WO2017056204A1 - 樹脂製チューブ部材、配管及び、配管の製造方法 - Google Patents

Abstract

　この発明の樹脂製チューブ部材（１）は、液体を流動させる内部流路を有する直管状のチューブ本体部（２）と、該チューブ本体部（２）の一端および他端のそれぞれに設けられて、樹脂製管継手の端部または他の樹脂製チューブ部材の端部と突き合わせて溶着される溶着端部（３ａ、３ｂ）とを備えるものであって、チューブ本体部（２）及び／又は溶着端部（３ａ、３ｂ）の外面の周方向の一箇所以上に、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材との周方向の位置合わせに用いる位置調整部（４、１４、２４）が設けられてなるものである。

Description

樹脂製チューブ部材、配管及び、配管の製造方法

　この発明は、液体を流動させる内部流路を有する直管状のチューブ本体部と、該チューブ本体部の一端および他端のそれぞれに設けた溶着端部とを備える樹脂製チューブ部材及び配管に関するものであり、特には、樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材（以下、単に「樹脂製管継手等」ともいう。）と端部同士を突き合わせて溶着する際に、樹脂製管継手等との周方向の位置合わせを容易かつ確実に行うことのできる技術を提案するものである。

　様々な産業で用いられる薬液輸送ライン等の配管は、複数本の樹脂製チューブ部材や樹脂製管継手を連結して構成することがあり、この場合、これらの樹脂製チューブ部材や樹脂製管継手は、溶着機を用いて、端部同士を互いに突き合わせて溶着させることで連結することができる。

　より詳細には、たとえば、溶着機の対をなすクランプ治具のそれぞれに、樹脂製チューブ部材と樹脂製管継手等の端部とが互いに対向する姿勢で、それらの樹脂製チューブ部材及び樹脂製管継手等のそれぞれを保持させる。
　次いで、クランプ治具に保持させた樹脂製チューブ部材及び樹脂製管継手等の両端部を、ヒーターその他の加熱装置によって加熱することで、それらの端部を溶融させ、その状態で、樹脂製チューブ部材及び樹脂製管継手等を互いに接近させて、それらの端部を、所要の圧力の作用により突き合わせて溶着させる。

　ここで、たとえば、内部流路が途中で湾曲する曲管状等の樹脂製管継手は、他の樹脂製管継手と連結する場合、連結後のそれらの樹脂製管継手により形成される内部流路を所定の向きに湾曲するものとして、構成される配管を所期したとおりの管路形状にするため、端部同士の溶着時に、相互に連結しようとする樹脂製管継手のそれぞれを、比較的高い精度で周方向の位置合わせを行いつつ、クランプ治具に保持させること等が必要になる。

　このことに対し、特許文献１には、「溶着装置のクランプ部に外囲把持される継手本体部と、合成樹脂製チューブのチューブ端部との嵌合が可能な管端部とを有し、前記チューブ端部と前記管端部との嵌合で成る接合部を加熱溶融すべく前記管端部が前記溶着装置の発熱部で外囲され、かつ、前記継手本体部が前記クランプ部で外囲把持されるクランプ状態で前記溶着装置へ装着可能に構成されている合成樹脂製の溶着継手であって、前記継手本体部に、前記クランプ部の内周部に形成されている内周凹凸部に嵌合する外周凹凸部を設けて、前記クランプ状態であるときには、前記内周凹凸部と前記外周凹凸部とが嵌合して前記管端部の軸心回りにおける前記継手本体部の前記クランプ部に対する角度位置が定まるように構成されている溶着継手」が提案されている。
　そして、この「溶着継手」によれば、「内周凹凸部と外周凹凸部との嵌合によって継手本体部とクランプ部との、すなわち、溶着継手と溶着装置との軸心に関する相対角度位置を定めることができ、それによって溶着継手の一端に溶着されるチューブと他端に溶着されるチューブとの相対角度を定めることが可能になる。」とされている。

