JP5911308B2 - 短鎖長化多糖類の製造方法 - Google Patents

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本発明は、短鎖長化多糖類の製造方法に関し、特に固体酸触媒を利用した短鎖長化多糖類の製造方法に関する。
一般に、多糖類は、植物根茎や種子、海藻等の天然物からの分離抽出や微生物による産生、あるいは、化学工業による重合反応によって得られる。特に天然物から得られる多糖類は、結晶化した構造を取っており冷水に溶解しにくい特徴がある。例えば、デンプンは、直径5〜100μm程の粒子(デンプン粒)として得られる。加熱によりその粒子が膨潤、溶解してデンプン糊となる他、殆どの多糖類が冷水には溶解しにくく、加熱や強力な撹拌が必要とされる。そのため、多糖類を容易に溶解する処理方法として、酸処理や酵素処理が用いられる。
酸処理は、硫酸や塩酸等の強酸を添加して行う加水分解である。酸による設備腐食や漏出による環境汚染、分解処理後に使用した酸を分離除去することが非常に困難である等の問題を有する。酵素処理は、対象となる多糖類の構成糖や結合形式に応じた適切な酵素が選定して用いられ、比較的温和な条件で反応が進行する。そして、酵素はタンパク質から構成されるため、加熱や変性剤によって沈殿させ固液分離により除去できるという点で有効である。
例えば、低強度寒天を製造する場合、寒天成分を含む原料に対して酸処理を施したのち、中和処理工程を経て、アルコール沈殿に代表される回収処理が行われる(例えば、特許文献1参照。)。この製造方法によれば、用いた酸を中和した塩は溶解したままであるのに対し、酸処理した寒天成分は沈殿するため、固液分離の手法を用いて寒天成分のみを得ることができる。しかし、分離に用いるアルコールの引火性や揮発性により事故や漏出が起こりやすく、その貯蔵や移送、分離を行う設備等について、特別の配慮と高度な管理が必要となる問題がある。
一方、固体酸触媒と称される、固体の性質と酸の反応性を併せ持つ触媒を用いれば、酸処理と同様に、酵素のような処理対象の制限を受けることなく、また固液分離の要領で固体酸触媒と、処理された多糖類とを分離することが可能である。例えば、寒天の加水分解物であるアガロビオースを得る場合、10%w/vの寒天溶液に、活性型の強陽イオン交換樹脂を1%w/vとなるよう添加し、90℃で3時間加水分解したのち、固液分離により得ることができる(例えば、特許文献2参照。)。この方法によれば、強陽イオン交換樹脂が固体酸として作用しており、固液分離によりその除去は容易である。しかし、処理対象である寒天は、反応前に溶液として調整する必要があり、高粘性による取扱いの困難さについては解消されていない。
これに対し、糖化原料混合液を収容する有底筒状の反応容器と、該反応容器の開口を塞ぐ蓋部と、該糖化原料混合液を撹拌するための撹拌手段とを備えた糖化用反応装置を用いて固体酸触媒とセルロースとを混合すれば、固体酸触媒と原料多糖類を混和加熱した際に、水分の蒸発を避け一定の水分量を保ったまま反応させることができる(例えば、特許文献3参照。)。しかし、セルロースは強固な結晶構造を有するために加水しても粘性が生じることはないが、デンプンその他の多糖類は加水状態で加熱することで粘性を生じ、固体酸触媒との混合や撹拌に困難が生じる。
このように固体酸触媒による多糖類の酸処理は、従来の酸処理に比べ、処理物からの除去という観点からは有効であったが、反応条件について課題を多く有していた。
特開平5−317008号公報 特開2008−278893号公報 特開2011−212560号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、固体酸触媒と多糖類とをより有効な反応条件で反応させて多糖類を短鎖長化するための短鎖長化多糖類の製造方法を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、多糖類原料と固体酸触媒とを水が添加されない状態で混合して混合粉体とし、前記混合粉体を水が添加されない状態で加熱することにより前記多糖類原料を短鎖長化した分解生成物を得ることを特徴とする短鎖長化多糖類の製造方法に係る。
