銅めっき(カプセルめっき):銅70g/dm3、硫酸100g/dm3を主成分とし液温40℃に保った電解液中で、電流密度5〜10A/dm2の範囲において、予め(a)の条件と共に決定した所定の表面形状を得る電解時間と共に適宜選択した条件によりカソード電解を行った。
得られた集電体の表面に、Si、Si−P系の組成の負極活物質層を形成した。詳細には、負極活物質層としてのSi薄膜の製膜には、触媒化学気相成長(Cat−CVD)装置を用い、原料ガスとしてのモノシランガスを流量を20sccmとし、集電体温度250℃、タングステン線触媒体温度1800℃を基本条件として、製膜厚さに応じて適宜製膜時間を調製した。また、第2元素としてPを含有させたSi−P薄膜の製膜には、原料ガスとして、モノシランガスに加え、フォスフィンガスを10sccmまたは1sccmと流量を変えて供給した。
得られた集電体の表面に、Si−P−O系の組成の負極活物質層を形成した。具体的には、上記のCat−CVD装置を用いて得られたSi−P系組成の負極活物質層を備えた集電体に対し、180℃に加熱した恒温槽にて大気酸化処理を施して、酸素を含有させた。
得られた集電体の表面に、Si−P−O系の組成の負極活物質層を形成した。具体的には、第2元素としてPおよびOを加えるため、反応性スパッタリングにより、酸素含有量を調整したSiとPの基板をスパッタリングして所望の組成のSi−P−O系薄膜を形成した。
負極活物質層の上に、さらに導電性ポリマー層を形成した。導電性ポリマーとしてポリピロールを用いる場合は、この粒子を有機溶媒(メチルエチルケトン)に分散させた分散液を負極活物質層表面に塗布し乾燥させることによりポリピロール皮膜を形成した。導電性ポリマーとしてポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン(ポリ芳香族ビニレン)を用いる場合も、同様に塗布乾燥により形成した。また、導電性ポリマーとしてポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を用いる場合は、水エタノールへ分散させて塗工成膜した。導電性ポリマー層の厚さは0.005〜2μmの範囲で調整した。
突起部を設けた集電体に、Cat−CVD法によりSi単体からなる薄膜を形成し、更に導電性ポリマー層を形成して負極とした。
[実施例2〜4]
実施例1と同じ突起部を設けた集電体に、Pの含有量と厚みを変化させたSi−P系の薄膜をCat−CVD法により形成し、更に導電性ポリマー層をポリマーの種類および厚みを変化させて形成して、負極とした。
[実施例5]
実施例1より小さい突起部を設けた集電体に、Si−P系の薄膜をCat−CVD法により形成し、導電性ポリマー層を形成して負極とした。なお、実施例5で用いた集電体は、電解めっき前の表面粗さRzが1.5μmであったが、電解めっきにより、なだらかな凹凸が小さくなる一方、形状が複雑な小さな凹凸が形成され、電解めっき後の表面粗さRzは1μmであった。
[実施例6〜7]
実施例1と同様にSi単体の薄膜を形成した後、これを恒温槽により酸化してSi−O系の薄膜とした後、導電性ポリマー層を厚みを変えて形成して負極とした。
[実施例8〜9]
実施例4と同様のSi−P系の薄膜を形成した後、恒温槽による酸化を施して、Si−P−O系の薄膜とし、酸化処理時間、ポリマーの種類と厚みを変えて導電性ポリマー層を形成して負極とした。
[実施例10]
実施例1と同じ突起部を設けた集電体に、反応性スパッタリングによりSiとPとOとを含有するSi−P−O系の薄膜を形成した後、導電性ポリマー層を形成して負極とした。
実施例1の導電性ポリマー層を形成せずに負極とした。
[比較例2〜3]
実施例2,4の導電性ポリマー層を形成せずに負極とした。
[比較例4]
突起部を設けない両面平滑銅箔(Rz1.5μmのWS箔未処理箔)に、Cat−CVD法によりSiとPを含むSi−P系の薄膜を形成して負極とした。
[比較例5]
実施例9の導電性ポリマー層を形成せずに負極とした。
実施例1で作製した負極の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図3に示した。粗面化処理により形成された突起部を有する集電体の表面に、負極活物質層が密着一体化して形成され、更にその表面を覆うように薄膜状の導電性ポリマー層が形成されているのが確認できた。
作製した負極の負極活物質層の断面に対して電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて分析し、2〜3成分についてZAF補正法による定量化を行った。その結果を、副成分濃度として、併せて表1に示した。なお、副成分濃度は、層を構成する成分全体の質量を100とした時の副成分の割合(mass%)を示している。
作製した負極を直径20mmの円盤状に加工し、電気化学特性評価における作用極とした。また、対極と参照極としてリチウム金属、電解液として1mol/LのLiPF6を溶解したエチレンカーボネート+ジエチルカーボネート(体積比で1:1)の混合溶媒を用い、作用極と共にこれらをビーカーに入れて、電気化学特性評価セルを作製した。
上記の電気化学特性評価セルを用いて、充放電性能を評価するための試験を行った。作用極の電位を卑な方向(還元側)に走査する過程を充電と称し、作用極の電位を貴な方向(酸化側)に走査する過程を放電と称するものとする。
表1に、試験極とした負極の仕様と、試験評価結果の容量維持率を示した。表に示す容量は、シリコンの質量当たりの容量である。
作製した負極について、負極全体の重量から集電体(突起部含む)の重量の差をとってシリコンの重量とし、その結果も表1に示した。
3………集電体
5………突起部
7………負極活物質層
9………導電性ポリマー層
11………非水電解質二次電池
13………正極
15………セパレータ
17………電解質
19………電池缶
21………正極リード
23………負極リード
25………正極端子
27………封口体
Claims (10)
- 非水溶媒電解液を用いる二次電池用の負極であって、
集電体と、
前記集電体の片面または両面に形成された負極活物質層と、
前記負極活物質層上に形成された導電性ポリマー層と、
を備えることを特徴とする非水電解質二次電池用負極において、
前記負極活物質層が、シリコン格子を含み、さらに前記シリコン格子にリン、酸素、およびフッ素からなる群より選ばれた少なくとも一種の第2元素を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極。 - 前記導電性ポリマー層が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、またはこれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記導電性ポリマー層が、ポリエチレンジオキシチオフェンまたはこれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記導電性ポリマー層の厚さが、0.001〜3μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記負極活物質層が、さらにクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅からなる群より選ばれた少なくとも一種の第3元素を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記集電体の、前記負極活物質層を形成する面の表面粗さRzが、1μm以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の負極を用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
- 集電体の片面または両面に、リチウムと合金を形成することが可能な元素を含む薄膜状の負極活物質層を形成する工程(a)と、
前記負極活物質層の表面に導電性ポリマー層を形成する工程(b)と、
を備えることを特徴とする非水電解質二次電池用負極の製造方法において、
前記負極活物質層が、シリコン格子を含み、さらに前記シリコン格子にリン、酸素、およびフッ素からなる群より選ばれた少なくとも一種の第2元素を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極の製造方法。 - 前記導電性ポリマー層が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、またはこれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項8に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
- 前記導電性ポリマー層が、ポリエチレンジオキシチオフェンまたはこれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項9に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
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