JP2009067730A - 無水糖、有機酸、及びフルフラール類の生産方法 - Google Patents

無水糖、有機酸、及びフルフラール類の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 レボグルコサンなどの無水糖、HMFなどのフルフラール類、レブリン酸などの有機酸を効率的に生産する手段を提供する。
【解決手段】 単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させることを特徴とする単糖類又は二糖類の分解方法、及び前記分解方法を利用した無水糖、有機酸、又はフルフラール類の生産方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、単糖類又は二糖類の分解方法、及び単糖類又は二糖類を分解し、無水糖、有機酸、又はフルフラール類を生産する方法に関する。
化石資源に依存した「消費型社会」は、石油資源の枯渇や地球温暖化など大きな社会問題を引き起こしている。石油に大きく依存した消費型社会を転換するには、石油に代わる化学資源を用いたエネルギー・化学品製造プロセスの構築が必須である。現在、地域的偏在が少ない化学資源として「バイオマス」が注目されている。天然に豊富に存在するバイオマス原料の代表例は「セルロース」である。植物の主な構成成分であるセルロースは、単糖(グルコース)がβ-1,4-グルコシド結合で連結した天然高分子である。セルロースの化学資源化は、(1)加水分解反応による糖化処理と(2)生成したグルコースの変換(分解)反応の2段階で構成される。どちらのプロセスも酵素や硫酸など均一系触媒によって行われているが、生成物と触媒の分離に多大なエネルギーが必要となることが最大の問題である。固体触媒による糖化プロセスは、反応溶液から触媒の分離が容易である点が最大のメリットである。そのため、高活性かつ安定な固体酸触媒による糖化方法の確立は非常に重要である。
本発明者らは、セルロースの化学資源化に非常に有効な固体酸触媒として、スルホン酸基含有炭素質材料を開発し、先に出願を行っている(特許文献1、特許文献2)。このスルホン酸基含有炭素質材料は、セルロースなどを炭化・スルホン化して得られ、その基本構造は、強酸性スルホン酸基が結合したナノサイズのグラフェンシートであり、グラフェンシート同士は安定な共有結合で連結している(図1)。
このスルホン酸基含有炭素質材料は水が介在する酸触媒反応(水和反応,加水分解反応)に対して従来の固体酸より高い活性を示すため、加水分解反応を基本にしたセルロース糖化反応に対して有効であることが本発明者らによって確認されている(PCT/JP2007/062612号明細書、未公開)。しかし、加水分解により生じたグルコースを化学資源化するためには、発酵や酸脱水反応といった更なる分解反応が必要となる。
国際公開第2004/069789号パンフレット 国際公開第2005/029508号パンフレット
ところで、酸触媒によるグルコースの分解反応では、多数の反応生成物が確認されている(図2)。これらの反応生成物の中でも、化学資源として重要なものはレボグルコサン、5−ヒドロメチルフルフラール(HMF)、レブリン酸の三種類である。HMF及びレブリン酸はプラスチックや樹脂など多様な化学製品の原料となり、石油化学資源の代替原料として重要である。また、レボグルコサンも、生体高分子・立体規則性多糖・医薬品などの次世代原料として注目されている。
本発明は、以上のような技術的背景の下になされたものであり、レボグルコサンなどの無水糖、HMFなどのフルフラール類、レブリン酸などの有機酸を効率的に生産する手段を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、グルコースをスルホン酸基含有炭素質材料と反応させることにより、レボグルコサン、HMF、及びレブリン酸を効率的に生産できることを見出した。また、フェノール性水酸基の少ないスルホン酸基含有炭素質材料を用いることにより、前記三物質を更に効率的に生産できることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(17)を提供するものである。
(1)単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させることを特徴とする単糖類又は二糖類の分解方法。
(2)スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする(1)に記載の単糖類又は二糖類の分解方法。
(3)単糖類が、グルコースであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の単糖類又は二糖類の分解方法。
(4)単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させ、反応生成物から無水糖を採取することを特徴とする無水糖の生産方法。
