JP5902977B2 - 罫線割れ防止剤 - Google Patents

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Description

本発明は、板紙製造の際に発生する罫線割れを防止する罫線割れ防止剤に関し、より詳細には、サイズ性および軽量化板紙に対応可能な紙力強度を低下させずに、罫線割れを防止することができる罫線割れ防止剤に関する。
板紙は、厚い紙の総称であり、主として、包装材料として使用される段ボール原紙、白板紙などが挙げられる。
例えば段ボールは、コルゲーター(貼合機)でライナー(段ボールの外側を形成する紙)の上に波状に加工された中芯を糊付けし、中芯の上に別のライナーをさらに糊付けした3層構造を有する紙製品である。この段ボールは、さらに製函機で印刷、切り抜き、糊付けなどの工程に供され、折り曲げるための罫線を入れて折り曲げられ、段ボールケース(箱)に加工される。
ところで、段ボール箱に組み立てる際、段ボールシートの表側は相当伸ばされるため、表側のライナーが破断する場合がある。この破断を「罫線割れ」と言い、軽度な場合はライナーの表層がひび割れ状となり、重度な場合はライナーの全層が割れてしまうことさえある。罫線割れは、罫線部折り曲げ時に表層にかかる力に対して表層が耐えられなくなって発生するものであり、表層強度により左右される。また、罫線割れは、冬場の乾燥期に集中して発生するトラブルであり、ライナーの含水率や周囲の温度の低下、ライナーの強度や伸びが低くなると一般に発生し易くなるため、環境によっても影響を受けることが分かっている。特に、ライナーの含水率が6%以下または湿度が35%以下になると発生しやすくなるとの文献報告もあり、ライナーの水分管理も重要な事項である。ライナーの罫線割れが多発すると、手直しや修復ができないため商品価値がなくなり、このような不良品は、屑として売却するかまたは処分するしかない。
また、罫線割れが発生すると、シートの再貼合からやり直さねばならないため、コストの増加、納期の遅延など、大きなクレームになってしまう危険性がある。
さらに近年、紙・板紙のリサイクル化やコストの低減化が進み、再生紙における古紙の割合を高めたり、紙を軽量化したりする方向にある。これらの事象は、罫線割れを悪化させる要因になっており、製造メーカーは割れにくいライナーの製造、段ボールメーカーや製函メーカーは罫線割れを起こしにくい加工条件、輸送条件などを検討する必要がある。
従来、罫線割れ防止方法として、ライナーについては繊維の長い針葉樹パルプを配合し、層間強度を弱めるなどの方法、段ボール加工では段ボールシートの過乾燥を防止するためにコルゲーターで水を噴霧したり、製函する際に蒸気をかけたりする方法が採用されている。
さらに、薬剤を用いた罫線割れ防止方法としては、ライナー表面にグリセリン、ポリエチレングリコールなどの保湿剤(特許文献1および2)あるいは乳酸ナトリウムなどの吸湿剤(特許文献3)を塗布する方法;高分子系添加剤を用いる方法として、パルプスラリーに両イオン性グラフト澱粉重合体(特許文献4)あるいは(メタ)アクリルアミド系の両性またはカチオン性共重合体(特許文献5)を添加して抄紙する方法;界面活性剤を用いる方法として、ラノリン系の非イオン性やアニオン性界面活性剤の紙表面へのスプレーあるいはパルプスラリーへ内添する方法(特許文献6);両性界面活性剤(特許文献7)あるいはポリアルキレンポリアミン脂肪酸エピクロルヒドリン重縮合物などのカチオン性界面活性剤(特許文献8)を塗布する方法が開示されている。
しかし、特許文献1〜8に記載されている薬剤ならびに方法では、罫線割れ防止性に加えて紙力強度、サイズ性が必ずしも良好とはいえず、特にコルゲーターでの過酷な加熱状況に曝された場合、あるいは冬場の乾燥期である低温低湿の環境下で水分率が低下する状況においては、罫線割れが発生しやすい。さらに、最近では生産コストの低減から板紙の軽量化が進み、紙力強度低下を抑制するために紙力増強剤を添加しているが、そのことが原因で、紙が硬くなり罫線割れが発生しやすくなっている。
特開2004−345696号公報 特開2010−260181号公報 特開2007−197845号公報 特開平03−213597号公報 特開平06−184983号公報 特開昭54−106610号公報 特開2001−262496号公報 特開平11−200279号公報
本発明の課題は、サイズ性および軽量化板紙に対応可能な紙力強度を低下させずに、低温低湿の環境下で水分率が低下する状況においても、優れた罫線割れ防止効果を発揮する罫線割れ防止剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)タンパク質類、多糖類、グアガム誘導体、セルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびカルボキシビニルポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の吸水性高分子結合剤と、
多価アルコール、アミノ酸類、ベタイン類および乳酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の保湿剤と、
を含有することを特徴とする、罫線割れ防止剤。
(2)前記吸水性高分子結合剤を0.001〜90質量%および前記保湿剤を10〜99.999質量%(但し、吸水性高分子結合剤および保湿剤は、合計で100質量%)の割合で含有する、(1)に記載の罫線割れ防止剤。
(3)前記吸水性高分子結合剤が、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、(1)または(2)の罫線割れ防止剤。
(4)前記保湿剤が、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール(平均分子量1000以下)、グリシン、グリシンベタインからなる群より選択される少なくとも1種である、(1)〜(3)のいずれかの項に記載の罫線割れ防止剤。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の罫線割れ防止剤を、有効成分量換算で0.01〜10g/m2の割合で板紙に付与する、板紙の罫線割れ防止方法。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の罫線割れ防止剤を、有効成分量換算で0.01〜10g/m2の割合で板紙に付与する、板紙の製造方法。
本発明によれば、サイズ性および軽量化板紙に対応可能な紙力強度を低下させずに、低温低湿の環境下で水分率が低下する状況においても、優れた罫線割れ防止効果を発揮する。
