JP5896494B2 - 触媒金属層の製造方法及びグラフェン素材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒金属層の製造方法及びグラフェン素材の製造方法に関する。
グラフェンは、炭素原子の六員環が単層で連なって平面状になった二次元材料である。このグラフェンは、電子移動度がシリコンの100倍以上と言われている。近年、グラフェンをチャネル材料として利用したトランジスタが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、絶縁基板上に、蒸着により触媒金属の膜パターンを形成し、その膜パターン上にグラフェンシートを成長させたあと、そのグラフェンシートの両側にドレイン電極及びソース電極を形成すると共に、グラフェンシート上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成している。ここで、触媒金属の膜パターンは絶縁膜で分離されているが、グラフェンシートは膜パターンの端では横方向に延びることから、絶縁分離膜の両側の膜パターンからグラフェンシートが延びて絶縁分離膜上でつながった構造が得られると説明されている。また、触媒金属としては、コバルト,鉄,ニッケルなどの金属を用いることが記載されている。
特開2009−164432号公報
しかし、特許文献1に記載の方法でグラフェンシートを作製する場合、両側の膜パターンから伸びたグラフェンシートがつながる境界で電子の移動度が低下する場合があった。これを改善し、よりよい特性のトランジスタを作製するために、途中でグラフェンシートをつなぐことは避け、広い領域でグラフェンシートを作製できるようにすることが望まれていた。さらには、広いグラフェンシートが得られるようになれば、このようなトランジスタのみならず多くの応用にとって非常に好都合である。
ところで、このような大面積で良質なグラフェンを作成するためには、グラフェンシートを成長させるための触媒金属層のグレイン(結晶粒)が大きいことが好ましい。そこで、よりグレインの大きな触媒金属層を製造することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、グレインの大きな触媒金属層を製造することを主目的とする。
本発明者らは、基板上に膜状に形成した触媒金属を熱処理により結晶化させて触媒金属層とするにあたり、製造条件について種々検討した結果、熱処理の際に触媒金属の一部に凝集が生じる場合があることを見いだした。そして、熱処理の条件を好適なものとすることでこの凝集を抑制でき、グレインの大きな触媒金属層を製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の触媒金属層の製造方法は、
(a)グラフェン化を促進する機能を有する触媒金属の膜を基板上に形成する工程と、
(b)前記触媒金属と前記基板との馴染みがよくなる領域である高温領域に含まれる昇温温度まで、前記触媒金属を昇温する工程と、
(c)前記昇温温度から、前記基板と前記触媒金属との間にミスフィット転位が導入される低温領域まで前記触媒金属を降温し、且つ、前記昇温温度未満且つ前記低温領域を超える領域である中温領域に前記触媒金属の温度が含まれる間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、前記中温領域に前記触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温する工程と、
(d)前記触媒金属の温度が前記低温領域の上限値以下となる状態で該触媒金属を結晶化させて触媒金属層とする工程と、
を含むものである。
この第1の触媒金属層の製造方法によれば、グレインの大きな触媒金属層を製造することができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推察される。まず、工程(b)において触媒金属と基板との馴染みがよくなる高温領域に含まれる昇温温度まで触媒金属を昇温している。この高温領域まで昇温することで、触媒金属の原子の配列を助けることができ、後の工程(d)での結晶化がしやすくなっていると推察される。次に、工程(c)では、昇温温度から、基板と触媒金属との間にミスフィット転位が導入される低温領域まで触媒金属を降温している。ここで、降温を行うと、触媒金属と基板の熱膨張係数差により触媒金属中に引っ張り応力が発生し、隣り合う触媒金属のグレイン境界に亀裂を生じさせるおそれがあり、この亀裂がもとで触媒金属の凝集が促進される。しかし、さらに降温を行うと、降温開始温度すなわち工程(b)の昇温温度から相対的にある温度だけ下がったときに、触媒金属中の応力がミスフィット転位導入の臨界値を超え、基板と触媒金属との間にミスフィット転位が導入され、触媒金属中の応力は緩和される。そのため、このようなミスフィット転位が導入される低温領域まで降温した状態では新たな亀裂の発生は抑制される。そこで、昇温温度未満且つ低温領域を超える領域を中温領域とすると、工程(c)において、中温領域に触媒金属の温度が含まれる間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、中温領域に触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温を行うことで、触媒金属のグレイン同士が接するほどに拡大する前にすなわちグレインの境界が存在しない状態で触媒金属の温度が中温領域を通過したり、グレイン境界が存在してもグレイン境界に亀裂が生じる前に触媒金属の温度が中温領域を通過したりすることになり、凝集の発生が抑制されていると推察される。なお、触媒金属のグレイン境界に発生した亀裂が凝集を促進する理由としては、次のようなことが考えられる。亀裂が発生することにより基板表面が露出し、その結果、触媒金属が凝集して触媒金属の表面積と触媒金属−基板間の界面の面積とが縮小する。このとき、触媒金属の表面エネルギーと触媒金属−基板間の界面エネルギーとの和が基板の表面エネルギーよりも大きいと、基板表面が拡大して表面エネルギーが加算されても基板及び触媒金属の表面エネルギーと触媒金属−基板間の界面エネルギーとの総和は減少してエネルギー的に有利になるため、触媒金属に凝集が継続する可能性があると推察される。そして、工程(d)では、触媒金属の温度が前記低温領域の上限値以下となる状態で触媒金属を結晶化させて触媒金属層としている。低温領域の上限値以下では、上述したように基板と触媒金属の間にミスフィット転位が導入され、触媒金属中の応力は緩和されるため、新たな亀裂の発生は抑制される。この状態で触媒金属を結晶化させれば、凝集の発生を抑制しつつ、グレインを拡大させることができると推察される。このようにして工程(b)〜(d)を行うことで、触媒金属に凝集が生じるのを抑制して、凝集がグレインの拡大を阻害することを抑制でき、その結果グレインの大きな触媒金属層を得ることができると推察される。
