JP2004215542A - 結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、pcr用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キット - Google Patents
結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、pcr用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キット Download PDFInfo
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Abstract
【課題】迅速かつ簡便に結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、並びに該方法において好適に用いることができるPCR用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キットを提供すること。
【解決手段】結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる特定の遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、特定のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域を直接塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、並びに特定のPCR用プライマーペアセット、特定の塩基配列決定用プライマーセット、及び特定の薬剤耐性結核の診断用試薬キット。
【選択図】 なし
【解決手段】結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる特定の遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、特定のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域を直接塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、並びに特定のPCR用プライマーペアセット、特定の塩基配列決定用プライマーセット、及び特定の薬剤耐性結核の診断用試薬キット。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、PCR用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、日本では年間約3000人が、地球規模では年間300万人が結核により死亡している。結核治療の薬剤としては、多くの種類の薬剤が知られているが、薬剤を患者に投与した場合、突然変異によりある出現頻度で、投与した薬剤に対する耐性を有する耐性菌が生じることがわかっている。このような耐性菌の出現頻度は、薬剤により異なるが、例えば、イソニアジド(INH)が10−6のオーダー、リファンピシン(RFP)が10−7のオーダー、ストレプトマイシン(SM)が10−6のオーダー、エタンブトール(EB)10−4のオーダーである。1996年に使用されたピラジナミド(PZA)、カナマイシン(KM)、ビオマイシン(VM)、アミカシン(AK)及び、抗結核薬としては国内で認可されていないフルオロキノロン(FQ)については耐性菌の出現頻度のデータはない。これらの薬剤に対する耐性を有する耐性菌に関して、特定遺伝子の突然変異によって生じる耐性菌について報告がなされている。
【0003】
RFPに対する耐性を有する耐性菌に関しては、RNAポリメラーゼのβサブユニットをコードするrpoB遺伝子上の狭い領域に野生型結核菌では見られない点突然変異が存在することが明らかにされている。INHに対する耐性を有する耐性菌に関しては、カタラーゼペロキシダーゼ(Catalase−peroxidase)をコードする遺伝子であるkatG遺伝子、mabA−inhA遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかにされている。EBに対する耐性を有する耐性菌に関しては、アラビノシルトランスフェラーゼ(Arabinosyltransferase)をコードするembB遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかにされている。PZAに対する耐性を有する耐性菌に関しては、ピラジナミダーゼ(pirazinamidase)をコードするpncA遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかにされている。SMに対する耐性を有する耐性菌に関しては、リボソーム蛋白S12(ribosomal protein S12)をコードするrpsL遺伝子上の変異、並びに16SリボソームRNA(16S ribosomal RNA)をコードするrrs遺伝子上のクラスターA領域及びクラスターB領域における変異が、耐性に関与していることが明らかにされている。KM、VM、またはAKに対する耐性を有する耐性菌に関しては、16SリボソームRNA(16S ribosomal RNA)をコードするrrs遺伝子上のクラスターC領域における変異が耐性に関与していることが明らかにされている。FQに対する耐性を有する耐性菌に関しては、DNAギラーゼAサブユニット(DNA gyraze A subunit)をコードするgyrA遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかとなっている。これらの耐性に関与する遺伝子の結核菌遺伝子上の位置を図2に示す。
【0004】
結核空洞内には、通常108オーダーの数の結核菌が存在するとされる。仮に109個の結核菌を保有する結核患者に対してINHを単剤で投与したとすると、平均して、103個以上の菌がINHに対する耐性を有するINH耐性菌として生き残る。この結核患者は、INHの投与により、一旦回復したかに見えるが、生き残ったINH耐性菌が増殖することにより再び発症する。発症した患者の治療に引き続きRFPを用いれば、このINH耐性菌は、同様の機序によりRFPに対する耐性を獲得するために、INH及びRFPの2剤に対して耐性を獲得することになる。この繰返しにより、多くの薬剤に対する耐性を有する難治性の多剤耐性結核菌が出現することになる。この多剤耐性結核菌は、患者の治療を遅延させるばかりでなく、院内感染や市中への結核感染の拡散の原因となっており、結核治療上の大きな問題となっている。
【0005】
そこで、耐性菌の出現を防ぐために、結核治療は、2種の薬剤あるいは3種の薬剤を投与する2剤併用療法、または3剤併用療法が結核治療の主流となっている。結核患者に対して、初回治療の段階から2種の薬剤あるいは3種の薬剤を投与すると、耐性菌の出現頻度はほとんど無視してよいレベルにまで下がる。INH及びRFPを投与すると、耐性菌の出現頻度は、10−6×10−7=10−13オーダーであり、通常の結核患者においてはほとんど耐性菌が出現しないと考えて良い。しかしながら、結核患者の保有する結核菌が、投与する2種の薬剤あるいは3種の薬剤のうち、1種以上の薬剤に対してすでに耐性を有している場合は、2種の薬剤あるいは3種の薬剤を投与しても耐性菌が出現する可能性がある。
【0006】
このような理由により、結核患者が保有する結核菌の薬剤に対する耐性について情報があれば、結核患者が保有する結核菌が耐性を有しない薬剤を2剤あるいは3剤選択して投与することができるため、新たな耐性菌の出現がほとんどなくなる。
【0007】
そこで、結核患者が保有する結核菌の薬剤に対する耐性について情報を得るために、結核菌の薬剤感受性試験が行われている。薬剤感受性試験は、所定の薬剤を含有させた薬剤感受性培地における菌体の増殖の有無により、該所定の薬剤に対する耐性の有無を検査する方法が一般的である。かかる薬剤感受性試験における薬剤感受性培地としては、Mycobacteria Growth Indicator tube 「MGIT」(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)、BACTEC 460TB(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)、結核感受性PZA液体培地(極東製薬株式会社製)、ビットスペクトルSR(極東製薬株式会社製)、ブロスミック MTB−I(極東製薬株式会社製)、ウエルパック培地P(日本BCG株式会社製)、ウエルパック培地 A,B(日本BCG株式会社製)、耐性培地(日水製薬株式会社製)、感受性培地(日水製薬株式会社製)を挙げることができる。しかし、結核菌は増殖が遅く、結核菌の増殖の有無を確かめて耐性の有無を判断するまでに数週間を要するという問題がある。
【0008】
また、最近、DNAハイブリダイゼーション技術を用いた診断法が開発されている。特開2001−103981号公報(特許文献1)には、結核治療に用いられる薬剤に対して感受性である野生型結核菌およびいずれかの薬剤に対して耐性を有する変異型結核菌のそれぞれから得られる、結核治療に用いられる薬剤に対する耐性に関わる結核菌ゲノム上の遺伝子の塩基配列をもとに合成されたオリゴヌクレオチドが、共有結合により固定化された基板を含む結核菌診断キットであって、被検結核菌に由来する核酸とのハイブリダイゼーションにより結核菌の薬剤耐性鑑別または結核菌感染の判定を行うための診断用キットが開示されている。該診断用キットを用いたDNAハイブリダイゼーション技術は、DNAチップによって、薬剤耐性遺伝子の変異を見出そうとするものであるが、多量のDNAを必要とすること、検査時間は7時間だが培養のための時間が数週間かかること、特定の遺伝子配列の変異しか検出できないこと、現在開発されている製品(DNAマイクロアレイキット「OligoArray」:日清紡績株式会社製)ではINH、RFP、SM、KM、EBの5薬剤に対する耐性に関与する遺伝子にかかる変異しか検出できないことなどの問題点がある。どちらの結核薬剤感受性試験でも、検査しようとする菌を数週間ないし数ヶ月かけて培養して、分離する必要がある。
【0009】
さらに、喀痰などにより得られる結核菌から遺伝子を抽出して、PCR増幅した産物を直接塩基配列決定することにより、薬剤に対する耐性に関わる遺伝子を検出する方法があり、この方法によると結核菌の培養を数週間かけて行う必要はない。しかし、耐性に関わる遺伝子ごとにPCR増幅及び直接塩基配列決定の実験を行っており、大きな労力が必要となるため、検査室での日常業務での使用に適していない。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−103981号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、迅速かつ簡便に結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、並びに該方法において好適に用いることができるPCR用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キットを提供することをその課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、該2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアを用いて、1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域を直接塩基配列決定することにより、迅速かつ簡便に結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明(1)は、結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域を直接塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を簡便かつ迅速にPCR増幅できるため、迅速かつ簡便な結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法とすることができる。
【0014】
また、本発明(2)は、結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域をシークエンス反応し、得られたシークエンス反応物を用いて1台の塩基配列決定用機器によって一度に塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を簡便かつ迅速にPCR増幅および直接塩基配列決定できるため、迅速かつ簡便な結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法とすることができる。
【0015】
また、本発明(3)は、前記2種以上のPCR用プライマーペアが、配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、並びに配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる2種以上のプライマーペアである前記発明(1)または(2)に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)または(2)の奏する効果に加えて、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、gyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、結核菌の前記遺伝子群より選ばれる遺伝子において従来の直接塩基配列決定法により塩基配列決定される領域よりも、広範な領域として増幅することができるという効果を奏するものである。
【0016】
また、本発明(4)は、前記2種以上のPCR用プライマーペアが、配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、並びに配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドペアである前記発明(1)または(2)に記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(3)と同様の効果を奏するものである。
【0017】
また、本発明(5)は、前記PCR増幅が、シャトルPCR増幅である前記発明(1)〜(4)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)〜(4)のいずれかの発明と同様の効果を奏するのに加えて、PCR増幅におけるPCR用プライマーとのアニーリング、及びDNAポリメラーゼによる相補鎖の伸長反応を同一の温度条件で実施できるため、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、gyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、より一層簡便にPCR増幅できるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明(6)は、前記2種以上の塩基配列決定用プライマーが、配列番号17の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号32の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる2種以上のプライマーである前記発明(1)〜(5)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)〜(5)のいずれかの発明の奏する効果に加えて、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、gyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、結核菌の前記遺伝子群より選ばれる遺伝子において従来の直接塩基配列決定法により塩基配列決定される領域よりも、広範な領域として増幅することができ、従来の直接塩基配列決定法において見落としていた新規な変異を見出すことが可能となるという効果を奏するものである。
【0019】
また、本発明(7)は、2種以上の塩基配列決定用プライマーが、配列番号17のオリゴヌクレオチド〜配列番号32のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドである前記発明(1)〜(5)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(6)と同様の効果を奏するものである。
【0020】
また、本発明(8)は、前記直接塩基配列決定を、ダイターミネーター法により行う前記発明(1)〜(7)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)〜(7)のいずれかの発明の奏する効果に加えて、直接塩基配列決定に際して1本のチューブにおいて1つの標的領域のシークエンス反応を行うことが可能となるという効果を奏するものである。
【0021】
また、本発明(9)は、配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、並びに配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドペアであるPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0022】
また、本発明(10)は、配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、並びに配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる1種以上のプライマーペアであるPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0023】
また、本発明(11)は、配列番号1のオリゴヌクレオチド〜配列番号16のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドをプライマーとして有するPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0024】
また、本発明(12)は、配列番号1の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号16の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーを有するPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0025】
また、本発明(13)は、配列番号17のオリゴヌクレオチド〜配列番号32のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドである塩基配列決定用プライマーセットを提供するものである。
【0026】
また、本発明(14)は、配列番号17の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号32の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーである塩基配列決定用プライマーセットを提供するものである。
【0027】
また、本発明(15)は、前記発明(9)〜(12)のいずれかに記載のPCR用プライマーペアセットと前記発明(13)または(14)に記載の塩基配列決定用プライマーセットとを有することを特徴とする薬剤耐性結核の診断用試薬キットを提供するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を述べるが、本発明はこれら実施の形態により制限されない。
【0029】
<結核菌由来のDNAの調製>
以下に本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法を記載する。結核菌由来のDNAの調製は、喀痰、髄液、胃液、糞便、リンパ節等の組織抽出液などからの結核菌からDNAを抽出することによって得ることができる。例えば、喀痰中の結核菌からDNAを抽出する方法は、常法を用いることができるが、J.BEIGEらの方法(J. Clin. Microbiol., 33: 90−95. 1995)に従って行うことが好ましい。
【0030】
<2種以上の遺伝子及び2以上の特定領域の選定>
また、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から2種以上の遺伝子を選ぶ。 そして、選んだ2種以上の遺伝子のそれぞれについて、PCR増幅するための特定領域を選定し、2以上の特定領域を選定する。
【0031】
Mycrobacterium tuberculosisの全ゲノム配列は、Cole,S.Tら(Nature 393(6685),p537−544(1998))により報告され、GeneBank(Accession No.:NC 000962)上に開示されている。rpoB遺伝子についてはゲノム配列上の第759805塩基対〜第763323塩基対に相当し、katG遺伝子についてはゲノム配列上の第2153887塩基対〜第2156109塩基対に相当し、mabA−inhA遺伝子についてはゲノム配列上の第1673438塩基対〜第1675009塩基対相当し、embB遺伝子についてはゲノム配列上の第4246511塩基対〜第4249807塩基対に相当し、pncA遺伝子についてはゲノム配列上の第2288679塩基対〜第2289239塩基対に相当し、rpsL遺伝子についてはゲノム配列上の第751558塩基対〜第781932塩基対に相当し、rrs遺伝子についてはゲノム配列上の第1471844塩基対〜第1473380塩基対に相当し、gyrA遺伝子についてはゲノム配列上の第7302塩基対〜第9818塩基対に相当する。PCR増幅するために選定される特定領域は、遺伝子ごとに異なっている。以下に記載する各遺伝子の特定領域における塩基対の番号は、センスコドンの開始コドンの1番目の塩基対を1番目の塩基対として定めたものである。rpoB遺伝子については、前記特定領域が第1276塩基対〜第1356塩基対を含有する領域であると好ましく、第1199塩基対〜第1903塩基対を含有する領域であると最も好ましい。katG遺伝子については、前記特定領域が第1塩基対〜第2205塩基対を含有する領域であると好ましく、第1塩基対〜第2223塩基対からなる領域であると最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、前記特定領域が第−81塩基対〜第1044塩基対を含有する領域であると好ましく、第−217塩基対〜第1145塩基対からなる領域であると最も好ましい。embB遺伝子については、前記特定領域が第855塩基対〜第3072塩基対を含有する領域であると好ましく、第646塩基対〜第3382塩基対からなる領域であると最も好ましい。pncA遺伝子については、前記特定領域が第−12塩基対〜第546塩基対を含有する領域であると好ましく、第−80塩基対〜第590塩基対からなる領域であると最も好ましい。rpsL遺伝子については、前記特定領域が第115塩基対〜第273塩基対を含有する領域であると好ましく、第4塩基対〜第575塩基対からなる領域であると最も好ましい。rrs遺伝子については、前記特定領域が第512塩基対〜第1402塩基対を含有する領域であると好ましく、第428塩基対〜第1756塩基対からなる領域であると最も好ましい。gyrA遺伝子については、前記特定領域が第262塩基対〜第285塩基対を含有する領域であると好ましく、第−1塩基対〜第397塩基対からなる領域であると最も好ましい。
【0032】
遺伝子、及び遺伝子に対応する特定領域を選ぶに際しては、3種以上の遺伝子及び3以上の特定領域を選ぶと好ましく、4種以上の遺伝子及び4以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、5種以上の遺伝子及び5以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、6種以上の遺伝子及び6以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、7種以上の遺伝子及び7以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、8種全ての遺伝子及び8つの特定領域を選ぶと最も好ましい。
【0033】
従来の研究において、結核菌の上記した8遺伝子における薬剤耐性を獲得する機構は、ゲノムの遺伝子内の比較的限定されたコドンにおける塩基の置換(変異)に耐性遺伝子の生成による機構であることが明らかにされており、これまで、これら生成した耐性遺伝子上のゲノムの遺伝子内の比較的限定されたコドンにおける塩基の置換(変異)に着目した研究がなされてきた。例えば、rpoB遺伝子においては、513番目のコドンCAA周辺の限定された領域、及び531番目のコドンTCG周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。katGにおいては、315番目のコドンAGC周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。mabA−inhAにおいては、開始コドンのG塩基より15塩基上流のC塩基周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。embBにおいては、497番目のコドンCAG周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。pncAにおいては、51番目のコドンCAC周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。rpsLにおいては、43番目のコドンAAG周辺の限定された領域、及び88番目のコドンAAG周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。rrsにおいては、512番目の塩基C〜516番目の塩基Cの周辺における限定された領域(ストレプトマイシンに対する耐性に関するClusterA中の領域)、903番目の塩基T〜906番目の塩基Aの周辺における限定された領域(ストレプトマイシンに対する耐性に関するClusterB中の領域)、及び1399番目の塩基C〜1402番目の塩基Gの周辺における限定された領域(カナマイシン、ビオマイシン、及びアミカシンに対する耐性に関するClusterC中の領域)について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。gyrAにおいては、95番目のコドンAGC周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。
