以下、本発明を詳細に説明する。
(エポキシ化合物)
本発明に係るエポキシ化合物は、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基又はエポキシ基を有する。本発明に係るエポキシ化合物の重量平均分子量は500以上、150000以下である。
上記のような構成を有するエポキシ化合物は、速やかに硬化させることができる。例えば、上記エポキシ化合物と熱硬化剤とを配合した硬化性組成物を、速やかに硬化させることができる。例えば、150℃以上の加熱温度で5秒以内に硬化させることが可能である。さらに、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性及び耐湿性を高くすることができる。従って、上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いて第1,第2の接続対象部材を接続した接続構造体の信頼性を高めることができる。
本発明に係るエポキシ化合物は、ジオール化合物と2つのエポキシ基を有する化合物とを用いた反応物であることがより好ましい。本発明に係るエポキシ化合物は、ジオール化合物と2つのエポキシ基を有する化合物との反応物に、ビニル基を有する化合物又はエポキシ基を有する化合物を反応させることにより得られるエポキシ化合物であることが好ましい。
本発明に係るエポキシ化合物の重量平均分子量は500以上、150000以下である。本発明に係るエポキシ化合物の重量平均分子量は好ましくは1000以上、好ましくは50000以下、より好ましくは15000以下である。
本発明に係るエポキシ化合物は、側鎖にビニル基を1個以上有するか、又は側鎖にエポキシ基を1個以上有する。本発明に係るエポキシ化合物は、側鎖にビニル基を1個以上有していてもよく、側鎖にエポキシ基を1個以上有していてもよい。
本発明に係るエポキシ化合物は、側鎖にビニル基を合計で2個以上有するか、又は側鎖にエポキシ基を合計で2個以上有することが好ましい。ビニル基又はエポキシ基の数が多いほど、加熱時間をより一層短縮でき、更に硬化物の接着性及び耐湿性をより一層高めることができる。本発明に係るエポキシ化合物は、側鎖にビニル基を合計で2個以上有していてもよく、側鎖にエポキシ基を合計で2個以上有していてもよい。
本発明に係るエポキシ化合物は、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物と、エポキシ基を2個以上有する化合物との反応物であることが好ましい。
上記フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、ビスフェノール化合物、レゾルシノール及びナフタレノール等が挙げられる。上記ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSA及びビスフェノールE等が挙げられる。
上記エポキシ基を2個以上有する化合物としては、脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。上記脂肪族エポキシ化合物としては、炭素数3〜12のアルキル鎖の両末端にグリシジルエーテル基又はオキセタニル基を有する化合物、並びに炭素数2〜4のポリエーテル骨格を有し、該ポリエーテル骨格2〜10個が連続して結合した構造単位を有するポリエーテル型エポキシ化合物が挙げられる。
本発明に係るエポキシ化合物は、ビスフェノールF又はレゾルシノールと、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル又はレゾルシノールジグリシジルエーテルとの反応物(以下、反応物Xと記載することがある)に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られるエポキシ化合物であることが好ましい。このような化合物を用いて合成されたエポキシ化合物は、速やかに硬化させることができ、更に硬化物の接着性及び耐湿性を高くすることができる。
上記反応物Xは、下記式(1)で表されるビスフェノールF又は下記式(2)で表されるレゾルシノールと、下記式(11)で表される1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル又は下記式(12)で表されるレゾルシノールジグリシジルエーテルとの反応物である。
上記式(1)中の1つのベンゼン環に対する1つの水酸基の結合部位は特に限定されない。上記ビスフェノールFとしては、例えば、下記式(1−1)で表される4,4’−メチレンビスフェノール、下記式(1−2)で表される2,4’−メチレンビスフェノール、及び下記式(1−3)で表される2,2’−メチレンビスフェノール等が挙げられる。一般に、これらを総称して、ビスフェノールFと呼ぶ。上記ビスフェノールFは、1つのベンゼン環に対する1つの水酸基の結合部位が異なる2種以上の化合物を含んでいてもよい。上記ビスフェノールFは、4,4’−メチレンビスフェノール、2,4’−メチレンビスフェノール又は2,2’−メチレンビスフェノールであることが好ましい。
上記反応物Xとしては、ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第1の反応物、レゾルシノールと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第2の反応物、レゾルシノールとレゾルシノールジグリシジルエーテルとの第3の反応物、ビスフェノールFとレゾルシノールジグリシジルエーテルとの第4の反応物が挙げられる。
上記第1の反応物は、ビスフェノールFに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつ1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有する。上記第2の反応物は、レゾルシノールに由来する構造単位と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する構造単位とを主鎖に有し、かつ1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有する。上記第3の反応物は、レゾルシノールに由来する骨格とレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来する骨格とを主鎖に有し、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有する。上記第4の反応物は、ビスフェノールFに由来する骨格とレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来する骨格とを主鎖に有し、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有する。
合成が容易であり、エポキシ化合物をより一層速やかに硬化させることを可能にし、更に硬化物の接着性及び耐湿性をより一層高める観点からは、上記第1,第2,第3,第4の反応物のうち、上記第1の反応物、上記第2の反応物又は上記第3の反応物が好ましい。上記反応物Xは、上記第1の反応物であることが好ましく、上記第2の反応物であることも好ましく、更に上記第3の反応物であることも好ましい。
上記第1の反応物は、下記式(51)で表される構造を有することが好ましい。
上記式(51)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(51)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させてエポキシ化合物を得たときに、該エポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記第2の反応物は、下記式(52)で表される構造を有することが好ましい。
上記式(52)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(52)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させてエポキシ化合物を得たときに、該エポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記第3の反応物は、下記式(53)で表される構造を有することが好ましい。
上記式(53)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(53)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させてエポキシ化合物を得たときに、該エポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記第4の反応物は、下記式(54)で表される構造を有することが好ましい。
上記式(54)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(54)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させてエポキシ化合物を得たときに、該エポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(51)、式(52)、式(53)及び式(54)において、nはそれぞれ、上記エポキシ化合物の重量平均分子量が1000以上、50000以下となる整数であることが好ましく、上記エポキシ化合物の重量平均分子量が1000以上、15000以下となる整数であることがより好ましい。
エポキシ化合物の分子量分布におけるピークが2つ存在する場合、高分子量側のピークは、低分子量側のピークよりも大きく、好ましくは10000以上、好ましくは150000以下、より好ましくは50000以下、更に好ましくは15000以下である。エポキシ化合物の分子量分布におけるピークが2つ存在する場合、低分子量側のピークは、高分子量側のピークよりも小さく、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、好ましくは10000以下、より好ましくは6000以下である。
上記式(51)及び式(54)中の1つのベンゼン環に対する1つの酸素原子の結合部位は特に限定されない。この結合部位は、ビスフェノールFの種類(例えば、上記式(1−1)〜(1−3))により決まる。
ビスフェノールF又はレゾルシノールと、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル又はレゾルシノールジグリシジルエーテルとを反応させるための具体的な反応としては、付加重合反応が挙げられる。
上記式(1)で表されるビスフェノールFは2核体と呼ばれている。また、ビスフェノールFは市販されている。この市販品には、2核体であるビスフェノールFに加えて、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体が含まれていることがある。該多核体は、3核体であったり、4以上の核を有する多核体であったりする。上記核は、ベンゼン環の数でもある。上記反応物Xを得る際に、ビスフェノールFとともに、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体を用いてもよい。
上記多核体は、例えば、下記式(X)で表される。上記反応物Xを得るために、2核体であるビスフェノールFと、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体との混合物を使用する場合に、該混合物100重量%中、2核体であるビスフェノールFの含有量は好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上、好ましくは99.9重量%以下、より好ましくは99重量%以下である。上記混合物100重量%中の2核体であるビスフェノールFの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性がより一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
上記式(X)中、mは1以上の整数を表す。mは好ましくは10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは3以下である。例えば、上記式(X)においてmが1である多核体は、ビスフェノールF骨格を有する3核体である。上記式(X)中の1つのベンゼン環に対する1つの水酸基の結合部位は特に限定されない。
また、2核体であるビスフェノールFと、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体との混合物を使用する場合に、ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第1の反応物には、2核体であるビスフェノールFに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位に加えて、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位が主鎖に含まれていてもよい。2核体であるビスフェノールFと、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体との混合物を使用する場合に、上記第4の反応物には、2核体であるビスフェノールFに由来する骨格とレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位に加えて、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格とレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位が主鎖に含まれていてもよい。
すなわち、上記第1の反応物は、下記式(51X)で表される構造を有していてもよい。
上記式(51X)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(51X)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させてエポキシ化合物を得たときに、該エポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記第4の反応物は、下記式(54X)で表される構造を有していてもよい。
上記式(54X)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(54X)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させてエポキシ化合物を得たときに、該エポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(51X)及び上記式(54X)中のXは、下記式(Xa)で表される構造単位である。