請求項の発明は、前記固体酸触媒が、炭化物にスルホン酸基を導入して得た炭素系固体酸触媒である請求項に記載の短鎖長化多糖類の製造方法に係る。
請求項の発明は、前記分解生成物に加水し、短鎖長化糖類を溶解して前記固体酸触媒から分離する請求項1または2に記載の短鎖長化多糖類の製造方法に係る。
請求項の発明は、前記多糖類原料がデンプンである請求項1ないしのいずれか1項に記載の短鎖長化多糖類の製造方法に係る。
請求項1の発明に係る短鎖長化多糖類の製造方法は、多糖類原料と固体酸触媒とを水が添加されない状態で混合して混合粉体とし、前記混合粉体を水が添加されない状態で加熱することにより前記多糖類原料を短鎖長化した分解生成物を得ることを特徴とする短鎖長化多糖類の製造方法ため、反応性の低下を防止して短鎖長化された多糖類を効率よく得ることができる。
請求項の発明は、請求項において、前記固体酸触媒が、炭化物にスルホン酸基を導入して得た炭素系固体酸触媒であるため、良好な触媒活性を得ることができる。
請求項の発明は、請求項1または2において、前記分解生成物に加水し、短鎖長化糖類を溶解して前記固体酸触媒から分離するため、固体酸触媒を容易に除去することができる。
請求項の発明は、請求項1ないしにおいて、前記多糖類原料がデンプンであるため、入手が容易である。
本発明の一実施例に係る製造方法の概略工程図である。
図1に示す本発明の一実施例に係る短鎖長化多糖類の製造方法は、多糖類原料(M)と固体酸触媒(C)とを混合して混合粉体とし(S1)、混合粉体を加熱する(S2)ことにより多糖類原料を短鎖長化した分解生成物(P)を得ることを特徴とする。
多糖類原料は、デンプンに代表される糖を構成単位(例えば、デンプンの場合はグルコース)とし、固有の結合(例えば、デンプンの場合はα1,6結合)を有する重合対である。多糖類原料としては、デンプンの他、寒天、コンニャク、アガロース、セルロース、アルギン酸、ペクチン、ジェランガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、キシログルカン等が挙げられる他、これらの各種誘導体も含まれる。これらは植物種子や根茎、海藻類等の天然物から得られる他、微生物培養や触媒重合によっても調整できる。
固体酸触媒は、炭化物にスルホン酸基をはじめとする各種の反応性官能基を導入して得た炭素系固体酸触媒である。
炭素系固体酸触媒を形成する主原料は、純粋セルロース等のセルロース含有原料をはじめ、樹木、草木、果実、種子等または再生セルロースから選ばれる少なくとも1種を炭素源(出発原料)とし、これらの植物系原料が炭素系固体酸触媒を構成する構造骨格となる。植物系原料として、例えば、木材、間伐材、建築廃木材、オガ屑(オガコ)、椰子殻、コーヒーの出し殻、クルミの殻、桃等の果実の種子、パルプ製造時の副生成物、リグニン廃液、製糖廃棄物、廃糖蜜、海藻、レーヨン、セロハン等を列記することができる。植物系原料は未焼成物であっても焼成物(ただし不完全な焼成物である)であってもよい。これらの原料の特徴としては、いずれもセルロースを構成成分として有しており、比較的容易かつ、大量に調達できる材料に由来する。セルロースは焼成後に炭素の環構造を保持しやすいため好ましく用いられる。
ここで、炭化物とは、不完全な炭化状態の物質をいう。不完全な炭化とは、10〜20個の芳香族6員環からなる多環式芳香族炭化水素で構成されたアモルファスカーボンであり、一例としてはベンゼン環が10〜20個並んだ状態のものである。粉末X線回析パターンにおいては、半値幅(2θ)が5〜30°の炭素(002)面の回析ピークが検出されるような状態のものである。これは、有機物を完全に炭化すると、炭素だけになってしまい、後記するスルホン酸基が結合できないことから必須となる。すなわち、この要件は、有機物を不完全に炭化することで、炭素と水素との結合を残存させて、そこにスルホン酸基等を結合させるようにする。
