JP5902974B2 - パイル用繊維糸、払拭体及び清掃用具 - Google Patents
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Description
第1原糸及び/又は第2原糸が単糸から構成される場合は、この単糸が多数の短い(約30〜80mm)短繊維を紡績して形成されても良い。天然繊維には綿のように短繊維であるものが多いが、化学繊維ではフィラメント糸のような長繊維を短く切断して短繊維を形成する場合がある。短繊維を紡績して単糸を製造することにより、表面に微細な多数の毛羽を有し且つ内部に無数の微細孔部を有する単糸が得られ、この単糸からパイル用繊維糸を製造することにより、高いハウスダスト捕集性を有するパイルが期待できる。実際に、パイル製造においては、長繊維よりも短繊維を使用することが一般的である。短繊維の太さを表す単位としてはデニール(d)が用いられ、このデニール数が大きくなるほど短繊維が太くなる。短繊維が細いほど、形成される単糸の柔軟性が高くなり、また表面の毛羽及び内部の孔部が細かくなるので、塵などの細かいハウスダストの除去効率が高くなる。その一方、短繊維が太いほど、形成される単糸の剛性が高くなり、従ってパイルによる粗いハウスダストの除去効率が高くなる。本形態における短繊維の太さとしては、10d以下が好ましく、更には6d以下が特に好ましい。
(1B)はモップ2を固定し保持するモップ保持具10(払拭体保持具)の概略斜視図である。モップ保持具10は、モップ2を装着するパイプや合成樹脂成型体から構成される把持部14と、モップ2を手動操作するための柄12から構成され、柄12の基端にはグリップ15が形成されている。柄12の先端はジョイント13を介して把持部14に連結され、把持部14に対し柄12を上方半空間に旋回自在に構成され、モップの操作性を良好にしている。把持部14は両端に端部14a、14aを有し、この端部14a、14aを前記モップ繊維体2の袋状部6、6に装着して、モップ繊維体2をモップ保持具10に固定することにより、清掃用具を形成する。把持部14は折曲部16、16で下方に折れ曲がり、モップ2を容易に着脱できる構造になっている。端部14a、14aを折曲自在としたが、折曲不能であってもよい。例えば、把持部14の下面に係止ファスナーを固着し、モップ用基布4の上面に係止ファスナーを固着し、係止ファスナー同士の係り合いにより、把持部14とモップ2を一体化してもよい。
(2B)は単糸52を表している。(2B)においては、多数の短繊維50を平行に揃え撚り合わせて単糸52を形成するが、前記フィラメント糸のような長繊維の化学繊維を、そのまま単糸52としても良い。単糸52の太さは前記Sで表し、大小各種の太さを形成できる。本発明のパイル用繊維糸に使用される単糸52の平均の太さは少なくとも1S以上であり、好適には1S以上で30S以下に調節される。この単糸52を複数本撚り合わして原糸54を形成する。
(2C)は7本の単糸52から構成される第1原糸54aを表している。単糸52の種類を変化させることより各種の第1原糸54aを作成でき、複数種の混紡からなる第1原糸54aも形成できる。第1原糸54aの撚りかたとその回数は多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(2D)は5本の単糸52から構成される第2原糸54bを表している。(2D)における第2原糸54bは、太さが第1原糸54aより細いこと以外は、第1原糸と種類が同じであり、第2原糸54bの撚りかたとその回数も多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(2E)は第1原糸54aと第2原糸54bを撚り合わせて形成されたパイル用繊維糸56である。このパイル用繊維糸56の繊維方向の表面においては、第1原糸54aが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第1凸部60を形成し、第2原糸54bが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第2凸部62を形成する。第1原糸54aの太さは第2原糸54bの太さより太いので、第1凸部60と第2凸部62は高低差66を形成し、この高低差66により、パイル用繊維糸56の繊維方向の表面において、凹凸パターン68が形成される。ここにおける高低差66は、好ましくは0.1mm以上であり、更に好ましくは0.2mm以上である。このパイル用繊維糸56から、図1に図示されるモップ2のパイル8が形成される。このモップ2を使用して清掃を行う際に、ハウスダストがパイル8の凹凸パターン68に入り込み、除去される。
(3B)は第1単糸52aを表している。この第1単糸52aは、後述する第2単糸52bよりも太さが太いが、この条件を満たせば、平均の太さが1S以上であるものを使用できる。(3C)は5本の第1単糸52aから形成された第1原糸54aを表している。図2の(2C)と同様に、第1単糸52aの種類を変化させることより各種の第1原糸54aを作成でき、複数種の混紡からなる第1原糸54aも形成できる。第1原糸54aの撚りかたとその回数は多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(3D)は、(3A)と同じ短繊維50から、第1単糸52aより太さが細い第2単糸52bを形成する説明図である。(3D)における第2単糸52bの単位長さ当たりの短繊維50は、(3A)における第1単糸52aの単位長さ当たりの短繊維50よりも少量である。(3E)は第2単糸52bを表している。この第2単糸52bは、前述した第1単糸52aよりも太さが細いが、この条件を満たせば、平均の太さが1S以上であるものを使用できる。
