JP5912334B2 - 情報担持媒体及び印刷物 - Google Patents
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Description
第1に本発明は、情報担持媒体を提供する。情報担持媒体は、折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートを用いて構成されている。基材シートには、その一面上で折り目を挟んだ両側にそれぞれ、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する2つの担持領域が形成されている。また、2つのうち一方の担持領域には、担持した暗号情報を基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層が形成されている。そして、2つの担持領域の少なくとも一方には、暗号情報を被覆した状態で接着層が形成されている。この接着層は、基材シートの折り畳みに伴い2つの担持領域が互いに接着された後に分離されることにより、剥離層からの剥離を伴い一方の担持領域から他方の担持領域への暗号情報の不可逆的な転写を可能とする。
(A)態様Aは、剥離層が一方の担持領域にて暗号情報の全体を定着させる範囲に広がって形成されているものである。この場合、一方の担持領域から他方の担持領域へ暗号情報が全体的に転写されることにより、他方の担持領域にて重なり合った暗号情報が視覚復号される。
本発明において別途独立の情報担持媒体もまた、折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートを用いて構成されているが、基材シートの一面上で折り目を挟んだ両側の一方に、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する担持領域が形成されている。このとき担持領域内の少なくとも一部には、担持した暗号情報の少なくとも一部を基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層が形成されている。また、基材シートの一面上で折り目を挟んで担持領域の反対側には、基材シートの折り畳みに伴い担持領域に対向して接着される対向領域が形成されている。これら担持領域及び対向領域の少なくとも一方には接着層が形成されており、接着層は、基材シートの折り畳みに伴い担持領域に対して対向領域が接着された後に分離されることにより、担持領域に担持された暗号情報のうち、剥離層の部分に対応する一部のみが剥離層からの剥離を伴い対向領域への転写により除去されることを可能とする。
図1は、第1実施形態(態様A)の情報担持媒体1を示す平面図である。第1実施形態の情報担持媒体1は、例えば、郵便はがき、商取引上の申込用紙、アンケート用紙等の印刷物に利用することができ、このとき情報担持媒体1は、各種の利用目的に適した情報(視覚復号型暗号を用いた暗号情報)を担持した媒体となる。先ず、情報担持媒体1の構成について説明する。
情報担持媒体1は、横長の矩形状をなす基材シート2を備えている。基材シート2には、印字・印刷に適した紙材料(例えば上質紙、カード紙、コート紙、クレーコート紙、合成紙等)を用いることができる。
また基材シート2には、予め折り畳み状態(ここでは2つ折り)への変形を目的として、折り目4が形成されている。すなわち基材シート2には、長手方向(ここでは左右方向)で略中央の位置に折り目4が形成されている。折り目4は、基材シート2の幅方向の中央を天地方向に延びている。
図1に示される基材シート2の一面には、折り目4の両側にそれぞれ担持領域2a,2bが形成されている。担持領域2a,2bは、折り目4の左半分と右半分のそれぞれ全域に広がって形成されていてもよいし、左半分と右半分のそれぞれ一部に区画して形成されていてもよい。図1に示される例では、折り目4の左半分と右半分のそれぞれ全域が担持領域2a,2bとなっているものとする。
基材シート2には、2つの担持領域2a,2bにそれぞれ暗号情報8,9が担持されている。暗号情報8,9は、第三者に秘匿しておきたい情報を視覚復号型暗号として暗号化された画像である。暗号化される情報は対象者に伝達するべき本来の情報であり、これには例えば、対象者別の住所、氏名、電話番号等の個人情報や、金融機関の口座情報、商取引上の利用料金、利用明細等、特定の個人に対して開示される情報が含まれる。
ここで、2つある担持領域2a,2bのうち、例えば左側の担持領域2aには、基材シート2の表面に剥離層10が形成されている。剥離層10は、例えば透明な剥離材を基材シート2の表面に印刷することで形成されている。なお、ここでは剥離層10が担持領域2aの一部に形成された例を挙げているが、担持領域2aの全域にわたって剥離層10が形成されていてもよい。また、基材シート2の材質に応じて適宜、剥離層10の下層にはさらにアンカーコート層(目止め層)が形成されていてもよい。
