JP5907993B2 - 新規o−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼまたはその変異タンパク質およびこれを用いたメチオニン転換方法 - Google Patents

新規o−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼまたはその変異タンパク質およびこれを用いたメチオニン転換方法 Download PDF

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Description

本発明は、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ (O-acetylhomoserine sulfhydrylase)の活性を有する新規タンパク質、その変異型タンパク質、それらをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組み換えベクター、前記組み換えベクターで形質転換された微生物、および前記タンパク質を用いてメチオニンまたは酢酸を生産する方法に関する。
L−メチオニン(methionine)は、生体内の必須アミノ酸の1種であり、大部分のタンパク質内に含有されており、調味料である醤油には遊離状態で含有されている。飼料および食品添加剤として広く用いられており、医薬用液剤や医薬品の合成原料としても用いられている。メチオニンは、生体内でメチル基転移反応に関与する重要なアミノ酸であって、まずATPと反応してδ−アデノシルメチオニン(δ-adenosylmethionine)となり、これが各種受容体にメチル基を与えた後、ホモシステイン(homocysteine)およびシスタチオニン(cystathionine)を経てシステイン(cysteine)となる。アカパンカビは、システインからメチオニンを合成する。醤油やチーズなどの発酵食品の香りは、メチオニンから誘導されたアルデヒド、アルコール、および/またはエステルなどによるものが多い。
また、メチオニンは、コリン(choline)(レシチン(lecithin))およびクレアチンなどの化合物の前駆体として作用し、システインとタウリンの合成原料としても使用されるうえ、硫黄を提供する役割を果たす。また、メチオニンは、脳における多様な神経伝達物質(neurotransmitter)の合成に関連している。メチオニンおよび/またはS−アデノシル−L−メチオニン(SAM)は、生体内で肝臓および動脈の脂肪蓄積を抑制し、うつ病、炎症、肝疾患、筋肉痛を緩和するなどの多様な役割を果たす。また、メチオニンおよび/またはS−アデノシル−L−メチオニンは脂肪代謝を促進する肝と動脈の脂肪沈着を抑制し、脳、心臓、腎臓の血流を増進させ、消化と毒性物質の解毒および排泄を促進し、かつ鉛などの重金属の排泄を促進する役割を果たす。メチオニンは、1日800〜1600mgずつ毎日投与した場合、優れた抗うつ効果、肝疾患における肝機能向上作用、特にアルコールによる肝疾患に有用な効果、骨関節疾患に優れた抗炎症効果、および関節回復の促進効果を有していることが報告されていると共に、毛髪の必須栄養素として、壊れ易い毛髪に栄養を供給しかつ脱毛を防止する効果などの生体内の役割も報告されている。
メチオニンの化学合成は、主に、5−(β−メチルメルカプトエチル)−ヒダントイン(5-(β-methylmercaptoethyl)-hydantoin)の加水分解反応によってL−メチオニンを生産する方法を利用する。ところが、このような化学合成によって生産されたメチオニンは、L型とD型の組み合わせ形態で生産されるという欠点を持っている。このため、生物学的方法を用いてL−メチオニンを選択的に生産することが可能な技術に関する特許が開示されている(特許文献1)。この方法は、簡便に2段階工法と命名し、発酵によるL−メチオニン前駆体の生産工程、および前記L−メチオニン前駆体を酵素によってL−メチオニンに転換する工程から構成されている。前記L−メチオニン前駆体は、好ましくはO−アセチルホモセリンとO−スクシニルホモセリンを含む。このような2段階工法を開発することにより、従来の問題、例えば、硫化物特有の基質毒性問題、メチオニンとSAMによる菌株のフィードバック調節問題、シスタチオニンガンマシンターゼ(cystathionine gamma synthase)、O−スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼ(O-succinylhomoserine sulfhydrylase)およびO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(O-acetylhomoserine sulfhydrylase)特有の中間産物分解活性問題をすべて解決することができた。また、L−メチオニンのみを選択的に生産することができるため、DL−メチオニンを同時に生産する既存の化学合成工程に比べて優れた工程であり、さらに同一の反応によって副産物として有機酸、より具体的にはコハク酸、酢酸を同時に生産することが可能な優れた工程である。
2段階工程の酵素転換工程では、シスタチオニンガンマシンターゼ(cystathionine gamma synthase)、O−スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼ(O-succinylhomoserine sulfhydrylase)またはO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(O-acetylhomoserine sulfhydrylase)の活性を有する酵素を用い、L−メチオニンの前駆体であるO−アセチルホモセリン或いはO−スクシニルホモセリンをメチルメルカプタンと混合しながら酵素反応を起こすことにより、L−メチオニンと有機酸を生産する。
L−メチオニンの前駆体であるO−アセチルホモセリン(O-acetyl homoserine)からL−メチオニンを生産するための酵素転換反応に多様な微生物由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼを用いることができる。ところが、産業的な転換酵素として用いるために幾つかの特性を満たさなければ、経済的価値を最大化することができない。第一、高い活性、高い転換率、そして大腸菌における過発現が可能な特性を有しなければならない。一般な精製酵素を用いた反応では、酵素の活性、反応速度、基質に対する高い親和度が必要であるが、酵素破砕液を反応に直接投入する場合は、高い活性を有しなければならないのはもとより、単位細胞当たり酵素の過発現が可能であれば、少量の破砕液の添加でも反応を進行させることができる。第二、高濃度のO−アセチルホモセリンにおける高い反応速度を維持しなければならず、最終産物であるL−メチオニンと酢酸が高濃度で蓄積される時点で活性阻害が低くなければならない。最後に、1〜5時間反応が行われる間に活性を失わないために、熱安定性を有しなければならない。これらの特性を考慮するとき、公知のハイフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium)由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼも酵素的観点からは優れるが、メチオニン2段階工法の経済的価値を最大化するためには、前記3つの特性がさらに強化された酵素探索が求められた。
WO2008/013432 KR2006/0068505 WO2010/098629
