JP5905733B2 - 塗装ステンレス鋼板とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物の成形体とが接合された複合体およびその製造方法 - Google Patents
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[1]塗装ステンレス鋼板と、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物の成形体とが接合された複合体であって、前記塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板と、前記ステンレス鋼板の表面に形成された有機樹脂を含む化成処理皮膜と、前記化成処理皮膜の上に形成された第1塗膜とを有し、前記第1塗膜は、熱可塑性アクリル系樹脂60〜90質量部と、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂またはこれらの組み合わせと硬化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物40〜10質量部と、を含む樹脂組成物の硬化物からなり、前記第1塗膜の膜厚は、20μm以下である、複合体。
[2]前記塗装ステンレス鋼板は、前記化成処理皮膜と前記第1塗膜との間に形成された第2塗膜をさらに有し、前記第2塗膜は、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂を含む自己架橋型のエポキシ系樹脂組成物の硬化物、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂と硬化剤とを含むエポキシ系樹脂組成物の硬化物、あるいは架橋性官能基を含有するポリエステル樹脂およびイソシアネートを含むポリエステル系樹脂組成物の硬化物からなり、前記第1塗膜および前記第2塗膜の合計膜厚は、20μm以下である、[1]に記載の複合体。
[3]前記化成処理皮膜は、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、N−メチルグルカミン樹脂、タンニン酸およびポリアクリル酸からなる群から選択される1種または2種以上の有機樹脂を含む有機樹脂皮膜である、[1]または[2]に記載の複合体。
[4]前記化成処理皮膜は、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、N−メチルグルカミン樹脂、タンニン酸およびポリアクリル酸からなる群から選択される1種または2種以上の有機樹脂と、シラン化合物、チタン化合物、フッ素化合物およびジルコニウム化合物からなる群から選択される1種または2種以上の無機化合物とを含む有機−無機複合皮膜である、[1]または[2]に記載の複合体。
[5]塗装ステンレス鋼板と、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物の成形体とが接合された複合体の製造方法であって、塗装ステンレス鋼板を準備する工程と、前記塗装ステンレス鋼板を射出成形金型に挿入する工程と、前記射出成形金型にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物を射出して、前記塗装ステンレス鋼板の表面にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物の成形体を接合する工程と、を有し、前記塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板と、前記ステンレス鋼板の表面に形成された有機樹脂を含む化成処理皮膜と、前記化成処理皮膜の上に形成された第1塗膜とを有し、前記第1塗膜は、熱可塑性アクリル系樹脂60〜90質量部と、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂またはこれらの組み合わせと硬化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物40〜10質量部と、を含む樹脂組成物の硬化物からなり、前記第1塗膜の膜厚は、20μm以下である、複合体の製造方法。