本発明の罫線割れ防止剤は、タンパク質類、多糖類、グアガム誘導体、セルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびカルボキシビニルポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の吸水性高分子結合剤(以下、「A成分」と記載する場合がある)と、多価アルコール、アミノ酸類、ベタイン類および乳酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の保湿剤(以下、「B成分」と記載する場合がある)とを含有する。
板紙の原紙は、古紙からのリサイクルが繰り返されると、繊維長の短いパルプが増加するため、ひび割れ、罫線割れなどが起こりやすくなり、強度も低下する。
さらに、湿度変化と紙力強度との関係では、水分の増減は、繊維間結合と紙の剛直性および柔軟性との両面で紙力強度に影響する。水分が少なくなると、紙は剛直性を増すために罫線割れを生じ易くなる。一方、水分が多くなると、繊維間結合が弱くなるため紙の引張り強さや破裂強さなどの強度は低下する。
本発明の罫線割れ防止剤は、A成分およびB成分を含有するため、以下のような理由によって罫線割れを生じにくくしていると推察される。
(i)A成分(吸水性高分子結合剤)が、パルプ(セルロース)繊維の表面に配向してパルプ繊維間の結合力を保つことで紙力の低下を抑制し、さらにA成分は、自重の数十倍から数百倍の水を吸って保持することから、板紙に含まれる水分の湿度環境による変化を抑制することが可能となる。
(ii)B成分(保湿剤)は、A成分およびパルプ繊維と親和性がよく、パルプ繊維間の細かい部分にも浸透するので、パルプ繊維全体に効率よく保湿性を付与することができる。そのため、低温低湿で水分率が低下する環境下においても、ある程度の水分量を保持することができ、板紙に伸縮性を付与することができる。
(iii)このようなA成分が有する効果とB成分が有する効果とが相俟って、罫線割れを生じにくくしていると推察される。
本発明の罫線割れ防止剤に含有される吸水性高分子結合剤は、タンパク質類、多糖類、グアガム誘導体、セルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびカルボキシビニルポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である。
タンパク質類としては、例えば、グルテン、セリシン、カゼイン、ゼイン、ゼラチン、コラーゲン、大豆タンパク質、酵母タンパク質などが挙げられる。
多糖類としては、例えば、アラビアガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラヤガム、カラギーナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン(代表的なものとして、ローカストビーンガム、グアガム、フェヌグリークガム、タラガム、カシアガムなど)、プルラン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、水溶性コーンファイバー、アルギン酸塩、寒天、アガロペクチン、ペクチン、フコイダン、ポルフィラン、水溶性キチン、キトサン塩、ポリガラクトサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも、分子中にマンノースを含有するグルコマンナン、キサンタンガム、ローストビーンガムなどが好ましく、例えば、三栄源エフエフ・アイ(株)製のビストップD−2131(グルコマンナン100質量%)およびゲルアップWG−100(ローカストビーンガム11質量%、カラギーナン24質量%、キサンタンガム11質量%、ジェランガム5.5質量%配合)、清水化学(株)製のレオレックスRS(グルコマンナン90質量%以上)、三晶(株)製のKELZAN(キサンタンガム100質量%)などが挙げられる。
グアガム誘導体としては、例えば、ヒドロキシエチルグアーガム、カルボキシメチルグアガム、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアガム、カチオン化グアガムなどが挙げられる。
セルロース誘導体としては、例えば、セルロースに存在する多数の水酸基(−OH)の一部をエーテル化し、セルロースに存在する多数の水酸基に起因する分子間の水素結合を消失させることにより、水溶性が付与されたセルロースエーテルが挙げられる。具体的には、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。これらの中でもエーテル化度(置換度)0.6〜1.9のヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)としては、例えば、信越化学工業(株)製のメトローズ60SH(エーテル化度1.9)、メトローズ65SH(エーテル化度1.8)、メトローズ90SH(エーテル化度1.4)などが挙げられる。ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)としては、例えば、信越化学工業(株)製のメトローズSEB(エーテル化度1.5)、メトローズSNB(エーテル化度1.5)などが挙げられ、カルボキシメチルセルロース(CMC)としては、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩であってもよく、例えば、ダイセルファインケム(株)製のCMCダイセル1150(エーテル化度0.6〜0.8)、CMCダイセル1160(エーテル化度0.6〜0.8)、CMCダイセル1170(エーテル化度0.6〜0.8)、CMCダイセル1350(エーテル化度1.0〜1.5)などが挙げられる。
ポリエチレンオキシド(PEO)としては、例えば、平均分子量30万〜600万のものが好ましく、例えば、明成化学(株)製のアルコックスE−30(数平均分子量約30万)、アルコックスE−60(数平均分子量約100万)、アルコックスE−75(数平均分子量約200万)、アルコックスE−160(数平均分子量約360万)、アルコックスE−300(数平均分子量約600万)などが挙げられる。
ポリビニルアルコール(PVA)としては、例えば、重合度1500〜3300、ケン化度78%以上のケン化ポリビニルアルコールが好ましく、日本酢ビ・ポバール(株)製のJP−33(重合度3300、ケン化度87%)、(株)日本合成化学製のゴーセノールKH17(重合度1700、ケン化度79%)、(株)クラレ製のPVA420(重合度2000、ケン化度79%)、PVA424H(重合度2400、ケン化度79%)、PVA217(重合度1700、ケン化度87%)などが挙げられる。
カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、0.2質量%の水溶液とした場合に1000〜50000mPa・sの粘度(BH型回転粘度計、20℃)を有するものが好ましく、カルボキシビニルポリマーにはナトリウム塩も含まれる。具体的には、NOVEON社製のカーボポール914、934、934P、940、941、971P、974P、980、981、2984、5984、ETD2050、Ultrez10、日本純薬(株)製のジュンロンPW−110、PW−111、PW−150、PW−302、PW−310、PW−350、和光純薬工業(株)製のハイビスワコー103、104、105、住友精化(株)製のAQUPECHV−501、HV−504、HV−505などが挙げられる。
これらの吸水性高分子結合剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン、ガラクトマンナンなどの多糖類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールなどは、パルプ繊維間の結合力を保持し、高い吸水性および保水性を有する点で好ましい。
本発明の罫線割れ防止剤に含有される保湿剤は、多価アルコール、アミノ酸類、ベタイン類および乳酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種である。このような化合物は、吸水性高分子結合剤およびパルプ繊維に対して優れた親和性を有する。
多価アルコールとしては、分子中に水酸基(−OH)を2個以上もつ、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、マルチトール、マルトース、トレハロース、フラクトース、キシリトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、グルコース、ポリグリセリン(例えばジグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン)や、これらのアルキレンオキサイド付加物である、平均分子量が1000以下のポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)、グリセリンエチレンオキサイド付加物、グリセリンプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物、ソルビトールエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。平均分子量が1000以下のポリエチレングリコールとしては、例えば、三洋化成工業(株)製のPEG−200、300、400、600、1000(数字は平均分子量(水酸基価から求めた値))などが挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられる。
ベタイン類としては、アミノ酸のN−トリアルキル置換体であるグリシンベタイン、γ−ブチロベタイン、β−アラニンベタイン、グルタミン酸ベタイン、フェニルアラニンベタイン、アラニンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、タウロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、アトリニン、ホモセリンベタイン、アントプレウリン、スタキドリンなどが挙げられる。
これらの保湿剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特にグリセリン、ソルビトール、グルコース、ポリグリセリン、平均分子量1000以下のポリエチレングリコール、グリシン、グリシンベタインなどは、高い保湿性を有し、板紙に伸縮性を付与する点で好ましい。
本発明の罫線割れ防止剤は、上述のように、A成分(吸水性高分子結合剤)およびB成分(保湿剤)を含有するが、両成分を含有していれば、それらの含有量は、特に限定されない。
A成分は、好ましくは0.001〜90質量%、より好ましくは0.01〜30質量%、特に好ましくは0.1〜20質量%の割合で含有される。
B成分は、好ましくは10〜99.999質量%、より好ましくは70〜99.99質量%、特に好ましくは80〜99.9質量%の割合で含有される。
なお、A成分とB成分との合計が100質量%であることは、いうまでもない。
A成分およびB成分がこのような割合で含有されると、パルプ繊維間の結合力や、吸水性と保湿性とが非常に好ましく保たれ、より効率よく罫線割れを防止することが可能となる。
本発明の罫線割れ防止剤が適用される板紙は、包装用に使用できる板紙であれば特に制限はなく、例えば、段ボール原紙(ライナー、中芯原紙など)、白板紙(牛乳パック、食品向けパッケージ、ティッシュボックス、日用雑貨向けパッケージなどに使用される白板紙)などが挙げられる。
板紙の製造方法は、特に制限されない。板紙は、基本的には、木材からパルプ化工程を経て得たパルプやリサイクル古紙から作った古紙パルプを用い、紙料調成工程、抄紙工程、必要に応じて塗工・加工工程(乾燥)を通り、さらに仕上工程を経て製造される。
パルプは、原料または製造方法によって分類される。原料による分類では、赤松、エゾ松、トド松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルースなどの針葉樹から得られる針葉樹パルプ(NP);ブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、オーク、ポプラ、アルダーなどの広葉樹から得られる広葉樹パルプ(LP)などが挙げられる。また、製造方法による分類では、化学パルプ(CP)、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、アルカリパルプ(AP)、セミケミカルパルプ(SCP)、機械パルプ(MP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、砕木パルプ(GP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、晒パルプ(BP)、未晒パルプ(UP)、粕パルプ(TP))など、針葉樹パルプ(NP)および広葉樹パルプ(LP)に種々の処理を施して得られるパルプが挙げられる。
さらに、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)など、原料および製造方法の両方を組み合わせて称するパルプもある。