(5)スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする(4)に記載の無水糖の生産方法。
(6)単糖類が、グルコースであることを特徴とする(4)又は(5)に記載の無水糖の生産方法。
(7)無水糖が、レボグルコサンであることを特徴とする(4)乃至(6)のいずれかに記載の無水糖の生産方法。
(8)単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させ、反応生成物から有機酸を採取することを特徴とする有機酸の生産方法。
(9)スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする(8)に記載の有機酸の生産方法。
(10)単糖類が、グルコースであることを特徴とする(8)又は(9)に記載の有機酸の生産方法。
(11)有機酸が、レブリン酸であることを特徴とする(8)乃至(10)のいずれかに記載の無水糖の生産方法。
(12)単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させ、反応生成物かフルフラール類を採取することを特徴とするフルフラール類の生産方法。
(13)スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする(12)に記載のフルフラール類の生産方法。
(14)単糖類が、グルコースであることを特徴とする(12)又は(13)に記載のフルフラール類の生産方法。
(15)フルフラール類が、5-ヒドロメチルフルフラールであることを特徴とする(12)乃至(14)のいずれかに記載のフルフラール類の生産方法。
(16)フェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であるスルホン酸基含有炭素質材料。
(17)濃硫酸又は発煙硫酸中で、有機化合物に対して0〜95℃の加熱処理を行うことを特徴とするスルホン酸基含有炭素質材料の製造方法。
本発明により、化学製品の原料として有用なHMF及びレブリン酸、医薬品の原料として有用なレボグルコサンなどを効率的に生産することが可能になる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の単糖類又は二糖類の分解方法は、単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させることを特徴とするものである。また、本発明の無水糖、有機酸、又はフルフラール類の生産方法は、単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させ、反応生成物から無水糖、有機酸、又はフルフラール類を採取することを特徴とするものである。
最初に、触媒として使用するスルホン酸基含有炭素質材料について説明する。
本発明における「スルホン酸基含有炭素質材料」とは、スルホン酸基を持ち、ダイヤモンドや黒鉛のような明確な結晶構造を持たない炭素をいい、具体的には、国際公開第2005/029508号パンフレットに記載されているスルホン酸基導入無定形炭素や国際公開第2004/069789号パンフレットに記載されている固体酸などを例示できる。
使用するスルホン酸基含有炭素質材料は、単糖類又は二糖類を分解できるものであれば特に限定されないが、フェノール性水酸基密度が低いものを使用するのが好ましい。具体的には、フェノール性水酸基密度が、1.8 mmol/g以下であるものが好ましく、1.0 mmol/g以下であるものが更に好ましく、0.3 mmol/g以下であるものが最も好ましい。なお、フェノール性水酸基密度の下限値は特に限定されず、フェノール性水酸基密度は0.0 mmol/g(酸塩基滴定法による測定値)以上であってもよく、0.1 mmol/g以上であってもよい。
また、スルホン酸基含有炭素質材料のスルホン酸基密度及びカルボン酸基の密度も特に限定されないが、スルホン酸基密度は0.3 〜 4.0 mmol/gであるものが好ましく、1.0 〜3.0 mmol/gであるものが更に好ましく、2.0 〜 2.5 mmol/gあるものが最も好ましく、カルボン酸基密度は0.1 〜 2.0 mmol/gであるものが好ましく、0.2 〜 1.0 mmol/gであるものが更に好ましく、0.3 〜 0.5 mmol/gあるものが最も好ましい。
スルホン酸基含有炭素質材料は、国際公開第2005/029508号パンフレットに記載されているように、濃硫酸又は発煙硫酸中で、有機化合物に対して加熱処理を行うことにより製造することができる。
