JP5910389B2 - エタノール発酵基質としての糖類の製造方法 - Google Patents

エタノール発酵基質としての糖類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リグノセルロースを含有するバイオマスである木本性植物の萌芽からエタノールを効率的に製造する方法に関する。
植物系バイオマス中に含まれるセルロースやヘミセルロースからエタノールの発酵基質となる単糖類は、酸や酵素による加水分解により得ることができる。トウモロコシやサトウキビ等の農作物を原料としてエタノールを生産する技術は既に確立されており、米国、ブラジルで実用化されている。しかし、農作物を原料として用いると食糧不足あるいは農作物の価格上昇などにつながるため、食糧と競合しない植物バイオマスを原料としたエタノール製造技術の開発が望まれている。
パルプの原料である木本性植物は、植林で栽培されて伐採されるが、伐採された後のパルプの原料として使用しない部位をエタノールの製造のための原料として有効利用することは重要な研究課題であると考えられる。パルプとして使用しない部位を原料としてエタノールを生産する技術として、樹皮から糖類を製造する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、木本性植物は、農作物と比較し生長が遅いため、効率良く栽培する技術の開発が望まれている。木本性植物を植林で栽培する方法としては挿し木、萌芽更新による方法が用いられている。
萌芽更新による栽培方法では、一般に木を伐採した後、切り株から発芽した複数本の芽のうち1本を残し、他の複数の芽を刈り取るため、刈り取られた芽をエタノール生産のためのバイオマス原料として用いることが可能である。しかし、萌芽を原料としてエタノールを生産する技術に関する報告はない。
特開2010−115171号公報
本発明の課題は、木本性植物の萌芽を原料として用いて効率的な手段によりエタノールを生産する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、リグノセルロース原料からのエタノール製造方法において、木本性植物を伐採した後の切株から発芽した萌芽を原料として用いることにより効率的にエタノールを製造できることを見出し、下記発明を完成した。
(1)木本性植物を伐採した後の切株から発芽してから1〜5年目の萌芽よりなるリグノセルロース原料を含有する懸濁液に亜硫酸ナトリウムとpH調整剤としてのアルカリとを添加して加熱処理することにより、加水分解中の加水分解液のpHを中性〜弱アルカリ性に維持して加熱処理懸濁液を得、該加熱処理懸濁液から固液分離により固形分を分離し、分離した固形分を水と糖化酵素と混合して酵素糖化用懸濁液を調製し、酵素糖化処理することよりなる、エタノール発酵基質としての糖類の製造方法
(2)前記pH調整剤を水酸化ナトリウムとし、前記原料懸濁液の加熱処理を120〜180℃、30〜120分の加熱処理条件で行うことを特徴とする、(1)項に記載のエタノール発酵基質としての糖類の製造方法
(3)前記萌芽が、ユーカリ属植物及びヤナギ属植物から選ばれる少なくとも1種の植物の萌芽であることを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載のエタノール発酵基質としての糖類の製造方法。
本発明により、木本性植物の萌芽を原料として用い効率的な手段によりエタノールを生産する方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
<リグノセルロース原料>
本発明では、エタノール生産のためのリグノセルロース原料として木本性植物を伐採した後に切り株から発生した萌芽を用いることができる。萌芽とは、切り株から発芽した芽を指し、切り株上に生育している状態の萌芽を切り株から伐採し原料として用いる。萌芽更新による栽培方法では、伐採後、切り株から複数の芽が発生するが、通常は1本の芽のみを残し他の芽は刈り取る。刈り取られた芽をエタノール生産のための原料として用いる。
前記木本性植物としては、ユーカリ(Eucalyptus)属植物、ヤナギ(Salix)属植物、ポプラ属植物、アカシア(Acacia)属植物、スギ(Cryptomeria)属植物等が利用できるが、ユーカリ属植物、ヤナギ属植物が原料として大量に採取し易いため好ましい。
前記原料として用いる萌芽の生育年数については、前記木本性植物の伐採後に切り株から発生してから発生してから1〜5年目の萌芽を用いるのが好ましく、1〜3年目の萌芽を用いるのがさらに好ましい。切り株から発生してから1〜5年目の萌芽を用いることにより高い糖収率が得られるため好ましい。一方、栽培期間が長い程、時間当たりの原料コストが上昇するため切り株から発生してから5年を超える萌芽を用いるのは好ましくない。
<機械的処理>
本発明では、前記リグノセルロース原料に機械的処理を施すことができる。機械的処理としては、破砕、裁断、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の化学的処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー、ボールミル等を用いることができる。
前記機械的処理の前工程又は後工程として、不純物(石、ゴミ、金属、プラステック等のリグノセルロース以外の不純物)を除去するための洗浄などによる不純物除去工程を導入することもできる。
原料を洗浄する方法としては、例えば、原料に水を噴射して原料に混合されている不純物を除く方法、あるいは、原料を水中に浸漬し不純物を沈降させて取り除く方法等が挙げられる。また、メタルトラップ等の装置を用いて、不純物を原料から分離する方法が挙げられる。
原料に不純物が含まれていると、リファイナーのディスク(プレート)等の機械的処理で用いる装置の部品を破損させる可能性があるし、配管が詰まる等の製造工程内でトラブルを起こす等の問題が発生するため、不純物除去工程を導入することが望ましい。
〈化学的処理〉
前記機械的処理を施した後のリグのセルロース原料を次に化学的処理する。化学的処理としては、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加した水溶液を加熱処理する。リグノセルロースに亜硫酸ナトリウムを前記の添加量で単独で添加して加熱処理すると、加水分解条件下で加水分解を継続すると、加水分解中に酢酸等の有機酸が生成するためpHの低下が起こり加水分解液が酸性となる。酸性条件下で加水分解を継続するとリグノセルロースの加水分解で生成されたキシロースがフルフラールに変換するという問題が発生する。フルフラールは、エタノール発酵の阻害物質となるため可能な限りフルフラールを生成させないことが望ましい。また、酸性条件下では、キシロースの分解が促進されるためキシロース(発酵基質)の収率が低下し、結果としてエタノール生産効率が低下する。