上記式(Xa)中、pは0以上の整数を表す。pは好ましくは10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは3以下である。なお、上記式(Xa)においてpが0である場合には、2核体であるビスフェノールFに由来する骨格を表し、上記式(Xa)においてpが1以上の整数である場合には、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表す。上記式(Xa)中の1つのベンゼン環に対する1つの水酸基の結合部位は特に限定されない。上記式(Xa)中の1つのベンゼン環1つの酸素原子(−O−基)の結合部位は特に限定されない。
上記第1,第2,第3,第4の反応物などの上記反応物Xに、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、側鎖にビニル基又はエポキシ基を導入することができる。すなわち、上記反応物Xと反応される化合物は、下記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、下記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は下記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルであることが好ましい。上記反応物Xと反応される化合物は、(メタ)アクリル酸であってもよく、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートであってもよく、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルであってもよい。なお、上記「(メタ)アクリル」はアクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルとメタクリロイルとを示す。
上記式(A)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
上記式(B)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
本発明に係るエポキシ化合物の側鎖にビニル基を導入するためには、上記反応物Xと反応される化合物は、(メタ)アクリル酸又は2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。上記反応物Xと反応される化合物は、(メタ)アクリル酸であることが好ましく、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートであることも好ましい。本発明に係るエポキシ化合物が側鎖にビニル基を有する場合には、本発明に係るエポキシ化合物を光硬化させ、かつ熱硬化させることができる。従って、例えば、エポキシ化合物を含む硬化性組成物を、光を照射してBステージ化(半硬化)させた後、加熱することにより本硬化させることができる。エポキシ化合物をより一層速やかに硬化させることを可能にし、更に硬化物の接着性及び耐湿性をより一層高める観点からは、本発明に係るエポキシ化合物は、ウレタン結合を有することが好ましい。また、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートの使用により、エポキシ化合物、エポキシ化合物の混合物及び硬化性組成物の貯蔵安定性をより一層高めることができる。
本発明に係るエポキシ化合物の側鎖にエポキシ基を導入するためには、上記反応物Xと反応される化合物は、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルであることが好ましい。このように側鎖にエポキシ基を導入することで、硬化物の架橋密度を高くし、更に硬化物の耐熱性をより一層良好にすることができる。
上記式(51)で表される第1の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(61A)、(61B)又は(61C)で表される第1のエポキシ化合物が得られる。
上記式(61A)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(61A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(61B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(61B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(61C)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(61C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(61A)、式(61B)及び式(61C)中の1つのベンゼン環に対する1つの酸素原子の結合部位は特に限定されない。この結合部位は、ビスフェノールFの種類(例えば、上記式(1−1)〜(1−3))により決まる。
上記式(51X)で表される第1の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(61XA)、(61XB)又は(61XC)で表される第1のエポキシ化合物が得られる。
上記式(61XA)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(61XA)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(61XB)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(61XB)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(61XC)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(61XC)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(61XA)、上記式(61XB)及び上記式(61XC)中のXは、上記式(Xa)で表される構造単位である。
上記式(52)で表される第2の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(62A)、(62B)又は(62C)で表される第2のエポキシ化合物が得られる。
上記式(62A)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(62A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(62B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(62B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(62C)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(62C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(53)で表される第3の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(63A)、(63B)又は(63C)で表される第3のエポキシ化合物が得られる。
上記式(63A)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(63A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(63B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(63B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(63C)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(63C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(54)で表される第4の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(64A)、(64B)又は(64C)で表される第4のエポキシ化合物が得られる。
上記式(64A)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(64A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(64B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(64B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(64C)中、nは整数を表す。但し、nは、上記式(64C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(64A)、式(64B)及び式(64C)中の1つのベンゼン環に対する1つの酸素原子の結合部位は特に限定されない。この結合部位は、ビスフェノールFの種類(例えば、上記式(1−1)〜(1−3))により決まる。
上記式(54X)で表される第4の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(64XA)、(64XB)又は(64XC)で表される第4のエポキシ化合物が得られる。
上記式(64XA)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(64XA)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(64XB)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(64XB)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(64XC)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、nは整数を表す。但し、nは、上記式(64XC)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(64XA)、上記式(64XB)及び上記式(64XC)中のXは、上記式(Xa)で表される構造単位である。
上記式(61A)、式(61B)、式(61C)、式(61XA)、式(61XB)、式(61XC)、式(62A)、式(62B)、式(62C)、式(63A)、式(63B)、式(63C)、式(64A)、式(64B)、式(64C)、式(64XA)、式(64XB)及び式(64XC)のうち、上記式(61A)、式(61B)、式(61C)、式(61XA)、式(61XB)、式(61XC)、式(62A)、式(62B)、式(62C)、式(63A)、式(63B)及び式(63C)が好ましく、上記式(61XA)、式(61XB)、式(61XC)、式(62A)、式(62B)、式(62C)、式(63A)、式(63B)及び式(63C)がより好ましい。上記式(61A)、式(61B)、式(61C)、式(61XA)、式(61XB)、式(61XC)、式(62A)、式(62B)、式(62C)、式(63A)、式(63B)、式(63C)、式(64A)、式(64B)、式(64C)、式(64XA)、式(64XB)及び式(64XC)において、nは、これらの式で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が、1000以上、50000以下となる整数であることが好ましく、1000以上、15000以下となる整数であることがより好ましい。また、nは1以上であってもよく、2以上であってもよい。上記式(61A)、式(61B)、式(61C)、式(61XA)、式(61XB)、式(61XC)、式(62A)、式(62B)、式(62C)、式(63A)、式(63B)、式(63C)、式(64A)、式(64B)、式(64C)、式(64XA)、式(64XB)及び式(64XC)におけるエポキシ化合物の重量平均分子量は、500以上かつnが1である場合の重量平均分子量の値以上であることが好ましく、500以上かつnが2である場合の重量平均分子量の値以上であることがより好ましい。
上記式(61A)、式(61B)、式(61C)、式(61XA)、式(61XB)、式(61XC)、式(62A)、式(62B)、式(62C)、式(63A)、式(63B)、式(63C)、式(64A)、式(64B)、式(64C)、式(64XA)、式(64XB)及び式(64XC)において、代表的に、水酸基の全て(100%)を反応させた場合の構造式を示しているが、反応していない水酸基が残っていてもよい。反応前の水酸基の全個数100%中、反応した水酸基(水酸基ではなくなった基(後述する式(a),(b),(c))の個数の割合は、0.1%以上であってもよく、1%以上であってもよく、3%以上であってもよく、5%以上であってもよく、100%であってもよく、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下、更に好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下である。上記水酸基の個数の割合は、NMRで測定可能である。
上記式(51)で表される第1の反応物の水酸基の一部に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(71A)、(71B)又は(71C)で表される第1のエポキシ化合物が得られる。
上記式(71A)中、Zは水酸基又は下記式(a)で表される基を表し、複数のZは下記式(a)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(71A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(a)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
上記式(71B)中、Zは水酸基又は下記式(b)で表される基を表し、複数のZは下記式(b)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(71B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(b)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
