JP5915403B2 - 組電池 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の電池を連結した組電池に関する。
人工衛星や惑星探査機(以下、「衛星等」とする。)においては、衛星等が太陽光により照らされる期間中に、太陽電池により発電された電力を利用する。このとき太陽電池により発電された電力のうちの余剰電力は蓄電池に蓄積され、例えば衛星等が地球や他の惑星等の影に入ったときのような太陽光により照らされていない期間中に、蓄電池に蓄積された電力が利用される。
ここで、衛星等には、複数の蓄電池が組み合わされてなる組電池が利用される。従来、衛星等に利用される組電池としては、複数の蓄電池と、複数の蓄電池の間に配置される板状部材と、複数の蓄電池および板状部材を締結する締結部材とにより構成される組電池が知られている。複数の蓄電池に挟まれている板状部材は、金属からなり、ヒータが取り付けられている。板状部材は、宇宙環境において蓄電池の温度を最適に保つために、蓄電池からの熱を奪って宇宙空間への放熱を促したり、ヒータからの熱を蓄電池に伝えたりする。このような構成とすることで、組電池は、蓄電池の温度が大きい場合には板状部材に放熱し、また、蓄電池の温度が小さい場合にはヒータが板状部材を加熱することにより蓄電池を加熱することで、組電池全体を適温に調整している(特許文献1参照)。
実開平2−128368号公報
ところで、特許文献1の組電池では、板状部材の間隔が締結部材により一定に保たれているために、板状部材の間に配置される蓄電池の厚みが電池の充放電反応や経年劣化に伴う電極体を構成する内部極板の膨潤などにより膨張した場合に、蓄電池の容器が膨張しにくい構造となっている。このため、電極体が膨張する場合、電極体の膨張は、蓄電池の容器の余剰空間、正極板および負極板、またはセパレータの多孔部などがつぶされることにより吸収される。この結果、正極板および負極板の物理的な劣化や、セパレータの目つぶれなどが起こり、電池の内部抵抗が上昇するなど、電池性能が低下するという課題がある。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電池性能が低下しにくい組電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る組電池は複数の電池と、少なくとも前記電池の側方に配置される仕切部材と、を備え、前記仕切部材は、前記電池の膨張および収縮に追従する膨張収縮領域を有する。
これによれば、複数の電池の間に配置される仕切部材は、電池の膨張および収縮に追従する膨張収縮領域を有するため、電池の厚みが電池の充放電反応や寿命進行に伴う内部極板の膨潤などにより変化した場合であっても、その電池の変形を仕切部材が吸収することができる。このため、極板の物理的な劣化やセパレータの目つぶれなどが起こることを防ぐことができ、電池性能の低下を防ぐことができる。
また、前記仕切部材は、前記電池に接する第一板部と、前記第一板部に対向して設けられる第二板部と、前記第一板部と前記第二板部とが離間された状態を維持する規制部とを有し、前記膨張収縮領域は、前記第一板部と前記第二板部との間に設けられる空間であってもよい。
これによれば、仕切部材は、第一板部と第二板部との間隔を保持するための規制部を有し、かつ、第一板部と第二板部との間での領域であって、仕切部材の電池と当接する部分に対応する領域においては規制部が存在しないため、第一板部と第二板部との間での領域であって、仕切部材の電池と当接する部分に対応する領域は、物体が存在しない空間となっている。このため、仕切部材は、当該空間により電池の膨張を吸収できる。
また、さらに、前記膨張収縮領域に配置される弾性体を備えてもよい。
これによれば、第一板部と第二板部との間での領域であって、仕切部材の電池と当接する部分に対応する領域には、弾性体が設けられる。このため、仕切部材は、当該弾性体により電池の膨張を吸収できる。
本発明に係る組電池によれば、極板の物理的な劣化やセパレータの目つぶれなどが起こることを防ぐことができ、電池性能の低下を防ぐことができる。
本実施の形態1−3に係る組電池の外観を模式的に示す斜視図である。 図1の組電池のII−II断面図である。 実施の形態1に係る組電池のうちの1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材との関係を示す分解斜視図である。 (a)は蓄電池が膨張していない場合の図2のB1部分の拡大図であり、(b)は蓄電池が膨張している場合の図2のB1部分の拡大図である。 本発明の実施の形態2に係る組電池の図1におけるV−V断面図である。 実施の形態2に係る組電池の内の1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材との関係を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態3に係る組電池の図1におけるVII−VII断面図である。 実施の形態3に係る組電池の内の1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材との関係を示す分解斜視図である。 