Sambrook et al., 1989, infra Ehrhardt, A. et al. (2003) Hum Gene Ther 10: 215-25 Yet, N. S.(2002) MoI Ther 5: 731-38 Chen, Z. Y. et al. (2004) Gene Ther 11 : 856-64 Izsvak et al. J. MoI. Biol. 302:93-102 (2000)
本発明者は、多様な微生物ソースからO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ遺伝子を収得し、実験を介して最終的にロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼを選別して転換反応に用いた結果、メチオニン2段階工法への適用に経済的に有用な転換酵素であることを見出したうえ、さらに変異導入実験によって酵素を改良して経済性を一層確固たるものにすることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(O-acetylhomoserine sulfhydrylase)の活性を有する新規タンパク質を提供することを目的とする。
本発明は、前記タンパク質を暗号化するポリヌクレオチドを提供することを目的とする。
また、本発明は、前記O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性が強化された変異型タンパク質を提供することを目的とする。
さらに、本発は、前記変異型タンパク質を暗号化するポリヌクレオチドを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記ポリヌクレオチドを含む組み換えベクターを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記組み換えベクターで形質転換された微生物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記タンパク質またはこれを生産する微生物を用いてO−アセチルホモセリンおよびメチルメルカプタン前駆体からメチオニンまたは酢酸を生産する方法を提供することを目的とする。
本発明は、メチルメルカプタン(CHSH)を基質としてL−メチオニンおよび酢酸を生産するのに必須的なロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質を提供するので、前記タンパク質を用いると、既存のハイフォモナス・ネプチュニウム由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質を用いた方法と比較して、高い転換率および反応時間の短縮によって経済的にL−メチオニンおよび酢酸を生産することができるという利点がある。また、本発明のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ酵素の活性が増加した変異体を用いる場合、酵素破砕液の投入量を最小化してL−メチオニンおよび酢酸を高収率かつ容易に生産することができる。
pCL−PCJ1−MetZhneベクターの模式図を示す。 O−アセチルホモセリン発酵液に前記のタンパク質を含む微生物の破砕液5〜10%(反応体積対比)を添加し、pH6〜8条件で15%Na−メチルメルカプタンを添加して反応を開始し、2時間経過後、発酵液を回収して細胞を除去した後、HPLCによってメチオニンの生成を示す結果である。 O−アセチルホモセリン発酵液に前記のタンパク質を含む微生物の破砕液5〜10%(反応体積対比)を添加し、pH6〜8条件で15%Na−メチルメルカプタンを添加して反応を開始し、2時間経過後、発酵液を回収して細胞を除去した後、HPLCによってメチオニンの生成を示す結果である。 ハイフォモナス属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(MetZ−hne)とロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(MetZ−rsp)の細胞破砕液10μL、5μL、2.5μLで転換酵素の発現量を比較した結果を示す。 30Lの回分式反応器を用いた転換反応中のpH変化の様相を示す。 30Lの回分式反応器を用いた転換反応中のO−アセチルホモセリン濃度(OAHS)、L−メチオニン濃度(Met)の変化様相と、必要な総メチルメルカプタン量を100%として計算したときに時間別に投入されたメチルメルカプタンの比率(MeSH)、そして各時間別のメチオニン転換率(Conversion)を示すグラフである。メチオニン転換率は、各時間まで生成されたメチオニン総量を投入されたO−アセチルホモセリン総量で割って算定した(g/g)%である(*メチオニン転換率92.59%=メチオニンモル転換率100%)。
一つの様態として、本発明は、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(O-acetylhomoserine sulfhydrylase)の活性を有する新規タンパク質を提供する。
本発明において、前記O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質は、L−メチオニンの前駆体であるO−アセチルホモセリンとメチルメルカプタンを用いてL−メチオニンを合成することが可能な活性を有する新規タンパク質である。前記新規タンパク質はロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質が好ましく、本発明の目的上、前記新規タンパク質はO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質であれば制限なく含まれるが、好ましくは配列番号13のタンパク質であってもよい。
本発明において、用語「O−アセチルホモセリン」とは、161.16の分子量を有し、微生物に見られるメチオニン生合成で最初の特異的中間体であり、腸内バクテリアではO−アセチルホモセリンの代わりにO−スクシニルホモセリンが、高等植物ではO−ホスホホモセリンが中間体となる物質であって、トレオニン生合成との分岐点でL−ホモセリンとアセチルCoAでホモセリンアセチル伝達酵素によって触媒されて生成される。
公開特許WO2008/013432では、2段階工法を用いてL−メチオニンを生産する過程を開示しており、この過程でL−メチオニンを生産する際に使用される前駆体「O−アシルホモセリン(O-Achylhomoserine)は、O−スクシニルホモセリン(O-succinylhomoserine)とO−アセチルホモセリン(O-Acetylhomoserine)の2種がある。
本発明において、用語「前駆体」は、ある物質代謝または生合成反応において最終産物の前段階に該当する物質を意味し、本発明の目的上、L−メチオニン前駆体生産菌株によって生産されるメチオニン特化代謝経路の一部分である代謝物質またはこの代謝物質から派生した物質のことをいう。特に、本発明において、L−メチオニン前駆体はO−スクシニルホモセリンまたはO−アセチルホモセリンを意味する。
前記L−メチオニン前駆体のうち、O−スクシニルホモセリンを用いて酵素転換によってメチオニンを生成することが可能な酵素は、シスタチオニンガンマシンターゼ(cystathionine gamma synthase)とO−スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼがある。通常、シスタチオニンガンマシンターゼをコードする遺伝子を通称metB、O−スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼを暗号化する遺伝子を通称metZと表記する。この酵素が有する活性は次の3つである。
