JP5210029B2 - 網戸清掃用払拭布及び網戸清掃具 - Google Patents

網戸清掃用払拭布及び網戸清掃具 Download PDF

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Description

本発明は、網戸を清掃するための払拭布及びこの払拭布を備えた網戸清掃具に関する。
網戸の清掃方法としては、窓枠から取り外して水洗いする方法や、タオルや雑巾で拭き取る方法などが挙げられるが、さらに効率良く網戸を清掃するために、専用の網戸清掃具を使用する方法が提案されている。そのような網戸清掃具を使用する方法のうち、網戸の網目部分に繊維を侵入させることにより網戸を清掃する方法として、表面に繊維を立毛(又は起毛)させた払拭布を用いる方法が知られている。
例えば、特開2002−17619号公報(特許文献1)には、操作ハンドルを備えた基台部と、この基台部の下面側に配設された植毛布とを有し、前記植毛布が、基布に対してパイルが高密集度で略垂直に植毛され、前記植毛布を配設された前記基台部にシート状清掃体を捲回して、前記シート状清掃体により被清掃面の被清掃物質を捕集する拭き掃除具が提案されている。この文献には、ポリアミドで構成され、繊度17〜65dtexのパイルをポリエステルの不織布で構成された基布に、静電植毛によって植毛された植毛布が記載されている。
しかし、このシート状清掃体では、網目の汚れの除去能が不十分であり、水を使用して清掃すると、汚水が飛散する。さらに、植毛されたパイルの脱落など、耐久性も低い。
また、特開2006−55240号公報(特許文献2)には、ローラー芯材表面に払拭布が被覆された回転自在のローラーと、このローラーにハンドルが装着された網戸用清掃具であって、前記払拭布の清掃面に捲縮率5〜30%のカットパイルが立設している網戸用清掃具が提案されている。この文献には、カットパイルの繊度は、0.1〜10dtexが好ましく、0.3〜5dtexがより好ましいと記載されている。また、払拭布として、カットパイルと、このカットパイルよりも高さが低く、かつ捲縮率が高い立毛糸とを有するモケット製布地が記載されている。さらに、実施例では、ポリエステル繊維で構成されたマルチフィラメント糸をカットパイル用捲縮繊維として用いたモケット地の払拭布が製造されている。
しかし、この網戸清掃具でも、カットパイル糸で網目を掻き取る力が小さいため、汚れの除去能が充分でない。さらに、この清掃具では、水とともにローラーを転動させて清掃すると、汚水が飛散するため、汚水飛散防止用のカバーが装着されている。
特開2002−17619号公報(請求項1、段落[0013]〜[0018]) 特開2006−55240号公報(請求項1及び5、段落[0014][0027]、図2〜5)
従って、本発明の目的は、簡便かつ効率良く網戸を清掃できる払拭布及びこの払拭布を備えた網戸清掃具を提供することにある。
本発明の他の目的は、ローラー部材を回転させて網戸を清掃しても、汚水の飛散が抑制できる払拭布及びこの払拭布を備えた網戸清掃具を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、繊度の異なる捲縮繊維群と非捲縮繊維群とを備えた払拭布において、非捲縮繊維群が突出する状態で表面に混在して立設させることにより、簡便かつ効率良く網戸を清掃できる払拭布が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の払拭布は、基布と、その基布の表面から立設された複数の繊維とで構成され、かつ網戸を清掃するための払拭布であって、前記複数の繊維が、単糸繊度が5dtex以下である複数の捲縮繊維(A)と単糸繊度が5dtexを超える複数の非捲縮繊維(B)とで構成され、かつ前記非捲縮繊維(B)の高さが前記捲縮繊維(A)の高さよりも大きい。前記複数の捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)は、それぞれ略同一の高さを有するとともに、前記捲縮繊維(A)の平均高さが2〜10mmであり、かつ前記非捲縮繊維(B)は前記捲縮繊維(A)よりも1〜5mm大きい平均高さを有していてもよい。前記捲縮繊維(A)は親水性繊維で構成されていてもよく、捲縮率が5〜30%程度であってもよい。前記基布が織編物であり、かつ前記捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)が、いずれもマルチフィラメントのカットパイル糸であってもよい。前記非捲縮繊維(B)は、単糸繊度が10〜500dtex程度であるマルチフィラメントのカットパイル糸であり、かつ先端部で解撚して分岐し、根本部で撚りが残存して集束していてもよい。本発明の払拭布は、捲縮繊維(A)と非捲縮繊維(B)とが隣接して対となって列状に立設し、かつこれらの列同士が間隔をおいて平行に形成されていてもよい。
本発明には、前記払拭布を巻着したローラー部材と、このローラー部材の軸芯に対して、前記ローラー部材が回転可能に装着され、かつ屈曲した棒状体で形成されたハンドル部材とで構成された網戸清掃具も含まれる。
なお、本願明細書において、「マルチフィラメント」とは、複数(少なくとも2本)の糸条を1本の糸条として集束させたものを意味する。
本発明の払拭布は、繊度の異なる捲縮繊維と非捲縮繊維とを有し、非捲縮繊維が突出しているため、簡便かつ効率良く網戸を清掃できる。さらに、高さの低い捲縮繊維により水分を保持しながら、非捲縮繊維が網目に侵入して汚れを掻き取ることができるため、汚水の飛散を抑制しながら、効率良く網戸を清掃できる。特に、網戸の片面を清掃するだけで、表面同様に裏面も清掃でき充分に汚れを除去できる。
[払拭布]