実施の形態3の他の形態に係る組電池の内の1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材との関係を示す分解斜視図である。 他の実施の形態に係る組電池の内の1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材との関係を示す分解斜視図である。 他の実施の形態に係る組電池の内の1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材との関係を示す分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1−3に係る組電池10の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、図1の組電池10のII−II断面図である。図3は、実施の形態1に係る組電池10のうちの1つの蓄電池300と、当該蓄電池300に隣接する1枚の仕切部材100との関係を示す分解斜視図である。
図1および図2に示すように、組電池10は、複数(実施の形態1では3つ)の蓄電池300と、少なくとも蓄電池300の側方に配置される仕切部材100とを備える。また、組電池10は、さらに、複数の蓄電池および仕切部材100を締結し、かつ、複数の蓄電池300の間を導電しない締結部材200を備える。複数の蓄電池300は、その外周面が絶縁シート350により覆われている。組電池10は、さらに、複数の蓄電池300および仕切部材100の並び方向(以下、「X軸方向」とする。)外側に配置される2枚の外板部材150を備える。なお、仕切部材100は、X軸方向に対して垂直な方向(以下、「Y軸方向」とする。)、並びに、X軸方向およびY軸方向に垂直な方向(以下、「Z軸方向」とする。)に延びる板状の部材である。
そして、締結部材200は、複数(実施の形態1では4本)のボルト210と、複数のボルト210のそれぞれに対応する複数(実施の形態1では4つ)のナット220とからなる。複数のボルト210および複数のナット220は、共に金属製である。仕切部材100および外板部材150は、蓄電池300の周縁部外側の領域に、複数のボルト210のそれぞれを貫通させる複数の貫通孔140を有する。仕切部材100、2枚の外板部材150および複数の蓄電池300は、仕切部材100および2枚の外板部材150に形成される複数の貫通孔140が複数のボルト210に貫通された状態で、組みとなるボルト210およびナット220によって両側の外板部材150同士が外側から締め付けられることにより締結される。締結部材200は、具体的には、ボルト210およびナット220の仕切部材100および外板部材150と接触する部分が絶縁チューブ、絶縁ワッシャー等の絶縁部材により絶縁されており、その結果、複数の蓄電池300の間を導電しない構造となっている。なお、締結部材200は、金属製の複数のボルト210および複数のナット220の仕切部材100および外板部材150と接触する位置において、絶縁チューブ等を挟みこむことで蓄電池300間において導電しないようにしているが、これに限らずに絶縁性を有する材料からなる複数のボルト210および複数のナット220を採用することにより蓄電池300間において導電しないようにしてもよい。例えば、絶縁性を有するボルト210およびナット220の材料としては、PPS(Poly Phenylene Sulfide Resin)などの脱ガス性の無いスーパーエンジニアリングプラスチックやセラミックなどが考えられる。つまり、組電池10は、複数の外板部材150および仕切部材100と、複数の蓄電池300とが、交互にX軸方向に並んでおり、X軸方向に並んだ複数の外板部材150および仕切部材100と、複数の蓄電池300とが締結部材200によりX軸方向の外側に広がらないようにX軸方向の内側に向けて拘束されることにより締結されてなる。このように、締結部材200は、X軸方向に並んだ複数の外板部材150および仕切部材100と、複数の蓄電池300とのX軸方向の幅が所定の幅となるように規制する規制部材である。
なお、仕切部材100には、蓄電池300を加熱するための図示しないヒータが備えられており、蓄電池300が所定温度よりも低くなった場合に仕切部材100を介して蓄電池300を加熱する。また、複数の蓄電池300は、正極端子310および負極端子320が直列に接続されるように図示しないリード線により接続される。なお、リード線による複数の蓄電池300の接続は、直列に限定されるものではなく並列であってもよいし、直列と並列とを組み合わせたものであってもよい。
蓄電池300は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質電池である。図1〜図3に示すように、蓄電池300は、容器340と、正極端子310と、負極端子320とを備え、容器340は、上壁である蓋板341を備えている。また、容器340の内方には、発電要素330と、図示しない正極集電体および負極集電体が配置されている。なお、蓄電池300の容器340の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。また、蓄電池300は、非水電解質電池には限定されず、非水電解質電池以外の二次電池であってもよい。