　また、特許文献２では、「溶着装置のクランプ部に外周が挟持される筒状の継手本体部を備える加熱溶着性の溶着継手であって、前記継手本体部は、前記継手本体部の軸方向における端部を有し、前記端部は、ヒータによって溶融されて他の溶着継手の端部と溶着され、前記クランプ部に挟持されない前記継手本体部の外周の部分であって、前記クランプ部に挟持される前記継手本体部の部分の外周の部分に関して前記端部と反対側の部分には、前記継手本体部の外周の周方向に等間隔で位置決め目盛が存在し、前記位置決め目盛が前記クランプ部に設けられた基準マークと一致させられて、他の溶着継手と溶着される溶着継手」が提案されている。
　この「溶着継手」によれば、「溶着する際に継手本体部の位置決めが容易であり、溶着する部分の溶け具合に変化が生ずることを抑えることができ、溶着の作業性を向上させることができる」としている。

特開２０１２－６７８６４号公報 国際公開第２０１５／０１１７７６号

　上述した特許文献１及び２はいずれも、継手に関するものであり、直管状のチューブ本体部を備える樹脂製チューブ部材については何ら着目されていない。これは、直管状のチューブ本体部を備える樹脂製チューブ部材は、継手とは異なり、その全長にわたって均一なストレート形状であることから、樹脂製管継手等と連結させる際の周方向の向きを考慮することを要しないとの思想に基くものと考えられる。

　しかしながら、たとえば、一端部に既に樹脂製管継手が端部同士で溶着されて連結された樹脂製チューブ部材の他端部と、他の樹脂製管継手の端部とを溶着させる場合等には、樹脂製管継手のみならず当該樹脂製チューブ部材にも、クランプ治具等に保持させる際に周方向の位置合わせを行うための部分が存在しなければ、それらの樹脂製チューブ部材と他の樹脂製管継手とを所期したとおりの向きに連結することが困難となる。そして、このような樹脂製チューブ部材と樹脂製管継手とを端部で溶着させると、樹脂製チューブ部材の一端部に連結された樹脂製管継手と、他端部に連結された他の樹脂製管継手とが、所定の向きからずれて連結されて、所望の管路形状の配管を製造できないことがあるという問題があった。

　この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材との周方向の位置合わせを容易かつ確実に行うことのできる樹脂製チューブ部材及び、それを用いた配管を提供することにある。

　この発明の樹脂製チューブ部材は、液体を流動させる内部流路を有する直管状のチューブ本体部と、該チューブ本体部の一端および他端のそれぞれに設けられて、樹脂製管継手の端部または他の樹脂製チューブ部材の端部と突き合わせて溶着される溶着端部とを備えるものであって、チューブ本体部及び／又は溶着端部の外面の周方向の一箇所以上に、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材との周方向の位置合わせに用いる位置調整部が設けられてなるものである。

　この発明の樹脂製チューブ部材では、前記位置調整部を、前記他の樹脂製チューブ部材または樹脂製管継手との目視による周方向の位置合わせに用いる視認可能な位置調整目印とすることが好ましい。

　ここで、前記位置調整部は、チューブ本体部の中心軸線と平行に延びる直線状とすることが好ましい。
　この場合においては、直線状の前記位置調整部が、チューブ本体部の一端側の溶着端部から他端側の溶着端部まで樹脂製チューブ部材の全長にわたって延びるものとすることがより好ましい。

　またここで、前記位置調整部は、樹脂製チューブ部材の周方向に互いに等しい間隔をおいて複数箇所に設けられていることが好ましい。

　前記位置調整部は、樹脂製チューブ部材の外面から突出する凸部で形成されるものとすることができる。
　あるいは、前記位置調整部は、樹脂製チューブ部材の外面から窪む凹部で形成されるものとすることができる。

　この発明の配管は、上述したいずれかの樹脂製チューブ部材、並びに、前記樹脂製チューブ部材と端部同士で溶着されて、該樹脂製チューブ部材に連結された樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材を有する配管であって、前記樹脂製管継手又は他の樹脂製チューブ部材の外面で、当該配管の周方向において、前記樹脂製チューブ部材の前記位置調整部を設けた位置と対応する位置に、位置調整部が設けられてなるものである。