【0034】
本発明も上記した8遺伝子に着目し、これらの8遺伝子から選ばれた2種以上の遺伝子における上記したコドンまたは塩基を網羅した範囲を特定領域としてPCR増幅しているが、該特定領域は、上記した従来のPCR増幅及び直接塩基配列決定のような限られたコドンのみではなく、耐性の機構から考えて、耐性に関与している変異が生じる可能性のある領域を含有する、広範な領域である。結果、直接塩基配列決定の条件を工夫すれば、新規な変異を見出すことが可能となった。従って、これまで見落としていた恐れのある変異の同定も可能となった。
【0035】
<2種以上のPCR用プライマーペアの決定>
次いで、選んだ2種以上の遺伝子のそれぞれについて、選定した特定領域を増幅することができるPCR用プライマーペアを決定し、2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアを用意する。2種以上のPCR用プライマーペアは、2以上の特定領域を増幅することができ、且つ同一の温度条件でPCR増幅できるように設計されていることが好ましい。rpoB遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第1199塩基対〜第1903塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。katG遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第1塩基対〜第2223塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第−217塩基対〜第1145塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。embB遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第646塩基対〜第3382塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。pncA遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第−80塩基対〜第590塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。rpsL遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第4塩基対〜第575塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。rrs遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第428塩基対〜第1756塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。gyrA遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第−1塩基対〜第397塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。
【0036】
なお、配列番号1のオリゴヌクレオチドは、rpoB遺伝子の第1199塩基対〜第1226塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号2のオリゴヌクレオチドは、rpoB遺伝子の第1903塩基対〜第1880塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号3のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の第1塩基対〜第28塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号4のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の第2223塩基対〜第2200塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号5のオリゴヌクレオチドは、mabA−inhA遺伝子の第−217塩基対〜第−198塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号6のオリゴヌクレオチドは、mabA−inhA遺伝子の第1145塩基対〜第1126塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号7のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の第646塩基対〜第665塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号8のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の第3382塩基対〜第3363塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号9のオリゴヌクレオチドは、pncA遺伝子の第−80塩基対〜第−61塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号10のオリゴヌクレオチドは、pncA遺伝子の第590塩基対〜第572塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号11のオリゴヌクレオチドは、rpsL遺伝子の第4塩基対〜第23塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号12のオリゴヌクレオチドは、rpsL遺伝子の第575塩基対〜第556塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号13のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の第428塩基対〜第447塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号14のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の第1756塩基対〜第1737塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号15のオリゴヌクレオチドは、gyrA遺伝子の第−1塩基対〜第19塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号16のオリゴヌクレオチドは、gyrA遺伝子の第397塩基対〜第379塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。ここで、塩基対の番号は、鋳型鎖の開始コドンの開始塩基を1番目の塩基として定めたものである。
【0037】
<2以上の特定領域のPCR増幅>
次いで、結核菌から抽出したDNAと、2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、1台のPCR増幅用機器によって、2以上の特定領域をPCR増幅する。PCR増幅においては、耐熱性ポリメラーゼの触媒作用により鋳型であるDNAを基にしてプライマーに挟まれた領域を増幅する。PCR増幅の方法としては、鋳型DNAを一本鎖にする(変性)、この一本鎖とプライマーが結合する(アニーリング)、最後に耐熱性ポリメラーゼの触媒作用により相補鎖を延長する(伸長反応)の3段階からなる通常のPCR増幅でも、シャトルPCR増幅でもよい。
【0038】
通常、2種以上のプライマーペアにおいて、アニーリング温度はプライマーごとにその最適温度が異なり、また、伸長反応時間は、増幅したい産物の長さに比例してその長さが異なる。本発明において通常のPCR増幅を行うに際しては、2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアを構成するプライマーのアニーリング温度を全て一定にしなければならない。本発明の場合、2以上の特定領域、それもPCR産物の長さが異なる領域を、1台のPCR用機器で一度に増幅するためには、シャトルPCR増幅の方が実用的であるので好ましい。
【0039】
シャトルPCR増幅であると、PCR増幅におけるPCR用プライマーとのアニーリング、及びDNAポリメラーゼによる相補鎖の伸長反応を同一の温度条件で実施できるため好ましい。シャトルPCR増幅は公知の方法であり、シャトルPCR増幅を行うためのキットとしては、Platinum R taq DNA polymerase(インビトロジエン株式会社製)、TakaRa Z−taqTM(タカラバイオ株式会社製)、Pyrobest R DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)が市販されており、PCR用機器としては、GeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)、i−Cycler(タカラバイオ株式会社製)、TakaRa PCR Thermal Cycler GP(タカラバイオ株式会社製)が市販されている。
【0040】
なお、シャトルPCR増幅に際して、2種以上のPCR用プライマーペアが、上記した8種のオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは、上記した8種のプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる2種以上のプライマーペアであると、1台のPCR増幅用機器によって、同一の温度条件で好適にシャトルPCR増幅することが可能となる。前記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアを、2種以上のPCR用プライマーペアとして用いると、同一の温度条件で好適にシャトルPCR増幅できる理由については、以下のように考えられる。シャトルPCRにおいては、厳密なアニーリング温度を必要としないため、前記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアのそれぞれのオリゴヌクレオチドあるいはプライマーに最適な温度にアニーリング温度を設定する必要が無く、アニーリングと伸長反応を同時に行う同一の温度条件にて、一度に増幅することができる。
【0041】
なお、シャトルPCR法においては、逆に非特異的な反応が起こりやすくなることが懸念され、産物の長さが異なる。しかし、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアにおいては、シャトルPCR増幅において同一の伸長反応時間にし、再現良く且つ非特異的反応を起こさせない為の条件設定が行われている。また、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアは、シャトルPCRに適したポリメラーゼ(Z−taq;TAKARA、宝酒造社製)の温度条件を満たしている。さらに、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアは、通常のPCRプライマーと同様、プライマー同士の結合(プライマーダイマー形成)が起こりにくい設計になっている。加えて、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアは、アニーリングに際して上記2以上の特定領域に結合する部位が、変異高発部位でないように設計されているため、菌株の変異の有無によってアニーリングに際しての結合部位に差異が生じないため、菌株によって増殖の程度に差が生じることがない。
【0042】
2種以上のPCR用プライマーペアが、上記した8種のオリゴヌクレオチドペアより選ばれる3種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは上記した8種のプライマーペアより選ばれる3種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペアより選ばれる4種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペアより選ばれる4種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる5種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペア群より選ばれる5種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる6種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペアより選ばれる6種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペアより選ばれる7種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペアより選ばれる7種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。
【0043】
2種以上のPCR用プライマーペアが、上記した8種のオリゴヌクレオチドペアあるいは上記した8種のプライマーペアであると、PCR増幅するサンプルが8種となるため最も好ましい。その理由を以下に述べる。現在市場で流通しているPCR用機器は、8×12wellの構造を採り、8種のサンプルを同時にPCR増幅できる構造となっており、8種のサンプルを扱うために8練チューブも市販されている。よって8種よりサンプルが少ないと空のチューブが生じて費用の損失となり、9種以上のサンプルであると、PCR増幅を2度に分けて行う必要があり、反応時間が2倍となってしまい時間及び費用のロスになる。さらには、8種のサンプルを用いると一度に12検体のPCR増幅が可能であり、検体の取り違い防止にもつながる。
【0044】
<PCR産物の分離及び標的領域の選定>
PCR増幅した2以上の特定領域の産物は、MicroSpinTM Columns(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)などにより過剰プライマーの除去、精製を行う。2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域を適宜選定する。各遺伝子の塩基配列は、上記したようにCole,S.Tら(Nature 393(6685),p537−544(1998))により報告され、GeneBank(Accession No.:NC 000962)上に開示されている。直接塩基配列決定するために選定される標的領域の好ましい領域は、遺伝子ごとに異なっている。以下に記載する各遺伝子の標的領域における塩基対の番号は、上記各遺伝子の鋳型鎖の開始コドンの開始塩基を1番目の塩基とするものである。rpoB遺伝子については、前記標的領域が、相補鎖の第1529塩基対〜上述したrpoB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域であると好ましく、相補鎖の第1529塩基対〜第1199塩基対を含有する領域であると最も好ましい。katG遺伝子については、前記標的領域が、相補鎖の第689塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第574塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1162塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第1729塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域からなる1種以上の領域であると好ましい。前記標的領域が、相補鎖の第689塩基対〜第1塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第574塩基対〜第1324塩基対を含有する領域、第1162塩基対〜第1912塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第1729塩基対〜第2223塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1種以上の領域であるとさらに好ましい。katG遺伝子については、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる2種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる3種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群に含まれる4種全ての領域であると最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第−217塩基対〜上述したmabA−inhA遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域であると好ましく、鋳型鎖の第−217塩基対〜第903塩基対を含有する領域であると最も好ましい。embB遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第646塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1462塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、相補鎖の第1596塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第2007塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第2581塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1種以上の領域であると好ましい。前記標的領域が、鋳型鎖の第646塩基対〜第1396塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1462塩基対〜第2212塩基対を含有する領域、相補鎖の第1596塩基対〜第846塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第2007塩基対〜第2757塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第2581塩基対〜第3331塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1種以上の領域であるとさらに好ましい。embB遺伝子については、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる2種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる3種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群に含まれる4種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群に含まれる5種全ての領域であると最も好ましい。pncA遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第−80塩基対〜上述したpncA遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域であると好ましく、鋳型鎖の第−80塩基対〜第590塩基対を含有する領域であると最も好ましい。rpsL遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第4塩基対〜上述したrpsL遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対であると好ましく、鋳型鎖の第4塩基対〜第575塩基対を含有する領域であると最も好ましい。rrs遺伝子については、標的領域が、相補鎖の第979塩基対〜上述したrrs遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1291塩基対〜上述したrrs遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1以上の領域であると好ましく、相補鎖の第979塩基対〜第428塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第1291塩基対〜第1756塩基対を含有する領域の2つの領域からなる領域群より選ばれる1以上の領域であるとさらに好ましい。また、標的領域を、上記した2つの領域とするとさらに好ましい。gyrA遺伝子については、鋳型鎖の第1塩基対〜上述したgyrA遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対であると好ましく、鋳型鎖の第−1塩基対〜第397塩基対からなる領域であると最も好ましい。なお、この段落で、なお、鋳型鎖とは、遺伝子がRNAに転写される時に直接鋳型として使われる鎖を示し、相補鎖とは、鋳型鎖と2本鎖を形成するもう一方の鎖を示している。
【0045】
標的領域を選ぶに際しては、3種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶと好ましく、4種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、5種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、6種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、7種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、8種全ての遺伝子に対応する16の標的領域を選ぶと最も好ましい。なお、遺伝子に対応する標的領域全てとは、例えば、embB遺伝子においては、上記した5種の標的領域全てを指す。
【0046】
<塩基配列決定用プライマーの選定>
選定した2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域を直接塩基配列決定する。2種以上の塩基配列決定用プライマーとしては、公知のプライマーを用いることができる。
【0047】
塩基配列決定用プライマーの好ましいプライマーは遺伝子ごとに異なる。遺伝子rpoB遺伝子については、配列番号17のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号17の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。katG遺伝子については、配列番号18〜21の4つのオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群の1種以上のオリゴヌクレオチド、あるいは配列番号18の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号21の塩基配列を含有するプライマーの4つのプライマーからなるプライマー群の1種以上のプライマーが特に好ましく、塩基配列決定用プライマーが、上記オリゴヌクレオチド群またはプライマー群の2種以上がさらに好ましく、3種以上がさらに好ましく、4種全てであると最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、配列番号22のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号22の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。embB遺伝子については、配列番号23〜27の5つのオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチド、あるいは配列番号23の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号27の塩基配列を含有するプライマーの5つのプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーが特に好ましく、塩基配列決定用プライマーが、上記オリゴヌクレオチド群またはプライマー群の2種以上がさらに好ましく、3種以上がさらに好ましく、4種以上がさらに好ましく、5種全てであると最も好ましい。pncA遺伝子については、配列番号28のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号28の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。rpsL遺伝子については、配列番号29のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号29の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。rrs遺伝子については、配列番号30、31の2つのオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチド、あるいは配列番号30の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号31の塩基配列を含有するプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーが特に好ましく、塩基配列決定用プライマーが、上記オリゴヌクレオチド群またはプライマー群の2種であると最も好ましい。gyrA遺伝子については、配列番号32のオリゴヌクレオチド、及び配列番号32の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。