[6]前記塗装ステンレス鋼板は、前記化成処理皮膜と前記第1塗膜との間に形成された第2塗膜をさらに有し、前記第2塗膜は、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂を含む自己架橋型のエポキシ系樹脂組成物の硬化物、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂と硬化剤とを含むエポキシ系樹脂組成物の硬化物、あるいは架橋性官能基を含有するポリエステル樹脂およびイソシアネートを含むポリエステル系樹脂組成物の硬化物からなり、前記第1塗膜および前記第2塗膜の合計膜厚は、20μm以下である、[5]に記載の複合体の製造方法。
本発明の複合体は、塗装ステンレス鋼板とABS樹脂組成物の成形体とが接合されている。
塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板と、化成処理皮膜と、上塗り塗膜(第1塗膜)を有する。化成処理皮膜と上塗り塗膜の間には、下塗り塗膜(第2塗膜)を有していてもよい。以下、塗装ステンレス鋼板の各要素について説明する。
本発明では、様々な用途において要求される強度および耐食性を実現するため、金属板としてステンレス鋼板を使用する。ステンレス鋼板の種類は、特に限定されないが、JIS Z2244に準拠して測定したビッカース硬さがHV250〜HV530の範囲内であるものが好ましい。このようなステンレス鋼板を使用することで、板厚を薄くしつつも、電子機器などに求められる強度を確保することができる。アルミニウム板やマグネシウム合金板などを使用した場合、十分な強度を確保するためには板厚を厚くしなければならず、電子機器などへの適用が困難である。好適なステンレス鋼の鋼種の例には、JIS G4313に準拠したSUS301−CSP EH、SUS304−CSP 1/2Hなどが含まれる。ステンレス鋼板の成分や金属組織は、特に限定されず、オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系などの金属組織で任意の組成の鋼を使用することができる。
化成処理皮膜は、ステンレス鋼板の表面に形成されており、ステンレス鋼板と塗膜(下塗り塗膜または上塗り塗膜)との密着性を向上させる。化成処理皮膜は、ステンレス鋼板の表面のうち、少なくともABS樹脂組成物の成形体と接合する領域(接合面)に形成されていればよいが、通常はステンレス鋼板の表面全体に形成されている。
有機樹脂皮膜は、主として有機樹脂からなる皮膜である。有機樹脂皮膜を構成する有機樹脂の種類は、特に限定されないが、加工性(柔軟性)および密着性の観点からは、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、N−メチルグルカミン樹脂、タンニン酸またはポリアクリル酸であることが好ましい。これらの有機樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機−無機複合皮膜は、有機樹脂に加えて、さらに無機化合物を含む皮膜である。無機化合物を配合することで、ステンレス鋼板に対する化成処理皮膜(有機−無機複合皮膜)の密着性をさらに向上させることができる。
前述したように、塗装ステンレス鋼板は、化成処理皮膜と上塗り塗膜の間に、下塗り塗膜を有していてもよい。下塗り塗膜は、化成処理皮膜と共に、ステンレス鋼板に対する上塗り塗膜の密着性を向上させる。下塗り塗膜は、化成処理皮膜と同様に、ステンレス鋼板表面のうち、少なくともABS樹脂組成物の成形体との接合面に形成されていればよいが、通常はステンレス鋼板の表面全体に形成されている。
上塗り塗膜は、熱可塑性アクリル系樹脂と、熱硬化性樹脂組成物(アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂またはこれらの組み合わせと硬化剤)とを含む樹脂組成物の硬化物からなる。上塗り塗膜は、ステンレス鋼板に対するABS樹脂組成物の成形体の密着性を向上させる。熱硬化性樹脂組成物のみでは、インサート成形においてABS樹脂組成物の成形体を上塗り塗膜に密着させることは困難であるため、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の両方を用いて上塗り塗膜を形成することで、上塗り塗膜に対するABS樹脂組成物の成形体の密着性を向上させた。