本発明の払拭布は、網戸を清掃するための布帛であり、基布と、その基布の表面から立設された複数の繊維(繊維群又は繊維列)とで構成されている。
(基布)
基布としては、網戸を効率良く清掃可能な柔軟性を有する布帛であれば特に限定されず、不織布であってもよいが、表面に繊維を安定して立毛し易い点から、織編物が好ましい。織物地としては、例えば、平織地などを広く利用できるが、立毛部が基布に織り込まれて一体化したモケット地、ベルベット地、コールテン地などを好ましく使用できる。編物地としても、例えば、平編(天竺)地、ゴム編地、両面編地などを広く利用できるが、立毛部が基布に編み込まれて一体化したトリコット地、ラッセル地、シンカーベロア地などを好ましく使用できる。
基布を構成する繊維は、不織布の場合など、短繊維であってもよいが、織編物の場合は、連続した糸条である。また、繊維は、モノフィラメント糸であってもよいが、基布の柔軟性などの点から、マルチフィラメント糸や紡績糸が好ましい。その繊度(マルチフィラメント糸の場合は、マルチフィラメント糸の繊度)は、例えば、10〜500dtex、好ましくは50〜400dtex、さらに好ましくは100〜350dtex程度である。マルチフィラメントの単糸繊度は、特に限定されず、例えば、1〜50dtex、好ましくは3〜30dtex、さらに好ましくは5〜20dtex程度である。マルチフィラメントの本数は、例えば、10〜200本、好ましくは20〜150本、さらに好ましくは30〜100本程度である。
織編物を構成する繊維としては、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
天然繊維としては、例えば、木綿、麻などの植物繊維、絹、ウール(羊毛)、アンゴラ、カシミヤ、モヘヤ、キャメル、アルパカ、羽毛などの動物繊維などが挙げられる。
合成繊維としては、例えば、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などのポリアルキレンアリレート繊維、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612などの脂肪族ポリアミド系繊維、脂環族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリC2-4オレフィン繊維など)、アクリル系繊維(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系繊維など)、ポリビニルアルコール系繊維(エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維など)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体の繊維など)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体などの繊維)などが挙げられる。
半合成繊維としては、例えば、トリアセテート繊維などのアセテート繊維、プロミックス繊維などが挙げられる。
再生繊維としては、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュプラなどのセルロース系再生繊維などが挙げられる。
これらの繊維のうち、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アセテート繊維や再生繊維などのセルロース系繊維などが汎用される。なかでも、基布としての強度と柔軟性とを充足可能な点から、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系繊維、ポリアミド6やポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系繊維が好ましい。
なお、基布を構成する繊維の一部として、比較的低融点の樹脂で構成されたバインダー繊維、例えば、非晶質ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリウレタン系繊維などのバインダー繊維を用いることにより立設させる繊維を補強してもよい。
(基布表面に立設された複数の繊維)
基布の表面に立設される複数の繊維(立毛部)は、基布の表面に静電植毛などの方法を利用して接着剤などで固定した繊維であってもよいが、安定性や生産性などの点から、カットパイル糸であるのが好ましい。カットパイル糸は、通常、織編物である基布に対して編み込まれたり、織り込まれることにより、立毛部以外の部分では基布の一部を構成する。
本発明では、このような複数の繊維は、繊度の異なる捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)で構成されている。
(A)捲縮繊維
捲縮繊維(A)としては、前記基布の繊維として例示した繊維を使用できるが、網戸の清掃に使用される水を保持し、汚水の飛散を効率良く防止できる点から、親水性繊維が好ましい。親水性繊維としては、少なくとも親水性重合体で構成された繊維が使用できる。
