JP5916140B2 - 型内脱着式刻印装置 - Google Patents
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Description
図6に示す如く、特許文献1に開示される刻印装置は、上面に表示が刻設された略円筒形状の外殻体(O)と、略ボルト形状の指標体(I)と、ばね(S)、ナット(N)及び蓋体(C)とからなる。
指標体(I)は、外殻体(O)の上方から外殻体(O)内に嵌入される。ナット(N)は外殻体(O)下方から外殻体(O)内に配設され、指標体(I)の下部に形成されるねじ部(I1)と螺合する。ばね(S)はナット(N)と外殻体(O)内壁軸方向中間位置に形成された突段部(O1)との間に配設され、ナット(N)及びナット(N)と接続された指標体(I)に対して下方に力を付勢する。蓋体(C)は外殻体(O)内壁下部に形成された雌螺子部と螺合し、外殻体(O)下部開口部を塞ぐ。
指標体(I)の中間位置において、ばねと球体とからなる突起部(I2)が指標体(I)半径方向に突出している。また、外殻体(O)の突段部(O1)には、突起部(I2)が嵌入する複数の位置決め溝(O3)が円周方向に連続的に且つ等間隔で形成されている。
特許文献1に開示される刻印装置は、指標体(I)を回転させると、指標体(I)から突出した突起部(I2)が位置決め溝(O3)に嵌入するため、確実に所望の位置で指標体(I)の角位置が固定されるという構造を有している。
加えて、指標体のねじ部の雄ねじ及びナットの雌ねじのピッチが細目ねじの呼び径に対するピッチ以下であるとともに、指標体のねじ部の長さが表示外殻体の上段部の高さに対し250%以下であることにより、表示外殻体の下段部の長さを短くすることができるので、刻印装置自体の高さを低くすることができる。これにより、刻印装置と金型との間への発生ガスの侵入を防止するために表示外殻体の上段部の高さを高くしても、下段部の長さを短くすることで上段部が高くなった分を相殺できる。つまり、刻印装置の高さを高くする必要がないので、金型に設ける取付穴を深く設定せずとも金型の腐食を防止することができる。
本発明に係る型内脱着式刻印装置(1)(以下、刻印装置(1)と称す)は、略円筒形状の表示外殻体(2)と、表示外殻体(2)内に上方から嵌入され、表示外殻体(2)の軸線周りに角変位可能に据えつけられる指標体(3)を備える。また、指標体(3)を回転可能に固定する固定手段として、ナット(4)を指標体(3)下端に形成されたねじ部(31)に螺合させている。
表示外殻体(2)の内壁面は3つの領域に分けられ、上から上段部(21)、上段部(21)より小さな径で形成された中段部(22)及び中段部(22)より大きな径で形成された下段部(23)が形成されている。下段部(23)上面とナット(4)との間にはばね(5)が介装されている。ばね(5)は、ナット(4)に対して下方に力を付勢する。これにより、ナット(4)に螺合している指標体(3)も下方に付勢されている。
表示外殻体(2)の下段部(23)の下端には雌ねじ部(25)が形成され、蓋体(6)が雌ねじ部(25)と螺合する。
表示外殻体(2)の上面には、文字が刻設され、刻印表示部(24)が形成されている。表示外殻体(2)が成型金型内に嵌入されたとき、刻印表示部(24)は金型内面に露出し、刻印表示部(24)の文字は金型成形品上に刻印される。図示例において、刻印表示部(24)には、製造月を表す1から12までの数字が刻設されている。尚、本発明において、刻印表示部(24)の文字はこれに限定されるものではなく、例えば製造日、ロット番号、製造ライン番号など所望の文字が刻設されていてもよい。
図2に示す如く、中段部(22)には、複数の位置決め溝(221)が形成されている。位置決め溝(221)は、表示外殻体(2)軸方向に延びている。また、位置決め溝(221)は、中段部(22)円周方向に沿って連続的に且つ等間隔に配列されている。図示例において、位置決め溝(221)の数は、必要とされる位置決め箇所と同数である。
尚、図示例において、係合溝(231)の数はナット(4)に形成された係合突起(41)の数と同数形成され、2つの係合溝(231)が示されているが、係合溝(231)及び係合突起(41)の数はこれに限定されず、単数であってもよいし、3以上の数の係合溝(231)及び係合突起(41)が形成されていてもよい。尚、係合溝(231)及び係合突起(41)の数を複数設けることによって、ナット(4)の回り止め機能が向上する。
