JP2017177494A - 管状端を有する樹脂成形品の溶着機と樹脂成形品用管状端の切断機 - Google Patents

管状端を有する樹脂成形品の溶着機と樹脂成形品用管状端の切断機 Download PDF

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Abstract

【課題】全体として簡素な構成でありながら、複数対からなる樹脂成形品の管状端同士のすべてを、その形状を高精度に保持しながら同時的かつ高品質に溶着接合させることを可能とし、また、固定治具や切断機、溶着機の利便性・汎用性、さらに溶着工程の作業性も大幅に向上させ、もって管状端を有する樹脂成形品の高い生産性を実現した溶着機と樹脂成形品用管状端の切断機を提供することにある。【解決手段】管状端同士を溶融させた状態で接合する溶着機であって、溶着機本体には、一対の治具固定用ステージと、治具固定用ステージにそれぞれ着脱可能に固定できるワーク固定治具と、治具固定用ステージの何れか一方又は双方の位置を調整するための位置調整機構を備えると共に、ワーク固定治具に固定保持可能な一対の樹脂成形品は複数の管状端を有し、この複数の管状端同士を位置調整機構により位置合わせを行うようにした樹脂成形品の溶着機である。【選択図】 図1

Description

本発明は、一対の樹脂成型品の管状端を加熱溶融してこれを突き合わせて溶着する溶着機と樹脂成形品用管状端の切断機に関し、特に、複数箇所から成る管状端の各端部を、同時かつ均一に溶融させて溶着接合可能とした溶着機と樹脂成形品用管状端の切断機に関する。
一般的に、半導体産業、薬品、医療器具や、食品、バイオテクノロジー、化学工業などの分野において使用される熱可塑性の樹脂成型品には、所定の耐熱性・耐久性のほか、耐薬品性、さらに高いクリーン度などが要求される。そして、これに最適な成型品の一つとして、PFA(パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)などからなる各種のフッ素樹脂製成形品がある。特に、PFA製チューブは、半導体製造分野の製造ラインに用いられるパイプとして、従来から広く採用されている。
この種の樹脂成形品の製造方法、特にチューブ管状端部の接合方法として、加熱溶融による端部の突き合わせ溶着がある。この溶着方法は、非接触型のヒータを用い、このヒータで樹脂成形品の端部を加熱溶融させ、適切な溶融状態となった後、溶融した端部同士を突き合わせ、所定の圧力で押し付けるなどして溶着するもので、一般に広く実施されている。従来、この種の溶着技術に関し、例えば特許文献1、2が提案されている。
特許文献1は、所定の工程を経てチューブ管状端同士を溶着させることにより、溶着接合部のチューブ内周側に発生し易い溶融ビードの発生を適切に防ぎ、これにより、チューブを使用した際の溶融ビードにおけるパーティクル・雑菌の堆積や、マイクロバブルの発生などを防ぐと共に、肉厚や応力などの必要な特性を確保できるようにした溶着方法が示されている。
特許文献2は、非接触型の板状溶融ヒータに関するものであり、電極部などを適切に構成して端面形状に最適な温度分布を発生させるようにしたことで、発熱面からの放熱の均一性を高めて環状ワークの端面を均等に溶融可能とし、これにより、高精度な溶着箇所の接合を実現すると共に、溶融ビードの発生を防止し、しかも耐熱性を確保しつつ全体をコンパクトに軽量化した溶融ヒータが示されている。
また、この種の樹脂成形品(チューブ)の溶着においては、溶着後の同軸度や同芯度の精度を向上するため、一対のチューブ管状端同士の突き合わせの際、通常は両者の正確な位置調整作業が必要となる。この位置調整作業は、従来は主に簡単な手作業で行われており、例えば、チューブ対の突き合わせ作業前に、あらかじめチューブ端面同士を仮密着させることによる位置確認が行われ、この際に位置ずれが生じていた場合は、固定具(クランプ)を一時的に解除してチューブを外し、再度チューブの位置調整を行った後にチューブを固定することで、端面の位置ずれを解消していた。これは、この種のチューブにはそもそもそれ自体寸法精度が高いものが採用されることが多かったことから、位置確認作業としては、このような簡単な手作業で足りることが通常であったためである。
なお、機械的な手段による管端の位置調整機構に関しては、例えば、特許文献3も提案されている。同文献の治具は、一対の対向配置されたポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂製管材の端面同士を溶着などする際に、これらの管材の軸線の相対位置を調整する管軸調整治具があり、所定構造の採用により、少なくとも配置された管軸に垂直な2方向に相対位置を微調整可能となっている。
特許第3910567号公報 特許第5603225号公報 特開2013−208739号公報
しかしながら、上記従来技術では専ら1本ずつのチューブ対の溶着に使用されていたが、ヒータの有効面積を利用し、例えば4本など、複数本のチューブが突き出した状態でこれらを同時に溶着したいとする要望があった。そして、複数箇所の端部(複数本のチューブ)を同時に突き合わせて溶着しようとする際においても、高精度な端面の位置調整が不可欠となる。この場合、複数対のチューブが同時に溶着されることになるから、すべてのチューブの位置調整を適切に行わなければならない。
これに対し、すべてのチューブ1本ずつの位置を同時かつ正確に手作業で揃えようとした場合、極めて困難な作業であって実行性がなく、しかも作業ごとに仕上がり精度が不安定となりやすく製品の品質も確保し難い。また、チューブ1本ずつを別個にそれぞれ手作業で揃えて溶着しようとした場合であっても、少なくとも煩雑な作業となり作業性は極めて悪く、特に狭い領域にチューブが密集して多数本突き出していたり、チューブの形状が複雑で取り回しが困難な場合などは、このような作業は実質的に不可能である。
さらに、溶着する樹脂成形品が、溶着前に予め湾曲部などを有する所定形状を呈している場合、溶着後において、この所定形状が変化して所定の寸法精度が維持されなくなるという問題があった。すなわち、上記のような加熱溶着の場合、成形品全体の内、少なくとも溶着箇所である一部が熱塑性変形で溶融するものであり、厳密には、この一部の溶融による膨張・収縮などにより、溶着箇所以外の部位の形状にも歪みや反り返りなどの影響が必ず生じる。このため正確・高精度な寸法形状が要求される成形品の場合、この形状の歪みなどの影響が無視できない程大きくなり要求精度を満たさなくなってしまう場合があった。
上記のような溶着後に高精度な寸法形状が要求される成形品として、例えば図1などに示したような、PFA製のU字形チューブがある。このU字形チューブは、金属製の切削加工された製品などに比べると成形時の収縮等によって大きな歪みが発生する可能性があり、また、予め熱アニール処理などによる熱処理曲げ加工を行っているために、正確な寸法形状を狙って作成することが困難であることから、溶着前に既にある程度歪みや反り返りを有している場合が多い。しかも、このU字形チューブは、湾曲形状を呈したチューブが狭い領域内で複数本突き出していることから、溶着の際、直線状チューブを一本ずつ溶着する場合のように、回転させたり固定しなおすことで位置ずれを修正することは極めて困難である。
また、従来技術のように1本のチューブ対を溶着する際、1枚の溶融ヒータには直接ワークの溶融に供されない余剰な発熱領域が残存しているような場合があったことから、複数箇所の成形品の各端部が溶融ヒータに向けて突き出るように溶着機に備え、これらが溶融ヒータに残存している発熱領域を余すことなくできる限り発熱面に曝されるようにして同時溶着を可能とすることにより、溶融ヒータの有効面積を最大限活用して熱効率を上げると共に、作業性や製品の生産性も向上させることができ、極めて有益である。