また、新聞、雑誌、オフィス用紙、情報用紙、段ボ−ル、紙器箱などのリサイクル古紙原料から得られるディインキングパルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)などの古紙パルプもパルプの一種として挙げられる。なお、古紙パルプの含有率は、特に限定されず、100%古紙パルプであってもよい。
抄紙工程は、一般にワイヤーパート、プレスパート、ドライパート、カレンダーパートからなる。抄紙系は酸性、中性およびアルカリ性のいずれでもよく、ワイヤーパートの抄紙機は、例えば長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機、ヤンキー抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機などの公知の種々の抄紙機を適宜使用することができ、一般的には厚手の紙のため3層以上、9層以下の多層に抄き合わされ、プレスパートでプレスし搾水される。さらにドライヤシリンダ、カンバス、ドレネージシステム、フード給排気システム、熱風吸込装置で構成されるドライパートで湿紙の水分が調整される。カレンダーパートでは紙に圧力をかけ紙厚の調整や平滑性などが付与される。紙により高度な印刷適性や特性を付与するために、必要に応じてサイズプレス、塗工機(コータ)などの装置をドライパートの中間や後に設置し、紙力増強剤、サイズ剤、填料、着色剤、クリアコート剤などを塗布し、必要に応じて乾燥する。
最終の仕上工程のリールとの間にはBMC計(坪量、水分、キャリパ測定)、欠点検出器(異物検出)、カラーセンサー等が設置されていることが多く品質管理がされ、仕上工程でリール、アンリール、リワインダから構成される設備により巻き取ることで製造される。
本発明の罫線割れ防止剤が適用される板紙の坪量は特に限定されず、一般的な板紙に採用される坪量(通常、80〜320g/m2)であれば問題はない。
本発明の罫線割れ防止剤は、A成分およびB成分を、例えば室温(20℃)から90℃程度で均一になるまで撹拌して得られる。本発明の罫線割れ防止剤は、そのまま用いてもよく、水などの溶媒で希釈して用いてもよい。希釈する場合、本発明の罫線割れ防止剤100質量部に対して、溶媒は150〜600000質量部の割合で用いるのが好ましい。なお、本発明の罫線割れ防止剤を調製した後に溶媒を添加してもよく、A成分、B成分および溶媒を混合して、20〜90℃程度で均一になるまで撹拌してもよい。
罫線割れ防止剤を板紙へ付与する方法は、特に限定されない。例えば、板紙に塗布する(板紙の片面または両面に塗布(あるいはスプレー)する)塗布法(外添(外部添加)方式)、パルプスラリーへ内添する内添法(内添(内部添加)方式)などが挙げられる。罫線割れ防止剤の歩留まり性および作業性の点から、罫線割れ防止剤(必要に応じて溶媒で希釈して)を板紙の表面に塗布し、必要に応じて乾燥する塗布法が特に好適である。片面のみに塗布する場合は、曲げ応力が大きくかかる表層面に塗布すればよい。塗布設備は、塗工・加工工程などで通常採用される任意の設備で良く、例えば、バーコータ、ロッドメタリングコータ、ブレードコータ、グラビアコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、マシンカレンダーに付けられた水ドクターなどが用いられ、板紙製造におけるオンライン処理でもオフライン処理でも良い。なお、罫線割れ防止剤をダンボール製造時に付与するには、貼合工程のコルゲーターに設置された噴霧機などが用いられる。
本発明の罫線割れ防止剤は、板紙の表層面に有効成分量換算で0.01〜10.0g/m2、好ましくは0.05〜1.0g/m2の割合で塗布される。塗布量が10.0g/m2を超える場合、繊維間結合力が強くなり過ぎ、板紙の反りおよび過剰な保湿による紙力強度の低下が発生するおそれがある。一方、塗布量が0.01g/m2未満の場合、十分な繊維間結合力および保湿力が得られない。罫線割れ防止剤が塗布された板紙は、必要に応じて乾燥してもよい。すなわち、マシンカレンダーによる塗布では紙の自熱乾燥となるが、他の塗布設備の場合には、多筒式ドライヤー、ヤンキー(回転式ドラム)ドライヤーなどの乾燥設備により加熱乾燥を行うことができる。その時、板紙の含有水分率は、好ましくは6〜9%、より好ましくは7.5〜8.5%に調整する。なお、ライナーの仕上げ(ライナー抄紙工程のリール巻き取り時)での水分値の品質規格(JIS)としては6〜9%と定められている。また、本発明の罫線割れ防止剤を付与した板紙を用いたダンボール製造における加熱を伴う貼合工程での過乾燥に対しては、ダンボールに水を噴霧したりダンボールを水蒸気に曝したりして、ダンボールの含有水分率を6〜9%に調整することが好ましい。このように調整することによって、環境が低温低湿へと変化した場合でも罫線割れ防止剤の保水性により、板紙の罫線割れはさらに防止できる。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の罫線割れ防止剤と共に、通常、板紙製造の際に用いられる添加剤を用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、紙力増強剤、サイズ剤、歩留り向上剤、填料(例えば、硫酸アルミニウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、タルク、焼成カオリン、ホワイトカーボン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子など)、嵩高剤、濾水剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)などが挙げられる。
これらの添加剤の中で、特に板紙の性能に影響を与える薬剤としては、紙に強度を付与するための紙力増強剤、印刷時にインキの滲みの防止と耐水性付与のためのサイズ剤、製紙工程においてパルプ繊維および填料の歩留まりを向上させるための歩留まり向上剤などが挙げられる。
紙力増強剤は、内添または外添方式(表面塗工)で添加使用される。内添方式のものは乾燥紙力増強剤および湿潤紙力増強剤に区別され、乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、両性澱粉などの変性澱粉やノニオン性、カチオン性、アニオン性、および両性のポリアクリルアミド系紙力増強剤などが挙げられる。ポリアクリルアミド系紙力増強剤は、(メタ)アクリルアミドモノマーを主原料として、各種のアニオン性およびカチオン性モノマーなどを適宜選択し、水溶媒中で重合して、目的に応じた性能の紙力増強剤を製造することができ、種々の公知の紙力増強剤が使用できる。湿潤紙力増強剤としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂などが挙げられ、耐水段ボールなど、水分を含んだ状態で強度を付与することができる。一方、外添方式(表面塗工)では、内添方式と同様の紙力増強剤が表面塗工型紙力増強剤として使用され、紙の表面に塗布またはスプレーされる。