濃硫酸又は発煙硫酸中の有機化合物の加熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性ガス気流中、あるいは乾燥空気中で行うことがスルホン酸基密度の高いスルホン酸基含有炭素質材料を製造する上で必要である。より好ましい処理は有機化合物を加えた濃硫酸又は発煙硫酸に窒素、アルゴン等の不活性ガス、あるいは乾燥空気を吹き込みながら加熱を行うことである。濃硫酸と芳香族化合物の反応によって芳香族スルホン酸と水が生成するが、この反応は平衡反応である。したがって反応系内の水が増えると、逆反応が早く進むため、炭素質材料に導入されるスルホン酸の量が著しく低下する。不活性ガスや乾燥空気気流中で反応を行うか、反応系にこれらのガスを吹き込みながら反応を行い、水を反応系から積極的に除去することによって高いスルホン酸密度をもつ炭素質材料を合成することができる。
加熱処理においては、有機化合物の部分炭化、環化及び縮合などを進行させると共に、スルホン化を起こさせる。加熱処理温度は、前記反応を進行させる温度であれば特に限定されないが、通常、50℃〜350℃である。処理温度が50℃未満の場合、有機化合物の縮合、炭化が十分でなく、炭素の形成が不十分であること、スルホン酸基が充分に導入されないことがあり、また、処理温度が350℃を超えると、スルホン酸基の熱分解が起きる場合がある。また、処理温度が100℃以上になると、得られるスルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が高くなるため、フェノール性水酸基密度の低いスルホン酸基含有炭素質材料を製造する場合には、処理温度は、0 〜 95 ℃とするのが好ましく、30 〜 90 ℃とするのが更に好ましく、75 〜 85 ℃とするのが最も好ましい。なお、出発原料が多環式芳香族炭化水素の場合には炭化およびスルホン化処理を同時に1工程で行うことが好ましい。
加熱処理時間は、使用する有機化合物や処理温度などによって適宜選択できるが、通常、1〜50時間、好ましくは5〜20時間である。
使用する濃硫酸又は発煙硫酸の量は特に限定されないが、有機化合物1モルに対し、通常、2.6〜50.0モル、好適には6.0〜36.0モルである。
有機化合物としては、芳香族炭化水素類を使用することができるが、それ以外の有機化合物、例えば、グルコース、砂糖(スクロース)、セルロースのような天然物も好適に使用できる。ポリエチレン、ポリアクリルアミドのような合成高分子化合物を使用してもよい。これらセルロース、ヘミセルロース、リグニン、リグノセルロースなど木質系材料は、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の熱安定性が高いことから好ましい。また木類や草本類などセルロース、ヘミセルロース、リグニン、リグノセルロースなどを含む材料を精製することなくそのまま用いることも可能である。この場合はセルロース成分を分離・生成する手間が不要となり、作業性および経済的な観点から好ましい。芳香族炭化水素類は、多環式芳香族炭化水素類でも単環式芳香族炭化水素類でもよく、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、コロネンなどを使用することができ、好適には、ナフタレンなどを使用することができる。また、フェノール樹脂なども好適に用いることができる。フェノール樹脂などの合成高分子材料は、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の酸量が高いことから好ましい。有機化合物は、一種類だけを使用してもよいが、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、必ずしも精製された有機化合物を使用する必要はなく、例えば、芳香族炭化水素類を含む重油、ピッチ、タール、アスファルトなどを使用してもよい。
グルコース、セルロース等の天然物や合成高分子化合物を原料とするときは、濃硫酸又は発煙硫酸中での加熱処理の前に、これらの原料を不活性ガス気流中で加熱し、部分炭化させておくことが好ましい。このときの加熱温度は、通常、100〜600℃であり、処理時間は、通常、1分〜100時間、好ましくは2〜30時間である。炭化処理の温度が前記範囲の下限に満たない場合には、これをスルホン化処理して得られるスルホン酸基含有炭素質材料の耐熱性が劣る、あるいは水又は有機物への溶解分が多いなどの問題を生じる傾向にある。温度が前記範囲の上限を超える温度の場合には、これをスルホン化処理する際に十分な量のスルホン酸基を付与することができず、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の加水分解反応に対する触媒活性が不十分なものとなる傾向にある。炭化処理の時間が前記範囲の下限に満たない場合には、これをスルホン化処理して得られるスルホン酸基含有炭素質材料の耐熱性が劣る、あるいは水または有機物等への溶解分が多いなどの問題を生じる傾向にある。一方、前記範囲の上限の時間で必要な炭化は十分進行しており、それを超える時間をかけることは不要であると同時に余分なエネルギーを消費することとなり好ましくない。前記した木類や草本類などを原料としてスルホン酸基含有炭素質材料を製造する場合も、濃硫酸又は発煙硫酸中での加熱処理の前に、これらの原料を不活性ガス気流中で加熱し、炭化させておくことが好ましい。このときの加熱温度は、300〜600℃が好ましい。炭化後のスルホン化処は濃硫酸あるいは発煙硫酸を用いて前記した条件で行うことができるが、好ましくは50〜250℃である。
