JP5902974B2 - パイル用繊維糸、払拭体及び清掃用具 - Google Patents

パイル用繊維糸、払拭体及び清掃用具 Download PDF

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Description

本発明は、床面や壁面を清掃するための清掃具に関し、更に詳細には、ペット毛、人の毛髪、繊維屑等を捕集する能力が高いパイル用繊維糸、払拭体及び清掃用具に関する。
従来から、家庭や職場の清掃用具として清掃用モップが広く利用されてきた。この様な清掃用モップはハウスダスト、即ち砂塵、人毛及びペット毛等の繊維状屑、ダニ由来成分、並びに食品屑等の塵埃の除去に適しており、近年、レンタルモップ等の普及により、その需要は店舗や家庭で増大している。特に、モップがモップ把持部から取り外せるタイプの清掃用モップがよく利用されている。この清掃用モップは、床面等に直接接触するモップと保持具から構成され、保持具はモップを装着するモップ把持部と人が握る柄から構成されている。柄の先端はジョイントを介してモップ把持部に連結され、モップを回転可能に保持し、容易に着脱できる仕組になっている。
このモップは楕円形や長方形などの形状を成し、モップ用基布の下面全体に多数のパイルを植設して構成されている場合と、基布に植設しないで多数のパイルを直接糸状に結束して構成されている場合がある。これらのパイルは複数本の単糸を撚って、これを適当な長さに縫着して形成される。このパイルやモップ用基布には、従来、綿繊維が使用されてきた。綿繊維を使用したモップは価格が安く、使用後の洗浄性がよいので広く使用されてきが、綿繊維は吸水性が大きいので乾燥に時間を要し、洗浄回数が多くなるほど損耗して綿ぼこりが多数発生するという問題があった。また、多数回の洗浄により、綿繊維が保有する親水性のOH基を失って収縮し、弾力性が低下するためハウスダストの捕集性が悪くなるという欠点も有していた。
そのため、現在では、モップに化繊糸がよく利用される。化繊糸にはフィラメント糸(長繊維からなる連続糸)とスパン糸(短繊維からなる撚り糸)がある。フィラメント糸は軽量で洗浄後の乾燥時間が短いという利点がある。他方、スパン糸では糸の外周面が凹凸を有するため、ハウスダストの捕集性が良いという利点がある。
このような技術的背景の下で本件出願人は、モップ用基布にパイルを縫着してモップを形成する技術、並びに前記モップを把持部に装着する技術を、特開2005−270630号公報(特許文献1)として発表した。
図6は従来の清掃用モップの概略説明図である。清掃用具110はモップ保持具111にモップ102を装着して構成される。モップ保持具111は把持部114に形成されたジョイント115を介して、柄112を回動自在に連結して構成される。モップ102は、基布104(図6では把持部114の下に隠れている)の下面に多数のパイル108を植設して構成され、基布104の上面左右には袋状部107,107が形成されている。前記把持部114の左右端部を袋状部107,107に挿入してモップ102はモップ保持具111に装着され、清掃用具110が完成される。図7は、前記パイルに用いられる従来のパイル用短繊維の形成図である。3d(デニール)以下の短繊維150を撚り合わせて、4S(英国式番手)〜15Sの単糸152が形成され(7A、7B)、この単糸52を複数本撚り合わして原糸154が形成される(7C)。2本の原糸154を撚り合わせてパイル用繊維糸156を形成し(7D)、このパイル用繊維糸156がパイル108として用られる。
特開2005−270630号公報
特許文献1におけるモップ102は、良好な塵除去性を有するが、清掃性を向上させる余地が充分に有ることが判明した。特に、清掃作業の際に、塵などのハウスダストを充分に除去する為には、清掃表面を複数回拭う必要があり、清掃効率が決して高いとは言えなかった。又、3d以下の細めの短繊維を撚り合わせて、4S〜15Sの単糸が形成されるので、この単糸は柔軟性に富み、従ってこの単糸から製造されたパイルは、塵などの細かいハウスダストを高効率的に除去できる。しかし、この単糸は剛性に欠けるので、ペット毛や人毛などの大きめなハウスダストに対しては、前記パイルの除去効果が不十分であった。従って、清掃表面を1回拭うだけで充分な汚れ除去を行うことができ、又、ペット毛や人毛などの大きめなハウスダストも高効率に除去でき、しかも既に入手容易な材質及び製造設備を使用して、安価且つ迅速に製造できるパイル用繊維糸を開発する必要があった。特に、ペット毛や人毛などの大きめなハウスダストに対する清掃効果に関しては、従来におけるモップにおいて改善の余地があり、従って本願発明の主な目的である。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、一本以上の単糸を寄り合わせて原糸とし、複数本の前記原糸を撚り合わせてなるパイル用繊維糸であって、複数本の前記原糸が、最大太さを有する第1原糸と、次に太い太さを有する第2原糸とを少なくとも有し、前記パイル用繊維糸の繊維方向の表面に前記第1原糸により第1凸部が形成され、前記第2原糸により第2凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差により前記繊維方向の表面に凹凸パターンを形成するパイル用繊維糸である。
本発明の第2の形態は、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差を0.1mm以上とするパイル用繊維糸である。
