ところで、電動二輪車等のように、ある程度大型であり、または利用場所が屋外である電動機器の場合には、夜間の屋外や、十分な照明のないガレージ内等で脱着式バッテリ装置の取付または取外を行うことがある。脱着式バッテリ装置の取付または取外を行う場所がこのような暗所である場合には、作業性が悪く、脱着式バッテリ装置の取付または取外を容易に、確実にまたは安全に行うことが難しいという問題がある。
特に、多くの電動二輪車は、脱着式バッテリ装置を収納する箇所が、シートの下に設けられ、脱着式バッテリ装置を取り付けてシートを閉じると、脱着式バッテリ装置が外部から完全に見えなくなるような構造を有している。このため、暗所で脱着式バッテリ装置を取り付ける場合に、シートを開けて脱着式バッテリ装置の収納箇所を確認しようとしても、当該収納箇所に光が全く入り込まないため当該収納箇所を十分に確認することができないことがある。脱着式バッテリ装置を取り付ける際には、脱着式バッテリ装置の取付位置や方向を正しく定める必要があることを併せて考慮すると、このような真っ暗な状況で脱着式バッテリ装置の取付を行うことはきわめて困難である。
また、電動アシスト自転車や簡易型電動車いすの場合には、脱着式バッテリ装置を取り付ける箇所が車両のフレームに設けられ、当該箇所を常に外部から視認することができる構造である場合が多い。しかし、このような構造である場合でも、暗所では、脱着式バッテリ装置を取り付ける箇所に異物がないか等を確認することが難しく、また脱着式バッテリ装置の取付方向を正しく定めることが難しい。
また、例えば、利用者が脱着式バッテリ装置を明るい部屋から、暗い屋外またはガレージ内にある電動二輪車へ運ぶ際、屋外の地面やガレージ内の床に置かれた物体に脱着式バッテリ装置をぶつけてしまうおそれがある。また、脱着式バッテリ装置を屋外またはガレージ内の平らでない場所に置いてしまい、脱着式バッテリ装置を倒してしまうおそれもある。
なお、上記特許文献1には、ランプが設けられた脱着式バッテリ装置を懐中電灯の代わりに用いることが記載されている。しかしながら、そもそも特許文献1に記載の脱着式バッテリ装置に設けられたランプの本来的な用途は自転車のヘッドランプである。このため、脱着式バッテリ装置を自転車の所定の箇所に取り付けた際に、自転車の前方を照射するようにランプが配置されている。ランプがこのような配置であるため、脱着式バッテリ装置を自転車へ取り付けるときに、脱着式バッテリ装置の収納箇所をランプによって十分に照射することが難しい。また、利用者が脱着式バッテリ装置の把持部を手で持って運ぶ場合に、ランプによって利用者の足元を十分に照らすためには、脱着式バッテリ装置を両手で支えて傾け、ランプの向きを変えなければならず不便である。また、特許文献1に記載の脱着式バッテリ装置に設けられたランプはヘッドランプとして用いられるものであるため、ランプの光量が、脱着式バッテリ装置の収納箇所や利用者の足元を照射するのに必要な光量を大幅に上回っており、明るすぎる。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、暗所での電動機器への取付、電動機器からの取外、運搬を容易に、確実にまたは安全に行うことができる脱着式バッテリ装置を提供することにある。
また、本発明の第2の課題は、電動機器への取付、電動機器からの取外、運搬の際に用いる照明光の点灯、消灯の操作の手間をなくすことができる脱着式バッテリ装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の脱着式バッテリ装置は、バッテリ収納空間および前記バッテリ収納空間に連通する挿入口を備えた電動機器に着脱可能に取り付けることができ、前記電動機器に電力を供給する脱着式バッテリ装置であって、電力を貯蔵するバッテリ本体と、前記バッテリ本体を収容するケースと、前記ケースに設けられ、前記ケースから外側に向かって照明光を発する照明部と、前記照明部の照明光の点灯および消灯を制御する照明光制御部とを備え、当該脱着式バッテリ装置を前記電動機器の前記挿入口を介して前記バッテリ収納空間内へ挿入するときの当該脱着式バッテリ装置の移動方向を挿入方向というとすると、前記照明部における照明光の照射方向は前記挿入方向を含むように設定され、前記照明光は、利用者が当該脱着式バッテリ装置を前記電動機器の前記挿入口を介して前記バッテリ収納空間内へ挿入するときに暗所においても利用者が前記挿入口および前記バッテリ収容空間の内部を確認できるようにするために前記挿入口および前記バッテリ収納空間の内部を照射するものであり、前記照明光制御部は、当該脱着式バッテリ装置が前記電動機器から取り外されたときに前記照明部における照明光を点灯し、当該脱着式バッテリ装置が前記電動機器に取り付けられたときに前記照明部における照明光を消灯することを特徴とする。
本発明のこの態様によれば、脱着式バッテリ装置を電動機器に取り付けるべく、脱着式バッテリ装置を電動機器の挿入口に近づけたとき、脱着式バッテリ装置の照明部から発せられる照明光により電動機器の挿入口およびバッテリ収納空間内が照射される。これにより、たとえ脱着式バッテリ装置の電動機器への取り付け作業または電動機器からの取外作業を行う場所が暗所であったとしても、当該作業を容易に、確実にまたは安全に行うことができる。
また、本発明のこの態様によれば、利用者が脱着式バッテリ装置を電動機器から取り外すと、照明光が自動的に点灯するので、取扱が容易になり、便利である。また、利用者が脱着式バッテリ装置を電動機器に取り付けると、照明光が自動的に消灯するので、便利であると共に、照明光の不要な点灯を防止して電力を削減することができる。