本発明の第2の触媒金属層の製造方法は、
(a)グラフェン化を促進する機能を有する触媒金属としてのニッケルの膜をサファイア基板上に形成する工程と、
(b)900℃以上1400℃以下の昇温温度まで前記触媒金属を昇温する工程と、
(c)前記昇温温度から(前記昇温温度−100)℃以下まで前記触媒金属を降温し、且つ、前記触媒金属の温度が前記昇温温度未満(前記昇温温度−100)℃超過の間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、前記触媒金属の温度が前記昇温温度未満(前記昇温温度−100)℃超過の領域に前記触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温する工程と、
(d)前記触媒金属の温度が(前記昇温温度−100)℃以下の状態で該触媒金属を結晶化させて触媒金属層とする工程と、
を含むものである。
この第2の触媒金属層の製造方法によれば、グレインの大きな触媒金属層を製造することができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推察される。まず、工程(b)において900℃以上1400℃以下の昇温温度まで触媒金属を昇温することで、触媒金属としてのニッケルとサファイア基板との馴染みがよくなっており、これによりニッケルの原子の配列を助けることができ、後の工程(d)での結晶化がしやすくなっていると推察される。次に、工程(c)では、昇温温度から(昇温温度−100)℃以下までニッケルを降温している。ここで、降温を行うと、ニッケルとサファイア基板の熱膨張係数差によりニッケル中に引っ張り応力が発生し、隣り合うニッケルのグレイン境界に亀裂を生じさせるおそれがあり、この亀裂がもとでニッケルの凝集が促進される。しかし、さらに降温を行うと、降温開始温度すなわち工程(b)の昇温温度から(昇温温度−100)℃以下まで温度が下がったときに、ニッケル中の応力がミスフィット転位導入の臨界値を超え、サファイア基板とニッケルとの間にミスフィット転位が導入され、ニッケル中の応力は緩和される。そのため、このようなミスフィット転位が導入される(昇温温度−100)℃以下まで降温した状態では新たな亀裂の発生は抑制される。そこで、工程(c)において、ニッケルの温度が昇温温度未満(昇温温度−100)℃超過の間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、ニッケルの温度が昇温温度未満(昇温温度−100)℃超過の領域に前記触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温を行うことで、ニッケルのグレイン同士が接するほどに拡大する前にすなわちグレインの境界が存在しない状態でニッケルの温度が(昇温温度−100)℃以下となったり、グレイン境界が存在してもグレイン境界に亀裂が生じる前に触媒金属の温度が(昇温温度−100)℃以下となったりすることになり、凝集の発生が抑制されていると推察される。なお、ニッケルのグレイン境界に発生した亀裂が凝集を促進する理由としては、次のようなことが考えられる。亀裂が発生することによりサファイア基板の表面が露出し、その結果、ニッケルの表面積とニッケル−サファイア基板間の界面の面積とが縮小する。このとき、昇温温度未満(昇温温度−100)℃超過の温度領域ではニッケルの表面エネルギーとニッケル−サファイア基板間の界面エネルギーとの和がサファイア基板の表面エネルギーよりも大きくなっており、基板表面が拡大して表面エネルギーが加算されてもサファイア基板及びニッケルの表面エネルギーとニッケル−サファイア基板間の界面エネルギーとの総和は減少してエネルギー的に有利になるため、ニッケルに凝集が継続する可能性があると推察される。そして、工程(d)では、ニッケルの温度が(昇温温度−100)℃以下の状態で触媒金属を結晶化させて触媒金属層としている。この状態では、上述したように基板とニッケルとの間にミスフィット転位が導入され、ニッケル中の応力は緩和されるため、新たな亀裂の発生は抑制される。この状態でニッケルを結晶化させれば、凝集の発生を抑制しつつ、グレインを拡大させることができると推察される。このようにして工程(b)〜(d)を行うことで、触媒金属としてのニッケルに凝集が生じるのを抑制して、凝集がグレインの拡大を阻害することを抑制でき、その結果グレインの大きな触媒金属層を得ることができると推察される。
本発明のグラフェン素材の製造方法は、
(e)上述したいずれかの本発明の触媒金属層の製造方法により基板上に形成した触媒金属層の表面に、炭素源を供給してグラフェンを成長させる工程と、
(f)前記触媒金属層から前記グラフェンをグラフェン素材として取り出す工程と、
を含むものである。
このグラフェン素材の製造方法によれば、グレインの大きな触媒金属層の上にグラフェンを成長させるため、大面積のグラフェン素材を得ることができる。ここで、グラフェン素材とは、炭素原子の六員環が単層で連なったグラフェンを1層又は複数層有する素材をいう。また、グラフェン化を促進する機能とは、炭素源と接触してその炭素源に含まれる炭素成分が互いに結合してグラフェンになるのを促進する機能をいう。
触媒金属層17及びグラフェン素材10を製造する手順を表す説明図(斜視図)である。 触媒金属層の土手構造の説明図である。 実験例1の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例2の触媒金属層の表面の説明図及び顕微鏡写真である。 実験例2の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例3の触媒金属層の表面の説明図及び顕微鏡写真である。 実験例3の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例3の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例4の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例5の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例6の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例7の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例8の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例9の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例10の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例11の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例12の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例13の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。 実験例14の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