サイズ剤は、内添または外添方式(表面塗工)で添加使用される。内添方式のものはパルプスラリー中に添加されるため、内添サイズ剤と称され紙中に含有される。一方、外添方式のものは、紙の表面に塗工されるため、表面サイズ剤と称され、紙の表面に薬剤を存在させることができ、内添サイズ剤と比較して歩留まりが高く効率的である。サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(AKD系サイズ剤)、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤(ASA系サイズ剤)や、スチレン/マレイン酸系共重合体、スチレン/アクリル酸系共重合体、オレフィン系サイズ剤(エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン、オクテン、デセンなどを共重合したもの)、オレフィン/マレイン酸系共重合体、ウレタン系共重合体などの合成ポリマー系サイズ剤などの公知のサイズ剤が挙げられる。合成ポリマー系サイズ剤は、特に外添方式に好ましく、紙の用途、要求品質などに応じて、種々適応した組成のサイズ剤を設計でき、他の添加剤との相溶性に対しても、アニオン性、カチオン性、ノニオン性など各種イオン性の薬剤が存在するので、適宜選択使用できる。
歩留まり向上剤としては、パルプ繊維の定着剤としての硫酸アルミニウム、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアミンなどが挙げられる。
本発明の罫線割れ防止剤と添加剤(塗工剤)とを板紙表面に塗布する方法については、例えば、以下の3通りの方法が挙げられる。なお、板紙に罫線割れ防止剤と添加剤(塗工剤)とを塗布できる方法であれば、これらの方法に限定されない。
(1)板紙表面に、本発明の罫線割れ防止剤と塗工剤とを混合したものを塗布し、必要に応じて乾燥する方法。
(2)板紙表面に、まず本発明の罫線割れ防止剤を塗布し、必要に応じて乾燥し、次いで塗工剤を塗布し、必要に応じて乾燥する方法。
(3)板紙表面に、まず塗工剤を塗布し、必要に応じて乾燥し、次いで本発明の罫線割れ防止剤を塗布し、必要に応じて乾燥する方法。
上記の(1)〜(3)のいずれの方法を採用しても、十分に罫線割れ防止という効果を発揮することができるが、これらの方法の中でも(1)または(2)の方法が好ましい。(1)または(2)の方法を採用すると、罫線割れ防止剤が、板紙の表面層に浸透して広がりやすく、効率よくパルプ繊維全体に行き渡る。そのため、板紙に伸縮性および保水性を効率よく付与することができ、罫線割れをより効果的に防止することができる。さらに、作業性、生産性、コスト、設備などを考慮すると、(1)の方法(一括塗工)がより好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いたA成分(吸水性高分子結合剤)を以下に示す。
A成分1:多糖類(グルコマンナン90%以上:レオレックスRS、清水化学(株)製)
A成分2:多糖類(キサンタンガム100%:KELZAN、三晶(株)製)
A成分3:PVA(重合度2000、ケン化度79%:PVA420、(株)クラレ製)
A成分4:PVA(重合度1700、ケン化度79%:ゴーセノールKH17、(株)日本合成化学製)
A成分5:PVA(重合度2400、ケン化度79%:PVA424H、(株)クラレ製)
A成分6:PVA(重合度1700、ケン化度87%:PVA217、(株)クラレ製)
A成分7:PVA(重合度3300、ケン化度87%:JP−33、日本酢ビ・ポバール(株)製)
A成分8:セルロース誘導体(HPMC、エーテル化度1.4:メトローズ90SH、信越化学工業(株)製)
A成分9:セルロース誘導体(CMC、エーテル化度0.6:CMCダイセル1160、ダイセルファインケム(株)製)
A成分10:セルロース誘導体(HPMC、エーテル化度1.9:メトローズ60SH、信越化学工業(株)製)
A成分11:PEO(平均分子量360万:アルコックスE−160、明成化学(株)製)
A成分12:PEO(平均分子量30万:アルコックスE−30、明成化学(株)製)
A成分13:PEO(平均分子量600万:アルコックスE−300、明成化学(株)製)
実施例および比較例で用いたB成分(保湿剤)を以下に示す。
B成分1:グリセリン
B成分2:ポリエチレングリコール(平均分子量400、PEG−400、三洋化成工業(株)製)
B成分3:グリシン
B成分4:ソルビトール
B成分5:グリシンベタイン
比較例で用いた化合物を以下に示す。
化合物1:ポリアクリルアミド(カチオン性PAM:メイプロフロック、三晶(株)製)
化合物2:ポリアルキレンポリアミン脂肪酸アミドエピクロルヒドリン重縮合物(PAE、カチオン性界面活性剤:ソフロンAW、ミヨシ油脂(株)製)
実施例および比較例で用いた塗工剤を以下に示す。
塗工剤1:アニオン性ポリアクリルアミド系紙力増強剤(アニオン性PAM:ハリコートG−56、有効成分30%、ハリマ化成(株)製)
塗工剤2:ノニオン性ポリアクリルアミド系紙力増強剤(ノニオン性PAM:ハリコート1059、有効成分20%、ハリマ化成(株)製)
塗工剤3:カチオン性合成ポリマー系表面サイズ剤(カチオン性合成高分子系SFS:ハーサイズCP−230、有効成分20%、ハリマ化成(株)製)
(罫線割れ防止剤の調製)
表1および2に示すA成分およびB成分を、表1および2に記載の質量比で用いて、以下の方法によって罫線割れ防止剤1〜49を調製した。なお、罫線割れ防止剤48では、A成分の代わりに化合物1を用い、罫線割れ防止剤49では、B成分の代わりに化合物2を用いた。
塗布試験では、有効成分が0.0167〜40質量%となるような適量の水に、A成分を少量ずつ投入し、投入終了後、室温で120分間撹拌して溶解させた。次いで、B成分を投入して均一に溶解するまで撹拌し、所定濃度の罫線割れ防止剤1〜49の水溶液を得た。なお、罫線割れ防止剤40〜49は、本発明の罫線割れ防止剤に包含されないものである。
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(実施例1〜41および比較例1〜12)
<環境試験1>
サンプル紙として、古紙パルプおよび針葉樹未晒クラフトパルプを主体とする坪量250g/m2の段ボール用Kライナーを用いた。