容器340は、金属(例えば、アルミニウム)からなる長円筒形状で底を備える容器本体342と、当該容器本体342の開口を閉塞する金属(例えば、アルミニウム)製の蓋板341とで構成されている。また、容器340は、発電要素330等を内部に収容後、蓋板341と容器本体342とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、長円筒形状の容器本体342の円筒軸の方向を「Z軸方向」とする。
発電要素330は、詳細な図示は省略するが、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる部材である。正極は、アルミニウム箔からなる長尺帯状の正極基材シートの表面に正極活物質層が形成されたものである。負極は、銅箔からなる長尺帯状の負極基材シートの表面に負極活物質層が形成されたものである。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートである。そして、発電要素330は、負極と正極との間にセパレータが挟み込まれるように、セパレータを介して負極および正極を捲回して形成され、全体が長円形状とされている。
さらに詳しくは、上記正極および上記負極は、上記セパレータを介し、長尺帯状の幅方向に互いにずらして、当該幅方向に沿う回転軸を中心に長円形状に捲回されている。そして、上記正極および上記負極は、それぞれのずらす方向の端縁部を活物質層の非形成部とすることにより、捲回軸の一端側には、正極活物質層が形成されていない正極基材であるアルミニウム箔が露出し、捲回軸の他端側には、負極活物質層が形成されていない負極基材である銅箔が露出している。また、発電要素330の捲回軸方向の両端部には正極集電体および負極集電体が上記捲回軸方向と垂直方向に延びて配置されている。なお、発電要素330は、正極基材が露出している側の端部が容器本体342の底面側になるように、負極基材が露出している側の端部が蓋板341側になるように容器本体342に挿入される。
ここで、正極活物質としては、LiMPO、LiMSiO、LiMBO(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
また、負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−ケイ素、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵または放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、ケイ素酸化物、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。なお、同図では、発電要素330の形状としては長円形状を示したが、円形状または楕円形状でもよい。
正極端子310は、発電要素330の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子320は、発電要素330の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子310および負極端子320は、発電要素330に蓄えられている電気を蓄電池300の外部空間に導出し、また、発電要素330に電気を蓄えるために蓄電池300の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子310および負極端子320は、発電要素330の上方に配置された蓋板341に取り付けられている。
正極集電体は、発電要素330の正極と容器340の底面との間に配置され、容器340の側面と発電要素330の側面との間を沿わせて蓋板341の下面まで延びており、正極端子310と発電要素330の正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体は、発電要素330の正極と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。
負極集電体は、発電要素330の負極と容器340の蓋板341との間に配置され、負極端子320と発電要素330の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体は、発電要素330の負極と同様、銅または銅合金で形成されている。
仕切部材100および2枚の外板部材150は、本実施の形態1では全く同じ構成であるので、ここでは仕切部材100の構成についてのみ説明する。
仕切部材100は、図3に示すように、蓄電池300と接する第一板部110と、第一板部110と対向して設けられる第二板部120と、第一板部110と第二板部120とが離間された状態を維持する規制部130とを有する。第一板部110および第二板部120は、長辺がZ軸方向に延び、かつ、短辺がY軸方向に延びる長方形の板状部材であり、例えばアルミニウムからなる。規制部130は、長辺がZ軸方向に延び、短辺がY軸方向に延びる長方形の板状部材であり、例えばアルミニウムからなる。第一板部110および第二板部120と、規制部130とは、Z軸方向の長さが等しい。また、規制部130の短辺は第一板部110および第二板部120の短辺の1/2よりも短い。第一板部110と第二板部120とは、同一形状の部材である。仕切部材100は、第一板部110および第二板部120の長辺と、規制部130の長辺とが揃うように、第一板部110および第二板部120の間に規制部130が挟み込まれることにより構成される。つまり、仕切部材100は、第一板部110、第二板部120および規制部130の三層構造となっており、その長辺が互いに重なる。そして、仕切部材100は、第一板部110および第二板部120の間であって、2枚の規制部130の間に空間(膨張収縮領域A1)を有する。つまり、膨張収縮領域A1は、第一板部110と第二板部120との間に設けられる空間であり、2枚の規制部130の間に形成される空間である。なお、第一板部110、第二板部120および規制部130は、アルミニウムに限らずに、金属製であればよく、銅などであってもよい。