本発明の触媒金属層の製造方法は、(a)グラフェン化を促進する機能を有する触媒金属の膜を基板上に形成する工程と、(b)前記触媒金属と前記基板との馴染みがよくなる領域である高温領域に含まれる昇温温度まで、前記触媒金属を昇温する工程と、(c)前記昇温温度から、前記基板と前記触媒金属との間にミスフィット転位が導入される低温領域まで前記触媒金属を降温し、且つ、前記昇温温度未満且つ前記低温領域を超える領域である中温領域に前記触媒金属の温度が含まれる間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、前記中温領域に前記触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温する工程と、(d)前記触媒金属の温度が前記低温領域の上限値以下となる状態で該触媒金属を結晶化させて触媒金属層とする工程と、を含むものである。
また、本発明のグラフェン素子の製造方法は、(e)前記工程(a)〜(d)により基板上に形成した触媒金属層の表面に、炭素源を供給してグラフェンを成長させる工程と、(f)前記触媒金属層から前記グラフェンをグラフェン素材として取り出す工程と、を含むものである。
本発明の触媒金属層の製造方法において、工程(a)で用いる基板としては、特に限定するものではないが、例えばc面サファイア基板、a面サファイア基板、表面に極めて薄く(例えば、0.2nm〜0.5nm程度)SiO2層が形成されたSi基板、SiC基板、ZnO基板、GaN基板(テンプレート基板を含む)、W等の高融点金属基板、グラフェン化促進触媒能を有する金属の基板などが挙げられる。こうした基板本体は、単結晶基板の方が触媒金属層の結晶方位を揃えやすいため好ましい。但し、単結晶基板でなくても触媒金属層の方位は揃うことがあり得る。また、基板本体は、基本的には、触媒金属層を形成する工程(b)〜(d)やその後に触媒金属層上でグラフェンを成長させる工程(e)において劣化しないことが必要である。基板の厚さは、特に限定するものではないが、例えば100μm〜500μm程度としてもよい。なお、基板本体として、表面にSiO2層が形成されたSi基板を用いる場合には、Siと触媒金属層との反応を抑制するために、基板が表面のSiO2層よりもさらに表面側にTi,Pt,SiO2等の層を有していることが好ましい。この層の厚さは、特に限定するものではないが、例えば1nm〜10nm程度としてもよい。
本発明の触媒金属層の製造方法において、工程(a)で用いる触媒金属としては、Cu,Ni,Co,Ru,Fe,Pt,Au等が挙げられる。こうした金属のうち、表面に三角格子(三角形の頂点に金属原子が配置された構造)を持つものが好ましい。例えば、FCCの(111)面、BCCの(110)面、HCPの(0001)面が三角格子になる。触媒金属の膜の厚さは、特に限定するものではないが、例えば10nm〜500nm程度としてもよい。なお、触媒金属の膜を厚くすることで、後の工程において触媒金属が凝集するのをより抑制する効果が得られるため、触媒金属の膜の厚さは200nm以上とすることが好ましい。
本発明の触媒金属層の製造方法において、工程(a)で触媒金属の膜を基板上に形成するには、例えば、蒸着又はスパッタにより行ってもよい。蒸着としては、電子ビーム蒸着法を用いてもよい。また、プラズマスパッタ法を用いて蒸着してもよい。また、触媒金属の膜を所定形状に形成するものとしてもよい。例えば、周知のフォトリソグラフィ法によってパターニングしてもよい。その場合、まず基板の全面に触媒金属の膜を形成し、次に所定形状の触媒金属が残るようにレジストパターンを形成したあとウェットエッチング又はドライエッチングを行ってもよい。ウェットエッチングは、触媒金属の金属種に応じて適宜エッチング液を選定すればよい。ドライエッチングも、触媒金属の金属種に応じて適宜使用するガスを選定すればよい。また、所定形状の触媒金属を形成するには、所定形状以外の部分を被覆するシャドウマスクを用いて触媒金属を蒸着又はスパッタしてもよい。
本発明の触媒金属層の製造方法において、工程(b)では、触媒金属と基板との馴染みがよくなる領域である高温領域に含まれる昇温温度まで、触媒金属を昇温する。この高温領域まで昇温することで、触媒金属をアニールすると共に、触媒金属と基板との馴染みをよくし、触媒金属の原子の配列を助けることができる。この高温領域は、触媒金属と基板との馴染みがよくなる所定の閾値温度以上の領域として、例えば触媒金属及び基板の材質に応じて定めることができる。高温領域は、触媒金属のグレイン境界が熱的に不安定になるのに十分な温度、言い換えるとグレインが既に存在している場合でもそのグレインが融合して消えるような温度の領域と表すこともできる。また、高温領域は触媒金属及び基板の融点未満且つ触媒金属と基板との反応温度未満の領域であるものとして、高温領域の上限値を定めることもできる。例えば、(触媒金属の融点,基板の融点,触媒金属と基板との反応温度のうち最も低い温度−50)℃を高温領域の上限値としてもよい。高温領域は、触媒金属の融点より低くならびに基板の融点より低く、また、両者の反応温度より低く、しかし、基板と触媒金属の馴染みを良くするため十分高く選ぶことが好ましい。この高温領域は、例えば触媒金属がニッケルであり、基板がサファイアである場合には、900℃以上1400℃以下の領域としてもよい。950℃以上1050℃以下とすることがより好ましい。また、工程(b)では、触媒金属の温度を昇温温度まで昇温したあと昇温温度で所定時間保持するものとしてもよい。この所定時間は、例えば触媒金属のアニールが十分となるような時間として経験的に定めてもよい。例えば触媒金属がニッケルであり、基板がサファイアである場合には、この所定時間を5分以上とすることが好ましく、例えば20分以上としてもよい。20分以上40分以下としてもよい。なお、工程(b)において触媒金属の温度が昇温温度に到達するまでの昇温速度が遅いときには、例えば触媒金属と基板との熱膨張係数差による応力など、何らかの原因で触媒金属に凝集が発生する可能性もあるため、昇温速度はある程度早いことが好ましい。特に限定するものではないが、例えば昇温速度を20℃/min以上としてもよい。