【0048】
なお、配列番号17のオリゴヌクレオチドは、rpoB遺伝子の相補鎖の第1529塩基対〜第1512塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号18のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の相補鎖の第689塩基対〜第670塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号19のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の鋳型鎖の第574塩基対〜第593塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号20のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の鋳型鎖の第1162塩基対〜第1181塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号21のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の鋳型鎖の第1729塩基対〜第1748塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号22のオリゴヌクレオチドは、mabA−inhA遺伝子の鋳型鎖の第−217塩基対〜第−198塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号23のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第646塩基対〜第665塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号24のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第1462塩基対〜第1481塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号25のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の相補鎖の第1596塩基対〜第1577塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号26のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第2007塩基対〜第2026塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号27のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第2581塩基対〜第2601塩基対に対応するセンスプライマーである。配列番号28のオリゴヌクレオチドは、pncA遺伝子の鋳型鎖の第−80塩基対〜第−61塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号29のオリゴヌクレオチドは、rpsL遺伝子の鋳型鎖の第4塩基対〜第23塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号30のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の相補鎖の第979塩基対〜第959塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号31のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の鋳型鎖の第1291塩基対〜第1310塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号32のオリゴヌクレオチドは、gyrA遺伝子の鋳型鎖の第−1塩基対〜第19塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。ここで、塩基対の番号は、鋳型鎖の開始コドンの開始塩基を1番目の塩基として定めたものである。
【0049】
<直接塩基配列決定>
直接塩基配列決定の方法としては、2以上の標的領域を、2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて1台のシークエンス反応用機器で1度でシークエンス反応し、次いでシークエンス反応により得られるシークエンス反応物を、1台の塩基配列決定用機器(オートシークエンサー)により1度に泳動して、ソフトウェアにより塩基配列の解析及び編集を行う方法を好適な方法として挙げることができる。2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて1台のシークエンス反応用機器で2度以上に分けてシークエンス反応するシークエンス反応の方法、及び1台の塩基配列決定用機器(オートシークエンサー)により2度以上に分けて泳動して、ソフトウェアにより塩基配列の解析及び編集を行う方法も本発明に包含されるものである。シークエンス反応を行うためのシークエンス反応用機器(サーマルサイクラー)としては、GeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)、i Cycler サーマルサイクラー(日本バイオラッドラボラトリーズ株式会社製)、TakaRa PCR Thermal Cycler GP(タカラバイオ株式会社製)を挙げることができ、直接塩基配列決定に際してシークエンス反応の産物の泳動を行う塩基配列決定用機器としては、16本キャピラリー式ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer、48本式キャピラリー式 Applied Biosystems 3730 DNA Analyzer、96本キャピラリー式 ABI PRISM 3700 DNA Analyzerなどの機器を挙げることができ、塩基配列の解析及び編集を行うソフトウェアとしてはSequencing AnalysisSoftware(Applied Biosystems 社製)、Genetyx(ゼネティックス株式会社製)、DNASIS Pro(日立ソフトウェア株式会社製)を挙げることができる。
【0050】
以下に本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第2の方法を記載する。<結核菌由来のDNAの調製>、<2種以上の遺伝子及び2以上の特定領域の選定>、<2種以上のPCR用プライマーペアの決定>、<2以上の特定領域のPCR増幅>、<PCR産物の分離及び標的領域の選定>は第1の方法と同様に行われる。また、直接塩基配列決定に用いられるシークエンス反応用キット、泳動を行う機器、並びに塩基配列の決定及び編集用ソフトウェアは前記したものと同様である。第2の方法が第1の方法と異なるのは、前記した2以上の標的領域を、1台の塩基配列決定用機器によって一度に直接塩基配列決定する点である。以下この点について詳述する。
【0051】
通常、2種以上の塩基配列決定用プライマーによるシークエンス反応において、アニーリング温度はプライマーごとにその最適温度が異なり、また、伸長反応時間は、シークエンス反応したい産物の長さに比例してその長さが異なる。第2の方法において、1台のシークエンス反応用機器によって、2以上の標的領域を1度にシークエンス反応するためには、プライマー毎に分けて最適なアニーリング温度にてシークエンス反応を行うか、2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを構成するプライマーのアニーリング温度を全て一定にしなければならない。本発明の場合、2以上の標的領域、それもシークエンス反応による産物の長さが異なる領域を、1台のシークエンス反応用機器で一度にシークエンス反応するためには、反応の際にアニーリング温度を全て一定にして行う方法が実用的であるので好ましい。
【0052】
塩基配列決定用プライマーは、3種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であると好ましい。4種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。5種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドより選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。6種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。7種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。なお、3種の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群とは、例えば、rpoB遺伝子、katG遺伝子、及びmabA−inhA遺伝子の上記した合計6つの標的領域を全てシークエンスできる上記した6つのプライマーまたは上記した6つのオリゴヌクレオチドからなるプライマー群を示す。
【0053】
8種全ての遺伝子に対応する16の標的領域をシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドあるいは上記した16のプライマーであると、シークエンス反応物としてのサンプルが16種となるため、最も好ましい。その理由を以下に述べる。直接塩基配列決定用の機器、例えば、ABI3100シークエンサーは、16サンプルが1回の反応の基準となっている。そこで、16より少ないサンプル数では費用の損失となり、サンプル数が17以上となると2度に分けてシークエンス反応する必要があるため、反応時間が2倍となってしまい時間及び費用のロスとなる。また、上記した16のオリゴヌクレオチドあるいは16のプライマーは、前述の如く、最も好ましい標的領域を1度でシークエンス反応して、直接塩基配列決定できるように設計されている。
【0054】
次に本発明のPCR用プライマーペアセットについて述べる。本発明のPCR用プライマーペアセットは、上記した発明(9)〜発明(12)に記載されるものであるが、これらのプライマーペアセットを構成するプライマーは、全自動のオリゴヌクレオチド合成装置(Applied Biosystem社製380B)により容易に合成して調製することができる。本発明のPCR用プライマーペアセットは、上記した本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法または第2の方法におけるPCR増幅する際、特に2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、前記2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にシャトルPCR増幅する際に好適に用いることができる。
【0055】
次に本発明の塩基配列決定用プライマーセットについて述べる。本発明の塩基配列決定用プライマーセットは、上記した発明(13)〜発明(14)に記載されるものであるが、これらのプライマーセットを構成するプライマーは、全自動のオリゴヌクレオチド合成装置により容易に合成して調製することができる。本発明の塩基配列決定用プライマーセットは、上記した本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法または第2の方法における直接塩基配列決定、特に反応の際に、アニーリング温度を一定にして、2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて行うシークエンス反応を経て、該2以上の標的領域を、1台の塩基配列決定用機器によって一度に直接塩基配列決定する際において好適に用いることができる。
【0056】
次に本発明の薬剤耐性結核の診断用試薬キットについて述べる。本発明の薬剤耐性結核の診断用試薬キットは、上記した発明(15)に記載したものであるが、該薬剤耐性結核の診断用試薬キットを構成するプライマーは、全自動のオリゴヌクレオチド合成装置により容易に合成して調製することができる。本発明の薬剤耐性結核の診断用試薬キットは、上記した本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法または第2の方法において好適に用いることができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0058】
実施例1
<喀痰の前処理と結核菌のDNAの抽出>
34人の患者から、34株の喀痰検体を取り出した。34株の喀痰検体の前処理とDNA抽出は、J.BEIGEらの方法(J. Clin. Microbiol., 33: 90−95. 1995)に従って、菌株ごとに行った。
【0059】
<8種の遺伝子における8つの特定領域の選定>
上記の方法に従って、菌株ごとに抽出したDNAにおいて、rpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAの8遺伝子を選定し、遺伝子ごとに1つの特定領域、合計8つの特定領域を選定した。rpoB遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第1199塩基対〜第1903塩基対の705塩基対からなる領域とした。katG遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第1塩基対〜第2223塩基対の2223塩基対からなる領域とした。mabA−inhA遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第−217塩基対〜第1145塩基対の1362塩基対からなる領域とした。embB遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第646塩基対〜第3382塩基対の2737塩基対からなる領域とした。pncA遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第−80塩基対〜第590塩基対の670塩基対からなる領域とした。rpsL遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第4塩基対〜第575塩基対の572塩基対からなる領域とした。rrs遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第428塩基対〜第1756塩基対の1329塩基対からなる領域とした。gyrA遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第−1塩基対〜第397塩基対の398塩基対からなる領域とした。
【0060】
<8種のPCR用プライマーペア>
上記した8種の遺伝子に対応する8つの特定領域のそれぞれに対して1組のプライマーペアを用意した。rpoB遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号1及び2のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。katG遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号3及び4のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。mabA−inhA遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号5及び6のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。embB遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号7及び8のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。pncA遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号9及び10のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。rpsL遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号11及び12のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。rrs遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号13及び14のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。gyrA遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号15及び16のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。
【0061】
<シャトルPCR増幅>
上記の方法にて抽出したDNAを鋳型とし、上記した8つの特定領域を上記した8組のプライマーペアから選ばれるプライマーペアを、PCRチューブ1本ごとに1種ずつ投入してなる8本のPCRチューブを用いて、菌株ごとに、1台のPCR増幅用機器を用いて1度にシャトルPCR増幅した。シャトルPCR増幅の手順を以下に示す。
【0062】
PCRチューブ1本ごとの組成を、鋳型DNA1.0μl、Z−Taqポリメラーゼ1.25U(タカラバイオ株式会社製)、dNTP200μl(タカラバイオ株式会社製)、上記8組のプライマーペアから選ばれるプライマーペア1種を200nMずつとし、さらに10×Z taq Buffer 5μl(タカラバイオ株式会社製)を加え、滅菌蒸留水にて全量を50μlとした。用いたPCRチューブは番号1〜8の8本のチューブである。1番のPCRチューブには配列番号1及び2のオリゴヌクレオチドペアを、2番のPCRチューブには配列番号3及び4のオリゴヌクレオチドペアを、3番のPCRチューブには配列番号5及び6のオリゴヌクレオチドペアを、4番のPCRチューブには配列番号7及び8のオリゴヌクレオチドペアを、5番のPCRチューブには配列番号9及び10のオリゴヌクレオチドペアを、6番のPCRチューブには配列番号11及び12のオリゴヌクレオチドペアを、7番のPCRチューブには配列番号13及び14のオリゴヌクレオチドペアを、8番のPCRチューブには配列番号15及び16のオリゴヌクレオチドペアを、PCR用プライマーペアとして投入した。このように準備したPCRチューブ8本に含まれる前記8つの特定領域を、PCR増幅用機器としてGeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)を用いて、全て同じ温度プロファイルでシャトルPCR増幅した。温度プロファイルは、変性95℃で1秒、アニ−リング及び伸長反応68℃で30秒とした。該温度プロファイルを30サイクル繰り返した。その後、8本のPCR用チューブの1本ごとに、それぞれMicroSpinTMColumns(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いてアガロースゲル電気泳動により、精製し、上記した8つの特定領域の特定領域ごとの8種のPCR産物を取り出した。アガロースゲル電気泳動の結果を図1に示す。図1において、1番はrpoB遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、2番はkatG遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、3番はmabA−inhA遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、4番はembB遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、5番はpncA遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、6番はrpsL遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、7番はrrs遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、8番はgyrA遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、それぞれ示すものである。
【0063】
<8種の遺伝子における16の標的領域の選定>
rpoB遺伝子については、標的領域を、相補鎖の第1529塩基対〜第1199塩基対からなる領域とした。katG遺伝子については、第一の標的領域が相補鎖の第689塩基対〜第1塩基対からなる領域であり、第二の標的領域が鋳型鎖の第574塩基対〜第1324塩基対からなる領域であり、第三の標的領域が第1162塩基対〜第1912塩基対からなる領域であり、第四の標的領域が鋳型鎖の第1729塩基対〜第2223塩基対からなる領域とした。mabA−inhA遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第−217塩基対〜第903塩基対からなる領域とした。embB遺伝子については、第一標的領域が鋳型鎖の第646塩基対〜第1396塩基対からなる領域、第二標的領域が鋳型鎖の第1462塩基対〜第2212塩基対からなる領域、第三標的領域が相補鎖の第1596塩基対〜第846塩基対からなる領域、第四標的領域が鋳型鎖の第2007塩基対〜第2757塩基対からなる領域、及び第五標的領域が鋳型鎖の第2581塩基対〜第3331塩基対からなる領域とした。pncA遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第−80塩基対〜第590塩基対からなる領域とした。rpsL遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第4塩基対〜第575塩基対を含有する領域とした。rrs遺伝子については、第一標的領域を相補鎖の第979塩基対〜第428塩基対からなる領域、第二標的領域を鋳型鎖の第1291塩基対〜第1756塩基対からなる領域とした。gyrA遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第−1塩基対〜第397塩基対からなる領域とした。
【0064】
<塩基配列決定用プライマー>
上記した8種の遺伝子に対応する16の標的領域のそれぞれに対して1つのプライマーを用意した。rpoB遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号17のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第一標的領域に対して、配列番号18のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第二標的領域に対して、配列番号19のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第三標的領域に対して、配列番号20のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第四標的領域に対して、配列番号21のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。mabA−inhA遺伝子の上記標的領域に対して、配列番号22のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第一標的領域に対して、配列番号23のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第二標的領域に対して、配列番号24のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第三標的領域に対して、配列番号25のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第四特定領域に対して、配列番号26のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第五特定領域に対して、配列番号27のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。pncA遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号28のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。rpsL遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号29のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。rrs遺伝子の第一標的領域に対して、配列番号30のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。rrs遺伝子の第二標的領域に対して、配列番号31のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。gyrA遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号32のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。