L−システイン+O−スクシニルホモセリン⇒コハク酸+シスタチオニン
スルフィド(HS)+O−スクシニルホモセリン⇒コハク酸+ホモシステイン
メチルメルカプタン+O−スクシニルホモセリン⇒コハク酸+L−メチオニン
前記の別の前駆体であるO−アセチルホモセリンを用いてL−メチオニンを生成することが可能な酵素の例には、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼがある。通常、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードする遺伝子を通称metYと表記する。この酵素が有する活性は次の3つである。
L−システイン+O−アセチルホモセリン⇒酢酸+シスタチオニン
スルフィド(HS)+O−アセチルホモセリン⇒酢酸+ホモシステイン
メチルメルカプタン+O−アセチルホモセリン⇒酢酸+L−メチオニン
2種のL−メチオニン前駆体を生産するに際して、ブドウ糖や原糖などの炭素源をより少なく必要とするO−アセチルホモセリンを用いてL−メチオニンを生産することが費用の面で有利である。ところが、O−スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼであるmetZ酵素は、産物であるL−メチオニンによってフィードバック阻害を受けないが、これに対し、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼであるmetY酵素は、産物であるL−メチオニンによる活性が阻害されるという現象があり、酵素反応的面での利用は難しい。
本発明の一実施例では、多様なmetZ遺伝子の活性をテストしてO−スクシニルホモセリンスルフヒドリラーゼと推定されたが、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来のmetZ遺伝子を選別し、L−メチオニンによるフィードバック阻害現象もないことを確認した。獲得したO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質は配列番号13のアミノ酸配列でありうる。
本発明の一実施例では、ハイフォモナス属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼおよびロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質を用いて基質特異性、転換酵素の発現量および転換酵素の活性を比較したところ、ロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ変異体を用いてL−メチオニンを生産する場合、O−スクシニルホモセリンよりO−アセチルホモセリンに対して高い基質特異性を示し(表1)、反応初期の酵素活性、酵素反応の速度およびL−メチオニン転換率が向上したことを確認した(表2)。また、前記2菌株由来の組み換え変異体を用いて反応産物による阻害の程度を比較したところ、ロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼを用いてL−メチオニンを生産する場合、生成物による阻害現象にも高い活性を有することが確認された(表3)。反応温度による酵素の熱安定性を比較した結果からも、ロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ変異体がハイフォモナス属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ変異体より熱安定性に優れていることを確認することができた(表4)。
したがって、本発明のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するタンパク質は、産業的な転換酵素として用いるための高い活性、高い転換率、大腸菌における過発現、最終産物が蓄積される時点で低い活性阻害および熱安定性維持要件をすべて備えているので、これを用いて速くかつ高い効率でL−メチオニンおよび酢酸を生産することができる。
他の様態として、本発明は、前記O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性が野生型より強化された変異型タンパク質を提供する。
本発明において、用語「変異」または「変異体」は、遺伝的または非遺伝的に一つの安定的な表現型的変化を示す培養物または個体を意味し、好ましくは本発明ではロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(O-acetylhomoserine sulfhydrylase)の遺伝子の一つまたはそれ以上が変異され、その活性が野生型と比較して効率よく増加し得る変異体を意味する。このような変異体の配列は野生型の配列と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有するタンパク質を含むことができる。好ましくは、前記タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列で表記されるタンパク質のN末端から3番目のアミノ酸がイソロイシン以外の他のアミノ酸で、65番目のアミノ酸がフェニルアラニン以外の他のアミノ酸で、104番目のアミノ酸がバリン以外の他のアミノ酸で置換された変異、または前記3種のアミノ酸変異のうち1種以上の変異が複合されてO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性が強化された変異体であることができる。より好ましくは2種以上、よりさらに好ましくは3種の変異が複合されたものである。さらに好ましくは、前記タンパク質はN末端から3番目のアミノ酸である「イソロイシン」がアスパラギンに、65番目のアミノ酸である「フェニルアラニン」がチロシンに、104番目のアミノ酸である「バリン」がアラニンにそれぞれ変異した変異体である。前記変異体のアミノ酸配列は、好ましくは配列番号15、16、17または18のアミノ酸配列を有する変異型タンパク質である。
具体的に、配列番号15のアミノ酸で表記される変異型タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列で表記されるタンパク質のN末端から3番目のアミノ酸である「イソロイシン」がアスパラギンに変異したものである。
配列番号16のアミノ酸で表記される変異型タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列で表記されるタンパク質のN末端から65番目のアミノ酸である「フェニルアラニン」がチロシンに変異したものである。
配列番号17のアミノ酸で表記される変異型タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列で表記されるタンパク質のN末端から104番目のアミノ酸である「バリン」がアラニンに変異したものである。
配列番号18のアミノ酸で表記される変異型タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列で表記されるタンパク質のN末端から3番目のアミノ酸である「イソロイシン」がアスパラギンに、65番目のアミノ酸である「フェニルアラニン」がチロシンに、104番目のアミノ酸である「バリン」がアラニンにそれぞれ変異したものである。