まず、このサンプル紙を50×100mm角に裁断して、乾燥機に静置して105℃で3時間乾燥した。乾燥後、吸湿する前にデシケーターに入れて冷却し、冷却後、絶乾質量を測定した。次いで、得られたサンプル紙を、25℃、40%の恒温恒湿環境下で12時間以上保管した後、塗布試験用の試験片を得た。
次いで、得られた試験片の片面に、表1および2に示す罫線割れ防止剤1〜49を、罫線割れ防止剤(水溶液)の塗布量が有効成分量換算で0.5g/m2(但し、実施例40は0.01g/m2、実施例41は10g/m2、比較例11は0.005g/m2、および比較例12は12g/m2)、いずれも水溶液としての吸液量が30g/m2となるように調製して、No.8バーコータを用いて塗布した。なお、罫線割れ防止剤を塗布しなかった試験片をブランク1(未塗布)、水のみを塗布して30g/m2の割合で吸液させた試験片をブランク2(水塗布)とした。塗布後、回転式ドラムドライヤーを用いて80℃で90秒間乾燥した(試験片1〜41、ブランク試験片1および2、ならびに比較試験片1〜12)。吸湿する前にガラス瓶に入れて蓋をし、20℃で12時間保管後、各試験片の含有水分率を算出した。次いで、過酷な乾燥状態を想定して各試験片の含有水分率が3%となるように、各試験片に環境中の水分を吸湿させ、各試験片の罫線割れ長さ率を求めた。結果を表3および4に示す。
<含有水分率>
含有水分率は、紙および板紙−ロットの水分試験方法(JIS P−8127)に準じて、罫線割れ防止剤塗布前のサンプル紙の絶乾質量、罫線割れ防止剤の塗布質量(有効成分)、および保管後または吸湿後のサンプル紙の質量を測定し、下記式を用いて含有水分率を算出した。
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<罫線割れ長さ率>
罫線割れ長さ率は、試験片の含有水分率算出後、試験片を素早くステンレス板に乗せ、塗布層が外側になるように、繊維の配向方向に対して直角方向に、一定の荷重を負荷して折り曲げた。折り目を目視で観察し、ひび割れの長さを定規で測定し、下記式を用いて試験片の折り目全体の長さに対する百分率を、罫線割れ長さ率として算出した。罫線割れ長さ率は、値が小さいほど、罫線割れの発生が少ないことを示す。なお、全ての試験片において同じ強さの荷重を負荷していることは、いうまでもない。
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表3および表4は、過酷な乾燥状態(含有水分率3%)の下での罫線割れ長さ率を示している。表3に示すように、本発明の罫線割れ防止剤(罫線割れ防止剤1〜39)を用いた実施例1〜39では、罫線割れ長さ率が56〜76%である。一方、表4にはブランクおよび比較例を示しているが、ブランク1(未塗布)および2(水塗布)では98%以上であり、A成分またはB成分のいずれか一方しか含まない罫線割れ防止剤40〜47を用いた比較例1〜8でも、77〜88%と高い。本発明の罫線割れ防止剤を用いた場合、A成分またはB成分のいずれか一方しか含まない罫線割れ防止剤40〜47を用いた場合よりも罫線割れ長さ率は低く、本発明の罫線割れ防止剤は、A成分とB成分との相乗効果を発揮していることがわかる。
また、カチオン性PAMおよびB成分(グリセリン)を含む罫線割れ防止剤48を用いた比較例9では、罫線割れ長さ率が88%、A成分(グルコマンナン)およびPAE(カチオン性界面活性剤)を含む罫線割れ防止剤49を用いた比較例10では、罫線割れ長さ率が90%と高い。
なお、本試験では含有水分率が3%と極端に低く、上述のように水分が低くなると紙は剛直性を増すために繊維間の柔軟性が減少するので、罫線割れ長さ率は全体的に高い傾向にある。但し、例えばライナーの仕上げでの水分値の品質規格は6〜9%と定められており、含有水分率が極端に低くならないように、従来、水分調整が成されている。
さらに、同じ罫線割れ防止剤(罫線割れ防止剤25)を用いて、塗布量の違いによる罫線割れ長さ率を検証した。罫線割れ防止剤25を有効成分量換算で0.01g/m2および10g/m2の割合で塗布した場合(実施例40および41)、試験片の罫線割れを効率よく防止している。一方、罫線割れ防止剤25を有効成分量換算で0.005g/m2および12g/m2の割合で塗布した場合(比較例11および12)、いずれも十分な罫線割れ防止効果は得られなかった。特に、罫線割れ防止剤の塗布量が多すぎる場合、繊維間結合力が強くなる傾向にあり、試験片に僅かな反りが発生すると推察され、罫線割れ長さ率も高くなる。
本発明の罫線割れ防止剤は、板紙に適量塗布することにより、過酷な乾燥工程に曝された場合においても、優れた罫線割れ防止性を有することがわかる。
(実施例42〜82および比較例13〜24)
<環境試験2>
上述の環境試験1と同様の方法で得られた試験片1〜41、ブランク試験片1および2、ならびに比較試験片1〜12を、直ちに平均的環境(A)を想定した温度20℃、湿度70%の恒温恒湿環境下で12時間静置し、吸湿後の含有水分率を算出した。次いで、低温低湿環境(B)を想定した温度5℃、湿度30%の恒温恒湿環境下で12時間静置した後、サンプル紙の含有水分率を算出した。保水率は、下記式を用いて算出した。
保水率を算出した後、上述の環境試験1と同様の方法で、罫線割れ長さ率を算出した。結果を表5および6に示す。
Figure 0005902977
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表5および6に示すように、平均的環境(A)(温度20℃、湿度70%)での含有水分率は、本発明の罫線割れ防止剤1〜39(実施例42〜80)を用いた場合では、7.73〜7.90%である。一方、ブランク1(未塗布)および2(水塗布)では7.5%程度、A成分またはB成分のいずれか一方しか含まない罫線割れ防止剤40〜47(比較例13〜20)、カチオン性PAMおよびB成分(グリセリン)を含む罫線割れ防止剤48(比較例21)、およびA成分(グルコマンナン)およびPAE(カチオン性界面活性剤)を含む罫線割れ防止剤49(比較例22)を用いた場合でも、7.63〜7.72%である。
さらに、低温低湿環境(B)(温度5℃、湿度30%)での含有水分率は、ブランク1および2では4.5%程度、比較例13〜22でも4.65〜4.88%である。一方、実施例42〜80では、5.08〜5.22%である。
このように、実施例42〜80の含有水分率は、平均的環境(A)および低温低湿環境(B)のいずれの環境下においても、比較例13〜22の含有水分率よりも高く、A成分とB成分との相乗効果を発揮していることがわかる。
環境変化に対する保水率は、ブランク1および2では60%程度、比較例13〜22では60.5〜63.6%である。一方、実施例42〜80では、65.2〜67.5%であり、A成分とB成分との相乗効果を発揮していることがわかる。