　この発明の配管の製造方法は、上述したいずれかの樹脂製チューブ部材を用いて、配管を製造する方法であって、前記樹脂製チューブ部材の前記位置調整部と、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材に設けた位置調整部とを周方向で位置合わせし、前記樹脂製チューブ部材の溶着端部、並びに、樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材の端部のそれぞれを加熱して溶融させ、樹脂製チューブ部材の溶着端部と、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材の端部とを相互に突き合わせて溶着させることにある。

　この製造方法では、前記樹脂製チューブ部材の溶着端部を、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材の端部と溶着させるに先立ち、前記樹脂製チューブ部材のチューブ本体部を、該チューブ本体部の延在方向に屈曲ないし湾曲させて曲がり管状に形成することも可能である。

　この発明の樹脂製チューブ部材によれば、チューブ本体部及び／又は溶着端部の外面の周方向の一箇所以上に、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材との周方向の位置合わせに用いる位置調整部を設けたことにより、樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材との周方向の位置合わせを容易かつ確実に行うことができる。

この発明の一の実施形態の樹脂製チューブ部材を示す斜視図である。 図１の樹脂製チューブ部材と樹脂製管継手との端部溶着に用いる溶着機を、それらの樹脂製チューブ部材及び樹脂製管継手とともに示す斜視図である。 図２の溶着機の各クランプ治具に保持された樹脂製チューブ部材及び樹脂製管継手の、相互に溶着させる端部を示す部分拡大側面図である。 図２の樹脂製チューブ部材及び樹脂製管継手により構成された配管の一部を示す斜視図である。 図４に示す配管の溶着部の部分拡大斜視図である。 図１の樹脂製チューブ部材の位置調整部及び、その変形例を示す部分側面図である。

　以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
　図１に例示する樹脂製チューブ部材１は、液体を流動させる内部流路Ｐを有する直管状のチューブ本体部２と、チューブ本体部２の一端および他端のそれぞれに設けられて、樹脂製管継手の端部または他の樹脂製チューブ部材の端部と突き合わせて溶着される溶着端部３ａ、３ｂとを備えてなる。

　ここで、樹脂製チューブ部材１の溶着端部３ａ、３ｂは、樹脂製チューブ部材１を含む配管を構成する際に、後述するように、溶着機等を用いて、樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材の端部と突き合わせて溶着されるものである。なお、溶着端部３ａ、３ｂは、溶着代として１ｍｍ～３ｍｍ程度の厚みを与えることができる。

　またここで、チューブ本体部２の内部流路Ｐは、樹脂製チューブ部材１を用いた配管の使用時に、たとえば薬液等の液体もしくは気体その他の流体を流動させて、該流体を所定の場所に送るべく機能する。この実施形態では、樹脂製チューブ部材１の全長にわたって、その内径を一定とし、内部流路Ｐがストレートに延びるものとした直管状のチューブ本体部２としている。特にここでは、チューブ本体部２の外径も、全長にわたって一定とし、外形もストレートに延びるものとしている。
　なお、場合によっては、図１に示すような直線状のチューブ本体部２の樹脂製チューブ部材１を製造後に、たとえば加熱して所定の大きさの力を作用させること等により屈曲ないし湾曲させることがあり、この場合は、チューブ本体部がその延在方向に屈曲ないし湾曲した曲がり管状になる。

　このような樹脂製チューブ部材１において、この発明では、チューブ本体部２及び／又は溶着端部３ａ、３ｂの外面の周方向の一箇所以上に、樹脂製管継手等と端部同士で溶着させる際の、樹脂製管継手等との周方向の位置合わせに用いる位置調整部４を設ける。
　それにより、樹脂製チューブ部材１の端部を、樹脂製管継手等の端部と突き合わせて溶着させる際に、その樹脂製管継手等との周方向の位置合わせを容易かつ確実に行うことができて、所望の管路形状の配管を簡易に構成することが可能になる。またここでは、位置調整部４を樹脂製チューブ部材１の外面に設けることにより、後述するような凹部ないし凸部状等の位置調整部４であっても、内部流路Ｐを流れる流体の通流を阻害するおそれがない。

