JP5911713B2 - 防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、防振装置に関する。
例えば、自動車等の車体を構成するメンバやボディパネルには、これらの固有振動数に対応する共振周波数を有する防振装置としてのダイナミックダンパが用いられる。この種のダイナミックダンパは、防振対象体に取付けられるブラケット(取付部材)と、質量部材と、ブラケットと質量部材とを連結する弾性部材とで構成される。
ここで、質量部材の脱落を防止するため、連結ロッドを質量部材に形成された貫通孔へ圧入したダイナミックダンパがある(特許文献1)。また、弾性部材、質量部材、及び取付部材に形成された貫通孔へ段付きボルトを遊嵌し、ボディパネル等に段付きボルトを螺子止めして質量部材の脱落を防止したダイナミックダンパがある(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1の防振装置では、連結ロッドも質量部材となるので、合計の質量のばらつきが大きくなり、所望の共振周波数を安定して得ることが困難となる。
また、特許文献2の防振装置では、段付きボルトと質量部材とが非接触なので、質量の管理は容易だが、段付きボルトと取付部材との間にガタが生じ易い。
特開2001−193789号公報 特開平8−193640号公報
本発明は上記事項を考慮し、共振周波数を安定して得ることができ、質量部材の取付部材への取付けが確実な防振装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載の防振装置は、防振対象体に取付けられる取付部材と、前記取付部材に固定された弾性部材と、前記弾性部材に固定された質量部材と、前記質量部材及び前記弾性部材を貫通した貫通孔と、前記弾性部材から延出して前記取付部材に形成された挿通孔の孔壁を被覆した弾性被覆部と、前記貫通孔を非接触で貫通すると共に、前記取付部材との間に前記弾性被覆部を挟み込むようにして前記弾性被覆部へ圧入された脱落防止部材と、前記脱落防止部材の前記質量部材側の一端部を前記貫通孔より大径に拡径した質量部材側拡径部と、を有する。
請求項1に記載の防振装置では、脱落防止部材が弾性被覆部へ圧入されており、また、脱落防止部材の質量部材側の一端部が貫通孔より大径に拡径されている。このため、弾性部材が破断しても質量部材が脱落防止部材の質量部材側拡径部に係止され、質量部材が取付部材から外れるのを抑制できる。
また、脱落防止部材は、質量部材とは非接触で弾性被覆部へ圧入されているので、脱落防止部材の重量が防振装置の共振周波数に影響を与えることがない。さらに、弾性部材から延出された弾性被覆部へ脱落防止部材が圧入されているので、弾性部材が取付部材から外れるのを抑制できる。
請求項2に記載の防振装置は、前記脱落防止部材の前記取付部材側の他端部を前記挿通孔より大径に拡径した取付部材側拡径部を有する。
請求項2に記載の防振装置では、取付部材側拡径部が取付部材に係止されて、脱落防止部材の抜出しが抑制される。
請求項3に記載の防振装置は、前記弾性被覆部から延びて、前記弾性部材とで前記取付部材を挟持する弾性裏当て部を有する。
請求項3に記載の防振装置では、弾性部材と弾性裏当て部とで取付部材が挟持されているので、取付部材から弾性部材が外れるのを抑制できる。
請求項4に記載の防振装置は、前記脱落防止部材はパイプであり、前記質量部材拡径部と前記取付部材拡径部は、前記パイプを前記弾性被覆部へ圧入した後、カシメ加工される。
請求項4に記載の防振装置では、脱落防止部材として汎用のパイプを用いることができるため、コストを低減できる。また、質量部材側拡径部と取付部材側拡径部とがカシメ加工によって形成されているので、複雑な加工を要しない。
請求項5に記載の防振装置は、前記脱落防止部材は、中実ロッドである。
請求項6に記載の防振装置は、請求項5に記載の発明であって、前記中実ロッドは、前記質量部材とは異なる共振周波数で振動する。
請求項5及び請求項6に記載の防振装置では、中実ロッドを質量部材として機能させることで、2種類の共振周波数を備えた防振装置とすることができる。
本発明は、上記の構成としたので、共振周波数を安定して得ることができ、質量部材の取付部材への取付けが確実な防振装置を得ることができる。
第1実施形態に係る防振装置の斜視図である。 図1のA−A断面斜視図である。 (A)は第1実施形態に係る防振装置のパイプを圧入した状態を示す断面図、(B)はパイプの端部を拡径した状態を示す図1のA−A線断面に相当する断面図である。 第2実施形態に係る防振装置の断面斜視図である。 第3実施形態に係る防振装置の断面斜視図である。 第4実施形態に係る防振装置の断面斜視図である。