また、上述した本発明の第1の脱着式バッテリ装置において、前記照明部は、前記ケースにおいて前記挿入方向を向いた面に設けられていることが好ましい。
本発明のこの態様によれば、脱着式バッテリ装置を電動機器の挿入口に近づけると、脱着式バッテリ装置のケースの挿入方向を向いた面と、電動機器の挿入口とが互いに向かい合う。これにより、脱着式バッテリ装置の照明部から発せられる照明光によって電動機器の挿入口およびバッテリ収納空間内を確実に照射することができる。
また、上述した本発明の第1の脱着式バッテリ装置において、前記照明部は、前記ケースにおいて前記挿入方向を向いた端部に設けられていることが好ましい。
本発明のこの態様によれば、脱着式バッテリ装置を電動機器の挿入口に近づけると、脱着式バッテリ装置のケースの挿入方向に向いた端部が、当該ケースの他の部分と比較して電動機器の挿入口に最も接近する。これにより、脱着式バッテリ装置の照明部から発せられる照明光により電動機器の挿入口およびバッテリ収納空間内を確実に照射することができる。特に、照明部を、ケースにおいて挿入方向に向いた最端部に設けることとすれば、脱着式バッテリ装置を電動機器の挿入口に近づけたときに、電動機器の挿入口を照射する照明光を遮断する障害物をなくすことができ、照明光の照射範囲を広くすることができ、照明光により電動機器の挿入口およびバッテリ収納空間内をより一層確実に照射することができる。
また、上述した本発明の第1の脱着式バッテリ装置において、当該脱着式バッテリ装置と前記電動機器との間の電気的接続状態を検出する接続検出部を備え、前記照明光制御部は、前記接続検出部の検出結果により、当該脱着式バッテリ装置と前記電動機器との間が電気的に切断されたときには前記照明部における照明光を点灯し、当該脱着式バッテリ装置と前記電動機器との間が電気的に接続されたときには前記照明部における照明光を消灯することが好ましい。
本発明のこの態様によれば、利用者が脱着式バッテリ装置を電動機器から取り外すと、照明光が自動的に点灯する。これにより、点灯スイッチを押す等、照明光を点灯させるための特別な操作が不要になるので、取扱が容易になり、便利である。特に、脱着式バッテリ装置の取外作業のために両手がふさがっている場合でも照明光を点灯させることができ、暗所での作業の安全性を確保することができる。また、利用者が脱着式バッテリ装置を電動機器に取り付けると、照明光が自動的に消灯する。これにより、消灯スイッチを押す等、照明光を消灯させるための特別な操作が不要になるので、取扱が容易になって便利であると共に、照明光の不要な点灯を防止し、照明光点灯に用いられる電力を削減することができる。
また、上述した本発明の第1の脱着式バッテリ装置において、当該脱着式バッテリ装置が前記電動機器の前記バッテリ収納空間に挿入されたか否かを検出する挿入検出部を備え、前記照明光制御部は、前記挿入検出部の検出結果により、当該脱着式バッテリ装置が前記電動機器の前記バッテリ収納空間から引き出されたときには前記照明部における照明光を点灯し、当該脱着式バッテリ装置が前記電動機器の前記バッテリ収納空間に挿入されたときには前記照明部における照明光を消灯する構成としてもよい。
本発明のこの態様によれば、利用者が脱着式バッテリ装置を電動機器から取り外すと、照明光が自動的に点灯するので、取扱が容易になり、便利である。また、利用者が脱着式バッテリ装置を電動機器に取り付けると、照明光が自動的に消灯するので、便利であると共に、照明光の不要な点灯を防止して電力を削減することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の脱着式バッテリ装置は、バッテリ収納空間および前記バッテリ収納空間に連通する挿入口を備えた電動機器に着脱可能に取り付けることができ、前記電動機器に電力を供給する脱着式バッテリ装置であって、電力を貯蔵するバッテリ本体と、前記バッテリ本体を収容するケースと、前記ケースに設けられ、前記電動機器から取り外された状態の当該脱着式バッテリ装置を運ぶときに利用者が把持することができ、前記ケースから外側に突出した突出状態と前記ケースから外側に突出していない非突出状態との間で切換可能な把持部と、前記把持部が前記突出状態であるか前記非突出状態であるかを検出する状態検出部と、前記ケースに設けられ、前記ケースから外側に向かって照明光を発する照明部と、前記照明部の照明光の点灯および消灯を制御する照明光制御部とを備え、利用者が前記把持部を把持して当該脱着式バッテリ装置を運んでいる間に前記照明光の照射範囲に地面が入るように前記照明部における前記照明光の照明方向が設定され、前記照明光制御部は、前記状態検出部の検出結果により、前記把持部が前記突出状態であるときには前記照明部における照明光を点灯し、前記把持部が前記非突出状態であるときには前記照明部における照明光を消灯することを特徴とする。
本発明のこの態様によれば、利用者が把持部を手で持って脱着式バッテリ装置を運ぶとき、照明光により利用者の足元を照らすことができる。これにより暗所であっても、脱着式バッテリ装置を容易にまたは安全に運ぶことができる。
また、本発明のこの態様によれば、利用者は、電動機器から取り外された状態の脱着式バッテリ装置を運ぶ際には、把持部を突出状態にし、突出状態の把持部を手で持って脱着式バッテリ装置を運ぶ。利用者が把持部を突出状態にすると照明光が自動的に点灯するので、脱着式バッテリ装置を運ぶ際、利用者は、照明光を点灯させるための特別な操作をすることなく足元を照らすことができる。一方、脱着式バッテリ装置を電動機器に取り付けた後、把持部を非突出状態にすると、照明光が自動的に消灯するので、利用者は、照明光を消灯させるための特別な操作をすることなく、照明光を消灯させることができ、無駄な電力消費を抑えることができる。