また、第一板部110は複数(本実施の形態1では4つ)の第一貫通孔141を有し、第二板部120は複数(本実施の形態1では4つ)の第二貫通孔142を有し、2枚の規制部130は複数(本実施の形態1では2つ)の第三貫通孔143を有する。第一貫通孔141、第二貫通孔142および第三貫通孔143は、第一板部110、第二板部120および規制部130が重ねられて仕切部材100を形成したときに、互いに重なって複数の貫通孔140を形成する位置に、それぞれが第一板部110、第二板部120および規制部130に設けられる。仕切部材100は、第一板部110、第二板部120および規制部130が接合されずに締結部材200による締結によって固定される。なお、締結部材により固定されることに限らずに、第一板部110、第二板部120および2枚の規制部130が重ねられた状態で、溶接により接合されてもよいし、接着剤により接合されてもよいし、射出成形や押出成形などにより一体化された状態で形成されてもよい。
また、図3に示すように、蓄電池300と仕切部材100とは、蓄電池300の接触面C1と第一板部110の接触面C2とが接触している。つまり、蓄電池300と仕切部材100とは面接触しており、接触面C1と接触面C2との位置および大きさは一致する。接触面C1(接触面C2)をX軸方向に向けて投影したときに規制部130が第一板部110に接触する面と同一の面に投影される投影面C3は、2枚の規制部130の間の空間である膨張収縮領域A1に含まれる位置および大きさである。2枚の規制部130の短辺の長さは、膨張収縮領域A1に投影面C3が含まれる位置および大きさとなるように設計されている。これにより、仕切部材100に対する蓄電池300の位置に対応する領域に、膨張収縮領域A1が設けられることになる。なお、規制部130の位置および大きさは、投影面C3を含むように設けられる必要は必ずしもなく、蓄電池300の位置および大きさに対応する位置および大きさであって、特に、蓄電池300の膨張および収縮の変動が最も大きい領域を少なくとも含む領域を内包する位置および大きさであればよい。
図4(a)は、蓄電池300が膨張していない場合の図2のB1部分の拡大図であり、図4(b)は、蓄電池300が膨張している場合の図2のB1部分の拡大図である。
蓄電池300は、充放電反応を繰り返すこと、または、経年劣化に伴って発電要素330を構成する内部極板(正極または負極)の膨潤などにより膨張する。仕切部材100は蓄電池300の膨張および収縮に追従する膨張収縮領域A1を有するため、膨張収縮領域A1は、蓄電池300の容器340の体積が変動する場合に、容器340の体積変動に追従する。具体的には、仕切部材100に設けられた膨張収縮領域A1は、図4に示すように、蓄電池300が膨張していない状態(図4(a)参照)から蓄電池300が膨張している状態(図4(b)参照)に蓄電池300が膨張すれば、蓄電池300の膨張に追従してその体積が小さくなる。反対に、蓄電池300が膨張している状態から蓄電池300が膨張していない状態に蓄電池が収縮すれば、蓄電池の収縮に追従してその体積が大きくなる(元に戻る)。
本実施の形態1に係る組電池10によれば、複数の蓄電池300の間に配置される仕切部材100は、蓄電池300の膨張および収縮に追従する膨張収縮領域A1を有するため、蓄電池300の厚み(X軸方向の幅)が蓄電池300の充放電反応や寿命進行に伴う内部極板の膨潤などにより変化した場合であっても、その蓄電池300の変形を仕切部材100が吸収することができる。このため、極板の物理的な劣化やセパレータの目つぶれなどが起こることを防ぐことができ、電池性能の低下を防ぐことができる。
また、本実施の形態1に係る組電池10によれば、仕切部材は、第一板部110と第二板部120との間隔を保持するための規制部130を有し、かつ、第一板部110と第二板部120との間での領域であって、仕切部材100の蓄電池300と当接する部分である接触面C2に対応する投影面C3においては規制部130が存在しない膨張収縮領域A1が形成されているため、第一板部110と第二板部120との間での領域であって、仕切部材100の蓄電池300と当接する部分に対応する領域である投影面C3を含む領域は、物体が存在しない空間となっている。このため、仕切部材100は、当該空間により蓄電池300の膨張を吸収できる。
また、本実施の形態1に係る組電池10によれば、蓄電池300の外周面が絶縁シート350により覆われているため、複数の蓄電池300間において電位差が生じる場合であっても絶縁シート350により絶縁されることにより、蓄電池300内部に腐食が発生することを防ぐことができる。