これに対し特許文献1〜3は、上記の通りあくまで一対のチューブ管状端同士の溶着に関するものであると共に、樹脂成形品の端部、具体的にはチューブ端面付近同士を固定して互いに近づけて密着させるものに過ぎない。さらに、特許文献3に示される類の治具に関しては、構造が過度に複雑であることから、少なくとも生産性や使用性の面で難点を有している。したがって、特許文献1〜3を参照しても上記課題の解決は不可能である。また、上記課題に関連した先行技術は、未だ提案されていない。
そこで、本発明は上記問題点を解決するために開発されたものであり、その目的とするところは、全体として簡素な構成でありながら、複数対からなる樹脂成形品の管状端同士のすべてを、その形状を高精度に保持しながら同時的かつ高品質に溶着接合させることを可能とし、また、固定治具や切断機、溶着機の利便性・汎用性、さらに溶着工程の作業性も大幅に向上させ、もって複数の管状端を有する一対の樹脂成形品の高い生産性を実現した溶着機と樹脂成形品用管状端の切断機を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、管状端同士を溶融させた状態で接合する溶着機であって、溶着機本体には、一対の治具固定用ステージと、治具固定用ステージにそれぞれ着脱可能に固定できるワーク固定治具と、治具固定用ステージの何れか一方又は双方の位置を調整するための位置調整機構を備えると共に、ワーク固定治具に固定保持可能な一対の樹脂成形品は複数の管状端を有し、この複数の管状端同士を位置調整機構により位置合わせを行うようにしたことを特徴とする樹脂成形品の溶着機である。
請求項2に係る発明は、位置調整機構は、一方側の治具固定用ステージを少なくともX方向、Z方向とθ方向に位置調整可能に設け、他方側の治具固定用ステージを進退可能に設けた溶着機である。
請求項3に係る発明は、ワーク固定治具は、位置決め機構を介してそれぞれの治具固定用ステージに着脱自在に設けられた溶着機である。
請求項4に係る発明は、位置決め機構は、治具固定用ステージに設けられた固定治具の外枠を係合させる係合枠体又はピンとピン穴の挿し込み構造より成る溶着機である。
請求項5に係る発明は、ワーク固定治具には固定ブロックが着脱自在に設けられ、複数の管状端同士が接合された状態で固定ブロックがワーク固定治具より取り外し可能に設けられた溶着機である。
請求項6に係る発明は、溶着機本体に構成された位置決め機構と同一の位置決め寸法を備えた位置決め構造が設けられ、ワーク固定治具が位置決め構造で固定された状態で複数の管状端を同時に切断可能とした樹脂成形品用管状端の切断機である。
請求項1に記載の発明によると、溶着機本体は、一対の治具固定用ステージと、この治具固定用ステージにそれぞれ着脱可能に固定できるワーク固定治具を備えているから、ワークの固定を、溶着機本体でなく、これと別体のワーク固定治具において行えるばかりか、ワーク固定治具を単品で取り扱うことができるから、ワークや溶着機、溶着工程などに応じて、このワーク固定治具を適宜準備して使用できる。しかも、溶着作業前に予めワークをワーク固定治具に固定しておくなど、溶着作業の幅も広がる。よって、溶着作業の作業性を大幅に高めることができ、もってワーク成形品の生産性が大幅に向上すると共に、ワーク固定治具、延いては溶着機のメンテナンス性や生産性、或は取扱い性や改良性も極めて高いものとなる。
また、溶着機本体は、一対の治具固定用ステージの何れか一方又は双方の位置を調整するための位置調整機構を備え、ワーク固定治具に固定保持された複数の管状端を有する一対の樹脂成形品の環状端同士を、この位置調整機構により位置合わせを行うようにしたから、溶着の際に環状端同士を高精度に調芯ないしは位置調整可能となる。よって、環状端同士の位置ずれが適切に防止され、多点溶着接合の品質が損なわれることがない。
請求項2に記載の発明によると、位置調整機構は、一方側の治具固定用ステージを少なくともX方向、Z方向とθ方向に位置調整可能に設け、他方側の治具固定用ステージを進退可能に設けたから、最小限の自由度、すなわち必要最低限で簡易に位置調整機構を構成しつつ、溶着の際の環状端同士の位置調整を、極めて高精度に行うことが可能となる。よって、簡易な構成でありながら多点溶着接合の高い品質を担保できる。
請求項3に記載の発明によると、ワーク固定治具は、位置決め機構を介してそれぞれの治具固定用ステージに着脱自在に設けられているから、ワーク固定治具或は溶着機本体のの種類や型式などに拘わらず、治具固定用ステージ上においてワーク固定治具の少なくとも大まかな位置決めが可能となり、溶着接合の作業の容易化と高品質性を確保できる。
請求項4に記載の発明によると、位置決め機構は、治具固定用ステージに設けられた固定治具の外枠を係合させる係合枠体又はピンとピン穴の挿し込み構造より成るから、極めて簡易な構成で、高い位置固定機能を有する位置決め機構を治具固定用ステージに設けることができる。
請求項5に記載の発明によると、ワーク固定治具には固定ブロックが着脱自在に設けられたから、簡易な構成でありながら高い固定性と取扱い性を備えたワーク固定治具を構成できる。また、複数の管状端同士が接合された状態で固定ブロックがワーク固定治具より取り外し可能に設けられたから、溶着接合後のワークの取り外しを容易かつ丁寧に行うことができ、よって、作業性が向上すると共に溶着後のワーク成形品の損傷を防ぐことができる。
請求項6に記載の発明によると、位置決め構造が切断機本体に設けられたから、高精度に切断面を揃えることができ、溶着接合の品質を高めることができる。また、治具固定用ステージの位置決め機構と同一の位置決め寸法を備えているから、ワーク固定治具からワークを取り外すことなく、溶着機本体の治具固定用ステージと共通してワーク固定治具をそのまま切断機に装着可能となる。また、ワーク固定治具が位置決め構造で固定された状態で複数の管状端を同時に切断可能としたから、一つのワーク固定治具の切断作業を一度の切断で行うことができる。よって、多点溶着工程の作業効率が大幅に高まる。
樹脂成形品の一例の斜視図であり、(a)はUチューブとボディーを溶着接合前の状態を、(b)は溶着接合後の状態をそれぞれ模式的に示している。 本発明の溶着機本体を示した概略平面図である。 本発明の溶着機本体を示した概略側面図である。 図3に示した樹脂成形品を多点溶融用溶融ヒータを用いて溶着機で溶着接合する際の状態を示しており、(a)は概略平面図、(b)は概略側面図である。 Uチューブを一方の本発明のワーク固定治具に取り付ける状態を示した斜視図である。 Uチューブを一方の本発明のワーク固定治具に取り付ける状態を示した斜視図である。 Uチューブを一方の本発明のワーク固定治具に取り付ける状態を示した斜視図である。 図7の縦断面図である。 ボデーを他方の本発明のワーク固定治具に取り付ける状態を示した斜視図である。 本発明の治具固定用ステージにワーク固定治具の双方を固定する状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の治具固定用ステージにワーク固定治具の双方を固定する状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の治具固定用ステージにワーク固定治具の双方を固定する状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の位置調整機構を正面側から示した要部拡大斜視図である。 本発明の位置調整機構を背面側から示した要部拡大斜視図である。 (a)は本発明の溶着機本体に用いる多点溶融用ヒータの取り付け状態を示した概略正面図であり、(b)は(a)の概略右側面図である。 図15に示した多点溶融用ヒータにおける熱伝導作用を示した模式図である。 本発明の溶着機本体により溶着接合する際の状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の溶着機本体により溶着接合した後の状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の溶着機による溶着接合後、この溶着機からワーク固定治具を取り外す際の状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の溶着機による溶着接合後、この溶着機からワーク固定治具を取り外す際の状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の溶着機による溶着接合後、この溶着機からワーク固定治具を取り外す際の状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の溶着機による溶着接合後、この溶着機からワーク固定治具を取り外す際の状態を示した要部拡大斜視図である。 本発明の切断機にワーク固定治具を取り付ける状態を示した斜視図である。 本発明の切断機にワーク固定治具を取り付けた状態を示した斜視図である。 本発明の切断機でワーク固定治具の成形品の端部を切断する際の状態を示した要部拡大斜視図である。 (a)は片刃状の刃物で、(b)は両刃状の刃物で、それぞれワークを切断した状態を模式的に示した模式図である。