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)組成物の成形体は、前述の塗装ステンレス鋼板の表面(より正確には、上塗り塗膜の表面)に接合されている。ABS樹脂組成物の成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択されうる。
本発明の複合体の製造方法は、1)塗装ステンレス鋼板を準備する第1の工程と、2)塗装ステンレス鋼板を射出成形金型に挿入する第2の工程と、3)塗装ステンレス鋼板の表面にABS樹脂組成物の成形体を接合する第3の工程と、を有する。
第1の工程では、前述の塗装ステンレス鋼板を準備する。たとえば、ステンレス鋼板の表面に、化成処理皮膜および上塗り塗膜を順次形成して、前述の塗装ステンレス鋼板を作製すればよい。また、化成処理皮膜の形成後であって、上塗り塗膜の形成前に、下塗り塗膜を形成して、塗装ステンレス鋼板を作製してもよい。
第2の工程では、第1の工程で準備した塗装ステンレス鋼板を射出成形金型の内部に挿入する。塗装ステンレス鋼板は、プレス加工などにより所望の形状に加工されていてもよい。
第3の工程では、第2の工程で塗装ステンレス鋼板を挿入した射出成形金型の内部に、高温のABS樹脂組成物を高圧で射出する。このとき、射出成形金型にガス抜きを設けて、ABS樹脂組成物が円滑に流れるようにすることが好ましい。高温のABS樹脂組成物は、塗装ステンレス鋼板の表面に形成された上塗り塗膜に接触する。射出成形金型の温度は、ABS樹脂組成物の融点近傍であることが好ましい。
実施例1では、塗装ステンレス鋼板の曲げ加工性およびプレス加工性に対する化成処理皮膜の影響について調べた。
(1)1コート塗装鋼板
塗膜が上塗り塗膜のみ(1コート)の塗装ステンレス鋼板を作製した。以下、各要素について説明する。
A.ステンレス鋼板
塗装原板として、板厚0.3mmのステンレス鋼板(SUS304−CSP 1/2H)を準備した。
塗装原板の表面に液温60℃のアルカリ脱脂水溶液を20秒間スプレーした後に湯洗して、塗装原板の表面を脱脂した。次いで、脱脂した塗装原板の表面に、表1に示す化成処理液を室温にてバーコーターで塗布し、在炉温度50秒間、到達塗料温度100℃の条件で加熱して、化成処理皮膜を形成した。表2は、化成処理液に添加した各成分の種類と、化成処理液中の各成分の濃度を示している。
化成処理皮膜の表面に、熱可塑性アクリル系樹脂85質量部およびイソシアネートを硬化剤として含む熱硬化性のエポキシ系樹脂組成物15質量部を含む上塗り塗料を、バーコーターで乾燥塗膜の厚みが5μmとなるように室温にて塗布した。次いで、在炉時間50秒間、到達材料温度230℃の条件で加熱して上塗り塗膜を形成した。
塗膜が上塗り塗膜および下塗り塗膜(2コート)からなる塗装ステンレス鋼板を作製した。以下、各要素について説明する。
A.ステンレス鋼板
塗装原板として、板厚0.3mmのステンレス鋼板(SUS304−CSP 1/2H)を準備した。
ステンレス鋼板の上に、(1)1コート塗装鋼板と同じ化成処理皮膜を形成した。
化成処理皮膜の表面に、数平均分子量が10000の自己架橋型のフェノキシ樹脂を含む下塗り塗料を、バーコーターで乾燥塗膜の厚みが5μmとなるように室温にて塗布した。次いで、在炉時間50秒間、到達材料温度200℃の条件で加熱して、下塗り塗膜を形成した。
下塗り塗膜の上に、(1)1コート塗装鋼板と同じ上塗り塗膜を形成した。これらの工程により下塗り塗膜および上塗り塗膜の合計膜厚が10μmの各塗装ステンレス鋼板を得た。
曲げ加工性は、各塗装ステンレス鋼板の180度曲げ加工を行い、塗膜のワレおよび剥離の有無により評価した。具体的には、各塗装ステンレス鋼板から切り出した試験片(50mm×40mm)の塗膜が形成されていない面に、試験片と同様の厚みの板を2枚重ねた。次いで、塗膜が外側になるように、試験片のみを25℃で180度折り曲げ(折り曲げられた試験片の間に2枚の板が挟まれる)、曲げ部に対してセロハンテープ剥離試験を行った。曲げ加工性の評価基準を表3に示した。また、(1)1コート塗装鋼板の評価結果を表5に示し、2コート塗装鋼板の評価結果を表6に示す。
プレス加工性は、各塗装ステンレス鋼板を打ち抜き加工し、塗膜の浮き幅により評価した。図1は、塗装ステンレス鋼板の打ち抜き加工の模式図である。図1に示すように、2000kNサーボプレス機を用い、クリアランスを7%とし、パンチのRを0mmとして、打ち抜き加工を行った。打ち抜き加工後の断面観察により、ステンレス鋼板と、塗膜(下塗り塗膜または上塗り塗膜)とが剥離した距離を浮き幅とした。1コート塗装鋼板の評価結果を表5に示し、2コート塗装鋼板の評価結果を表6に示す。