また、本実施の形態1に係る組電池10によれば、複数の蓄電池300は、導電しない材料からなる締結部材200により締結されることにより組電池10を形成している。このため、組電池10は、複数の蓄電池300間において電位差が生じた場合であっても、複数の蓄電池300間において電流が流れないように複数の蓄電池300を締結することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る組電池20の図1におけるV−V断面図である。図6は、実施の形態2に係る組電池20の内の1つの蓄電池300と、当該蓄電池300に隣接する1枚の仕切部材500との関係を示す分解斜視図である。
上記実施の形態1に係る組電池10では、仕切部材100は、第一板部110、第二板部120、および規制部130とからなるが、実施の形態2に係る組電池20は、仕切部材500が、さらに、弾性体510を有する点が実施の形態1に係る組電池10と異なる。したがって、仕切部材500の構成のみ説明し、実施の形態1に係る組電池10と同じ構成要素には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
仕切部材500は、図5および図6に示すように、蓄電池300と接する第一板部110と、第一板部110と対向して設けられる第二板部120と、第一板部110と第二板部120とが離間された状態を維持する規制部130と、第一板部110と第二板部120との間に設けられる空間である膨張収縮領域A1に配置される弾性体510とを有する。弾性体510は、第一板部110および第二板部120の間の領域であって、2枚の規制部130の間の領域と同様の大きさである。つまり、弾性体510は、実施の形態1における仕切部材100の膨張収縮領域A1と同じ大きさであり、仕切部材500の膨張収縮領域A1の全体に充填される。なお、この場合に充填される弾性体510は、圧力を受けたときに体積が小さくなる圧縮率が大きい材質であることが好ましく、例えば、シリコーンエラストマーなどのエラストマー材料、ラバー材料等を挙げることができる。また、弾性体510は、一般的な弾性材料よりも熱伝導率が高い材料(例えば、熱伝導率が0.6W/m・k以上、より好ましくは1.0W/m・k以上の材料)で形成されることがより好ましく、例えば、シリコーンエラストマー等の弾性材料に、窒化ホウ素等の熱伝導性のフィラーを混合した材料等を挙げることができる。
本実施の形態2に係る組電池20によれば、第一板部110と第二板部120との間での領域であって、仕切部材500の蓄電池300と当接する部分に対応する領域である膨張収縮領域A1には、弾性体510が充填される。このため、仕切部材500は、当該弾性体510により蓄電池300の膨張を吸収できる。また、弾性体510として熱伝導率が高い材料を採用すれば、特に膨張収縮領域A1の全体にわたって充填されているため、仕切部材500は、蓄電池300から発生する熱を効率良く伝導させることができ、蓄電池300から発生する熱を放熱させる効果と、蓄電池300の膨張および収縮に追従する効果とを両立できる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3に係る組電池30の図1におけるVII−VII断面図である。図8は、実施の形態3に係る組電池30の内の1つの蓄電池300と、当該蓄電池300に隣接する1枚の仕切部材600との関係を示す分解斜視図である。
上記実施の形態2に係る組電池20では、仕切部材500の膨張収縮領域A1に設けられる弾性体510は、膨張収縮領域A1と同じ大きさであるが、実施の形態3に係る組電池30は、仕切部材600の膨張収縮領域A1に設けられる弾性体610が膨張収縮領域A1の一部のみに設けられる点が実施の形態2に係る組電池20と異なる。したがって、仕切部材600の構成のみ説明し、実施の形態1および実施の形態2に係る組電池10、20と同じ構成要素には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
仕切部材600は、図7および図8に示すように、蓄電池300と接する第一板部110と、第一板部110と対向して設けられる第二板部120と、第一板部110と第二板部120とが離間された状態を維持する規制部130と、第一板部110と第二板部120との間に設けられる空間である膨張収縮領域A1に配置される弾性体610とを有する。弾性体610は、仕切部材600の膨張収縮領域A1のうちのY軸方向の中央の領域を含む一部の領域であって、X軸方向およびZ軸方向の全体に充填されるような形状となっている。つまり、弾性体610は、X軸方向およびZ軸方向の長さが膨張収縮領域A1と同じであって、Y軸方向の長さが膨張収縮領域A1のY軸方向における長さよりも小さく、膨張収縮領域A1のY軸方向の中央に配置されている。
本実施の形態3に係る組電池30によれば、仕切部材600は、膨張収縮領域A1の一部のみに弾性体610が充填される。このため、仕切部材600は、蓄電池300が膨張することにより弾性体610がX軸方向に圧迫されたときに、膨張収縮領域A1のうちの弾性体610の一部が充填されていない領域に移動することができる。これにより、仕切部材600は、実施の形態2の膨張収縮領域A1の全体にわたって弾性体510が充填されている仕切部材500よりも、X軸方向に変形しやすい。したがって、仕切部材600は、蓄電池300の膨張および収縮に効率良く追従できる。