上記式(71C)中、Zは水酸基又は下記式(c)で表される基を表し、複数のZは下記式(c)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(71C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(71A)、式(71B)及び式(71C)中の1つのベンゼン環に対する1つの酸素原子の結合部位は特に限定されない。この結合部位は、ビスフェノールFの種類(例えば、上記式(1−1)〜(1−3))により決まる。
上記式(51X)で表される第1の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(71XA)、(71XB)又は(71XC)で表される第1のエポキシ化合物が得られる。
上記式(71XA)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Zは水酸基又は上記式(a)で表される基を表し、複数のZは上記式(a)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(71XA)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(71XB)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Zは水酸基又は上記式(b)で表される基を表し、複数のZは上記式(b)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(71XB)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(71XC)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Zは水酸基又は上記式(c)で表される基を表し、複数のZは上記式(c)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(71XC)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(71XA)、上記式(71XB)及び上記式(71XC)中のXは、上記式(Xa)で表される構造単位である。
上記式(52)で表される第2の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(72A)、(72B)又は(72C)で表される第2のエポキシ化合物が得られる。
上記式(72A)中、Zは水酸基又は上記式(a)で表される基を表し、複数のZは上記式(a)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(72A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(72B)中、Zは水酸基又は上記式(b)で表される基を表し、複数のZは上記式(b)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(72B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(72C)中、Zは水酸基又は上記式(c)で表される基を表し、複数のZは上記式(c)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(72C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(53)で表される第3の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(73A)、(73B)又は(73C)で表される第3のエポキシ化合物が得られる。
上記式(73A)中、Zは水酸基又は上記式(a)で表される基を表し、複数のZは上記式(a)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(73A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(73B)中、Zは水酸基又は上記式(b)で表される基を表し、複数のZは上記式(b)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(73B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(73C)中、Zは水酸基又は上記式(c)で表される基を表し、複数のZは上記式(c)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(73C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(54)で表される第4の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(74A)、(74B)又は(74C)で表される第4のエポキシ化合物が得られる。
上記式(74A)中、Zは水酸基又は上記式(a)で表される基を表し、複数のZは上記式(a)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(74A)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(74B)中、Zは水酸基又は上記式(b)で表される基を表し、複数のZは上記式(b)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(74B)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(74C)中、Zは水酸基又は上記式(c)で表される基を表し、複数のZは上記式(c)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(74C)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(74A)、式(74B)及び式(74C)中の1つのベンゼン環に対する1つの酸素原子の結合部位は特に限定されない。この結合部位は、ビスフェノールFの種類(例えば、上記式(1−1)〜(1−3))により決まる。
上記式(54X)で表される第4の反応物に、上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸、上記式(B)で表される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は上記式(C)で表される4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより、下記式(74XA)、(74XB)又は(74XC)で表される第4のエポキシ化合物が得られる。
上記式(74XA)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Zは水酸基又は上記式(a)で表される基を表し、複数のZは上記式(a)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(74XA)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(74XB)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Zは水酸基又は上記式(b)で表される基を表し、複数のZは上記式(b)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(74XB)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(74XC)中、Xは2核体であるビスフェノールFに由来する骨格又はビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する骨格を表し、Zは水酸基又は上記式(c)で表される基を表し、複数のZは上記式(c)で表される基を含み、nは整数を表す。但し、nは、上記式(74XC)で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が500以上、150000以下となる整数である。
上記式(74XA)、上記式(74XB)及び上記式(74XC)中のXは、上記式(Xa)で表される構造単位である。
上記式(71A)、式(71B)、式(71C)、式(71XA)、式(71XB)、式(71XC)、式(72A)、式(72B)、式(72C)、式(73A)、式(73B)、式(73C)、式(74A)、式(74B)、式(74C)、式(74XA)、式(74XB)及び式(74XC)のうち、上記式(71A)、式(71B)、式(71C)、式(71XA)、式(71XB)、式(71XC)、式(72A)、式(72B)、式(72C)、式(73A)、式(73B)及び式(73C)が好ましく、上記式(71XA)、式(71XB)、式(71XC)、式(72A)、式(72B)、式(72C)、式(73A)、式(73B)及び式(73C)がより好ましい。上記式(71A)、式(71B)、式(71C)、式(71XA)、式(71XB)、式(71XC)、式(72A)、式(72B)、式(72C)、式(73A)、式(73B)、式(73C)、式(74A)、式(74B)、式(74C)、式(74XA)、式(74XB)及び式(74XC)において、nは、これらの式で表されるエポキシ化合物の重量平均分子量が、1000以上、50000以下となる整数であることが好ましく、1000以上、15000以下となる整数であることがより好ましい。また、nは1以上であってもよく、2以上であってもよい。上記式(71A)、式(71B)、式(71C)、式(71XA)、式(71XB)、式(71XC)、式(72A)、式(72B)、式(72C)、式(73A)、式(73B)、式(73C)、式(74A)、式(74B)、式(74C)、式(74XA)、式(74XB)及び式(74XC)におけるエポキシ化合物の重量平均分子量は、500以上かつnが1である場合の重量平均分子量の値以上であることが好ましく、500以上かつnが2である場合の重量平均分子量の値以上であることがより好ましい。
硬化物の接着性をより一層良好にする観点からは、上記第1の反応物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第1のエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは、2つ存在することが好ましい。硬化物の接着性をより一層良好にする観点からは、上記第2の反応物に(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第2のエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは、2つ存在することが好ましい。
上記反応物Xと、(メタ)アクリル酸とを反応させる具体的な反応としては、縮合反応が挙げられる。
上記反応物Xと、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させる具体的な反応としては、付加反応が挙げられる。
上記反応物Xと、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルとを反応させる具体的な反応としては、縮合反応が挙げられる。
本発明に係るエポキシ化合物を得るために、2核体であるビスフェノールFと、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体との混合物を用いた反応物を用いる場合に、得られるエポキシ化合物において、2核体であるビスフェノールFに由来する構造単位と、ビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体に由来する構造単位との合計100重量%中、2核体であるビスフェノールFに由来する構造単位の割合は好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上、好ましくは99.9重量%以下、より好ましくは99重量%以下である。上記構造単位の合計100重量%中の2核体であるビスフェノールFに由来する構造単位の割合が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性がより一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
(エポキシ化合物の混合物)
本発明に係るエポキシ化合物の混合物は、上述したエポキシ化合物を少なくとも2種含む。このように、上述したエポキシ化合物は2種以上併用してもよい。上述したエポキシ化合物を2種以上併用することにより、エポキシ化合物の混合物の粘度を容易に調整できる。
エポキシ化合物をより一層速やかに硬化させることを可能にし、更に硬化物の接着性及び耐湿性をより一層高めたり、接続構造体におけるボイドの発生を抑制したりする観点からは、本発明に係るエポキシ化合物の混合物は、ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第1の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第1のエポキシ化合物と、レゾルシノールと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第2の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第2のエポキシ化合物とを含むことが好ましい。
エポキシ化合物をより一層速やかに硬化させることを可能にし、更に硬化物の接着性及び耐湿性をより一層高めたり、接続構造体におけるボイドの発生を抑制したりする観点からは、本発明に係るエポキシ化合物の混合物は、レゾルシノールと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第2の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第2のエポキシ化合物と、レゾルシノールとレゾルシノールジグリシジルエーテルとの第3の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第3のエポキシ化合物とを含むことも好ましい。
本発明に係るエポキシ化合物の混合物は、上記第1のエポキシ化合物と上記第2のエポキシ化合物とを含むか、又は上記第2のエポキシ化合物と上記第3のエポキシ化合物とを含むことが好ましい。
塗工性を高め、接続構造体におけるボイドを生じ難くする観点からは、エポキシ化合物の混合物の23℃での粘度は、好ましくは50Pa・s以上、より好ましくは100Pa・s以上、好ましくは1200Pa・s以下、より好ましくは600Pa・s以下、更に好ましくは400Pa・s以下である。
(硬化性組成物)