本発明の触媒金属層の製造方法において、工程(c)では、昇温温度から、基板と触媒金属との間にミスフィット転位が導入される低温領域まで触媒金属を降温し、且つ、昇温温度未満且つ低温領域を超える領域である中温領域に触媒金属の温度が含まれる間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、中温領域に触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温する。このように、昇温温度から低温領域に早く到達するように降温を行うことで、触媒金属の凝集の発生を抑制することができる。第1条件としては、降温速度が早いほど、触媒金属の温度がより早く低温領域に到達でき凝集の発生をより抑制できるため好ましい。例えば、降温速度は3℃/min以上としてもよいし、5℃/min以上としてもよい。また、降温速度が速すぎると、触媒金属の凝集の発生は抑制できても、触媒金属にグレインの核が多数発生して小さなグレインが多数できてしまい、その後のグレインの結合に時間がかかる可能性がある。そのため、降温速度は20℃/min以下とすることが好ましい。降温速度は10℃/min以下としてもよいし、7℃/min以下としてもよい。降温速度を3℃/min以上20℃/min以下としてもよい。降温速度は、上記の範囲内であれば降温中に変化しても構わない。また、降温速度は、触媒金属の温度が低温領域に含まれるまで降温したあとは、2℃/min未満とするなど上記の範囲から外れてもよい。第2条件も第1条件と同様に、中温領域に触媒金属の温度が含まれる時間が短いほど、凝集の発生をより抑制できるため好ましい。また、中温領域に触媒金属の温度が含まれる時間が短すぎると、その後のグレインの結合に時間がかかる可能性があるため、この時間は5分以上とすることが好ましい。
低温領域は、降温開始温度すなわち工程(b)の昇温温度から相対的にある温度だけ下がった温度以下の領域として定まる領域である。降温を行うと、昇温温度から相対的にある温度だけ下がったときに、触媒金属中の応力がミスフィット転位導入の臨界値を超え、基板と触媒金属との間にミスフィット転位が導入され、触媒金属中の応力が緩和されることになる。そのときの温度が低温領域の上限値となる。この低温領域は、昇温温度から相対的な領域として定まり、例えば触媒金属がニッケルであり、基板がサファイアである場合には、低温領域は(昇温温度−100)℃以下の領域である。例えば、昇温温度が1000℃であったときには、低温領域を900℃以下の領域としてもよい。中温領域は、昇温温度と低温温度との間の領域として定まる領域である。この中温領域では、昇温温度からの降温により触媒金属と基板の熱膨張係数差によって触媒金属中に引っ張り応力が発生し、且つミスフィット転位は導入されないため、隣り合う触媒金属のグレイン境界に亀裂を生じて凝集が発生するおそれがある。
本発明の触媒金属層の製造方法において、工程(d)では、触媒金属の温度が前記低温領域の上限値以下となる状態で触媒金属を結晶化させて触媒金属層とする。このようにすることで、触媒金属における凝集の発生を抑制しつつグレインを拡大させることができる。これにより工程(d)でグレインが成長していき、さらにグレイン同士が結合して、大きなグレインの触媒金属層が得られる。この工程(d)では、前記触媒金属を(低温領域の上限値−400)℃以上の温度で保持して該触媒金属を結晶化させることが好ましく、(低温領域の上限値−150)℃以上の温度で保持して該触媒金属を結晶化させることがさらに好ましい。こうすれば、触媒金属の温度が低温領域の上限値以下となる状態を維持することにより触媒金属の凝集が促進されることを抑制しつつ、触媒金属を比較的高い温度で保つことができるため、グレインの成長が速くなり比較的短時間で大きなグレインの触媒金属層を得ることができる。なお、工程(d)では、触媒金属の温度が低温領域の上限値を下回る状態であればよく、触媒金属を一定の温度で保持するものとしてもよいし、触媒金属の温度を所定の速度で降温し続けるものとしてもよい。例えば、工程(c)から引き続き同じ速度で所定温度まで降温し続けるものとしてもよい。なお、例えば触媒金属がニッケルであり、基板がサファイアである場合には、工程(d)では低温領域の上限値である(昇温温度−100)℃以下の状態で触媒金属を結晶化させる。また、触媒金属を(昇温温度−500)℃以上(昇温温度−100)℃以下の温度で保持することが好ましく、(昇温温度−250)℃以上(昇温温度−100)℃以下の温度で保持して触媒金属を結晶化させることがさらに好ましい。
本発明の触媒金属層の製造工程において、工程(b)〜(d)は、大気圧且つ水素雰囲気下、大気圧且つ不活性雰囲気下、真空雰囲気下のいずれかで行うものとしてもよい。特に、大気圧且つ水素雰囲気下で行うことが好ましい。大気圧且つ水素雰囲気下で行うことで、基板や触媒金属の表面に水素が付着又は結合して、触媒金属の凝集をより抑制できることが考えられる。工程(b)〜(d)を大気圧且つ水素雰囲気下で行う場合において、特に限定するものではないが、水素を100〜1000mL/分の流量で流しながら行うものとしてもよい。
本発明のグラフェン素子の製造方法の工程(e)において、炭素源としては、例えば、炭素数1〜6の炭化水素やアルコールなどが挙げられる。また、グラフェンを成長させる方法としては、例えば、アルコールCVD、熱CVD、プラズマCVD、ガスソースMBEなどが挙げられる。
アルコールCVDは、例えば、成長温度を400℃〜1000℃とし、炭素源としてメタノールやエタノールなどのアルコールの飽和蒸気を供給する。アルコール飽和蒸気は、バブラにキャリアガスを流すことにより発生させてもよい。キャリアガスとしては、アルゴン、水素、窒素などを利用することができる。圧力は大気圧であってもよいし、減圧下であってもよい。
熱CVDは、例えば、成長温度を800℃〜1000℃とし、炭素源としてメタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどを供給する。炭素源はアルゴンや水素などをキャリアガスとして供給し、炭素源の分圧は例えば0.002Pa〜5Pa程度とする。成長時間は例えば1分〜20分、圧力は加圧下(例えば1kPa)であってもよいし減圧下であってもよい。炭素源を分解するためにホットフィラメントを使用することが多い。
プラズマCVDは、例えば、成長温度を950℃、圧力を1Pa〜1.1Pa、炭素源をメタン、メタン流量を5sccm、キャリアガスを水素、水素流量を20sccmとし、プラズマパワーを100W程度とする。