親水性重合体としては、例えば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシC2-4アルキルセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロースエーテルなど)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2-4アルキレンオキシドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系共重合体及びそのアルカリ金属塩((メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体など)、ビニル系共重合体又はそのアルカリ金属塩(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体など)、可溶化置換基を有する樹脂又はそのアルカリ金属塩(スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基などを導入したポリエステル、ポリアミドなど)などが挙げられる。これらの親水性重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの親水性重合体のうち、親水性が高く、溶融紡糸安定性にも優れる点から、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系重合体、特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの親水性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体が好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体中におけるエチレン含有量は、例えば、20〜80モル%、好ましくは25〜70モル%、さらに好ましくは30〜60モル%程度である。
親水性繊維は、親水性重合体単独で構成された繊維(レーヨン、アセテート繊維、エチレン−ビニルアルコール共重合体繊維など)であってもよく、親水性重合体と疎水性重合体(例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂など)との複合繊維であってもよい。複合繊維の複合形態としては、芯鞘型、海島型、ブレンド型、並列型(サイドバイサイド型又は多層貼合型)、放射型(放射状貼合型)、中空放射型、ブロック型、ランダム複合型などの構造が挙げられるが、親水性重合体で構成された相が繊維表面に露出している構造であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂と、エチレン−ビニルアルコール共重合体との多層貼合型繊維などであってもよい。
捲縮繊維(A)の単糸繊度は、5dtex以下であり、例えば、0.01〜5dtex程度の範囲から選択できる。さらに、単糸繊度の平均値は、例えば、0.01〜3dtex、好ましくは0.03〜2dtex、さらに好ましくは0.05〜1dtex(特に0.1〜0.5dtex)程度である。このような小さい繊度を有する捲縮繊維(A)は、高度の捲縮が容易であり、非捲縮繊維(及び捲縮繊維自身)が汚れを掻き出すための繊維のコシとなるとともに、保水力も向上できる。
捲縮繊維(A)の捲縮率は、例えば、1〜60%、好ましくは2〜50%、さらに好ましくは3〜30%(特に5〜20%)程度である。このような捲縮率を有する繊維は、払拭に有用な弾力性を有し、主として非捲縮繊維による汚れの掻き取りにも有効に作用するとともに、ミクロクリンプの網目構造により高い保水力も有している。
捲縮繊維(A)は、モノフィラメントであってもよいが、カットパイル糸とした場合に、汚れを効率良く掻き取ることができ、かつ簡便に立毛密度を向上できる点から、マルチフィラメントが好ましい。マルチフィラメントとすることにより、ミクロクリンプを発現した繊維が交絡して網目構造を形成し易くなり、立毛部の充填密度を向上させることにより非捲縮繊維の剛性を向上させ、かつ保水力も向上できる。
マルチフィラメントに含まれる単繊維(モノフィラメント)の本数は、複数本(少なくとも2本以上)であればよいが、例えば、10〜500本、好ましくは20〜400本、さらに好ましくは30〜300本(特に50〜200本)程度である。
マルチフィラメントは、捲縮を発現させるために、仮撚されているのが好ましい。仮撚の方法としては、前記捲縮率の範囲となるように、慣用の方法を採用できる。例えば、繊度や材料の種類に応じて適宜選択できるが、30〜200dtex(特に50〜150dtex)/10〜30フィラメントのマルチフィラメントの場合、仮撚条件として、仮撚数1000〜5000T/m(特に2000〜4000T/m)程度、1段ヒーター温度100〜260℃(特に120〜200℃)程度、2段ヒーター温度100〜200℃(特に120〜180℃)程度、糸速100〜500m/分(特に200〜400m/分)程度であってもよい。さらに、糸条の太さを調整するために、得られた仮撚糸を、さらに数本(例えば、2〜10本、特に2〜5本)集束させてもよい。マルチフィラメントの繊度は、例えば、10〜1000dtex、好ましくは50〜800dtex、さらに好ましくは100〜500dtex程度である。
捲縮繊維(A)の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面[扁平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]に限定されず、中空断面状などであってもよいが、通常、丸型断面、扁平状、楕円状などである。
捲縮繊維(A)の平均高さは、例えば、2〜10mm、好ましくは2.5〜9mm、さらに好ましくは3〜8mm程度である。本発明では、捲縮繊維(A)よりも剛直な後述の非捲縮繊維(B)の高さが大きいため、剛直な非捲縮繊維(B)による網目の汚れに対する掻き取り力を効率良く発現できる。
複数の捲縮繊維(A)は、いずれも略同じ高さを有しており、このような高さの揃った繊維は、例えば、カットパイル糸の輪奈の長さを均一にすることにより容易に製造できる。
(B)非捲縮繊維