図1には層構成(断面)が示されていないが、暗号情報8を形成するインキ(トナー)は、剥離層10の表面に定着された状態にある。すなわち、左側の担持領域2aについては、基材シート2の表面に剥離層10が形成されているため、暗号情報8は基材シート2の表面ではなく、剥離層10の表面に定着した状態で担持されている。したがって剥離層10は、暗号情報8を形成するインキ(トナー)をその表面に定着させつつ、その定着力よりも強い力でインキ(トナー)が引き剥がされると、担持領域2a(剥離層10自身)から暗号情報8が剥離することを潜在的に可能としている。なお、暗号情報8の剥離についてはさらに後述する。
図1には示されていないが、基材シート2の一面には接着剤が塗布されている。塗布された接着剤は接着層として情報担持媒体1の層構成の一部となっているが、基材シート2のどの範囲にまで接着層を形成するかについては複数の例がある。以下、接着層を含めた情報担持媒体1の層構成について、複数例を挙げて説明する。
図2(A):第1−1例の層構成は、基材シート2の一面全体に接着層12を形成したパターンである。この場合、両側の担持領域2a,2bでは、それぞれ暗号情報8,9が接着層12で全体的に覆われている。この状態で、接着層12を構成する接着材(例えば再剥離性の糊材)は、暗号情報8,9をそれぞれ形成するインキ8a,9a(トナーでもよい)に付着している。また左側の担持領域2aでは、剥離層10よりも上層に接着層12が形成されており、剥離層10の範囲内で接着層12は基材シート2の一面に付着していない。
図2(B):次に、第1−2例の層構成は、基材シート2の一面全体ではなく、折り目4の左半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、左側の担持領域2aでは暗号情報8が接着層12で全体的に覆われているが、右側の担持領域2bでは暗号情報9がむき出しとなっている。その他については第1−1例と同じである。
図2(C):第1−3例の層構成は第1−2例と逆に、基材シート2の一面のうち、折り目4の右半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、左側の担持領域2aでは暗号情報8がむき出しとなっているが、右側の担持領域2bでは暗号情報9が接着層12で全体的に覆われている。
〔完成状態〕
先ず図3(A)に示されているように、情報担持媒体1は、その完成状態では基材シート2が見開きの状態となっている。このような情報担持媒体1は、例えば以下の工程を通じて完成させることができる。
この工程では、基材シート2の一面に剥離層10を印刷する。このとき基材シート2は、連続した長尺原反の形態であってもよい。この場合、基材シート2は図示しない原反ロールから繰り出され、これを長手方向に搬送する過程で、基材シート2の一面に剥離層10が印刷される。
この工程では、基材シート2の一面上で、2つの担持領域2a,2bにそれぞれ暗号情報8,9を印字する。暗号情報8,9の印字は、例えばインクジェット式の印字ヘッド、レーザ式のトナー転写ローラ及び定着ローラ等(いずれも図示されていない)を用いて行われる。このとき左側の担持領域2aについては、剥離層10の表面上に暗号情報8が印字される。
この工程では、基材シート2の一面のうち、その全体又は一部に接着層12を形成する。接着層12の形成は、例えば図示しない糊転写ローラ等を用いて行われる。このとき接着層12を形成する位置によって、上述した第1−1〜1−3例のいずれかの層構成が得られる。
図3(B)に示されているように、完成された情報担持媒体1は、基材シート2を折り目4に沿って2つ折りにすることが予定されている。このとき基材シート2は、2つの担持領域2a,2bが対向するようにして折り曲げられるため、暗号情報8,9は2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽された状態となる。また基材シート2は、接着層12を介して2つの担持領域2a,2bが相互に接着された状態となり、2つ折り後はその状態を保持することができる。これにより、基材シート2が再び見開きの状態に変形されるまでは、暗号情報8,9が第三者の目に触れることがなくなり、さらに情報セキュリティ性を向上することができる。
図4は、第1実施形態の情報担持媒体1を用いた印刷物100としての実施形態を示す斜視図である。
図5は、暗号情報8,9から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。なお、情報担持媒体1が印刷物100として利用された場合、その展開後は既に情報担持媒体1としての形態ではなくなっているため、ここでは展開後の印刷物100として図示している。
図6は、印刷物100が開かれた後の層構成を示す断面図である。印刷物100が開かれると、接着層12による接着力に抗して2つの担持領域2a,2bは再び分離される。
次に、本発明の情報担持媒体の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態の情報担持媒体60を示す平面図である。以下、第1実施形態との相違点を中心として説明する。また、第1実施形態と共通する事項には、図示も含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略する。