また、上述した本発明の第2の脱着式バッテリ装置において、前記突出状態である前記把持部を前記非突出状態に戻すように前記把持部を付勢する付勢手段を備えていることが好ましい。
本発明のこの態様によれば、例えば、脱着式バッテリ装置を電動機器に取り付けた後、利用者が把持部から手を離すと、把持部が自動的に非突出状態に戻り、照明光が自動的に消灯する。これにより、照明光の消灯を容易にかつ確実に行うことができ、電力消費の削減を徹底することができる。
また、上述した本発明の第1または第2の脱着式バッテリ装置において、前記照明光制御部は、前記照明部における照明光を、その点灯開始時から所定時間経過後に消灯する構成としてもよい。
本発明のこの態様によれば、照明光の点灯が長時間継続することを防止することができ、電力の消費を抑えることができる。
また、上述した本発明の第1または第2の脱着式バッテリ装置において、前記照明部における照明光の点灯、消灯を手動で切り換える切換スイッチを備えていることが好ましい。
本発明のこの態様によれば、利用者の意思に応じて照明光の点灯、消灯を切り換えることができる。
本発明によれば、暗所での脱着式バッテリ装置の電動機器への取付、電動機器からの取外、運搬を容易に、確実にまたは安全に行うことができる。また、脱着式バッテリ装置の電動機器への取付、電動機器からの取外、運搬の際に用いる照明光の点灯、消灯の操作の手間をなくすことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(電動二輪車)
図1は本発明の実施形態による脱着式バッテリ装置が取り付けられた電動機器としての電動二輪車を示している。図1において、電動二輪車1は、電力をエネルギー源として走行等の動作を行う二輪の車両である。電動二輪車1は、その骨組みを形成するフレーム2と、フレーム2の前下側にフロントフォーク等を介して支持された前輪3と、フレーム2の後ろ下側に設けられたドライブユニット4と、ドライブユニット4に支持された後輪5とを備えている。ドライブユニット4には電動モータ等が設けられ、電動二輪車1はこの電動モータを駆動させることにより走行する。また、電動二輪車1の前上側にはハンドル6およびメータ7が設けられ、電動二輪車1の前後方向ほぼ中間部上側にはシート8が設けられ、シート8の下側には収納ボックス9が設けられている。また、収納ボックス9内には、バッテリ収納空間としてのバッテリ収納部11が形成され、バッテリ収納部11には、本発明の実施形態による脱着式バッテリ装置21が収納されている。さらに、収納ボックス9内には、スペアバッテリ収納部12および小物収納部13が形成され、スペアバッテリ収納部12にはスペアバッテリ装置22が収納されており、小物収納部13には、例えば工具、マニュアル、小物等を収納することができる。
図2は、脱着式バッテリ装置21およびスペアバッテリ装置22が収納された状態の収納ボックス9を示し、図3は、脱着式バッテリ装置21およびスペアバッテリ装置22が取り除かれた状態の収納ボックス9を示す。
図2に示すように、収納ボックス9には挿入口15が形成されている。挿入口15は、上方向に開口し、バッテリ収納部11、スペアバッテリ収納部12および小物収納部13にそれぞれ連通している。電動二輪車1の走行時、停止時、駐輪時などの通常使用時には、図1に示すように、シート8により挿入口15は塞がれている。脱着式バッテリ装置21、スペアバッテリ装置22または小物等を電動二輪車1に取り付け、または電動二輪車1から取り外すときには、図2または図3に示すように、シート8を立ち上げる。
図3に示すように、バッテリ収納部11、スペアバッテリ収納部12および小物収納部13は収納ボックス9の前側から後ろ側に向かってこの順序で配置されている。バッテリ収納部11は、その内部に脱着式バッテリ装置21がぴったりと収納され、保持されるように、その形状および大きさが設定されている。また、バッテリ収納部11は、脱着式バッテリ装置21の上下方向中間部から下部にかけての部分(上端部を除くほとんどの部分)がその内部に入り込むように、その深さ方向の寸法が設定されている。これにより、走行時の振動等によって脱着式バッテリ装置21が動いてしまうことのないように脱着式バッテリ装置21をバッテリ収納部11内にしっかりと保持することができる。さらに、バッテリ収納部11内の空間はほぼ上下方向(深さ方向)に直線的に伸びている。これにより、脱着式バッテリ装置21を上から下方向に直線的に移動させることによりバッテリ収納部11に収納することができ、脱着式バッテリ装置21を下から上方向に直線的に移動させることによりバッテリ収納部11から引き出すことができる。一方、スペアバッテリ収納部12も、バッテリ収納部11と同様に、その内部にスペアバッテリ装置22をしっかりと保持することができるように形成されている。
また、図3に示すように、収納ボックス9内において、バッテリ収納部11の前側には接続部16が設けられている。接続部16は、それぞれほぼ上下方向に伸びる複数の接続端子を備えている。図2に示すようにバッテリ収納部11に脱着式バッテリ装置21を収納した状態では、脱着式バッテリ装置21に設けられた接続端子(接続部36)が、収納ボックス9内に設けられた接続端子(接続部16)と接続される。これにより、脱着式バッテリ装置21のバッテリ本体31と電動二輪車1内の電気回路(図示せず)とが電気的に接続され、脱着式バッテリ装置21から電動二輪車1への電力の供給が可能になる。