炭化およびスルホン化処理工程後には、好ましくは熱水で洗浄することにより余剰の硫酸を除去し、さらに乾燥することによって、本発明のスルホン酸基含有炭素質材料を得ることができる。熱水による洗浄は、例えばソックスレー抽出法等により、約100℃での還流下で行うのが簡便である。加圧下にさらなる高温で洗浄することにより、洗浄時間を短縮することも可能である。
芳香族炭化水素類、又はこれを含む重油、ピッチ、タール、アスファルトなどを原料とする場合、濃硫酸又は発煙硫酸中での加熱処理の後、生成物を真空加熱することが好ましい。これは、過剰の硫酸を除去すると共に、生成物の炭化・固化を促進させ、生成物の収率を増加させる。真空排気は排気速度10L/min以上、到達圧力100torr以下の排気装置を用いることが好ましい。好ましい加熱温度は140〜300℃、より好ましい温度は200〜280℃である。この温度における真空排気の時間は、通常2〜20時間である。
使用するスルホン酸基含有炭素質材料の単糖類又は二糖類に対する量は特に限定されないが、単糖又は二糖類1gに対し、通常、0.05 〜 0.3 gとし、好ましくは、0.1 〜 0.2 gである。触媒であるスルホン酸基含有炭素質材料が原料1gに対して0.05g未満であると、分解反応が十分な速度で進行せず、原料1gに対して0.3gを超えると、容量の大きな反応器他の設備による設備コストが増大し、また加熱、冷却等に要するエネルギーコストも増大するので好ましくない。
次に、本発明の分解方法等の原料、反応条件等について説明する。
原料とする単糖類又は二糖類は特に限定されない。単糖類としては、グルコース、リボース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、リブロース、フルクトース、ソルボースなどを例示でき、これらの中でもグルコースが好ましい。二糖類としては、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどを例示でき、これらの中でもセロビオースが好ましい。
本発明の分解反応時の反応温度は、通常、80 〜 150 ℃、好ましくは、100 〜 120 ℃である。80℃より低い温度では分解反応が十分な速度で進行しない。また150℃より高い温度ではスルホン酸基含有炭素質材料の劣化などが起こり好ましくない。
本発明の分解反応の反応圧力は特に指定はないが、100℃以上の温度で反応を行う際には、水の蒸発を避けるため大気圧以上の圧力であることが好ましい。
本発明の分解反応の反応時間は、撹拌装置を有する槽型反応器を用いる場合、通常、10分 〜 10時間、好ましくは2時間 〜 4時間である。10分より短い場合には、加水分解反応が十分に進行せず、10時間より長い場合には、反応槽が大きくなりエネルギーコストが大きくなるなどの問題が生じ好ましくない。
単糖類又は二糖類の分解生成物の中から無水糖、有機酸、又はフルフラール類を採取する。採取の方法は、特別な方法を用いる必要はなく、各物質において常用されている方法に従って行うことができる。
無水糖としては、レボグルコサン、1,6-anhydro-β-D-glucofuranoseなどを例示でき、これらの中でもレボグルコサンが好ましい。有機酸としては、レブリン酸、ギ酸などを例示でき、これらの中でもレブリン酸が好ましい。フルフラール類としては、HMFなどを例示できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
〔実施例1〕 スルホン酸基含有炭素質材料の合成
セルロースを窒素ガス気流下(100 ml/min)で加熱炭化(450℃,5時間)して得られた炭素質を、窒素ガス気流下(20 ml/min)、15%発煙硫酸中でスルホン化(80-150℃,10時間)した。濾過で回収したスルホン化試料を、ソックスレー抽出器によって連続的に熱水洗浄(80℃,3日間)し、スルホン酸基含有炭素質材料を得た。
このスルホン酸基含有炭素質材料中のスルホン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基の密度を酸塩基滴定によって定量した。結果を表1に示す。
スルホン化の処理温度が高くなると、触媒活性サイトとなるスルホン酸基密度は減少する傾向が見られた。一方、反応には直接関与しない弱酸性のフェノール性水酸基に着目すると、100℃以上のスルホン化処理によって大きく増加していることが明らかになった。フェノール性水酸基は電子供与性官能基である。スルホン酸基とフェノール性水酸基が共存した場合、スルホン酸基の酸強度は減少すると予想される。よって、80℃でスルホン化した試料と100℃以上でスルホン化した試料では酸特性に大きな差が見込まれる。
〔実施例2〕 グルコースの分解反応