本発明に係る硬化性組成物は、上述したエポキシ化合物と、熱硬化剤とを含む。すなわち、本発明に係る硬化性組成物は、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基又はエポキシ基を有し、重量平均分子量が500以上、150000以下であるエポキシ化合物と、熱硬化剤とを含む。本発明に係る硬化性組成物は、速やかに硬化させることができ、さらに硬化物の接着性及び耐湿性を高くすることができる。
本発明に係る硬化性組成物は、少なくとも2種のエポキシ化合物を含むことが好ましい。上述したエポキシ化合物を2種以上併用することにより、硬化性組成物の粘度を容易に調整できる。
塗工性を高め、接続構造体におけるボイドを生じ難くする観点からは、硬化性組成物の23℃での粘度は、好ましくは50Pa・s以上、より好ましくは100Pa・s以上、好ましくは1200Pa・s以下、より好ましくは600Pa・s以下、更に好ましくは400Pa・s以下である。
本発明に係る硬化性組成物は、(1)上記エポキシ化合物が、ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第1の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第1のエポキシ化合物を含み、かつビスフェノールFジグリシジルエーテルもしくは1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを含むか、(2)上記エポキシ化合物が、レゾルシノールと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第2の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第2のエポキシ化合物を含み、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルもしくは1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを含むか、(3)上記エポキシ化合物が、レゾルシノールとレゾルシノールジグリシジルエーテルとの第3の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第3のエポキシ化合物を含み、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルを含むか、又は(4)上記ビスフェノールFとレゾルシノールジグリシジルエーテルとの第4の反応物に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させることにより得られる第4のエポキシ化合物を含み、かつビスフェノールFジグリシジルエーテル又はレゾルシノールジグリシジルエーテルを含むことがより好ましい。この場合には、硬化性組成物の硬化物の架橋密度が高くなり、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性がより一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
本発明に係る硬化性組成物は、(1)上記エポキシ化合物が上記第1のエポキシ化合物を含み、かつビスフェノールFジグリシジルエーテルもしくは1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを含むか、(2)上記エポキシ化合物が上記第2のエポキシ化合物を含み、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルもしくは1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを含むか、又は、(3)上記エポキシ化合物が上記第3のエポキシ化合物を含み、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルを含むことがより好ましい。この場合には、硬化性組成物の硬化物の架橋密度が高くなり、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性がより一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
本発明に係る硬化性組成物が、上記第1,第2,第3,第4のエポキシ化合物とビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテルもしくは1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとを含む場合に、上記第1,第2,第3,第4のエポキシ化合物の合計100重量部に対して、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル及び1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの合計の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル及び1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性組成物の硬化物の架橋密度がより一層高くなり、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性が更に一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性が更に一層高くなる。
本発明に係る硬化性組成物は、上述したエポキシ化合物(本発明に係るエポキシ化合物)に加えて、該エポキシ化合物の両末端の2つのエポキシ基の内の少なくとも一方に(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレートをさらに含むことが好ましい。この場合には、硬化性組成物の硬化物の架橋密度が高くなり、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性がより一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
また、上述したエポキシ化合物と、該エポキシ化合物の両末端の2つのエポキシ基の内の少なくとも一方に(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレートとは、両末端部分(エポキシ基であるか又は(メタ)アクリロイル基であるか)を除いて、同一の構造を有することが好ましい。上記エポキシ化合物と上記エポキシ(メタ)アクリレートとは共に、ビスフェノールFに由来する骨格を有することが好ましく、レゾルシノールに由来することが好ましい。上記エポキシ化合物と上記エポキシ(メタ)アクリレートとは共に、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格を有することが好ましく、レゾルシノールジグリシジルエーテルに由来する骨格を有することが好ましい。このようにエポキシ化合物とエポキシ(メタ)アクリレートとの使用により、硬化性組成物の硬化物の架橋密度がより一層高くなり、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性が更に一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性が更に一層高くなる。
本発明に係る硬化性組成物が、上記エポキシ化合物と上記エポキシ(メタ)アクリレートとを含む場合に、上記エポキシ化合物100重量部に対して、上記エポキシ(メタ)アクリレートの含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。上記エポキシ(メタ)アクリレートの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性組成物の硬化物の架橋密度がより一層高くなり、上記エポキシ化合物を用いた硬化物の接着性が更に一層高くなり、かつ上記エポキシ化合物を含む上記硬化性組成物を用いた接続構造体の信頼性が更に一層高くなる。
本発明に係る硬化性組成物に含まれている熱硬化剤は特に限定されない。該熱硬化剤は、本発明に係るエポキシ化合物、又は本発明に係るエポキシ化合物の混合物を硬化させる。該熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。該熱硬化剤には、熱ラジカル開始剤が含まれる。該熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤としては、カチオン硬化剤、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物及び熱ラジカル開始剤等が挙げられる。なかでも、硬化性組成物をより一層速やかに硬化させることができるので、カチオン硬化剤、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、硬化性組成物の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されないが、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されないが、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されないが、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱硬化剤の中でもポリチオール化合物又は酸無水物等が好ましい。硬化性組成物の硬化速度をより一層速くできるので、ポリチオール化合物が好ましい。
上記ポリチオール化合物の中でもペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネートがより好ましい。このポリチオール化合物の使用により、硬化性組成物の硬化速度をより一層速くすることができる。
上記熱ラジカル開始剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び過酸化物等が挙げられる。上記過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、及びケトンパーオキサイド化合物等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2−tert−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二水和物、及び2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
上記ジアシルパーオキサイド化合物としては、過酸化ベンゾイル、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、及びDisuccinic acid peroxide等が挙げられる。上記パーオキシエステル化合物としては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5―ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシオクトエート及びtert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。上記ハイドロパーオキサイド化合物としては、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記パーオキシジカーボネート化合物としては、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、及びジ(2−エチルヘキシル)パーオキシカーボネート等が挙げられる。また、上記過酸化物の他の例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、カリウムパーサルフェイト、及び1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
上記熱ラジカル開始剤の10時間半減期を得るための分解温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。上記熱ラジカル開始剤の10時間半減期を得るための分解温度が、30℃未満であると、硬化性組成物の貯蔵安定性が低下する傾向があり、90℃を超えると、硬化性組成物を充分に熱硬化させることが困難になる傾向がある。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。本発明に係る硬化性組成物では、上記エポキシ化合物の全量100重量部に対して、熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、硬化性組成物を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
なお、上記熱硬化剤がイミダゾール硬化剤又はフェノール硬化剤である場合、上記エポキシ化合物の全量100重量部に対して、イミダゾール硬化剤又はフェノール硬化剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、好ましくは15重量部以下である。また、上記熱硬化剤がアミン硬化剤、ポリチオール硬化剤又は酸無水物である場合、上記エポキシ化合物の全量100重量部に対して、アミン硬化剤、ポリチオール硬化剤又は酸無水物の含有量は、好ましくは15重量部以上、好ましくは40重量部以下である。
上記熱硬化剤が熱ラジカル開始剤である場合に、上記熱ラジカル開始剤の含有量は特に限定されない。上記エポキシ化合物の全量100重量部に対して、上記熱ラジカル開始剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記熱ラジカル硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性組成物を充分に熱硬化させることができる。
〔他の成分〕
本発明に係る硬化性組成物は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、硬化性組成物の硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
上記イミダゾール硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物の全量100重量部に対して、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは6重量部以下、より好ましくは4重量部以下である。硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、硬化性組成物を充分に硬化させることが容易である。硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化促進剤が残存し難くなる。