【0065】
<シークエンス反応>
Sequencing:シークエンス反応(Sequencing反応)は、BigDye terminator cycle sequencing FS Ready Reaction kit V 3.0(Applied Biosystems,社製)を用いたダイターミネーター法にて行った。シークエンス反応用チューブの組成は以下の通りとした。プレミックス(シークエンス用緩衝液;5×Sequencing Buffer 4μl、デオキシリボヌクレオチド3リン酸;dNTP mix 1μl、ダイデオキシターミネーター;DyeDeoxy Terminators 0.5μl、DNA ポリメラーゼであるAmpliTaq,FS 4μl;合計8μl(Applied Biosystems, 社製))、1つのチューブにつき1種のPCR産物1μl、耐性遺伝子の上記標的領域の塩基配列決定に適したプライマー3.2pmolを加え、滅菌蒸留水にて全量を20μlとした。
【0066】
用いたシークエンス反応用チューブは番号1〜16の16本であった。1番のシークエンス反応用チューブには、上記した1番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号17のオリゴヌクレオチドとを、2番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号18のオリゴヌクレオチドとを、3番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号19のオリゴヌクレオチドとを、4番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号20のオリゴヌクレオチドとを、5番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号21のオリゴヌクレオチドとを、6番のシークエンス反応用チューブには、3番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号22のオリゴヌクレオチドとを、7番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号23のオリゴヌクレオチドとを、8番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号24のオリゴヌクレオチドとを、9番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号25のオリゴヌクレオチドとを、10番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号26のオリゴヌクレオチドとを、11番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号27のオリゴヌクレオチドとを、12番のシークエンス反応用チューブには、5番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号28のオリゴヌクレオチドとを、13番のシークエンス反応用チューブには、6番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号29のオリゴヌクレオチドとを、14番のシークエンス反応用チューブには、7番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号30のオリゴヌクレオチドとを、15番のシークエンス反応用チューブには、7番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号31のオリゴヌクレオチドとを、16番のシークエンス反応用チューブには、8番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号32のオリゴヌクレオチドとを、投入した。シークエンス反応の温度プロファイルは以下の通りである。変性96℃10秒、アニーリング50℃5秒、伸長反応60℃4分を25サイクル繰り返した。シークエンス反応は、上記した16本のチューブとシークエンス反応用機器として上記したGeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)を用いて16サンプル全て1度に行った。
【0067】
増幅反応後、カラムとしてCentri−sep spin columns(Princeton Separations社製)を用いて、未反応Dye及び過剰プライマーを除去して、シークエンス反応物を精製した。次いで、カラム溶出液を濃縮遠心機(トミー工業株式会社製)を用いて50℃で1700rpmで15分遠心して乾燥させ、loading buffer、すなわちHi−Diホルムアミド(Applied Biosystems社製)15μlを加え、95℃2分加熱後、急冷した。さらに、1つのウェルに対して1本のチューブから得られたシークエンス反応物を入れることにより、16チューブのシークエンス反応物を96ウエルプレート(8ウェル×12レーン中の2レーン)に入れ、16本キャピラリー式ABI3100オートシークエンサーを用いることによりウェルを無駄にすることなく泳動した。泳動は、菌株ごとに行った。
【0068】
<塩基配列の解析>
塩基配列の解析及び編集用のソフトウェアとしては、Sequencing Analysis Software(Applied Biosystems社製)を用い、これらの既知の薬剤感受性M.tuberculosisH37Rv株の塩基配列と比較することにより、変異の有無を、菌株ごとに解析した。各遺伝子ごとに、見つかった変異の位置及び変異、変異が見つかった菌株数を以下に詳述する。
【0069】
<塩基配列の解析の結果>
以下に示すセンスコドンの番号については、センスコドンの開始コドンを第1番目のコドンとして、番号を付した。また、塩基対の番号は、センスコドンの開始コドンの第1番目の塩基対を第1番目の塩基対として塩基対の番号を付した。
【0070】
rpoB遺伝子については、34株中1株が、第513番目のセンスコドンCAA(グルタミン、Glnに翻訳される)がコドンCTA(ロイシン、Leuに翻訳される)に変異しており、34株中6株が、第531番目のセンスコドンTCG(セリン、Serに翻訳される)がコドンTTG(ロイシン、Leuに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第526番目のセンスコドンCAC(ヒスチジン、Hisに翻訳される)がACC(チロシン、Thrに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計8株であった。遺伝子の変異のうち、第526番目のセンスコドンの変異は新規な発見である。
【0071】
katG遺伝子については、34株中1株が、第295番目のセンスコドンCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)がCCG(プロリン、Proに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第297番目のセンスコドンGGC(グリシン、Glyに翻訳される)がGTC(バリン、Valに翻訳される)に変異しており、34株中4株が、第315番目のセンスコドンAGC(セリン、Serに翻訳される)がACC(トレオニン、Thrに翻訳される)に変異しており、さらに34株中2株が、第324番目のセンスコドンACC(トレオニン、Thrに翻訳される)がCCC(プロリン、Proに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計8株であった。遺伝子の変異のうち、第295番目のセンスコドン、第297番目のセンスコドン及び第324番目のセンスコドンの変異は新規な発見である。
【0072】
mabA−inhA遺伝子については、34株中4株が、第−15番目の塩基対にあるC塩基がT塩基に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計4株であった。
【0073】
embB遺伝子については、34株中1株が、第497番目のセンスコドンCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)がCGG(アルギニン、Argに翻訳される)に変異しており、さらに34株中3株が、第306番目のセンスコドンATG(メチオニン、Metに翻訳される)がATA(イソロイシン、Ileに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計4株であった。
【0074】
pncA遺伝子については、34株中1株が、第4番目のセンスコドンGCG(アラニン、Alaに翻訳される)がGAG(グルタミン、Gluに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第10番目のセンスコドンCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)がCCG(プロリン、Proに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第51番目のセンスコドンCAC(ヒスチジン、Hisに翻訳される)がCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)に変異しており、さらに34株中1株が、第148番目のセンスコドンCGC(アルギニン、Argに翻訳される)がAGC(セリン、Serに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計4株であった。遺伝子の変異のうち、第4番目のセンスコドンの変異、第10番目のセンスコドンの変異及び第148番目のセンスコドンの変異は新規な発見である。
【0075】
rpsL遺伝子については、34株中、変異を生じた菌株はなかった。
【0076】
rrs遺伝子については、34株中1株が、第1400番目の塩基対にあるA塩基がT塩基に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計1株であった。第1400番目の塩基対の変異は新規な発見である。
【0077】
gyrA遺伝子については、34株中1株が、第90番目のセンスコドンGCG(アラニン、Alaに翻訳される)がGTG(バリン、Valに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計1株であった。
【0078】
以上をまとめると、結核菌DNA抽出後から、塩基配列の解析が終了するまでに要した時間は、約6.5時間であり、従来の薬剤感受性試験が2週間以上要したのに対して、さらに、従来のPCR増幅及び直接塩基配列決定により上記8種の遺伝子の塩基配列決定する際に要する時間に対して、耐性遺伝子を有する菌株を検出するために必要な時間を大幅に短縮できた。また、本方法は遺伝子変異を特定できるので、疫学情報としても使用できることがわかった。なお、rpoB遺伝子に変異を有する菌株8株中1株、katG遺伝子に変異を有する菌株8株中4株、pncA遺伝子に変異を有する菌株4株中3株、rrs遺伝子に変異を有する1株について、これまで報告のない新規の変異を有する菌株を発見した。
【0079】
実施例2
以下のように従来の薬剤感受性試験と実施例1の<塩基配列の解析の結果>とを比較検討した。
【0080】
<薬剤感受性試験>
従来の薬剤感受性試験を実施した。<喀痰の前処理と結核菌のDNAの抽出>における34人の患者からの結核菌の菌株34株を、菌株ごとに、SABINEらの方法(Journal of Clinical Microbiology 37(1),p45〜48,1999)に従って、4週間かけて増殖させた。増殖させた菌株を用いて、菌株ごとに、薬剤感受性試験を行った。INH、RFP、EMBについては、SABINEら(Journal of Clinical Microbiology 37(1),p45〜48,1999)の方法に従って、薬剤感受性試験を行った。また、PZAについては、A.P.DAVIESら(Journal of Clinical Microbiology,38(10),p3686〜3688,2000)の方法に従って、薬剤感受性試験を行った。結果、調べた臨床分離株34株中、19株は全ての薬剤に感受性であった。34株中10株が、RFPに対する耐性を有することがわかった。34株中15株がINHに対する耐性を有することがわかった。33株中4株がEMBに対する耐性を有することがわかった。33株中4株がPZAに対する耐性を有することがわかった。
【0081】
<実施例1の塩基配列の解析結果と薬剤感受性試験の結果との比較検討>
薬剤感受性試験において全ての薬剤に感受性であった19株については、実施例1の塩基配列の解析結果においては、全19株とも、耐性遺伝子の変異は認められなかった。薬剤感受性試験において、RFPに対する耐性を有する10株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該10株中8株で、RFPに対する耐性に関与する変異である、rpoB遺伝子の変異が検出された。薬剤感受性試験において、INHに対する耐性を有する15株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該15株中9株で、INHに対する耐性に関与する変異である、katG遺伝子の変異が検出され、且つ該15株中4株で、INHに対する耐性に関与する変異である、mabA−inhA遺伝子の変異が検出された。INHに対する耐性を有する15株中13株において、耐性に関与する遺伝子に変異が確認されたこととなる。薬剤感受性試験において、EMBに対する耐性を有する4株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該4株中4株で、EMBに対する耐性に関与する変異である、embB遺伝子の変異が検出された。薬剤感受性試験において、PZAに対する耐性を有する4株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該4株中4株で、PZAに対する耐性に関与する変異である、pncA遺伝子の変異が検出された。
【0082】
以上の結果をまとめると、実施例1の塩基配列の解析結果では、薬剤感受性試験によるRFP耐性株10株中8株(80%)、薬剤感受性試験によるINH耐性株15株中13株(87%)、薬剤感受性試験によるEMB耐性株4株中4株(100%)、薬剤感受性試験によるPZA耐性株4株中4株(100%)において、耐性に関与する遺伝子の変異を検出でき、結果として、薬剤感受性試験における耐性菌を、検出することができた。
【0083】
本実施例の薬剤耐性遺伝子を検出する方法は、PCR増幅により行われるので、比較的少量のDNA量、菌量で十分である。従って、患者喀痰検体から直接検査することが可能である。また、塩基配列を直接解読するので、配列の違いによる見逃しがない。さらに、株間の疫学情報としても利用できる(同じ株なのかどうか比較的正確にわかる)。加えて、実施例1に用いた8種のPCR用プライマー並びに16種の塩基配列決定用プライマーは、シークエンサー(ABI3100)とPCR増幅器があれば、簡単なキット化が可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明により、迅速かつ簡便に結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、並びに該方法において好適に用いることができるPCR用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キットを提供することができる。本発明の薬剤耐性遺伝子を検出する方法は、結核の迅速薬剤感受性試験として、医療施設の細菌検査部門、保健所、地方衛生研究所、細菌検査センターなどで簡便に利用できる。
【0085】
【配列表】
【0086】
配列番号:1 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCC AGG ACGTGG AGG CGA TCA CAC CGC A−3’
【0087】
配列番号:2 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CGT CGC CGGCGT CGA TCG CCG CG−3’
【0088】
配列番号:3 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTG CCC GAGCAA CAC CCA CCC ATT ACA GAA AC−3’
【0089】
配列番号:4 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−TCA GCG CACGTC GAA CCT GTC GAG−3’
【0090】
配列番号:5 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACA TAC CTGCTG CGC AAT TC−3’
【0091】
配列番号:6 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GCA TAC GAATAC GCC GAG AT−3’
【0092】
配列番号:7 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACG CTG AAACTG CTG GCA AT−3’
【0093】
配列番号:8 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTG CAT ACCGAG CAG CAT AG−3’
【0094】
配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGC GTC ATGGAC CCT ATA TC−3’
【0095】
配列番号:10 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CAA CAG TTC ATC CCG GTT C−3’
【0096】
配列番号:11 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCA ACC ATC CAG CAG CTG GT−3’
【0097】
配列番号:12 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTC GAG AGC CCG CTT GAG GG−3’
【0098】
配列番号:13 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−AAA CCT CTT TCA CCA TCG AC−3’
【0099】
配列番号:14 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTA TCC ATT GAT GCT CGC AA−3’
【0100】
配列番号:15 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAT GAC AGA CAC GAC GTT GC−3’
【0101】
配列番号:16 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGG CTT CGG TGT ACC TCA T−3’
【0102】
配列番号:17 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’− TAC GGC GTT TCG ATG AAC−3’
【0103】
配列番号:18 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種列 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACG TAG ATC AGC CCC ATC TG−3’
【0104】
配列番号:19 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAG CCC GAT GAG GTC TAT TG−3’
【0105】
配列番号:20 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCG ATC TAT GAG CGG ATC AC−3’
【0106】
配列番号:21 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAA CAA ACC GAC GTG GAA TC−3’
【0107】
配列番号:22 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACA TAC CTG CTG CGC AAT TC−3’
【0108】
配列番号:23 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACG CTG AAA CTG CTG GCG AT−3’
【0109】
配列番号:24 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTC ATC CTG ACC GTG GTG TT−3’
【0110】
配列番号:25 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGT GGG CAG GAT GAG GTA GT−3’
【0111】
配列番号:26 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CAC AAT CTT TTT CGC CCT GT−3’
【0112】
配列番号:27 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GCG TGG TAT CTC CTG CCT AAG−3’
【0113】
配列番号:28 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGC GTC ATG GAC CCT ATA TC−3’
【0114】
配列番号:29 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCA ACC ATC CAG CAG CTG GT−3’
【0115】
配列番号:30 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CAG GTA AGG TTC TTC GCG TTG−3’
【0116】
配列番号:31 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’− GTT CGG ATC GGG GTC TGC AA −3’
【0117】
配列番号:32 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAT GAC AGA CAC GAC GTT GC−3’
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、アガロースゲル電気泳動の結果得られた8種のPCR産物を示す図である。
【図2】図2は、薬剤耐性に関与する遺伝子の結核菌遺伝子上の位置を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、PCR用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、日本では年間約3000人が、地球規模では年間300万人が結核により死亡している。結核治療の薬剤としては、多くの種類の薬剤が知られているが、薬剤を患者に投与した場合、突然変異によりある出現頻度で、投与した薬剤に対する耐性を有する耐性菌が生じることがわかっている。このような耐性菌の出現頻度は、薬剤により異なるが、例えば、イソニアジド(INH)が10−6のオーダー、リファンピシン(RFP)が10−7のオーダー、ストレプトマイシン(SM)が10−6のオーダー、エタンブトール(EB)10−4のオーダーである。1996年に使用されたピラジナミド(PZA)、カナマイシン(KM)、ビオマイシン(VM)、アミカシン(AK)及び、抗結核薬としては国内で認可されていないフルオロキノロン(FQ)については耐性菌の出現頻度のデータはない。これらの薬剤に対する耐性を有する耐性菌に関して、特定遺伝子の突然変異によって生じる耐性菌について報告がなされている。
【0003】
RFPに対する耐性を有する耐性菌に関しては、RNAポリメラーゼのβサブユニットをコードするrpoB遺伝子上の狭い領域に野生型結核菌では見られない点突然変異が存在することが明らかにされている。INHに対する耐性を有する耐性菌に関しては、カタラーゼペロキシダーゼ(Catalase−peroxidase)をコードする遺伝子であるkatG遺伝子、mabA−inhA遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかにされている。EBに対する耐性を有する耐性菌に関しては、アラビノシルトランスフェラーゼ(Arabinosyltransferase)をコードするembB遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかにされている。PZAに対する耐性を有する耐性菌に関しては、ピラジナミダーゼ(pirazinamidase)をコードするpncA遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかにされている。SMに対する耐性を有する耐性菌に関しては、リボソーム蛋白S12(ribosomal protein S12)をコードするrpsL遺伝子上の変異、並びに16SリボソームRNA(16S ribosomal RNA)をコードするrrs遺伝子上のクラスターA領域及びクラスターB領域における変異が、耐性に関与していることが明らかにされている。KM、VM、またはAKに対する耐性を有する耐性菌に関しては、16SリボソームRNA(16S ribosomal RNA)をコードするrrs遺伝子上のクラスターC領域における変異が耐性に関与していることが明らかにされている。FQに対する耐性を有する耐性菌に関しては、DNAギラーゼAサブユニット(DNA gyraze A subunit)をコードするgyrA遺伝子上の変異が耐性に関与していることが明らかとなっている。これらの耐性に関与する遺伝子の結核菌遺伝子上の位置を図2に示す。