図1(a)は、本発明の溶着機本体9を用いて、後述の図15に示す多点溶融用ヒータ(以下、「溶融ヒータ」という。)により溶融される樹脂成形品の一例を示している。本発明の対象とする一対の樹脂成形品は、複数(少なくとも2つ)の管状(環状)端をそれぞれ有しており、本例では流量計を構成する一対のボデー5とUチューブ6である。2本のUチューブ6は、円弧状の湾曲部7と、4本の管状端6aを有し、ボデー5も4本の管状端5aを有する。
同図に示す4本の管状端は、チューブ径が約Φ4.8mm、各チューブの配列距離(ピッチ)は約36mm×12mmであり、溶融の際は適切な加熱状態となったヒータプレート1の発熱面から約1mm程度の距離に近接されて適切な溶融代が溶融される。
コリオリ式流量計(以下、「流量計」という。)は、圧力や温度などの外部環境で変動する体積でなく、正確な物質量に対応する質量で流体を計量可能であると共に、可動部を持たないことから、摩耗、腐食、浸食の影響がなく、洗浄などのメンテナンスや再校正を頻繁に行う必要もない。また、1台の流量計で、質量のほか、体積、密度も、それぞれ高精度に計量可能であり、近年は、さまざまな流体、流量、使用状況などに応じた流量計がリリースされている。このため、さまざまな流体を扱う多くのユーザに採用されており、正確な物質量の計量が必須であることから医薬品業界や半導体業界における流体計量、或は、障害物がなく特に高粘性流体の計量に適していることから石油化学プラントの各種モノマーや食品プロセスの高粘度流体における流体計量などで用いられてきている。
上記流量計の基本原理は、センサチューブ(フローチューブ)の流体の流れ方向(平面方向)の垂直方向に所定の振動数で加振し、この振動位相が、同様に流れ方向に垂直方向に流体に作用しているコリオリ力によって乱され、この乱れにより生じる位相差を検出し、この位相差に基づいて流体の質量流量を計測する流量計であり、このセンサチューブは、湾曲タイプと直管タイプに大別される。湾曲タイプでは、外部振動の影響を取り除くため、2本のUチューブなどの湾曲チューブをペアリングして反対位相の振動を加振するタイプが典型的である。センサチューブがUチューブの場合、このU字形状の2つの脚の間で逆方向のコリオリ力が作用してチューブに捩れが発生し、この捩れ角度を計測することで質量流量が計測される。
図1(a)に示した流量計は、上記のような並列2本の湾曲チューブを有するタイプであり、湾曲部7を有するUチューブ6が、湾曲したセンサチューブの一部を構成している。図1(b)に示したように、Uチューブ6が2本並列されているから、その管状端6aは4箇所であり、溶着箇所は4点となる。この4点に対応して、ボデー5にも、管状端6aと溶着機本体9で溶着接合される管状端5aが4箇所ある。よって、溶融接合部8が4点となっている。これらの管状端5aは、角柱形状の付根部5bを介してボデー5内の流路に連通している。なおボデー5は、センサチューブであるUチューブ6に測定対象流体の流出入を媒介する部材であり、その内部の流路などは図示していないが、例えば、入口側及び出口側で流体が分岐・合流するタイプや、1本の管を周回させることにより事実上並列2本のUチューブを構成するループタイプなどがあるが特に制限はない。
上記のように、Uチューブ6は、2本の並列管を振動管として鏡像的に対向振動させることから、少なくとも振動の面対称性が重要であるほか、感度を良好なものとするため、圧損や抵抗などが少なく、かつ撓み易い必要もある。このため、2本のUチューブ6(センサチューブ)は、少なくとも、互いに肉厚や内外径、湾曲の度合い、長さ、平面性などの各幾何学的寸法精度を高精度に一致させなければならない。
なお、溶融ヒータに使用できる樹脂成形品としては、このような流量計に限られないことは言うまでもなく、後述のワーク固定治具、治具固定用ステージ、並びに溶融ヒータなどを樹脂成形品に応じて適切に構成することで、一対から成る樹脂成形品が複数の管状端を有する任意の場合、具体的にはこれらの管状端が、PFA、変性PTFEなどの熱可塑性を有するフッ素樹脂から成る複数本のチューブやパイプのような場合であっても使用可能(多点同時溶融接合可能)である。さらに、このような管状端は熱可塑性を有する樹脂であればフッ素樹脂以外でもよく、例えば、塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチロール、ABS、ポリカーボネート、ポリエチレン、超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ブチレート、アセテート、ポリアミド、ポリアセタール、AS、フッ化ビニリデンなどの樹脂材料により形成するようにしてもよい。
図2は、溶着機本体9の概略平面図であり、図3は、溶着機本体9の概略側面図である。本発明の溶着機は、上述の溶融ヒータを搭載し、複数の樹脂成形品を同時に溶融した状態で一対から成る複数の樹脂成形品の管状端を同時に接合可能である。なお、溶融接合する樹脂成形品として、図1に示したボデー5とUチューブ6を例に説明する。
図2、3において、溶着機本体9は、移動機構10、この移動機構10に対向するスライド機構11、ボデー5及びUチューブ6をそれぞれ固定保持した一対のワーク固定治具12及び13、ストッパ14、退避機構15、制御機構16を有している。移動機構10は、ボールネジ17、モータ18を備え、モータ18により回転するボールネジ17を介して、棒状のガイド部19に沿って前進或は後退可能に取付けられている。また、溶着機本体9は、一対の治具固定用ステージ20及び21を備え、この治具固定用ステージ20及び21に、後述する図7、9に示したワーク固定治具12及び13がそれぞれ着脱可能に備えられている。また、治具固定用ステージ20には、ワーク固定治具12の位置を3軸調整するための位置調整機構55を備えている。なお、ストッパ14は、治具固定用ステージ20及び21を前進或は後退させた状態で任意の位置で締め付け可能であり、このストッパ14を緩めることでワーク固定治具12及び13同士の間隔を調整し、締め付けることで溶着作業時にワーク固定治具12及び13を所定位置に固定することができる。
退避機構15は、ハンドル23、ヒータ取付け部24を有し、このヒータ取付け部24に前述した溶融ヒータ(ヒータプレート1)を取付け可能になっている。退避機構15は、ガイド部19に対して横移動並びに枢着回転可能に取付けられ、ガイド部19を介して定位置に設置された状態で微調整でき、ガイド部19を介して任意の位置まで横移動させ、ハンドル23を手動で操作回転することでワーク固定治具12及び13にそれぞれ取り付けられた左右のボデー5(管状端5a)、Uチューブ6(管状端6a)の間に溶融ヒータを持ち上げて配置し、或は、このボデー5、Uチューブ6の間から溶融ヒータを退避させて溶着機本体9に形成された図示しない収納ボックスに収納可能になっている。