本発明の一実施例では、上記で確認した結果に基づいてロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ変異体の酵素活性が改良されたI3N、F65Y、V104AおよびE182Gの4種の変異株を作製し、前記変異株の活性を測定してI3N、F65YおよびV104Aの3種の有効な変異株を選定した(表9)。前記有効変異株3種を複合し、これを含むベクターを製作し、大腸菌を用いて形質転換した後、それぞれの活性を測定した結果、 野生型O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性に比べて1.75倍程度増加した活性を有することを確認することができた(表10)。
別の様態として、本発明は、前記O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有する新規タンパク質または前記活性が野生型より強化された変異型タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明において、用語「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチド単位体(monomer)が共有結合によって長く鎖状に連なるヌクレオチドの重合体(polymer)で、一般に一定の長さ以上のDNA(deoxyribonucleic acid)またはRNA(ribonucleic acid)のストランドを意味し、本発明の目的上、前記タンパク質をコードしたポリヌクレオチド断片でありうる。このようなポリヌクレオチド断片は、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有するポリヌクレオチド断片の配列と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有するポリヌクレオチド断片を含む。
前記ポリヌクレオチドは、好ましくは配列番号14の塩基配列で表記されるポリヌクレオチドであってもよい。前記配列番号14の塩基配列で表記されるポリヌクレオチドは、配列番号13のアミノ酸配列を有する野生型タンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
また、前記変異型タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号19、20、21または22の塩基配列を有するものでありうる。前記配列番号19、20、21および22の塩基配列を有するポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号15、16、17および18のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
本発明において、用語「相同性」とは、2つのポリヌクレオチドモイエティ間の同一性のパーセンテージのことを指す。一つのモイエティからもう一つのモイエティまでの配列間の相応性は公知の当該技術によって決定され得る。また、相同性は、配列情報を整列し、容易に入手可能なコンピュータプログラムを用いて2つのポリヌクレオチド分子間の配列情報を直接整列して決定できる。また、相同性は、相同領域間の安定した二重鎖をなす条件の下でポリヌクレオチドを混成化した後、単一ストランドの特異的ヌクレアーゼで分解させ、分解された断片のサイズを決定することにより決定できる。
本発明において、用語「相同」とは、全ての文法的形態またはスペリング変異形態においてスーパーファミリ由来タンパク質(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)および他の種由来の相同タンパク質(例えば、ミオシン軽鎖など)を含み、「共通の進化的起源」を有するタンパク質間の関係をいう。そのようなタンパク質(およびそれらのコーディング遺伝子)は、その程度が高い配列類似性によって反映される配列相同性を有する。ところが、一般的使用と本発明において、「相同」とは、「非常に高い」という形容詞によって修飾される場合には配列類似性を意味するもので、共通進化起源を意味するものではない。
本発明において、用語「配列類似性」とは、共通の進化的起源を共有し或いは共有しないタンパク質の塩基配列またはアミノ酸配列間の同一性または相応性の程度を意味する。一つの具体例において、2つのアミノ酸配列がアミノ酸配列の所定の長さに対してポリペプチドマッチが少なくとも21%(好ましくは少なくとも約50%、最も好ましくは約75%、90%、95%、96%、97%または99%)のとき、「実質的に相同」若しくは「実質的に類似」していると言える。実質的に相同の配列はデータ銀行で使用される標準ソフトウェアを使用し、或いは例えば特定のシステムのために定義された厳格な条件の下でサザンハイブリタイゼーションによって配列を比較することにより確認することができる。定義される適切なハイブリタイザーションは該当技術範囲内である(例えば、非特許文献1参照)。
別の様態として、本発明は、前記野生型または変異型O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターを提供する。
本発明において、用語「ベクター」とは、宿主細胞であり、塩基のクローニングおよび/または転移のための任意の媒介物をいう。ベクターは他のDNA断片が結合し、結合した断片の複製をもたらしうる複製単位(replicon)であってもよい。「複製単位」とは、生体内でDNA複製の自己ユニットとして機能する、すなわち自らの調節によって複製可能な任意の遺伝的単位(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウィルス)をいう。前記ベクターは、試験管内、生体外または生体内で宿主細胞に塩基を導入するためのウィルスおよび非ウィルス媒介物を含むことができ、またミニサークルDNAを含むことができる。例えば、前記ベクターは、バクテリアDNA配列を有しないプラスミドであってもよい。CpG領域で豊富なバクテリアDNA配列の除去は転移遺伝子の発現サイレンシングを減少させ、プラスミドDNAベクターからより持続的な発現をもたらすために行われている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。また、前記ベクターはスリーピングビュティー(Sleeping Beauty)などのトランスポゾン(非特許文献5)、または人工染色体を含むことができる。好ましくはpACYC177、pACYC184、pCL1920、pECCG117、pUC19、pBR322およびpMW118ベクターなどを使用することができ、さらに好ましくはpCL1920ベクターにCJ1プロモーター(特許文献2)を挿入したpCL_PCJ1を使用することができる。
本発明において、前記ポリヌクレオチドは、組み換えベクターに作動可能に連結されたものでありうる。用語「作動可能に連結された」とは、一般に機能を遂行するように塩基の発現調節配列と目的とするタンパク質をコードする塩基配列が作動可能に連結されてコードする塩基配列の発現に影響を及ぼすことを意味する。組み換えベクターとの作動可能な連結は当業界の公知の遺伝子組み換え技術を用いて製造することができ、部位特異的DNA切断および連結は当業界公知の切断および連結酵素などを用いて製作することができる。
また、前記組み換えベクターは、アンピシリン(ampicillin)抵抗性遺伝子、カナマイシン(kanamycin)抵抗性遺伝子およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(chloramphenicol acetyl transferase)遺伝子よりなる群から選ばれる一つ以上の抗生物質抵抗性遺伝子をさらに含むことを特徴とする組み換えベクターでありうる。