【0004】
結核空洞内には、通常108オーダーの数の結核菌が存在するとされる。仮に109個の結核菌を保有する結核患者に対してINHを単剤で投与したとすると、平均して、103個以上の菌がINHに対する耐性を有するINH耐性菌として生き残る。この結核患者は、INHの投与により、一旦回復したかに見えるが、生き残ったINH耐性菌が増殖することにより再び発症する。発症した患者の治療に引き続きRFPを用いれば、このINH耐性菌は、同様の機序によりRFPに対する耐性を獲得するために、INH及びRFPの2剤に対して耐性を獲得することになる。この繰返しにより、多くの薬剤に対する耐性を有する難治性の多剤耐性結核菌が出現することになる。この多剤耐性結核菌は、患者の治療を遅延させるばかりでなく、院内感染や市中への結核感染の拡散の原因となっており、結核治療上の大きな問題となっている。
【0005】
そこで、耐性菌の出現を防ぐために、結核治療は、2種の薬剤あるいは3種の薬剤を投与する2剤併用療法、または3剤併用療法が結核治療の主流となっている。結核患者に対して、初回治療の段階から2種の薬剤あるいは3種の薬剤を投与すると、耐性菌の出現頻度はほとんど無視してよいレベルにまで下がる。INH及びRFPを投与すると、耐性菌の出現頻度は、10−6×10−7=10−13オーダーであり、通常の結核患者においてはほとんど耐性菌が出現しないと考えて良い。しかしながら、結核患者の保有する結核菌が、投与する2種の薬剤あるいは3種の薬剤のうち、1種以上の薬剤に対してすでに耐性を有している場合は、2種の薬剤あるいは3種の薬剤を投与しても耐性菌が出現する可能性がある。
【0006】
このような理由により、結核患者が保有する結核菌の薬剤に対する耐性について情報があれば、結核患者が保有する結核菌が耐性を有しない薬剤を2剤あるいは3剤選択して投与することができるため、新たな耐性菌の出現がほとんどなくなる。
【0007】
そこで、結核患者が保有する結核菌の薬剤に対する耐性について情報を得るために、結核菌の薬剤感受性試験が行われている。薬剤感受性試験は、所定の薬剤を含有させた薬剤感受性培地における菌体の増殖の有無により、該所定の薬剤に対する耐性の有無を検査する方法が一般的である。かかる薬剤感受性試験における薬剤感受性培地としては、Mycobacteria Growth Indicator tube 「MGIT」(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)、BACTEC 460TB(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)、結核感受性PZA液体培地(極東製薬株式会社製)、ビットスペクトルSR(極東製薬株式会社製)、ブロスミック MTB−I(極東製薬株式会社製)、ウエルパック培地P(日本BCG株式会社製)、ウエルパック培地 A,B(日本BCG株式会社製)、耐性培地(日水製薬株式会社製)、感受性培地(日水製薬株式会社製)を挙げることができる。しかし、結核菌は増殖が遅く、結核菌の増殖の有無を確かめて耐性の有無を判断するまでに数週間を要するという問題がある。
【0008】
また、最近、DNAハイブリダイゼーション技術を用いた診断法が開発されている。特開2001−103981号公報(特許文献1)には、結核治療に用いられる薬剤に対して感受性である野生型結核菌およびいずれかの薬剤に対して耐性を有する変異型結核菌のそれぞれから得られる、結核治療に用いられる薬剤に対する耐性に関わる結核菌ゲノム上の遺伝子の塩基配列をもとに合成されたオリゴヌクレオチドが、共有結合により固定化された基板を含む結核菌診断キットであって、被検結核菌に由来する核酸とのハイブリダイゼーションにより結核菌の薬剤耐性鑑別または結核菌感染の判定を行うための診断用キットが開示されている。該診断用キットを用いたDNAハイブリダイゼーション技術は、DNAチップによって、薬剤耐性遺伝子の変異を見出そうとするものであるが、多量のDNAを必要とすること、検査時間は7時間だが培養のための時間が数週間かかること、特定の遺伝子配列の変異しか検出できないこと、現在開発されている製品(DNAマイクロアレイキット「OligoArray」:日清紡績株式会社製)ではINH、RFP、SM、KM、EBの5薬剤に対する耐性に関与する遺伝子にかかる変異しか検出できないことなどの問題点がある。どちらの結核薬剤感受性試験でも、検査しようとする菌を数週間ないし数ヶ月かけて培養して、分離する必要がある。
【0009】
さらに、喀痰などにより得られる結核菌から遺伝子を抽出して、PCR増幅した産物を直接塩基配列決定することにより、薬剤に対する耐性に関わる遺伝子を検出する方法があり、この方法によると結核菌の培養を数週間かけて行う必要はない。しかし、耐性に関わる遺伝子ごとにPCR増幅及び直接塩基配列決定の実験を行っており、大きな労力が必要となるため、検査室での日常業務での使用に適していない。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−103981号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、迅速かつ簡便に結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、並びに該方法において好適に用いることができるPCR用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キットを提供することをその課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、該2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアを用いて、1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域を直接塩基配列決定することにより、迅速かつ簡便に結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明(1)は、結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域を直接塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を簡便かつ迅速にPCR増幅できるため、迅速かつ簡便な結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法とすることができる。
【0014】
また、本発明(2)は、結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域をシークエンス反応し、得られたシークエンス反応物を用いて1台の塩基配列決定用機器によって一度に塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を簡便かつ迅速にPCR増幅および直接塩基配列決定できるため、迅速かつ簡便な結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法とすることができる。
【0015】
また、本発明(3)は、前記2種以上のPCR用プライマーペアが、配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、並びに配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる2種以上のプライマーペアである前記発明(1)または(2)に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)または(2)の奏する効果に加えて、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、gyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、結核菌の前記遺伝子群より選ばれる遺伝子において従来の直接塩基配列決定法により塩基配列決定される領域よりも、広範な領域として増幅することができるという効果を奏するものである。
【0016】
また、本発明(4)は、前記2種以上のPCR用プライマーペアが、配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、並びに配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドペアである前記発明(1)または(2)に記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(3)と同様の効果を奏するものである。
【0017】
また、本発明(5)は、前記PCR増幅が、シャトルPCR増幅である前記発明(1)〜(4)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)〜(4)のいずれかの発明と同様の効果を奏するのに加えて、PCR増幅におけるPCR用プライマーとのアニーリング、及びDNAポリメラーゼによる相補鎖の伸長反応を同一の温度条件で実施できるため、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、gyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、より一層簡便にPCR増幅できるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明(6)は、前記2種以上の塩基配列決定用プライマーが、配列番号17の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号32の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる2種以上のプライマーである前記発明(1)〜(5)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)〜(5)のいずれかの発明の奏する効果に加えて、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、gyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域を、結核菌の前記遺伝子群より選ばれる遺伝子において従来の直接塩基配列決定法により塩基配列決定される領域よりも、広範な領域として増幅することができ、従来の直接塩基配列決定法において見落としていた新規な変異を見出すことが可能となるという効果を奏するものである。
【0019】
また、本発明(7)は、2種以上の塩基配列決定用プライマーが、配列番号17のオリゴヌクレオチド〜配列番号32のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドである前記発明(1)〜(5)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(6)と同様の効果を奏するものである。
【0020】
また、本発明(8)は、前記直接塩基配列決定を、ダイターミネーター法により行う前記発明(1)〜(7)のいずれかに記載される結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法を提供するものである。かかる構成を採用することにより、前記発明(1)〜(7)のいずれかの発明の奏する効果に加えて、直接塩基配列決定に際して1本のチューブにおいて1つの標的領域のシークエンス反応を行うことが可能となるという効果を奏するものである。
【0021】
また、本発明(9)は、配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、並びに配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドペアであるPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0022】
また、本発明(10)は、配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、並びに配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる1種以上のプライマーペアであるPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0023】
また、本発明(11)は、配列番号1のオリゴヌクレオチド〜配列番号16のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドをプライマーとして有するPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0024】
また、本発明(12)は、配列番号1の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号16の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーを有するPCR用プライマーペアセットを提供するものである。
【0025】
また、本発明(13)は、配列番号17のオリゴヌクレオチド〜配列番号32のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドである塩基配列決定用プライマーセットを提供するものである。
【0026】
また、本発明(14)は、配列番号17の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号32の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーである塩基配列決定用プライマーセットを提供するものである。
【0027】
また、本発明(15)は、前記発明(9)〜(12)のいずれかに記載のPCR用プライマーペアセットと前記発明(13)または(14)に記載の塩基配列決定用プライマーセットとを有することを特徴とする薬剤耐性結核の診断用試薬キットを提供するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を述べるが、本発明はこれら実施の形態により制限されない。
【0029】
<結核菌由来のDNAの調製>
以下に本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法を記載する。結核菌由来のDNAの調製は、喀痰、髄液、胃液、糞便、リンパ節等の組織抽出液などからの結核菌からDNAを抽出することによって得ることができる。例えば、喀痰中の結核菌からDNAを抽出する方法は、常法を用いることができるが、J.BEIGEらの方法(J. Clin. Microbiol., 33: 90−95. 1995)に従って行うことが好ましい。
【0030】
<2種以上の遺伝子及び2以上の特定領域の選定>
また、結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から2種以上の遺伝子を選ぶ。 そして、選んだ2種以上の遺伝子のそれぞれについて、PCR増幅するための特定領域を選定し、2以上の特定領域を選定する。
【0031】
Mycrobacterium tuberculosisの全ゲノム配列は、Cole,S.Tら(Nature 393(6685),p537−544(1998))により報告され、GeneBank(Accession No.:NC 000962)上に開示されている。rpoB遺伝子についてはゲノム配列上の第759805塩基対〜第763323塩基対に相当し、katG遺伝子についてはゲノム配列上の第2153887塩基対〜第2156109塩基対に相当し、mabA−inhA遺伝子についてはゲノム配列上の第1673438塩基対〜第1675009塩基対相当し、embB遺伝子についてはゲノム配列上の第4246511塩基対〜第4249807塩基対に相当し、pncA遺伝子についてはゲノム配列上の第2288679塩基対〜第2289239塩基対に相当し、rpsL遺伝子についてはゲノム配列上の第751558塩基対〜第781932塩基対に相当し、rrs遺伝子についてはゲノム配列上の第1471844塩基対〜第1473380塩基対に相当し、gyrA遺伝子についてはゲノム配列上の第7302塩基対〜第9818塩基対に相当する。PCR増幅するために選定される特定領域は、遺伝子ごとに異なっている。以下に記載する各遺伝子の特定領域における塩基対の番号は、センスコドンの開始コドンの1番目の塩基対を1番目の塩基対として定めたものである。rpoB遺伝子については、前記特定領域が第1276塩基対〜第1356塩基対を含有する領域であると好ましく、第1199塩基対〜第1903塩基対を含有する領域であると最も好ましい。katG遺伝子については、前記特定領域が第1塩基対〜第2205塩基対を含有する領域であると好ましく、第1塩基対〜第2223塩基対からなる領域であると最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、前記特定領域が第−81塩基対〜第1044塩基対を含有する領域であると好ましく、第−217塩基対〜第1145塩基対からなる領域であると最も好ましい。embB遺伝子については、前記特定領域が第855塩基対〜第3072塩基対を含有する領域であると好ましく、第646塩基対〜第3382塩基対からなる領域であると最も好ましい。pncA遺伝子については、前記特定領域が第−12塩基対〜第546塩基対を含有する領域であると好ましく、第−80塩基対〜第590塩基対からなる領域であると最も好ましい。rpsL遺伝子については、前記特定領域が第115塩基対〜第273塩基対を含有する領域であると好ましく、第4塩基対〜第575塩基対からなる領域であると最も好ましい。rrs遺伝子については、前記特定領域が第512塩基対〜第1402塩基対を含有する領域であると好ましく、第428塩基対〜第1756塩基対からなる領域であると最も好ましい。gyrA遺伝子については、前記特定領域が第262塩基対〜第285塩基対を含有する領域であると好ましく、第−1塩基対〜第397塩基対からなる領域であると最も好ましい。
【0032】
遺伝子、及び遺伝子に対応する特定領域を選ぶに際しては、3種以上の遺伝子及び3以上の特定領域を選ぶと好ましく、4種以上の遺伝子及び4以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、5種以上の遺伝子及び5以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、6種以上の遺伝子及び6以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、7種以上の遺伝子及び7以上の特定領域を選ぶとさらに好ましく、8種全ての遺伝子及び8つの特定領域を選ぶと最も好ましい。
【0033】
従来の研究において、結核菌の上記した8遺伝子における薬剤耐性を獲得する機構は、ゲノムの遺伝子内の比較的限定されたコドンにおける塩基の置換(変異)に耐性遺伝子の生成による機構であることが明らかにされており、これまで、これら生成した耐性遺伝子上のゲノムの遺伝子内の比較的限定されたコドンにおける塩基の置換(変異)に着目した研究がなされてきた。例えば、rpoB遺伝子においては、513番目のコドンCAA周辺の限定された領域、及び531番目のコドンTCG周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。katGにおいては、315番目のコドンAGC周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。mabA−inhAにおいては、開始コドンのG塩基より15塩基上流のC塩基周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。embBにおいては、497番目のコドンCAG周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。pncAにおいては、51番目のコドンCAC周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。rpsLにおいては、43番目のコドンAAG周辺の限定された領域、及び88番目のコドンAAG周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。rrsにおいては、512番目の塩基C〜516番目の塩基Cの周辺における限定された領域(ストレプトマイシンに対する耐性に関するClusterA中の領域)、903番目の塩基T〜906番目の塩基Aの周辺における限定された領域(ストレプトマイシンに対する耐性に関するClusterB中の領域)、及び1399番目の塩基C〜1402番目の塩基Gの周辺における限定された領域(カナマイシン、ビオマイシン、及びアミカシンに対する耐性に関するClusterC中の領域)について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。gyrAにおいては、95番目のコドンAGC周辺の限定された領域について、PCR増幅及び直接塩基配列決定がなされてきた。
【0034】
本発明も上記した8遺伝子に着目し、これらの8遺伝子から選ばれた2種以上の遺伝子における上記したコドンまたは塩基を網羅した範囲を特定領域としてPCR増幅しているが、該特定領域は、上記した従来のPCR増幅及び直接塩基配列決定のような限られたコドンのみではなく、耐性の機構から考えて、耐性に関与している変異が生じる可能性のある領域を含有する、広範な領域である。結果、直接塩基配列決定の条件を工夫すれば、新規な変異を見出すことが可能となった。従って、これまで見落としていた恐れのある変異の同定も可能となった。
【0035】
<2種以上のPCR用プライマーペアの決定>
次いで、選んだ2種以上の遺伝子のそれぞれについて、選定した特定領域を増幅することができるPCR用プライマーペアを決定し、2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアを用意する。2種以上のPCR用プライマーペアは、2以上の特定領域を増幅することができ、且つ同一の温度条件でPCR増幅できるように設計されていることが好ましい。rpoB遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第1199塩基対〜第1903塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。katG遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第1塩基対〜第2223塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第−217塩基対〜第1145塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。embB遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第646塩基対〜第3382塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。pncA遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第−80塩基対〜第590塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。rpsL遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第4塩基対〜第575塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。rrs遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第428塩基対〜第1756塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。gyrA遺伝子については、PCR用プライマーペアが配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアであると特に好ましく、PCR用プライマーペアが配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアであると、最も好ましい領域である第−1塩基対〜第397塩基対を増幅することができ、且つシャトルPCR増幅に適しているため最も好ましい。
【0036】