本発明の第3の形態は、前記第1原糸を形成する単糸と前記第2原糸を形成する単糸を同じ太さに設定し、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、本数N1を本数N2より1以上大きく設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにしたパイル用繊維糸である。
本発明の第4の形態は、前記本数N1と前記本数N2の差を1〜30に設定して前記凹凸パターンの高低差を形成するパイル用繊維糸である。
本発明の第5の形態は、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、前記本数N1を前記本数N2と等しく設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さを前記第2原糸を形成する前記単糸の太さより太く設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにしたパイル用繊維糸である。
本発明の第6の形態は、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、前記本数N1と前記本数N2が異なるように設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さと前記第2原糸を形成する前記単糸の太さが異なるように設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにしたパイル用繊維糸である。
本発明の第7の形態は、前記単糸の太さを1S(英国式番手)〜30S(英国式番手)とするパイル用繊維糸である。
本発明の第8の形態は、前記単糸が合成繊維からなるパイル用繊維糸である。
本発明の第9の形態は、前記合成繊維をナイロンとするパイル用繊維糸である。
本発明の第10の形態は、第1〜9の形態のいずれかにおけるパイル用繊維糸を用いて多数のパイルを形成した払拭体である。
本発明の第11の形態は、第10の形態における払拭体を払拭体把持部に装着した清掃用具である。
本発明の第1の形態によれば、前記パイル用繊維糸の繊維方向の表面に前記第1原糸により第1凸部が形成され、前記第2原糸により第2凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差により前記繊維方向の表面に凹凸パターンを形成するので、前記パイル用繊維糸をパイルとして装備したモップにより清掃を行う際に、ハウスダストが前記凹凸パターンの中に入り込んで除去される。従って、清掃力が高いモップが得られる。又、本形態のパイル用繊維糸の前記凹凸パターンの形状は、ペット毛や人毛などの大きさのハウスダストを入り込ませるのに丁度良いサイズである。従って、前記凹凸パターンにより、ペット毛や人毛等に対する清掃力が高いモップが得られる。更に、本形態のパイル用繊維糸は、従来のパイル用繊維糸と同じ材料及び製法により製造されるので、新たな原料及び設備などの必要が無く、極めて安価且つ迅速に製造を開始できる。
本形態においては、複数本の前記原糸が、最大太さを有する第1原糸と、次に太い太さを有する第2原糸とを少なくとも有する。太さが異なる第1原糸と第2原糸を製造するには、同じ単糸を第1原糸及び第2原糸の製造に用い、第1原糸に使用する単糸の本数と、第2原糸に使用する単糸の本数を、異なるようにする方法がある。又、第1原糸を形成する単糸(第1単糸)の太さが、第2原糸を形成する単糸(第2単糸)の太さより太くなるようにする方法もある。勿論、これらの方法の組合せを用いても良い。
本形態における第1原糸及び第2原糸は、複数本の単糸から形成されても良いし、或いは1本の単糸のみから形成されても良い。材質としては、綿のような天然繊維でも良く、またナイロンのような化学繊維でも良く、またこれらの混合物であっても良い。天然繊維を用いる場合は、吸水性に優れたパイルが得られる。化学繊維を用いる場合は、耐久性や清掃性に優れたパイルが得られる。又、本形態においては、第1原糸及び第2原糸と一緒に、第2原糸よりも太さが細い原糸を撚り合わせて、パイル用繊維糸を製造しても良い。本実施例において、パイルのペット毛捕集性は、第1原糸の第1凸部と第2原糸の第2凸部の高低差のみに依存することが判明したが、これら以外の原糸を撚り合わせることにより、パイル用繊維糸の強度及び耐久性を高めることができる。
第1原糸及び/又は第2原糸が単糸から構成される場合は、この単糸が多数の短い(約30〜80mm)短繊維を紡績して形成されても良い。天然繊維には綿のように短繊維であるものが多いが、化学繊維ではフィラメント糸のような長繊維を短く切断して短繊維を形成する場合がある。短繊維を紡績して単糸を製造することにより、表面に微細な多数の毛羽を有し且つ内部に無数の微細孔部を有する単糸が得られ、この単糸からパイル用繊維糸を製造することにより、高いハウスダスト捕集性を有するパイルが期待できる。実際に、パイル製造においては、長繊維よりも短繊維を使用することが一般的である。短繊維の太さを表す単位としてはデニール(d)が用いられ、このデニール数が大きくなるほど短繊維が太くなる。短繊維が細いほど、形成される単糸の柔軟性が高くなり、また表面の毛羽及び内部の孔部が細かくなるので、塵などの細かいハウスダストの除去効率が高くなる。その一方、短繊維が太いほど、形成される単糸の剛性が高くなり、従ってパイルによる粗いハウスダストの除去効率が高くなる。本形態における短繊維の太さとしては、10d以下が好ましく、更には6d以下が特に好ましい。
