JP5900206B2 - 車両用シート - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シートに関し、詳しくは、シートバックのサイドフレームにサイドエアバック装置が組み付けられている車両用シートに関する。
従来、車両に側面衝突が発生すると、シートバックのアウタ側に内蔵されているエアバック袋がシートバックの表面を突き破って膨らむことで、着座者の胸部や腹部を側面衝突の衝撃から保護するサイドエアバック装置を備えた車両用シートが既に知られている。ここで、下記特許文献1には、サイドエアバック装置がシートバックのサイドフレームのアウタ側の表面に組み付けられている車両用シートが開示されている。これにより、シートバックのアウタ側にエアバック袋を簡便に内蔵させることができる。
特開2008−37261号公報
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、着座者がシートバックに背凭れすると、この背凭れ荷重がシートクッションパッドを介してサイドエアバック装置にも掛かるため、この掛かった荷重によってサイドエアバック装置が破損してしまうこともあった。このことを防止するために、シートバックの内部にサイドエアバック装置を保護するカバーを取り付けることが考えられた。しかしながら、この考えでは、部品点数が増加してしまうという新たな問題が発生することとなっていた。
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、部品点数を増加させることなく、着座者の背凭れ荷重からサイドエアバック装置を保護できる車両用シートを提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、シートバックのサイドフレームにサイドエアバック装置が組み付けられている車両用シートであって、サイドフレームは、その本体を成すベースと、ベースの長手方向に沿う前側の縁から外側に向けて張り出したフランジと、ベースの長手方向に沿う後側の縁から外側または内側に向けて張り出した後フランジと、から構成されており、サイドエアバック装置は、ベースとフランジとから臨まれるようにサイドフレームに組み付けられており、前フランジは、サイドエアバック装置の前側の全てを覆うように、さらに張り出しており、後フランジの張り出し長は、前フランジの張り出し長より小さく設定されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、例えば、助手席であれば、サイドエアバック装置は、その前側が左のサイドフレームのフランジによってカバーされる格好となっている。したがって、シートクッションパッドを介した着座者の背凭れ荷重がサイドエアバック装置に掛かることを防止できる。結果として、着座者の背凭れ荷重からサイドエアバック装置を保護できる。なお、このフランジは、左のサイドフレームの剛性を高めるために、従来技術でも、必ず形成されているものであるため、部品点数の増加を招くこともない。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートであって、前フランジのさらなる張り出しは、ベースの長手方向に沿う前側の縁のうち、サイドエアバック装置の前側を覆う部位のみとなっていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、サイドエアバック装置の保護を必要な箇所(サイドエアバック装置)のみ強固にできる。
図1は、本発明の参考例1に係る助手席の全体斜視図である。 図2は、図1のシートバックの内部のフレーム構造を示す斜視図である。 図3は、図1の横断面図である。 図4は、本発明の実施例1に係る助手席のシートバックの内部のフレーム構造を示す斜視図である。 図5は、本発明の実施例1に係る助手席の横断面図である。 図6は、本発明の実施例2に係る助手席のシートバックの内部のフレーム構造を示す斜視図である。 図7は、本発明の実施例2に係る助手席の横断面図である。 図8は、本発明の参考例2に係る助手席の横断面図である。 図9は、本発明の参考例3に係る助手席の横断面図である。 図10は、本発明の参考例4に係る助手席の横断面図である。 図11は、本発明の参考例5に係る助手席の横断面図である。 図12は、本発明の変形例1に係る助手席の横断面図である。 図13は、本発明の変形例2に係る助手席の横断面図である。 図14は、本発明の参考例6に係る助手席の横断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
参考例1