尚、図示例において、開口部(61)の形状は丸穴であるが、角穴としてもよい。ここで、開口部(61)に角穴を採用すると、レンチ等の工具を開口部(61)に挿入して、表示外殻体(2)に蓋体(6)を装着することが可能となる。
指標体(3)は3つの領域に分かれ、上から指標部(33)、指標部(33)の下面から下方に延出する位置決め部(32)及び位置決め部(32)から更に下方にねじ部(31)が形成されている。
指標部(33)上面には、文字が刻設され、刻印表示部(35)が形成されている。刻印装置(1)が成型金型内に嵌入されたとき、刻印表示部(35)は金型内面に露出し、刻印表示部(35)の文字は金型成形品上に刻印される。
図3に示す例において、刻印表示部(35)には、成型金型を識別するための「40」の文字と矢印が刻設されている。尚、本発明において、刻印表示部(35)の文字はこれに限定されるものではない。
尚、図3に示す例においては、矢印が刻設された部分にマイナスドライバを差込み、指標体(3)を回転させることが可能である。例えば、矢印を図2に示す表示外殻体(2)の刻印表示部(24)に刻設された「3」の文字に合わせれば、製造金型番号「40」を用いて「3月」に製造された金型成形品であることを示す刻印を金型成形品に施すことが可能となる。
また、このとき位置決め溝(221)の壁面は、球状の嵌入部(364)の半径と略等しい曲率半径を有する曲面状に形成されることが好ましい。このようにすると、位置決め溝(221)と嵌入部(364)が面接触するため、より確実な位置決め機能を発揮することができる。更に好ましくは、位置決め溝(221)を断面半円形状とすると、嵌入部(364)との接触面積を最大限化でき、更に確実な位置決め機能を発揮せしめることができる。
これにより、ねじ部(31)の長さを短く且つナット(4)の厚みを薄くしても、ナット(4)とねじ部(31)との螺合が外れるまでの回転数を維持することができる。さらに、指標体(3)を回転させた際にナット(4)が上方へ移動する距離を短くすることができるので、表示外殻体(2)の係合溝(231)の長さを短くすることができる。したがって、刻印装置(1)の高さを低くすることができる。
図4に示す如く、表示外殻体(2)上方から、指標体(3)が表示外殻体(2)内に嵌入される。指標体(3)の指標部(33)は表示外殻体(2)の上段部(21)に収納される。指標部(33)上面と表示外殻体(2)上面は、このとき面一の状態となる。したがって、指標部(33)上面及び表示外殻体(2)上面に形成された刻印表示部(35及び24)との間に段差を生ずることなく、金型成形品上に刻印することが可能となる。
指標体(3)の位置決め部(32)は、表示外殻体(2)の中段部(22)に位置する。位置決め部(32)に配設された位置決め突起部(36)と中段部(22)に形成された位置決め溝(221)によって、指標体(3)の位置決めが確実に行われる。
表示外殻体(2)底部において、ナット(4)が指標体(3)下部に形成されるねじ部(31)と螺合し、指標体(3)を回転可能に固定する。ナット(4)と下段部(23)上面との間にばね(5)が介装されている。ばね(5)はナット(4)に対して下方に力を付勢するので、ナット(4)と螺合する指標体(3)もまた下方に力を付勢され、指標体(3)及び表示外殻体(2)の上面の面一の状態が常に保たれることとなる。
ナット(4)の係合突起(41)は、表示外殻体(2)の下段部(23)に形成された係合溝(231)と係合し、指標体(3)を時計回りに回転させたとき、刻印装置(1)軸方向上方へ移動する。
指標体(3)のねじ部(31)の基端部(311)は、係合溝(231)の上端(232)よりも上方に位置している。したがって、ナット(4)の上方への移動は係合溝(231)の上端(232)によって阻止されるため、ナット(4)がねじ部(31)の基端部(311)に食い込むことが防止され、刻印表示調整時のねじ部(31)の破損を確実に防止することができる。
表示外殻体(2)の下端には、蓋体(6)が装着されるとともに蓋体(6)中心に形成された開口部(61)には、指標体(3)の下端が挿入されている。これにより、ナット(4)が指標体(3)から外れることが防止される。