なお、配列番号1のオリゴヌクレオチドは、rpoB遺伝子の第1199塩基対〜第1226塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号2のオリゴヌクレオチドは、rpoB遺伝子の第1903塩基対〜第1880塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号3のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の第1塩基対〜第28塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号4のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の第2223塩基対〜第2200塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号5のオリゴヌクレオチドは、mabA−inhA遺伝子の第−217塩基対〜第−198塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号6のオリゴヌクレオチドは、mabA−inhA遺伝子の第1145塩基対〜第1126塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号7のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の第646塩基対〜第665塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号8のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の第3382塩基対〜第3363塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号9のオリゴヌクレオチドは、pncA遺伝子の第−80塩基対〜第−61塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号10のオリゴヌクレオチドは、pncA遺伝子の第590塩基対〜第572塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号11のオリゴヌクレオチドは、rpsL遺伝子の第4塩基対〜第23塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号12のオリゴヌクレオチドは、rpsL遺伝子の第575塩基対〜第556塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号13のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の第428塩基対〜第447塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号14のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の第1756塩基対〜第1737塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号15のオリゴヌクレオチドは、gyrA遺伝子の第−1塩基対〜第19塩基対に対応するセンスプライマーであり、配列番号16のオリゴヌクレオチドは、gyrA遺伝子の第397塩基対〜第379塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。ここで、塩基対の番号は、鋳型鎖の開始コドンの開始塩基を1番目の塩基として定めたものである。
【0037】
<2以上の特定領域のPCR増幅>
次いで、結核菌から抽出したDNAと、2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、1台のPCR増幅用機器によって、2以上の特定領域をPCR増幅する。PCR増幅においては、耐熱性ポリメラーゼの触媒作用により鋳型であるDNAを基にしてプライマーに挟まれた領域を増幅する。PCR増幅の方法としては、鋳型DNAを一本鎖にする(変性)、この一本鎖とプライマーが結合する(アニーリング)、最後に耐熱性ポリメラーゼの触媒作用により相補鎖を延長する(伸長反応)の3段階からなる通常のPCR増幅でも、シャトルPCR増幅でもよい。
【0038】
通常、2種以上のプライマーペアにおいて、アニーリング温度はプライマーごとにその最適温度が異なり、また、伸長反応時間は、増幅したい産物の長さに比例してその長さが異なる。本発明において通常のPCR増幅を行うに際しては、2以上の特定領域に対応する2種以上のPCR用プライマーペアを構成するプライマーのアニーリング温度を全て一定にしなければならない。本発明の場合、2以上の特定領域、それもPCR産物の長さが異なる領域を、1台のPCR用機器で一度に増幅するためには、シャトルPCR増幅の方が実用的であるので好ましい。
【0039】
シャトルPCR増幅であると、PCR増幅におけるPCR用プライマーとのアニーリング、及びDNAポリメラーゼによる相補鎖の伸長反応を同一の温度条件で実施できるため好ましい。シャトルPCR増幅は公知の方法であり、シャトルPCR増幅を行うためのキットとしては、Platinum R taq DNA polymerase(インビトロジエン株式会社製)、TakaRa Z−taqTM(タカラバイオ株式会社製)、Pyrobest R DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)が市販されており、PCR用機器としては、GeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)、i−Cycler(タカラバイオ株式会社製)、TakaRa PCR Thermal Cycler GP(タカラバイオ株式会社製)が市販されている。
【0040】
なお、シャトルPCR増幅に際して、2種以上のPCR用プライマーペアが、上記した8種のオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは、上記した8種のプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる2種以上のプライマーペアであると、1台のPCR増幅用機器によって、同一の温度条件で好適にシャトルPCR増幅することが可能となる。前記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアを、2種以上のPCR用プライマーペアとして用いると、同一の温度条件で好適にシャトルPCR増幅できる理由については、以下のように考えられる。シャトルPCRにおいては、厳密なアニーリング温度を必要としないため、前記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアのそれぞれのオリゴヌクレオチドあるいはプライマーに最適な温度にアニーリング温度を設定する必要が無く、アニーリングと伸長反応を同時に行う同一の温度条件にて、一度に増幅することができる。
【0041】
なお、シャトルPCR法においては、逆に非特異的な反応が起こりやすくなることが懸念され、産物の長さが異なる。しかし、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアにおいては、シャトルPCR増幅において同一の伸長反応時間にし、再現良く且つ非特異的反応を起こさせない為の条件設定が行われている。また、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアは、シャトルPCRに適したポリメラーゼ(Z−taq;TAKARA、宝酒造社製)の温度条件を満たしている。さらに、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアは、通常のPCRプライマーと同様、プライマー同士の結合(プライマーダイマー形成)が起こりにくい設計になっている。加えて、上記2種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記2種以上のプライマーペアは、アニーリングに際して上記2以上の特定領域に結合する部位が、変異高発部位でないように設計されているため、菌株の変異の有無によってアニーリングに際しての結合部位に差異が生じないため、菌株によって増殖の程度に差が生じることがない。
【0042】
2種以上のPCR用プライマーペアが、上記した8種のオリゴヌクレオチドペアより選ばれる3種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは上記した8種のプライマーペアより選ばれる3種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペアより選ばれる4種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペアより選ばれる4種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる5種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペア群より選ばれる5種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる6種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペアより選ばれる6種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。2種以上のPCR用プライマーペアが、前記8種のオリゴヌクレオチドペアより選ばれる7種以上のオリゴヌクレオチドペアあるいは前記8種のプライマーペアより選ばれる7種以上のプライマーペアであるとさらに好ましい。
【0043】
2種以上のPCR用プライマーペアが、上記した8種のオリゴヌクレオチドペアあるいは上記した8種のプライマーペアであると、PCR増幅するサンプルが8種となるため最も好ましい。その理由を以下に述べる。現在市場で流通しているPCR用機器は、8×12wellの構造を採り、8種のサンプルを同時にPCR増幅できる構造となっており、8種のサンプルを扱うために8練チューブも市販されている。よって8種よりサンプルが少ないと空のチューブが生じて費用の損失となり、9種以上のサンプルであると、PCR増幅を2度に分けて行う必要があり、反応時間が2倍となってしまい時間及び費用のロスになる。さらには、8種のサンプルを用いると一度に12検体のPCR増幅が可能であり、検体の取り違い防止にもつながる。
【0044】
<PCR産物の分離及び標的領域の選定>
PCR増幅した2以上の特定領域の産物は、MicroSpinTM Columns(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)などにより過剰プライマーの除去、精製を行う。2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域を適宜選定する。各遺伝子の塩基配列は、上記したようにCole,S.Tら(Nature 393(6685),p537−544(1998))により報告され、GeneBank(Accession No.:NC 000962)上に開示されている。直接塩基配列決定するために選定される標的領域の好ましい領域は、遺伝子ごとに異なっている。以下に記載する各遺伝子の標的領域における塩基対の番号は、上記各遺伝子の鋳型鎖の開始コドンの開始塩基を1番目の塩基とするものである。rpoB遺伝子については、前記標的領域が、相補鎖の第1529塩基対〜上述したrpoB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域であると好ましく、相補鎖の第1529塩基対〜第1199塩基対を含有する領域であると最も好ましい。katG遺伝子については、前記標的領域が、相補鎖の第689塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第574塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1162塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第1729塩基対〜上述したkatG遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域からなる1種以上の領域であると好ましい。前記標的領域が、相補鎖の第689塩基対〜第1塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第574塩基対〜第1324塩基対を含有する領域、第1162塩基対〜第1912塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第1729塩基対〜第2223塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1種以上の領域であるとさらに好ましい。katG遺伝子については、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる2種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる3種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群に含まれる4種全ての領域であると最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第−217塩基対〜上述したmabA−inhA遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域であると好ましく、鋳型鎖の第−217塩基対〜第903塩基対を含有する領域であると最も好ましい。embB遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第646塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1462塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、相補鎖の第1596塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第2007塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第2581塩基対〜上述したembB遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1種以上の領域であると好ましい。前記標的領域が、鋳型鎖の第646塩基対〜第1396塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1462塩基対〜第2212塩基対を含有する領域、相補鎖の第1596塩基対〜第846塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第2007塩基対〜第2757塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第2581塩基対〜第3331塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1種以上の領域であるとさらに好ましい。embB遺伝子については、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる2種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群より選ばれる3種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群に含まれる4種以上の領域であるとさらに好ましく、前記標的領域が、前記した領域群に含まれる5種全ての領域であると最も好ましい。pncA遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第−80塩基対〜上述したpncA遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対を含有する領域であると好ましく、鋳型鎖の第−80塩基対〜第590塩基対を含有する領域であると最も好ましい。rpsL遺伝子については、前記標的領域が、鋳型鎖の第4塩基対〜上述したrpsL遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対であると好ましく、鋳型鎖の第4塩基対〜第575塩基対を含有する領域であると最も好ましい。rrs遺伝子については、標的領域が、相補鎖の第979塩基対〜上述したrrs遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域、鋳型鎖の第1291塩基対〜上述したrrs遺伝子の特定領域の鋳型鎖の5’末端に位置する塩基対を含有する領域からなる領域群より選ばれる1以上の領域であると好ましく、相補鎖の第979塩基対〜第428塩基対を含有する領域、及び鋳型鎖の第1291塩基対〜第1756塩基対を含有する領域の2つの領域からなる領域群より選ばれる1以上の領域であるとさらに好ましい。また、標的領域を、上記した2つの領域とするとさらに好ましい。gyrA遺伝子については、鋳型鎖の第1塩基対〜上述したgyrA遺伝子の特定領域の鋳型鎖の3’末端に位置する塩基対であると好ましく、鋳型鎖の第−1塩基対〜第397塩基対からなる領域であると最も好ましい。なお、この段落で、なお、鋳型鎖とは、遺伝子がRNAに転写される時に直接鋳型として使われる鎖を示し、相補鎖とは、鋳型鎖と2本鎖を形成するもう一方の鎖を示している。
【0045】
標的領域を選ぶに際しては、3種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶと好ましく、4種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、5種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、6種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、7種以上の遺伝子に対応する標的領域全てを選ぶとさらに好ましく、8種全ての遺伝子に対応する16の標的領域を選ぶと最も好ましい。なお、遺伝子に対応する標的領域全てとは、例えば、embB遺伝子においては、上記した5種の標的領域全てを指す。
【0046】
<塩基配列決定用プライマーの選定>
選定した2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域を直接塩基配列決定する。2種以上の塩基配列決定用プライマーとしては、公知のプライマーを用いることができる。
【0047】
塩基配列決定用プライマーの好ましいプライマーは遺伝子ごとに異なる。遺伝子rpoB遺伝子については、配列番号17のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号17の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。katG遺伝子については、配列番号18〜21の4つのオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群の1種以上のオリゴヌクレオチド、あるいは配列番号18の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号21の塩基配列を含有するプライマーの4つのプライマーからなるプライマー群の1種以上のプライマーが特に好ましく、塩基配列決定用プライマーが、上記オリゴヌクレオチド群またはプライマー群の2種以上がさらに好ましく、3種以上がさらに好ましく、4種全てであると最も好ましい。mabA−inhA遺伝子については、配列番号22のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号22の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。embB遺伝子については、配列番号23〜27の5つのオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチド、あるいは配列番号23の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号27の塩基配列を含有するプライマーの5つのプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーが特に好ましく、塩基配列決定用プライマーが、上記オリゴヌクレオチド群またはプライマー群の2種以上がさらに好ましく、3種以上がさらに好ましく、4種以上がさらに好ましく、5種全てであると最も好ましい。pncA遺伝子については、配列番号28のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号28の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。rpsL遺伝子については、配列番号29のオリゴヌクレオチドあるいは配列番号29の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。rrs遺伝子については、配列番号30、31の2つのオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチド、あるいは配列番号30の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号31の塩基配列を含有するプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーが特に好ましく、塩基配列決定用プライマーが、上記オリゴヌクレオチド群またはプライマー群の2種であると最も好ましい。gyrA遺伝子については、配列番号32のオリゴヌクレオチド、及び配列番号32の塩基配列を含有するプライマーが特に好ましい。
【0048】
なお、配列番号17のオリゴヌクレオチドは、rpoB遺伝子の相補鎖の第1529塩基対〜第1512塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号18のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の相補鎖の第689塩基対〜第670塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号19のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の鋳型鎖の第574塩基対〜第593塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号20のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の鋳型鎖の第1162塩基対〜第1181塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号21のオリゴヌクレオチドは、katG遺伝子の鋳型鎖の第1729塩基対〜第1748塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号22のオリゴヌクレオチドは、mabA−inhA遺伝子の鋳型鎖の第−217塩基対〜第−198塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号23のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第646塩基対〜第665塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号24のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第1462塩基対〜第1481塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号25のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の相補鎖の第1596塩基対〜第1577塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号26のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第2007塩基対〜第2026塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号27のオリゴヌクレオチドは、embB遺伝子の鋳型鎖の第2581塩基対〜第2601塩基対に対応するセンスプライマーである。配列番号28のオリゴヌクレオチドは、pncA遺伝子の鋳型鎖の第−80塩基対〜第−61塩基対に対応するアンチセンスプライマーである。配列番号29のオリゴヌクレオチドは、rpsL遺伝子の鋳型鎖の第4塩基対〜第23塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号30のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の相補鎖の第979塩基対〜第959塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーであり、配列番号31のオリゴヌクレオチドは、rrs遺伝子の鋳型鎖の第1291塩基対〜第1310塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。配列番号32のオリゴヌクレオチドは、gyrA遺伝子の鋳型鎖の第−1塩基対〜第19塩基対に対応する塩基配列決定用プライマーである。ここで、塩基対の番号は、鋳型鎖の開始コドンの開始塩基を1番目の塩基として定めたものである。
【0049】
<直接塩基配列決定>