非捲縮繊維(B)は、実質的に捲縮を有しておらず、捲縮率は5%以下、好ましくは1%以下である。非捲縮繊維(B)としても、前記基布の繊維として例示した繊維を使用でき、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維などが汎用される。なかでも、適度な剛直性(立設強度)を発現できる点から、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系繊維、ポリアミド6やポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系繊維、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系繊維が好ましい。
非捲縮繊維(B)の単糸繊度は、前記捲縮繊維(A)の単糸繊度よりも大きく、5dtexを超えていればよく、例えば、6〜500dtex、好ましくは8〜300dtex、さらに好ましくは10〜100dtex(特に15〜50dtex)程度である。このような繊度を有する非捲縮繊維(B)は、市販の1〜3mm程度の孔径を有する網目に侵入し易く、かつ汚れを掻き取るための適度な剛性も有している。
非捲縮繊維(B)が扁平繊維である場合、単糸繊度は、例えば、100〜500dtex、好ましくは200〜450dtex程度であってもよい。扁平繊維の断面における扁平度を示す長径と短径との比(アスペクト比)は、例えば、2〜100、好ましくは3〜50、さらに好ましくは5〜30程度である。扁平繊維の厚み(断面の短径)は、例えば、1〜300μm、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μm程度である。
非捲縮繊維(B)は、モノフィラメントであってもよいが、カットパイル糸とした場合に、汚れの洗浄能力が高く、簡便に立毛密度を向上できる点から、マルチフィラメントが好ましい。マルチフィラメントのカットパイル糸は、根本付近で複数の繊維が集束しているため、汚れを掻き取るための剛直性(立設強度)を保持できる。さらに、解撚した先端部は、網目に侵入し易く、かつ各種方向に向いた先端部が網目に侵入して離脱する際に、網目と効率良く接触できるため、網目の汚れを充分に掻き取ることができる。また、先端部が各種方向に向くため、網目に作用する力が拡散され、汚水の飛散も抑制できる。なお、カットパイル糸は、カット部位を調整することなどにより、先端部を湾曲させることも可能であり、湾曲した先端部は汚れを効率良く掻き取ることができる。本発明では、先端部の湾曲により、網戸の網目に繊維が引っかかって汚れを掻き取るためか、片面の清掃だけで、清掃面の裏面の汚れも除去できる。
非捲縮繊維(B)には、カットパイル糸に適度な湾曲を付与する点から、撚りを付与するのが好ましい。特に、後述するように、カットパイル糸の根本部に撚りを残存させて、先端部のみ解撚させる点からも、所定の撚数で撚りを付与するのが好ましい。撚数は、例えば、50〜3000T/m、好ましくは100〜1000T/m、さらに好ましくは200〜500T/m(特に250〜400T/m)程度である。扁平繊維の場合、撚数は、例えば、50〜200T/m、好ましくは60〜100T/m程度であってもよい。
マルチフィラメントのカットパイル糸において、このような剛直性と汚れの掻き取り性とをバランス良く発現するためには、適度な割合で、先端部で解撚し、かつ根本部に撚りが残存するのが好ましい。具体的には、解撚せずに撚りが残存した部分の長さは、マルチフィラメントの全長(立毛部の全長)に対して、例えば、95%以下、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは20〜85%(特に30〜80%)程度であってもよい。根本部分に適度に撚りが残存したカットパイル糸は、根本部分の撚糸により汚れを掻き取るために必要な繊維の剛性を保持しつつ、先端の房状に分岐した解撚部分により効率良く網戸の網目に侵入が可能となり、例えば、網戸の片面を清掃するだけで同時に非清掃面である裏面の清掃も可能となる。
マルチフィラメントに含まれる単繊維(モノフィラメント)の本数は、例えば、2〜300本、好ましくは3〜200本、さらに好ましくは5〜100本(特に10〜50本)程度である。扁平繊維の場合、例えば、2〜5本(特に2〜3本)程度であってもよい。マルチフィラメントの繊度は、例えば、10〜1000dtex、好ましくは50〜500dtex、さらに好ましくは100〜300dtex程度である。扁平繊維の場合、例えば、マルチフィラメントの繊度は、例えば、100〜1000dtex、好ましくは300〜800dtex程度であってもよい。
非捲縮繊維(B)の横断面形状は、捲縮繊維(A)と同様であり、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面[扁平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]に限定されず、中空断面状などであってもよいが、通常、丸型断面、扁平状、楕円状である。
なお、非捲縮繊維(B)がモノフィラメントであっても、例えば、扁平な断面を有する扁平繊維の先端部が櫛形に分割又は分岐された形状の繊維とすれば、マルチフィラメントのカットパイル糸と同様な効果を発現できる。このような扁平繊維において、分割部分の長さは、モノフィラメントの全長(立毛部の全長)に対して、例えば、90%以下、好ましくは5〜70%、さらに好ましくは10〜60%(特に20〜50%)程度であってもよい。
非捲縮繊維(B)の平均高さは、前記捲縮繊維(A)の平均高さよりも大きく、例えば、3〜15mm、好ましくは4〜14mm、さらに好ましくは4〜13mm程度である。両繊維の平均高さの差異は、例えば、非捲縮繊維(B)の高さが、捲縮繊維(A)の高さよりも、例えば、1〜5mm、好ましくは1.2〜4mm、さらに好ましくは1.5〜3mm(特に1.8〜2.5mm)程度高いのが好ましい。