　樹脂製管継手等との端部の溶着は、具体的には、図２に例示するような溶着機１０１を用いて行うことができる。図示の溶着機１０１は、樹脂製チューブ部材１及び、それに連結する樹脂製管継手５１のそれぞれを保持する一対のクランプ治具１０２、１０３と、それらのクランプ治具１０２、１０３を図の左右方向に相対変位させて、樹脂製チューブ部材１及び樹脂製管継手５１を相互に離隔・接近させる往復駆動手段１０４と、クランプ治具１０２、１０３に保持させた樹脂製チューブ部材１及び樹脂製管継手５１の各端部を加熱するヒーター等の加熱装置１０５とを備えるものである。
　なお、クランプ治具１０２、１０３は、樹脂製チューブ部材１のチューブ本体部２や樹脂製管継手５１の継手本体部５２の外面形状に整合する穴状の管保持部１０２ａ、１０３ａを有する。そして、クランプ治具１０２、１０３の一方の側部に設けたロック手段１０２ｂ、１０３ｂによるロックの解除により、他方の側部に設けたヒンジの周りに、クランプ治具１０２、１０３の上部を回動させて、管保持部１０２ａ、１０３ａを開くことができ、この状態で、管保持部１０２ａ、１０３ａに、樹脂製チューブ部材１や樹脂製管継手５１を配置することができる。

　溶着機１０１を用いて、樹脂製チューブ部材１及び樹脂製管継手５１のそれぞれの端部を突き合わせて溶着させるには、はじめに、各クランプ治具１０２、１０３に、図２に示すように、樹脂製チューブ部材１のチューブ本体部２及び樹脂製管継手５１の継手本体部５２のそれぞれを、外周側から全周にわたって取り囲んで保持させる。
　次いで、加熱装置１０５を、樹脂製チューブ部材１の端部３ｂと樹脂製管継手５１の端部５３ａの間に上昇させるとともに、往復駆動手段１０４の作動に基き、樹脂製チューブ部材１の端部３ｂ及び樹脂製管継手５１の端部５３ａを、加熱装置１０５に接近させて加熱して溶融させる。
　そして、加熱装置１０５を下降させた後、往復駆動手段１０４の作動により、樹脂製チューブ部材１の端部３ｂ及び樹脂製管継手５１の端部５３ａを溶融状態で相互に接近させて突き合わせ、その温度の低下に伴い、端部３ｂ及び５３ａを硬化させて互いに溶着させる。

　ここでは、クランプ治具１０２の管保持部１０２ａの周囲の側面に、たとえば半径方向、図２では上下方向に延びる直線状等の基準マーク１０２ｃを設けることができる。
　そして、上述したようにして端部３ｂ及び５３ａを溶着させるに当って、樹脂製チューブ部材１を、クランプ治具１０２に保持させる際に、この実施形態の樹脂製チューブ部材１は、その外面に設けた位置調整部４のいずれかを、クランプ治具１０２の基準マーク１０２ｃに目視で合わせることにより、所期したとおりの周方向の向きで、樹脂製管継手５１と端部溶着を容易に行うことが可能になる。このようにして周方向の位置合わせを行う場合、樹脂製チューブ部材１の位置調整部４は、外部から視認可能な位置調整目印とする。
　なお、樹脂製管継手５１の外面にも位置調整部５４を設けるとともに、図示は省略するが、樹脂製管継手５１を保持させるクランプ治具１０３にも基準マークを設けることで、クランプ治具１０３に保持させる際の樹脂製管継手５１の周方向の向きも調整可能である。

　あるいは、樹脂製チューブ部材１に、外面から突出する凸部又は凹部状の位置調整部４を設けるとともに、図示は省略するが、クランプ治具１０２の管保持部１０２ａの、樹脂製チューブ部材１と接触する内面に、位置調整部４の形状に対応する凹部又は凸部を設けることにより、クランプ治具１０２の管保持部１０２ａで、樹脂製チューブ部材１を保持させる際に、それらの凹凸形状を相互に嵌合させることで、目視によらず機械的な嵌合をもって、樹脂製チューブ部材１の周方向の向きを調整することができる。