本発明では、リグノセルロース原料に前記の添加量で亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤としてアルカリを添加して加熱処理することにより、加水分解中に加水分解液のpHが中性〜弱アルカリ性に維持されるため、発酵阻害物質であるフルフラールの生成を抑制し、また、発酵基質であるキシロースの収率低下を抑制することができる。また、加熱処理後(加水分解後)のリグノセルロースを含む水溶液のpHが4.0〜7.0(弱酸性〜中性)となるため、加水分解処理後の廃液あるいは加水分解物を中和するための薬品の使用量を低減できるというメリットがある。安全性の面でも酸やアルカリの使用量が低減するため安全面でのリスクを低減することができる。さらに、従来のアルカリ処理を行う方法と比較して高い糖収率が得られる。
pH調整剤として用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの薬品に限定されない。使用するアルカリは、水酸化ナトリウムが望ましい。
加熱処理温度は、80〜200℃が好ましく、120〜180℃がさらに好ましい。また、加熱処理時間は、10〜300分で行うことができるが、30〜120分が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理温度は、180℃以下、処理時間は120分以下であることが好ましい。
(磨砕処理)
本発明では、前記化学的処理により得られたリグノセルロース原料をレファイナーのディスク(プレート)のクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲で磨砕する。使用するレファイナーとしては、シングルディスクレファイナー、ダブルディスクレファイナー等を使用することができ相対するディスクのクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲に設定できるレファイナーであれば特に制限なく使用することができる。ディスクのクリアランスが2.0mmを超えると糖化または併行糖化発酵で得られる糖収率が低下するため好ましくない。一方、ディスクのクリアランスが0.1mmより小さいとレファイナーで磨砕処理した後の加水分解物(固形分)の収率が低下し、また、レファイナーの運転に要する電気消費量が増大するため好ましくない。
レファイナーのディスク(プレート)の材質、ディスクの型、ディスク面の刃の型、ディスク面に対する刃の方向等のディスクの形状については効果が得られる材質、形状であれば、特に制限なく使用することができる。
前記の磨砕処理が施されているリグノセルロース系原料を水溶液と固形分に固液分離し、固形分を糖化または併行糖化発酵の原料として用いる。固液分離する方法としては、例えば、スクリュープレス等を用いて水溶液と固形分に分離することができるが、水溶液と固形分に分離することができる装置であれば制限なく使用することができる。
前記の固形分離後の原料を用いて糖化または併行糖化発酵を行う前に殺菌処理を行うことが好ましい。リグノセルロース系バイオマス原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
前記前処理が施されているリグノセルロース原料が、糖化工程または併行糖化発酵工程へ供給される。
<糖化工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、糖化工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素(セルラーゼ、ヘミセルラーゼ)により糖化(セルロース→グルコース、ヘミセルロース→グルコース、キシロース)される。
<併行糖化発酵工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、さらに酵母等の微生物と混合されて併行糖化発酵工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素により糖化され、生成された糖が酵母によりエタノールに発酵される。
糖化工程又は併行糖化発酵工程で用いるリグノセルロース系原料の懸濁濃度は、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
併行糖化発酵で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス(Trametes)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程でのpHは3.5〜10.0の範囲に維持することが好ましく、4.0〜7.5の範囲に維持することがより好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程の温度は、酵素の至適温度の範囲内であれば特に制限はなく、25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。反応は、連続式が好ましいが、セミバッチ式、バッチ式でも良い。反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
発酵用に用いられる微生物としては酵母などが用いられ、培地などを同時に添加しても良い。酵母としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が使用できる。
また、微生物は固定化しておいてもよい。微生物を固定化しておくと、次工程に微生物を液と共に送り出して再回収するという工程を省くことができるか、少なくとも回収工程にかかる負担を軽減することができるし、微生物をロスするリスクを軽減することもできる。また、微生物を固定化するほどでのメリットはないが、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
本発明では、酵素糖化処理工程内に電解質として水溶性塩を添加することができる。酵素糖化処理工程において、電解質を原料懸濁液に添加し原料懸濁液の電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することが好ましい。電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することによりリグノセルロース原料の未反応成分や反応残渣等への酵素の吸着が抑制されるため、酵素糖化処理工程内における酵素の循環率が長期にわたって高い水準に維持することができる。酵素糖化処理工程内において、操作上、電解質を添加することが可能な工程であれば、いずれの工程においても制限なく電解質を添加することができる。一次糖化発酵工程内で添加することが操作が容易なため望ましい。