また、図3に示すように、収納ボックス9内において、接続部16の前方には、バッテリロック部17が設けられている。バッテリロック部17は、バッテリ収納部11内に収納された脱着式バッテリ装置21をロックする装置である。また、バッテリロック部17はバッテリロックケーブル17Aを備えており、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1から取り外すべくバッテリ収納部11から引き出すときには、バッテリロックケーブル17Aを上方に引っ張ることで脱着式バッテリ装置21に対するロックを解除することができる。
図4は電動二輪車1のハンドル6の近傍に設けられたメータ7を示している。図4に示すように、メータ7は表示画面25を備えている。表示画面25は、例えば液晶ディスプレイ装置等により形成され、表示画面25内には、残量表示部26、速度表示部27、運転モード表示部28等が形成されている。残量表示部26は、脱着式バッテリ装置21のバッテリ残量を利用者に対して表示する部分である。速度表示部27は、電動二輪車1の走行速度を利用者に対して表示する部分である。運転モード表示部28は、電動二輪車1の選択されている運転モードを利用者に対して表示する部分である。その他、メータ7には、走行距離、時間、方向指示等、電動二輪車1に関する様々な情報を利用者に表示する手段が設けられている。
(脱着式バッテリ装置)
図5ないし図9は本発明の実施形態による脱着式バッテリ装置21を示している。図5において、脱着式バッテリ装置21は、電動二輪車1に着脱可能に取り付けることができ、電動二輪車1に電力を供給する装置である。脱着式バッテリ装置21は、例えばリチウムイオン電池等の充電式電池から構成されるバッテリ本体31と、バッテリ本体31を収容する例えば樹脂製のケース32とを備えている。
ケース32は箱状に形成され、具体的には、前面32A、後面32B、上面32C、下面32D、右側面32Eおよび左側面32Fを有する直方体状に形成されている。すなわち、シート8に運転姿勢で座した運転者を基準にした場合、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1のバッテリ収納部11に収納した状態で、前方、後方、上方、下方、右方、左方を向く表面がそれぞれ前面32A、後面32B、上面32C、下面32D、右側面32E、左側面32Fである。ここで、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1の収納ボックス9の挿入口15を介してバッテリ収納部11に挿入するときには、脱着式バッテリ装置21を図5(図7、図12)中の矢示A方向に移動させる。以下、この方向を「挿入方向A」という。また、ケース32の前面32A側であって、挿入方向Aを向いた端部、すなわち下端部には、段部33が形成されている。
また、ケース32の前面32A上の上側には端子収容部35が設けられ、端子収容部35には、それぞれ上下方向に伸びる複数の接続端子を有する接続部36が設けられている。接続部36の接続端子は、ケース32内においてバッテリ本体31に電気的に接続されている。
また、ケース32の前面32Aの上端部右側(図5においては左側)には充電接続部37が設けられている。充電接続部37は、例えば、脱着式バッテリ装置21を充電する際に充電ケーブル51(図11参照)を接続するためのジャックである。図5においては、当該ジャックにカバーが取り付けられている。
また、図5または図7に示すように、ケースの挿入方向Aを向いた端部であって、かつ挿入方向Aを向いた面、具体的には、ケース32の下端部に形成された段部33の下向き面33Aには残量表示ユニット38が設けられている。残量表示ユニット38は、脱着式バッテリ装置21のバッテリ残量を表示する機能を有する。残量表示ユニット38は、図5または図8に示すように、複数のLEDランプ39および切換スイッチ40を備えている。
複数のLEDランプ39は一列に配列されている。バッテリが満充電状態であるとき、またはバッテリ残量が十分であるときにはすべてのLEDランプ39が点灯する。バッテリ残量がある程度減ると、例えば、図8中の最も右側に配置された1つのLEDランプ39が消灯し、これを除くすべてのLEDランプ39が点灯する。バッテリ残量がさらに減ると、図8中の最も右側に配置された2つのLEDランプ39が消灯し、これらを除くすべてのLEDランプ39が点灯する。そして、バッテリ残量が減少するに連れて、このように消灯するLEDランプ39の個数が増加していく。各LEDランプ39の点灯に必要な電力はバッテリ本体31から供給される。
切換スイッチ40は、LEDランプ39の点灯、消灯を切り換えるスイッチである。上述したようにバッテリ残量に応じた個数のLEDランプ39が点灯しているときに切換スイッチ40を押下すると、バッテリ残量に拘わらずすべてのLEDランプ39が消灯し、LEDランプ39によるバッテリ残量の表示が行われなくなる。一方、このようにLEDランプ39によるバッテリ残量の表示が行われていない間に切換スイッチ40を押下すると、LEDランプ39によるバッテリ残量の表示が行われ、バッテリ残量に応じた個数のLEDランプ39が点灯する。
利用者は、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1から取り外している間は、残量表示ユニット38のLEDランプ39を見ることにより脱着式バッテリ装置21のバッテリ残量を確認することができる。一方、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1に取り付けている間は、利用者は電動二輪車1に設けられたメータ7の表示画面25中の残量表示部26を見ることにより脱着式バッテリ装置21のバッテリ残量を確認することができる。