炭素系固体酸触媒の製造方法としては、前出の炭素源となるセルロース含有原料、あるいは植物系原料を焼成(予備炭化、不完全な炭化)して予備炭化物を得た後、予備炭化物に濃硫酸または発煙硫酸中あるいは三酸化硫黄ガスを添加させて80〜350℃の温度域でスルホ化する。こうして、予備炭化物にスルホン酸基(−SO2(OH))が導入されたスルホ化物である炭素系固体酸触媒が得られる。なお、スルホン酸基はスルホ基とも称される。
予備炭化は、大気中で行うこともできるものの、過剰な炭化を抑制するため、窒素ガス、炭酸ガス、ヘリウムガスの通気、あるいは燃焼時の排気ガスを循環させること等の不活性ガス雰囲気下における加熱として行われる。嫌気性条件とすることにより、過剰な炭化を抑制できる。
多糖類原料と固体酸触媒との混合(S1)は、両者を粉末状態で適度に接触させる工程であり、多糖類原料10重量部に対して固体酸触媒が0.5〜5重量部を混合して行われる。固体酸触媒が0.5重量部より少ない場合、多糖類原料と固体酸触媒との接触部分が少なく、反応性が低下するおそれがある。一方、固体酸触媒が5部より多い場合、多糖類原料と固体酸触媒との接触機会が頭打ちとなって反応性が向上しない問題がある。
混合粉体の加熱(S2)は、粉末状態で接触した多糖類原料と固体酸触媒とを90〜160℃で一定時間乾熱処理して反応させて多糖類原料を可溶性高分子(多糖類)の状態に分解する。加熱温度が90℃より低い場合、十分に反応が進まない問題がある。一方、加熱温度が160℃より高い場合、必要とされる熱量に見合う収率が得られないおそれがある。なお、固体酸触媒は、加水分解酵素と異なり、熱量に依存して反応が促進する。従って、反応の開始または停止が容易となり、工業的な生産に都合がよい。
また、この製造方法では、多糖類原料と固体酸触媒との混合及び混合粉体の加熱を水が添加されない状態(無水系)で行われる。多糖類原料と固体酸触媒との混合時に水分が存在している場合、水分が多糖類原料と固体酸触媒との接触を阻害するおそれがあり、加熱時に水分が存在している場合、水分の蒸発時に熱が奪われて反応性が低下するおそれがある。また、加熱の際に多糖類原料が溶解し粘性を生じて、固体酸触媒との混合が困難となったり、容器に付着しコゲを生じる等の問題が発生する恐れもある。ただし、多糖類原料や固体酸触媒に含まれる水分を完全に除去する必要はなく、粉末状態を保持できる程度の内部に含まれる水分は許容される。多糖類の多くは10%程度の水分を含んでいても実質的に粉末状である。
多糖類原料と固体酸触媒の混合および加熱方法については、適当な容器内で充分に振り混ぜたのち、所定温度に調整した加熱炉内で一定時間加温する方法が挙げられる。その他の混合方法については、リボンミキサーやタンブラーミキサー等の粉体混合機により、バッチ式または連続的に行う方法が挙げられる。加熱については、加熱炉内に静置する他、ローラーハースキルンのように容器を炉内で移送させて、連続的に加熱する方法が挙げられる。また、ロータリーキルンや流動床反応器のような、混合と加熱を同時に行う方法も挙げられる。特に本発明においては、多糖類原料と固体酸触媒が接触して反応するため、混合と加熱を同時に行うことは、反応効率向上に有効である。
さらに、この製造方法では、分解生成物に加水し、短鎖長化多糖類は溶解されて固体酸触媒から分離される。例えば、原料多糖類と固体酸触媒を混合・加熱して得た処理物へ加水し、原料多糖類が固体酸触媒の作用で短鎖長化した分解生成物である短鎖長化多糖類は液相へ溶解する。濾過や遠心分離といった固液分離方法による固相の固体酸触媒を分離する方法が挙げられる。
加水には、冷水や熱水等を任意に用いることができる。例えば、冷水を加水すれば、冷水可溶した短鎖長化多糖類のみが液相に移るため、冷水可溶性の短鎖長化多糖類を得ることができる。熱水を用いれば、溶解が容易なだけでなく、溶解後に加温状態を保持することで、固体酸触媒の作用による加水分解をさらに進めることもできる。
溶解状態で得られた短鎖長化多糖類は、そのままの液状で用いる他、濃縮等により所望の濃度に調整したり、スプレードライやフリーズドライ、加熱ロールによるドラムドライといった方法で乾燥させることもできる。また、溶解状態のまま、任意の成分を溶解または混合したり、酸処理または酵素処理のような反応に供することもできる。また、多糖類原料が短鎖長化されることで遊離する、色素等の有用成分を回収することもできる。分解されなかった多糖類原料は固相に残り、固体酸触媒とともに分離されるが、これらは炭素系固体酸の原料として再利用することもできる。