　さらには、このようなクランプ治具１０２の改良を行わない場合であっても、この実施形態の樹脂製チューブ部材１は、樹脂製管継手５１との端部溶着時の周方向の位置合わせを行うことが可能である。すなわち、図３に側面図で示すように、樹脂製チューブ部材１と連結する樹脂製管継手５１にも、同様の位置調整部５４を予め設けておき、樹脂製チューブ部材１及び樹脂製管継手５１をそれぞれ各クランプ治具１０２、１０３に保持させる際に、目視で確認しながら、樹脂製チューブ部材１の位置調整部４と、樹脂製管継手５１の位置調整部５４が、その周方向で一致するように、樹脂製チューブ部材１ないし樹脂製管継手５１を周方向に回転させて、相互の位置合わせを行うことができる。

　この場合に形成される配管６１は、図４にその一部を示すように、樹脂製管継手５１の外面で、配管６１の周方向において、樹脂製チューブ部材１の位置調整部４を設けた位置と対応する位置に、位置調整部５４が設けられたものになる。ここで、配管６１の周方向において、樹脂製チューブ部材１の位置調整部４を設けた位置と対応する位置とは、樹脂製チューブ部材１の位置調整部４と、樹脂製管継手５１の位置調整部５４との周方向位置が一致する場合だけでなく、図５に拡大図で示すように、配管６１の周方向で、それらの位置調整部４と位置調整部５４との間に、溶着部６２における内部流路の中心軸線Ｃの周りに所定の角度θのずれがある場合を含むことを意味する。そのような所定の角度θのずれは、クランプ治具１０２、１０３での回転角度の制御により実現可能である。ずれの角度θは、任意に設定し、その設定角度分だけ樹脂製チューブ部材１等の回転方向の位置関係を変化させて制御することができる。そのため、この角度θの大きさは、特に限定されるものではないが、たとえば±１°（度）以下とすることが望ましく、より具体的には±０．５°（度）程度以下とする場合がある。

　樹脂製チューブ部材１は、樹脂製管継手５１とは異なり、その全長にわたって均一なストレート形状であることから、溶着時の周方向の向きを決定するための位置調整部４を設けることを要しないようにも思われるが、たとえば、図２に示すように、一端部３ａに他の樹脂製管継手７１が既に連結された樹脂製チューブ部材１の他端部３ｂに、樹脂製管継手５１を連結することもあり、このような場合、樹脂製管継手５１及び他の樹脂製管継手７１は、樹脂製チューブ部材１によって、所期した管路形状の配管６１を構成するように、樹脂製管継手５１と所定の周方向の位置で連結される必要があることから、樹脂製チューブ部材１と樹脂製管継手５１との連結時に、周方向の位置合わせのための樹脂製チューブ部材１の位置調整部４が有効に働くことになる。

　ところで、樹脂製チューブ部材１に設ける位置調整部４は、図示のように、チューブ本体部２の中心軸線Ｃと平行に延びる直線状とすることが、上述したような溶着時の位置合わせをより容易に行うとの観点から好ましい。
　なお、このような直線状の位置調整部４は、図６（ａ）に示すように、中心軸線Ｃと平行に連続的に延びるものとすることができる他、図６（ｂ）に示すように、中心軸線Ｃと平行に断続的に延びるものとすることもできる。

　さらに、このような直線状の位置調整部４は、図６（ｃ）に示すように、チューブ本体部２及び溶着端部３ａ、３ｂの外面のうちの一部だけに延びるものとすることも可能であるが、図６（ａ）や（ｂ）に示す実施形態のように、チューブ本体部２の一端側の溶着端部３ａから他端側の溶着端部３ｂまで、樹脂製チューブ部材１の全長にわたって延びるものとすることがより一層好ましい。
　この場合、位置調整部４、１４が溶着端部３ａ、３ｂまで存在することにより、先述したような溶着時の樹脂製管継手５１の位置調整部５４との目視による位置合わせが容易になる。また、樹脂製チューブ部材１は、それを用いて構成する配管の形状等に応じて、所定の長さに切断して、樹脂製管継手５１又は他の樹脂製チューブ部材と端部で溶着させることがあり、このように短くした樹脂製チューブ部材でも、その外面に必ず存在することになる位置調整部４、１４によって位置合わせを容易かつ確実に行うことが可能になる。