本発明の第1実施形態に係る防振装置について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る防振装置10は、自動車等のボディパネル24に取付けられる取付部材としてのブラケット16と、ブラケット16に固定された弾性部材14と、弾性部材14の上面に固定された質量部材12によって構成されている。
ブラケット16は、第1面16A及び第2面16BからなるL字形に屈曲した平板である。また、ブラケット16の第1面16Aには板厚方向にボルト孔20が貫通している。このボルト孔20にボルト22が挿入され、ボディパネル24へ取付けられている。
ここで、第1面16A及び第2面16Bがなす角度は、ブラケット16が取付けられるボディパネル24の形状によって適宜設定される。本実施形態では、ブラケット16の第1面16Aをボディパネル24に取付けた際に、第2面16Bが水平となる角度に設定されている。
図2に示すように、ブラケット16の第2面16Bには、板厚方向に貫通した挿通孔26が形成されている。挿通孔26の孔壁は、後述する弾性被覆部14Aによって被覆されており、さらに脱落防止部材としてのパイプ18が圧入されている。
また、ブラケット16の第2面16Bには、略円筒状の弾性部材14の片面が加硫接着されている。弾性部材14の下部には、挿通孔26を被覆した弾性被覆部14Aが形成され、さらにブラケット16の第2面16Bの裏面へ回り込み、弾性被覆部14Aから拡幅した弾性裏当て部14Bが形成されている。
ここで、弾性部材14、弾性被覆部14A、及び弾性裏当て部14Bは一体に形成されており、ブラケット16の第2面16Bは、弾性部材14と弾性裏当て部14Bによって挟持されている。なお、部弾性部材14、弾性被覆部14A、及び弾性裏当て部14Bは、天然ゴム等のゴム材料や、エラストマー等の弾力性を有する材料などで形成されている。
弾性部材14の上面には略円筒状の質量部材12が固定されている。質量部材12は、鉄や銅などの比重の高い材料で形成され、質量部材12の上面中央部に凹部28が形成されている。凹部28は円柱をくり抜いた形状であり、凹部28の直径は、質量部材12の直径の半分程度で、凹部28の深さは質量部材12の厚みの3分の2程度に形成されている。
また、弾性部材14及び質量部材12には、挿通孔26の同軸上に貫通孔30が形成されている。貫通孔30は、凹部28の底面から弾性部材14の上部まで同径に形成され、貫通孔30の下部は、弾性部材14から延出して挿通孔26の孔壁を被覆した弾性被覆部14Aによって縮径されている。
弾性被覆部14Aには、肉薄のパイプ18が圧入されている。パイプ18の両端は開口しており、パイプ18の上端部は貫通孔30を非接触で貫通して、径方向へ張り出した質量部材側拡径部としてのフランジ部18Aが形成されている。
フランジ部18Aは貫通孔30よりも大径に形成されており、また、フランジ部18Aと凹部28の周壁との間には一定の隙間が設けられている。さらに、パイプ18の下端部には、弾性裏当て部14Bの下方まで延びて、弾性裏当て部14Bにカシメられた取付部材側拡径部としてのカシメ部18Bが形成されている。
次に、本実施形態に係る防振装置10の製造方法の一例について説明する。
図3(A)に示すように、質量部材12とブラケット16の第2面16Bとの間に、所定の形に成形された弾性部材14を配置して加硫接着して、質量部材12とブラケット16とを固定する。ここで、弾性部材14の弾性係数、弾性部材14の高さ(h)、及び質量部材12の重量を適宜調整することで、所望の共振周波数を備えた防振装置10とすることができる。このため、本実施形態ではパイプ18は質量部材12の重量に影響しないので、ボディパネル24に取付けた後にパイプ18を圧入しても防振装置10の共振周波数は変化しない。
次に、円筒状のパイプ18を質量部材12の上方から弾性被覆部14Aに被覆された挿通孔26へ圧入する。このとき、パイプ18の上端部にはフランジ部18Aが形成されており、フランジ部18Aと凹部28の底面との間に所定の隙間を設けるように、パイプ18の圧入量を調整する。
パイプ18を弾性被覆部14Aへ圧入した後、図3(B)に示すように、パイプ18の下端部を拡径させ、弾性裏当て部14Bにカシメられたカシメ部18Bを形成する。ここで、パイプ18を拡径させる方法としては、円錐状のカシメ治具をパイプ18の下端部に挿入する方法や、ペンチ等の工具を用いてパイプ18の下端部を径方向外側へ折り曲げてカシメる方法がある。