本発明に係る硬化性組成物は、光照射によっても硬化するように、光硬化性化合物と、光重合開始剤とをさらに含んでいてもよい。上記光硬化性化合物と上記光重合開始剤との使用により、光の照射により硬化性組成物を硬化させることができる。さらに、硬化性組成物を半硬化させ、硬化性組成物の流動性を低下させることができる。
上記光硬化性化合物は特に限定されない。該光硬化性化合物として、(メタ)アクリル樹脂又は環状エーテル基含有樹脂等が好適に用いられ、(メタ)アクリル樹脂がより好適に用いられる。上記(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル樹脂とアクリル樹脂とを示す。上記(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する。上記(メタ)アクリロイル基は、メタクリロイル基とアクリロイル基とを示す。
上記(メタ)アクリル樹脂として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記光硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光硬化性化合物であることが好ましい。このような光硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
上記光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒などの触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光硬化性化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
上述した光硬化性化合物以外の光硬化性化合物が含まれる場合には、該光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記硬化性組成物を効率的に光硬化させる観点からは、上記エポキシ化合物の全量100重量部に対して、上記光硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは10重量部以上、特に好ましくは50重量部以上、好ましくは10000重量部以下、より好ましくは1000重量部以下、更に好ましくは500重量部以下である。
上記光重合開始剤は特に限定されない。上記光重合開始剤には、光ラジカル開始剤が含まれる。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン光重合開始剤(アセトフェノン光ラジカル開始剤)、ベンゾフェノン光重合開始剤(ベンゾフェノン光ラジカル開始剤)、チオキサントン、ケタール光重合開始剤(ケタール光ラジカル開始剤)、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。これら以外の光重合開始剤を用いてもよい。
上記アセトフェノン光重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光重合開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は特に限定されない。上記光硬化性組成物100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。光重合開始剤の含有量が上記下限以上であると、光重合開始剤を添加した効果を充分に得ることが容易である。光重合開始剤の含有量が上記上限以下であると、硬化性組成物の硬化物の接着力が充分に高くなる。
本発明に係る硬化性組成物は、フェノール性化合物をさらに含むことが好ましい。該フェノール性化合物は、ベンゼン環に水酸基が結合したフェノール性水酸基を有する。上記フェノール性化合物としては、ポリフェノール、トリオール、ハイドロキノン、及びトコフェロール(ビタミンE)等が挙げられる。上記フェノール性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る硬化性組成物は、フィラーをさらに含むことが好ましい。フィラーの使用により、硬化性組成物の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム又はアルミナ等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フィラーの含有量は特に限定されない。硬化性化合物の合計100重量部に対して、上記フィラーの含有量は好ましくは5重量部以上、より好ましくは15重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。上記フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の潜熱膨張を充分に抑制でき、更に硬化性組成物中にフィラーを充分に分散させることができる。上記硬化性化合物には、上記エポキシ化合物と上記光硬化性化合物とが含まれる。
本発明に係る硬化性組成物は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、硬化性組成物の粘度を容易に調整できる。
上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
本発明に係る硬化性組成物は、必要に応じて、貯蔵安定剤、イオン捕捉剤又はシランカップリング剤等をさらに含んでいてもよい。
〔導電性粒子を含む硬化性組成物〕
本発明に係る硬化性組成物が導電性粒子をさらに含む場合には、硬化性組成物を導電材料として用いることができる。該導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記エポキシ化合物及び上記エポキシ化合物の混合物は、導電性粒子とともに導電材料として用いられることが好ましく、導電性粒子とともに異方性導電材料として用いられることがより好ましい。
上記導電性粒子は、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続する。具体的には、上記導電性粒子は、例えば回路基板と半導体チップとの電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定されない。上記導電性粒子は、導電部を導電性の表面に有していればよい。導電性粒子の導電部の表面が絶縁層により被覆されていてもよい。この場合には、接続対象部材の接続時に、導電部と電極との間の絶縁層が排除される。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、金属を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を導電層(金属層)で被覆した導電性粒子、又は実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記導電部は特に限定されない。上記導電部を構成する金属としては、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム及び錫等が挙げられる。上記導電層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層又は錫を含有する導電層等が挙げられる。
電極と導電性粒子との接触面積を大きくし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層(第1の導電層)とを有することが好ましい。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、少なくとも導電性の外側の表面が低融点金属層である導電性粒子であることが好ましい。上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外側の表面が、低融点金属層であることがより好ましい。
上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記低融点金属層は錫を含むことが好ましい。低融点金属層に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記低融点金属層の含有量が上記下限以上であると、低融点金属層と電極との接続信頼性がより一層高くなる。なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
導電部の外側の表面が低融点金属層である場合には、低融点金属層が溶融して電極に接合し、低融点金属層が電極間を導通させる。例えば、低融点金属層と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、少なくとも導電性の外側の表面が低融点金属層である導電性粒子の使用により、低融点金属層と電極との接合強度が高くなる結果、低融点金属層と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
上記低融点金属層を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
また、上記低融点金属層は、はんだ層であることが好ましい。上記はんだ層を構成する材料は特に限定されないが、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、はんだ層は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ層、又は錫とビスマスとを含むはんだ層であることが好ましい。
上記低融点金属層と電極との接合強度をより一層高めるために、上記低融点金属層は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。低融点金属と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記低融点金属は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。低融点金属層と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、低融点金属層100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の外側の表面が低融点金属層であり、上記樹脂粒子と上記低融点金属層(はんだ層など)との間に、上記低融点金属層とは別に第2の導電層を有することが好ましい。この場合に、上記低融点金属層は上記導電層全体の一部であり、上記第2の導電層は上記導電層全体の一部である。
上記低融点金属層とは別の上記第2の導電層は、金属を含むことが好ましい。該第2の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、低融点金属層をより一層容易に形成できる。なお、上記第2の導電層は、はんだ層などの低融点金属層であってもよい。導電性粒子は、複数層の低融点金属層を有していてもよい。
上記低融点金属層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。上記低融点金属層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。上記低融点金属層の厚みが上記上限以下であると、樹脂粒子と低融点金属層との熱膨張率の差が小さくなり、低融点金属層の剥離が生じ難くなる。
導電層が低融点金属層以外の導電層である場合、又は導電層が多層構造を有する場合には、導電層の全体厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、より一層好ましくは20μm未満、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、導電性粒子の平均粒子径は、1μm以上、10μm以下であることが特に好ましく、1μm以上、4μm以下であることが最も好ましい。
異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子の平均粒子径は、1μm〜100μmの範囲内であることが特に好ましい。
上記樹脂粒子は、実装する基板の電極サイズ又はランド径によって使い分けることができる。
上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制する観点からは、導電性粒子の平均粒子径Cの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(C/A)は、1.0を超え、好ましくは3.0以下である。また、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第2の導電層がある場合に、はんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(B/A)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。さらに、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第2の導電層がある場合に、はんだ層を含む導電性粒子の平均粒子径Cのはんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する比(C/B)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。上記比(B/A)が上記範囲内であったり、上記比(C/B)が上記範囲内であったりすると、上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制できる。
FOB及びFOF用途向け導電材料(異方性導電材料):
上記導電材料は、フレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))との接続、又はフレキシブルプリント基板とフレキシブルプリント基板との接続(FOF(Film on Film))に好適に用いられる。
FOB及びFOF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に100〜500μmである。FOB及びFOF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以上であると、電極間に配置される導電材料及び接続部の厚みが十分に厚くなり、接着力がより一層高くなる。樹脂粒子の平均粒子径が100μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
フリップチップ用途向け導電材料(異方性導電材料):
上記導電材料は、フリップチップ用途に好適に用いられる。