本発明において、用語「抗生物質抵抗性遺伝子」とは、抗生物質に対して抵抗性を有する遺伝子であって、これを持っている細胞は該当抗生剤を処理した環境でも生存するので、大腸菌から大量にプラスミドを得る過程で選別マーカーとして有用に使用される。本発明において、抗生物質抵抗性遺伝子は、本発明の核心的技術であるベクターの最適の組み合わせによる発現効率に大きく影響を及ぼす要素ではないので、選別マーカーとして一般に使用される抗生物質抵抗性遺伝子を制限無く使用することができる。具体的な例としては、アンピシリン(ampicline)、テトラサイクリン(tetracycline)、カナマイシン(kanamycin)、グロラムフェニコール(chloroampheniol)、ストレプトマイシン(streptomycin)、またはネオマイシン(neomycin)に対する抵抗遺伝子などを使用することができ、好ましくはスペクチノマイシン抵抗遺伝子である。
さらに、別の様態として、本発明は、前記組み換えベクターで形質転換されたO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ生産用微生物を提供する。
本発明において、用語「形質転換」とは、遺伝子を宿主細胞内に導入した後、発現させることができるようにすることを意味する。前記細胞内に本発明のベクターを形質転換させる方法は、塩基を細胞内に導入するいずれの方法も含まれ、当分野で公知されているように適切な標準技術を選択して行うことができる。エレクトロポレーション (electroporation)、リン酸カルシウム共同沈殿(calcium phosphate co-precipitation)、レトロウィルス感染(retroviral infection)、微量注入法(microinjection)、DEAE−デキストラン(DEAE-dextran)、陽イオンリポソーム法(cationic liposome)などがあり、これに制限されない。
形質転換された遺伝子は、宿主細胞内に発現できさえすれば、宿主細胞の染色体内に挿入された形態または染色体外に位置している形態をすべて含む。また、前記遺伝子は、ポリペプチドをコードすることが可能なポリヌクレオチドで、DNAおよびRNAを含み、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば制限なく使用できる。例えば、前記遺伝子は、それ自体内で発現(expression cassette)に必要な全ての要素を含むポリヌクレオチド構造体である発現カセットの形態で宿主細胞に導入できる。前記発現カセットは、通常、前記遺伝子に作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位および翻訳終結シグナルを含む。前記発現カセットは、自己複製が可能な発現ベクター形態であってもよい。また、前記遺伝子は、それ自体またはポリヌクレオチド構造体の形で宿主細胞に導入され、宿主細胞において発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよい。
本発明において、用語「組み換えベクターで形質転換された微生物」とは、一つ以上の標的タンパク質をコードする遺伝子を有するベクターで形質感染した細胞を意味し、本発明において、前記組み換えベクターを形質転換してO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼを生産することが可能な野生型または変異型タンパク質を含む微生物であれば、原核微生物および真核微生物のいずれも含まれる。たとえば、エシェリキア属(Escherichia sp.)、エルウィニア属(Erwinia sp.)、セラシア属(Serratia sp.)、プロビデンシア属(Providencia sp.)、コリネバクテリウム属(Corynebacteria sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、レプトスピラ属(Leptospira sp.)、サルモネラ属(Salmonellar sp.)、ブレビバクテリウム属(Brevibacteria sp.)、ハイフォモナス属(Hyphomonas sp.)、クロモバクテリウム属(Chromobacteria sp.)、およびノカルジア属(Nocardia)、またはカビ類(fungi)または酵母類(yeast)に属する微生物菌株を含むことができる。好ましくは、エシェリキア属、コリネバクテリウム属およびレプトスピラ属の微生物菌株と酵母である。さらに好ましくはエシェリキア属の微生物菌株であり、最も好ましくは大腸菌(E.coli)である。
さらに、別の様態として、本発明は、前記野生型または変異型タンパク質、またはこれを生産する微生物をO−アセチルホモセリンおよびメチルメルカプタンの混合物に添加して反応させる段階を含む、メチオニンまたは酢酸を生産する方法を提供する。
上記のO−アセチルホモセリンは、精製された形態またはO−アセチルホモセリンを含有した微生物発酵液を意味する。また、前記のメチルメルカプタンは、液状のメチルメルカプタンナトリウム(sodium methyl mercaptan、CHS−Na)形態、ガスまたは液化状態のメチルメルカプタン(CHSH)だけでなく特許文献3に言及された形態で、ジメチルスルフィド(DMS、Dimethylsulfide)を含むメチルメルカプタンのすべてを意味する。本発明の一実施例では、L−メチオニン転換反応のためにO−アセチルホモセリン発酵液に前記のポリペプチドを含む微生物の破砕液5〜10%(反応体積対比)を添加し、pH6〜8の条件に15%Na−メチルメルカプタンを添加して反応を開始し、2時間経過後に発酵液を回収して細胞を除去した後、HPLCを介してメチオニン生成を確認した。図2bに示すように、本発明の変異体を用いてメチオニンを生産する場合、既存の生産菌株に比べて酵素転換反応および活性に優れ、反応産物による反応阻害現象が最小化され、変異体の熱安定性に優れるので、産業的に有用に利用できる。
さらに、別の様態として、本発明は、前記タンパク質のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼとしての用途を提供する。
本発明において、前記タンパク質は、前述したように、ロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有する野生型および変異型タンパク質であってもよく、好ましくはそれぞれ配列番号13および15〜18のアミノ酸配列を有するタンパク質である。本発明のタンパク質はO−アセチルホモセリンに高い基質特異性を有することにより、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性を有し、或いはその活性が強化されてメチオニンまたは酢酸の生産に利用可能である。
以下、実施例によって本発明の構成および効果をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
メチオニン転換酵素の生産
1−1.ハイフォモナス属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ
メチオニン前駆体であるO−アセチルホモセリンをメチオニンに転換するハイフォモナス・ネプチュニウム(Hyphomonas neptunium)由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ遺伝子配列は、KEGG wbsite(www.kegg.com)から収得してプライマーを製作し、ハイフォモナス・ネプチュニウムのクロモソームはATCC(米国)から購買して使用した。前記のクロモソームを鋳型とし、配列番号1と配列番号2のプライマーを用いて変性(denaturation)段階は94℃30秒、アニーリング(annealing)段階は55℃で30秒、伸長(extension)段階は72℃で2分間行い、これを30サイクル行うPCR反応を行った。PCR反応はバイオニア(韓国)社製のHL PCR premix kitを用いた。
前記PCR反応で獲得したDNA断片をNcoI/HindIIIで切断し、同一に切断したpCL−PCJ1ベクターにクローニングした。最終製作されたベクターをpCL−PCJ1−MetZhneと命名し、模式図は図1に示した。クローニングされたベクターを大腸菌(Escherichia coli)K12細胞に形質転換させ、50μg/Lのスペクチノマイシンが含まれたLB平板培地で培養した後、コロニーを選別した。選別されたコロニーを50μg/Lのスペクチノマイシンが含まれたLB培地3mLに接種して37℃、200rpm条件で16時間培養した。これをさらに25mLのLB液体培地(容量250mのフラスコ)に再接種してOD600が0.5〜0.6となるように(2〜3時間)同一の培養条件で育てた直後、ブドウ糖4%が添加されたLB培地500mL(1L Jar)をブドウ糖の枯渇時点まで培養した。酵素菌培養液1mLを回収し、遠心分離機を用いて上澄み液を除去した後、獲得した細胞を0.1Mリン酸カリウム緩衝液(potassium phosphate、pH7.5)で洗浄した。これをさらに1mLのリン酸カリウム緩衝液に懸濁し、超音波を用いて30秒間隔で細胞を5回破砕した。破砕された細胞破砕液を取ってBio−Radタンパク質定量液(米国、BIO−Rad社製)を用いてタンパク質総量を定量した。また、SDS−PAGE法を用いてタンパク質の発現を確認した。その後、回収された細胞破砕液を酵素転換反応に使用した。
1−2.ロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ
メチオニン前駆体であるO−アセチルホモセリンをメチオニンに転換するロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードするmetZ遺伝子をクローニングした。
ロードバクター・スフェロイデスのクロモソームを鋳型とし、配列番号3および配列番号4のプライマーを用いて変性段階(denaturation)は94℃で30秒、アニーリング段階(annealing)は55℃で30秒、伸長段階(extention)は72℃で2分間行い、これを30サイクル行うPCR反応を行った。
前記PCR反応で収得したDNA断片をBamHII/HindIIIで切断し、同一に切断されたpCL−PCJ1ベクター(韓国、CJ社製)にクローニングした。クローニングされたベクターを前記1−1と同様の方法を用いて細胞破砕液を回収し、これを酵素転換反応に使用した。
転換酵素の発現量の比較、基質特異性および転換酵素の活性比較
実施例1−1および1−2の方法で収得したそれぞれの細胞破砕液を用いてハイフォモナス属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼおよびロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの発現量および活性を比較した。
一般に、タンパク質量は、実施例1−1で言及したように、BIO−Rad社製のタンパク質定量液を用いるが、酵素破砕液のような大腸菌タンパク質と混合形態で使用する場合は、タンパク質定量法で特定酵素の発現比較を行うことは難しい。したがって、実施例1−1および1−2で得た細胞破砕液における転換酵素の発現量を比較するために、SDS−PAGEを用いた。2つの細胞破砕液を10μL、5μL、2.5μLを用いてハイフォモナス属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(MetZ−hne)とロードバクター属由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(MetZ−rsp)を比較した結果、metZ−hneに比べてMetZ−rspが4倍内外発現量が多いことを知ることができた(図3)。
そして、2つの酵素の基質特異性を把握するために、O−アシルホモセリン(O-acylhomoserine)を3mMの濃度で0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。また、前記反応液に補助因子(cofactor)として用いられるリン酸ピリドキサール(pyridoxal 5’-phosphate、米国Sigma社製)を最終濃度10μMとなるように添加した。反応液に、別の基質として用いられるメチルメルカプタン(日本東京化成工業株式会社製)を最終濃度2mMで添加した。前記反応液1mLを37℃に位置した後、各酵素抽出液をタンパク質濃度5mg/mLに合わせて10μLずつ添加した。反応の進行有無は反応開始後に100μLの反応液を回収し、4mg/mLのDTNB(5,5-dithiobis(2-nitro-benzoic acid)、米国Sigma社製)溶液900μLに添加した後、415nmにおける吸光度を確認した。
DTNBは、反応液中に残存するメチルメルカプタンの−SH基と反応して黄色の物質を合成する。よって、反応液上のメチルメルカプタンが反応によってメチオニンに転換されるにつれて反応液の黄色が無くなることにより、反応の進行を確認することができる。そして、反応前後のDTNB吸光度の差異値(ΔOD415)が大きければ、強い活性を有することが分かる。
O−アセチルホモセリン反応液および酵素液を用いて反応させた結果、ハイフォモナス・ネプチュニウム由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼとロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼはいずれもO−スクシニルホモセリンよりO−アセチルホモセリンに対して高い基質特異性を示した。そして、各酵素の基質に対する基質特異性を表1に「+」の個数で簡略に表現した。その結果、前記2つの菌株ともO−スクシニルホモセリンと比較してO−アセチルホモセリンにさらに高い基質特異性を有することを確認することができた。
Figure 0005907993
高濃度O−アセチルホモセリン培養液におけるMetZ−hneとMetZ−rsp反応の初期活性の比較
高濃度のO−アセチルホモセリンにおけるMetZ−hneおよびMetZ−rsp酵素の転換率特性を比較するために、80g/LのO−アセチルホモセリン濃度でメチオニン転換実験を行った。1mLのチューブスケールでO−アセチルホモセリン80g/Lの酵素転換の際にハイフォモナス・ネプチュニウム由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(MetZ−hne)とロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ(MetZ−rsp)によるメチオニン生成を時間経過に伴って相対的に比較した。O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの反応速度は、反応生成物であるメチオニンの濃度で比較することができる。より具体的に、酵素転換反応の条件は80g/LのO−アセチルホモセリン1mLにメチオニンを生成するために必要なもう一つの基質であるメチルメルカプタンナトリウム(15%、w/v)0.01mL、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ0.01mL、酵素補助因子であるリン酸ピリドキサール(pyridoxal 5’-phosphate)を0.1mMの濃度で投入して800rpmにて攪拌しながら33℃で反応を行った。酵素抽出液はそれぞれ5mg/mLのタンパク質濃度となるように調節して投入した。メチオニンおよびO−アセチルホモセリンの濃度分析はHPLCを用いた。メチオニン転換率は反応に投入したメチルメルカプタン1モルで生成されたメチオニンのモル数で計算した。
