JP5904432B2 - 結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するための方法および試験片 - Google Patents

結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するための方法および試験片 Download PDF

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Description

本発明は、結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するための方法および試験片に関する。
現在、日本では年間数千人が、地球規模では年間数百万人が結核により死亡しているといわれている。結核の治療は、基本的には化学療法を中心とする内科的療法であり、内科的療法では治療の目的を達成することが不可能な場合に外科療法が考慮される。
内科的療法で使用される結核治療の薬剤としては、イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、ストレプトマイシン(SM)、エタンブトール(EB)、ピラジナミド(PZA)などの多くの種類の薬剤が知られている。しかし、薬剤を患者に投与した場合、突然変異によって、投与した薬剤に対する耐性を獲得した耐性菌が生じることが問題となっている。
薬剤耐性菌は、特定遺伝子が変異することにより薬剤耐性を獲得することが報告されている。そのため、特定遺伝子の変異を検出することによる薬剤耐性菌の検出法が開発されている。例えば、結核治療用薬剤に感受性である野生型結核菌およびいずれかの薬剤に耐性を有する変異型結核菌における結核菌ゲノム上の結核治療用薬剤耐性関連遺伝子の塩基配列に基づいて合成されたオリゴヌクレオチドを固定化した基板を含む結核菌診断キットが開示されている(特許文献1)。現在開発されているDNAマイクロアレイキット「Oligo Array」(日清紡績株式会社)は、INH、RFP、SM、カナマイシン(KM)、およびEBの5薬剤に対する耐性に関与する遺伝子変異を検出し得るキットである。
イソニアジド(INH)は、結核の治療における最も代表的な薬剤である。INH耐性菌の多くは、katG遺伝子またはinhA遺伝子に変異を有する。これらの変異を検出する方法については、種々検討されている(例えば、特許文献2および3)。しかし、INH耐性菌の約8割は、katG遺伝子またはinhA遺伝子の公知の変異によるため、耐性菌として検出されるが、残りの約2割のINH耐性菌については、検出することができない。そのため、このような検出不可能なINH耐性菌を保有する結核患者に対しても、INHが投与されている。
特開2001−103981号公報 特許第3579049号明細書 特表平9−501823号公報
Parishら、J. Bact.,2007年,189巻,10号,p.3721-3728 Cohen-Gonsaudら、J. Mol. Biol.,2002年,320巻,2号,p.249-261 Marrakchiら、Microbiology,2002年,148巻(Pt4),p.951-960 A.S. Pymら、Molecular Microbiology,2001年,40巻,p.879-889
本発明は、結核菌のINH感受性、すなわち、結核菌がINH耐性菌であるか否かを、より確実に検出するための、新たな手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、fabG1遺伝子もイソニアジド感受性遺伝子の1つであり、fabG1遺伝子が変異を有し、この変異によって結核菌がINH耐性菌となり得ることを新たに見いだした。
本発明は、結核菌におけるイソニアジド感受性を検出する方法を提供し、該方法は、
検体中の結核菌のfabG1遺伝子を取得する工程、および
該取得したfabG1遺伝子について、イソニアジド耐性に関与する変異を検出する工程
を含む。
1つの実施態様では、上記変異は、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の609位の塩基GからAまたはTへの変異、またはその相補配列の変異である。
本発明はまた、結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するための試験片を提供し、該試験片は、少なくとも1つのプローブが固定されており、
該少なくとも1つのプローブが、結核菌のfabG1遺伝子の変異を有する塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなるか、あるいは該結核菌のfabG1遺伝子の変異を有する塩基配列の領域において、該変異を有する塩基配列の領域とはハイブリダイズし得ないが、該領域に対応する野生型塩基配列からなる領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなる。