本発明の第2の形態によれば、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差を0.1mm以上とするので、前記凹凸パターンが深くなり、この凹凸パターンがハウスダストを取り囲みやすくなる。従って、ペット毛や人毛などの大きめなハウスダストの捕集性が優れたパイルが得られる。本発明者の実験によれば、前記高低差が0.1mm以上になった場合に、パイルのペット毛捕集性が向上し、前記高低差が0.2mm以上になった場合に、ペット毛捕集性が更に向上する。
本発明の第3の形態によれば、前記第1原糸を形成する単糸と前記第2原糸を形成する単糸を同じ太さに設定し、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、本数N1を本数N2より1以上大きく設定するので、第1原糸と第2原糸を1種類の単糸から形成することができ、本数N1及び本数N2のみを調整することにより第1原糸と第2原糸の太さの差を適切に設定することができる。従って、第1の形態における凹凸パターンを有するパイル用繊維糸を安価且つ迅速に製造することができる。但し、第1原糸を形成する単糸と、第2原糸を形成する単糸の、材質及び/又は構造が異なり、太さのみが同じであるように設定しても良い。
本発明の第4の形態によれば、前記本数N1と前記本数N2の差を1〜30に設定して前記凹凸パターンの高低差を形成するので、使用される単糸の太さ及びパイル用繊維糸の生産容易性に応じて、適切な本数の差を設定できる。第1原糸と第2原糸の太さの差が大きくなる程、前記高低差が大きくなり、前記凹凸パターンによるハウスダストの捕集性が高まる。しかし、この太さの差が大きくなる程、第1原糸と第2原糸を撚り合わせにくくなり、パイル用繊維糸の生産容易性が低減する。従って、実際に使用できる単糸本数の差には上限がある。但し、本発明者の実験によれば、十分に細い単糸(例えば30S)を使用した場合には、単糸本数の差が30程度であっても、パイル用繊維糸の製造が可能であり、このパイル用繊維糸は清掃試験において優れたペット毛捕集性を示す。又、前記凹凸パターンによるハウスダスト捕集性の向上が確認出来るためには、単糸本数の差が十分に大きい必要があるが、十分に太い単糸(例えば1Sや5S)を使用した場合は、この単糸本数の差が1であっても、十分に大きい高低差を確保でき、従って高いハウスダスト捕集性を有するパイル用繊維糸が得られる。
本発明の第5の形態によれば、前記本数N1を前記本数N2と等しく設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さを前記第2原糸を形成する前記単糸の太さより太く設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにしたので、第1原糸と第2原糸を、種類が異なる単糸から製造でき、パイル用繊維糸の製造融通性を高めることができる。太さが異なる第1単糸と第2単糸を製造するには、同種類の短繊維を使用し、短繊維の本数が異なるように設定しても良い。また、太さが異なる2種類の短繊維を使用してもよい。本形態においては、材質及び/又は構造が異なる第1単糸と第2単糸を容易に使用でき、例えば第1単糸に天然繊維を使用して吸水性を高め、且つ第2短繊維に化学繊維を使用して強度を高めることも容易にできる。
本発明の第6の形態によれば、前記本数N1と前記本数N2が異なるように設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さと前記第2原糸を形成する前記単糸の太さが異なるように設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにしたので、パイル用繊維糸の製造融通性を更に高めることができる。第1原糸を製造する際に、前記本数N1及び単糸の太さを両方とも第2原糸よりも大きく設定することにより、第1原糸を第2原糸よりも太く設定できる。しかし、本形態を実施するためには、例えば第1原糸における単糸の太さを細く設定し、本数N1を大きく設定することにより原糸の太さを太く設定することも可能であり、また本数N1を小さく設定し、単糸の太さを太く設定することにより原糸の太さを太く設定することも可能である。
本発明の第7の形態によれば、前記単糸の太さを1S(英国式番手)〜30S(英国式番手)とするので、柔軟性及びハウスダスト捕集性に優れたパイル用繊維糸を形成できる。単糸の太さはS(英国式番手)で表され、1S、2S、3Sと数が大きくなるほど単糸の太さは細くなり、4S以上の単糸から形成されるパイル用繊維糸はより柔軟性に富んでいる。本発明者等は、単糸の英国式番手数を変えて各種のパイル用繊維糸を形成し、このパイル用繊維糸からパイルを作製してペット毛捕集性を試験した。その結果、特に1S〜30Sの太さの単糸を基礎にしたパイル用繊維糸を用いてパイルを作成すれば、ペット毛や人毛の捕集性、並びに吸水性の良いモップ用パイルを形成できることを発見した。1S以上の単糸は細くて柔軟性があるが、細くなり過ぎると繊維として弾力性と耐久性が逆に低下する。本発明者等は、モップ用パイルの弾力性と耐久性の限界として単糸の太さが30S以下であることを発見した。従って、繊維種に応じて1S〜30Sの単糸を適宜選択してパイル用繊維糸を形成すれば、弾力性と耐久性を有し、しかも良好なハウスダスト捕集性を有したパイルを作製できる。以下の記載では、Sは英国式番手を表しているから、主としてSの記号を用いて説明し、英国式番手の文字は省略する。
本発明の第8の形態によれば、前記単糸が合成繊維からなるので、耐久性及び清掃性が高いパイル用繊維糸を得ることができる。ここにおける合成繊維は、ナイロンなどの化学繊維を含む。この様な化学繊維では、フィラメント糸のような長繊維を短く切断して短繊維を形成する場合がある。しかし、前記フィラメント糸のような長繊維の化学繊維を、そのまま単糸としても良い。