図示していないが、退避機構15は、自動操作機構により回転操作することもできる。制御機構16は、工程歩進スイッチ25、操作パネル26を有している。制御機構16は、工程歩進スイッチ25のオンにより動作可能となり、操作パネル26を介して移動機構10の動作を制御したり、溶融ヒータの加熱を制御してボデー5、Uチューブ6を溶融させて溶着することが可能になっている。上記した溶着機本体9は、あくまでも例であって、溶融ヒータを所定温度まで加熱して樹脂成形品を溶着可能な構造を有していれば、突き合わせ溶着機以外のあらゆる溶着機を用いることが可能である。
図4は、図1に示したボデー5とUチューブ6を、溶融ヒータ(ヒータプレート1)を用いて溶着機本体9で溶着する際の状態を模式的に示している。同図に示すように、ボデー5の4箇所の管状端5aと、Uチューブ6の4箇所の管状端6a同士が、所定の加熱状態のヒータプレート1に所定の間隙を介して非接触に近接して溶融され、所定の工程を経て多点溶着接合される。
図5〜7は、ワーク固定治具12に、2本のUチューブ6側を固定した様子を示した斜視図である。本発明のワーク固定治具は、複数の管状端を有する樹脂成形品を固定するものであり、これらの複数の管状端を、溶着すべき規定の位置にて保持できるよう、樹脂成形品に合わせた形状にて設計される。本例のワーク固定治具12は、加工された3枚のプレート28、32、37を重ねてボルト27で固定したスロット部材であり、これに固定ブロック39が着脱自在に設けられる。上側のスロットプレート28は、U字状の開口部29が形成され、開口部29に沿って切欠部30が形成され、切欠部30に沿って段部面31が形成されている。下側のスロットプレート32は、側面部に係止部33aを有する凸部33が設けられ、図面正面側に凹状に切り欠かれた係止部34が設けられていると共に、U字状の段部面35を有する凹部面36が形成されている。スロットプレート28と32に挟み込まれるプレート37にも、開口部29と同形状の開口部38が形成されている。
図6は、固定ブロック39の斜視図であり、図8は、固定ブロック39をワーク固定治具12に取付けた状態を示した斜視図(図7)の縦断面図である。本例の固定ブロック39は、ノブ体40とブロック体41からなる。
図8に示すように、ノブ体40の内周面にはめねじ部42が設けられている。磁性部材43は、環状凸部44と、環状凸部44に一体的に延設された雄ねじ部45を有する。ブロック体41には、中央部に形成された穴部46と、ブロック体41の底面側に開口して穴部46と連通した拡径空間部47が形成されており、また、ワーク固定治具12の厚みに適合した厚みであって、スロットプレート28とプレート37に設けられた開口部29、38及びUチューブ6の各形状に適合した断面U字形状の側面部48が形成されている。また、ブロック体41の底面正面側には、スロットプレート32の正面側に設けられた係止部34の形状に適合する係止部49が形成されている。
同図に示すように、磁性部材43の環状凸部44は、空隙Gを空けてブロック体41の拡径空間部47に嵌合していると共に、雄ねじ部45はブロック体41の穴部46を挿通してブロック体41の上面側で調整ナット50と共にノブ体40のめねじ部42に螺着している。また、磁性部材43は、スロットプレート32の凹部面36と磁力で吸着可能となっている。磁性部材43の環状凸部44は拡径空間部47に嵌合しながら空隙Gの範囲で上下動可能であることから、調整ナット50によって磁性部材43底面の凹部面36からの高さを調整することにより、ブロック体41とスロットプレート32との間の磁力による吸着力を調整可能となっている。例えば調整ナット50の締付け位置を雄ねじ部45の深い位置にしておき、ブロック体41底面を凹部面36に密着させた際に、磁性部材43底面が凹部面36からある程度浮いた状態となるようにした場合、その浮いた高さに応じて磁力による吸着力が弱まる。
図5〜7に示すように、4本のUチューブ6をワーク固定治具12に固定する場合、先ず、Uチューブ6の湾曲部7を、断面コ字状のスロット(溝)に嵌合させる。図5に示すように、この断面コ字状のスロットは、図面上側のUチューブ6用として、切欠部30と段部面31とプレート37の上面から構成され、図面下側のUチューブ6用として、段部面35と凹部面36とプレート37の下面から構成されている。これらのスロット形状は、製品として完成後のUチューブ6に要求される形状に高精度に適合した形状となっている。
図6に示すように、湾曲部7をスロットに適切に嵌合させて2本のUチューブ6を取り付け、各管状端6aをワーク固定治具12から突出させた状態で、固定ブロック39を取り付ける。このように、Uチューブ6は、ワーク固定治具12のスロットに嵌め込んで固定ブロック39を磁力でプレート32に乗せるように貼り付けるだけで、簡単に治具に固定できる。
また、図7、8に示す固定ブロック39を取り付けた状態では、ブロック体41の側面部48は、Uチューブ6(湾曲部7)の内周側、或は開口部29、38の形状と高精度に適合している。よって、固定ブロック39の取り付け状態では、2本のUチューブ6は共に、上下左右の4面から形状を理想的な仕上がり形状に沿った寸法形状で拘束・挟持された矯正状態となる。このため、溶着工程において管状端6aが溶融されても、この熱処理に伴って生じやすい内側や捩れ方向への反り返りや曲がりなどの形状変形を効果的に防止しつつ固定保持できる。
よって、上記流量計のフローチューブなど、樹脂成形品の特性から、加熱溶融の前後で形状(特に湾曲部7の形状)を高精度に維持しなければならない場合であっても、適切で高品質な多点溶着接合が可能となる。また、固定ブロック39の取り付け状態において、ブロック体41の穴部46と、この穴部46が対向する磁性部材43(の環状凸部44上部に延設された雄ねじ部45)との間に、所定のガタツキが生じるように設計しておくことで、ノブ体40を掴んでブロック体41を吸着している凹部面36から引き剥がす際、磁性部材43が引き上げられても、このガタツキにより磁性部材43からブロック体41への作用・衝突が緩和され、よって、磁力から解放された際の反動が直接ブロック体41に伝わりにくくなり、ブロック体41がUチューブ6に無理な力で衝突してUチューブ6が損傷してしまう現象が起きにくくなるため、好適である。
図9は、ワーク固定治具13に、ボデー5側を固定する様子を示した斜視図である。本例のワーク固定治具13は、矩形平面状の底面プレート51の端面に2つのコ字状の嵌合部52aを有する受け部材52が設けられ、平面部には、2つの係合部53aを有するガイド部材53と、係止部材54が設けられた構成から成る。ガイド部材53と係止部材54は、ボデー5に適合する位置に設けられているので、ボデー5を2か所の係合部53aに係合させると、係止部材54はボデー5の背面側をガイドした係合状態となると共に、2つの付根部5bは、2つの嵌合部52aの形状に適合してそれぞれ嵌合状態となる。このように、ボデー5は、特に付根部5bを嵌合部52aに嵌め合せるようにワーク固定治具13に乗せるだけで、簡単に治具に固定できる。
上記のように、ワーク固定治具13は、ボデー5を上から嵌め込むだけで簡便に固定することができると共に、付根部5bが嵌合部52aに密着嵌合し、ガイド部材53がボデー5に係合しているから、ボデー5が変形する余地がほぼなくなり、管状端5aが加熱溶融されても、ボデー5に変形などの不具合が生じるおそれがない。
また、図7、9に示すワーク固定治具12、13にそれぞれ固定保持が完了した状態のUチューブ6とボデー5においては、これらの管状端6a、5aの位置が、それぞれワーク(複数の管状端)に応じて決まる規定位置に位置決め固定された状態となる。なお、規定位置とは、複数の管状端を有する一対の樹脂成形品を、本発明のワーク固定治具にそれぞれ固定保持させて溶着機本体(治具固定用ステージ)に固定して溶着(多点同時溶融接合)する際、各管状端が突き合わせられる位置のことであり、各管状端ごとに溶着機本体に対して相対的に定まる位置である。本発明のワーク固定治具は、上記のワーク固定治具12、13の構造に限られず、一対の樹脂成形品が有する複数の管状端の各位置を、溶着機本体に固定した際、それぞれ規定位置に適切に位置決め固定状態とすることができるように、樹脂成形品の形状・構造に応じて、その形状・構造を適宜選択・設計変更できる。