ガスソースMBEは、例えば、炭素源としてエタノールを用い、エタノールで飽和した窒素ないしは水素ガスの流量を0.3sccm〜2sccmとし、真空中で炭素源分解のため2000℃に加熱したWフィラメントを使用する。基板温度は400℃〜600℃程度である。
本発明のグラフェン素子の製造方法の工程(f)において、前記触媒金属層を溶かして前記グラフェンをグラフェン素材として取り出してもよい。こうすれば、グラフェン素材を容易に取り出すことができる。触媒金属層を溶かすには、例えば酸性溶液を用いる。どのような酸性溶液を用いるかは触媒金属層の金属種による。例えば、触媒金属層の材質がNiの場合には希硝酸を使用する。あるいは、触媒金属層からグラフェン素材を引き剥がすには、例えば触媒金属層の外周部分だけを酸性溶液でエッチングしてえぐり取り、エッチングされた箇所からグラフェン素材をめくるようにして機械的に引き剥がしてもよい。
続いて、上述した工程(a)〜(d)により触媒金属層17を製造し、さらに上述した工程(e)〜(f)によりグラフェン素材10を製造する様子の一例について図面を用いて説明する。図1は、触媒金属層17及びグラフェン素材10を製造する手順を表す説明図(斜視図)である。
まず、工程(a)として、四角形状のc面サファイアからなる基板12を用意し、その基板12の上面の全面に触媒金属としてのニッケルを成膜して触媒金属膜14とし(図1(a)参照)、リソグラフィ法により触媒金属膜14を所定形状、ここでは一筆書きが可能な形状としてジグザグ状の触媒金属膜16にパターニングする(図1(b)参照)。また、触媒金属膜16は、触媒金属膜16の一部が触媒金属膜16の無い部分を介して触媒金属膜16の他の部分と隣合うように形成されている。具体的には、触媒金属膜16は、一端から直線部分16aを経て屈曲部分16bにて折り返され、直線部分16cを経て屈曲部分16dにて折り返され、直線部分16eを経て屈曲部分16fにて折り返され、直線部分16gを経て屈曲部分16hにて折り返され、直線部分16iを経て屈曲部分16jにて折り返され、直線部分16kを経て他端に至るように形成されている。直線部分16aと直線部分16cとの間、直線部分16cと直線部分16eとの間、直線部分16eと直線部分16gとの間、直線部分16gと直線部分16iとの間、直線部分16iと直線部分16kとの間は、空隙となっており、触媒金属膜16が存在していない。
次に、工程(b)〜(d)の温度条件で触媒金属膜16の熱処理を行い、触媒金属を結晶化させた触媒金属層17を得る(図1(c)参照)。具体的には、工程(b)として、触媒金属膜16の温度を昇温温度としての1000℃まで昇温し1000℃で20分間保持してアニールする。次に、工程(c)として、触媒金属膜16の温度を5℃/minの速度で1000℃から800℃まで降温する。続いて、工程(d)として、触媒金属膜16の温度を800℃で15時間保持する。また、工程(b)〜(d)は、大気圧且つ水素を毎分600mLの流量で流しながら水素雰囲気下で行う。これにより、触媒金属膜16が結晶化して、ジグザグ状の触媒金属層17が得られる。なお、この工程(b)では昇温温度が1000℃であるため、低温領域の上限値は900℃である。
続いて、工程(e)として、触媒金属層17のNiに対して、温度600℃、圧力1kPaにてアセチレンとアルゴンとの混合ガスによりC原子を供給する。結晶化により、Ni表面には、Ni原子を頂点とした三角格子が構成されているので、供給されたC原子は、Ni原子から構成されるそれぞれの三角形の重心の真上に配置されることで、C原子を頂点とした六角形が形成され、この六角形が互いに結合していくことでグラフェンが成長していく(図1(d)参照)。グラフェンは触媒金属層17上に形成されるため、触媒金属層17と同じ形状つまりジグザグ状となる。なお、グラフェンが成長しすぎると、横方向に延びてジグザグを形成する溝を塞いでしまうため、そうなる前に成長を止める。
次に、ジグザグ状のグラフェンの両末端に四角形の電極18,20を取り付ける(図1(e)参照)。その後、触媒金属層17を酸性溶液で溶かす。ここでは、触媒金属層17はNiであるため、希硝酸を用いる。そして、触媒金属層17が溶けたあと、グラフェンをグラフェン素材10として取り出す(図1(f)参照)。
このようにして得られたグラフェン素材10は、ジグザグ状の自立した素材であるが、両末端の電極18,20を把持して伸ばすことにより線材にすることができる(図1(g)参照)。こうした線材は細くて大きな電流を流せる電気配線として利用可能である。また、グラフェンシートの特長を生かし、このように作製した電気配線の途中に、トランジスタ構造を作製し、電流の流れを制御することも可能である。なお、「自立した」とは、テープなどの支持体などを有さず独立しているという意味である。
また、触媒金属層17は、一筆書きが可能なジグザグ状であるため、基板12の面積が小さい場合であっても、得られるグラフェン素材10の長さを長くすることができる。さらに、触媒金属層17は、触媒金属層17の一部が触媒金属層17の無い部分を介して触媒金属層17の他の部分と隣合うように形成されているため、触媒金属層17の一部と他の部分とが隣り合っていることで、工程(e)でグラフェンを成長させる際、触媒金属層17の一部と他の部分との成長条件(例えば、原料供給量、温度、キャリアガスの流量等)が同じとなる可能性が高い。こうして得られたグラフェン素材の両端を把持して伸ばして線材等の長尺ものを作製する場合、長手方向のどの部分でも同じ条件でグラフェンが成長するため、長手方向に均質なグラフェン素材を得ることができる。これに対して、一直線状の触媒金属層を用いて長尺ものを作製する場合には、長手方向の位置によって異なる条件でグラフェンが成長して長手方向に不均質なグラフェン素材となるおそれがあり、ひいては長尺もののグラフェン素材の性能がばらついたり品質が低下したりするおそれがある。