まず、本発明の参考例1を、図1〜3を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、「車両用シート」として「助手席1」を例に説明することとする。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、車両(図示しない)に組み付けた助手席1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。このことは、後述する全ての実施例および全ての変形例においても同様である。
この助手席1は、図1に示すように、シートクッション2とシートバック3とから構成されている。これらシートクッション2とシートバック3とのうち、シートバック3について詳述していく。なお、シートクッション2については、公知のものでよいため、その詳細な説明は省略することとする。
シートバック3は、図2〜3に示すように、その骨格をなすバックフレーム10と、このバックフレーム10を包み込むように組み付けられるシートクッションパッド20と、このシートクッションパッド20の表面を取り巻くようにカバーリングする表皮30とから構成されている(図3参照)。
このバックフレーム10は、左のサイドフレーム12と、この左のサイドフレーム12に対向する右のサイドフレーム14と、この左右のサイドフレーム12、14の上側を橋渡すように組み付けられるアッパフレーム16と、この左右のサイドフレーム12、14の下側を橋渡すように組み付けられるロアパネル18とから略矩形枠状に形成されている(図2参照)。
ここで、この左のサイドフレーム12について詳述すると、この左のサイドフレーム12は、その本体を成すベース12aと、このベース12aの長手方向に沿う前側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された前フランジ12bと、このベース12aの長手方向に沿う後側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された後フランジ12cとから構成されている。
これら前フランジ12bの張り出し長L1と、後フランジ12cの張り出し長L2とは、図2〜3に示すように、同一(L1=L2)となるように設定されている。なお、右のサイドフレーム14は、この左のサイドフレーム12に対して左右に対称を成すように形成されている。
このベース12aの外側の表面には、ボルトBとナットNを介してサイドエアバック装置40が組み付けられている(図3参照)。このように組み付けられていると、サイドエアバック装置40は、ベース12aと前後のフランジ12b、12cとから臨まれる状態(囲まれる状態)となっている。
また、このように組み付けられていると、サイドエアバック装置40は、左のサイドフレーム12のデッドスペース(左のサイドフレーム12の内部)に組み付けられていることとなる。この記載が、特許請求の範囲に記載の「サイドエアバック装置は、ベースとフランジとから臨まれるようにサイドフレームに組み付けられている」に相当する。
このサイドエアバック装置40は、インフレータ42と、折り畳まれた状態で収納されたエアバック袋44とから構成されている。そして、車両(図示しない)に搭載のECU(図示しない)が車両(図示しない)の側面に発生した衝突を検出すると、インフレータ42から高圧ガスが発せられ、瞬時に、エアバック袋44が前方に向けて膨らんでいく。このとき、エアバック袋44は、シートバック3の表面を突き破って膨らんでいくため、助手席1の着座者(図示しない)の胸部や腹部を側面衝突の衝撃から保護できる。
本発明の参考例1に係る助手席1は、上述したように構成されている。この構成によれば、左のサイドフレーム12は、その本体を成すベース12aと、このベース12aの長手方向に沿う前側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された前フランジ12bと、このベース12aの長手方向に沿う後側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された後フランジ12cとから構成されている。このベース12aの外側の表面には、ボルトBとナットNを介してサイドエアバック装置40が組み付けられている。このように組み付けられていると、サイドエアバック装置40は、ベース12aと前後のフランジ12b、12cとから臨まれる状態(囲まれる状態)となっている。そのため、サイドエアバック装置40は、その前側が左のサイドフレーム12の前フランジ12bによってカバーされる格好となっている。したがって、シートクッションパッド20を介した着座者の背凭れ荷重がサイドエアバック装置40に掛かることを防止できる。結果として、着座者の背凭れ荷重からサイドエアバック装置40を保護できる。なお、この前フランジ12bは、左のサイドフレーム12の剛性を高めるために、従来技術でも、必ず形成されているものであるため、部品点数の増加を招くこともない。また、この構成によれば、サイドエアバック装置40は、左のサイドフレーム12のデッドスペース(左のサイドフレーム12の内部)に組み付けられていることとなっている。そのため、従来技術と比較すると、シートバック3の内部にサイドエアバック装置40を組み付けるスペースを新たに確保する必要がない。