本発明の第9の形態によれば、前記合成繊維をナイロンとするので、パイルの材質として最も普及するナイロンを使用でき、パイルの製造を安価且つ迅速にできる。パイル材質としてのナイロンは広く研究され、多数の種類が流通しているので、使用用途等に応じて、材質を適切に選択できる。
本発明の第10の形態によれば、第1〜9の形態のいずれかにおけるパイル用繊維糸を用いて多数のパイルを使用して払拭体を形成するので、ハウスダストの捕集性が高い払拭体が得られる。本形態における払拭体は柔軟性と弾力性に優れており、しかもペット毛や人毛等のハウスダストの捕集性に優れている。パイルやモップ用基布に合成繊維を使用すれば、耐損耗性に優れたモップを提供できる。
本発明の第11の形態によれば、第10の形態における払拭体を払拭体把持部に装着するので、清掃効率が高い清掃用具を得ることができる。このモップを構成するパイルに本発明のパイルを使用すれば、柔軟でハウスダスト捕集性がよい清掃用具を提供できる。この清掃用具のモップに合成繊維を使用すれば、耐損耗性に一段と優れた清掃用具を提供でき、多数回の洗浄による品質低下を防止することができる。この清掃用具はハウスダスト捕集性に優れ、洗浄性、特にペット毛や人毛等の除去性に優れているので、家庭用だけでなく業務用等に利用できる。
本実施形態におけるモップとモップ保持具の概略説明図である。 本実施形態におけるパイル用繊維糸の形成図である。 本実施形態において第1単糸を第2単糸より太くしたパイル用繊維糸の形成図である。 本実施形態において第1短繊維を第2短繊維より太くしたパイル用繊維糸の形成図である。 本実施形態におけるパイル用繊維糸を、太さが異なる3本の単糸から形成した場合の概略説明図である。 従来の清掃用モップの概略説明図である。 従来のパイル用短繊維の形成図である。
以下に、本発明に係るモップ及び清掃道具の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は本実施形態におけるモップとモップ保持具の概略説明図である。(1A)は本実施形態の清掃用具に使用されるモップ2(払拭体)の模式図である。モップ2は、楕円状のモップ用基布4と、その下面に植設された多数のパイル8から構成される。植設方法としては、縫着、融着など各種の公知方法を利用できる。モップ用基布4は綿繊維や合成繊維を網目状に織成して構成され、モップ用基布4の上面に同繊維種からなる袋状部6、6が設けられている。この袋状部6,6は後述する把持部14の端部14a、14aを装着するためのもので、袋状部6、6の開口部が互いに対向するように配置されている。また、上述したように、モップ用基布4の下面に本発明のパイル用繊維糸56から形成されたパイル8が多数植設されている。
(1B)はモップ2を固定し保持するモップ保持具10(払拭体保持具)の概略斜視図である。モップ保持具10は、モップ2を装着するパイプや合成樹脂成型体から構成される把持部14と、モップ2を手動操作するための柄12から構成され、柄12の基端にはグリップ15が形成されている。柄12の先端はジョイント13を介して把持部14に連結され、把持部14に対し柄12を上方半空間に旋回自在に構成され、モップの操作性を良好にしている。把持部14は両端に端部14a、14aを有し、この端部14a、14aを前記モップ繊維体2の袋状部6、6に装着して、モップ繊維体2をモップ保持具10に固定することにより、清掃用具を形成する。把持部14は折曲部16、16で下方に折れ曲がり、モップ2を容易に着脱できる構造になっている。端部14a、14aを折曲自在としたが、折曲不能であってもよい。例えば、把持部14の下面に係止ファスナーを固着し、モップ用基布4の上面に係止ファスナーを固着し、係止ファスナー同士の係り合いにより、把持部14とモップ2を一体化してもよい。
図2は本実施形態におけるパイル用繊維糸の形成図である。(2A)は短繊維50を撚り合わせて単糸52を形成する説明図である。短繊維50の長さは、例えば30〜80mmの程度であり、これらの短繊維50を多数撚り合わして単糸52を形成する。天然繊維には綿のように短繊維であるものが多いが、化学繊維ではフィラメント糸のような長繊維を短く切断して短繊維を形成する場合がある。本実施形態における短繊維の太さとしては、10d以下が好ましく、更には6d以下が特に好ましい。尚、図2〜4の形態においては、単糸52は多数の短繊維50を撚り合わて形成されるが、単糸52がより少数の長繊維から形成されても良い。又、単糸52が一本の長繊維のみから形成されても良い。
(2B)は単糸52を表している。(2B)においては、多数の短繊維50を平行に揃え撚り合わせて単糸52を形成するが、前記フィラメント糸のような長繊維の化学繊維を、そのまま単糸52としても良い。単糸52の太さは前記Sで表し、大小各種の太さを形成できる。本発明のパイル用繊維糸に使用される単糸52の平均の太さは少なくとも1S以上であり、好適には1S以上で30S以下に調節される。この単糸52を複数本撚り合わして原糸54を形成する。