フリップチップ用途では、一般にランド径が15〜80μmである。フリップチップ用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜15μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
COF向け導電材料(異方性導電材料):
上記導電材料は、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))に好適に用いられる。
COF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に10〜50μmである。COF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜10μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
導電性粒子の表面は、絶縁性粒子などの絶縁材料、フラックス等により絶縁処理されていてもよい。絶縁性材料、フラックス等は、接続時の熱により軟化、流動することで接続部から排除されることが好ましい。これにより、電極間での短絡を抑制することができる。
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。硬化性組成物100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡を防止できる。
(硬化性組成物の用途)
本発明に係る硬化性組成物は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。
本発明に係る硬化性組成物が、導電性粒子を含む導電材料である場合、該導電材料は、導電ペースト、又は導電フィルム等として使用され得る。導電材料が、導電フィルムとして使用される場合、導電性粒子を含有する該導電フィルムに、導電性粒子を含有しないフィルムが積層されていてもよい。なお、フィルムにはシートが含まれる。本発明に係る硬化性組成物は、ペースト状の導電ペーストであることが好ましい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る硬化性組成物を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部3とを備える。接続部3は、導電性粒子5を含む硬化性組成物、すなわち導電材料を硬化させることにより形成されている。
第1の接続対象部材2は上面2a(表面)に、複数の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4a(表面)に、複数の電極4bを有する。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材2,4が導電性粒子5により電気的に接続されている。
本発明に係る硬化性組成物は、ペースト状の導電ペーストであり、ペースト状の状態で第1の接続対象部材上に塗布される導電ペーストであることが好ましい。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。該第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。本発明に係る硬化性組成物は電子部品を接続するための硬化性組成物であることが好ましい。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記硬化性組成物を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。
なお、上記硬化性組成物は、導電性粒子を含んでいなくてもよい。この場合には、第1,第2の接続対象部材を電気的に接続することなく、第1,第2の接続対象部材を接着して接続するために、上記硬化性組成物が用いられる。
本発明に係る硬化性組成物が導電材料である場合に、該導電材料は、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、又はフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用できる。なかでも、上記導電材料は、FOG用途又はCOG用途に好適であり、COG用途により好適である。本発明に係る硬化性組成物は、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続、又は半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続に用いられる導電材料であることが好ましく、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続に用いられる導電材料であることがより好ましい。
本発明に係る接続構造体では、上記第2の接続対象部材及び上記第1の接続対象部材として、フレキシブルプリント基板とガラス基板とを用いるか、又は半導体チップとガラス基板とを用いることが好ましく、半導体チップとガラス基板とを用いることがより好ましい。
FOG用途では、L/Sが比較的広いため、導電性粒子の粒径も大きく濃度も低いので、接続時の圧力が低く、充分な圧痕や樹脂充填性が得られず、電極間の導通信頼性、及び硬化物層における空隙(ボイド)の発生が問題となることが多い。これに対して、本発明に係る硬化性組成物の使用により、FOG用途において、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができ、硬化物層における空隙(ボイド)の発生を効果的に抑制することが可能である。
COG用途では、L/Sが比較的狭ピッチなことから、導電材料を加熱したときの流動性が不足すると、電極ライン間に導電材料が十分に充填されないため、電極間の導通信頼性、及び硬化物層におけるボイドの発生が問題となることが多い。これに対して、本発明に係る硬化性組成物の使用により、COG用途において、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができ、硬化物層におけるボイドの発生を効果的に抑制することが可能である。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
なお、以下の合成例において得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
また、以下の実施例において得られたエポキシ化合物の混合物及び硬化性組成物の粘度は、粘度測定装置(東機産業社製)を用いて測定された23℃及び2.5rpmでの粘度を示す。
(合成例1)
(1)ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第1の反応物の合成:
ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で31:52:17で含む)72重量部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル100重量部、及びトリフェニルフォスフィン1重量部を3つ口フラスコに入れ、150℃で溶解させた。その後、180℃で6時間、付加重合反応させることにより第1の反応物を得た。
付加重合反応が進行したことを確認して、第1の反応物が、ビスフェノールFに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつ1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有することを確認した。
(2)上記第1の反応物と、アクリル酸とを反応させたエポキシ化合物の合成:
得られた第1の反応物100重量部とアクリル酸4重量部とを配合し、80℃まで昇温した。昇温後、触媒であるジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート1重量部を入れ、4時間縮合反応させることにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は8000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つのみでアクリル酸由来の低分子は観察されなかった。また、NMRにより、水酸基にアクリル酸が反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例2)
合成例1で得られた上記第1の反応物と、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたエポキシ化合物の合成:
合成例1で得られた上記第1の反応物100重量部と、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート4重量部と、ラウリル酸ジブチル錫0.3重量部とを配合した後、80℃で4時間付加反応させることにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は12000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つのみでメタクリル酸化合物由来の低分子のピークは観察されなかった。また、NMRにより、水酸基に2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートが反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例3)
合成例1で得られた上記第1の反応物と、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルとを反応させたエポキシ化合物の合成:
合成例1で得られた上記第1の反応物100重量部と、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル4重量部と、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート0.2重量部とを配合した後、80℃で4時間縮合反応させることにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にエポキシ基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は12000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つのみで4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル化合物由来の低分子のピークは観察されなかった。また、縮合反応が進行したことを確認して、水酸基に4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルが反応して、側鎖にエポキシ基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例4)
(1)レゾルシノールと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第2の反応物の合成:
レゾルシノール48重量部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル100重量部、及びトリフェニルフォスフィン1重量部を3つ口フラスコに入れ、150℃で溶解させた。その後、180℃で6時間、付加重合反応させることにより第2の反応物を得た。
付加重合反応が進行したことを確認して、第2の反応物が、レゾルシノールに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつ1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有することを確認した。
(2)上記第2の反応物と、アクリル酸とを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて得られた上記第2の反応物を用いて、合成例1と同様にして縮合反応することにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は15000であり、エポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つ存在していた。また、NMRにより、水酸基にアクリル酸が反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例5)
合成例4で得られた上記第2の反応物と、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて合成例4で得られた上記第2の反応物を用いて、合成例3と同様の手法にて縮合反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にエポキシ基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は15000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つ存在していた。また、NMRにより、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルが縮合反応して、側鎖にエポキシ基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例6)
合成例4で得られた上記第2の反応物と、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて合成例4で得られた上記第2の反応物を用いて、合成例2と同様の手法にて付加反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は15000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つ存在していた。また、付加反応により、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートが反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例7)
(1)レゾルシノールとレゾルシノールジグリシジルエーテルとの第3の反応物の合成:
レゾルシノール33重量部、レゾルシノールジグリシジルエーテル100重量部、及びトリフェニルフォスフィン1重量部を3つ口フラスコに入れ、150℃で溶解させた。その後、180℃で6時間付加重合反応させることにより、第3の反応物を得た。
付加重合反応が進行したことを確認して、第3の反応物が、レゾルシノールに由来する骨格とレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有することを確認した。