1つの実施態様では、上記fabG1遺伝子の変異は、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の609位の塩基GからAまたはTへの変異、またはその相補配列の変異である。
さらなる実施態様では、上記野生型塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号3に記載の塩基配列またはその相補配列からなる。
ある実施態様では、上記試験片は、さらに、結核菌のfurA遺伝子の変異を有する塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなるか、あるいは該結核菌のfurA遺伝子の変異を有する塩基配列の領域において、該変異を有する塩基配列の領域とはハイブリダイズし得ないが、該furA遺伝子の領域に対応する野生型塩基配列からなる領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなるプローブが固定されている。
1つの実施態様では、上記furA遺伝子の変異は、配列表の配列番号8に記載の塩基配列の41位の塩基CからTへの変異、またはその相補配列の変異である。
さらなる実施態様では、上記furA遺伝子の野生型塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号10に記載の塩基配列またはその相補配列からなる。
本発明はまた、上記いずれかの試験片を含む、結核菌におけるイソニアジド感受性の検出用キットを提供する。
本発明はさらに、結核菌におけるイソニアジド感受性を検出する方法を提供し、該方法は、
検体中の結核菌のfabG1遺伝子を取得する工程、
該取得したfabG1遺伝子を上記のいずれかの試験片と接触させて、該試験片に固定されたプローブに結合させる工程、および
該プローブに結合したfabG1遺伝子を発色させる工程
を含む。
1つの実施態様では、上記方法は、
上記検体中の結核菌のfurA遺伝子を取得する工程、
該取得したfurA遺伝子を上記のいずれかの試験片と接触させて、該試験片に固定されたプローブに結合させる工程、および
該プローブに結合したfurA遺伝子を発色させる工程
をさらに含む。
本発明によれば、これまでINH耐性菌として同定されなかった一部のINH耐性菌についても、正確にINH耐性菌と同定することができる。したがって、既存のkatG遺伝子またはinhA遺伝子における変異を検出する方法と組み合わせることによって、INH耐性菌のうちの約9割について、INH耐性菌であると同定することができる。このように、より確実にINH感受性を検出することができる。その結果、イソニアジド耐性結核菌を保有する結核患者に対して、適切な治療を提供することができる。
(fabG1およびfurA遺伝子遺伝子の変異)
本発明において、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のイソニアジド(INH)感受性遺伝子とは、結核治療用薬剤イソニアジド(INH)の作用に関連する遺伝子をいう。INH耐性菌では、この野生型のINH感受性遺伝子に変異が生じ、INHの作用に対する薬剤耐性が獲得されている。具体的には、変異を持つINH感受性遺伝子から発現した酵素では、構成するアミノ酸配列において置換、挿入および/または欠落が生じているため、酵素活性の低下や薬剤結合部位の構造変化が生じ、INHの効果が抑制される。
結核菌のINH耐性は、上記のように、katG遺伝子、inhA遺伝子などのINHの作用に関連する種々の遺伝子の変異により生じ得る。このような変異は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。これらの変異のうち、いずれか1つの変異があれば、INH耐性結核菌となり得る。
本発明においては、上記の遺伝子以外に、fabG1遺伝子が変異を有し、この変異によって結核菌がINH耐性菌となり得ることを新たに見いだした。fabG1遺伝子は、fabG1−inhAオペロンの先頭遺伝子であって、ミコール酸合成酵素をコードする遺伝子である(非特許文献1〜3)。
具体的には、fabG1遺伝子の変異は、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の609位の塩基GからAまたはTへの変異およびその相補配列における塩基CからTまたはAへの変異である。本発明においては、この変異をまとめて、「塩基配列の609位の塩基GからAまたはTへの変異、またはその相補配列の変異」と表現する。この変異は、fabG1遺伝子によりコードされるFabG1(配列表の配列番号2)の203位のロイシン(Leu)のサイレント変異である。
本発明においてはさらに、furA遺伝子の変異によっても結核菌がINH耐性菌となり得ることも新たに見いだした。カタラーゼ−ペルオキシダーゼをコードする上記のkatG遺伝子は、furAを先頭遺伝子とするfurA−katGオペロンを構成し、そしてfurA遺伝子が、このオペロンの負の転写遺伝子であるという報告がある(非特許文献4)。furA遺伝子は、katG発現を調節するので、INH耐性に関与する。非特許文献においては、furA遺伝子の機能は、furA遺伝子全体を欠損させることによって確認されるのみであり、furA遺伝子の変異については何ら記載されていない。