ここで、残量表示ユニット38の各LEDランプ39は、ケース32から外側に向かって照明光を発する照明部として機能する。各LEDランプ39は、上述したように、ケース32において挿入方向Aを向いた端部であって、かつ挿入方向Aを向いた面に配置されている。そして、各LEDランプ39から発せられる照明光は、その照射方向が挿入方向Aを含むように設定されている。また、各LEDランプ39の光量はバッテリ残量を表示するのに十分な光量に設定されているだけでなく、後述するように、暗所で利用者が脱着式バッテリ装置21の把持部41を把持して脱着式バッテリ装置21を運んでいる間に利用者の足元を含む地面を適切に照射することができ、かつ、暗所で利用者が把持部41を把持して脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1のバッテリ収納部11に挿入しようとするときに収納ボックス9の挿入口15を適切に照射することができるような光量に設定されている。一方、切換スイッチ40は、LEDランプ39によりバッテリ残量の表示を行うか否かを切り換えるスイッチとして機能するだけなく、当該照明光の点灯、消灯を手動で切り換えるスイッチとして機能する。
一方、図5に示すように、ケース32の上端部には把持部41が設けられている。把持部41は、図6に示すように、ケース32の上面32C上に形成された一対の支持部42により支持されている。把持部41は略U字型の棒状に形成されている。把持部41の両端部には軸部43がそれぞれ形成され、一方の軸部43が一方の支持部42に回転可能に支持され、他方の軸部43が他方の支持部42に回転可能に支持されている。これにより、把持部41は各支持部42に対して回転し、図7または図9中の矢示Bに示すように、その姿勢を変えることができる。
ここで、図6、図7または図9において実線で示すように、把持部41が起立し、ケース32から把持部41が突出した状態を「突出状態」という。また、図6、図7または図9において二点鎖線で示すように、把持部41が横に倒れており、ケース32から把持部41が突出していない状態を「非突出状態」という。電動二輪車1から取り外された状態の脱着式バッテリ装置21を運ぶときには、把持部41を突出状態にする。これにより、利用者は把持部41を手で持って脱着式バッテリ装置21を持ち上げ、これを容易に運ぶことができる。また、電動二輪車1のバッテリ収納部11に収納された脱着式バッテリ装置21をバッテリ収納部11から取り外すときには、把持部41を突出状態にする。これにより、利用者は把持部41を手で持って引っ張ることで脱着式バッテリ装置21をバッテリ収納部11から容易に引き出すことができる。一方、バッテリ収納部11に脱着式バッテリ装置21を収納し、シート8を閉じる場合には、シート8を閉じる前に把持部41を非突出状態にする。電動二輪車1の走行時等には脱着式バッテリ装置21の把持部41は非突出状態を維持している。
また、脱着式バッテリ装置21は、図9に示すように、把持部41の姿勢、すなわち把持部41が突出状態であるか非突出状態であるかを検出する状態検出部としてのセンサ44を備えている。例えば、センサ44は、いずれか一方の支持部42内に配置されている。センサ44は検知突起部45を有し、一方、把持部41の軸部43にはカム部46が形成されている。そして、上記支持部42内において、検知突起部45の先端部とカム部46とは、互いに対向するように配置されている。そして、検知突起部45は、センサ44内に設けられた図示しない付勢部材により伸長する方向に付勢されている。
例えば、把持部41が非突出状態であるときには、検知突起部45がカム部46の凸状部(または軸部43の未加工の周面)により押され、上記付勢部材による付勢力に抗して短縮する方向に変位する。このとき、センサ44は例えばローレベルの検出信号を出力する。一方、把持部41が突出状態であるときには、検知突起部45の先端がカム部46の凹状部(または軸部43に形成された凹部もしくは切欠き部)と対向し、上記付勢手段の付勢力により伸長する方向に変位する。このとき、センサ44は例えばハイレベルの検出信号を出力する。
さらに、脱着式バッテリ装置21は、残量表示ユニット38のLEDランプ39の点灯、消灯を制御する照明光制御部としての制御回路47を備えている。制御回路47は例えば図5に示すように、ケース32内に設けられている。制御回路47には各LEDランプ39が電気的に接続されている。また、制御回路47には残量表示ユニット38の切換スイッチ40が電気的に接続されている。また、制御回路47にはセンサ44が電気的に接続されている。また、制御回路47はタイマを有している。
具体的には、制御回路47は、切換スイッチ40が押下されたこと、およびLEDランプ39の現在の点灯状況に基づいてLEDランプ39を点灯から消灯へ、または消灯から点灯へ切り換える。また、制御回路47は、センサ44から出力された検出信号に基づいてLEDランプ39を点灯から消灯へ、または消灯から点灯へ切り換える。さらに、制御回路47は、タイマを用い、LEDランプ39が点灯してから所定時間経過後にLEDランプ39を消灯させる。なお、LEDランプ39を点灯させる際、制御回路47は、上述したようにバッテリ残量に応じてLEDランプ39を点灯させる。