図10〜12は、本発明の溶着機本体9の治具固定用ステージ20、21にワーク固定治具12、13の双方を固定する様子を示した斜視図である。
図10において、ワーク固定治具12、13は、それぞれUチューブ6とボデー5を、前述(図7〜9)のように固定保持しており、この状態で、同図矢印が示すように、それぞれを溶着機本体9の治具固定用ステージ20、21に載置・固定する前の状態を示している。本発明では、ワーク固定治具は、位置決め機構を介してそれぞれの治具固定用ステージに着脱自在に設けられる。本例ではこの位置決め機構は、治具固定用ステージに設けられた固定治具の外枠を係合させる係合枠体又はピンとピン穴の挿し込み構造より成る。
図10において、本例の位置決め機構は、ワーク固定治具12の位置決め機構として、治具固定用ステージ20に設けられた係合枠体59、64が設けられ、ワーク固定治具13の位置決め機構として、係合枠体60と、ピン61とピン穴63(図9)による挿し込み構造が設けられている。
図10に示すように、治具固定用ステージ20の平面部に2つボルト固定された係合枠体59は、ワーク固定治具12の下側のスロットプレート32の幅に適合しており、また、治具固定用ステージ20の進行側(溶融ヒータへ向かって管状端が突き出した側)の端部に設けられた係合枠体64も、これら2つの係合枠体59の配置とスロットプレート32の形状に適合している。ステージに固定された係合枠体64は、前記平面部と進行側の端部で面一となる受け部と、この受け部に垂直方向に立設された係止部64aを有している。この係止部64aは、固定ブロック39を取り付けた状態におけるスロットプレート32の係止部34及びブロック体41の係止部49の形状と適合する形状となっている。
このため、図11に示すように、ワーク固定治具12を前記平面部に載置して進行側へ押し出すだけで、2つの係合枠体59は、それぞれスロットプレート32の2つの係止部33a(ワーク固定治具12の外枠)と係合すると共に、係合枠体64の係止部64aは、係止部34及び係止部49(ワーク固定治具12の外枠)と係合し、これら3箇所の係合状態で、ワーク固定治具12は、進行側と両側への3方向移動が係止されて位置決めされた状態となる。
図10に示すように、治具固定用ステージ21の平面部に2つボルト固定された係合枠体60も、ワーク固定治具13の底面プレート51の幅に適合しており、また、前記平面部に2つ設けられたピン61は、図9に示した底面プレート51の底面側に2つ設けられたピン穴63に係合可能となっている。
このため、図11に示すように、ワーク固定治具13(底面プレート51)を前記平面部に載置した状態では、2つの係合枠体60は、それぞれ底面プレート51(ワーク固定治具13)の外枠と係合すると共に、2つのピン61は、底面プレート51の底面側の2つのピン穴63に係合する。これら4か所の係合状態で、ワーク固定治具13は、載置状態で前記平面部内の移動が係止されて位置決め状態となる。
また、図12に示すように、ワーク固定治具12、13は、治具固定用ステージ20、21にそれぞれ設けられたトグルクランプ機構の押さえ部材57、58で上側を押さえられるようになっており、同図は、押さえ部材57がワーク固定治具12の上側のスロットプレート28を上側から圧接し、押さえ部材58がワーク固定治具13に固定されたボデー5を上側から圧接した状態を示している。この状態で、ワーク固定治具12、13の、治具固定用ステージ20、21へのそれぞれの位置決め固定が完了する。
上記のようにワーク固定治具12、13は、治具固定用ステージ20、21に着脱自在であることから、ワークの形状などが変更された場合であっても、ワーク固定治具12、13の設計変更により、治具固定用ステージ20、21や溶着機本体9を変更することなく柔軟に対応することができ、よって溶着機本体9の再利用性・汎用性が大幅に高まる。また、ワークの固定作業が溶着機本体と別で行えるから、例えば、溶着機本体でワークを溶着する前に、予め複数対用意したワーク固定治具にワークを固定保持しておけば、溶着機本体に溶着する毎にワーク固定治具の対を順次着脱していくだけで多数のワークの溶着が行える。よって、溶着の作業効率が大幅に高まる。
図13、14は、本発明の位置調整機構55を拡大して示した要部拡大図であり、図13は正面側から見た斜視図、図14は背面側から見た斜視図である。本発明の溶着機は、治具固定用ステージの何れか一方又は双方の位置を調整するための位置調整機構を備え、樹脂成形品の複数の管状端同士を、この位置調整機構により位置合わせを行うようにしている。また、本例の位置調整機構は、治具固定用ステージの一方側(治具固定用ステージ20)を、少なくともX方向、Z方向、とθ方向に位置調整可能に設け、他方側の治具固定用ステージ(治具固定用ステージ21)を進退可能に設けている。
図13において、位置調整機構55は、移動側であるスライドプレート69と、固定側であるベースプレート68と、これらをガイドする長穴71及びガイドボルト70、さらに送りねじ75を有するステージ機構から構成されている。また、ワーク固定治具12は、ワークである2本のUチューブ6を固定した状態で治具固定用ステージ20に位置決め固定されており、管状端6aが進行側に突き出した状態である。また同図のXZθ座標による3軸の方向は、X方向がスライドプレート69の平面内水平方向(送りねじ75の螺進方向)で、Z方向がX方向に垂直な鉛直上方向で、θ方向がZ方向からX方向への回転方向であり、Y方向はZ方向からX方向への右ねじ螺進方向を表わしている。
同図において、スライドプレート69の上側は、ボルト78などで治具固定用ステージ20に固定されている。ベースプレート68の下側は、ボルト72などでスライド機構11に固定されている。また、スライドプレート69は、その端部にボルト76で固定されたブラケット73の溝部を介して設けられた送りねじ75の調整により、X方向に移動調整可能となっている。送りねじ75は、ブラケット73の溝部に当接する部分に設けられたくびれによって、ブラケット73に対してねじ込む方向に動かないように固定されていると共に、雄ねじ部が、ベースプレート68の端面に設けられためねじ部に一部螺着している。
図13、14において、ベースプレート68とスライドプレート69とは、長穴71、79を介して挿通したガイドボルト70によりガイドされる。ベースプレート68の長穴71はX方向に長い形状に2つ、スライドプレート69の長穴79はZ方向に長い形状に2つ、それぞれの適切な位置に形成されていることで、ガイドボルト70を挿通して互いにガイド可能となっている。なおガイドボルト70は、供回りしないように四角ナットで固定される。
また、スライドプレート69には、Z方向となる上下の端面同士を連通しためねじとなる穴部77が適切な位置に2つ設けられ、この穴部77に、調整ボルト80が螺着している。この調整ボルト80は、図14に示すように、下端部が突き出してスライドプレート69を支持している。よって本例の移動側部材(スライドプレート69或は治具固定用ステージ20)は、この2つの調整ボルト80と、2つの長穴79を介したガイドボルト70、さらに送りねじ75によって、固定側部材(スライド機構11或はベースプレート68)に、位置調整可能に連結されている。
図13、14において、スライドプレート69をX方向移動調整するには、2つのガイドボルト70を緩めてベースプレート68への固定を解除し、つまみ74を調整して行われる。すなわち、ガイドボルト70は長穴71をX方向に所定距離移動可能であるから、つまみ74の締め込み量に応じて送りねじ75のベースプレート68の端面への螺合長さを調整することで、スライドプレート69のベースプレート68に対するX方向相対位置が調整される。また、Z方向移動調整するには、上記同様に2つのガイドボルト70を緩めてベースプレート68への固定を解除し、2つの調整ボルト80の穴部77に対する螺着長さを調整して行われる。すなわち、ガイドボルト70は長穴79をZ方向に所定距離移動可能であるから、調整ボルト80の螺着長さを変更すれば、図14においてスライドプレート69の下側端面から突き出す長さを調整でき、よってベースプレート68のスライド機構11に対する高さ調整が可能となる。