具体的には、furA遺伝子の変異は、配列表の配列番号8に記載の塩基配列の41位の塩基CからTへの変異およびその相補配列における塩基GからAへの変異が挙げられる。本発明においては、この変異をまとめて、「塩基配列の41位の塩基CからTへの変異、またはその相補配列の変異」と表現する。この変異により、furA遺伝子によりコードされるFurA(配列表の配列番号9)の14位のアラニン(Ala)がバリン(Val)に変異する。
fabG1遺伝子およびfurA遺伝子上の上記変異を検出する方法としては、Nollauら, Clin. Chem., 43, 1114-1120 (1997)、「突然変異検出のための研究室プロトコル」(Landegren, U.ら, Oxford University Press (1996))、および「PCR」第2版(Newtonら, BIOS Scientific Publishers Limited (1997))などに記載されている通常用いられる手段が適用できる。具体的には、例えば、PCR断片シークエンシング法、一本鎖高次構造多型法(SSCP法:Orita, M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 86(8), 2766-2770 (1989))、ヘテロ二本鎖変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE法:Sheffield, V. C.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 86(1), 232-236 (1989))、インベーダー法(Griffin, T. J.ら, Trend Biotech, 18, 77 (2000))、SniPerTM法(Amersham pharmacia biotech)、タックマンPCR法(Livak, K. J., Genel. Anal., 14, 143 (1999);Morris, T.ら, J. Clin. Microbiol., 34, 2933(1996))、MALDI−TOF/MS法(Griffin, T. J.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 96(11), 6301-6 (1999))、制限酵素長多型解析法(RFLP:Murray, J. C.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 80(19), 5951-5955 (1983))、DNAチップハイブリダイゼーション法(Kokoris, K.ら, J. Med. Genet., 36, 730 (1999))、MasscodeTM法(Qiagen Genomics)などに例示される公知の方法から選択され得るが、これらに限定されるものではない。遺伝子変異を検出する方法であれば、あらゆる手段を適用することができる。例えば、PCR−配列特異的オリゴプローブ(SSOP:sequence-specific oligonucleotide probes)法を用いることもできる。PCR−SSOP法とは、変異部位を含む約10〜約30塩基の、一方の対立遺伝子配列に完全相補的なプローブを作製し、変異部位を含むDNAをPCR法により増幅した後、ハイブリダイゼーションを行い、ハイブリッド形成の有無により遺伝子多型を判別する方法である。
(プローブ)
本発明の結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するために用いられるプローブとしては、結核菌のfabG1遺伝子の変異を有する領域と結合(ハイブリダイズ)し得るオリゴヌクレオチドプローブ(以下、「fabG1変異プローブ」という場合がある)、ならびにこのfabG1遺伝子の変異を有する領域において、変異を有する塩基配列の領域とはハイブリダイズし得ないが、該領域に対応する野生型塩基配列からなる領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドプローブ(以下、「fabG1野生型プローブ」という場合がある)が挙げられる。
さらに、プローブとして、結核菌のfurA遺伝子の変異を有する領域と結合(ハイブリダイズ)し得るオリゴヌクレオチドプローブ(以下、「furA変異プローブ」という場合がある)、ならびにこのfurA遺伝子の変異を有する領域において、変異を有する塩基配列の領域とはハイブリダイズし得ないが、該領域に対応する野生型塩基配列からなる領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドプローブ(以下、「furA野生型プローブ」という場合がある)が挙げられる。
各プローブの長さは、結合(ハイブリダイズ)させる時の温度にもよるが、一般的には10〜30ヌクレオチド長、好ましくは12〜26ヌクレオチド長である。