第2実施形態の情報担持媒体60は、剥離層10の形態が第1実施形態と異なっている。第1実施形態(図1)では、剥離層10が暗号情報8より広い範囲にわたって担持領域2aに形成されていたため、暗号情報8の全体が剥離層10の表面にて定着されていた。これに対し第2実施形態では、剥離層10に暗号情報8の全てが定着されておらず、その一部のみが定着されている点で第1実施形態と異なっている。
図8は、第2実施形態の情報担持媒体60を使用した場合の形態について示す連続図である。
図8(A)に示されているように、第2実施形態の情報担持媒体60を使用し、その基材シート2を2つ折りにすることで、例えば隠蔽はがきとしての印刷物が得られる。なお、ここでは印刷物としての形態は図示していないが、外観上は先の図4に示される印刷物100と同様の態様となる。
図8(B)に示されているように、得られた印刷物(参照符号600)の基材シート2が正規のユーザ(隠蔽はがきの受取人)により再び開かれると、暗号情報8,9が視覚復号された状態となる。すなわち、この場合も同様に、右側の担持領域2bにて2つの暗号情報8,9が1つに重なり合い、本来の情報が視覚復号された状態となる。ただし、ここでは左側の担持領域2aにおいて剥離層10に定着されていた暗号情報8の全てではなく、剥離層10に対応する一部のみが右側の担持領域2bに転写され、暗号情報9と1つに重なり合っている。このため、左側の担持領域2aには、剥離層10が形成されていない箇所に暗号情報8が残存していることがわかる。
次に、本発明の情報担持媒体の第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態の情報担持媒体50を示す平面図である。ここでも同様に、第1実施形態との相違点を中心として説明する。また、第1実施形態と共通する事項には、図示も含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略する。
図10(A):第2−1例の層構成は、基材シート2の一面全体に接着層12を形成したパターンである。この場合、折り目4の左側に位置する担持領域2aでは暗号情報80が接着層12で全体的に覆われている。この状態で、接着層12を構成する接着材(例えば再剥離性の糊材)は、暗号情報80を形成するインキ80a(トナーでもよい)に付着している。同様に、折り目4の右側に位置する対向領域2cもまた全体的に接着層12で覆われている。第1実施形態と同様に担持領域2aでは、剥離層10よりも上層に接着層12が形成されており、剥離層10の範囲内で接着層12は基材シート2の一面に付着していない。
図10(B):第2−2例の層構成は、基材シート2の一面全体ではなく、折り目4の左半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、担持領域2aに関しては第1例と同じであるが、対向領域2cには接着層12が形成されていない。
図10(C):第2−3例の層構成は第2−2例と逆に、基材シート2の一面のうち、折り目4の右半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、担持領域2aの暗号情報80がむき出しとなっており、対向領域2cは接着層12で全体的に覆われている。
この工程では、基材シート2の一面に剥離層10を印刷する。このとき基材シート2が連続した長尺原反の形態であってもよい点は第1実施形態と同じである。そして、基材シート2は図示しない原反ロールから繰り出され、これを長手方向に搬送する過程で、基材シート2の一面に剥離層10が印刷される。このとき印刷された剥離層10は、予め視覚復号化後の情報を象った形態を有するものとなる。
この工程では、基材シート2の一面上で、担持領域2aの方に暗号情報80を印字する。印字された暗号情報80は、その一部が剥離層10の表面上に定着し、剥離層10以外の部分では基材シート2の一面上に定着する。なお暗号情報80の印字は、同じくインクジェット式の印字ヘッド、レーザ式のトナー転写ローラ及び定着ローラ等(いずれも図示されていない)を用いて行うことができる。
この工程では、基材シート2の一面のうち、その全体又は一部に接着層12を形成する。第3実施形態においても同様に、接着層12の形成は例えば図示しない糊転写ローラ等を用いて行うことができる。このとき接着層12を形成する位置によって、上述した第1〜3例のいずれかの層構成が得られる点は第1実施形態と同様である。
図11(B)に示されているように、第3実施形態の情報担持媒体50についても、完成後は基材シート2を折り目4に沿って2つ折りにすることが予定されている。このとき基材シート2は、担持領域2aと対向領域2cとが対向するようにして折り曲げられるため、暗号情報80は2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽される。また基材シート2は、接着層12を介して担持領域2aと対向領域2cとが相互に接着された状態となり、2つ折り後はその状態を保持することができる。これにより、基材シート2が再び見開きの状態に変形されるまでは、暗号情報80が第三者の目に触れることがなくなり、さらに情報セキュリティ性を向上することができる。