なお、図1では、ジグザグ状の触媒金属層17を四角形状の基板12上に形成して、ジグザグ状のグラフェン素材10を製造する例について示したが、触媒金属層17,基板12,グラフェン素材10の形状はこれに限られない。例えば、基板は、線状、円筒状でも良い。また、触媒金属層は、渦巻き状などの他の一筆書き形状としてもよいし、一筆書き形状以外の形状、例えば三角形や四角形などの多角形、円形、楕円形、星形など任意の形状を採用してもよい。触媒金属膜16を、触媒金属膜16の一部が触媒金属膜16の無い部分を介して触媒金属膜16の他の部分と隣合うように形成しないものとしてもよい。また、工程(a)においてリソグラフィ法などによる触媒金属膜のパターニングを行わないものとしてもよい。その他、触媒金属層の形状はどのような形状としてもよく、工程(a)で触媒金属の膜として所望の形状のものを形成し、工程(f)では、所望の形状のグラフェンをグラフェン素材として取り出すものとしてもよい。グラフェン素材の形状は触媒金属層の形状をそのまま受け継ぐことになるため、触媒金属の膜を所望形状にパターニングしさえすれば、その所望形状のグラフェン素材を得ることができる。また、工程(a)で触媒金属の膜を所望形状に形成する場合に限らず、工程(d)において得られた触媒金属層を所望形状に加工し、その後に工程(e)〜(f)を行ってもよい。こうしても、所望形状のグラフェン素材を得ることができる。また、工程(f)を行わずに、工程(e)で成長させたグラフェンを触媒金属層から取り出すことなくそのまま触媒金属層上に形成したグラフェン素材として得てもよい。すなわち、工程(e)を、上述した触媒金属層の製造方法により基板上に形成した触媒金属層の表面に、炭素源を供給してグラフェンを成長させてグラフェン素材を得る工程、としてもよい。この場合も、工程(a)で触媒金属の膜として所望の形状のものを形成すれば、工程(e)で所望の形状のグラフェンをグラフェン素材として得ることができる。このような触媒金属層上に形成したグラフェン素材は、例えば触媒金属層上に形成した電気配線や電極として用いることができる。
なお、図1の直線部分16a,16c,16e,16g,16i,16kや、ストライプ状など、線状の形状の触媒金属層を工程(a)〜(d)で形成した際、触媒金属層の両縁(端部)に土手のように盛り上がった構造(土手構造)が形成される。盛り上がりの高さは、例えば1ミクロン程度である。図2は触媒金属層の土手構造の説明図であり、図2(a)は上面図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。この土手構造上に形成されるグラフェンは、図2(b)に示すように、触媒金属の盛り上がりを反映した曲率を持つ。また、この部分では触媒金属が厚いので、グラフェンの成長時により多くの炭素が溶け込み、より厚いグラフェンが成長する。こうしたことから、この部分のキャリアのポテンシャルは、触媒金属のストライプ中央部の平坦な部分と異なる。よって、このポテンシャルの影響により、グラフェンストライプを流れる電流は、主にストライプの中央部を流れる。このことは、グラフェンの電気伝導特性を改善する効果がある。なぜなら、グラフェンストライプの縁(側部)の伝導特性は必ずしも良くないからである。グラフェンストライプの縁には、グラフェンが終端した部分があり、この部分では、結合が切れ、ダングリングボンドが発生する。その結果、結晶の周期構造が乱れ、グラフェンの伝導特性が劣化する。また、土手部分では、触媒金属の平坦性が悪く、成長するグラフェン層中に欠陥が生成し、結晶性が悪く、深い準位や再結合中心が存在する。これらも伝導特性を劣化させる要因となる。よって、上述したように、電気伝導がグラフェンストライプの中央部に集中することで、伝導特性が改善する効果が得られる。
以上説明した本発明の触媒金属層の製造方法では、基板上に形成した触媒金属について、工程(b)〜(d)の条件で熱処理を行うことにより、触媒金属における凝集の発生が抑制されて、グレインの大きな触媒金属層を製造することができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推察される。
まず、工程(b)において触媒金属と基板との馴染みがよくなる高温領域に含まれる昇温温度まで触媒金属を昇温している。この高温領域まで昇温することで、触媒金属の原子の配列を助けることができ、後の工程(d)での結晶化がしやすくなっていると推察される。
次に、工程(c)では、昇温温度から、基板と触媒金属との間にミスフィット転位が導入される低温領域まで触媒金属を降温している。ここで、降温を行うと、触媒金属と基板の熱膨張係数差により触媒金属中に引っ張り応力が発生し、隣り合う触媒金属のグレイン境界に亀裂を生じさせるおそれがあり、この亀裂がもとで触媒金属の凝集が促進される。しかし、さらに降温を行うと、降温開始温度すなわち工程(b)の昇温温度から相対的にある温度だけ下がったときに、触媒金属中の応力がミスフィット転位導入の臨界値を超え、基板と触媒金属との間にミスフィット転位が導入され、触媒金属中の応力は緩和される。そのため、このようなミスフィット転位が導入される低温領域まで降温した状態では新たな亀裂の発生は抑制される。そこで、昇温温度未満且つ低温領域を超える領域を中温領域とすると、工程(c)において、中温領域に触媒金属の温度が含まれる間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、中温領域に触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温を行うことで、触媒金属のグレイン同士が接するほどに拡大する前にすなわちグレインの境界が存在しない状態で触媒金属の温度が中温領域を通過したり、グレイン境界が存在してもグレイン境界に亀裂が生じる前に触媒金属の温度が中温領域を通過したりすることになり、凝集の発生が抑制されていると推察される。なお、触媒金属のグレイン境界に発生した亀裂が凝集を促進する理由としては、次のようなことが考えられる。亀裂が発生することにより基板表面が露出し、その結果、触媒金属が凝集して触媒金属の表面積と触媒金属−基板間の界面の面積とが縮小する。このとき、触媒金属の表面エネルギーと触媒金属−基板間の界面エネルギーとの和が基板の表面エネルギーよりも大きいと、基板表面が拡大して表面エネルギーが加算されても基板及び触媒金属の表面エネルギーと触媒金属−基板間の界面エネルギーとの総和は減少してエネルギー的に有利になるため、触媒金属に凝集が継続する可能性があると推察される。
そして、工程(d)では、触媒金属の温度が前記低温領域の上限値以下となる状態で触媒金属を結晶化させて触媒金属層としている。低温領域の上限値以下では、上述したように基板と触媒金属の間にミスフィット転位が導入され、触媒金属中の応力は緩和されるため、新たな亀裂の発生は抑制される。この状態で触媒金属を結晶化させれば、凝集の発生を抑制しつつ、グレインを拡大させることができると推察される。