その結果、表2に示すように、ロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼがハイフォモナス・ネプチュニウム由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼより高濃度のO−アセチルホモセリンでも高い初期反応速度および転換率を示した。
Figure 0005907993
反応産物としてのメチオニンと酢酸による反応阻害程度の比較
2段階工法で酵素反応が行われると、L−メチオニンと酢酸が生成されるが、高濃度のL−メチオニンは酵素反応速度を低下させ、酢酸はタンパク質の変形により酵素の活性を阻害するものと知られている。
産業的に高濃度のO−アセチルホモセリンをL−メチオニンと酢酸で酵素転換するためには、前述した酵素活性阻害現象においても酵素は高い活性を有しなければならない。高濃度のL−メチオニン、酢酸の存在下で2つの酵素、すなわちMetZ−hneおよびMetZ−rspの活性を比較した。具体的に、0.3MのL−メチオニン(約45g/L)および0.3Mの酢酸の存在下に、実施例2に言及したDTNB方法で活性を比較した。反応に使用された細胞破砕液量は5mg/mLの濃度液として25μLを使用した。その結果、残存活性はMetZ−hneは42%であり、MetZ−rspは50%を示すことにより、MetZ−rspは高濃度のL−メチオニン、酢酸が存在しても、酵素活性阻害程度が低いことを確認することができた(表3)。
Figure 0005907993
また、それぞれ0.3MのL−メチオニンと酢酸で2つの酵素の転換反応を確認した結果、表4のような結果が出た。
Figure 0005907993
MetZ−hneとMetZ−rsp酵素の熱安定性の比較
産業的に酵素を用いた転換工程では、33〜37℃の温度で1〜6時間内外に反応が行われる。反応産物による阻害現象だけでなく、熱安定性が低い酵素は、転換反応が行われるにつれて酵素の活性も低くなる。酵素の熱安定性は、産業的、経済的な面で重要な事項である。このような酵素の熱安定性の比較のために、実施例1−1および1−2の方法で獲得したそれぞれの細胞破砕液を50℃で10、30、60、120、240分間熱処理した後、実施例2のDTNB方法を用いて酵素残存活性を比較した。
その結果、表5に示すように、ロードバクター・スフェロイデス由来のO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの場合は、45℃で熱処理した後、240分が経過した時点で熱処理前との活性比較を行ったときに95%の残存活性を示した。これに対し、MetZ−hneは75%の残存活性を示し、MetZ−rspの熱安定性が一層優れることを確認した。
Figure 0005907993
metZ−rspを用いた回分式反応器におけるO−アセチルホモセリン培養液からL−メチオニンへの酵素転換反応
本実施例では、チューブスケールで確認したmetZ−rspのO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの転換活性を反応器システムで評価する目的で、最適が1Lの回分式反応器を用いた。酵素転換反応の際に必要な基質であるO−アセチルホモセリンは、既存の特許に明記された微生物菌株を発酵して生産し、培養した発酵液から遠心分離機を用いて細胞を除去し、約70g/L濃度の培養液を500mL使用した(特許文献1)。メチルメルカプタンは常温で気体として存在するため、苛性ソーダ液にメチルメルカプタンを添加して液体として存在するメチルメルカプタンナトリウム(sodium methyl mercaptan、CHS−Na、4.7M、33%、フランスArkema)溶液を用いて実験を行った。メチルメルカプタンナトリウムは、酵素転換反応の際に約50mLが使用された。酵素液の場合、実施例1で説明した方法で生産されたmetZ−rsp破砕液50mLを投入し、補助因子であるリン酸ピリドキサール(pridoxal 5’-phosphate)(米国Sigma)は、0.1mMの濃度で投入した。酵素転換反応はpH7.0、33℃に設定し、攪拌は700rpmに設定した。反応時間はメチルメルカプタンナトリウムを供給しながら3時間行った。O−アセチルホモセリンとL−メチオニンの時間別濃度は表6のとおりであり、分析はHPLCを用いて行った。
Figure 0005907993
結果として、1Lの回分式反応器でO−アセチルホモセリン培養液からmetZ−rsp酵素液を用いたL−メチオニン酵素転換反応は反応が速く、転換率(97%のmol転換率)が高いことを確認した。
metZ−rspを用いた回分式反応器におけるO−アセチルホモセリン培養液からL−メチオニンへの酵素転換反応スケールアップ
本実施例では、1Lの回分式反応器で確認したmetZ−rspのO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの転換活性を用いたメチオニン酵素転換反応器システムをスケールアップ(scale-up)して評価する目的で30Lの回分式反応器(韓国発酵器、韓国)を用いてメチオニン転換反応を行った。酵素転換反応の際に必要な基質であるO−アセチルホモセリンは、実施例6で行ったように既存の特許(特許文献1)に明記された微生物菌株を発酵して生産し、培養した発酵液から遠心分離機を用いて微生物菌体を除去した。上澄み液はO−アセチルホモセリン濃度が66g/Lの濃度となるように水を添加して希釈し、反応に使用した。
希釈した発酵上澄み液23Lを発酵槽に投入した後、実施例1で説明した方法で生産されたmetZ−rsp酵素破砕液500mLを投入し、補助因子であるリン酸ピリドキサール(pridoxal 5’-phosphate)(米国Sigma)は最終濃度が0.1mLとなるように投入した。投入後の反応液のpHは6.5となるようにアンモニアガスを投入して調節し、温度は37℃、攪拌は300rpmにそれぞれ設定した。
メチルメルカプタンは、ガス状のメチルメルカプタン(CHSH、99.5%、英国、intergas社製)を使用し、マスフローコントローラー(Mass flow controller)を用いてガス投入量を調節しながら、反応液中に直接投入した。メチルメルカプタンは、反応液中で一部蒸発して反応器の内部圧力を増加させたので、圧力範囲は0.5bar以下と維持されるようにメチルメルカプタンの供給速度を調節した。メチルメルカプタンの供給速度は反応が速く進行する初期30分間3〜5L/minに調節し、反応速度の低下が起こるその以後90分間2〜1L/minに調節しながら、約220L(470g)を総120分間投入した。これは酵素転換反応中に反応液内に存在するO−アセチルホモセリン量と同一のモル量であって、反応中に全てメチオニン合成に所要され、反応終了後のメチルメルカプタン残存量は0.1g/L未満と確認された。
反応中にメチオニン1モルの生成時毎に1モルの酢酸(acetic acid)が発生しながらpHが低下するため、pHが6.48まで落ちるたびにアンモニアガスを投入してpHを上昇させながら反応pHを6.5に維持した。pH下降度によって反応速度を確認することができ、pH減少が緩やかになると、反応がほぼ終了したことを確認することができる。