本発明において、変異プローブは、furA遺伝子またはfabG1遺伝子の上記の各変異を有する領域に結合(ハイブリダイズ)可能である。このような変異を有する領域は、変異以外の塩基の配列は野生型である。この領域が野生型である場合には、変異プローブはこの領域に結合できない。また、確実に変異を検出するために、変異プローブを構成するオリゴヌクレオチドの中程に変異の位置が存在するように設計することが好ましい。
本発明において、野生型プローブは、野生型のfurA遺伝子またはfabG1遺伝子において、上記の変異を有する領域に対応する任意の領域と結合(ハイブリダイズ)し得る。
上記の各プローブは、標準的なプログラムおよびプライマー解析ソフトウェア、例えばPrimer Express(Perkin Elmer社)を用いることにより得ることができ、自動化オリゴヌクレオチドシンセサイザーなどの標準的な方法を用いて合成することができる。
さらに、各プローブは、例えば、試験片に固定するために、5’または3’末端のいずれか一方が修飾されていてもよい。
各プローブは、検出が可能であればどのような形態で提供されてもよく、溶液の形態であってもよく、あるいは担体に固定されていてもよい。検出を容易にするために、試験片に固定されていることが好ましい。
(試験片)
本発明の、結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するための試験片には、少なくとも1つのプローブが固定されている。固定されている少なくとも1つのプローブは、上記fabG1変異プローブまたはfabG1野生型プローブである。fabG1変異プローブおよびfabG1野生型プローブは、試験片のそれぞれ異なる位置に固定されることがより好ましい。fabG1遺伝子が変異を有する場合、fabG1遺伝子はfabG1変異プローブと結合するが、fabG1野生型プローブとは結合しない。一方、変異がない場合には、fabG1野生型プローブと結合する。したがって、INH感受性の場合はfabG1野生型プローブにのみ結合し、INH耐性の場合は、fabG1野生型プローブには結合せずにfabG1変異プローブに結合する。
さらに、本発明の試験片には、発色を確認するためのコントロールまたはマーカーが固定されていてもよい。
本発明の、結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するための試験片には、さらに、上記furA変異プローブまたはfurA野生型プローブである。furA変異プローブおよびfurA野生型プローブが、試験片のそれぞれ異なる位置に固定されることが好ましい。furA遺伝子が変異を有する場合、furA遺伝子はfurA変異プローブと結合するが、furA野生型プローブとは結合しない。一方、変異がない場合には、furA野生型プローブと結合する。したがって、INH感受性の場合はfurA野生型プローブにのみ結合し、INH耐性の場合は、furA野生型プローブには結合せずにfurA変異プローブに結合する。
さらに、本発明の試験片には、fabG1遺伝子およびfurA遺伝子以外の、INH感受性またはINH耐性を検出可能な公知のプローブが固定されていてもよい。
本発明の試験片は、上記プローブを担体表面上に物理的または化学的に固定して作成することができる。担体としては、ビニル系ポリマー、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ニトロセルロースなどの有機材料;ガラス、シリカなどの無機材料;金、銀などの金属材料などが挙げられ、特に限定されない。成形加工性が容易である点で、有機材料が好ましく、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類がより好ましい。これらの担体は、発色法での検知において、その発色を視認しやすくするために白色であることが好ましい。
上記プローブは、種類ごとに一定間隔で上記担体に配置されることが好ましい。これらの担体表面にプローブを物理的に固定化する方法としては、公知の種々の方法が用いられる。例えば、担体表面をポリリジンなどのポリカチオン性の高分子で被覆する方法がある。この方法によれば、ポリアニオンであるプローブとの静電相互作用により、固定化の効率を上げることができる。プローブの末端に無関係な塩基配列(ポリチミン鎖など)を付加し、固定されるプローブ自体の分子量を増大させることによって、固定化の効率を上げる方法もある。例えば、ポリチミン付加オリゴヌクレオチドプローブを含む溶液をディスペンサからニトロセルロース膜上に吐出して、紫外線を照射することによって、比較的容易に種々のプローブを固定化することができる。具体的には、各プローブをそれぞれ24ゲージの針を備えたディスペンサに入れ、0.5〜1.0μL/分の量を吐出させながら2.5〜8.5mm/秒の塗布速度で、それぞれ一定の間隔をあけてニトロセルロース膜上に塗布すると、各プローブが、一定の間隔で並んだ約1〜2mmの幅のストライプとして塗布される。このプローブのストライプが塗布された担体に紫外線を照射することによって、プローブが担体上に固定される。さらに、必要に応じて、これらのストライプを横断するように細く切断すると、各プローブが順に配置された多数の試験片を一挙に得ることができる。