また、制御回路47は、電動二輪車1と脱着式バッテリ装置21との間の電気的接続の有無を検出する機能を備えている。具体的には、制御回路47は、電動二輪車1の収納ボックス9内に設けられた接続部16と脱着式バッテリ装置21の接続部36との間の接続の有無、または電動二輪車1に設けられた電気回路と脱着式バッテリ装置21のバッテリ本体31との間の電気的接続の有無を検出することができる。そして、制御回路47は、電動二輪車1と脱着式バッテリ装置21との間の電気的接続が検出されたとき、LEDランプ39を消灯する。
図10は制御回路47の動作をより具体的に示している。図10に示すように、利用者が把持部41を起立させ、把持部41が突出状態になり、センサ44がこの旨を検出し、例えばハイレベルの検出信号を出力したとき、制御回路47はこの検出信号に基づいて把持部41が突出状態になったと判断する(ステップS1:YES)。そして、制御回路47は、現時点のバッテリ残量に応じてLEDランプ39を点灯させる(ステップS2)。
その後、利用者が把持部41を寝かせ、把持部41が非突出状態になり、センサ44がこの旨を検出し、例えばローレベルの検出信号を出力したとき、制御回路47はこの検出信号に基づいて把持部41が非突出状態になったと判断する(ステップS3:YES)。そして、制御回路47は、すべてのLEDランプ39を消灯させる(ステップS5)。また、ステップS2において、バッテリ残量に応じてLEDランプ39が点灯した後に、電動二輪車1と脱着式バッテリ装置21との間の電気的接続が検出された場合(バッテリ接続オンの場合)には、制御回路47は、把持部41の姿勢に拘わらず、すべてのLEDランプ39を消灯させる(ステップS5)。また、ステップS2において、バッテリ残量に応じてLEDランプ39が点灯した後、利用者が、把持部41を寝かせることなく、切換スイッチ40を押下した場合、制御回路47は、すべてのLEDランプ39を消灯させる(ステップS5)。
また、制御回路47は、ステップS2においてLEDランプ39が点灯を開始したとき、タイマをスタートさせる。そして、ステップS2でLEDランプ39の点灯を開始してから、利用者が、把持部41を寝かせることもなく、電動二輪車1と脱着式バッテリ装置21との間の電気的接続が検出されることもなく、切換スイッチ40を押下することもなく、所定時間が経過した場合には、制御回路47は、タイマを用いてこの旨を認識し(ステップS4:YES)、すべてのLEDランプ39を消灯させる(ステップS5)。なお、ステップS4における所定時間は例えばおよそ10分である。
図11および図12は脱着式バッテリ装置21の具体的な使用態様を示している。図11に示すように、電動二輪車1から取り外した状態の脱着式バッテリ装置21を部屋で充電するときには、脱着式バッテリ装置21の後面32Bが部屋の床に接するように、脱着式バッテリ装置21を横置きにする。そして、充電ケーブル51の一端を充電接続部37に接続し、充電ケーブル51の他端をコンセントに接続する。このように脱着式バッテリ装置21を横置きにした状態では、残量表示ユニット38が利用者にとって見易い位置となる。利用者は、切換スイッチ40を押下することにより、バッテリ残量(充電の進捗状況)を容易に確認することができる。
充電が完了した脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1に取り付けるとき、利用者は、脱着式バッテリ装置21の充電接続部37から充電ケーブル51を取り外し、把持部41を起立させ、把持部41を手で持って脱着式バッテリ装置21を持ち上げる。把持部41が起立したとき、上述した制御回路47等の動作により、残量表示ユニット38のLEDランプ39がバッテリ残量に応じて自動的に点灯する。このようにLEDランプ39を点灯させるための特別な操作が不要なので、利用者は、煩わしい操作をすることなく、脱着式バッテリ装置21の運搬を円滑に行うことができる。また、この時点では、脱着式バッテリ装置21は充電が完了したばかりなので、バッテリは満充電状態であり、それゆえ、すべてのLEDランプ39が点灯する。これにより明るい照明光が得られる。
利用者が把持部41を手で持って脱着式バッテリ装置21を持ち上げて、歩行する姿勢になると、脱着式バッテリ装置21のケース32の下面32Dおよび段部33の下向き面33Aが下を向き、地面と対向する。これにより、LEDランプ39による照明光によって、利用者の足元とその周囲の地面が照射される。例えば、電動二輪車1が暗所に置かれている場合には、LEDランプ39の照明光により利用者の足元が明るくなる。これにより、利用者が暗所で脱着式バッテリ装置21を、電動二輪車1の周囲の地面に置かれた何らかの物体にぶつけてしまったり、電動二輪車1自体にぶつけてしまうことを防止することができる。また、利用者が、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1に取り付ける前に、何らかの作業をするために、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1の周囲の地面等に仮置きする場合には、その場所が暗所であっても、LEDランプ39による照明光によって仮置きする場所を確認することができる。したがって、脱着式バッテリ装置21を仮置きする場所として、他の物体が置かれていない平らな場所を選ぶことができ、脱着式バッテリ装置21を傾いた場所に誤って置いてしまって脱着式バッテリ装置21が倒れてしまうことを防止することができる。