反応時間はメチルメルカプタンを供給しながら6時間行った。O−アセチルホモセリンとL−メチオニンの時間別濃度変化は図5のとおりであり、分析はHPLCを用いて行った。
反応時のpH変化プロファイルは図4のとおりであり、反応によるメチオニン転換グラフは図5のとおりである。
結果として、30Lの回分式反応器でO−アセチルホモセリン培養液からmetZ−rsp酵素液を用いたL−メチオニン酵素転換反応が気体状のメチルメルカプタンを用いる場合にも、6時間約98%のモル転換率で転換可能であることを確認した。
突然変異を用いたmetZ−rsp酵素の活性の改良
本実施例は、野生型metZ−rspにランダム突然変異誘発システム(random mutagenesis)のためにエラー誘発PCR(error-prone PCR)を行い、エラー誘発PCRの際にdiversify PCRランダム突然変異誘発キット(米国CLONTECH)を使用した。変異発生比率(mutation rate)の条件選定のためにMnSOとdGTPの濃度によって下記のとおり2つの条件でエラー誘発PCRを行った。変異を導入するDNA鋳型(template)は実施例1〜2でクローニングされたpCL−PCJ1:metZ−rspを対象として行った。
Figure 0005907993
上記表7の条件で行ったエラー誘発PCR産物をNcoI/HindIIIで切断し、同様に切断したpCL−PCJ1ベクターにクローニングした。クローニングされた変異ライブラリー(mutant library)は大腸菌(Escherichia coli)K12細胞に形質転換させ、50μg/Lのスペクチノマイシンが含まれたLB平板培地で培養した後、50個のコロニーを選別して変異発生比率(mutation rate)および多様な位置に変異発生有無を判断するためにシーケンシング(sequencing)を行った。シーケンシング結果、条件1の変異発生比率は2.4kb−1、条件2では2.9kb−1であった。条件1、条件2の両方とも突然変異体ライブラリー(mutant library)の確保に適した変異発生比率を満たすものと判断し、上記の条件で製作されたライブラリーを用いて有効変異選別作業を行った。
最初96ディープ−ウェルプレート(deep-well plate)で培養した後、細胞破砕のためにBugBuster(米国MERCK)溶液を1:1で処理して細胞破砕液を得た。この細胞破砕液から50μLを取ってO−アセチルホモセリン300mM、およびL−システイン1mMの基質を混合した反応液50μLと混合した。混合後、常温で60分間反応させながら、時間帯別にDTNB溶液を50μL混合し、発色後のOD値を415nmで読み取った後、下記表8のような結果を得た。
Figure 0005907993
時間によるDTNB発色をプロット(plot)してみると、上述のように5、10分反応後の残存L−システインによるOD値がそれぞれ1.19と0.65であって実際変異選別の際に5分酵素反応後の残存しステインのDTNB発色程度が1.0以下となる変異株を選別することにした。
前述の選別方法で有効な活性増加を示した候補変異株を選定した。その後、候補変異株の有効変異を選別するために塩基配列整列過程を経た。最終的にI3N(配列番号15)。F65Y(配列番号16)、V104A(配列番号17)およびE182Gの4種の変異を含む変異株を選定した。最終選定された変異を候補変異としてpCL−PCJ1:metZ−rsp基本ベクターに候補変異を1種ずつ個別導入して活性増加に対する有効性を検証しようとした。候補変異が個別導入したベクターを製作するために、I3N変異は配列番号5、6のプライマー、F65Y変異は配列番号7、8のプライマー、V104A変異は配列番号9、10のプライマー、E182G変異は配列番号11、12のプライマーをそれぞれ用いて個別的に変異に導入されたmetZ−rsp発現ベクターを製作した。変異導入の有無はシーケンシング(macrogen、韓国)によって確認した。製作された変異ベクターを大腸菌K12に形質転換してフラスコでLB培地を用いて33℃、200rpm、15時間の条件で培養した後、サンプリングして各候補変異の個別有効性有無に対する評価を行った。その結果は表9のとおりである。
Figure 0005907993
候補変異個別導入後のフラスコ評価の結果、I3N(配列番号15)、F65Y(配列番号16)およびV104A(配列番号17)は、既存の対照群metZ−rspに比べて活性増加に有効な変異であることを確認することができた。これに対し、E182G変異は個別的に導入の際に活性増加に有効ではない変異と判断し、追っての進行過程で排除した。
活性増加に対する個別有効性が最終確認されたI3N、F65YおよびV104Aの3種の有効変異に対して基本pCL−PCJ1:metZ−rsp vectorに3種の変異がすべて導入されたベクターを製作(pCL−PCJ1-:metZ−rsp M3と命名する)して活性をさらに強化しようとした。3種の変異は前記プライマーを用いて段階別にベクターにさらに導入される過程を経た。各3種の変異導入発現ベクターに対する活性評価は大腸菌K12への転換転換の後、さらにフラスコで培養した上で行い、結果は下記表10のとおりである。
Figure 0005907993
上記の結果より、有効変異3種がすべて導入されたpCL:PCJ1:metZ−rsp M3が既存のpCL−PCJ1:metZ−rspに比べて1.75倍に活性が増加することを確認することができた。

Claims (9)

  1. 配列番号13のアミノ酸配列で表記されるタンパク質のN末端から3番目のアミノ酸がアスパラギン、アルギニンもしくはセリンで、65番目のアミノ酸がチロシンで、104番目のアミノ酸がトレオニンもしくはアラニンでそれぞれ置換された変異、またはこれら3種のアミノ酸変異のうち1種以上の変異が起こった、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼの活性が野生型より強化された変異型タンパク質。
  2. 前記変異が、N末端から3番目のアミノ酸がアスパラギン、104番目のアミノ酸がアラニンでそれぞれ置換された変異である、請求項1に記載の変異型タンパク質。
  3. 前記タンパク質が配列番号15〜18よりなる群から選ばれたアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の変異型タンパク質。
  4. 請求項1のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  5. 前記ポリヌクレオチドが配列番号19〜22よりなる群から選ばれた塩基配列を有する、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
  6. 請求項4または請求項5に記載のポリヌクレオチドを含む、組み換えベクター。
  7. 請求項6の組み換えベクターで形質転換された、O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼを生産するための微生物。
  8. 前記微生物が大腸菌である、請求項7に記載の微生物。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質、またはこれを生産する微生物を、O−アセチルホモセリンおよびメチルメルカプタンの混合物に添加して反応させる段階を含む、メチオニンまたは酢酸を生産する方法。
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