蒸留水(1.0 mL),D-グルコース(1.25 g, 6.94 mmoL)およびスルホン酸基含有炭素質材料(0.10 g)をガラスセル内に導入し、100℃または120℃に保ったオイルバス上で5時間撹拌し、グルコースの分解反応を行った。分解反応におけるグルコースの転化率、並びにレボグルコサン、ギ酸、レブリン酸、及びHMFの選択率を求めた。レボグルコサンはHPLC(Shimazu, CLASS-VP, カラム:Asahipak NH2P-50 4E)、ギ酸、レブリン酸、及びHMFはGC-MS(Shimazu, GCMS-MQ 5050)により分析した。この結果を表2に示す。
80℃でスルホン化したスルホン酸基含有炭素質材料を用い、反応温度を120℃とした場合、グルコースの分解により、レボグルコサン、レブリン酸、ギ酸およびHMFが生成した。反応温度を100℃とした場合は、グルコースの転化率は低下した。転化率の低下は単純に反応温度の低下に起因しており、反応選択率については120℃で反応させた場合と大きな差はみられなかった。
125℃でスルホン化したスルホン酸基含有炭素質材料を用いた場合、80℃でスルホン化したスルホン酸基含有炭素質材料を用いた場合よりも、転化率は上昇したが、レボグルコサン、レブリン酸、およびHMFの選択率は大きく低下した。実施例1で示したように、125℃でスルホン化したスルホン酸基含有炭素質材料は、80℃でスルホン化したスルホン酸基含有炭素質材料よりもフェノール性水酸基密度が高い。このことが、転化率の上昇、並びにレボグルコサン、レブリン酸、およびHMFの選択率の低下に関係していると考えられる。
硫酸を用いた場合、グルコースの転化率は、いずれのスルホン酸基含有炭素質材料を用いた場合よりも高くなった。しかし、反応生成物は有機酸(ギ酸およびレブリン酸)に大きく偏っていた。このため、硫酸を用いた場合、選択的に一連の化学物質を合成することや選択的に特定の化学物質を合成することは困難であると考えられる。
スルホン酸基含有炭素質材料の構造を模式的に表した図。 グルコースの分解反応における反応経路図。

Claims (17)

  1. 単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させることを特徴とする単糖類又は二糖類の分解方法。
  2. スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の単糖類又は二糖類の分解方法。
  3. 単糖類が、グルコースであることを特徴とする請求項1又は2に記載の単糖類又は二糖類の分解方法。
  4. 単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させ、反応生成物から無水糖を採取することを特徴とする無水糖の生産方法。
  5. スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする請求項4に記載の無水糖の生産方法。
  6. 単糖類が、グルコースであることを特徴とする請求項4又は5に記載の無水糖の生産方法。
  7. 無水糖が、レボグルコサンであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の無水糖の生産方法。
  8. 単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させ、反応生成物から有機酸を採取することを特徴とする有機酸の生産方法。
  9. スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする請求項8に記載の有機酸の生産方法。
  10. 単糖類が、グルコースであることを特徴とする請求項8又は9に記載の有機酸の生産方法。
  11. 有機酸が、レブリン酸であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の無水糖の生産方法。
  12. 単糖類又は二糖類をスルホン酸基含有炭素質材料と反応させ、反応生成物かフルフラール類を採取することを特徴とするフルフラール類の生産方法。
  13. スルホン酸基含有炭素質材料のフェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であることを特徴とする請求項12に記載のフルフラール類の生産方法。
  14. 単糖類が、グルコースであることを特徴とする請求項12又は13に記載のフルフラール類の生産方法。
  15. フルフラール類が、5-ヒドロメチルフルフラールであることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載のフルフラール類の生産方法。
  16. フェノール性水酸基密度が、1.8mmol/g以下であるスルホン酸基含有炭素質材料。
  17. 濃硫酸又は発煙硫酸中で、有機化合物に対して0〜95℃の加熱処理を行うことを特徴とするスルホン酸基含有炭素質材料の製造方法。
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