担体表面が金などの金属材料である場合には、2−アミノエタンチオールなどのアミノ基を有するチオールもしくはジスルフィド化合物などで担体表面を処理することにより、ポリアニオンであるプローブとの静電相互作用を介して固定化の効率がよくなることも知られている。
プローブに官能基を導入して化学的に固定化する方法としては、公知の種々の方法が用いられる。例えば、担体の材料がガラス、シリコンなどの無機材料の場合には、プローブの末端をトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのシランカップリング反応が可能な官能基で修飾する方法があり、このように修飾されたプローブを含む溶液に担体を24〜48時間浸漬し、取り出した後、洗浄することにより試験片が得られる。あるいは、ガラス、シリコンなどの無機材料担体をアミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤で処理することにより、担体の表面をアミノ化し、次いで、末端にカルボン酸を導入したプローブとアミノカップリング反応させることにより、プローブを固定化する方法もある。さらに、担体の材料が金、銀などの金属材料の場合には、プローブの末端をチオール基、ジスルフィド基などの金属と結合可能な官能基で修飾し、この修飾プローブを含む溶液に担体を24〜48時間浸漬し、取り出した後、洗浄することにより固定化することができる。
また、合成されたプローブを固定するのでなく、リソグラフィー技術を利用して、所望の配列を有するプローブを担体表面上で直接合成する方法も知られている。
(試験片を用いたINH感受性検出方法)
1.検体
本発明において、「検体」は、通常、結核菌検査に必要な検体であればよい。例えば、喀痰、咽頭ぬぐい液、胃液、気管支肺胞洗浄液、気管内吸引物、喉からの拭取物および/または組織生検物などの体液、ならびにこれらから培養して得られた培養物が挙げられる。
2.検体の前処理(DNAの抽出)
上記検体からのDNAの抽出は、公知の方法で行うことができる。例えば、フェノール抽出法、グアニジンチオシナネート抽出法、バナジルリボヌクレオシド複合抽出法などが挙げられる。
3.核酸の増幅
得られたDNAから目的の遺伝子を取得する。PCR法で目的の遺伝子を増幅する場合、例えば、以下の工程で行われる:(1)2本鎖ゲノムDNAを約92〜95℃、約30秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより1本鎖にする変性工程;(2)該1本鎖DNAのそれぞれに約50〜65℃を約20秒〜1分間の反応条件で、少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる2本鎖部分を作製するアニール工程;(3)約70〜75℃を約20秒〜5分間の反応条件でDNAポリメラーゼを用いて反応させる鎖伸張工程;ならびに(1)〜(3)の工程を通常の方法により20〜40回繰り返す工程。
fabG1遺伝子をPCRで増幅するために用いられるプライマー対として、変異部位を含むfabG1遺伝子を増幅し得るように、該変異部位を含む配列部位よりも上流の配列と該部位よりも下流の配列とを含む、同一または相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。好ましいプライマー対の例としては、配列表の配列番号6(ggctacatcg acaccgatat gacc)および配列番号7(gcgtccttgt gttgtgtcag tgg)のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。一方、furA遺伝子をPCRで増幅するために用いられるプライマー対として、変異部位を含むfurA遺伝子を増幅し得るように、該変異部位を含む配列部位よりも上流の配列と該部位よりも下流の配列とを含む、同一または相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。好ましいプライマー対の例としては、配列表の配列番号13(gccatcccac gatccagcgg)および配列番号14(gtcgggcagc gcaaaacgca c)のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
また、測定の感度を向上させるために、例えば、検体から直接DNAを増幅させる場合、上記PCR反応の前にさらにNestedPCR法(特公平6−81600号公報)などで核酸を増幅してもよい。NestedPCR法におけるプライマーは、上記PCR反応において用いたプライマーよりも外側の配列を選択することができる。例えば、fabG1遺伝子の場合は、配列表の配列番号4(gtcgaaggca aacgtgaccg cg)および配列番号5(gtccagcagt cctgtcatgt g)のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられ、そしてfurA遺伝子の場合は、配列表の配列番号11(ggctcatcgg aacatacgaa ggctg)および配列番号12(gtcgtacacg gcttgccgg)のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