なお、パイプ18の上端部には、予めフランジ部18Aを形成していたが、パイプ18を挿通孔26へ圧入した後にパイプ18の上端部を拡径させてフランジ部18Aを形成してもよい。この場合、汎用のパイプ18を用いることができるので、材料コストを低減できる。
また、パイプ18を圧入する際に、パイプ18の下方に図示しない受け台を設置し、パイプ18の下端部が図示しない受け台に当接するまで圧入することで、フランジ部18Aと凹部28の底面との間に、所定の隙間を設けるようにしてもよい。
さらに、パイプ18は質量部材12の上方から挿通孔26へ圧入されていたが、挿通孔26の下方から圧入してもよい。この場合、フランジ部18Aをパイプ18の下端部に形成した状態で圧入する。
次に、本実施形態に係る防振装置10の作用について説明する。
図2に示すように、防振装置10を車体のボディパネル24に取り付ける。このとき、エンジンから発生する振動によってボディパネル24が振動するときの固有振動数を予め測定しておき、この固有振動数に対応する共振周波数を備えた防振装置10を取付ける。
この状態でエンジンを始動させると、エンジンから発生する振動によって弾性部材14が鉛直方向に弾性変形し、防振装置10が取付けられたボディパネル24の振動を減衰させる。
ここで、防振装置10の使用中に弾性部材14が破断すると、質量部材12がブラケット16から外れようとするが、質量部材12の凹部28の底面がパイプ18のフランジ部18Aに係止されて質量部材12の脱落を抑制する。
また、フランジ部18Aが質量部材12を係止している状態では、パイプ18に対して上に引き抜かれる方向に力が作用するが、パイプ18は弾性被覆部14Aに被覆された挿通孔26に圧入されており、さらにパイプ18の下端部のカシメ部18Bが弾性裏当て部14Bに係止されるため、パイプ18が引き抜かれることもない。
さらに、取付部材16の第2面16Bは、弾性部材14及び弾性裏当て部14Bによって挟持されているので、弾性部材14が取付部材16から外れにくくなっている。
なお、本実施形態では、パイプ18の下端部を拡径させてカシメ部18Bを形成しているが、パイプ18を弾性被覆部14Aへ圧入するだけでパイプ18の抜出しを抑制できる場合には、カシメ部18Bを形成しなくてもよい。
また、本実施形態に係る質量部材12は略円筒状であったが、一定の共振周波数を備えた構造であれば、質量部材12の形状は特に制限しない。例えば、直方体や円錐状であってもよい。また、本実施形態に係るブラケット16の形状は略L字形状であったが、防振装置10を取付ける形状に合わせて、適宜形状を変更できることは勿論である。
次に、第2実施形態に係る防振装置について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る防振装置40を構成するパイプ42の上端部は、円板状のフランジ42Aによって閉塞されており、パイプ42の下端部は開口して、カシメ部42Bが形成されている。フランジ42Aはパイプ42と一体形成されており、フランジ42Aは貫通孔30より大径に形成されると共に、質量部材12の凹部28の直径より小径に形成されている。
本実施形態に係る防振装置40では、弾性部材14が破断しても、フランジ42Aが質量部材12の凹部28の底面を係止し、カシメ部42Bが弾性裏当て部14Bに係止されるので、質量部材12の脱落を抑制できる。
また、パイプ42の上端を閉塞することで、パイプ42の剛性を向上させている。このため、振幅の大きい振動によって質量部材12とパイプ42がぶつかってもパイプ42が変形したり、破損するのを抑制できる。
なお、本実施形態に係るフランジ42Aは円板状であったが、質量部材12と接触しなければ、特に形状は制限しない。例えば、矩形状や多角形状であってもよい。また、フランジ42Aはパイプ42の上端部に設けられていたが、パイプ42の下端部にフランジ42A設け、上端部を開口させてもよい。この場合、パイプ42は挿通孔26の下方から圧入される。また、パイプ42の上端部は圧入後に拡径される。
次に、第3実施形態に係る防振装置について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る防振装置50を構成する質量部材52は、中央部に質量部材52を貫通する貫通孔54が形成された円柱体であり、第1実施形態の質量部材12のように凹部28は形成されていない。また、貫通孔54には両端が開口したパイプ56が貫通しており、パイプ56の上端部は、質量部材52より上方に位置し、フランジ部56Aが形成されている。