(2C)は7本の単糸52から構成される第1原糸54aを表している。単糸52の種類を変化させることより各種の第1原糸54aを作成でき、複数種の混紡からなる第1原糸54aも形成できる。第1原糸54aの撚りかたとその回数は多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(2D)は5本の単糸52から構成される第2原糸54bを表している。(2D)における第2原糸54bは、太さが第1原糸54aより細いこと以外は、第1原糸と種類が同じであり、第2原糸54bの撚りかたとその回数も多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(2E)は第1原糸54aと第2原糸54bを撚り合わせて形成されたパイル用繊維糸56である。このパイル用繊維糸56の繊維方向の表面においては、第1原糸54aが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第1凸部60を形成し、第2原糸54bが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第2凸部62を形成する。第1原糸54aの太さは第2原糸54bの太さより太いので、第1凸部60と第2凸部62は高低差66を形成し、この高低差66により、パイル用繊維糸56の繊維方向の表面において、凹凸パターン68が形成される。ここにおける高低差66は、好ましくは0.1mm以上であり、更に好ましくは0.2mm以上である。このパイル用繊維糸56から、図1に図示されるモップ2のパイル8が形成される。このモップ2を使用して清掃を行う際に、ハウスダストがパイル8の凹凸パターン68に入り込み、除去される。
図3は本実施形態において第1単糸を第2単糸より太くしたパイル用繊維糸の形成図である。(3A)は、比較的多数の短繊維50を撚り合わせて、太さが比較的太い第1単糸52aを形成する説明図である。図2における形態と同様に、短繊維50は天然繊維でもよく、また化学繊維でもよい。また、短繊維50の代わりに、長繊維を使用しても良い。
(3B)は第1単糸52aを表している。この第1単糸52aは、後述する第2単糸52bよりも太さが太いが、この条件を満たせば、平均の太さが1S以上であるものを使用できる。(3C)は5本の第1単糸52aから形成された第1原糸54aを表している。図2の(2C)と同様に、第1単糸52aの種類を変化させることより各種の第1原糸54aを作成でき、複数種の混紡からなる第1原糸54aも形成できる。第1原糸54aの撚りかたとその回数は多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(3D)は、(3A)と同じ短繊維50から、第1単糸52aより太さが細い第2単糸52bを形成する説明図である。(3D)における第2単糸52bの単位長さ当たりの短繊維50は、(3A)における第1単糸52aの単位長さ当たりの短繊維50よりも少量である。(3E)は第2単糸52bを表している。この第2単糸52bは、前述した第1単糸52aよりも太さが細いが、この条件を満たせば、平均の太さが1S以上であるものを使用できる。
(3F)は5本の第2単糸52bから形成された第2原糸54bを表している。図3における第2原糸54bを構成する第2単糸52bの本数は、第1原糸54aを構成する第1単糸52aの本数と同じである。従って、第1原糸54aと第2原糸54bの太さの差は、第1単糸52aと第2単糸52bの太さの差のみにより生じる。(3F)における第2原糸54bは、太さが(3C)における第1原糸54aより細いこと以外は、第1原糸と種類が同じであり、第2原糸54bの撚りかたとその回数も多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(3G)は、(3C)の第1原糸54aと(3F)の第2原糸54bを撚り合わせて形成されたパイル用繊維糸56である。図2の(2E)と同様に、このパイル用繊維糸56の繊維方向の表面においては、第1原糸54aが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第1凸部60を形成し、第2原糸54bが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第2凸部62を形成する。第1原糸54aの太さは第2原糸54bの太さより太いので、第1凸部60と第2凸部62は高低差66を形成し、この高低差66により、パイル用繊維糸56の繊維方向の表面において、凹凸パターン68が形成される。このパイル用繊維糸56から、図1に図示されるモップ2のパイル8が形成され、パイル8の凹凸パターン68が、ハウスダストを取り囲んで除去する。
図4は本実施形態において第1短繊維を第2短繊維より太くしたパイル用繊維糸の形成図である。(4A)は、太さが比較的太い第1短繊維50aを撚り合わせて、太さが比較的太い第1単糸52aを形成する説明図である。(4A)における第1短繊維50aの太さは、後述する第2短繊維50bの太さよりも太いが、この条件を満たせば、第1短繊維50aは天然繊維でもよく、また化学繊維でもよい。
(4B)は第1単糸52aを表し、(4C)は5本の第1単糸52aから形成された第1原糸54aを表している。図3の(3B)及び(3C)における解説は、(4B)及び(4C)においても当て嵌まるので、ここでは省略する。
(4D)は、太さが比較的細い第2短繊維50bを撚り合わせて、太さが比較的細い第2単糸52bを形成する説明図である。(4D)における第2短繊維50bの太さは、(4A)における第1短繊維50aの太さよりも太いが、この条件を満たせば、第2短繊維50bは天然繊維でもよく、また化学繊維でもよい。又、第2短繊維50bの材質が、第1短繊維50aの材質と違っていても良い。
(4E)は第2単糸52bを表し、(4F)は5本の第2単糸52bから形成された第2原糸54bを表している。図3の(3E)及び(3F)における解説は、(4E)及び(4F)においても当て嵌まるので、ここでは省略する。