上記実施の形態3に係る組電池30では、仕切部材600は、充填されている弾性体610が1つのみであるが、図9に示すように、2つの弾性体710を有する仕切部材700であってもよい。つまり、弾性体は、弾性体の大きさが、膨張収縮領域A1の大きさよりも、複数の蓄電池300および仕切部材600の並び方向であるX軸方向の大きさ以外の部分の大きさが小さければよく、その形状や数は問わない。
(他の実施の形態)
上記実施の形態1−3に係る組電池10、20、30では、仕切部材100の規制部130が2枚からなり、2枚の規制部130の間に膨張収縮領域A1が設けられるような構成となっているが、これに限らずに、例えば、図10に示すような1枚の規制部131としてもよい。図10は、他の実施の形態に係る組電池の内の1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材700との関係を示す分解斜視図である。
なお、この場合には、規制部131は、蓄電池300の容器340に対応する位置に開口部132を有する。開口部132は、規制部131の外周の長方形状よりも小さい長方形である。仕切部材100は、規制部131に開口部132が設けられることにより、蓄電池の膨張および収縮に追従する膨張収縮領域A1が形成される。
上記実施の形態1−3または上記他の実施の形態に係る組電池10、20、30では、仕切部材100、500、600、700は、第一板部110と第二板部120とが規制部130、131を挟み込んで構成される三層構造であるが、三層構造に限らずに、例えば、図11に示すように、第一板部110と規制部130との間、および、第二板部120と規制部130との間に、それぞれ絶縁部811、812を設けた五層構造としてもよい。図11は、他の実施の形態に係る組電池の内の1つの蓄電池と、当該蓄電池に隣接する1枚の仕切部材800との関係を示す分解斜視図である。
図11に示すように、仕切部材800の第一板部110および第二板部120と、規制部130との間に絶縁部811、812を設けるため、複数の蓄電池300間の絶縁を確実に図ることができる。ここで、絶縁部811、812としては、例えば、絶縁フィルムが好適に採用される。
上記実施の形態1−3に係る組電池10、20、30は、3個の蓄電池300を備えるが、3個に限らずに、4個、5個、10個などであってもよい。
また、蓄電池300は、複数個に限らずに1個であってもよい。つまり、1個の蓄電池300と1枚の仕切部材100とが締結されているような場合であっても効果がある。
また、上記実施の形態1−3に係る組電池10、20、30は、蓄電池300を備えるが、蓄電池のような二次電池に限らずに一次電池であってもよい。なお、一次電池を備える組電池であっても、本発明の構成とすることにより経年劣化による膨張に追従できるという点で効果はある。
また、上記実施の形態1−3に係る組電池10、20、30では、発電要素330は正極板、負極板、およびセパレータが捲回されることにより積層される捲回型であるが、捲回されずに複数層が積層される積層型であってもよい。なお、発電要素が積層型である場合には、容器は長円筒形状に限らずに、角形であってもよい。
以上、本発明の組電池について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の一態様に係る組電池は、極板の物理的な劣化やセパレータの目つぶれなどが起こることを防ぐことができ、電池性能の低下を防ぐことができる組電池等として有用である。
10、20、30 組電池
100、500、600、700、800 仕切部材
110 第一板部
120 第二板部
130、131 規制部
132 開口部
140 貫通孔
141 第一貫通孔
142 第二貫通孔
143 第三貫通孔
150 外板部材
200 締結部材
210 ボルト
220 ナット
300 蓄電池
310 正極端子
320 負極端子
330 発電要素
340 容器
341 蓋板
342 容器本体
350 絶縁シート
510、610、710 弾性体
811、812 絶縁部
A1 膨張収縮領域
C1 接触面
C2 接触面
C3 投影面

Claims (3)

  1. 複数の電池と、少なくとも前記電池の側方に配置される仕切部材とを備え、
    前記仕切部材は、前記電池に接する第一板部と、前記第一板部に対向して設けられる第二板部と、前記第一板部と前記第二板部との間に配置され、前記第一板部と前記第二板部との間隔を保持する規制部と、前記第一板部と前記第二板部との間に設けられる空間とを有し、
    前記規制部は、前記仕切部材と前記電池との当接部分に対向する領域を除く領域に、配置されている
    組電池。
  2. 前記複数の電池および前記仕切部材を締結し、かつ、前記仕切部材を貫通している締結部材を備える、請求項1に記載の組電池。
  3. 前記締結部材は、前記第一板部、前記第二板部、および、前記規制部を貫通している、請求項2に記載の組電池。
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