複数の非捲縮繊維(B)も、いずれも略同じ高さを有しており、捲縮繊維(A)と同様に、カットパイル糸の輪奈の長さを均一にすることにより容易に製造できる。
(払拭布の構造及び製法)
本発明の払拭布は、前記基布の表面に複数の捲縮繊維(A)と非捲縮繊維(B)とが立設されているが、立設された複数の繊維の配置は、両繊維が適度に混在していれば特に限定されない。
特に、払拭布が織編物である場合、立設する繊維の配置は規則的であってもよく、例えば、捲縮繊維(A)と非捲縮繊維(B)とが交互に立設されていてもよい。さらに、立毛密度を調整するために、立設した繊維同士の間隔、例えば、立設した繊維で構成された列同士の間隔を規則的にあけてもよい。マルチフィラメントの場合、切断されたパイル糸はモノフィラメントに分岐するため、繊維同士の間隔をあけて立毛密度を調整するのが有効であり、具体的には、カットパイル糸を構成するための輪奈を、間隔をおいて織成又は編成することにより容易に製造できる。
具体的に、織編物の表面に立設させるカットパイル糸の配置の一例について、図を用いて説明する。図1は、本発明の払拭布における地糸とカットパイル糸との組織の一例を示す概略断面図であり、図2は、図1で示す払拭布の表面に立設されたカットパイル糸の配置関係をモデル的に表した概略模式図である。
この例で示された払拭布は、地糸3で編成(又は織成)された基布に対して、捲縮繊維(A)で構成された捲縮パイル糸1、及び非捲縮繊維(B)で構成された非捲縮パイル糸2が編み込まれており、捲縮パイル糸1及び非捲縮パイル糸2が、図2におけるX方向に沿って平行に隣接して基布に編み込まれている。すなわち、捲縮パイル糸1及び非捲縮パイル糸2は、Y方向において隣接する地糸3の編目(又は織目)に形成されている(基布の編目毎に交互に捲縮パイル糸1及び非捲縮パイル糸2が編み込まれている)。また、捲縮パイル糸1及び非捲縮パイル糸2ともに、捲縮カットパイル糸1a及び非捲縮カットパイル糸2aを形成するための輪奈は、編み込まれたパイル糸の編目において交互に1飛びで(地糸3の2糸おきに)形成されている。その結果、捲縮繊維(A)で構成されたカットパイル糸1aと、非捲縮繊維(B)で構成された非捲縮カットパイル糸2aとは、Y方向において交互に対をなして列を形成している。さらに、このカットパイル糸1a及び2aで構成された列同士は、X方向において一つの編目に相当する間隔をあけて、Y方向に平行して形成されている。
なお、パイル糸の切断について、実際の払拭布では、輪奈の中央部で対称形状にカットされる場合は稀であり、図1に示すように、非対称な部位でカットされ、いずれかの先端部は湾曲している場合が多い。特に、非捲縮繊維(B)の先端部が湾曲している場合には、清掃の際には網戸の網目に引っかかることにより、汚れを掻き取る力が向上する。
さらに、この図では、便宜上、モノフィラメントとして示されているが、マルチフィラメントの場合には、繊維が少なくとも先端部において各方向に房状に分岐して湾曲するため、繊維の先端付近では、列同士の隙間が分岐した繊維で埋められる場合が多い。特に、捲縮繊維(A)は、捲縮率が高いため、隣りの列の捲縮繊維と接触又は絡合し、列間に間隔をあけることにより、適度な立毛密度となって、吸水力及び保水力を向上する。
本発明の払拭布における典型的な例では、基布の表面が綿状の捲縮繊維(A)で覆われ、さらにその綿状捲縮繊維(A)の表面において、先端が房状に分岐した非捲縮繊維(B)が数ミリ突出した構造となる。
本発明の払拭布は、このような配置に限定されず、捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)の繊度や本数などに応じて適宜選択でき、捲縮繊維(A)と非捲縮繊維(B)との繰り返しの配置も1糸毎に交互に繰り返す配置に限定されず、例えば、2〜10糸毎(特に2〜5糸毎)に(すなわち、2〜10糸をまとめて)交互に繰り返してもよい。また、捲縮繊維(A)と非捲縮繊維(B)とを基布の編目(又は織目)毎に隣接させて編み込むことなく、基布の1個以上(例えば、1〜3個程度)の編目に相当する間隔をあけて(基布の編目を飛ばして)編み込んでもよい。逆に、基布(地糸)に対する立毛部の密度を高くしたい場合には、基布の一つの編目に対して、2糸以上の捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)を編み込んでもよい。なお、織物の場合など、捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)の両糸を経糸又は緯糸に織り込んでもよく、捲縮繊維(A)を経糸(又は緯糸)に織り込み、非捲縮繊維(B)を緯糸(又は経糸)に織り込んでもよい。
さらに、基布(地糸)に対する立毛部の密度を高くしたい場合には、払拭布の表面に立設した捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)で構成された列同士の間隔を形成せずに、全ての編目において捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)を立設させてもよい。逆に、基布(地糸)に対する立毛部の密度を低くしたい場合には、基布を構成する繊維の繊度に応じて、例えば、前記列同士の間隔を2個以上(例えば、2〜3個程度)の編目に相当する間隔をあけて形成してもよい。すなわち、2以上の地糸おきに、例えば、地糸の2〜3糸おきにパイル糸の輪奈を形成してもよい。汚れを効率良く掻き取り、水分を充分に保持できる点からは、2個以下の編目に相当する間隔をあけて形成するのが好ましい。