(4G)は、(4C)の第1原糸54aと(4F)の第2原糸54bを撚り合わせて形成されたパイル用繊維糸56である。図2の(2E)及び図3の(3G)と同様に、このパイル用繊維糸56の繊維方向の表面においては、第1原糸54aが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第1凸部60を形成し、第2原糸54bが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第2凸部62を形成する。第1原糸54aの太さは第2原糸54bの太さより太いので、第1凸部60と第2凸部62は高低差66を形成し、この高低差66により、パイル用繊維糸56の繊維方向の表面において、凹凸パターン68が形成される。このパイル用繊維糸56から、図1に図示されるモップ2のパイル8が形成され、パイル8の凹凸パターン68が、ハウスダストを取り囲んで除去する。
図5は本実施形態におけるパイル用繊維糸を、太さが異なる3本の単糸から形成した場合の概略説明図である。図5におけるパイル用繊維糸は、太さが比較的太い第1原糸54aと、太さが比較的細い第2原糸54bの他に、太さが第2原糸54bより更に細い第3原糸54cから形成されている。この第3原糸54cは、第1原糸54aと第2原糸54bの両方を形成する単糸52から形成されても良く、また第2原糸54bを形成する第2単糸52bより細い第3単糸52cから形成されても良い。後に記述する実施例においては、第1原糸54aと第2原糸54bの太さの差のみに依存し、第3原糸54cの太さには殆ど依存しないことが判明した。従って、図5のパイル用繊維糸56においては、第1原糸54aにより形成される第1凸部60と、第2原糸54bにより形成される第2凸部62の高低差66が示される。
以下の実施例の記載では、dはデニールを表し、Sは英国式番手即ち、綿番手を表しているから、主としてd及びSの記号を用いて説明し、デニール及び英国式番手の文字は省略する。本実施例においては、全ての単糸は短繊維から形成される。既に述べた通り、モップ用繊維糸の製造においては、短繊維が長繊維よりも広く用いられ、従って本実施例においても、モップ用繊維糸は短繊維から形成される。本実施例では短繊維としてナイロン繊維を用いる。ナイロン繊維としては、実施例1〜60においては1d、3d、6dからなる3種類の太さの短繊維を用意した。これらの各短繊維に関し5S、10S、20S、30Sからなる4種類の太さの単糸を形成した。これらの単糸の複数本を撚り合わせる場合においては、それぞれ1〜2回/インチの割合で撚り合わせて原糸とした。これらの原糸を2本又は3本揃え、2〜3回/インチの割合で撚りをかけてパイル用繊維糸を作成した。これらのパイル用繊維糸を製造する際に、製造(生産)の容易性が確認された。
このパイル用繊維糸をパイルとして基布に植設して、モップが形成された。これらのモップを、イヌ及びネコ(ペット)の抜け毛による汚れがほぼ同一条件の家庭に供給して一週間の清掃にかけた後、パイルのペット毛捕集性について確認試験が行われた。これらのモップを回収して同一条件で洗浄した後に、洗浄後のペット毛除去性(洗浄除去性)について確認試験が行われた。
[実施例1〜60]単糸を一定にして、本数を可変させた場合
実施例1〜60については、第1原糸及び第2原糸を形成する単糸及び短繊維の太さを一定にし、第1原糸において第2原糸よりも多い単糸の本数を使用することにより、第1原糸と第2原糸の太さを可変させた。
表1は、1dの短繊維を使用した実施例1〜24を示す。この短繊維から、5S、10S、20S及び30Sの単糸を製造し、これらの単糸から第1原糸及び第2原糸を製造した。同じ単糸から製造された第1原糸及び第2原糸を撚り合わせてパイル用繊維糸を製造し、これらのパイル用繊維糸をパイルとしてモップが製造され、パイルのペット毛捕集性について確認試験が行われた。これらのモップの使用後に、洗浄試験が行われ、ペット毛の洗浄除去性が確認された。尚、30Sの単糸を使用した場合においては、第1原糸の強度を確保する為、20S以下の場合よりも多い本数の単糸が、第1原糸の製造に使用された。
比較的太い単糸を使用した場合(5S、実施例1〜6)においては、単糸本数の差N1−N2が1程度でも、ペット毛捕集性に向上が見られた。しかし、比較的細い単糸を使用した場合(10S以上、実施例7〜24)においては、ペット毛捕集性の向上を確認する為には、単糸本数の差N1−N2が2以上必要であった。比較的太い単糸を使用する場合は、単糸本数の差が1程度でも、単糸の太さの差が大きくなり、従って第1凸部と第2凸部の高低差が、ペット毛捕集性を向上させるのに十分な値になるものと考えられる。
単糸本数の差N1―N2が高い程、モップのペット毛捕集性が向上する傾向が見られた。これについては、第1凸部と第2凸部の高低差が一定値以上になった場合に、この高低差により形成される凹凸パターンにペット毛等が入り込みやすくなることを示している。但し、単糸本数の差N1−N2が高い程、太さが異なる第1原糸と第2原糸を撚り合わせることが困難となり、また第2原糸の強度を確保することが困難となるので、パイル用繊維糸の生産容易性が低下する。この傾向は、第2単糸の太さが細くなるほど顕著となり、特に実施例48においては、特に細い単糸(30S)を用いて、単糸本数の差N1−N2を特に高くしている(N1−N2=30)ので、パイル用繊維糸の製造が特に困難である。しかし、実施例48のパイル用繊維糸は、本試験に使用できる程度に製造でき、しかもペット毛捕集性が特に高いので、十分な実用性を有するものである。