上記のプローブおよびプライマーの配列は、標準的なプログラムおよびプライマー解析ソフトウェア、例えばPrimer Express(Perkin Elmer社製)を用いることにより得ることができ、自動化オリゴヌクレオチドシンセサイザーなどの標準的な方法を用いて合成することができる。
4.結核菌のINH感受性検出方法
本発明において、結核菌のINH感受性は、PCR−SSOP法によって検出することができる。より簡便には、固定されたプローブの位置と、PCR−SSOP法において検出されたスポットの位置とを比較することにより検出することもできる。例えば、上記のプローブが固定された試験片を使用する場合、PCR−SSOP法におけるハイブリダイズは、非特異的な結合反応が起きにくい点で、約60〜65℃の温度で行うことが好ましい。検出されたスポットの位置が、fabG1野生型プローブの位置であれば、結核菌は変異を有さない、すなわちINH感受性であり、一方、検出されたスポットの位置がfabG1変異プローブの位置であれば、結核菌はINH耐性であると判断することができる。また、検出されたスポットの位置がfurA野生型プローブの位置であれば、結核菌はINH感受性であると判断され、一方、検出されたスポットの位置がfurA変異プローブの位置であれば、結核菌はINH耐性であると判断できる。
PCR−SSOP法において検出されたスポットを容易に検出するためには、放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質などの標識物質を修飾したプライマー対を用いて遺伝子を増幅することが好ましい。上記標識物質を用いた検出方法のうち、比較的安価で容易に実施できる点で、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファターゼp−トルイジニル塩(BCIP)発色法が好ましい。具体的には、以下のとおりに行われる。まず、上記プライマーの3’末端または5’末端にビオチンを修飾したプライマー対を用いて、末端にビオチンを有する遺伝子を増幅する。次いで、増幅した遺伝子と試験片に固定されたプローブとのハイブリダイゼーションによってプローブに結合させ、さらにアルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジンに接触させて、プローブと結合している遺伝子の末端に存在するビオチンに結合させる。さらに、NBT/BCIPを加えてアルカリホスファターゼと反応させることにより、プローブに結合しているアルカリホスファターゼが存在する位置で発色させる。この発色は視認可能である。
(試験片を含む検出用キット)
本発明の検出用キットは、上記の試験片を含む。好適には、結核菌のイソニアジド感受性を検出するために適切な任意の試薬類を含み得る。例えば、上記のDNAの抽出のための試薬、遺伝子増幅用試薬、プローブへの遺伝子の結合を検出するための試薬などが挙げられる。具体的なキットとして、上記のPCR−SSOP法を実施するためのキットを例示する。
本発明のキットに含まれ得るDNAの抽出のための試薬は、上記の任意の手法で用いられる試薬である。
fabG1遺伝子をPCRで増幅するためのプライマー対も、本発明のキットに含まれ得る。プライマー対は、任意の変異部位を含むfabG1遺伝子を増幅し得るように、変異部位を含む配列部位よりも上流の配列と、該部位よりも下流の配列とを含む、同一または相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。INH感受性の検出のために、fabG1遺伝子増幅用の好ましいプライマー対の例としては、上記の配列表の配列番号6および7のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。一方、furA遺伝子については、上記の配列表の配列番号13および14のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。測定の感度を向上させるためのNestedPCR法におけるプライマー対はとしては、例えば、fabG1遺伝子については、上記の配列表の配列番号4および5のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられ、一方、furA遺伝子については、上記の配列表の配列番号11および12のオリゴヌクレオチドまたはその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
さらに、上記プライマー対は、PCR−SSOP法において検出を容易にするために、放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質などで修飾されていることが好ましい。