実施例1
次に、本発明の実施例1を、図4〜5を用いて説明する。この実施例1の助手席101は、既に説明した参考例1の助手席1と比較すると、サイドエアバック装置40の保護を強固にした形態である。なお、以下の説明にあたって、参考例1で説明した部材と同一の部材には、図面において、同一符号を付すことで重複する説明は省略することとする。このことは、後述する全ての実施例および全ての変形例において同様である。
この助手席101も、参考例1の助手席1と同様に、シートクッション(図示しない)とシートバック103とから構成されている。このシートバック103も、図4〜5に示すように、その骨格をなすバックフレーム110と、このバックフレーム110を包み込むように組み付けられるシートクッションパッド20と、このシートクッションパッド20の表面を取り巻くようにカバーリングする表皮30とから構成されている。
このバックフレーム110は、左のサイドフレーム112と、この左のサイドフレーム112に対向する右のサイドフレーム14と、この左右のサイドフレーム112、14の上側を橋渡すように組み付けられるアッパフレーム16と、この左右のサイドフレーム112、14の下側を橋渡すように組み付けられるロアパネル18とから略矩形枠状に形成されている。
ここで、この左のサイドフレーム112について詳述すると、この左のサイドフレーム112は、その本体を成すベース12aと、このベース12aの長手方向に沿う前側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された前フランジ112bと、このベース12aの長手方向に沿う後側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された後フランジ112cとから構成されている。
なお、この前フランジ112bの張り出し長L3は、図4〜5からも明らかなように、サイドエアバック装置40の前側の全てを覆うように(カバーするように)設定されている。すなわち、この前フランジ112bの張り出し長L3は、参考例1のそれ(前フランジ12bの張り出し長L1)より大きく設定されている(L3>L1)。この記載が、特許請求の範囲に記載の「フランジは、サイドエアバック装置の前側の全てを覆うように、さらに張り出している」に相当する。
これに対し、後フランジ112cの張り出し長L4は、参考例1のそれ(後フランジ12cの張り出し長L2)より小さく設定されている(L4<L2)。すなわち、参考例1の前フランジ12bより実施例1の前フランジ112bが張り出した長さだけ、実施例1の後フランジ112cは参考例1の後フランジ12cより短くなっている。
具体的には、参考例1の前フランジ12bの張り出し長L1+参考例1の後フランジ12cの張り出し長L2=実施例1の前フランジ112bの張り出し長L3+実施例1の後フランジ112cの張り出し長L4となっている(L1+L2=L3+L4)。これにより、実施例1の左のサイドフレーム112の重量を参考例1のそれ(左のサイドフレーム12の重量)と同じにできる。
本発明の実施例1に係る助手席101は、上述したように構成されている。この構成によれば、前フランジ112bの張り出し長L3は、サイドエアバック装置40の前側の全てを覆うように(カバーするように)設定されている。そのため、参考例1の助手席1と比較すると、シートクッションパッド20を介した着座者の背凭れ荷重がサイドエアバック装置40に掛かることを確実に防止できる。したがって、参考例1の作用効果を得つつ、サイドエアバック装置40の保護を強固にできる。
実施例2
次に、本発明の実施例2を、図6〜7を用いて説明する。この実施例2の助手席201は、既に説明した実施例1の助手席101と比較すると、サイドエアバック装置40の保護を必要な箇所(サイドエアバック装置40)のみ強固にした形態である。
この助手席201も、実施例1の助手席101と同様に、シートクッション(図示しない)とシートバック203とから構成されている。このシートバック203も、図6〜7に示すように、その骨格をなすバックフレーム210と、このバックフレーム210を包み込むように組み付けられるシートクッションパッド20と、このシートクッションパッド20の表面を取り巻くようにカバーリングする表皮30とから構成されている。