　また、かかる全長にわたる位置調整部４は、樹脂製チューブ部材１の製造時に容易に形成することができるので、製造効率の観点からも有利である。たとえば、樹脂の押出成形により樹脂製チューブ部材１を成形する場合、押出機の吐出口の前方側に配置されるサイジングダイに、吐出口から吐出される樹脂製チューブ素材の外面に向けて突出する引掻きピンを所定の本数で配置しておくことで、樹脂製チューブ素材が吐出口から吐出されたとき、引掻きピンにより自動的に、全長にわたる位置調整部４が形成されることになる。それにより、成形後に位置調整部４の形成を別途行うことが不要になる。なおこの場合は、樹脂製チューブ部材１の外面には、連続的な直線溝状の凹部により位置調整部４が形成される。

　また、位置調整部４、１４、２４は、図示の実施形態のように、樹脂製チューブ部材１の周方向に互いに等しい間隔をおいて複数個所に設けることが好ましい。なかでも、図６（ａ）に示す実施形態では、樹脂製チューブ部材１の全長にわたる直線状の位置調整部４を、周方向に等間隔で８本設けている。
　このことによれば、複数個所の位置調整部４、１４、２４は、たとえば、先述したように、クランプ治具１０２に設けた基準マーク１０２ｃに一致させて、又は、他の樹脂製管継手５１の位置調整部５４と一致させて、クランプ治具１０２に保持させる際に、いわゆる目盛として機能して、周方向の様々な角度にて高い精度で樹脂製管継手５１等と連結することを可能にする。

　そしてまた、位置調整部は、図示は省略するが、樹脂製チューブ部材の外面から突出する凸部で形成することができる。このような凸部の位置調整部は、樹脂製チューブ部材１の強度の低下を招くことがなく、むしろ形状によっては強度を高める点で好ましい。凸部の位置調整部を有する樹脂製チューブ部材を、押出成形により製造するには、樹脂製チューブ部材を成形した後に、位置調整部を後付けすることにより行うことができる他、押出機の吐出口形状等の設計を変更することによっても行うことが可能である。

　この一方で、位置調整部４、１４、２４を、図示の実施形態のように、樹脂製チューブ部材１の外面から窪む凹部により形成することは、製造効率の低下の防止、材料費の増大の抑制等の観点から有効である。凹部の位置調整部４は、上述したように押出機の前方側のサイジングダイに引掻きピンを配置したり、または成形後にカッター等により外面に傷をつけたりすることにより容易に形成することができる。

　なお、樹脂製チューブ部材１は、その溶着端部３ｂを、樹脂製管継手５１の端部５３ａと溶着させるに先立って、樹脂製チューブ部材１のチューブ本体部２を加熱するとともに、所定の大きさの力を作用させることにより、その延在途中で所定の方向に湾曲ないし屈曲させて、チューブ本体部２を曲がり管状とすることも可能である。この場合、特に一端側の溶着端部３ａから他端側の溶着端部３ｂまで延びる位置調整部４、１４においては、湾曲ないし屈曲させた箇所では、位置調整部４、１４が、加熱等によって消失することがあるが、チューブ本体部２の湾曲ないし屈曲箇所以外の箇所や溶着端部３ａ、３ｂでは、位置調整部４、１４が残る。そのため、チューブ本体部２を曲がり管状とした場合であっても、溶着端部３ａ、３ｂ等に存在する位置調整部４、１４により、樹脂製管継手５１の端部５３ａとの溶着時の周方向の位置合わせを有効に行うことができる。