また、遺伝子の増幅は、PCR法以外にも、LAMP法、ICAN法などの公知の技術が挙げられる。本発明においては、これらのいずれかの手法を用いてもよく、本発明にはこれらの手法で用いられる任意の試薬を含むキットも含まれる。
さらに、本発明のキットは、検出のための試薬類を含み得る。例えば、NBT/BCIP発色法を採用する場合は、ストレプトアビジン修飾アルカリホスファターゼ、NBT、およびBCIPが挙げられる。
(実施例1:INH耐性結核菌の結核菌の遺伝子解析)
本実施例では、INH含有溶液(MGIT 960:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)またはINH含有寒天培地(小川培地、7H10)における発育の確認によりINH耐性結核菌と判定された92検体を入手し、これらの92検体からフェノール抽出法によりゲノムDNAを抽出し精製した。
1.fabG1遺伝子の解析
以下に示すプライマー対を用いてfabG1遺伝子を増幅した。PCRの反応条件は、変性過程を94℃、30秒、アニール過程を55℃、20秒、鎖伸長過程を72℃、20秒とし、この工程を30サイクルにより、増幅を行った。
fabG1プライマー1 ggctacatcg acaccgatat gacc (配列番号6)
fabG1プライマー2 gcgtccttgt gttgtgtcag tgg (配列番号7)
増幅された92例のfabG1遺伝子の塩基配列をシークエンサーで調べた。その結果、新たな変異:Leu203Leu[ctG→ctA/T]が92例中15例において発見された。この変異は、塩基が置換されているにもかかわらずコードされるアミノ酸が変化しないサイレント変異であった。
2.furA遺伝子の解析
以下に示すプライマー対を用いてfurA遺伝子を増幅した。PCRの反応条件は、変性過程を94℃、30秒、アニール過程を55℃、20秒、鎖伸長過程を72℃、20秒とし、この工程を30サイクルにより、増幅を行った。
furAプライマー1 gccatcccac gatccagcgg (配列番号13)
furAプライマー2 gtcgggcagc gcaaaacgca c (配列番号14)
増幅された92例のfur遺伝子の塩基配列をシークエンサーで調べた。その結果、新たな変異:Ala14Val[gCc→gTc]が92例中14例において発見された。
3.既知の変異の検出
上記92検体について、既知の変異を有するkatG遺伝子およびinhA遺伝子をそれぞれ増幅して、既知の変異の有無を検出した。
katGに関しては、furA−katGオペロンに対し、furA開始コドンを基点に129塩基上流に結合するプライマー(gctcatcgga acatacgaag:配列番号15)とkatG終止コドンを基点に50塩基下流に結合するプライマー(gtgctgcggc gggttgtggt tgatcggcgg:配列番号16)を用いてPCRを行い、DNAシークエンシング法にて全塩基配列を決定した。既報論文で報告されていない変異を新規変異とした。
inhAに関しては、fabG1−inhAオペロンに対し、fabG1開始コドンを基点に200塩基上流に結合するプライマー(ttcgtagggc gtcaatacac:配列番号17)とinhA終止コドンを基点に40塩基下流に結合するプライマー(ccgaacgaca gcagcaggac:配列番号18)を用いてPCRを行い、DNAシークエンシング法にて全塩基配列を決定した。既報論文で報告されていない変異を新規変異とした。
上記1〜3の解析結果を、以下の表1にまとめる。
Figure 0005904432
表1からわかるように、既知の変異を有するINH耐性菌は、92検体中67検体であったが、fabG1遺伝子およびfurA遺伝子の変異も考慮すると、92検体中83検体(90.2%)の耐性菌について、INH耐性であると容易に判定できる。したがって、より確実かつ簡便な検出が可能となる。
(実施例2:試験片の作製)
1.プローブの設計
結核菌のINH感受性を検出し得るプローブとして、以下の2つのプローブ(プローブ1および2:それぞれfabG1野生型プローブおよびfurA野生型プローブ)を設計した。これらはいずれも、変異がある場合には結合せず、野生型の遺伝子とのみ結合(ハイブリダイズ)する野生型プローブである。
プローブ1 ggggcgctgc aatttatccc (配列番号3)
プローブ2 gctccggacg gccgacctgc g(配列番号10)
2.プローブの固定化
上記プローブ1および2(それぞれ配列番号3および10)のそれぞれの5’末端にターミナルトランスフェラーゼ(Promega社)を用いて、ポリチミンの付加を行った。具体的には、ターミナルトランスフェラーゼ(30unit/μL)を0.4μL、チミジン三リン酸(10pmol/μL)を2μL、オリゴヌクレオチドプローブ(50mM)を2μL、製品添付の反応緩衝液を2μL、および精製水3.6μLを混合して反応溶液を調製し、37℃で4時間反応させた後、10×SSC緩衝液90μLを加えることにより、ポリチミン付加されたオリゴヌクレオチドプローブ1pmol/μLを得た。
