JP5903312B2 - 管軸調整治具及びバット融着機 - Google Patents
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このバット融着機では、一対の管材をその端面同士が対向するようにクランプによって把持した状態で、管材の端面をヒータにより加熱溶融する。その後、クランプを移動させることで一対の管材の溶融した端面同士を互いに接触させることで、これら端面同士を融着させて管材同士を接合することとしている。
また、特に軸線のズレの許容幅が小さい小口径の管材を接続する場合には、より正確な軸線位置の調整が必要となる。ところが、上記手法では、管材の軸線位置の微調整が困難であるため、より多くの時間を要してしまう他、所定以上の精度を担保することが困難であった。
即ち、本発明に係る管軸調整治具は、端面同士が対向配置された一対の管材の軸線の相対位置を調整する管軸調整治具であって、前記管材の径方向外側に該管材と離間して配置される基部と、互いに交差して前記管材の径方向にそれぞれ延びる第一方向及び第二方向に前記管材の外周面を押圧可能な押圧面を有し、該押圧面が前記基部に対して前記第一方向及び前記第二方向に相対移動可能となるように前記基部に取り付けられた可動部と、該可動部における前記押圧面の前記基部に対する前記第一方向及び前記第二方向の相対位置を調整可能な調整部と、を備え、前記可動部は、前記基部に対して前記第一方向に相対移動可能に取り付けられた第一スライド部と、該第一スライド部に形成された凹部内に配置されて、該第一スライド部に対して前記第二方向に相対移動可能に取付用ネジによって取り付けられるとともに前記押圧面が形成された第二スライド部と、を有し、前記調整部は、前記第一スライド部の前記基部に対する前記第一方向の相対位置を調整する第一調整部材と、前記第二スライド部の前記第一スライド部に対する前記第二方向の相対位置を調整する第二調整部材と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、第一調整部材により第一スライド部の基部に対する第一方向の相対位置を調整することで、該第一スライド部に取り付けられた第二スライド部における押圧面の第一方向の位置を調整することができる。
また、第二調整部材により第二スライド部の第一スライド部に対する第二方向の相対位置を調整することで、該第二スライド部の押圧面の第二方向の位置を調整することができる。
即ち、第一スライド部及び第二スライド部の位置を調整することで押圧面の基部に対する相対位置を調整することができるため、管材の軸線を第一方向及び第二方向に任意に変位させることができる。
次に本発明の管軸調整治具及びこれを備えたバット融着機の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すバット融着機100は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂からなる一対の管材(以下、第一管材1及び第二管材2と称する)の端面1b,2b同士を加熱融着して接合する装置である。このバット融着機100は、第一管材1及び第二管材2を支持するクランプ部10と、これら第一管材1及び第二管材2の端面1b,2bを加熱溶融させる加熱部13と、第一管材1の軸線位置を調整する一対の管軸調整治具20A,20Bと、これら管軸調整治具20A,20Bを固定するための支持部15と、を備えている。
次に管軸調整治具20A,20Bの構成について説明する。管軸調整治具20A,20Bは、図1から図4に示すように、第一管材1の軸線O1を両側から挟み込むように該第一管材1の径方向(以下、単に径方向と称する。)外側に一対が設けられている。本実施形態では、管軸調整治具20A,20Bは第一管材1の上下に一対が設けられており、上方に設けられた一方の管軸調整治具20Aは支持部15における第一支持部材16に固定されており、下方に設けられた他方の管軸調整治具20Bは支持部15における第二支持部材17に固定されている。
さらに、互いに交差して第一管材1の径方向に延びる2方向をそれぞれ第一方向D1、第二方向D2と称する。本実施形態では、第一方向D1が、第一管材1の軸線O1に直交する水平方向とされており、第二方向D2は、第一管材1の軸線O1に直交し、かつ、第一方向D1に直交する方向、即ち、一対の管軸調整治具20A,20Bの対向方向である上下方向とされている。
さらに、基部30における第二方向D2に沿う径方向の内側を向く面は、図3及び図4に示すように、第一方向D1に向かって平坦状に延在する基部ガイド面36とされている。
本実施形態の可動部40は、基部30に対して第一方向D1に相対移動可能に取り付けられた第一スライド部50と、押圧面61が形成されるとともに第一スライド部50に対して第二方向D2に相対移動可能に取り付けられた第二スライド部60とを有している。
第二スライド部60の背面側を向く面は、図4に示すように、軸線O1に直交する平坦状をなす第二裏面62とされている。また、第二スライド部60における第一方向D1両側を向く一対の面は、それぞれ第二方向D2に延在する第二被ガイド面63とされている。
第二スライド部60が凹部54内に配置された状態では、第二裏面62が摺動面55に対して摺動可能に当接し、第二被ガイド面63が第一ガイド面56に対して摺動可能に当接する。これによって、第二スライド部60は、凹部54内において第二方向D2に向かって第一スライド部50に対して相対移動可能とされている。