また、長穴71、79の内径が、それぞれガイドボルト70の径より適度の隙間が生じるように設定されていれば、ガイドボルト70が長穴71、79に挿通した状態で回転方向にも移動可能となり、スライドプレート69はθ方向にも所定範囲で調整可能となる。θ方向に調整するには、上記のようにスライドプレート69のスライド機構11に対する高さを調整する際、スライドプレート69は、下側端面から突き出した2本の調整ボルト80を2本の脚として支持された状態であるから、2本の調整ボルト80の穴部77に対する螺着長さをそれぞれ別個に調整することで、これら2本の調整ボルト80が下側端面から突き出す長さがそれぞれ別個に調整され、このため、2本の足の長さを変えてスライドプレート69がスライド機構11に立つθ方向の角度が変わり、よって、スライドプレート69のθ方向姿勢を変更できる。なお位置調整は、最終的に2本のガイドボルト70を締め込んで固定される。
また、図10〜12に示すように、移動機構10のプレートに設けられた進退機構56(位置調整機構)により、治具固定用ステージ21はY方向に位置調整可能となっている。進退機構56は、ブラケット65の溝部を介して送りねじ66が設けれ、送りねじ66は、ブラケット65の溝部に当接する部分に設けられたくびれによって、ブラケット65に対してねじ込む方向に動かないように固定されていると共に、雄ねじ部が、治具固定用ステージ21の端面に設けられためねじ部に一部螺着している。この構成により、上記送りねじ75同様に、移動機構10のプレートに対して治具固定用ステージ21を進退方向にY方向位置調整可能となっている。
図15において、(a)は溶融ヒータの取付け状態を示した概略正面図であり、(b)は(a)の概略右側面図である。同図に示すように、溶融ヒータは、ヒータプレート1と電極部2、3とを有する溶融ヒータである。ヒータプレート1は、適宜の厚さ、長さ、幅の矩形状を呈した発熱抵抗体であり、本例は導電性セラミック製である。電極部2、3は、ヒータプレート1の両面の所定方向の両端に施され、本例では、上下方向の両端に一対が施されている。また、電極部2、3が施される任意の位置には、表裏両面に貫通する貫通穴4が設けられる。
溶融ヒータの電極部には、対向する電極部に向けて突出させた状態で少なくとも2つの突出電極が設けられている。本例では、図1に示すように、電極部2、3にはそれぞれ、対向する反対側の電極部3、2に向けて突出させた状態で、2つの突出電極部2a、3a及び2つの突出電極部2b、3bが設けられている。本例の4つの突出電極部2a、3a、2b、3bは、それぞれ2つの角部を有する矩形状を呈しており、同図上側の突出電極部2aは角部A、Aを有し、突出電極部2bは角部A、Aを有している。
同様に、同図下側の突出電極部3aは角部A、Aを有し、突出電極部3bは角部A、Aを有している。そして、幾何学的には、突出電極部2a、2bの4つの角部A、A、A、A、及び突出電極部3a、3bの4つの角部A、A、A、Aは、それぞれ略同一直線上に位置していると共に、角部A、Aが形成する線分(或は角部A、Aが形成する線分)と、角部A、Aが形成する線分(或は角部A、Aが形成する線分)とは、互いに略平行となっている。
図15の対応領域PAは、ヒータプレート1の発熱面に向けて対向配置された樹脂成形品における溶融接合部となる部位(端面)を、発熱面上に正射影的に投影して形成される領域であり、二か所以上形成される。図1に示した本例の対応領域PAは、図2、3に示した溶着機本体9に、図1に示した流量計のボデー5とUチューブ6を樹脂成形品としてワーク固定治具12及び13にそれぞれ固定保持して溶着接合する際に、4か所のボデー5の環状端5aと、これらにそれぞれ調芯状態で対向配置される4個所のUチューブ6の環状端6aとを、それぞれヒータプレート1両面の発熱面上に投影した片面4箇所ずつの領域であり、チューブ環状端の端面の投影領域であるからそれぞれ円形状(或は所定の厚みのリング状)領域となる。
ここで、導電体に電極対を設けて抵抗を超える電圧を印加して両極間を通電して電流経路を形成した場合、この電流経路は最小発熱量の原理に従い、導電体から発生する単位時間・体積当たりのジュール熱が最小となるような経路が選択される。そして、発熱量が最小となる電流経路は、両電極間の最短距離となる経路と一致する場合がほとんどである。
そこで本発明では、ヒータプレートに施す電極部に、互いの電極部に向かって突出するような突出形状部(突出電極)を複数箇所に形成し、これらの突出電極の対が発熱ピーク領域を持たせたい所望の領域を挟み込むようにして近づけ、これらの間の複数箇所の領域(発熱ピーク領域を持たせたい領域)を、すべて同一発熱量となる条件(電極間距離のほか、電気抵抗など)の発熱領域とすることで、これらの領域のみに電流が流れるようにして発熱面の所望の領域に適切な発熱ピーク領域を少なくとも2つ構成することを可能としている。
突出電極の間は、両電極部間の最短領域となることから、本発明の一方の突出電極における他方の電極部にむかう側の端部の形状は、幾何学的には所定の条件下における平行曲線であればよいが、図15に示すように、本例の4つの突出電極2a、2b、3a、3bのそれぞれの端部は、平行直線に形成されている。つまり、角部Aの線分と角部Aの線分が長さが等しく平行であり、角部Aの線分と角部Aの線分が長さが等しく平行となっている。また、角部はすべて略直角である。
本例では、2つの矩形状領域AとAとが、電極部2、3の間の最短領域であるから、これら2つの矩形状領域に帯状の電流経路領域が形成される。したがって、これら2つの帯状電流経路領域においてヒータプレート1の発熱面が強く発熱し、この領域に応じて図15に示すような発熱ピーク領域TAが形成される。具体的には、2つの発熱ピーク領域TAは、帯状電流経路領域、つまり2つの矩形状領域AとAのやや内側に内包されるように、それぞれ形成される。
そして、図16は本例の熱伝導の概略を示している。また、この電流経路領域は、対応領域PAに応じて形成されている。すなわち本例では、対応領域PAの位置に応じて4つの突出電極2a、2b、3a、3bを電極部2、3の適切な位置に形成することで、形成される帯状電流経路領域、つまり、発熱ピーク領域TAが、対応領域PAをそれぞれ被覆するようにしている。また、本例のように、突出電極の端部形状が、対向する長方形状に突き出した形状の場合、突出電極の構成が容易化されると共に、これらの対の間に形成される帯状電流の均一性が高く維持されやすい。
図示していないが、発熱ピーク領域を任意の領域に形成可能であるから、原理的には所定の均一加熱領域を任意に形成することが可能となる。この均一加熱領域は、発熱ピーク領域の温度や位置・形状、或は使用時間やヒータプレートの物性など、各種の要因で異なる。よって本発明では、少なくとも、ヒータプレートの適宜の位置に複数の均一加熱領域を持ち、又は適宜の位置に広範囲に亘る均一加熱領域を持つように構成することが可能となる。また、溶融ヒータはワークの溶融に必要となる最小限の領域のみが加熱されるから、エネルギー効率が良い。さらに、従来より広範囲に均一な発熱領域をヒータプレートの発熱面に形成可能であるから、様々な配置のワークに対し溶着精度が向上し、溶着ムラや収縮による歪みなどの問題が改善される。
また、本例の電極部2、3は、アルミニウム小片を高真空中で加熱して融解・蒸発させてヒータプレート1表面に凝着させるアルミニウム溶射蒸着した状態で、適宜の形状の電極部を構成するようにしている。電極部は、その他の金属蒸着膜、又は金属塗膜や金属箔などの導電性材料の塗布や塗着により施してもよい。導電性素材としては、セラミック製ヒータプレート1に導電性膜を付着・構成して良好な通電・耐熱及び発熱面の発熱が可能な素材であれば特に制限はなく、この他、銀、銅、ニッケルなどの金属粒子をアクリル樹脂系ワニスなどに分散して塗料化した導電性塗料や導電性顔料などでもよい。このような導電性材料を塗布により、適切な形状とする必要がある本発明の電極部を、容易に構成可能となる。