(3F)は5本の第2単糸52bから形成された第2原糸54bを表している。図3における第2原糸54bを構成する第2単糸52bの本数は、第1原糸54aを構成する第1単糸52aの本数と同じである。従って、第1原糸54aと第2原糸54bの太さの差は、第1単糸52aと第2単糸52bの太さの差のみにより生じる。(3F)における第2原糸54bは、太さが(3C)における第1原糸54aより細いこと以外は、第1原糸と種類が同じであり、第2原糸54bの撚りかたとその回数も多種多様であり、目的に応じて適宜調整される。
(3G)は、(3C)の第1原糸54aと(3F)の第2原糸54bを撚り合わせて形成されたパイル用繊維糸56である。図2の(2E)と同様に、このパイル用繊維糸56の繊維方向の表面においては、第1原糸54aが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第1凸部60を形成し、第2原糸54bが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第2凸部62を形成する。第1原糸54aの太さは第2原糸54bの太さより太いので、第1凸部60と第2凸部62は高低差66を形成し、この高低差66により、パイル用繊維糸56の繊維方向の表面において、凹凸パターン68が形成される。このパイル用繊維糸56から、図1に図示されるモップ2のパイル8が形成され、パイル8の凹凸パターン68が、ハウスダストを取り囲んで除去する。
(4B)は第1単糸52aを表し、(4C)は5本の第1単糸52aから形成された第1原糸54aを表している。図3の(3B)及び(3C)における解説は、(4B)及び(4C)においても当て嵌まるので、ここでは省略する。
(4D)は、太さが比較的細い第2短繊維50bを撚り合わせて、太さが比較的細い第2単糸52bを形成する説明図である。(4D)における第2短繊維50bの太さは、(4A)における第1短繊維50aの太さよりも太いが、この条件を満たせば、第2短繊維50bは天然繊維でもよく、また化学繊維でもよい。又、第2短繊維50bの材質が、第1短繊維50aの材質と違っていても良い。
(4E)は第2単糸52bを表し、(4F)は5本の第2単糸52bから形成された第2原糸54bを表している。図3の(3E)及び(3F)における解説は、(4E)及び(4F)においても当て嵌まるので、ここでは省略する。
(4G)は、(4C)の第1原糸54aと(4F)の第2原糸54bを撚り合わせて形成されたパイル用繊維糸56である。図2の(2E)及び図3の(3G)と同様に、このパイル用繊維糸56の繊維方向の表面においては、第1原糸54aが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第1凸部60を形成し、第2原糸54bが、パイル用繊維糸56の中心軸から径方向に突出する第2凸部62を形成する。第1原糸54aの太さは第2原糸54bの太さより太いので、第1凸部60と第2凸部62は高低差66を形成し、この高低差66により、パイル用繊維糸56の繊維方向の表面において、凹凸パターン68が形成される。このパイル用繊維糸56から、図1に図示されるモップ2のパイル8が形成され、パイル8の凹凸パターン68が、ハウスダストを取り囲んで除去する。
実施例1〜60については、第1原糸及び第2原糸を形成する単糸及び短繊維の太さを一定にし、第1原糸において第2原糸よりも多い単糸の本数を使用することにより、第1原糸と第2原糸の太さを可変させた。
又、単糸が特に細い場合(20S及び30S)においては、単糸本数の差N1−N2が0又は1の場合(実施例13、14、19、20)には、ペット毛捕集性が全く不良であったが、この差が2以上になった場合(実施例15〜18、21〜24)には、ペット毛捕集性が急激に良くなり、比較的太い単糸を使用する場合と比較して全く遜色が無い捕集性が確認された。これらの実施例においては、特に細い短繊維(1d)を使用して、細い単糸(20S及び30S)を製造するので、形成されるパイルが極めて高い柔軟性を有する。本来は、この様な柔らかいパイルは、ペット毛や人毛などの粗いハウスダストを掻き取るのには不向きである。しかし、パイル用繊維糸の表面に、高低差による凹凸パターンを形成することにより、柔らかいパイルにおいても、ペット毛、人毛や繊維屑等を高効率に清掃除去することができる。
前記した通り、実施例1〜24においては、細い短繊維を使用しているので、形成されるパイルが高い柔軟性を有する。パイルが柔らかい場合は、使用後のモップを洗浄することにより、ペット毛を除去を容易に行うことができる。従って、実施例1〜24におけるペット毛の洗浄除去性は概ね良好である。
実施例73〜88においては、第1原糸における単糸の本数と、第2原糸における単糸の本数を同じにして、第1原糸における単糸の太さを、第2原糸における単糸の太さより太くすることにより、第1原糸の太さを第2原糸の太さよりも太くしたものである。