環境変化後の罫線割れ長さ率は、ブランク1および2や比較例16〜22ではいずれも20%を超えているのに対し(21〜39%)、実施例42〜80ではいずれも20%未満である(6〜19%)。このように、本発明の罫線割れ防止剤は、A成分とB成分との相乗効果を発揮していることがわかる。
さらに、同じ罫線割れ防止剤(罫線割れ防止剤25)を用いて、塗布量の違いによる含有水分率、保水率および罫線割れ長さ率を検証した(実施例81および82ならびに比較例23および24)。
罫線割れ防止剤の塗布量が少なすぎる場合(比較例23)、罫線割れ長さ率が高い(罫線割れが生じやすい)だけでなく、保水率も低いことがわかる。一方、罫線割れ防止剤の塗布量が多すぎる場合(比較例24)、保水率は高いものの、罫線割れ長さ率が高いことがわかる。
本発明の罫線割れ防止剤は、吸水性に優れ、低温低湿への環境変化においても優れた保水性を有し、板紙に適量塗布することにより、罫線割れ防止性を発揮することがわかる。また罫線割れ防止性は、上述の環境試験1の結果と照し合せると、含有水分率が低いと罫線割れ長さ率は高く、含有水分率に影響されることがわかる。すなわち、環境試験1の結果、ライナーの仕上げでの水分値の品質規格と総合すると、板紙製造における乾燥あるいはダンボール製造における加熱を伴う貼合工程などにおいては、乾燥条件設定の変更や、状況に応じて水を噴霧したり蒸気をかけたりなどして、板紙の含有水分率を6〜9%に調整することで、環境が低温低湿へと変化した場合でも罫線割れ防止剤の保水性により、板紙の罫線割れを防止することができる。また、環境変化に対し保水性が高いことは含有水分率の変動が低減できるので、環境変化に対するサイズ性への影響も、より低減できると推察できる。
(実施例83〜121)
<物性評価試験>
サンプル紙として、古紙パルプを主体とする坪量210g/m2の段ボール用ライナー未塗工紙を用いた。
表1に示す罫線割れ防止剤1〜39を、罫線割れ防止剤(水溶液)の塗布量が有効成分量換算で0.5g/m2、いずれも水溶液としての吸液量が10g/m2となるように調製して、No.4バーコータを用いて、サンプル紙(250×300mm)の片面に塗布した。なお、罫線割れ防止剤を塗布しなかったサンプル紙をブランク1(未塗布)、水のみを塗布して10g/m2の割合で吸液させたサンプル紙をブランク2(水塗布)とした。塗布後、回転式ドラムドライヤーを用いて80℃で90秒間乾燥した。乾燥後、直ちにJIS標準条件である温度23℃、湿度50%の恒温恒湿環境下で24時間静置した後、サンプル紙のサイズ性(コッブ吸水度)および強度特性(比破裂強さ)の評価を行った。結果を表7に示す。
<サイズ性>
サイズ性は、吸水度試験方法(コッブ法、JIS−P8140)に準じて評価した(水との接触時間2分)。
<強度適性>
比破裂強さは、紙−破裂強さ試験方法(JIS−P8112)に準じて評価した。
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表7に示すように、本発明の罫線割れ防止剤を塗布しても、ブランク1(未塗布)、ブランク2(水塗布)と比較して、サイズ性(コッブ吸水度)および強度特性(比破裂強さ)に対して悪影響を与えないことがわかる。
このように各試験によれば、本発明の罫線割れ防止剤は、A成分(吸水性高分子結合剤)がパルプ(セルロース)繊維の表面に配向してパルプ繊維間の結合力を保つことで紙力の低下を抑制するとともに水分を保持し、かつB成分(保湿剤)がパルプ繊維全体に効率よく保湿性を付与するとともに板紙に伸縮性を付与するため、これらの効果が相俟って、サイズ性および紙力強度を低下させずに、過酷な乾燥状況に曝された場合、あるいは冬場の乾燥期などの板紙の含有水分率が低下する場合においても、罫線割れを効果的に防止できることが推察される。
(実施例122〜136および比較例25、26)
<塗工剤(紙力増強剤)との併用試験>
次に、本発明の罫線割れ防止剤を、一般的な製紙用紙力増強剤と併用した場合の効果について試験した。
サンプル紙として、古紙パルプを主体とする坪量210g/m2の段ボール用ライナー未塗工紙を用いた。
表1に示す罫線割れ防止剤17、33、35、36、38および塗工剤1、2を用い、罫線割れ防止剤(水溶液)および塗工剤(水溶液)の塗布量が、それぞれ有効成分量換算で0.1g/m2、いずれも水溶液としての吸液量が10g/m2となるように調製して、No.4バーコータを用いて、サンプル紙(250×300mm)の片面に塗布した。塗工方法は、表8に記載の方法で行った。一括塗工は、罫線割れ防止剤と塗工剤とを混合し、それぞれ有効成分量換算で0.1g/m2、水溶液としての吸液量が10g/m2となるように調製して、No.4バーコータを用いて塗布した。なお、水のみを塗布して10g/m2の割合で吸液させたサンプル紙をブランク(水塗布)とした。
塗布後、回転式ドラムドライヤーを用いて80℃で90秒間乾燥した(罫線割れ防止剤と塗工剤とを個別に塗布した場合は、塗布ごとに乾燥)。乾燥後、直ちにJIS標準条件である温度23℃、湿度50%の恒温恒湿環境下で24時間静置した後、サンプル紙の罫線割れ長さ率、サンプル紙のサイズ性(コッブ吸水度)および強度特性(比破裂強さ)の評価を行った。結果を表8に示す。
<罫線割れ長さ率>
罫線割れ長さ率は、24時間恒温恒湿環境下静置したサンプル紙を、塗布層が外側になるように、繊維の配向方向に対して直角方向に半分に折りたたみ、テスト用キャレンダーを線圧55Kg/cmの条件で通過させた。試験片の大きさは、長さ(繊維配向方向)10cm、幅12cmである。折り目を目視で観察し、ひび割れの長さを定規で測定し、上記環境試験1で用いた式と同じ式を用いて試験片の折り目全体の長さに対する百分率を、罫線割れ長さ率として算出した。
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表8に示すように、本発明の罫線割れ防止剤と一般的な製紙用塗工剤(紙力増強剤)とを併用した場合、罫線割れ防止剤を単独で使用した場合より罫線割れ防止性は低下する傾向にあるが、ブランクや塗工剤単独使用の場合に比べて十分な罫線割れ防止効果を維持している(実施例122〜136)。一方、サイズ性(コッブ吸水度)、強度特性(比破裂強さ)は共に、罫線割れ防止剤を単独で使用した場合は、ブランク(水塗布)と比較してサイズ性および強度特性に著しい影響を与えることなく、さらに罫線割れ防止剤と塗工剤とを併用した場合でも、ブランク(水塗布)や塗工剤を単独で使用した場合(比較例25、26)と遜色のないサイズ性および強度特性を有している。