直接塩基配列決定の方法としては、2以上の標的領域を、2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて1台のシークエンス反応用機器で1度でシークエンス反応し、次いでシークエンス反応により得られるシークエンス反応物を、1台の塩基配列決定用機器(オートシークエンサー)により1度に泳動して、ソフトウェアにより塩基配列の解析及び編集を行う方法を好適な方法として挙げることができる。2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて1台のシークエンス反応用機器で2度以上に分けてシークエンス反応するシークエンス反応の方法、及び1台の塩基配列決定用機器(オートシークエンサー)により2度以上に分けて泳動して、ソフトウェアにより塩基配列の解析及び編集を行う方法も本発明に包含されるものである。シークエンス反応を行うためのシークエンス反応用機器(サーマルサイクラー)としては、GeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)、i Cycler サーマルサイクラー(日本バイオラッドラボラトリーズ株式会社製)、TakaRa PCR Thermal Cycler GP(タカラバイオ株式会社製)を挙げることができ、直接塩基配列決定に際してシークエンス反応の産物の泳動を行う塩基配列決定用機器としては、16本キャピラリー式ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer、48本式キャピラリー式 Applied Biosystems 3730 DNA Analyzer、96本キャピラリー式 ABI PRISM 3700 DNA Analyzerなどの機器を挙げることができ、塩基配列の解析及び編集を行うソフトウェアとしてはSequencing AnalysisSoftware(Applied Biosystems 社製)、Genetyx(ゼネティックス株式会社製)、DNASIS Pro(日立ソフトウェア株式会社製)を挙げることができる。
【0050】
以下に本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第2の方法を記載する。<結核菌由来のDNAの調製>、<2種以上の遺伝子及び2以上の特定領域の選定>、<2種以上のPCR用プライマーペアの決定>、<2以上の特定領域のPCR増幅>、<PCR産物の分離及び標的領域の選定>は第1の方法と同様に行われる。また、直接塩基配列決定に用いられるシークエンス反応用キット、泳動を行う機器、並びに塩基配列の決定及び編集用ソフトウェアは前記したものと同様である。第2の方法が第1の方法と異なるのは、前記した2以上の標的領域を、1台の塩基配列決定用機器によって一度に直接塩基配列決定する点である。以下この点について詳述する。
【0051】
通常、2種以上の塩基配列決定用プライマーによるシークエンス反応において、アニーリング温度はプライマーごとにその最適温度が異なり、また、伸長反応時間は、シークエンス反応したい産物の長さに比例してその長さが異なる。第2の方法において、1台のシークエンス反応用機器によって、2以上の標的領域を1度にシークエンス反応するためには、プライマー毎に分けて最適なアニーリング温度にてシークエンス反応を行うか、2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを構成するプライマーのアニーリング温度を全て一定にしなければならない。本発明の場合、2以上の標的領域、それもシークエンス反応による産物の長さが異なる領域を、1台のシークエンス反応用機器で一度にシークエンス反応するためには、反応の際にアニーリング温度を全て一定にして行う方法が実用的であるので好ましい。
【0052】
塩基配列決定用プライマーは、3種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であると好ましい。4種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。5種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドより選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。6種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。7種以上の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群であるとさらに好ましい。なお、3種の遺伝子に対応する標的領域全てをシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド群あるいは上記した16のプライマーから選ばれるプライマー群とは、例えば、rpoB遺伝子、katG遺伝子、及びmabA−inhA遺伝子の上記した合計6つの標的領域を全てシークエンスできる上記した6つのプライマーまたは上記した6つのオリゴヌクレオチドからなるプライマー群を示す。
【0053】
8種全ての遺伝子に対応する16の標的領域をシークエンスできる、上記した16のオリゴヌクレオチドあるいは上記した16のプライマーであると、シークエンス反応物としてのサンプルが16種となるため、最も好ましい。その理由を以下に述べる。直接塩基配列決定用の機器、例えば、ABI3100シークエンサーは、16サンプルが1回の反応の基準となっている。そこで、16より少ないサンプル数では費用の損失となり、サンプル数が17以上となると2度に分けてシークエンス反応する必要があるため、反応時間が2倍となってしまい時間及び費用のロスとなる。また、上記した16のオリゴヌクレオチドあるいは16のプライマーは、前述の如く、最も好ましい標的領域を1度でシークエンス反応して、直接塩基配列決定できるように設計されている。
【0054】
次に本発明のPCR用プライマーペアセットについて述べる。本発明のPCR用プライマーペアセットは、上記した発明(9)〜発明(12)に記載されるものであるが、これらのプライマーペアセットを構成するプライマーは、全自動のオリゴヌクレオチド合成装置(Applied Biosystem社製380B)により容易に合成して調製することができる。本発明のPCR用プライマーペアセットは、上記した本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法または第2の方法におけるPCR増幅する際、特に2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、前記2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にシャトルPCR増幅する際に好適に用いることができる。
【0055】
次に本発明の塩基配列決定用プライマーセットについて述べる。本発明の塩基配列決定用プライマーセットは、上記した発明(13)〜発明(14)に記載されるものであるが、これらのプライマーセットを構成するプライマーは、全自動のオリゴヌクレオチド合成装置により容易に合成して調製することができる。本発明の塩基配列決定用プライマーセットは、上記した本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法または第2の方法における直接塩基配列決定、特に反応の際に、アニーリング温度を一定にして、2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて行うシークエンス反応を経て、該2以上の標的領域を、1台の塩基配列決定用機器によって一度に直接塩基配列決定する際において好適に用いることができる。
【0056】
次に本発明の薬剤耐性結核の診断用試薬キットについて述べる。本発明の薬剤耐性結核の診断用試薬キットは、上記した発明(15)に記載したものであるが、該薬剤耐性結核の診断用試薬キットを構成するプライマーは、全自動のオリゴヌクレオチド合成装置により容易に合成して調製することができる。本発明の薬剤耐性結核の診断用試薬キットは、上記した本発明の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する第1の方法または第2の方法において好適に用いることができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0058】
実施例1
<喀痰の前処理と結核菌のDNAの抽出>
34人の患者から、34株の喀痰検体を取り出した。34株の喀痰検体の前処理とDNA抽出は、J.BEIGEらの方法(J. Clin. Microbiol., 33: 90−95. 1995)に従って、菌株ごとに行った。
【0059】
<8種の遺伝子における8つの特定領域の選定>
上記の方法に従って、菌株ごとに抽出したDNAにおいて、rpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAの8遺伝子を選定し、遺伝子ごとに1つの特定領域、合計8つの特定領域を選定した。rpoB遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第1199塩基対〜第1903塩基対の705塩基対からなる領域とした。katG遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第1塩基対〜第2223塩基対の2223塩基対からなる領域とした。mabA−inhA遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第−217塩基対〜第1145塩基対の1362塩基対からなる領域とした。embB遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第646塩基対〜第3382塩基対の2737塩基対からなる領域とした。pncA遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第−80塩基対〜第590塩基対の670塩基対からなる領域とした。rpsL遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第4塩基対〜第575塩基対の572塩基対からなる領域とした。rrs遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第428塩基対〜第1756塩基対の1329塩基対からなる領域とした。gyrA遺伝子としては、全ての菌株で、特定領域を、第−1塩基対〜第397塩基対の398塩基対からなる領域とした。
【0060】
<8種のPCR用プライマーペア>
上記した8種の遺伝子に対応する8つの特定領域のそれぞれに対して1組のプライマーペアを用意した。rpoB遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号1及び2のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。katG遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号3及び4のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。mabA−inhA遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号5及び6のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。embB遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号7及び8のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。pncA遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号9及び10のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。rpsL遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号11及び12のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。rrs遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号13及び14のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。gyrA遺伝子に対応する上記特定領域に対して、配列番号15及び16のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。
【0061】
<シャトルPCR増幅>
上記の方法にて抽出したDNAを鋳型とし、上記した8つの特定領域を上記した8組のプライマーペアから選ばれるプライマーペアを、PCRチューブ1本ごとに1種ずつ投入してなる8本のPCRチューブを用いて、菌株ごとに、1台のPCR増幅用機器を用いて1度にシャトルPCR増幅した。シャトルPCR増幅の手順を以下に示す。
【0062】
PCRチューブ1本ごとの組成を、鋳型DNA1.0μl、Z−Taqポリメラーゼ1.25U(タカラバイオ株式会社製)、dNTP200μl(タカラバイオ株式会社製)、上記8組のプライマーペアから選ばれるプライマーペア1種を200nMずつとし、さらに10×Z taq Buffer 5μl(タカラバイオ株式会社製)を加え、滅菌蒸留水にて全量を50μlとした。用いたPCRチューブは番号1〜8の8本のチューブである。1番のPCRチューブには配列番号1及び2のオリゴヌクレオチドペアを、2番のPCRチューブには配列番号3及び4のオリゴヌクレオチドペアを、3番のPCRチューブには配列番号5及び6のオリゴヌクレオチドペアを、4番のPCRチューブには配列番号7及び8のオリゴヌクレオチドペアを、5番のPCRチューブには配列番号9及び10のオリゴヌクレオチドペアを、6番のPCRチューブには配列番号11及び12のオリゴヌクレオチドペアを、7番のPCRチューブには配列番号13及び14のオリゴヌクレオチドペアを、8番のPCRチューブには配列番号15及び16のオリゴヌクレオチドペアを、PCR用プライマーペアとして投入した。このように準備したPCRチューブ8本に含まれる前記8つの特定領域を、PCR増幅用機器としてGeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)を用いて、全て同じ温度プロファイルでシャトルPCR増幅した。温度プロファイルは、変性95℃で1秒、アニ−リング及び伸長反応68℃で30秒とした。該温度プロファイルを30サイクル繰り返した。その後、8本のPCR用チューブの1本ごとに、それぞれMicroSpinTMColumns(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いてアガロースゲル電気泳動により、精製し、上記した8つの特定領域の特定領域ごとの8種のPCR産物を取り出した。アガロースゲル電気泳動の結果を図1に示す。図1において、1番はrpoB遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、2番はkatG遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、3番はmabA−inhA遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、4番はembB遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、5番はpncA遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、6番はrpsL遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、7番はrrs遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、8番はgyrA遺伝子についての上記特定領域のPCR産物の示すバンドを、それぞれ示すものである。
【0063】
<8種の遺伝子における16の標的領域の選定>
rpoB遺伝子については、標的領域を、相補鎖の第1529塩基対〜第1199塩基対からなる領域とした。katG遺伝子については、第一の標的領域が相補鎖の第689塩基対〜第1塩基対からなる領域であり、第二の標的領域が鋳型鎖の第574塩基対〜第1324塩基対からなる領域であり、第三の標的領域が第1162塩基対〜第1912塩基対からなる領域であり、第四の標的領域が鋳型鎖の第1729塩基対〜第2223塩基対からなる領域とした。mabA−inhA遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第−217塩基対〜第903塩基対からなる領域とした。embB遺伝子については、第一標的領域が鋳型鎖の第646塩基対〜第1396塩基対からなる領域、第二標的領域が鋳型鎖の第1462塩基対〜第2212塩基対からなる領域、第三標的領域が相補鎖の第1596塩基対〜第846塩基対からなる領域、第四標的領域が鋳型鎖の第2007塩基対〜第2757塩基対からなる領域、及び第五標的領域が鋳型鎖の第2581塩基対〜第3331塩基対からなる領域とした。pncA遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第−80塩基対〜第590塩基対からなる領域とした。rpsL遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第4塩基対〜第575塩基対を含有する領域とした。rrs遺伝子については、第一標的領域を相補鎖の第979塩基対〜第428塩基対からなる領域、第二標的領域を鋳型鎖の第1291塩基対〜第1756塩基対からなる領域とした。gyrA遺伝子については、標的領域を、鋳型鎖の第−1塩基対〜第397塩基対からなる領域とした。
【0064】
<塩基配列決定用プライマー>
上記した8種の遺伝子に対応する16の標的領域のそれぞれに対して1つのプライマーを用意した。rpoB遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号17のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第一標的領域に対して、配列番号18のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第二標的領域に対して、配列番号19のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第三標的領域に対して、配列番号20のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。katG遺伝子の第四標的領域に対して、配列番号21のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。mabA−inhA遺伝子の上記標的領域に対して、配列番号22のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第一標的領域に対して、配列番号23のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第二標的領域に対して、配列番号24のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第三標的領域に対して、配列番号25のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第四特定領域に対して、配列番号26のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。embB遺伝子の第五特定領域に対して、配列番号27のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。pncA遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号28のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。rpsL遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号29のオリゴヌクレオチドペアをプライマーペアとして用いた。rrs遺伝子の第一標的領域に対して、配列番号30のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。rrs遺伝子の第二標的領域に対して、配列番号31のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。gyrA遺伝子に対応する上記標的領域に対して、配列番号32のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。
【0065】
<シークエンス反応>
Sequencing:シークエンス反応(Sequencing反応)は、BigDye terminator cycle sequencing FS Ready Reaction kit V 3.0(Applied Biosystems,社製)を用いたダイターミネーター法にて行った。シークエンス反応用チューブの組成は以下の通りとした。プレミックス(シークエンス用緩衝液;5×Sequencing Buffer 4μl、デオキシリボヌクレオチド3リン酸;dNTP mix 1μl、ダイデオキシターミネーター;DyeDeoxy Terminators 0.5μl、DNA ポリメラーゼであるAmpliTaq,FS 4μl;合計8μl(Applied Biosystems, 社製))、1つのチューブにつき1種のPCR産物1μl、耐性遺伝子の上記標的領域の塩基配列決定に適したプライマー3.2pmolを加え、滅菌蒸留水にて全量を20μlとした。
【0066】
用いたシークエンス反応用チューブは番号1〜16の16本であった。1番のシークエンス反応用チューブには、上記した1番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号17のオリゴヌクレオチドとを、2番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号18のオリゴヌクレオチドとを、3番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号19のオリゴヌクレオチドとを、4番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号20のオリゴヌクレオチドとを、5番のシークエンス反応用チューブには、2番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号21のオリゴヌクレオチドとを、6番のシークエンス反応用チューブには、3番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号22のオリゴヌクレオチドとを、7番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号23のオリゴヌクレオチドとを、8番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号24のオリゴヌクレオチドとを、9番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号25のオリゴヌクレオチドとを、10番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号26のオリゴヌクレオチドとを、11番のシークエンス反応用チューブには、4番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号27のオリゴヌクレオチドとを、12番のシークエンス反応用チューブには、5番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号28のオリゴヌクレオチドとを、13番のシークエンス反応用チューブには、6番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号29のオリゴヌクレオチドとを、14番のシークエンス反応用チューブには、7番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号30のオリゴヌクレオチドとを、15番のシークエンス反応用チューブには、7番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号31のオリゴヌクレオチドとを、16番のシークエンス反応用チューブには、8番のPCR用チューブにより得られたPCR産物と配列番号32のオリゴヌクレオチドとを、投入した。シークエンス反応の温度プロファイルは以下の通りである。変性96℃10秒、アニーリング50℃5秒、伸長反応60℃4分を25サイクル繰り返した。シークエンス反応は、上記した16本のチューブとシークエンス反応用機器として上記したGeneAmp PCR SYSTEM 9700 thermocycler(Applied Biosystems 社製)を用いて16サンプル全て1度に行った。
【0067】
増幅反応後、カラムとしてCentri−sep spin columns(Princeton Separations社製)を用いて、未反応Dye及び過剰プライマーを除去して、シークエンス反応物を精製した。次いで、カラム溶出液を濃縮遠心機(トミー工業株式会社製)を用いて50℃で1700rpmで15分遠心して乾燥させ、loading buffer、すなわちHi−Diホルムアミド(Applied Biosystems社製)15μlを加え、95℃2分加熱後、急冷した。さらに、1つのウェルに対して1本のチューブから得られたシークエンス反応物を入れることにより、16チューブのシークエンス反応物を96ウエルプレート(8ウェル×12レーン中の2レーン)に入れ、16本キャピラリー式ABI3100オートシークエンサーを用いることによりウェルを無駄にすることなく泳動した。泳動は、菌株ごとに行った。
【0068】