表7は、単糸に使用する短繊維の太さを可変させることにより、単糸及び原糸の太さを可変させた実施例89〜92を示す。第1単糸を形成する第1短繊維の本数と、第2単糸を形成する第2短繊維の本数は、共に400である。また、第1原糸を形成する第1単糸の本数と、第2原糸を形成する第2単糸の本数は、共に6である。これらの実施例においては、0.5d、1d、3d及び5dの短繊維が使用された。表1〜6における実施例1〜88と同様に、第1原糸と第2原糸の太さの差が大きくなる程、ペット毛捕集性が向上し、またパイル用繊維糸の生産容易性が低下することが分かる。又、ペット毛の洗浄除去性も良好であった。
表8は、単糸の太さと本数を両方とも可変させた実施例93〜96を示す。尚、実施例95においては、第1単糸は第2単糸よりも細いが、第1単糸を多数本撚り合わせることにより、第1原糸を第2原糸よりも太くしている。又、実施例96においては、第1単糸の本数N1は第2単糸の本数N2よりも少ないが、第1単糸を第2単糸より極めて太くすることにより、第1原糸を第2原糸よりも太くしている。これらの実施例においても、第1原糸と第2原糸の太さの差が大きくなる程、ペット毛の捕集性が向上し、またパイル用繊維糸の生産容易性が低下することが分かる。尚、実施例93〜96においては、比較的細い1dの短繊維を使用しているので、パイル用繊維糸の柔軟性が高く、従ってペット毛の洗浄除去性も良好である。
表9は、パイル用繊維糸を、3本の原糸から形成させた実施例97〜100を示す。第1原糸及び第2原糸は、表1の実施例7〜12と同じであり、第3原糸としては、第2原糸よりも少ない本数の単糸を使用した。即ち、1dの短繊維を用いて、10Sの単糸を製造し、この単糸の本数を変化させることにより、原糸の太さを変化させた。実施例97〜100におけるペット毛捕集性は、同じ第1原糸及び第2原糸を使用した実施例7〜12と同じであり、第3原糸の影響は殆ど無かった。
4 モップ用基布
6 袋状部
8 パイル
10 モップ保持具
12 柄
13 ジョイント
14 把持部
14a 端部
16 折曲部
50 短繊維
50a 第1短繊維
50b 第2短繊維
52 単糸
52a 第1単糸
52b 第2単糸
54 原糸
54a 第1原糸
54b 第2原糸
54c 第3原糸
56 パイル用繊維糸
60 第1凸部
62 第2凸部
64 第3凸部
66 高低差
102 モップ
104 モップ用基布
107 袋状部
108 パイル
110 清掃用具
111 モップ保持具
114 把持部
115 ジョイント
150 短繊維
152 単糸
154 原糸
156 パイル用繊維糸
Claims (8)
- 一本以上の単糸を撚り合わせて原糸とし、複数本の前記原糸を撚り合わせてなるパイル用繊維糸であって、複数本の前記原糸が、最大太さを有する第1原糸と、次に太い太さを有する第2原糸とを少なくとも有し、前記パイル用繊維糸の繊維方向の表面に前記第1原糸により第1凸部が形成され、前記第2原糸により第2凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差により前記繊維方向の表面に凹凸パターンを形成し、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、前記本数N1を前記本数N2と等しく設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さを前記第2原糸を形成する前記単糸の太さより太く設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにすることを特徴とするパイル用繊維糸。
- 一本以上の単糸を撚り合わせて原糸とし、複数本の前記原糸を撚り合わせてなるパイル用繊維糸であって、複数本の前記原糸が、最大太さを有する第1原糸と、次に太い太さを有する第2原糸とを少なくとも有し、前記パイル用繊維糸の繊維方向の表面に前記第1原糸により第1凸部が形成され、前記第2原糸により第2凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2凸部の高低差により前記繊維方向の表面に凹凸パターンを形成し、前記単糸をN1本撚り合せて第1原糸とし、前記単糸をN2本撚り合せて第2原糸とし、前記本数N1と前記本数N2が異なるように設定し、前記第1原糸を形成する前記単糸の太さと前記第2原糸を形成する前記単糸の太さが異なるように設定することにより、前記第1原糸の太さが前記第2原糸の太さより太くなるようにすることを特徴とするパイル用繊維糸。
- 前記第1凸部と前記第2凸部の高低差が0.1mm以上である請求項1又は2に記載のパイル用繊維糸。
- 前記単糸の太さが1S(英国式番手)〜30S(英国式番手)である請求項1〜3のいずれかに記載のパイル用繊維糸。
- 前記単糸が合成繊維からなる請求項1〜4のいずれかに記載のパイル用繊維糸。
- 前記合成繊維がナイロンである請求項5に記載のパイル用繊維糸。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のパイル用繊維糸を用いて多数のパイルを形成したことを特徴とする払拭体。
- 請求項7に記載の払拭体を払拭体把持部に装着したことを特徴とする清掃用具。
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