パイプ56の下端部にはカシメ部56Bが形成され、弾性裏当て部14Bにカシメられている。これにより、弾性部材14が破断しても質量部材52の脱落を抑制することができる。
なお、本実施形態に係るパイプ56として、両端部が開口した汎用のパイプを用いてもよい。この場合、パイプ56を挿通孔26へ圧入した後、パイプ56の上端部を拡径し、パイプ56の下端部を弾性裏当て部14Bにカシメる。
次に、第4実施形態に係る防振装置について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る防振装置60は、脱落防止部材としての中実ロッド62が弾性被覆部14Aを被覆した挿通孔26へ圧入されている。中実ロッド62は円柱状であり、鉄や銅などの比重の高い材料で形成される。
また、中実ロッド62の上端部は、貫通孔30より上方に位置しており、円板状のフランジ部62Aが形成されている。フランジ部62Aの直径は、貫通孔30より大径であり、フランジ部62Aと凹部28の周壁との間には、一定の隙間が設けられている。
また、中実ロッド62の下端部には、拡径されて弾性裏当て部14Bにカシメられた筒部62Bが形成されている。
本実施形態に係る防振装置60では、ボディパネル24が異なる2種類の固有振動数で振動している場合であっても、質量部材12と中実ロッド62とが振動することによって、それぞれの固有振動を減衰させることができる。
また、弾性部材14が破断したときには、フランジ部62Aが質量部材12を係止して質量部材12の脱落を抑制する。
なお、本実施形態に係る中実ロッド62は中実構造としたが、共振周波数を調整するために中実ロッド62の一部に中空部を形成してもよい。また、フランジ部62Aの形状は円板状であったが、他の形状でもよい。例えば、矩形状や多角形状であってもよい。
以上、本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1〜第4の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、図2において、パイプ18を弾性被覆部14Aへ圧入した後、パイプ18の下端部にストッパ部材を取付けても良い。
10 防振装置
12 質量部材
14 弾性部材
14A 弾性被覆部
14B 弾性裏当て部
16 ブラケット(取付部材)
18 パイプ(脱落防止部材)
18A フランジ部(質量部材側拡径部)
18B カシメ部(取付部材側拡径部)
26 挿通孔
30 貫通孔
40 防振装置
42 パイプ(脱落防止部材)
42A フランジ(質量部材側拡径部)
42B カシメ部(取付部材側拡径部)
50 防振装置
52 質量部材
54 貫通孔
56 パイプ(脱落防止部材)
56A フランジ部(質量部材側拡径部)
56B カシメ部(取付部材側拡径部)
60 防振装置
62 中実ロッド
62A フランジ部(質量部材側拡径部)
62B 筒部(取付部材側拡径部)

Claims (6)

  1. 防振対象体に取付けられる取付部材と、
    前記取付部材に固定された弾性部材と、
    前記弾性部材に固定された質量部材と、
    前記質量部材及び前記弾性部材を貫通した貫通孔と、
    前記弾性部材から延出して前記取付部材に形成された挿通孔の孔壁を被覆した弾性被覆部と、
    前記貫通孔を非接触で貫通すると共に、前記取付部材との間に前記弾性被覆部を挟み込むようにして前記弾性被覆部へ圧入された脱落防止部材と、
    前記脱落防止部材の前記質量部材側の一端部を前記貫通孔より大径に拡径した質量部材側拡径部と、
    を有する防振装置。
  2. 前記脱落防止部材の前記取付部材側の他端部を前記挿通孔より大径に拡径した取付部材側拡径部を有する請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記弾性被覆部から延びて、前記弾性部材とで前記取付部材を挟持する弾性裏当て部を有する請求項1又は2に記載の防振装置。
  4. 前記脱落防止部材はパイプであり、前記質量部材拡径部と前記取付部材拡径部は、前記パイプを前記弾性被覆部へ圧入した後、カシメ加工される請求項2に記載の防振装置。
  5. 前記脱落防止部材は、中実ロッドである請求項1〜3の何れか1項に記載の防振装置。
  6. 前記中実ロッドは、前記質量部材とは異なる共振周波数で振動する請求項5に記載の防振装置。
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