〔固体酸触媒分析方法〕
・スルホン酸基量測定
炭素系固体酸触媒に含まれる元素組成を、自動燃焼イオンクロマト装置(イオンクロマトグラフ:DIONEX製ICS−1000、燃焼装置:株式会社三菱化学アナリテック製AQF−100、吸収装置:株式会社三菱化学アナリテック製GA−100、送水ユニット:三菱化学アナリテック製WS−100、燃焼温度1000℃)にて分析した。得られた硫黄分(mmol/g)は、スルホン酸基と等価であるとして、炭素系固体酸触媒のスルホン酸基量(mmol/g)を求めた。
・加水分解活性
炭素系固体酸触媒0.1gと、セロビオース0.12g、蒸留水0.7gを混合し、90℃にて一時間反応させた。反応液に含まれる糖組成を、糖HPLC装置(カラム:バイオ・ラッド ラボラトリーズ社製アミネックスHPX−87H、オーブン:株式会社島津製作所製CTO−20AC、検出器:株式会社島津製作所RID−10A、送液ユニット:株式会社島津製作所LC−20AD、デガッサ:株式会社島津製作所DGU−20A3)にて分析した。なお内部標準物質として、所定濃度のキシリトールを用いた。得られた糖類のピーク面積比よりセロビオース分解量を求め、炭素系固体酸触媒重量当たりのセロビオース分解速度として、加水分解活性を求めた。
〔固体酸触媒製造例〕
炭素源となる植物系原料として、米松(ベイマツ)の鋸粉(オガコ)を105±5℃に保った乾燥機内で8時間乾燥後、目開き4.0mmの篩下に篩別し、木粉20gを取り分けた。この木粉20gをるつぼに入れて電気炉内に置いた。炉内に窒素ガスをパージさせながら、5℃/分の昇温温度で350℃まで60分間かけて昇温し、その後350℃を60分間維持し焼成した(予備炭化)。冷却後、電気炉からるつぼを取り出し、粉砕機により0.18mm以下に粉砕し、予備炭化物を得た。
・スルホ化
予備炭化物10gに100mLの11%発煙硫酸を加えて撹拌したのち、1℃/分の昇温速度で80℃まで加温し、その後10時間加熱しスルホ化した。冷却後、過剰な濃硫酸を100℃の蒸留水で繰り返し洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸が元素分析の検出限界以下になるまで洗浄を繰り返した。水洗後、105±5℃に保った乾燥機内で8時間乾燥して、スルホ化物である炭素系固体酸触媒を得た。
・触媒活性評価
得られた炭素系固体酸触媒は、メジアン径43.3μm(株式会社島津製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−200Vによる測定)、スルホン酸基量2.27mmol/g、加水分解活性1061μmmol・g-1・h-1であった。
〈試作例1〉
原料多糖類として市販コーンスターチ(株式会社私の台所製)を用い、原料多糖類10部に対して、乾燥固体酸触媒1部を加え、よく混合したうえで、300mL容ガラスビーカーの底に、一様となるように広げた。予め60℃に設定した定温乾燥機(アドバンテック東洋株式会社製FC−610)の機内にビーカーを静置し、60℃にて一時間乾熱処理を行った。処理後、室温まで放冷し、30部の脱イオン水(25℃)を加え、マグネティックスターラーにて10分間よく撹拌したうえで、全量をプラスチック製遠沈管に入れ、遠心分離機(日立工機株式会社製CT6D)にて3000回転10分間遠心分離し、可溶性多糖類を含む上清と、未分解の原料多糖類および固体酸触媒を含む沈殿に分画した。得られた上清に含まれる冷水可溶化した多糖類濃度を、屈結率計(株式会社アタゴ製DR−A1)にて測定し、式(i)に従い冷水可溶分(%)を算出した。以後の各試作例及び表において、部とは重量部を示す。
Figure 0005911308
〈試作例2〉
乾熱処理温度を90℃とする以外は、試作例1と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例3〉