図12は、第3実施形態の情報担持媒体50を用いた印刷物500としての実施形態を示す斜視図である。
図13は、暗号情報80から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。第3実施形態においても同様に、情報担持媒体50が印刷物500として利用された場合、その展開後は既に情報担持媒体50としての形態ではなくなっているため、ここでは展開後の印刷物500として図示している。
図14は、印刷物500が開かれた後の層構成を示す断面図である。印刷物500が開かれると、接着層12による接着力に抗して担持領域2aと対向領域2cは再び分離される。
第3実施形態において、以下の構成例を採用することもできる。
(1)例えば、基材シート2の担持領域2aには、予め下地に隠蔽模様が印刷されており、その上に剥離層10が印刷され、さらに暗号情報80が鏡像(反転画像)の状態で印字されているものとする。この場合、暗号情報80は、下地の隠蔽模様と重なるため、印字工程でオペレータが視認することはできない。
2 基材シート
2a,2b 担持領域
2c 対向領域
4 折り目
8,9,80 暗号情報
10 剥離層
12 接着層
100,500,600 印刷物
Claims (6)
- 折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートと、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んだ両側にそれぞれ形成され、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する2つの担持領域と、
2つのうち一方の前記担持領域に形成され、担持した前記暗号情報を前記基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層と、
2つの前記担持領域の少なくとも一方に前記暗号情報を被覆した状態で形成され、前記基材シートの折り畳みに伴い2つの前記担持領域が互いに接着された後に分離されることにより、前記剥離層からの剥離を伴い一方の前記担持領域から他方の前記担持領域への前記暗号情報の転写を可能とする接着層と
を備えた情報担持媒体。 - 請求項1に記載の情報担持媒体において、
前記剥離層は、一方の前記担持領域にて前記暗号情報の全体を定着させる範囲に広がって形成されており、
一方の前記担持領域から他方の前記担持領域へ前記暗号情報が全体的に転写されることにより、他方の前記担持領域にて重なり合った前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。 - 請求項1に記載の情報担持媒体において、
前記剥離層は、一方の前記担持領域にて前記暗号情報の一部を定着させる範囲にのみ形成されており、
一方の前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが他方の前記担持領域へ転写されることにより、他方の前記担持領域にて重なり合った前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。 - 折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートと、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んだ両側の一方に形成され、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する担持領域と、
前記担持領域内の少なくとも一部に形成され、担持した前記暗号情報の少なくとも一部を前記基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層と、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んで前記担持領域の反対側に位置し、前記基材シートの折り畳みに伴い前記担持領域に対向して接着される対向領域と、
前記担持領域及び前記対向領域の少なくとも一方に形成され、前記基材シートの折り畳みに伴い前記担持領域に対して前記対向領域が接着された後に分離されることにより、前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが前記剥離層からの剥離を伴い前記対向領域への転写により除去されることを可能とする接着層と
を備えた情報担持媒体。 - 請求項4に記載の情報担持媒体において、
前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが前記対向領域への転写により除去されることにより、前記担持領域にて前記剥離層以外の部分に残存した前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。 - 請求項1から5のいずれかに記載の情報担持媒体を使用し、前記基材シートを折り畳んだ状態で前記暗号情報を内側に隠蔽した印刷物。
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