さらに、利用者が、図12に示すように、電動二輪車1のシート8を立ち上げ、収納ボックス9を開け、挿入口15を介して、脱着式バッテリ装置21をバッテリ収納部11内に挿入するときには、挿入口15、バッテリ収納部11の内部(例えば底面)、収納ボックス9内の接続部16付近等がLEDランプ39による照明光によって照射される。図12中の二点鎖線はLEDランプ39による照明光を示している。これにより、利用者は、電動二輪車1が置かれている場所が暗所であっても、バッテリ収納部11の位置、バッテリ収納部11内に異物がないか、接続部16付近に異物がないか、脱着式バッテリ装置21の取付向きに誤りがないか等を確認することができる。したがって、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1に容易に、確実にかつ安全に取り付けることができる。
さらに、利用者が、脱着式バッテリ装置21をバッテリ収納部11に収納し終え、把持部41を横に寝かせて非突出状態にすると、上述した制御回路47等の動作により、LEDランプ39が自動的に消灯する。例えば把持部41を横に寝かせないとシート8が閉じないような構成とすれば、利用者は把持部41を確実に横に寝かせることとなるので、LEDランプ39を確実に消灯させることができ、脱着式バッテリ装置21の電動二輪車1への取付が完了したにもかかわらず、LEDランプ39が点灯したままとなることを防止することができる。これにより、バッテリ本体31からLEDランプ39へ不要な電力が供給されることを防止し、電力消費を削減することができる。また、LEDランプ39を消灯させるための特別な操作が不要なので、利用者は煩雑な操作を強いられることがない。
一方、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1から取り外すときには、利用者は、シート8を立ち上げ、バッテリ収納部11に収納されている脱着式バッテリ装置21の把持部41を起立させ、突出状態にする。これにより、上述した制御回路47等の動作により、LEDランプ39が自動的に点灯する。利用者が把持部41を手で持って脱着式バッテリ装置21をバッテリ収納部11から引き出すと、LEDランプ39による照明光によって収納ボックス9の挿入口15が照射される。したがって、利用者は、電動二輪車1が暗所に置かれている場合でも、脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1の立ち上がったシート8やハンドル6等にぶつけることなく、容易に、確実にかつ安全に引き出し、持ち上げ、部屋等へ運ぶことができる。
以上説明した通り、本発明の実施形態による脱着式バッテリ装置21によれば、暗所での脱着式バッテリ装置21の電動二輪車1への取付、電動二輪車1からの取外、運搬を容易に、確実にまたは安全に行うことができると共に、脱着式バッテリ装置21の電動機器への取付、電動機器からの取外、運搬の際に用いる照明光の点灯、消灯の操作の手間をなくすことができる。
さらに、脱着式バッテリ装置21は、バッテリ残量を利用者に表示するための残量表示ユニット38のLEDランプ39により照明光を作り出す構成としたので、照明光を作り出すための手段を脱着式バッテリ装置21に別途追加することなく、照明光を得ることができる。したがって、脱着式バッテリ装置21の部品点数を減らし、製造コストを下げることができ、また、脱着式バッテリ装置21が重くなるのを防止することができる。
なお、上記実施形態では、脱着式バッテリ装置21のケース32の下端側に形成された段部33の下向き面33Aに、照明光を発する機能を有するLEDランプ39を配置する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、ケース32の最下端の下面32DにLEDランプ39を配置してもよい。LEDランプ39をケース32の最下端に配置すれば、挿入方向Aに向かって照射される照明光が脱着式バッテリ装置21の部分に当たって遮られてしまうことを防止できるので、照明光の照射範囲を拡げることができる。一方、LEDランプ39を必ずしもケース32の下端や最下端に配置しなくてもよい。照明光の必要とされる照射範囲を確保することができれば、LEDランプ39をケース32の他の部分の下向き面に配置してもよい。また、LEDランプ39を必ずしもケース32の真下を向いた面(挿入方向Aに対して直角に交わる面)に配置する必要はなく、照明光の必要とされる照射方向を確保することができれば、例えばLEDランプ39をケース32において斜め下を向いた面等に配置することも可能である。
また、上記実施形態では、図12に示すように挿入方向Aがほぼ下向きであったが、本発明はこれに限らない。本発明は、例えば、挿入方向がほぼ水平方向である脱着式バッテリ装置や、挿入方向がほぼ上向きである脱着式バッテリ装置にも適用することができる。
また、上記実施形態では、利用者が把持部41を起立させて突出状態にしたときにLEDランプ39を点灯させ、利用者が把持部41を横に寝かせて非突出状態としたときにLEDランプ39を消灯させる場合を例にあげたが、把持部41にばね等の付勢手段を設け、利用者が把持部41から手を離すと、把持部41が付勢手段により与えられる付勢力によって突出状態から非突出状態に自動的に移動する構成としてもよい。この構成によれば、利用者が把持部41から手を離すだけで、自動的に把持部41が非突出状態となり、LEDランプ39が消灯するので、利用者による操作の手間をさらに減らすことができる。