本発明において、上記した如く、表示外殻体(2)の上段部(21)の高さBは、上段部(21)の直径φAに対し22.5%以上、好ましくは22.5〜70%、より好ましくは30〜70%、さらに好ましくは40〜65%である。つまり、高さBの直径φAに対する割合は、従来の刻印装置より大きな値に設定されており、溶融樹脂から発生して指標部(33)外周面と上段部(21)内壁面との間から侵入するガスの量に対する高さB(すなわち、発生ガスの流路の長さ)の割合が一定の値以上となる。これにより、溶融樹脂から発生したガスが指標部(33)外周面と上段部(21)内壁面との間から侵入したとしても、指標部(33)は上段部(21)に嵌入されておりこの間のクリアランスは微小であることから、侵入したガスの量はこの流路を下方に進むに従い減少し、ガスは表示外殻体(2)の上段部(21)の下面(中段部(22)の上面)まで到達することができない。したがって、発生ガスが刻印装置(1)と可動型(72)との間に侵入するのを防ぐことができ、これによりこの部分の金型の腐食を防止することができる。また、発生ガスの侵入を防ぐことにより、大量のヤニが発生してこのヤニが刻印装置内に流れ込むのを防ぐことができる。これにより、指標体(3)が固まって回転しなくなるのを防ぐことができる。また、メンテナンスも容易となる。
直径φAに対する高さBの割合が22.5%未満である場合、十分に発生ガスの侵入を防ぐことができないため好ましくない。また、この割合が70%を超える場合、刻印装置全体としての高さが高くなってしまうため好ましくない。
尚、この数値は実験的に求めた値である。
2 表示外殻体
21 上段部
22 中段部
221 位置決め溝
23 下段部
231 係合溝
3 指標体
31 ねじ部
32 位置決め部
33 指標部
36 位置決め突起部
363 位置決めばね
364 嵌入部
4 ナット
5 ばね
6 蓋体
Claims (2)
- 成形金型内に嵌入される略円筒形の表示外殻体と、
該表示外殻体内に嵌入され軸線まわりに角変位可能な指標体とからなり、
前記表示外殻体及び前記指標体の表面に刻印表示部が形成されてなる刻印装置であって、
前記指標体は、金型内面に臨む指標部と該指標部から下方に延出される位置決め部と該位置決め部から下方に延出するねじ部とを備え、
前記表示外殻体の内壁側には、前記指標部を収納する上段部と該上段部の下方に位置するとともに前記位置決め部が位置する中段部と該中段部の下方に位置する下段部とを備え、該中段部は前記上段部の径よりも小さい径を有するとともに、該下段部は前記中段部の径よりも大きい径を有し、
前記下段部の最下部には蓋体が螺着されてなるとともに前記指標体の前記ねじ部にはナットが螺着され、該ナットと前記表示外殻体の下段部上面との間にばねが介装され、このばねにより指標体に下向きの力が付勢されてなり、
前記ナットの外周には複数の突起が設けられてなるとともに、前記表示外殻体の下段部には該突起が係合可能な係合溝が軸方向に形成され、前記指標部の上面と表示外殻体の上面とを面一とした状態において、前記指標体のねじ部の基端部が前記係合溝の上端部よりも上方に位置するように構成され、
前記表示外殻体の前記上段部の高さが該上段部の直径に対し22.5%―70%であり、
前記指標体の前記ねじ部の雄ねじ及び前記ナットの雌ねじのピッチがJISB0207に規定する細目ねじの呼び径に対するピッチ以下であるとともに、前記指標体の前記ねじ部の長さが前記表示外殻体の前記上段部の高さに対し250%以下であることを特徴とする型内脱着式刻印装置。 - 前記指標体の前記位置決め部には、該位置決め部半径方向に突出する位置決め突起部が設けられ、
該位置決め突起部は、前記位置決め部に埋設される位置決めばねと該位置決めばね先端に配設される嵌入部からなり、
前記表示外殻体内壁面には、前記位置決め突起部が嵌入するとともに前記表示外殻体の軸方向に延びる位置決め溝が該表示外殻体円周方向に沿って連続的に且つ等間隔に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の型内脱着式刻印装置。
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