(2)上記第3の反応物と、アクリル酸とを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて得られた上記第3の反応物を用いて、合成例1と同様の手法にて縮合反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は11000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つ存在していた。また、縮合反応により、水酸基にアクリル酸が反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例8)
合成例7で得られた上記第3の反応物と、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させたビニル化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて合成例7で得られた上記第3の反応物を用いて、合成例2と同様の手法にて付加反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は11000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つ存在していた。また、NMRにより、水酸基に2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートが反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(合成例9)
合成例7で得られた上記第3の反応物と、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルとを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて合成例7で得られた上記第3の反応物を用いて、合成例3と同様の手法にて縮合反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にエポキシ基を反応前の水酸基の全個数100%に対して20%有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は11000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つ存在していた。また、NMRにより、水酸基に4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルが反応して、側鎖にエポキシ基が反応前の水酸基の全個数100%に対して20%導入されていることを確認した。
(実施例1)
合成例1で得られたエポキシ化合物と合成例2で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(1)を得た。得られたエポキシ化合物の混合物(1)の粘度は320Pa・sであった。
次に、得られたエポキシ化合物の混合物(1)33重量部に、熱硬化剤であるペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部と、平均粒子径3μmの導電性粒子2重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである硬化性組成物(1)を得た。なお、用いた導電性粒子は、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子である。得られた硬化性組成物(1)の粘度は350Pa・sであった。
(実施例2)
合成例2で得られたエポキシ化合物と合成例3で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(2)を得た。得られたエポキシ化合物の混合物(2)の粘度は300Pa・sであった。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(2)を得た。得られた硬化性組成物(2)の粘度は340Pa・sであった。
(実施例3)
合成例3で得られたエポキシ化合物と合成例4で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(3)を得た。得られたエポキシ化合物の混合物(3)の粘度は280Pa・sであった。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(3)を得た。得られた硬化性組成物(3)の粘度は310Pa・sであった。
(実施例4)
合成例4で得られたエポキシ化合物と合成例5で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(4)を得た。得られたエポキシ化合物の混合物(4)の粘度は330Pa・sであった。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(4)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(4)を得た。得られた硬化性組成物(4)の粘度は360Pa・sであった。
(実施例5)
合成例5で得られたエポキシ化合物と合成例6で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(5)を得た。得られたエポキシ化合物の混合物(5)の粘度は260Pa・sであった。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(5)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(5)を得た。得られた硬化性組成物(5)の粘度は290Pa・sであった。
(実施例6)
ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部とを、カチオン硬化剤(サンエイドSi−60(三新化学製)0.6重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(6)を得た。得られた硬化性組成物(6)の粘度は180Pa・sであった。
(実施例7)
ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部を、アミン硬化剤であるエチレンジアミン20重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(7)を得た。得られた硬化性組成物(7)の粘度は150Pa・sであった。
(実施例8)
光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部を、光硬化性化合物であるウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL8804」)5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(8)を得た。得られた硬化性組成物(8)の粘度は280Pa・sであった。
(実施例9)
光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)とを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(9)を得た。得られた硬化性組成物(9)の粘度は260Pa・sであった。
(実施例10)
光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)とを配合しなかったこと以外は実施例2と同様にして、硬化性組成物(10)を得た。得られた硬化性組成物(10)の粘度は310Pa・sであった。
(比較例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂33重量部と、熱硬化剤であるペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部と、平均粒子径3μmの導電性粒子2重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである硬化性組成物を得た。
(比較例2)
光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)とを配合しなかったこと以外は比較例1と同様にして、硬化性組成物を得た。
(実施例1〜10及び比較例1〜2の評価)
(1)硬化時間1
L/Sが10μm/10μmのITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが10μm/10μmの金電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた硬化性組成物を厚さ30μmとなるように塗工し、更にUV光を照射することで(メタ)アクリル樹脂を硬化させて、硬化性組成物層を形成した。次に、硬化性組成物層上に上記半導体チップを、電極同士が互いに対向し、接続するように積層した。その後、硬化性組成物層の温度が150℃となるように加熱ヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加熱ヘッドを載せ、硬化性組成物層を150℃で硬化させ、接続構造体Aを得た。この接続構造体を得る際に、加熱により硬化性組成物層が硬化するまでの時間を測定した。
(2)硬化時間2
L/Sが10μm/10μmのITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが10μm/10μmの金電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた硬化性組成物を厚さ30μmとなるように塗工し、硬化性組成物層を形成した。次に、硬化性組成物層上に上記半導体チップを、電極同士が互いに対向し、接続するように積層した。その後、硬化性組成物層の温度が150℃となるように加熱ヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加熱ヘッドを載せ、硬化性組成物層を150℃で硬化させ、接続構造体Bを得た。この接続構造体を得る際に、加熱により硬化性組成物層が硬化するまでの時間を測定した。
(3)接着性
上記(1)硬化時間1及び上記(2)硬化時間2の評価で得られた接続構造体A,Bを用いて、ピール強度を測定することにより接着性を評価した。接着性を下記の基準で判定した。
[接着性の判定基準]
○:8N/cm以上
×:8N/cm未満
(4)耐湿性
上記(1)硬化時間1及び上記(2)硬化時間2の評価で得られた接続構造体A,B(それぞれ15個)を85℃及び85%RHの条件で1000時間放置した後、導通性を評価した。接続構造体A,Bにおける20箇所の抵抗値を4端子法にて評価した。導通信頼性を下記の基準で判定した。
[耐湿性の判定基準]
○:全ての箇所で抵抗値が3Ω以下である
×:全く導通していない箇所が1箇所以上ある
(5)ボイドの有無
上記(1)硬化時間1及び上記(2)硬化時間2の評価で得られた接続構造体A,Bにおいて、硬化性組成物層により形成された硬化物層にボイドが生じているか否かを、透明ガラス基板の下面側から目視により観察した。
結果を下記の表1に示す。
(合成例10)
(1)ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの第1の反応物の合成:
ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で31:52:17で含む)72重量部を、ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で31:52:17で含む)64重量部とビスフェノールF骨格を有しかつ3以上の核を有する多核体(3核体と4以上の核を有する多核体とを重量比で9:2で含む)8重量部との混合物72重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、第1の反応物を得た。
(2)上記第1の反応物と、アクリル酸とを反応させたエポキシ化合物の合成:
得られた第1の反応物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合成例1と同様の手法にて縮合反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は7000であった。また、NMRにより、水酸基にアクリル酸が反応して、側鎖にビニル基が導入されていることを確認した。
(合成例11)
合成例10で得られた上記第1の反応物と、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたエポキシ化合物の合成:
合成例10で得られた上記第1の反応物100重量部と、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート4重量部と、ラウリル酸ジブチル錫0.3重量部とを配合した後、80℃で4時間付加反応させることにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は10000であった。また、NMRにより、水酸基に2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートが反応して、側鎖にビニル基が導入されていることを確認した。
(合成例12)
合成例10で得られた上記第1の反応物と、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルとを反応させたエポキシ化合物の合成:
合成例10で得られた上記第1の反応物100重量部と、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル4重量部と、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート0.2重量部とを配合した後、80℃で4時間縮合反応させることにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にエポキシ基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は10000であった。また、縮合反応が進行したことを確認して、水酸基に4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルが反応して、側鎖にエポキシ基が導入されていることを確認した。
(合成例13)
(1)ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で31:52:17で含む)54重量部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル75重量部、及びトリフェニルフォスフィン0.75重量部を3つ口フラスコに入れ、150℃で溶解させた。その後、180℃で4時間、付加重合反応させ、さらに、ビスフェノールF25重量部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル9.5重量部、及びトリフェニルフォスフィン0.25重量を追加し、180℃で2時間、付加重合反応させることにより第1の反応物を得た。