また、上記実施形態では、把持部41の姿勢(突出状態、非突出状態)を、把持部41の軸部43に設けられたカム部46およびセンサ44により検出し、この検出結果に基づいてLEDランプ39の点灯、消灯を切り換える場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、利用者が把持部41を握ったことを検出するセンサ等を把持部41に設け、このセンサの検出結果に基づいてLEDランプ39の点灯、消灯を切り換えてもよい。この構成によれば、利用者が把持部41を握ったときにLEDランプ39を自動的に点灯させ、利用者が把持部41から手を離したときにLEDランプ39を自動的に消灯させることができる。
また、上記実施形態では、図10に示すように把持部41の姿勢を検出してLEDランプ39の点灯、消灯を自動的に切り換える場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、図13に示すように、把持部41の姿勢を検出することなく、LEDランプ39の点灯、消灯を自動的に切り換える構成も可能である。
すなわち、図13において、制御回路47は、電動二輪車1の接続部16と脱着式バッテリ装置21の接続部36との間が切断されたか否か(バッテリ接続オフか否か)を判断する(ステップS11)。この判断の方法は、電動二輪車1に設けられた電気回路と脱着式バッテリ装置21のバッテリ本体31との間の電気的接続の有無を電気的に検出するセンサ回路(接続検出部)を設け、これにより両者間が電気的に切断されたか否かを判断する方法でもよいし、脱着式バッテリ装置21がバッテリ収納部11に挿入されているか否かを検出するセンサまたはスイッチ等(挿入検出部)を設け、これにより脱着式バッテリ装置21がバッテリ収納部11から引き出されたことを検出する方法でもよいし、電動二輪車1の収納ボックス9内に設けられたバッテリロックケーブル17Aが引っ張られたことを検出する方法でもよい。電動二輪車1の接続部16と脱着式バッテリ装置21の接続部36との間が切断された場合には(ステップS11:YES)、制御回路47は、脱着式バッテリ装置21による電力供給が正常に終了したか否かを確認した後(ステップS12:YES)、LEDランプ39を点灯させる(ステップ14)。これにより、利用者が脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1から取り外すと、LEDランプ39が自動的に点灯する。なお、脱着式バッテリ装置21による電力供給が正常に終了しなかった場合にはLEDランプ39を点灯させずにエラー表示等を行い、処理を終了する(ステップS12:NO、ステップS13)。
さらに、図13において、ステップS14の後、制御回路47は、電動二輪車1の接続部16と脱着式バッテリ装置21の接続部36との間が接続されたか否か(バッテリ接続オンか否か)を判断する(ステップS15)。この判断の方法は、電動二輪車1に設けられた電気回路と脱着式バッテリ装置21のバッテリ本体との間の電気的接続の有無を電気的に検出するセンサ回路(接続検出部)を設け、これにより両者間の電気的接続が確立されたか否かを判断する方法でもよいし、脱着式バッテリ装置21がバッテリ収納部11に挿入されているか否かを検出するセンサまたはスイッチ等(挿入検出部)を設け、これにより脱着式バッテリ装置21がバッテリ収納部11に挿入されたことを検出する方法でもよい。電動二輪車1の接続部16と脱着式バッテリ装置21の接続部36との間が接続された場合には(ステップS15:YES)、制御回路47はLEDランプ39を消灯させる(ステップ17)。これにより、利用者が脱着式バッテリ装置21を電動二輪車1に取り付けると、LEDランプ39が自動的に消灯する。なお、制御回路47は、ステップS14でLEDランプ39を点灯させた後、利用者が切換スイッチ40を押下した場合や、ステップS14でLEDランプ39を点灯させてから所定の時間が経過した場合(ステップS16:YES)にも、LEDランプ39を消灯させる(ステップS17)。
一方、上記実施形態では、LEDランプ39が点灯する個数によりバッテリ残量を表示する場合を例にあげたが、これに代えて、ランプの色によりバッテリ残量を表示してもよい。また、上記実施形態では、照明光を発する手段(照明部)として、バッテリ残量を表示するLEDランプ39を利用する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、バッテリ残量を表示するランプとは別に、照明光を発するランプを設けてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の脱着式バッテリ装置を電動二輪車1に電力を供給するための装置に適用する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、電動アシスト自転車、電動車いす等、他の電動車両に電力を供給する装置にも適用することができ、さらに、電動車両に限らず、他の電動機器にも広く適用することができる。なお、本発明の脱着式バッテリ装置を他の電動車両等の電動機器に適用した場合であって、脱着式バッテリ装置を電動機器に取り付けた状態で、脱着式バッテリ装置に設けられたバッテリ残量表示手段(残量表示ユニット)が利用者から見えない位置に配置されてしまう場合には、上記実施形態におけるメータ7の残量表示部26のように、脱着式バッテリ装置の取付時にバッテリ残量を利用者に表示するための手段を電動機器に設けることが望ましい。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う脱着式バッテリ装置もまた本発明の技術思想に含まれる。