このバックフレーム210は、左のサイドフレーム212と、この左のサイドフレーム212に対向する右のサイドフレーム14と、この左右のサイドフレーム212、14の上側を橋渡すように組み付けられるアッパフレーム16と、この左右のサイドフレーム112、14の下側を橋渡すように組み付けられるロアパネル18とから略矩形枠状に形成されている。
ここで、この左のサイドフレーム212について詳述すると、この左のサイドフレーム212は、その本体を成すベース12aと、このベース12aの長手方向に沿う前側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された前フランジ212bと、このベース12aの長手方向に沿う後側の縁から外側に向けて張り出すように折り曲げ形成された後フランジ112cとから構成されている。
なお、この前フランジ212bは、サイドエアバック装置40の前側を覆う部位の張り出し長L5が実施例1の前フランジ112bの張り出し長L3と一致するように設定されており(L5=L3)、残りの張り出し長L6が参考例1の前フランジ12bの張り出し長L1と一致するように設定されている(L6=L1)。この記載が、特許請求の範囲に記載の「フランジのさらなる張り出しは、ベースの長手方向に沿う前側の縁のうち、サイドエアバック装置の前側を覆う部位のみとなっている」に相当する。
本発明の実施例2に係る助手席201は、上述したように構成されている。この構成によれば、前フランジ212bは、サイドエアバック装置40の前側を覆う部位の張り出し長L5が実施例1の前フランジ112bの張り出し長L3と一致するように設定されており(L5=L3)、残りの張り出し長L6が参考例1の前フランジ12bの張り出し長L1と一致するように設定されている(L6=L1)。そのため、実施例1の助手席101と比較すると、サイドエアバック装置40の保護を必要な箇所(サイドエアバック装置40)のみ強固にできる。
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例では、「車両用シート」として「助手席1」を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「運転席」であっても構わない。その場合、各種の構成が左右に対象となる。もちろん、「後部座席」であっても構わない。
また、実施例1の変形例として、下記の参考例2参考例6が考えられる。
参考例2
図8に示すように、左のサイドフレーム112は、その横断面が略L字状に形成されていても構わない。
参考例3
図9に示すように、左のサイドフレーム112は、その横断面が略コ字状に形成されていても構わない。
参考例4
図10に示すように、左のサイドフレーム112は、その横断面が略T字状に形成されていても構わない。
参考例5
図11に示すように、左のサイドフレーム112は、その横断面が略I字状に形成されていても構わない。
変形例1
図12に示すように、左のサイドフレーム112は、その横断面が略τ字状に形成されていても構わない。
変形例2
図13に示すように、左のサイドフレーム112は、その横断面が略Z字状に形成されていても構わない。
参考例6
図14に示すように、左のサイドフレーム112は、その横断面が略L字状に形成されており、且つ、その略L字の屈曲が鈍角であっても構わない。
1 助手席
3 シートバック
12 左のサイドフレーム
12a ベース
12b 前フランジ
40 サイドエアバック装置



Claims (2)

  1. シートバックのサイドフレームにサイドエアバック装置が組み付けられている車両用シートであって、
    サイドフレームは、その本体を成すベースと、ベースの長手方向に沿う前側の縁から外側に向けて張り出したフランジと、ベースの長手方向に沿う後側の縁から外側または内側に向けて張り出した後フランジと、から構成されており、
    サイドエアバック装置は、ベースとフランジとから臨まれるようにサイドフレームに組み付けられており、
    前フランジは、サイドエアバック装置の前側の全てを覆うように、さらに張り出しており、
    後フランジの張り出し長は、前フランジの張り出し長より小さく設定されていることを特徴とする車両用シート。
  2. 請求項1に記載の車両用シートであって、
    前フランジのさらなる張り出しは、ベースの長手方向に沿う前側の縁のうち、サイドエアバック装置の前側を覆う部位のみとなっていることを特徴とする車両用シート。
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