次いで、ポリチミン付加された野生型プローブ(プローブ1および2)をそれぞれ24ゲージの針を備えたディスペンサに入れ、0.7μL/分の量を吐出させながら2.5mm/秒の塗布速度で、2mmの幅のストライプになるようにニトロセルロース膜(縦75mm×横150mm:Whatman社)上に2mm間隔で縦方向に塗布した。次いで、これらのニトロセルロース膜に312nmの紫外線を2分間照射して、プローブを固定化した。次いで、ニトロセルロース膜を、全てのストライプを含むように切断して、5mm×150mmの試験片を作成した。
本発明によれば、これまでINH感受性について判定できなかったINH耐性菌についても同定することができる。したがって、既存のkatG遺伝子またはinhA遺伝子における変異を検出する方法と組み合わせることによって、INH耐性菌のうちの約9割について、培養することなく簡便にINH耐性菌であると同定することができ、イソニアジドで治療不可能であることが容易に診断され得る。その結果、このような患者に、適切な治療を提供することができる。したがって、不要な薬剤投与や検査を防ぐことができ、患者の負担が軽減化され、さらに無駄な医療費を削減することができる。

Claims (9)

  1. 結核菌におけるイソニアジド感受性を検出する方法であって、
    検体中の結核菌のfabG1遺伝子を取得する工程、および
    該取得したfabG1遺伝子について、イソニアジド耐性に関与する変異を検出する工程
    を含み、
    該変異が、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の609位の塩基GからAまたはTへのサイレント変異、またはその相補配列の変異である、方法。
  2. 結核菌におけるイソニアジド感受性を検出するための試験片であって、
    少なくとも1つのプローブが固定されており、
    該少なくとも1つのプローブが、結核菌のfabG1遺伝子のサイレント変異を有する塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなるか、あるいは該結核菌のfabG1遺伝子の変異を有する塩基配列の領域において、該サイレント変異を有する塩基配列の領域とはハイブリダイズし得ないが、該領域に対応する野生型塩基配列からなる領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなり、
    該fabG1遺伝子の変異が、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の609位の塩基GからAまたはTへサイレントの変異、またはその相補配列の変異である、試験片。
  3. 前記野生型塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドが、配列表の配列番号3に記載の塩基配列またはその相補配列からなる、請求項2に記載の試験片。
  4. さらに、結核菌のfurA遺伝子の変異を有する塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなるか、あるいは該結核菌のfurA遺伝子の変異を有する塩基配列の領域において、該変異を有する塩基配列の領域とはハイブリダイズし得ないが、該furA遺伝子の領域に対応する野生型塩基配列からなる領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドからなるプローブが固定されている、請求項2または3のいずれかに記載の試験片。
  5. 前記furA遺伝子の変異が、配列表の配列番号8に記載の塩基配列の41位の塩基CからTへの変異、またはその相補配列の変異である、請求項4に記載の試験片。
  6. 前記furA遺伝子の野生型塩基配列の領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドが、配列表の配列番号10に記載の塩基配列またはその相補配列からなる、請求項5に記載の試験片。
  7. 請求項2から6のいずれかの項に記載の試験片を含む、結核菌におけるイソニアジド感受性の検出用キット。
  8. 結核菌におけるイソニアジド感受性を検出する方法であって、
    検体中の結核菌のfabG1遺伝子を取得する工程、
    該取得したfabG1遺伝子を請求項2から6のいずれかの項に記載の試験片と接触させて、該試験片に固定されたプローブに結合させる工程、および
    該プローブに結合したfabG1遺伝子を発色させる工程
    を含む、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、
    前記検体中の結核菌のfurA遺伝子を取得する工程、
    該取得したfurA遺伝子を請求項4から6のいずれかの項に記載の試験片と接触させ て、該試験片に固定されたプローブに結合させる工程、および
    該プローブに結合したfurA遺伝子を発色させる工程
    をさらに含む、方法。
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