乾熱処理温度を120℃とする以外は、試作例1と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例4〉
乾熱処理温度を140℃とする以外は、試作例1と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例5〉
乾熱処理温度を160℃とする以外は、試作例1と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例6〉
固体酸触媒を加えない以外は、試作例1と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例7〉
乾熱処理温度を90℃とする以外は、試作例6と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例8〉
乾熱処理温度を120℃とする以外は、試作例6と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例9〉
乾熱処理温度を140℃とする以外は、試作例6と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例10〉
乾熱処理温度を160℃とする以外は、試作例6と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
Figure 0005911308
表1に示すように、試作例1から5の結果から、処理温度60℃以下では反応が非常に進みにくく、90℃以上にて冷水可溶分の生成が始まる。反応を充分進めるためには、140℃以上であることが望ましいが、200℃を超えると多糖類そのものの炭化が生じることに注意が必要である。さらに120℃と160℃にて得られる冷水可溶分を勘案すると、160℃以上では必要とされる熱量に見合う収率が得られないものと予想される。
〈試作例11〉
固体酸触媒を0.1部にするほかは、試作例4と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例12〉
固体酸触媒を0.3部にするほかは、試作例4と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例13〉
固体酸触媒を0.5部にするほかは、試作例4と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例14〉
固体酸触媒を5部にするほかは、試作例4と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
〈試作例15〉
固体酸触媒を湿潤状態で3部(水分60.0%のため、乾燥換算では1.2部)にするほかは、試作例4と同じ操作を行い、冷水可溶分を算出した。
Figure 0005911308
表2に示すように、試作例11から15の結果から、固定酸触媒添加量が1部より少ない場合は大幅に冷水可溶分が低下していたが、1部より多い場合には大きな差が生じていない。これは、固体酸触媒と原料多糖類がともに粉末状態であるため、両者の接触部分で分解反応が進むことから、固体酸触媒量が少ない場合は接触が少なくなるために反応性が低下する。一方で固体酸触媒量が多い場合は、原料多糖類との接触機会が頭打ちとなり反応性も上がらない。また、試作例15より固体酸触媒が湿潤状態である場合、固体酸触媒を乾燥状態とした場合に比べ冷水可溶分の低下が認められる。湿潤状態の固体酸触媒は、表面に水分が存在しており、この水分が固体酸触媒と原料多糖類の接触を阻害したり、水分が蒸発する際に熱を奪うため、反応性が低下すると考えられる。
上清に含まれる冷水可溶分について、その加水分解率(DE)をウイルシュテッターシューデル法により測定した。DEとはDextrose Equivlentの略であり、ブドウ糖当量とも呼ばれる、デンプンの加水分解率の指標である。ブドウ糖は還元力を有する分子であるため、デンプンの加水分解度に比例して、ブドウ糖末端が増加し、還元力が増加する。デンプンのDEは0であるが、ブドウ糖のDEは100である。水飴類のDEは30から50程度である。
〈試作例16〉