捲縮繊維(A)と非捲縮繊維(B)との割合(カットパイル糸の場合は切断する前の本数)も、同じ割合(本数)に限定されず、各繊維の繊度や本数に応じて、例えば、捲縮繊維(A)/非捲縮繊維(B)=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70程度の範囲(本数比)から適宜選択できる。
本発明の払拭布の目付は、例えば、500〜2000g/m程度の範囲から選択でき、好ましくは700〜1500g/m、さらに好ましくは900〜1300g/m程度である。
本発明の払拭布には、必要に応じて、着色剤(染顔料など)、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、抗菌剤、充填剤、微粒子、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、払拭布を構成する各糸のいずれに含まれていてもよい。特に、払拭布を構成する各糸(例えば、捲縮繊維(A)の一部の糸)に着色剤を含有させて着色してもよい。例えば、着色した糸を規則的に編成又は織成することにより、払拭布に装飾的な効果を施してもよい。
本発明の払拭布は、慣用の方法で製造できる。例えば、織編物の場合、慣用の編機や織機を用いて製造できる。特に、カットパイル糸を利用したパイル織編物を製造する場合は、二重パイル織機、丸編機(例えば、シールフライス機、スライバーニット機など)などを利用して製造してもよい。得られたカットパイル織編物は、毛割り加工を行って、余分な毛羽を除去してもよく、また、慣用のせん毛機を用いたシャーリング加工を行って、カットパイル糸の長さを刈り揃えてもよい。さらに、払拭布の裏面には、慣用の方法により、接着剤(例えば、アクリル系接着剤、オレフィン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ウレタン系接着剤などのホットメルト接着剤など)を用いてバックコート処理(アンカー処理)を施してもよい。
[網戸清掃具]
本発明の網戸清掃具は、前記払拭布を備えていれば、特に限定されず、払拭布自体をタオルや雑巾のように使用する態様であってもよく、前記払拭布を取り付けたシート状支持板とこの支持板から延出した把持部材とで構成された網戸清掃具であってもよいが、簡便かつ効率よく清掃できる点から、前記払拭布を巻着したローラー部材を備えた網戸清掃具であるのが好ましい。
このようなローラー部材を利用した本発明の網戸清掃具について、以下に図面を参照して説明する。図3は、本発明の網戸清掃具の一例を示す概略斜視図である。この例における網戸清掃具は、払拭布11を巻着した円筒中空状のローラー部材12と、このローラー部材12の軸芯に対して、ローラー部材12が回転可能に装着されたハンドル部材13とで構成されている。さらに、ハンドル部材13は、ローラー部材12が回転可能にローラー部材12の軸芯に挿入され、かつローラー部材12の端部からローラー部材の軸線に対して交差又は直交する方向に屈曲して延びたアーム状棒状体13aと、この棒状体13aの端部に形成された把持部13bとで構成されている。
払拭布11は、プラスチックで構成されたローラー部材12の表面に対して、着脱不能に熱溶融性接着剤で固定されている。
ローラー部材12は中空構造であり、その表面に払拭布11が巻着された外芯部と、この外芯部に対して回転可能に取り付けられた内芯部とで構成されている。また、このローラー部材12の軸芯(内芯部)には、金属やプラスチックなどで構成された断面円形の棒状体13aが装着状態で他方の端部に延びており、この端部は止め具で回転可能に固定されるともに、棒状体13aを引き抜くことにより着脱可能である。このローラー部材12は、内芯部がローラー部材12(外芯部)内で自由に回転可能であることにより、棒状体13aを中心として円滑に回転が可能である。さらに、ローラー部材12が棒状体13aと着脱可能であるため、使用により汚染されたローラー部材12は、棒状体13aから取り外すことにより、容易に払拭布11の洗浄ができ、新しいローラー部材12と交換することもできる。プラスチック又は木材で構成された把持部13bは、棒状体13aと着脱不能に固定されている。
この網戸用清掃具では、払拭布11がローラー部材12に巻着され、このローラー部材12が軸芯に対して回転可能な構造であるため、網戸の網目にかかる摺動力が小さく、網目の寄りや損傷が抑制される。すなわち、平面状の払拭布での清掃では、払拭布と網戸との摩擦力により網目が変形し易いのに対して、ローラー部材12を用いることにより、網戸清掃の際に、ローラー部材12が回転して網戸の網目に接触して汚れを掻き出すため、網戸の網目に過度の負荷をかけずに清掃できる。
図4は、本発明の網戸清掃具の他の一例を示す概略斜視図である。この例における網戸清掃具は、ハンドル部材に洗浄液を保持可能なタイプの網戸清掃具であり、払拭布21を巻着したローラー部材22と、このローラー部材22の軸芯に対して、ローラー部材22が回転可能に装着されたハンドル部材23とで構成されている。さらに、ハンドル部材23は、屈曲した棒状体23aと把持部23bとで構成されている。この例において、棒状体23a及び把持部23bの構造を除いて、図3で示す網戸清掃具と同様の構造である。
この例では、棒状体23aは、把持部23bからY字状に拡がり屈曲して先端部が内方に延び、ローラー部材22の両端部から挿入され、ローラー部材22を回転可能な状態で固定されている。また、把持部23bは、棒状体23aを着脱不能に固定し、ローラー部材23を転動させるための把持部としての機能を有しているが、その構造は、内部に液体を収容可能な中空構造(容器)であり、ネジ部で嵌合された蓋部23b1と容器本体部23b2とで構成されている。そのため、この把持部23bは、把持部としての機能に加えて、洗浄液24を収容する容器としての機能も有している。把持部23の蓋部の上端部(容器の口部)は、布帛などの多孔質部材で構成されており、口部を下に向けることにより、洗浄液24を払拭布21の上に供給できる。さらに、把持部23bの容器本体部23b2は、透明なプラスチックで構成されているため、洗浄液24の残量を目視により容易に確認できる。