表1に示したNo.1、8、17、18または22の化成処理液を用いて作製した1コート塗装鋼板および2コート塗装鋼板について、塗膜の膜厚と、プレス加工後の塗膜の浮き幅との関係について調べた。1コート塗装鋼板の場合、化成処理皮膜の表面に、乾燥塗膜の厚みが、3,5,10,15または20μmとなるように上塗り塗料を塗布した。この工程により上塗り塗膜の膜厚が3〜20μmの各1コート塗装鋼板を得た。また、2コート塗装鋼板の場合、まず化成処理皮膜の表面に、乾燥塗膜の厚みが3〜10μmとなるように下塗り塗料を塗布した(表4参照)。次いで、下塗り塗膜の表面に、乾燥塗膜の厚みが3〜20μmとなるように上塗り塗料を塗布した(表4参照)。これらの工程により下塗り塗膜と上塗り塗膜の合計厚みが6〜30μmの各2コート塗装鋼板を得た(表4参照)。プレス加工は、前述した通りである。
1コート塗装鋼板の上塗り塗膜の膜厚が5μmのときの、曲げ加工性およびプレス加工性の評価結果、ならびにこれらの結果に基づく総合評価を表5に示す。2コート塗装鋼板の下塗り塗膜および上塗り塗膜の膜厚がそれぞれ5μmのときの、曲げ加工性およびプレス加工性の評価結果、ならびにこれらの結果に基づく総合評価を表6に示す。また、塗膜の膜厚と塗膜の浮き幅との関係を図2に示す。
実施例2では、塗装ステンレス鋼板に対するアクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS樹脂)組成物の成形体の密着性について調べた。
(1)1コート塗装鋼板
A.ステンレス鋼板
塗装原板として、板厚0.3mmのステンレス鋼板(SUS304−CSP 1/2H)を準備した。
塗装原板の表面に液温60℃のアルカリ脱脂水溶液を20秒間スプレーした後に湯洗して、塗装原板の表面を脱脂した。次いで、脱脂した塗装原板の表面に、表1に示すNo.8または17の化成処理液を室温にてバーコーターで塗布し、在炉温度50秒間、到達塗料温度100℃の条件で加熱して、化成処理皮膜を形成した。
化成処理皮膜の表面に、表7に示す熱可塑性樹脂および硬化剤としてイソシアネートを含む熱硬化性樹脂組成物を含む上塗り塗料を、バーコーターで乾燥塗膜の厚みが5μmとなるように室温にて塗布した。次いで、在炉時間50秒間、到達材料温度230℃の条件で加熱して、上塗り塗膜を形成した。これらの工程により上塗り塗膜の厚みが5μmの各塗装ステンレス鋼板を得た。
A.ステンレス鋼板
塗装原板として、板厚0.3mmのステンレス鋼板(SUS304−CSP 1/2H)を準備した。
(1)1コート塗装鋼板と同じ化成処理皮膜を形成した。
化成処理皮膜の表面に、表8に示す下塗り塗料を、バーコーターで乾燥塗膜の厚みが5μmとなるように室温にて塗布した。次いで、在炉時間50秒間、到達材料温度200℃の条件で加熱して、下塗り塗膜を形成した。
下塗り塗膜の表面に、(1)1コート塗装鋼板と同じ上塗り塗膜を形成した。これらの工程により下塗り塗膜および上塗り塗膜の合計厚みが10μmの各塗装ステンレス鋼板を得た。
図3は、塗装ステンレス鋼板とABS樹脂組成物の成形体とが接合された複合体を示す図である。インサート成形は、15トン横型電動式射出成形機を用いて行った。まず、得られた各塗装ステンレス鋼板を、110℃に加熱した、60mm×20mmの大きさのキャビティを有する射出成形金型内に挿入した。次いで、ABS樹脂(TM−21;UMG−ABS株式会社)を上塗り塗膜の表面に射出し、熱溶着させた。上塗り塗膜とABS樹脂組成物の成形体との接合面の大きさは、10mm×10mmである。
せん断接着強さは、2トンオートグラフを用い、各塗装ステンレス鋼板とABS樹脂組成物の成形体とを同一平面方向に引っ張ることで測定した。各複合体のせん断接着強さと、その総合評価を表8〜10に示す。せん断接着強さが50kgf/cm2以下の場合は「×」、せん断接着強さが50kgf/cm2超の場合は「○」と評価した。
作製した各複合体におけるせん断接着強さと総合評価を、表9〜11に示す。
Claims (6)
- 塗装ステンレス鋼板と、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物の成形体とが接合された複合体であって、
前記塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板と、前記ステンレス鋼板の表面に形成された有機樹脂を含む化成処理皮膜と、前記化成処理皮膜の上に形成された第1塗膜とを有し、