なお、図示していないが、電極部2には所定の延長部材が取り付けられ、この延長部材は、貫通穴4を介して一端側がボルトナットにより固着され、自由端側が適宜の材料よりなる断熱材にボルトナットにより固着されている。この断熱材は、図2、3に示した溶着機本体9の退避機構15に固定されており、溶融ヒータは、この断熱材を介して溶着機本体9に設けられる。また、延長部材の最も他端側にはボルトナットにより端子部が取り付けられており、この端子部には電線が繋がっている。この電線は、所定の電源に接続され、溶着機本体9の制御により、延長部材を介して電極部2、3に電圧を印加可能となっている。このように、延長部材を介して電極部2、3から離間させた位置に端子部を設けることで、電極部2、3の高温化による端子部の消耗を防ぐようにしている。また、上記のような延長部材は、例えばニッケルなど、酸化性に優れ、電極部2、3より熱膨張率の低い金属材料により長尺状に設けられる。
続いて、溶着工程の一例を説明する。先ず、図10〜12に示したように、溶着機本体9を用いてボデー5、Uチューブ6を溶着する場合は、予め、図示しないヒータ電源スイッチを溶着作業前にオンにして溶融ヒータを適切な温度に加熱すると共に、ワーク固定治具12、13にそれぞれボデー5、Uチューブ6を適切に取り付けて固定保持させ、これらのワーク固定治具12、13を治具固定用ステージ20、21にそれぞれ位置決め機構を介して適切に固定する。その後、図13、14を参照して前述した位置調整機構55の調整や、移動機構10を制御することにより、管状端5a、6aを正確に調芯して位置合わせすると共に、溶融ヒータ(電極部)に対しても管状端5a、6aを適切な配置となるようにする。
管状端5a、6aを位置調整して調芯する際は、溶着機本体9を操作して図示しない溶着位置を示す基準ストッパにボデー5の管状端5aを突き当てて基準位置を決めてから移動機構10のストッパ14を固定し、基準ストッパを退避させてから、スライド機構11をスライドさせてUチューブ6の管状端6aを固定された管状端5aに突き合わせ、管状端5a、6a同士の軸心などにズレがないかを確認する。そして、ズレがある場合、上記の本発明の位置調整機構55により、Uチューブ6側をボデー5側に対して適切に位置・姿勢調整して軸ずれのない(或は要求精度内となる)ように調整することができる。なお、この基準ストッパにて管状端5a、6aの前記各規定位置を規定することもできる。
図17に示すように、管状端5a、6a同士の位置合わせが完了した後、操作パネル26のボタン操作によりスライド機構11(Uチューブ6側)が、あらかじめ設定した位置まで離れることで、管状端5a、6aの間に溶融ヒータを差し込むスペースが生じる。なお、図4は、この際の溶融ヒータとワークの配置関係を模式的に示したものである。この後、ハンドル23で適切な過熱状態となっている溶融ヒータを持ち上げることで溶融が開始される。この際、室温や周囲の状況によって溶融状態が変化するので、溶着機本体9に予め適切に設定されたタイマーを参考にしながら、適切な溶融状態を見極めて操作パネルのボタンを押すことで、溶融ヒータが自動的に退避機構15によって降下すると共に移動機構10が制御機構16の動作制御により前進し、適切な溶融状態の管状端5a、6a同士が突き合わせ溶着接合される。
この溶融接合の際は、ワーク固定治具12はトグルクランプ機構の押し付け部材57で適切に押し付けられており、ワーク固定治具13もトグルクランプ機構の押し付け部材58で適切に押し付けられていると共に、位置決め機構で適切に位置決め固定されているから、例えばワークが浮き上がったり後ろへ戻ってしまうおそれがない。さらに、ボデー5は、ワーク固定治具13の係止部材54で押し戻しが確実に防がれると共に、受け部材52の嵌合部52aが付根部5bを確実に嵌合・挟持しているから、管状端5aに外力が作用しても管軸のズレや変形が確実に防がれる。
図18は、上記のように溶着接合された後の状態を示している。この場合、制御機構16により移動機構10の動作を制御しながら管状端5a、6a同士を所定の距離及び速度で押し付け圧接させ、この接合状態を一定時間加圧保持することで管状端5a、6aを適切な状態で多点同時溶着することができる。更に、この一定時間の加圧保持前に、例えば、本願出願人が出願した特許第3910567号の溶着方法を用いて、溶融接合した管状端5a、6aを突き合わせ方向と逆方向に引き延ばす工程を経るようにしてもよい。
溶融ヒータは、操作パネル26により設定された状態で、常に適切に制御されており、印加された電圧が電線、延長部材を介して電極部2、3に印加されて図15の発熱ピーク領域TAを中心にヒータプレート1が発熱する。このとき、管状端5a、6aの各対応領域PAが発熱ピーク領域TAに被覆されると共に、発熱ピーク領域TA内の温度分布は概ね均一であるから、管状端5a、6aの円周上を均等に溶融させることができる。溶融ヒータの表裏面は、略同様の発熱の分布形状になっており、電極部2、3の近傍は、熱放射によって発熱ピーク領域TAの中心よりも温度が下がった状態となる。管状端5a、6a部位を溶融させる場合、例えば、この端面側から0.8〜1.2mm程度の溶融深度(溶かし代)であるとよく、このときには全周を適切な状態で溶着しやすくなる。
これに対し、発熱ピーク領域がヒータプレートの中央付近に1箇所のみ発生し、そこを中心として円錐形状の温度分布が形成される従来のヒータに、上記のような2本のUチューブによる4本の管状端を使用した場合は、プレートの中央から離れるにしたがって温度勾配が大きくなることから、管状端の溶融の均一性が大きく損なわれて溶融ムラの発生が大きくなり、特に溶着後に硬化する際の樹脂の収縮の差も大きくなってしまう。これにより、Uチューブの内側の収縮が大きくなって内側に反り返ってしまう問題があった。本発明では、4本の管状端を必要な水準で均一に溶融させることができるから、このような溶融ムラの問題を生じることがない。
次に、溶着接合後は、溶着接合されたボデー5とUチューブ6を溶着機本体9から取り外す。図19〜22は、2本のUチューブ6とボデー5とが4箇所で溶着接合された後、これを取り外す様子を示した斜視図である。本発明では、複数の管状端同士が接合された状態で固定ブロックがワーク固定治具より取り外し可能に設けられている。
先ず、図19において、ノブ体40を持ち上げ、磁力で吸着していた固定ブロック39を引き剥がす。この際、クランプ機構の押し付け部材57の端部形状は、図示するように円弧上に切欠き形成され、固定ブロック39(ブロック体41の側面部48)の形状に適合しているから、固定ブロック39は、そのまま上方へ取り外すことができる。また、4箇所の溶融接合部8が接合された状態で固定ブロック39が取り外される。
次いで、図20において、クランプ機構の押し圧部材57、58をそれぞれ引き上げ、ワーク固定治具12とボデー5への圧接を解放する。クランプ機構は、図示するように、レバーにより簡単に開放できる。なお、図19から図20へと説明したが、この手順を適宜逆にすることも可能である。
次いで、図21において、2本のUチューブ6をスロットから外しつつ、ワーク固定治具12を、治具固定用ステージ20の平面部でスライド後退させる。上記のように、ワーク固定治具12は、位置決め機構により3箇所に位置決め固定されているが、後退側(進行側の逆)方向へは固定されていないから、押し付け部材57を解放した後は、治具固定用ステージ20上をスライド移動できる。
次いで、図22において、ワーク固定治具13に嵌合して載置された状態となっている成形品を、上方へ取り外す。ここで、図19〜22で説明した取り外し動作において、溶着接合された成形品(ボデー5とUチューブ6)には、ほぼ外力が作用することがないから、この取り外し動作では成形品が適切に保護される。この後は、図示するように、ワーク固定治具13(ワーク固定治具12)を治具固定用ステージ21(治具固定用ステージ20)から取り外し可能となる。