<塩基配列の解析>
塩基配列の解析及び編集用のソフトウェアとしては、Sequencing Analysis Software(Applied Biosystems社製)を用い、これらの既知の薬剤感受性M.tuberculosisH37Rv株の塩基配列と比較することにより、変異の有無を、菌株ごとに解析した。各遺伝子ごとに、見つかった変異の位置及び変異、変異が見つかった菌株数を以下に詳述する。
【0069】
<塩基配列の解析の結果>
以下に示すセンスコドンの番号については、センスコドンの開始コドンを第1番目のコドンとして、番号を付した。また、塩基対の番号は、センスコドンの開始コドンの第1番目の塩基対を第1番目の塩基対として塩基対の番号を付した。
【0070】
rpoB遺伝子については、34株中1株が、第513番目のセンスコドンCAA(グルタミン、Glnに翻訳される)がコドンCTA(ロイシン、Leuに翻訳される)に変異しており、34株中6株が、第531番目のセンスコドンTCG(セリン、Serに翻訳される)がコドンTTG(ロイシン、Leuに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第526番目のセンスコドンCAC(ヒスチジン、Hisに翻訳される)がACC(チロシン、Thrに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計8株であった。遺伝子の変異のうち、第526番目のセンスコドンの変異は新規な発見である。
【0071】
katG遺伝子については、34株中1株が、第295番目のセンスコドンCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)がCCG(プロリン、Proに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第297番目のセンスコドンGGC(グリシン、Glyに翻訳される)がGTC(バリン、Valに翻訳される)に変異しており、34株中4株が、第315番目のセンスコドンAGC(セリン、Serに翻訳される)がACC(トレオニン、Thrに翻訳される)に変異しており、さらに34株中2株が、第324番目のセンスコドンACC(トレオニン、Thrに翻訳される)がCCC(プロリン、Proに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計8株であった。遺伝子の変異のうち、第295番目のセンスコドン、第297番目のセンスコドン及び第324番目のセンスコドンの変異は新規な発見である。
【0072】
mabA−inhA遺伝子については、34株中4株が、第−15番目の塩基対にあるC塩基がT塩基に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計4株であった。
【0073】
embB遺伝子については、34株中1株が、第497番目のセンスコドンCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)がCGG(アルギニン、Argに翻訳される)に変異しており、さらに34株中3株が、第306番目のセンスコドンATG(メチオニン、Metに翻訳される)がATA(イソロイシン、Ileに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計4株であった。
【0074】
pncA遺伝子については、34株中1株が、第4番目のセンスコドンGCG(アラニン、Alaに翻訳される)がGAG(グルタミン、Gluに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第10番目のセンスコドンCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)がCCG(プロリン、Proに翻訳される)に変異しており、34株中1株が、第51番目のセンスコドンCAC(ヒスチジン、Hisに翻訳される)がCAG(グルタミン、Glnに翻訳される)に変異しており、さらに34株中1株が、第148番目のセンスコドンCGC(アルギニン、Argに翻訳される)がAGC(セリン、Serに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計4株であった。遺伝子の変異のうち、第4番目のセンスコドンの変異、第10番目のセンスコドンの変異及び第148番目のセンスコドンの変異は新規な発見である。
【0075】
rpsL遺伝子については、34株中、変異を生じた菌株はなかった。
【0076】
rrs遺伝子については、34株中1株が、第1400番目の塩基対にあるA塩基がT塩基に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計1株であった。第1400番目の塩基対の変異は新規な発見である。
【0077】
gyrA遺伝子については、34株中1株が、第90番目のセンスコドンGCG(アラニン、Alaに翻訳される)がGTG(バリン、Valに翻訳される)に変異しており、変異が確認された菌株は34株中、合計1株であった。
【0078】
以上をまとめると、結核菌DNA抽出後から、塩基配列の解析が終了するまでに要した時間は、約6.5時間であり、従来の薬剤感受性試験が2週間以上要したのに対して、さらに、従来のPCR増幅及び直接塩基配列決定により上記8種の遺伝子の塩基配列決定する際に要する時間に対して、耐性遺伝子を有する菌株を検出するために必要な時間を大幅に短縮できた。また、本方法は遺伝子変異を特定できるので、疫学情報としても使用できることがわかった。なお、rpoB遺伝子に変異を有する菌株8株中1株、katG遺伝子に変異を有する菌株8株中4株、pncA遺伝子に変異を有する菌株4株中3株、rrs遺伝子に変異を有する1株について、これまで報告のない新規の変異を有する菌株を発見した。
【0079】
実施例2
以下のように従来の薬剤感受性試験と実施例1の<塩基配列の解析の結果>とを比較検討した。
【0080】
<薬剤感受性試験>
従来の薬剤感受性試験を実施した。<喀痰の前処理と結核菌のDNAの抽出>における34人の患者からの結核菌の菌株34株を、菌株ごとに、SABINEらの方法(Journal of Clinical Microbiology 37(1),p45〜48,1999)に従って、4週間かけて増殖させた。増殖させた菌株を用いて、菌株ごとに、薬剤感受性試験を行った。INH、RFP、EMBについては、SABINEら(Journal of Clinical Microbiology 37(1),p45〜48,1999)の方法に従って、薬剤感受性試験を行った。また、PZAについては、A.P.DAVIESら(Journal of Clinical Microbiology,38(10),p3686〜3688,2000)の方法に従って、薬剤感受性試験を行った。結果、調べた臨床分離株34株中、19株は全ての薬剤に感受性であった。34株中10株が、RFPに対する耐性を有することがわかった。34株中15株がINHに対する耐性を有することがわかった。33株中4株がEMBに対する耐性を有することがわかった。33株中4株がPZAに対する耐性を有することがわかった。
【0081】
<実施例1の塩基配列の解析結果と薬剤感受性試験の結果との比較検討>
薬剤感受性試験において全ての薬剤に感受性であった19株については、実施例1の塩基配列の解析結果においては、全19株とも、耐性遺伝子の変異は認められなかった。薬剤感受性試験において、RFPに対する耐性を有する10株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該10株中8株で、RFPに対する耐性に関与する変異である、rpoB遺伝子の変異が検出された。薬剤感受性試験において、INHに対する耐性を有する15株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該15株中9株で、INHに対する耐性に関与する変異である、katG遺伝子の変異が検出され、且つ該15株中4株で、INHに対する耐性に関与する変異である、mabA−inhA遺伝子の変異が検出された。INHに対する耐性を有する15株中13株において、耐性に関与する遺伝子に変異が確認されたこととなる。薬剤感受性試験において、EMBに対する耐性を有する4株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該4株中4株で、EMBに対する耐性に関与する変異である、embB遺伝子の変異が検出された。薬剤感受性試験において、PZAに対する耐性を有する4株については、実施例1の塩基配列の解析結果において、該4株中4株で、PZAに対する耐性に関与する変異である、pncA遺伝子の変異が検出された。
【0082】
以上の結果をまとめると、実施例1の塩基配列の解析結果では、薬剤感受性試験によるRFP耐性株10株中8株(80%)、薬剤感受性試験によるINH耐性株15株中13株(87%)、薬剤感受性試験によるEMB耐性株4株中4株(100%)、薬剤感受性試験によるPZA耐性株4株中4株(100%)において、耐性に関与する遺伝子の変異を検出でき、結果として、薬剤感受性試験における耐性菌を、検出することができた。
【0083】
本実施例の薬剤耐性遺伝子を検出する方法は、PCR増幅により行われるので、比較的少量のDNA量、菌量で十分である。従って、患者喀痰検体から直接検査することが可能である。また、塩基配列を直接解読するので、配列の違いによる見逃しがない。さらに、株間の疫学情報としても利用できる(同じ株なのかどうか比較的正確にわかる)。加えて、実施例1に用いた8種のPCR用プライマー並びに16種の塩基配列決定用プライマーは、シークエンサー(ABI3100)とPCR増幅器があれば、簡単なキット化が可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明により、迅速かつ簡便に結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法、並びに該方法において好適に用いることができるPCR用プライマーペアセット、塩基配列決定用プライマーセット、及び薬剤耐性結核の診断用試薬キットを提供することができる。本発明の薬剤耐性遺伝子を検出する方法は、結核の迅速薬剤感受性試験として、医療施設の細菌検査部門、保健所、地方衛生研究所、細菌検査センターなどで簡便に利用できる。
【0085】
【配列表】
【0086】
配列番号:1 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCC AGG ACGTGG AGG CGA TCA CAC CGC A−3’
【0087】
配列番号:2 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CGT CGC CGGCGT CGA TCG CCG CG−3’
【0088】
配列番号:3 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTG CCC GAGCAA CAC CCA CCC ATT ACA GAA AC−3’
【0089】
配列番号:4 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−TCA GCG CACGTC GAA CCT GTC GAG−3’
【0090】
配列番号:5 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACA TAC CTGCTG CGC AAT TC−3’
【0091】
配列番号:6 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GCA TAC GAATAC GCC GAG AT−3’
【0092】
配列番号:7 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACG CTG AAACTG CTG GCA AT−3’
【0093】
配列番号:8 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTG CAT ACCGAG CAG CAT AG−3’
【0094】
配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGC GTC ATGGAC CCT ATA TC−3’
【0095】
配列番号:10 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CAA CAG TTC ATC CCG GTT C−3’
【0096】
配列番号:11 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCA ACC ATC CAG CAG CTG GT−3’
【0097】
配列番号:12 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTC GAG AGC CCG CTT GAG GG−3’
【0098】
配列番号:13 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−AAA CCT CTT TCA CCA TCG AC−3’
【0099】
配列番号:14 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTA TCC ATT GAT GCT CGC AA−3’
【0100】
配列番号:15 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAT GAC AGA CAC GAC GTT GC−3’
【0101】
配列番号:16 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGG CTT CGG TGT ACC TCA T−3’
【0102】
配列番号:17 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’− TAC GGC GTT TCG ATG AAC−3’
【0103】
配列番号:18 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種列 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACG TAG ATC AGC CCC ATC TG−3’
【0104】
配列番号:19 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAG CCC GAT GAG GTC TAT TG−3’
【0105】
配列番号:20 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCG ATC TAT GAG CGG ATC AC−3’
【0106】
配列番号:21 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAA CAA ACC GAC GTG GAA TC−3’
【0107】
配列番号:22 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACA TAC CTG CTG CGC AAT TC−3’
【0108】
配列番号:23 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−ACG CTG AAA CTG CTG GCG AT−3’
【0109】
配列番号:24 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GTC ATC CTG ACC GTG GTG TT−3’
【0110】
配列番号:25 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGT GGG CAG GAT GAG GTA GT−3’
【0111】
配列番号:26 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CAC AAT CTT TTT CGC CCT GT−3’
【0112】
配列番号:27 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GCG TGG TAT CTC CTG CCT AAG−3’
【0113】
配列番号:28 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GGC GTC ATG GAC CCT ATA TC−3’
【0114】
配列番号:29 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CCA ACC ATC CAG CAG CTG GT−3’
【0115】
配列番号:30 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−CAG GTA AGG TTC TTC GCG TTG−3’
【0116】
配列番号:31 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’− GTT CGG ATC GGG GTC TGC AA −3’
【0117】
配列番号:32 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類 他の核酸 合成DNA 配列 5’−GAT GAC AGA CAC GAC GTT GC−3’
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、アガロースゲル電気泳動の結果得られた8種のPCR産物を示す図である。
【図2】図2は、薬剤耐性に関与する遺伝子の結核菌遺伝子上の位置を示す図である。
Claims (15)
- 結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域を直接塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 結核菌由来のDNAと、該結核菌に含まれる遺伝子であるrpoB、katG、mabA−inhA、embB、pncA、rpsL、rrs、及びgyrAからなる遺伝子群から選ばれる2種以上の遺伝子が有する2以上の特定領域に対応する、2種以上のPCR用プライマーペアとを用いて、該2以上の特定領域を1台のPCR増幅用機器によって一度にPCR増幅し、次いで、増幅した2以上の特定領域に含まれる2以上の標的領域に対応する2種以上の塩基配列決定用プライマーを用いて、該2以上の標的領域をシークエンス反応し、得られたシークエンス反応物を用いて1台の塩基配列決定用機器によって一度に塩基配列決定することにより、結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 前記2種以上のPCR用プライマーペアが、配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、並びに配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる2種以上のプライマーペアであることを特徴とする請求項1または2に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 前記2種以上のPCR用プライマーペアが、配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、並びに配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドペアであることを特徴とする請求項1または2に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 前記PCR増幅が、シャトルPCR増幅であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 前記2種以上の塩基配列決定用プライマーが、配列番号17の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号32の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる2種以上のプライマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 2種以上の塩基配列決定用プライマーが、配列番号17のオリゴヌクレオチド〜配列番号32のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる2種以上のオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 前記直接塩基配列決定を、ダイターミネーター法により行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の結核菌に含まれる薬剤耐性遺伝子を検出する方法。
- 配列番号1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号3のオリゴヌクレオチド及び配列番号4のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号5のオリゴヌクレオチド及び配列番号6のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号7のオリゴヌクレオチド及び配列番号8のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号9のオリゴヌクレオチド及び配列番号10のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号11のオリゴヌクレオチド及び配列番号12のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、配列番号13のオリゴヌクレオチド及び配列番号14のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペア、並びに配列番号15のオリゴヌクレオチド及び配列番号16のオリゴヌクレオチドよりなるオリゴヌクレオチドペアからなるオリゴヌクレオチドペア群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドペアであることを特徴とするPCR用プライマーペアセット。
- 配列番号1の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号2の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号3の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号4の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号5の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号6の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号7の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号8の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号9の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号10の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号11の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号12の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、配列番号13の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号14の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペア、並びに配列番号15の塩基配列を含有するプライマー及び配列番号16の塩基配列を含有するプライマーによるプライマーペアからなるプライマーペア群より選ばれる1種以上のプライマーペアであることを特徴とするPCR用プライマーペアセット。
- 配列番号1のオリゴヌクレオチド〜配列番号16のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドをプライマーとして有することを特徴とするPCR用プライマーペアセット。
- 配列番号1の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号16の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーを有することを特徴とするPCR用プライマーペアセット。
- 配列番号17のオリゴヌクレオチド〜配列番号32のオリゴヌクレオチドの16のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド群より選ばれる1種以上のオリゴヌクレオチドであることを特徴とする塩基配列決定用プライマーセット。
- 配列番号17の塩基配列を含有するプライマー〜配列番号32の塩基配列を含有するプライマーの16のプライマーからなるプライマー群より選ばれる1種以上のプライマーであることを特徴とする塩基配列決定用プライマーセット。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載のPCR用プライマーペアセットと請求項13または14に記載の塩基配列決定用プライマーセットとを有することを特徴とする薬剤耐性結核の診断用試薬キット。
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