付加重合反応が進行したことを確認して、第1の反応物が、ビスフェノールFに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつ1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有することを確認した。
(2)上記第1の反応物と、アクリル酸とを反応させたエポキシ化合物の合成:
得られた第1の反応物100重量部とアクリル酸4重量部とを配合し、80℃まで昇温した。昇温後、触媒であるジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート1重量部を入れ、4時間縮合反応させることにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は6000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは2つ存在していた。また、NMRにより、水酸基にアクリル酸が反応して、側鎖にビニル基が導入されていることを確認した。
(合成例14)
合成例13で得られた上記第1の反応物100重量部と、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート4重量部と、ラウリル酸ジブチル錫0.3重量部とを配合した後、80℃で4時間付加反応させることにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は7500であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは2つ存在していた。また、NMRにより、水酸基に2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートが反応して、側鎖にビニル基が導入されていることを確認した。
(実施例11)
合成例10で得られたエポキシ化合物と合成例11で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(11)を得た。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(11)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(11)を得た。得られた硬化性組成物(11)の粘度は390Pa・sであった。
(実施例12)
合成例11で得られたエポキシ化合物と合成例12で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(12)を得た。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(12)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(12)を得た。得られた硬化性組成物(12)の粘度は380Pa・sであった。
(実施例13)
実施例1で得られたエポキシ化合物の混合物(1)を用意した。エポキシ化合物の混合物(1)は、合成例1で得られたエポキシ化合物と合成例2で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で含む。
上記エポキシ化合物の混合物(1)33重量部に、ビスフェノールFジグリシジルエーテル3重量部と、熱硬化剤であるペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部と、実施例1で用いた導電性粒子2重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである硬化性組成物(15)を得た。得られた硬化性組成物(13)の粘度は330Pa・sであった。
(実施例14)
実施例1で得られたエポキシ化合物の混合物(1)を用意した。エポキシ化合物の混合物(1)は、合成例1で得られたエポキシ化合物と合成例2で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で含む。
上記エポキシ化合物の混合物(1)33重量部に、レゾルシノールジグリシジルエーテル3重量部と、熱硬化剤であるペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部と、実施例1で用いた導電性粒子2重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである硬化性組成物(14)を得た。得られた硬化性組成物(14)の粘度は320Pa・sであった。
(実施例15)
実施例1で得られたエポキシ化合物の混合物(1)を用意した。エポキシ化合物の混合物(1)は、合成例1で得られたエポキシ化合物と合成例2で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で含む。
上記エポキシ化合物の混合物(1)33重量部に、ビスフェノールFグリシジルエーテルエポキシアクリレート3重量部と、熱硬化剤であるペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部と、実施例1で用いた導電性粒子2重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである硬化性組成物(15)を得た。得られた硬化性組成物(15)の粘度は320Pa・sであった。
(実施例16)
実施例1で得られたエポキシ化合物の混合物(1)を用意した。エポキシ化合物の混合物(1)は、合成例1で得られたエポキシ化合物と合成例2で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で含む。
上記エポキシ化合物の混合物(1)33重量部に、レゾルシノールグリシジルエーテルエポキシアクリレート3重量部と、熱硬化剤であるペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部と、実施例1で用いた導電性粒子2重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである硬化性組成物(16)を得た。得られた硬化性組成物(16)の粘度は320Pa・sであった。
(実施例17)
合成例13で得られたエポキシ化合物と合成例14で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(17)を得た。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(17)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(17)を得た。得られた硬化性組成物(17)の粘度は280Pa・sであった。
(実施例18)
合成例4で得られたエポキシ化合物と合成例7で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(18)を得た。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(18)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(18)を得た。得られた硬化性組成物(18)の粘度は310Pa・sであった。
(実施例19)
合成例4で得られたエポキシ化合物と合成例8で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(19)を得た。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(19)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(19)を得た。得られた硬化性組成物(19)の粘度は320Pa・sであった。
(実施例20)
合成例4で得られたエポキシ化合物と合成例9で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(20)を得た。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(20)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(20)を得た。得られた硬化性組成物(20)の粘度は320Pa・sであった。
(実施例11〜20の評価)
実施例1〜10及び比較例1〜2と同様の評価項目について評価を実施した。
結果を下記の表2に示す。
なお、実施例1〜20の接着性の評価結果はいずれも「○」であった。ピール強度の測定値に関しては、実施例1よりも実施例11の方が高く、実施例2よりも実施例12の方が高く、実施例1よりも実施例13の方が高く、実施例1よりも実施例14の方が高く、実施例1よりも実施例15の方が高く、実施例1よりも実施例16の方が高かった。
(合成例15)
(1)ビスフェノールFとレゾルシノールジグリシジルエーテルとの第4の反応物の合成:
ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で31:52:17で含む)72重量部、レゾルシノールジグリシジルエーテル100重量部、及びトリフェニルフォスフィン1重量部を3つ口フラスコに入れ、150℃で溶解させた。その後、180℃で6時間、付加重合反応させることにより第4の反応物を得た。
付加重合反応が進行したことを確認して、第4の反応物が、ビスフェノールFに由来する骨格とレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつレゾルシノールジグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有することを確認した。
(2)上記第4の反応物と、アクリル酸とを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて得られた上記第3の反応物を用いて、合成例1と同様の手法にて縮合反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は132000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つのみでアクリル酸由来の低分子は観察されなかった。また、NMRにより、水酸基にアクリル酸が反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して100%導入されていることを確認した。
(合成例16)
合成例15で得られた上記第4の反応物と、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて合成例15で得られた上記第4の反応物を用いて、合成例2と同様の手法にて付加反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にビニル基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は132000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つのみでメタクリル酸化合物由来の低分子のピークは観察されなかった。また、NMRにより、水酸基に2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネートが反応して、側鎖にビニル基が反応前の水酸基の全個数100%に対して100%導入されていることを確認した。
(合成例17)
合成例15で得られた上記第4の反応物と、4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルとを反応させたエポキシ化合物の合成:
上記第1の反応物にかえて合成例15で得られた上記第4の反応物を用いて、合成例3と同様の手法にて縮合反応を行うことにより、両末端にエポキシ基を有し、かつ側鎖にエポキシ基を有するエポキシ化合物を得た。
得られたエポキシ化合物の重量平均分子量は132000であった。得られたエポキシ化合物の分子量分布におけるピークは1つのみで4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル化合物由来の低分子のピークは観察されなかった。また、縮合反応が進行したことを確認して、水酸基に4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルが反応して、側鎖にエポキシ基が反応前の水酸基の全個数100%に対して100%導入されていることを確認した。
(実施例21)
合成例15で得られたエポキシ化合物と合成例16で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(21)を得た。得られたエポキシ化合物の混合物(21)の粘度は1000Pa・sであった。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(21)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(21)を得た。得られた硬化性組成物(21)の粘度は1070Pa・sであった。
(実施例22)
合成例16で得られたエポキシ化合物と合成例17で得られたエポキシ化合物とを重量比で5:3で混合して、エポキシ化合物の混合物(22)を得た。得られたエポキシ化合物の混合物(22)の粘度は1130Pa・sであった。
エポキシ化合物の混合物(1)を得られたエポキシ化合物の混合物(22)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物(22)を得た。得られた硬化性組成物(22)の粘度は1200Pa・sであった。
(実施例21及び22の評価)
実施例1〜10と同様の評価項目について評価を実施した。
結果を下記の表3に示す。
なお、各合成例において、上記第1,第2,第3,第4の反応物の水酸基に、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート又は4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルを反応させる際に、反応前の水酸基の全個数100%中、反応した水酸基(水酸基ではなくなった基(上述する式(a),(b),(c))の個数の割合を3%〜100%(全て)に変化させた。その結果、個数の割合が3%〜100%の範囲内であるときに、上述した実施例と同様に、硬化速度が速く、接着性及び耐湿性に優れており、かつボイドが生じ難くなることを確認した。