水溶性塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれる塩類が好ましい。アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、酢酸塩、クエン酸塩からなる群から選ばれる水溶性塩が挙げられる。
糖化工程または併行糖化発酵工程を出た培養液は、固液分離工程へ移送され、液体分(濾液)と固形分(残渣)に分離される。固液分離を行う装置としては、スクリュープレス、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いることができる。
回収された固形分(残渣)は糖化工程または併行糖化発酵工程へ移送し糖化発酵の原料として用いることもできる。
固液分離工程で分離された液体分(濾液)は蒸留工程へ移送される。
<蒸留工程>
蒸留工程では、減圧蒸留装置により発酵生成物としてエタノールが蒸留分離される。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪くなる。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度にすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
<遠心分離工程>
蒸留残液は、遠心分離工程へ移送され残留している残渣を遠心分離によって除去した後、液体留分は併行糖化発酵工程に循環されるか又は二次併行糖化発酵工程(前記、一次併行糖化発酵工程とは異なる第2の併行糖化発酵工程)へ移送される。二次併行糖化発酵工程では、新しいリグノセルロース原料を添加して糖化発酵させることもできるし、キシロース等の五炭糖の発酵を目的とした発酵を行うことができる。遠心分離後の液体留分には酵素が含まれており、併行糖化発酵工程または二次併行糖化発酵工程で再利用される。一方、遠心分離後の残渣には、酵素、リグニン、酵母が含まれている。リグニンは、燃焼原料として回収しエネルギーとして利用することもできるし、リグニンを回収し有効利用することもできる。また、酵母を残渣から分離して、糖化発酵工程で再利用することもできる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
実験例1
[前処理]
Eucalyptus globlus(ユーカリ属)を伐採した後の切り株から発芽してから6ヶ月の萌芽(発芽してから6ヶ月経過した萌芽)を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを添加後、水を添加し水溶液の容量を10Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、170℃で1時間加熱した。加熱処理後の原料懸濁液をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)でディスク(プレート)のクリアランスを1.0mmに設定し磨砕した。次に20メッシュ(847μm)のスクリーンを用いて磨砕処理後の原料源濁液を固液分離(脱水)することにより溶液の電気伝導度が30μS/cmになるまで水で洗浄した。固液分離後の固形分を原料として糖化試験を実施した。
[糖化試験(試験管内実験)]
前記で得られた固形分を原料として試験管内で糖化試験を下記の方法で行った。300ml容三角フラスコ(滅菌済)に原料の最終濃度が、2.5質量%になるように添加した。次に、市販セルラーゼ(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)2.5mlを添加し、最終容量を蒸留水で100mlにメスアップした。この混合液を37℃で24時間培養(糖化)した。培養後の培養液を遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清液の全糖濃度を測定した。得られたデータより糖収率(得られた全糖量/原料に含まれる炭水化物量 x 100)を算出した。結果を表1に示す。
実験例2
実験例1において、切り株から発芽してから1年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例3
実験例1において、切り株から発芽してから2年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例4
実験例1において、切り株から発芽してから3年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例5
実験例1において、切り株から発芽してから4年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例6
実験例1において、切り株から発芽してから5年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実験例7
実験例1において、切り株から発芽してから7年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
Figure 0005910389
表1に示すように、Eucalyptus globlusの萌芽を用いた試験では、伐採後の切り株から発芽してから1〜5年目の萌芽を用いた場合(実験例2〜6)、6ヶ月の萌芽を用いた場合(実験例1)、7年目の萌芽を用いた場合(実験例7)と比較し糖収率が高かった。
実験例8
実験例1において、Eucalyptus pellita(ユーカリ属)を伐採した後に切り株から発芽してから6ヶ月目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例9
実験例1において、Eucalyptus pellitaを伐採した後に切り株から発芽してから1年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例10
実験例1において、Eucalyptus pellitaを伐採した後に切り株から発芽してから2年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例11
実験例1において、Eucalyptus pellitaを伐採した後に切り株から発芽してから3年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例12