この第二取付孔64には、正面側から背面側に向かってそれぞれ第二取付用ネジ65が挿通されており、該第二取付用ネジ65の先端は、凹部54における摺動面55に形成された雌ネジ孔(図示省略)に螺合されている。これによって、第二スライド部60は、基部30に対する第二方向D2の相対移動を第二取付孔64の延在範囲で許容されながら第一スライド部50に一体に取り付けられており、即ち、第二スライド部60は第一スライド部50に対して第二方向D2に相対移動可能に取り付けられている。
第一調整部材71は、第一スライド部50の基部30に対する第一方向D1の相対位置を調整する部材である。この第一調整部材71は、基部30に固定される第一ブロック72と、該第一ブロック72に取り付けられた第一調整ネジ74とを有している。
これによって、第一調整ネジ74を回転させると、該第一調整ネジ74の第一雄ネジ部75を介して接続された第一スライド部50が、該第一雄ネジ部75及び第一雌ネジ部57のピッチに従って基部30に対して第一方向D1に相対移動する。
これによって、第二調整ネジ84を回転させると、該第二調整ネジ84の第二雄ネジ部85を介して接続された第二スライド部60が、該第二雄ネジ部85及び第二雌ネジ部のピッチに従って第一スライド部50に対して第二方向D2に相対移動する。
まず図1に示すように、クランプ部10の第一クランプ11によって第一管材1を把持するとともに第二クランプ12によって第二管材2を把持し、これら第一管材1及び第二管材2の端面1b,2bを対向配置させる。この段階では、第一管材1及び第二管材2の端面1b,2b同士は互いに離間している。また、このように第一クランプ11によって第一管材1が把持された状態では、第一管材1の外周面1aが一対の管軸調整治具20A,20Bの押圧面61に対向するようにして、これら押圧面61の間を挿通している。
具体的には、第一管材1の端面1aと第二管材2の端面2aとを突合せ、第一管材1及び第二管材2の軸線O1,О2のズレ量を測定し、当該ズレ量に応じて第一管材1の軸線O1が第二管材2の軸線О2に一致するように、第一管材1を変位させる。
例えば第一管材1を第一方向D1に変位させる際には、図5(a)に示すように、調整部70のうち第一調整部材71を操作することによって、即ち、第一調整部材71における第一調整ネジ74を回転させることによって、基部30に対する第一スライド部50の第一方向D1の相対位置を調整する。これによって、第一スライド部50の第一方向D1の基部30に対する相対位置が変化すると、該第一スライド部50に取り付けられた第二スライド部60も第一方向D1に移動し、その結果、第二スライド部60の押圧面61を介して第一管材1の外周面1aに第一方向D1に向かっての押圧力が付与される。これによって、第一スライド部50の第一方向D1の変位に応じて第一管材1を第一方向D1に移動させることができ、第一管材1の軸線位置を第一方向D1に任意に調整することができる。
また、第一管材1が扁平な場合には、一対の管軸調整治具20A,20Bの押圧面61がそれぞれ径方向内側に移動するように調整部70の第二調整部材81を操作して、円弧面状をなす一対の押圧面61で第一管材1を挟み込むことによって、該第一管材1の軸線О1に直交する断面形状を真円に近づける。
したがって、本実施形態のバット融着機100では、第一管材1及び第二管材2を加熱融着する前にこれら第一管材1及び第二管材2の軸線О1,О2を容易に一致させることができるため、これら第一管材1及び第二管材2を適切に接続することができる。
さらに、第一管材1の軸線О1を挟んだ反対側から一対の管軸調整治具20A,20Bの各押圧面61によって第一管材1を押圧することで、第一管材1の扁平をより確実に是正することができる。
例えば実施形態では、バット融着機100が一対の管軸調整治具20A,20Bを備えるものとして説明したが、バット融着機100に一の管軸調整治具20Aのみを設けた構成であってもよい。これによっても実施形態同様、第一管材1の軸線位置を容易かつ正確に調整することができる。
Claims (4)
- 端面同士が対向配置された一対の管材の軸線の相対位置を調整する管軸調整治具であって、
前記管材の径方向外側に該管材と離間して配置される基部と、
互いに交差して前記管材の径方向にそれぞれ延びる第一方向及び第二方向に前記管材の外周面を押圧可能な押圧面を有し、該押圧面が前記基部に対して前記第一方向及び前記第二方向に相対移動可能となるように前記基部に取り付けられた可動部と、
該可動部における前記押圧面の前記基部に対する前記第一方向及び前記第二方向の相対位置を調整可能な調整部と、を備え、
前記可動部は、
前記基部に対して前記第一方向に相対移動可能に取り付けられた第一スライド部と、
該第一スライド部に形成された凹部内に配置されて、該第一スライド部に対して前記第二方向に相対移動可能に取付用ネジによって取り付けられるとともに前記押圧面が形成された第二スライド部と、を有し、
前記調整部は、
前記第一スライド部の前記基部に対する前記第一方向の相対位置を調整する第一調整部材と、
前記第二スライド部の前記第一スライド部に対する前記第二方向の相対位置を調整する第二調整部材と、を有することを特徴とする管軸調整治具。 - 前記押圧面が、前記管材の外周面に該管材の周方向にわたって当接可能な円弧面状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の管軸調整治具。
- 一対の管材を端面同士を互いに対向させてこれら管材を近接可能に支持する一対のクランプ部と、
前記一対の管材の端面を加熱溶融させる加熱部と、
請求項1又は2のいずれか一項に記載の管軸調整治具と、を備えることを特徴とするバット融着機。 - 前記管軸調整治具を一対備え、
これら管軸調整治具の前記押圧面が、前記管材の軸線を挟んで反対側から該管材の外周面を押圧可能とされていることを特徴とする請求項3に記載のバット融着機。
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