本発明の網戸清掃具において、払拭布とローラー部材とは、接着剤に限定されず、ローラー部材の芯材を構成する他の布帛などに縫製により固定されていてもよい。また、面ファスナー、粘着剤などを用いて、着脱可能に固定(仮止め)されていてもよい。払拭布がローラー部材と着脱可能であると、払拭布の交換や洗浄が容易となる。
ローラー部材の大きさは、例えば、長尺方向の長さが5〜50cm(特に15〜30cm)程度であり、芯材の直径が1〜6cm(特に1.5〜5cm)程度である。
ローラー部材の回転機構については、特に限定されず、棒状体が少なくとも一方の端部から挿入し、内芯部とこの内芯部に対して回転可能な外芯部を利用した機構に限定されず、慣用の回転機構が利用でき、例えば、内芯部と外芯部との間にはベアリング機構が介在していてもよい。また、棒状体とローラー部材との境界の摩擦力を低減させることなどにより、内芯を形成することなく、挿入した棒状体を円滑に回転させる機構であってもよい。
棒状体とローラー部材は、回転可能に固定されていればよく、着脱可能な構造に限定されない。例えば、棒状体とローラー部材とを着脱不能な構造にするともに、払拭布をローラー部材から着脱可能な構造とすれば、作業時におけるローラー部材の脱落などが抑制され、安定してローラー部材を転動でき、払拭布も容易に交換したり、洗浄できる。
把持部は、棒状体と異なる部材として形成する必要はなく、例えば、棒状体の形状を変化させることなどにより棒状体と一体成形してもよい。
本発明の網戸清掃具を用いた網戸の清掃方法は、特に限定されず、払拭布に水を含浸させて網戸のネット上を転動させてもよく、水を含浸させることなく、乾燥状態でネット上を転動させてもよい。さらに、水には洗剤を含有させてもよい。
本発明の払拭布及びそれを備えた網戸清掃具は、家屋やビルなどの建造物の窓枠に取り付けられる網戸を清掃するために有効に利用できる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、以下の方法により測定した。なお、実施例中の「%」はことわりのない限り、質量基準である。
(1)捲縮率(K1)
カセ巻取機で5500dtexとなるまで試料を巻き取った後、カセの下端中央に10gの荷重を吊して上部中央でこのカセを固定し、0.009cN/dtexの荷重が掛かった状態で90℃にて30分間熱水処理を行った。次いで、無荷重状態で室温に放置し乾燥した後、再び10gの荷重を掛けて5分間放置後、糸長を測定しこれをL1(mm)とした。次に、1kgの荷重を掛け、30秒放置後の糸長を測定しこれをL2(mm)とした。そして、K1値(%)は下記式により求めた。
K1=[(L2−L1)/L2]×100。
(2)カットパイル糸の高さ
最小目盛りが1mmの定規をカットパイル糸の根元に挿入して、地部からカットパイル先端までの長さを測定した。
(3)拭取り性及び操作性の評価
ポリプロピレン製モノフィラメント(白色)で製造された開き目が18メッシュのネットを用いて、縦200cm×横100cmとなるように簡易網戸を組み立て、これを屋外に3ヶ月放置した状態のものを評価試験に供した。網戸の清掃方法は、次のように実施した。
すなわち、水をバケツに溜め、網戸清掃具をこのバケツに浸漬させて水を清掃具の繊維に含浸させ、次いで、清掃具から水が垂れなくなるように充分に水切りし、網戸のネットの上を、清掃具を転動させながら清掃した。清掃前後の汚れ具合を目視により以下の4段階の基準で評価するとともに、操作性についても以下の2段階の基準でで評価した。
(拭取り性)
◎:網の表・裏面ともに汚れがよく落ちていた
○:網の表面は汚れがよく落ちていたが、裏面は汚れが若干残っていた
△:網の表・裏面ともに汚れが若干残っていた
×:網の表・裏面ともに汚れが残っていた。
(操作性)
○:汚水が飛散しない
×:汚水が飛散する。
実施例1
シリンダー部にパイル形成用の鎌鈎針を配置し、ダイヤル部には地組織とパイル組織とを形成する編針を配置した口径20インチ、16ゲージ、12口のフライス型丸編機を用いて、カットパイル長が7mmとなるように設定して編立てを実施する。カットパイル糸用には、捲縮繊維(A)として、分割型複合繊維の仮撚糸(EK110dtex/24フィラメント、(株)クラレ製「WRAMP」、K1値:11%、エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリエチレンテレフタレートとの多層貼合型複合繊維であって、仮撚された繊維糸条は0.4〜3.4dtexの繊維が混在した繊維)をエア混繊機により4本集束させて450dtex/96フィラメントとした捲縮繊維糸条と、非捲縮繊維(B)として、ポリアミドマルチフィラメント糸(235dtex/13フィラメント、単糸繊度:18dtex、東レ(株)製)にS350T/mの撚数で撚りを付与した非捲縮繊維糸条を準備した。また、地糸として、ポリエチレンテレフタレート単糸(紡績糸、30番手)及びポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(330dtex/72フィラメント、単糸繊度4.6dtex)を準備した。これら2種類のカットパイル糸用糸条、及び2種類の地糸用糸条をそれぞれ引き揃えて、前記フライス型丸編機に供給し、目付1020g/mで、図1に示す編み組織(Y方向において、カット前の両パイル糸の本数比が、捲縮繊維(A)/非捲縮繊維(B)=1/3となる比率で、交互に対をなして列を形成した編み組織)を有するカットパイル編地を得た。