なお、工程(d)においてグレインが拡大していくメカニズムとしては、以下のように推測される。触媒金属は基板の結晶性を反映し結晶化し、小さな単結晶領域であるグレインを形成する。よって、単一ドメインの触媒金属グレインにより基板全面が覆われても基本的には矛盾はない。しかし、通常は触媒金属の結晶核が基板上に複数個あらわれる。条件によっては基板端部のみ、非常に少ない数のグレイン核があらわれる場合もあるが、一般には、結晶核は基板全面にわたり多数出現する。この違いは、触媒金属の固相エピタキシャル成長(触媒金属の結晶化は固相エピタキシャル成長によっている)の駆動力(過飽和度)に依存する。駆動力が大きいときは数多くの核が発生し、駆動力が小さいときは均一核が発生できずに、不均一核のみが基板端部等に発生することになる。また、今回の実験では、駆動力は基板温度の降温速度の大きさによって生じているものと考えられる。よって、基板温度が一定に保たれる場合は、駆動力がほぼゼロとなり、新たな核が発生しにくい。このような場合でも、基板の端などという極めて核が発生しやすい場所では、かろうじて不均一核の発生が可能となり、触媒金属グレイン形成の始点となりうる。ある降温速度が保たれるときは、駆動力が発生しつづけ、新たな核が発生し続ける。この場合、降温速度が速いほど駆動力が大きく、発生する核の数も多くなる。一方、触媒金属のグレイン境界に亀裂による穴が生じた場合は、触媒金属の温度が中温領域に含まれる場合は、熱膨張ひずみのため触媒金属−基板間の界面エネルギーが大きく、それと触媒金属の表面エネルギーとの和も、基板の表面エネルギーより常に大きく、触媒金属の凝集が進む。また、低温領域では、新たな亀裂の発生は抑制されるものの、触媒金属の表面エネルギーと触媒金属−基板間の界面エネルギーとの和が、基板の表面エネルギーに勝るので、工程(c)の降温により既に亀裂が発生してしまっている場合には、中温領域と同様に触媒金属の凝集が進む。工程(c)の降温で亀裂が発生せずに触媒金属の温度が低温領域に到達した場合には、工程(d)では新たな亀裂の発生は抑制されているため凝集の発生が抑制されて、グレインの拡大が進む。次に、亀裂による穴がなく、多数の小さいグレインと一つの大きなグレインが接している場合を考える。この場合、一つの大きなグレインは基板の端か、もしくは基板の中央部にある場合でも、基板表面の結晶情報を反映して結晶化しているものと考えられる。なぜなら、基板と結晶方位が揃っていた方が界面エネルギーが低下するからである。一方、多数のグレインには基板表面の結晶情報を反映しているものも存在するが、そうでないものも存在する。このとき、熱処理をおこなうと、大きなグレインは隣接したグレインを飲み込むようにして、拡大するのが一般的である。このような現象は「オストワルド・ライプニング」と呼ばれる。この現象は、グレイン境界はエネルギー的に不安定な場所であり、グレイン境界が消え、グレインが拡大した方がトータルエネルギーが安定化するという理由で引き起こされる。この場合、先にも示したように、基板とのエピタキシャル関係を保ったグレインの方が、すなわち、基板表面の結晶方位を反映した方位をもつ触媒金属グレインの方が、グレインエネルギーが低下する。よって、大きなグレインが熱処理中に隣のグレインと結合する際、隣のグレインは基板表面の結晶方位を反映した方位に変化した方が、つまり、大きなグレインと同じ方位になって、単一ドメインとして結合した方が、よりエネルギーが安定化する。以上のようなメカニズムにより、熱処理中に、時間経過とともに、ドメインサイズが拡大したものと考えられる。
また、工程(c)では、第1条件の降温速度を3℃/min以上とすることで、触媒金属の温度がより早く低温領域に到達でき凝集の発生をより抑制できる。降温速度は20℃/min以下とすることで、触媒金属にグレインの核が多数発生して小さなグレインが多数できてしまうことを抑制でき、例えばその後のグレインの結合時間を短縮できる。
また、工程(d)では、触媒金属を(前記低温領域の下限値−150)℃以上の温度で保持して触媒金属を結晶化させることで、比較的短時間で大きなグレインの触媒金属層を得ることができる。
そして、工程(a)〜(d)により製造した大きなグレインの触媒金属層を用いて、工程(e)〜(f)によりグラフェン素材を製造することで、大面積のグラフェン素材を得ることができる。
[実験例1]
実験例1として、触媒金属層を具体的に形成した例を説明する。まず、工程(a)として、電子ビーム蒸着法を用い、触媒金属の膜としてのNiを、厚さ350μm,表面が10mm×10mmのc面サファイア基板上に蒸着した。なお、形成された触媒金属(Ni)の膜の厚さは、220nm〜250nmの範囲内であった。続いて、大気圧水素雰囲気下で温度を変化させて工程(b)〜(d)の熱処理を行った。熱処理には電気炉を用い、電気炉の中に設置した反応管内にNiを蒸着したc面サファイアを入れ、水素を反応管の中に600mL/分の流量で流しながら行った。工程(b)としては、Niを1000℃まで30℃/minで昇温し、その後1000℃で20分間保持した。工程(c)としては、電気炉の降温速度の設定値を5℃/minにしてNiを1000℃から800℃まで降温した。工程(d)としては、800℃で5時間保持した。その後、室温まで急冷し炉から取り出した。これにより、実験例1の触媒金属層を得た。図3は、実験例1の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。なお、写真はノマルスキー干渉顕微鏡で観察した像を撮影したものであり、以降の実験例の写真についても同様である。
[実験例2]
工程(d)において800℃で10時間保持した点以外は、実験例1と同様にして触媒金属層を作製し、実験例2の触媒金属層を得た。図4(a)は、実験例2の触媒金属層の表面の様子を表す説明図である。図4(b),図5は、実験例2の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。図4(a)では、触媒金属層の表面に形成されたグレインのうち、特に大きなグレインの形状を、濃い色で塗りつぶされた領域として示している。図示するように、グレインは、触媒金属層の端部から成長していることがわかる。また、図4(a)に示す領域(1)〜(9)は触媒金属層を9分割してその位置を表すものである。図4(b)は、領域(8)の顕微鏡写真であり、図5(a)は、領域(4)の顕微鏡写真であり、図5(b)は、領域(5)の顕微鏡写真である。
[実験例3]
工程(b)において1000℃まで昇温後で40分間保持した点、及び工程(d)において800℃で15時間保持した点以外は、実験例1と同様にして触媒金属層を作製し、実験例3の触媒金属層を得た。図6(a)は、実験例3の触媒金属層の表面の様子を表す説明図である。図6(b),図7,図8は、実験例3の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。実験例3の触媒金属層では、触媒金属層の表面に形成されたグレインのうち特に大きなグレインが3つ、触媒金属層の端部から成長して形成されており、図6(a)では領域(1)〜(3)の領域として示している。また、触媒金属の中央(端部以外の場所)から成長した1つの大きなグレインが形成されており、図6(a)では領域(4)として示している。図6(b)は、領域(1)のグレインの顕微鏡写真であり、図7(a)は、領域(2)のグレインの顕微鏡写真であり、図7(b)は、領域(3)のグレインの顕微鏡写真であり、図8(a)は、領域(4)のグレインの顕微鏡写真である。また、図8(b)は、領域(2)のグレインの顕微鏡写真である。