試作例4により得られた冷水可溶分を含む上清について、ウイルシュテッターシューデル法によりDEを測定した。
〈試作例17〉
試作例5により得られた冷水可溶分を含む上清について、試作例16と同じ方法でDEを測定した。
〈試作例18〉
原料多糖類をバレイショデンプン(株式会社扇カネ安製)とするほかは、試作例4と同じ方法で冷水可溶分を算出し、試作例16と同じ方法でDEを測定した。
〈試作例19〉
原料多糖類をタピオカデンプン(株式会社ギャバン製)とするほかは、試作例18と同じ方法で冷水可溶分を算出し、DEを測定した。
〈試作例20〉
原料多糖類をワキシースターチ(日本食品化工株式会社製)とするほかは、試作例18と同じ方法で冷水可溶分を算出し、DEを測定した。
Figure 0005911308
表3に示すように、試作例16から20の結果から、デンプン種の違いにより冷水可溶分には差異があったが、DEについてはいずれも5未満の低い値であった。試作例16と17では、冷水可溶分の増加がみられるものの、DEについては、ほぼ同じ程度であった。これは本発明において、固体酸触媒は主にデンプンの冷水可溶化に作用するが、冷水可溶化のうえ更に低分子化させる作用が低いことを示している。
〈試作例21〉
原料多糖類としてアルギン酸ナトリウム(関東化学株式会社製)を用い、試作例4と同じ方法で乾熱処理を行ったのち、60℃温水に投入し、アルギン酸ナトリウム濃度が5%となるよう溶解・調整した。溶解後、B型粘度計(東機産業株式会社製TVB−10M)にて60℃の粘度を測定した。測定に用いるプローブおよび回転数は適宜調整した。
〈試作例22〉
原料多糖類としてアルギン酸ナトリウム(関東化学株式会社製)を用い、原料多糖類10部と固体酸触媒2部を混合したのち、沸騰湯浴中に投入し、アルギン酸ナトリウム濃度が5%となるよう溶解・調整した。溶解後、直ちに試作例21と同じ方法で粘度を測定した。
〈試作例23〉
試作例22と同じ方法でアルギン酸ナトリウム溶液を調製し、溶解後85℃にて一時間保持したのちに、試作例22と同じ方法で粘度を測定した。
〈試作例24〉
85℃での保持時間が2時間である以外は、試作例23と同じ方法で粘度を測定した。
〈試作例25〉
85℃での保持時間が3時間である以外は、試作例23と同じ方法で粘度を測定した。
〈試作例26〉
85℃での保持時間が4時間である以外は、試作例23と同じ方法で粘度を測定した。
〈試作例27〉
85℃での保持時間が5時間である以外は、試作例23と同じ方法で粘度を測定した。
〈試作例28〉
85℃での保持時間が6時間である以外は、試作例23と同じ方法で粘度を測定した。
〈試作例29〉
固体酸触媒を混合しない以外は、試作例22と同じ方法で粘度を測定した。
Figure 0005911308
表4に示すように、試作例22から28によれば、85℃熱水中においても固体酸触媒の作用によりアルギン酸カルシウムの短鎖長化は進む。一方、試作例28と試作例21を比較したところ、熱水中における固体酸触媒の反応よりも、予め乾熱加熱した試作例21は熱水中で6時間処理した試作例28よりも短鎖長化されており、効率よく分解されている。
本発明は、溶解困難な多糖類原料を粉末状態のままで固体酸触媒と反応させることで、固体酸触媒と多糖類とをより有効な反応条件で反応させることができるため、多糖類を短鎖長化が簡便に進む。

Claims (4)

  1. 多糖類原料と固体酸触媒とを水が添加されない状態で混合して混合粉体とし、前記混合粉体を水が添加されない状態で加熱することにより前記多糖類原料を短鎖長化した分解生成物を得ることを特徴とする短鎖長化多糖類の製造方法。
  2. 前記固体酸触媒が、炭化物にスルホン酸基を導入して得た炭素系固体酸触媒である請求項に記載の短鎖長化多糖類の製造方法。
  3. 前記分解生成物に加水し、短鎖長化糖類を溶解して前記固体酸触媒から分離する請求項1または2に記載の短鎖長化多糖類の製造方法。
  4. 前記多糖類原料がデンプンである請求項1ないしのいずれか1項に記載の短鎖長化多糖類の製造方法。
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