本発明の罫線割れ防止剤は、単独で使用した場合と同様に、一般的な製紙用塗工剤(紙力増強剤)と併用した場合でも板紙の物性に悪影響を与えることなく、罫線割れ防止性を発揮することがわかる。すなわち、罫線割れ防止剤と塗工剤(紙力増強剤)とを併用した場合でも、十分にそれぞれの薬剤効果が発揮される。さらに、罫線割れ長さ率の低減や環境変化による罫線割れ対応のために、罫線割れ防止剤を過剰添加したり、それに伴う物性低下抑制に塗工剤を増量したりなどの煩雑な操作を必要とせず、結果として薬剤使用量の低減および品質の安定化につながる。
罫線割れ防止剤および製紙用塗工剤の塗布方法については、罫線割れ防止剤と塗工剤とを混合したものを塗布して乾燥する方法(一括塗工)、まず罫線割れ防止剤を塗布して乾燥し、次いで塗工剤を塗布して乾燥する方法では、共に良好なサイズ性および強度特性を有している。塗工剤を塗布して乾燥し、次いで罫線割れ防止剤を塗布して乾燥する方法では、罫線割れ防止性が若干低下するものの、実用的に問題はない。これは、最初に塗布した塗工剤が板紙表面に浸透定着し、続いて塗布した罫線割れ防止剤が、板紙に若干浸透しにくくなる傾向にあるためと推察できる。これらの方法はいずれも罫線割れ防止という本来の目的を満たすものである。
(実施例137〜140および比較例27)
<塗工剤(表面サイズ剤)との併用試験>
次に、本発明の罫線割れ防止剤を、印刷時のインキ滲み防止や耐水性を付与するための一般的な製紙用表面サイズ剤と併用した場合の効果について試験した。
サンプル紙として、古紙パルプを主体とする坪量210g/m2の段ボール用ライナー未塗工紙を用いた。
表1に示す罫線割れ防止剤35および塗工剤3を、罫線割れ防止剤35(水溶液)の塗布量が有効成分量換算で0.2g/m2および塗工剤3(水溶液)の塗布量が有効成分量換算で0.015g/m2、いずれも水溶液としての吸液量が10g/m2となるように調製して、No.4バーコータを用いて、サンプル紙(250×300mm)の片面に塗布した。塗工方法は、表9に記載の方法で行った。一括塗工は、罫線割れ防止剤と塗工剤とを混合し、罫線割れ防止剤35の塗布量が有効成分量換算で0.2g/m2、塗工剤3の塗布量が有効成分量換算で0.015g/m2、水溶液としての吸液量が10g/m2となるように調製して、No.4バーコータを用いて塗布した。なお、水のみを塗布して10g/m2の割合で吸液させたサンプル紙をブランク(水塗布)とした。
塗布後、回転式ドラムドライヤーを用いて80℃で90秒間乾燥した(罫線割れ防止剤と塗工剤とを個別に塗布した場合は、塗布ごとに乾燥)。乾燥後、直ちにJIS標準条件である温度23℃、湿度50%の恒温恒湿環境下で24時間静置した後、上述の塗工剤(紙力増強剤)との併用試験と同様の方法で罫線割れ長さ率、サンプル紙のサイズ性(コッブ吸水度)および強度特性(比破裂強さ)の評価を行った。結果を表9に示す。
Figure 0005902977
表9に示すように、罫線割れ防止剤と一般的な製紙用塗工剤(表面サイズ剤)とを併用した場合は、罫線割れ防止剤を単独で使用した場合より、罫線割れ防止性は低下する傾向にあるが、ブランクや塗工剤単独使用の場合に比べて十分な罫線割れ防止効果を維持している(実施例137〜140)。一方、サイズ性(コッブ吸水度)および強度特性(比破裂強さ)は共に、罫線割れ防止剤を単独で使用した場合は、ブランク(水塗布)と比較してサイズ性および強度特性に著しい影響を与えることなく、さらに罫線割れ防止剤と塗工剤とを併用した場合でも、塗工剤を単独で使用した場合(比較例27)と遜色のないサイズ性および強度特性を有している。
本発明の罫線割れ防止剤は、単独で使用した場合と同様に、一般的な製紙用塗工剤(表面サイズ剤)と併用した場合でも板紙の物性に悪影響を与えることなく、罫線割れ防止性を発揮することがわかる。すなわち、罫線割れ防止剤と塗工剤(表面サイズ剤)とを併用した場合でも、十分にそれぞれの薬剤効果が発揮される。さらに、罫線割れ長さ率の低減や環境変化による罫線割れ対応のために、罫線割れ防止剤を過剰添加したり、それに伴う物性低下抑制に塗工剤を増量したりなどの煩雑な操作を必要とせず、結果として薬剤使用量の低減および品質の安定化につながる。
罫線割れ防止剤および製紙用塗工剤の塗布方法については、罫線割れ防止剤と塗工剤とを混合したものを塗布して乾燥する方法(一括塗工)、まず罫線割れ防止剤を塗布して乾燥し、次いで塗工剤を塗布して乾燥する方法では、共に良好なサイズ性および強度特性を有している。塗工剤を塗布して乾燥し、次いで罫線割れ防止剤を塗布して乾燥する方法では、罫線割れ防止性が若干低下するものの、実用的に問題はない。これは、最初に塗布した塗工剤が板紙表面に浸透定着し、続いて塗布した罫線割れ防止剤が、板紙に若干浸透しにくくなる傾向にあるためと推察される。これらの方法はいずれも罫線割れ防止という本来の目的を満たすものである。
このように各試験によれば、併用する塗工剤の特性を十分に考慮しながら、本発明の罫線割れ防止剤を特定の割合で用いることによって、各薬剤の効果を阻害することなく、板紙に罫線割れ防止性を効果的に付与することができる。その結果、薬剤使用量が低減できると共に、安定した設定品質の板紙製造ができる。

Claims (5)

  1. キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび重合度が1500〜3300およびケン化度が78%以上のポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種の吸水性高分子結合剤と、
    多価アルコール、アミノ酸類、ベタイン類および乳酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の保湿剤と、
    を含有し、有効成分量換算で0.01〜10g/m2の割合で板紙に付与されることを特徴とする、罫線割れ防止剤。
  2. 前記吸水性高分子結合剤を0.001〜90質量%および前記保湿剤を10〜99.999質量%(但し、吸水性高分子結合剤および保湿剤は、合計で100質量%)の割合で含有する、請求項1に記載の罫線割れ防止剤。
  3. 前記保湿剤が、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール(平均分子量1000以下)、グリシン、グリシンベタインからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の罫線割れ防止剤。
  4. 請求項1〜のいずれかの項に記載の罫線割れ防止剤を、有効成分量換算で0.01〜10g/m2の割合で板紙に付与する、板紙の罫線割れ防止方法。
  5. 請求項1〜のいずれかの項に記載の罫線割れ防止剤を、有効成分量換算で0.01〜10g/m2の割合で板紙に付与する、板紙の製造方法。
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