又、単糸が特に細い場合(20S及び30S)においては、単糸本数の差N1−N2が0又は1の場合(実施例13、14、19、20)には、ペット毛捕集性が全く不良であったが、この差が2以上になった場合(実施例15〜18、21〜24)には、ペット毛捕集性が急激に良くなり、比較的太い単糸を使用する場合と比較して全く遜色が無い捕集性が確認された。これらの実施例においては、特に細い短繊維(1d)を使用して、細い単糸(20S及び30S)を製造するので、形成されるパイルが極めて高い柔軟性を有する。本来は、この様な柔らかいパイルは、ペット毛や人毛などの粗いハウスダストを掻き取るのには不向きである。しかし、パイル用繊維糸の表面に、高低差による凹凸パターンを形成することにより、柔らかいパイルにおいても、ペット毛、人毛や繊維屑等を高効率に清掃除去することができる。
前記した通り、実施例1〜24においては、細い短繊維を使用しているので、形成されるパイルが高い柔軟性を有する。パイルが柔らかい場合は、使用後のモップを洗浄することにより、ペット毛を除去を容易に行うことができる。従って、実施例1〜24におけるペット毛の洗浄除去性は概ね良好である。
表2は、実施例7〜12のパイル用繊維糸における第1凸部と第2凸部の高低差を実測し、実測値を表示したものである。表1においては、実施例8から9にかけて、ペット毛捕集性の向上が見られるが、表2においては、実施例8と9における高低差が0.09mmから0.17mmに変化していることが分かる。また、表1においては、実施例9から10にかけて、ペット毛捕集性の更なる向上が見られるが、表2においては、実施例9と10における高低差が0.17mmから0.42mmに変化していることが分かる。即ち、高低差が0.1mmを超えることにより、ペット毛捕集性の向上が見られ、高低差が更に0.2mmを超えることにより、ペット毛捕集性の更なる向上が見られる。
表3は、3dの短繊維を使用した実施例25〜48を示す。又、表4は、6dの短繊維を使用した実施例49〜60を示す。単糸の太さ、並びに第1原糸及び第2原糸における単糸の組合せは、表1における実施例1〜24と同じである。ペット毛捕集性については、1dの短繊維を使用した実施例1〜24と比較して、僅かに向上したが、有用な差は無く、ペット毛捕集性が第1凸部と第2凸部の高低差にほぼ依存することが分かる。但し、太めの短繊維を使用して細めの単糸を製造する為には様々な工夫が必要であり、特に3dの短繊維を使用して20S及び30Sの単糸を製造すること(実施例20〜48)及び6dの短繊維を使用して10S、20S及び30Sの単糸を製造すること(実施例55〜72)について、パイル用繊維糸の生産容易性の低下に繋がった。特に、6dの短繊維を使用する20S及び30Sの単糸の製造(実施例61〜72)は、かなりの注意を必要とし、従ってパイル用繊維糸の生産容易性について「×」(難しい)とする実施例もあった。しかし、実施例20〜48及び55〜72のパイル用繊維糸も、生産容易性が「×」となるものを含めて、本試験に使用できる程度に製造でき、且つ良好なペット毛捕集性及び洗浄除去性を有するので、十分な実用性を有するものである。
[実施例73〜88]単糸の太さを可変、本数を固定
実施例73〜88においては、第1原糸における単糸の本数と、第2原糸における単糸の本数を同じにして、第1原糸における単糸の太さを、第2原糸における単糸の太さより太くすることにより、第1原糸の太さを第2原糸の太さよりも太くしたものである。
表5は、第1原糸を構成する第1単糸の本数N1と、第2原糸を形成する第2単糸の本数N2が同じ(N1=N2=6)である実施例73〜80を示す。1d又は3dの短繊維から、1S、4S、7S、10S、15S及び20Sの単糸を製造した。上記の単糸を6本撚り合わせることにより、第1原糸及び第2原糸を製造した。太さが異なる第1原糸と第2原糸を撚り合わせることにより、パイル用繊維糸を製造した。このパイル用繊維糸を用いてモップを製造して、ペット毛の捕集性について確認試験を行った。
実施例73〜76においては、1dの短繊維を使用し、実施例77〜80においては、3dの短繊維をを使用した。表1〜4における実施例1〜72と同様に、第1原糸と第2原糸の太さの差が大きくなる程、ペット毛捕集性が向上し、またパイル用繊維糸の生産容易性が低下することが分かる。ペット毛の洗浄除去性については、1dの短繊維から形成されたパイルの方が、3dの短繊維から形成されたパイルよりも良好であった。
尚、本発明においては、第1原糸及び第2原糸の各々が1本の単糸のみから形成されてもよい。表6は、第1単糸1本が第1原糸を形成し、第2単糸1本が第2原糸を形成する実施例81〜88を示す。これらの実施例においては、比較的太い3dの短繊維を使用した。又、原糸の強度を確保する為に、比較的太い1S、2S、3S及び4Sの単糸を使用した。表1〜5における実施例1〜80と同様に、第1原糸と第2原糸の太さの差が大きくなる程、ペット毛捕集性が向上する。又、単糸を撚り合わせて原糸を製造する工程が省かれるので、製造も行いやすく、従ってパイル用繊維糸の生産性も良好である。更に、パイル用繊維糸が比較的細く、柔軟性に富むので、ペット毛の洗浄除去性も良好である。
[実施例89〜92]単糸短繊維の太さを可変
表7は、単糸に使用する短繊維の太さを可変させることにより、単糸及び原糸の太さを可変させた実施例89〜92を示す。第1単糸を形成する第1短繊維の本数と、第2単糸を形成する第2短繊維の本数は、共に400である。また、第1原糸を形成する第1単糸の本数と、第2原糸を形成する第2単糸の本数は、共に6である。これらの実施例においては、0.5d、1d、3d及び5dの短繊維が使用された。表1〜6における実施例1〜88と同様に、第1原糸と第2原糸の太さの差が大きくなる程、ペット毛捕集性が向上し、またパイル用繊維糸の生産容易性が低下することが分かる。又、ペット毛の洗浄除去性も良好であった。