前記有機樹脂は、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、N−メチルグルカミン樹脂、タンニン酸およびポリアクリル酸からなる群から選択される1種または2種以上の樹脂であり、
前記第1塗膜は、熱可塑性アクリル系樹脂60〜90質量部と、前記熱可塑性アクリル系樹脂以外のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂またはこれらの組み合わせと硬化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物40〜10質量部と、を含む樹脂組成物の硬化物からなり、
前記第1塗膜の膜厚は、20μm以下である、
複合体。 - 前記塗装ステンレス鋼板は、前記化成処理皮膜と前記第1塗膜との間に形成された第2塗膜をさらに有し、
前記第2塗膜は、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂を含む自己架橋型のエポキシ系樹脂組成物の硬化物、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂と硬化剤とを含むエポキシ系樹脂組成物の硬化物、あるいは架橋性官能基を含有するポリエステル樹脂およびイソシアネートを含むポリエステル系樹脂組成物の硬化物からなり、
前記第1塗膜および前記第2塗膜の合計膜厚は、20μm以下である、
請求項1に記載の複合体。 - 前記化成処理皮膜は、前記有機樹脂を含む有機樹脂皮膜である、請求項1に記載の複合体。
- 前記化成処理皮膜は、前記有機樹脂と、シラン化合物、チタン化合物、フッ素化合物およびジルコニウム化合物からなる群から選択される1種または2種以上の無機化合物とを含む有機−無機複合皮膜である、請求項1に記載の複合体。
- 塗装ステンレス鋼板と、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物の成形体とが接合された複合体の製造方法であって、
塗装ステンレス鋼板を準備する工程と、
前記塗装ステンレス鋼板を射出成形金型に挿入する工程と、
前記射出成形金型にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物を射出して、前記塗装ステンレス鋼板の表面にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物の成形体を接合する工程と、を有し、
前記塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板と、前記ステンレス鋼板の表面に形成された有機樹脂を含む化成処理皮膜と、前記化成処理皮膜の上に形成された第1塗膜とを有し、
前記有機樹脂は、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、N−メチルグルカミン樹脂、タンニン酸およびポリアクリル酸からなる群から選択される1種または2種以上の樹脂であり、
前記第1塗膜は、熱可塑性アクリル系樹脂60〜90質量部と、前記熱可塑性アクリル系樹脂以外のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂またはこれらの組み合わせと硬化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物40〜10質量部と、を含む樹脂組成物の硬化物からなり、
前記第1塗膜の膜厚は、20μm以下である、
複合体の製造方法。 - 前記塗装ステンレス鋼板は、前記化成処理皮膜と前記第1塗膜との間に形成された第2塗膜をさらに有し、
前記第2塗膜は、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂を含む自己架橋型のエポキシ系樹脂組成物の硬化物、フェノキシ系樹脂またはエポキシ系樹脂と硬化剤とを含むエポキシ系樹脂組成物の硬化物、あるいは架橋性官能基を含有するポリエステル樹脂およびイソシアネートを含むポリエステル系樹脂組成物の硬化物からなり、
前記第1塗膜および前記第2塗膜の合計膜厚は、20μm以下である、
請求項5に記載の複合体の製造方法。
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