続いて、本発明の樹脂成形品用管状端の切断機を説明する。図23〜26は本発明の切断機を示しており、図23は切断機を正面側から見た斜視図であり、図24は図23においてワーク固定治具を切断機の位置決め構造に固定した状態を示し、図25は図24を背面側から見た要部拡大斜視図である。また、図26は切断機に備えられる刃物を示した模式図である。切断機本体には、本発明の溶着機本体(治具固定用ステージ)に構成された位置決め機構と同一の位置決め寸法を備えた位置決め構造が設けられ、ワーク固定治具が位置決め構造で固定された状態で複数の管状端を同時に切断可能としている。
図23〜25に示した本例の切断機は、溶着前に予め、ワーク固定治具12に固定保持した状態の2本のUチューブ6の4箇所の管状端6aの端部を切断するために使用される。ワークの管状端は、溶着接合後の成形品(流量計)の要求された仕上がり長さに揃えるために、管状端の突き出し量を切断や研削などにより加工して調整する必要があるが、本発明の切断機では、ワークをワーク固定治具に固定保持させた状態で複数本の管状端を同時に切断できるから、管状端を加工する毎にワークを取り外さなければならない手間が省略されるばかりか、複数の管状端を同時に揃えられることで加工効率が大幅に高く、しかも1本ずつ加工するよりも寸法精度を安定させることができる。
図23において、ワーク固定治具12は、2本のUチューブ6を固定保持して4箇所の管状端6aが突出した状態である。本例の切断機においては、台87の上面に、ワーク固定治具12の位置決め構造として、固定プレート82に面した係合部84と、両脇に係合部85aを有する2つの係合枠体85と、係合部84に対向したハンドル86aを有するクランプ機構86とが設けられた構造である。この位置決め構造においては、2つの係合枠体85が、上記治具固定用ステージ20の位置決め機構(2つの係合枠体59)と同一の位置決め寸法を備えている(同一幅に配置されている)。
図24は、4本の管状端6aを、固定プレート82に設けられた4つの固定穴部82aに挿入固定して、ワーク固定治具12を切断機本体の位置決め構造に固定した状態を示している。上記のように係合枠体85は、係合枠体59と同一幅に配置されていると共に、同一の位置決め寸法を備えているから、同図の固定状態では、ワーク固定治具12のスロットプレート32の係止部32aが、係合枠体85の係合部85aに係合して、ワーク固定治具12の固定プレート82側への移動と、左右方向への移動を確実に規制している。また、この固定状態では、クランプ機構86のハンドル86aを締め込んで、押し付け部材86bがワーク固定治具12の背面側を圧接している。また、ワーク固定治具12の係止部34、49も、係止部84に係合している。よって、この固定状態では、ワーク固定治具12は前後左右動作が確実に規制された状態となる。
図23、25において、プレート83は、ハンドル81の操作により、固定プレート82やガイドプレート89等にガイドされて支点88を中心に回動し、端面に備えられた刃物91でワークを切断可能に設けられている。図25は、上記固定状態のワーク固定治具12の4つの管状端6aが、固定穴部82aを挿通して固定プレート82の背面側に突き出た状態を示している。この状態で刃物91が引き下げられることで、ワーク固定治具12にUチューブ6を固定保持した状態で、4つの環状端6aを同時に切断可能となっている。切断された管状端6aの切片は、受け部90に落下する。
図26(a)は、本例の切断機で使用する際の、刃物91及びワーク(管状端6a)の側面部を、それぞれの配置関係と共に模式的に示しており、同図の左側は、切断機の正面側(ワーク固定治具12を固定する側)、右側は、切断機の背面側である。同図に示すように、刃物91は、背面側のみにテーパが形成された片刃となっている。このような片刃であれば、同図に示すように、ワークの切断面が傾斜することがなく、複数の管状端の切断面を高精度に均一(面一状)に揃えることができる。一方で、図26(b)に示した刃物92は両側にテーパが形成された両刃状であり、この刃物92のように、刃物の切先が刃物の片面に一致していない場合は、同図のワーク93のように、両側の切断面に傾斜が生じやすい。
また、図25において、刃物91を備えたプレート83の支点88は、台87からの高さが、4つの固定穴部82a(管状端6a)の高さより高く設けられている。このため、刃物91がワークに当るのは、ハンドル81が低い位置(支点88と同程度の高さ)まで下がりきってからとなるので、ハンドル81を回動するトルクが刃物91に伝わりやすく、ワークの切断力が増して切れ味が良くなる。また、支点88の位置は、刃物91の切先線の延長線上より上側に位置して刃物91を回動する。このため、刃物91が回動して管状端5a、6aに切先が入り込む際、管状端5a、6aの各管軸に対し垂直方向に切先がスライドしながらスライスカットできるから、さらにワークの切断力が高まる。さらに、刃物91はプレート83の回動に伴いスイングカットするから、4本の管状端6aと交差する位置がすべて異なっている。よって、繰り返し使用しても摩耗部位が重ならず耐久性が高まり、切れ味が持続するから、刃物91の交換頻度を低減できる。
さらに、複数の管状端の各切断面が面一に揃っているほど、密着性が高まることで溶融接合の均一性も高まり、よって、溶融接合させた成形品の品質を高めることができるが、この切断機では、2本のUチューブ6をワーク固定治具12に固定保持した状態のまま、切断機から取り外してそのまま溶着機本体9へ取り付けることができるから、4箇所の管状端6aが同時にカットされることにより高い精度で切断面が揃った状態を保持したまま、これらの切断面を溶融接合させることができる。したがって、複数箇所の切断面の溶融の均一性が高まり溶着接合部の高品質な仕上がりが担保されるばかりか、溶着工程の作業性も大幅に向上するものである。
更に、本発明は、前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
5 ボデー
6 Uチューブ
5a、6a 管状端
9 溶着機本体
12、13 ワーク固定治具
20、21 治具固定用ステージ
55 位置調整機構
56 進退機構(位置調整機構)
59、60、64 係合枠体(位置決め機構)
61 ピン(挿し込み構造)
63 ピン穴(挿し込み構造)
84 係合部(位置決め構造)
85 係合枠体(位置決め構造)
86 クランプ機構(位置決め構造)

Claims (6)

  1. 管状端同士を溶融させた状態で接合する溶着機であって、溶着機本体には、一対の治具固定用ステージと、治具固定用ステージにそれぞれ着脱可能に固定できるワーク固定治具と、前記治具固定用ステージの何れか一方又は双方の位置を調整するための位置調整機構を備えると共に、前記ワーク固定治具に固定保持可能な一対の樹脂成形品は複数の管状端を有し、この複数の管状端同士を前記位置調整機構により位置合わせを行うようにしたことを特徴とする樹脂成形品の溶着機。
  2. 前記位置調整機構は、一方側の治具固定用ステージを少なくともX方向、Z方向とθ方向に位置調整可能に設け、他方側の治具固定用ステージを進退可能に設けた請求項1に記載の溶着機。
  3. 前記ワーク固定治具は、位置決め機構を介してそれぞれの治具固定用ステージに着脱自在に設けられた請求項1又は2に記載の溶着機。
  4. 前記位置決め機構は、前記治具固定用ステージに設けられた固定治具の外枠を係合させる係合枠体又はピンとピン穴の挿し込み構造より成る請求項3に記載の溶着機。
  5. 前記ワーク固定治具には固定ブロックが着脱自在に設けられ、複数の管状端同士が接合された状態で前記固定ブロックがワーク固定治具より取り外し可能に設けられた請求項3又は4に記載の溶着機。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の溶着機において、溶着機本体に構成された位置決め機構と同一の位置決め寸法を備えた位置決め構造が設けられ、ワーク固定治具が前記位置決め構造で固定された状態で複数の管状端を同時に切断可能とした樹脂成形品用管状端の切断機。
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