　以上に述べた樹脂製チューブ部材１の材料としては、たとえば、パーフルオロアルコキシアルカン（ＰＦＡ）、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー（ＦＥＰ）又はポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）等を挙げることができるが、ここで挙げた材料以外のものを用いることも可能である。
　なお、樹脂製チューブ部材１のチューブ本体部２の外形は、たとえば、１．５ｍｍ～８０ｍｍ程度とすることができ、また、チューブ本体部２の肉厚は、０．５ｍｍ～２．０ｍｍ程度とすることができる。

　１　樹脂製チューブ部材
　２　チューブ本体部
　３ａ、３ｂ　溶着端部
　４、１４、２４　位置調整部
　５１、７１　樹脂製管継手
　５２　継手本体部
　５３ａ、５３ｂ　溶着端部
　１０１　溶着機
　１０２、１０３　クランプ治具
　１０２ａ、１０３ａ　管保持部
　１０２ｂ、１０３ｂ　ロック手段
　１０２ｃ　基準マーク
　１０４　往復駆動手段
　１０５　加熱装置
　Ｐ　内部流路
　Ｃ　内部流路の中心軸線
　θ　位置調整部間のずれの角度

Claims (10)

1. 　液体を流動させる内部流路を有する直管状のチューブ本体部と、該チューブ本体部の一端および他端のそれぞれに設けられて、樹脂製管継手の端部または他の樹脂製チューブ部材の端部と突き合わせて溶着される溶着端部とを備える樹脂製チューブ部材であって、
   　チューブ本体部及び／又は溶着端部の外面の周方向の一箇所以上に、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材との周方向の位置合わせに用いる位置調整部が設けられてなる樹脂製チューブ部材。
2. 　前記位置調整部を、前記他の樹脂製チューブ部材または樹脂製管継手との目視による周方向の位置合わせに用いる視認可能な位置調整目印としてなる請求項１に記載の樹脂製チューブ部材。
3. 　前記位置調整部を、チューブ本体部の中心軸線と平行に延びる直線状としてなる請求項１又は２に記載の樹脂製チューブ部材。
4. 　直線状の前記位置調整部が、チューブ本体部の一端側の溶着端部から他端側の溶着端部まで樹脂製チューブ部材の全長にわたって延びるものとしてなる請求項３に記載の樹脂製チューブ部材。
5. 　前記位置調整部が、樹脂製チューブ部材の周方向に互いに等しい間隔をおいて複数箇所に設けられてなる請求項１～４のいずれか一項に記載の樹脂製チューブ部材。
6. 　前記位置調整部が、樹脂製チューブ部材の外面から突出する凸部で形成されてなる請求項１～５のいずれか一項に記載の樹脂製チューブ部材。
7. 　前記位置調整部が、樹脂製チューブ部材の外面から窪む凹部で形成されてなる請求項１～５のいずれか一項に記載の樹脂製チューブ部材。
8. 　請求項１～７のいずれか一項に記載の樹脂製チューブ部材、並びに、前記樹脂製チューブ部材と端部同士で溶着されて、該樹脂製チューブ部材に連結された樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材を有する配管であって、
   　前記樹脂製管継手又は他の樹脂製チューブ部材の外面で、当該配管の周方向において、前記樹脂製チューブ部材の前記位置調整部を設けた位置と対応する位置に、位置調整部が設けられてなる配管。
9. 　請求項１～７のいずれか一項に記載の樹脂製チューブ部材を用いて、配管を製造する方法であって、
   　前記樹脂製チューブ部材の前記位置調整部と、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材に設けた位置調整部とを周方向で位置合わせし、前記樹脂製チューブ部材の溶着端部、並びに、樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材の端部のそれぞれを加熱して溶融させ、樹脂製チューブ部材の溶着端部と、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材の端部とを相互に突き合わせて溶着させる、配管の製造方法。
10. 　前記樹脂製チューブ部材の溶着端部を、前記樹脂製管継手または他の樹脂製チューブ部材の端部と溶着させるに先立ち、前記樹脂製チューブ部材のチューブ本体部を、該チューブ本体部の延在方向に屈曲ないし湾曲させて曲がり管状に形成する、請求項９に記載の配管の製造方法。

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