実験例1において、Eucalyptus pellitaを伐採した後に切り株から発芽してから4年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例13
実験例1において、Eucalyptus pellitaを伐採した後に切り株から発芽してから5年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
実験例14
実験例1において、Eucalyptus pellitaを伐採した後に切り株から発芽してから7年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
Figure 0005910389
表2に示すように、Eucalyptus pellitaの萌芽を用いた試験においても、伐採後の切り株から発芽してから1年目〜5年目の萌芽を用いた場合(実験例9〜13)、6ヶ月目の萌芽を用いた場合(実験例8)、7年目の萌芽を用いた場合(実験例14)と比較し糖収率が高かった。
実験例15
実験例1において、Eucalyptus camaldulensis(ユーカリ属)を伐採した後に切り株から発芽してから6ヶ月の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
実験例16
実験例1において、Eucalyptus camaldulensisを伐採した後に切り株から発芽してから1年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
実験例17
実験例1において、Eucalyptus camaldulensisを伐採した後に切り株から発芽してから2年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
実験例18
実験例1において、Eucalyptus camaldulensisを伐採した後に切り株から発芽してから3年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
実験例19
実験例1において、Eucalyptus camaldulensisを伐採した後に切り株から発芽してから4年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
実験例20
実験例1において、Eucalyptus camaldulensisを伐採した後に切り株から発芽してから5年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
実験例21
実験例1において、Eucalyptus camaldulensisを伐採した後に切り株から発芽してから7年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
Figure 0005910389
表3に示すように、Eucalyptus camaldulensisの萌芽を用いた試験においても、伐採後の切り株から発芽してから1年目〜5年目の萌芽を用いた場合(実験例16〜20)、6ヶ月目の萌芽を用いた場合(実験例15)、7年目の萌芽を用いた場合(実験例21)と比較し糖収率が高かった。
実験例22
実験例1において、Salix schwerinii(ヤナギ属)を伐採した後に切り株から発芽してから6ヶ月目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
実験例23
実験例1において、Salix schwerinii(ヤナギ属)を伐採した後に切り株から発芽してから1年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
実験例24
実験例1において、Salix schwerinii(ヤナギ属)を伐採した後に切り株から発芽してから2年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
実験例25
実験例1において、Salix schwerinii(ヤナギ属)を伐採した後に切り株から発芽してから3年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
実験例26
実験例1において、Salix schwerinii(ヤナギ属)を伐採した後に切り株から発芽してから4年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
実験例27
実験例1において、Salix schwerinii(ヤナギ属)を伐採した後に切り株から発芽してから5年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
実験例28
実験例1において、Salix schwerinii(ヤナギ属)を伐採した後に切り株から発芽してから7年目の萌芽を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
Figure 0005910389
表4に示すように、Salix schweriniiの萌芽を用いた試験においても、伐採後の切り株から発芽してから1年目〜5年目の萌芽を用いた場合(実験例23〜27)、6ヶ月目の萌芽を用いた場合(実験例22)、7年目の萌芽を用いた場合(実験例28)と比較し糖収率が高かった。
本発明により、木本性植物の萌芽から効率的にエタノール発酵の原料となる糖化液の製造が可能となる。

Claims (3)

  1. 木本性植物を伐採した後の切株から発芽してから1〜5年目の萌芽よりなるリグノセルロース原料を含有する懸濁液に亜硫酸ナトリウムとpH調整剤としてのアルカリとを添加して加熱処理することにより、加水分解中の加水分解液のpHを中性〜弱アルカリ性に維持して加熱処理懸濁液を得、該加熱処理懸濁液から固液分離により固形分を分離し、分離した固形分を水と糖化酵素と混合して酵素糖化用懸濁液を調製し、酵素糖化処理することよりなる、エタノール発酵基質としての糖類の製造方法
  2. 前記pH調整剤を水酸化ナトリウムとし、前記原料懸濁液の加熱処理を120〜180℃、30〜120分の加熱処理条件で行うことを特徴とする、請求項1に記載のエタノール発酵基質としての糖類の製造方法
  3. 前記萌芽が、ユーカリ属植物及びヤナギ属植物から選ばれる少なくとも1種の植物の萌芽であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエタノール発酵基質としての糖類の製造方法。
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