[実施例93〜96]単糸の太さと本数を両方とも可変
表8は、単糸の太さと本数を両方とも可変させた実施例93〜96を示す。尚、実施例95においては、第1単糸は第2単糸よりも細いが、第1単糸を多数本撚り合わせることにより、第1原糸を第2原糸よりも太くしている。又、実施例96においては、第1単糸の本数N1は第2単糸の本数N2よりも少ないが、第1単糸を第2単糸より極めて太くすることにより、第1原糸を第2原糸よりも太くしている。これらの実施例においても、第1原糸と第2原糸の太さの差が大きくなる程、ペット毛の捕集性が向上し、またパイル用繊維糸の生産容易性が低下することが分かる。尚、実施例93〜96においては、比較的細い1dの短繊維を使用しているので、パイル用繊維糸の柔軟性が高く、従ってペット毛の洗浄除去性も良好である。
[実施例97〜100]第3原糸
表9は、パイル用繊維糸を、3本の原糸から形成させた実施例97〜100を示す。第1原糸及び第2原糸は、表1の実施例7〜12と同じであり、第3原糸としては、第2原糸よりも少ない本数の単糸を使用した。即ち、1dの短繊維を用いて、10Sの単糸を製造し、この単糸の本数を変化させることにより、原糸の太さを変化させた。実施例97〜100におけるペット毛捕集性は、同じ第1原糸及び第2原糸を使用した実施例7〜12と同じであり、第3原糸の影響は殆ど無かった。
第1凸部と第2凸部の高低差による凹凸パターンを有するパイル用繊維糸から製造されたパイルは、高効率なペット毛や人毛等の大きめなハウスダストの捕集性と充分な生産容易性を有する。この高低差は、原糸を構成する単糸の本数及び/又は太さを適切に設定することにより、容易に設定できる。従って、本発明に係るパイルとモップ用基布を用いて作製されたモップは、家庭用に利用されるだけでなく、広く産業一般に利用することができる。
2 モップ
4 モップ用基布
6 袋状部
8 パイル
10 モップ保持具
12 柄
13 ジョイント
14 把持部
14a 端部
16 折曲部
50 短繊維
50a 第1短繊維
50b 第2短繊維
52 単糸
52a 第1単糸
52b 第2単糸
54 原糸
54a 第1原糸
54b 第2原糸
54c 第3原糸
56 パイル用繊維糸
60 第1凸部
62 第2凸部
64 第3凸部
66 高低差
102 モップ
104 モップ用基布
107 袋状部
108 パイル
110 清掃用具
111 モップ保持具
114 把持部
115 ジョイント
150 短繊維
152 単糸
154 原糸
156 パイル用繊維糸

Claims (8)

  1. 一本以上の単糸を撚り合わせて原糸とし、複数本の前記原糸を撚り合わせてなるパイル用繊維糸であって、複数本の前記原糸が、最大太さを有する第1原糸と、次に太い太さを有する第2原糸とを少なくとも有し、前記パイル用繊維糸の繊維方向の表面に前記第1原糸により第1凸部が形成され、前記第2原糸により第2凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差により前記繊維方向の表面に凹凸パターンを形成し、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、前記本数N1を前記本数N2と等しく設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さを前記第2原糸を形成する前記単糸の太さより太く設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにすることを特徴とするパイル用繊維糸。
  2. 一本以上の単糸を撚り合わせて原糸とし、複数本の前記原糸を撚り合わせてなるパイル用繊維糸であって、複数本の前記原糸が、最大太さを有する第1原糸と、次に太い太さを有する第2原糸とを少なくとも有し、前記パイル用繊維糸の繊維方向の表面に前記第1原糸により第1凸部が形成され、前記第2原糸により第2凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差により前記繊維方向の表面に凹凸パターンを形成し、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、前記本数N1と前記本数N2が異なるように設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さと前記第2原糸を形成する前記単糸の太さが異なるように設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにすることを特徴とするパイル用繊維糸。
  3. 前記第1凸部と前記第2凸部の高低差が0.1mm以上である請求項1又は2に記載のパイル用繊維糸。
  4. 前記単糸の太さが1S(英国式番手)〜30S(英国式番手)である請求項1〜3のいずれかに記載のパイル用繊維糸。
  5. 前記単糸が合成繊維からなる請求項1〜4のいずれかに記載のパイル用繊維糸。
  6. 前記合成繊維がナイロンである請求項に記載のパイル用繊維糸。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のパイル用繊維糸を用いて多数のパイルを形成したことを特徴とする払拭体。
  8. 請求項に記載の払拭体を払拭体把持部に装着したことを特徴とする清掃用具。
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