次いで、得られた編地のカットパイル部先端のみブラシ掛けし、整理仕上げを実施した。編地は、非捲縮繊維(B)の平均高さが8mmであり、非捲縮繊維(B)が捲縮繊維(A)よりも2mm長く仕上がると同時に、非捲縮繊維(B)の先端部に近い部分の約4mmのみ解撚されていた。
得られた払拭布を、図3に示す直径13mmで長さ16cmのローラー部材(ポリプロピレン製筒状体)に巻き付けて接着し、網戸用清掃具を製造した。この清掃具を用いて、拭取り及び操作性を評価した結果を表1に示す。
実施例2
非捲縮繊維(B)として、ポリアミドマルチフィラメント糸の代わりに、断面の厚みが38μm、幅が750μmであるポリエチレンテレフタレート製スリット糸(390dtex、東レ(株)製)を2本集束させたS70T/mの合撚糸を使用した以外は実施例1と同様の糸使いで編成した。但し、編立は捲縮繊維と非捲縮繊維とを引き揃えずに、パイル糸の給糸口に対して4分の1の給糸口に非捲縮繊維(B)を供給して編成し(カット前の両パイル糸の本数比が、捲縮繊維(A)/非捲縮繊維(B)=3/1となる比率で、交互に対をなして列を形成した編み組織)、目付960g/mのカットパイル編地を得た。
次いで、得られた編地のカットパイル部先端のみブラシ掛けし、整理仕上げを実施した。編地は、非捲縮繊維(B)の平均高さが7mmであり、非捲縮繊維(B)が捲縮繊維(A)よりも2mm長く仕上がると同時に、非捲縮繊維(B)の先端部に近い部分の約4mmのみ解撚されていた。得られた払拭布を用いて製造した網戸用清掃具の評価結果を表1に示す。
比較例1
捲縮繊維(A)として、ポリアミドマルチフィラメント糸(235dtex/13フィラメント、単糸繊度:18dtex、東レ(株)製)に仮撚加工を施した繊維を使用する以外は実施例1と同様にしてカットパイル編地を得た。編地は、いずれも捲縮繊維であり、両糸の高さの認識はできなかった。得られた払拭布を用いて製造した網戸用清掃具の評価結果を表1に示す。
比較例2
捲縮繊維(A)として、分割型複合繊維の代わりに、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(SD280dtex/48フィラメント、単糸繊度5.4dtex、(株)クラレ製、K1値:24%、)をエア混繊機により2本集束させて560dtex/96フィラメントとした捲縮繊維糸条を用い、目付1150g/mのカットパイル編地を得る以外は実施例1と同様にして払拭布を得た。編地は、非捲縮繊維(B)の平均高さが8mmであり、非捲縮繊維(B)が捲縮繊維(A)よりも2mm長く仕上がると同時に、非捲縮繊維(B)の先端部に近い部分の約4mmのみ解撚されていた。得られた払拭布を用いて製造した網戸用清掃具の評価結果を表1に示す。
Figure 0005210029
表1の結果から明らかなように、実施例の網戸用清掃具では、拭き取り性が高く、片面を清掃するだけで、両面の汚れを除去できた。さらに、操作性も優れ、汚水の飛散が抑制されていた。これに対して、比較例の網戸清掃具は、いずれも、網戸の裏面に汚れが回り込んで、汚れを充分に除去できていない状態であり、汚水も飛散した。
図1は、本発明の払拭布における地糸とカットパイル糸との組織の一例を示す概略断面図である。 図2は、図1で示す払拭布の表面に立設されたカットパイル糸の配置関係をモデル的に表した概略模式図である。 図3は、本発明の網戸清掃具の一例を示す概略斜視図である。 図4は、本発明の網戸清掃具の他の一例を示す概略斜視図である。
符号の説明
1…捲縮パイル糸
2…非捲縮パイル糸
1a…捲縮カットパイル糸
2a…非捲縮カットパイル糸
3…地糸
11,21…払拭布
12,22…ローラー部材
13,23…ハンドル部材

Claims (7)

  1. 基布と、その基布の表面から立設された複数の繊維とで構成され、かつ網戸を清掃するための払拭布であって、前記複数の繊維が、単糸繊度が5dtex以下である複数の捲縮繊維(A)と単糸繊度が5dtexを超える複数の非捲縮繊維(B)とで構成され、前記捲縮繊維(A)が少なくとも親水性重合体で構成された相が繊維表面に露出した構造の親水性繊維であり、かつ前記非捲縮繊維(B)の高さが前記捲縮繊維(A)の高さよりも大きい払拭布。
  2. 複数の捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)が、それぞれ略同一の高さを有するとともに、前記捲縮繊維(A)の平均高さが2〜10mmであり、かつ前記非捲縮繊維(B)が前記捲縮繊維(A)よりも1〜5mm大きい平均高さを有する請求項1記載の払拭布。
  3. 捲縮繊維(A)捲縮率が5〜30%である請求項1又は2記載の払拭布。
  4. 基布が織編物であり、かつ捲縮繊維(A)及び非捲縮繊維(B)がいずれもマルチフィラメントのカットパイル糸である請求項1〜3のいずれかに記載の払拭布。
  5. 非捲縮繊維(B)が、単糸繊度が10〜500dtexであるマルチフィラメントのカットパイル糸であり、かつ先端部で解撚して分岐し、かつ根本部で撚りが残存して集束している請求項4記載の払拭布。
  6. 捲縮繊維(A)と非捲縮繊維(B)とが隣接して対となって列状に立設し、かつこれらの列同士が間隔をおいて平行に形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の払拭布。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の払拭布を巻着したローラー部材と、このローラー部材の軸芯に対して、前記ローラー部材が回転可能に装着され、かつ屈曲した棒状体で形成されたハンドル部材とで構成された網戸清掃具。
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