[実験例4]
工程(c)において降温速度の設定値を5℃/minにしてNiを1000℃から低温領域の上限値としての900℃以下まで降温し、工程(d)としてそのまま同じ5℃/minで500℃まで降温し続けた点以外は、実験例1と同様にして触媒金属層を作製し、実験例4の触媒金属層を得た。図9は、実験例4の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。図9(a)の顕微鏡写真から平均グレイン面積を算出したところ、463μm2であった。なお、平均グレイン面積は、次のように算出した。まず、顕微鏡写真において縦横各3本ずつの線を均等に描画し、各線上にあるグレインの個数を数えた。次に、線毎に平均グレインサイズを(線の長さ/グレインの個数)として算出した。そして、平均グレイン面積を(縦3本の線の平均グレインサイズの平均値)×(横3本の線の平均グレインサイズの平均値)として算出した。
[実験例5]
工程(c),(d)における降温速度の設定値を7℃/minとした点以外は、実験例4と同様にして触媒金属層を作製し、実験例5の触媒金属層を得た。図10は、実験例5の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
[実験例6]
工程(c),(d)における降温速度の設定値を10℃/minとした点以外は、実験例4と同様にして触媒金属層を作製し、実験例6の触媒金属層を得た。図11は、実験例6の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
[実験例7]
工程(c),(d)における降温速度の設定値を20℃/minとした点以外は、実験例4と同様にして触媒金属層を作製し、実験例7の触媒金属層を得た。図12は、実験例7の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
[実験例8]
工程(c),(d)における降温速度の設定値を3℃/minとした点以外は、実験例4と同様にして触媒金属層を作製し、実験例8の触媒金属層を得た。図13は、実験例8の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
[実験例9]
工程(c)において降温速度の設定値を5℃/minにしてNiを1000℃から900℃まで降温した点、及び工程(d)において900℃で15時間保持した点以外は、実験例1と同様にして触媒金属層を作製し、実験例9の触媒金属層を得た。図14は、実験例9の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
[実験例10]
工程(c)において降温速度の設定値を1℃/minにしてNiを1000℃から低温領域の上限値としての900℃以下まで降温し、工程(d)としてそのまま同じ1℃/minで500℃まで降温し続けた点以外は、実験例1と同様にして触媒金属層を作製し、実験例10の触媒金属層を得た。図15は、実験例10の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
[実験例11]
工程(c)において降温速度の設定値を1℃/minにしてNiを1000℃から800℃まで降温した点、及び工程(d)において800℃で1時間保持した点以外は、実験例1と同様にして触媒金属層を作製し、実験例11の触媒金属層を得た。図16は、実験例11の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。
[実験例12]
工程(c)において降温速度の設定値を1℃/minにしてNiを1000℃から低温領域の上限値としての900℃以下まで降温し、工程(d)としてそのまま同じ1℃/minの設定値で630℃まで降温し続けた点以外は、実験例1と同様にして触媒金属層を作製し、実験例12の触媒金属層を得た。図17は、実験例12の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。実験例4と同様の方法により図17(a)の顕微鏡写真から平均グレイン面積を算出したところ、305μm2であった。
[実験例13]
工程(d)として工程(c)と同じ1℃/minの設定値で750℃まで降温し続けた点以外は、実験例12と同様にして触媒金属層を作製し、実験例13の触媒金属層を得た。図18は、実験例13の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。実験例4と同様の方法により図18の顕微鏡写真から平均グレイン面積を算出したところ、86.8μm2であった。
[実験例14]
工程(d)として工程(c)と同じ1℃/minの設定値で800℃まで降温し続けた点以外は、実験例12と同様にして触媒金属層を作製し、実験例14の触媒金属層を得た。図19は、実験例14の触媒金属層の表面の顕微鏡写真である。実験例4と同様の方法により図19の顕微鏡写真から平均グレイン面積を算出したところ、40.4μm2であった。
なお、降温速度の設定値を5℃/minとした実験例1〜4,9では、実際には電気炉内の温度変化が設定した速度に追従できていなかった。実際の降温速度は、降温開始から最初の5分間が最も早く、時間が経過するにつれて降温速度が低下する傾向にあった。降温速度の設定値を5℃/minとした場合において、工程(c)で触媒金属が1000℃から900℃(低温領域の上限値)になるまでの間の降温速度を5分毎の実際の温度変化を元に算出したところ、降温速度は3.2℃/min〜5.0℃/minの範囲の値であった。降温速度の設定値を7℃/min,10℃/min,20℃/minとした実験例5,6,7でも同様の傾向を示し、工程(c)で触媒金属が1000℃から900℃(低温領域の上限値)になるまでの間の降温速度はそれぞれ3.8℃/min〜5.0℃/min,3.6℃/min〜5.6℃/min,3.7℃/min〜5.8℃/minの範囲の値であった。また、工程(c)で触媒金属が1000℃から900℃になるまでの時間(低温領域に到達するまでの時間)は、実験例1〜7,9のいずれも約22分であった。工程(c)で触媒金属が1000℃から800℃になるまでの時間は、実験例1〜4,9が約50分、実験例5〜7が約52分であった。実験例4〜6においては、触媒金属が800℃から500℃まで降温する間は実際の降温速度は3℃/min以下となっており、触媒金属が1000℃から500℃になるまでの時間はいずれも約210分であった。一方、降温速度の設定値が3℃/minである実験例8や設定値が1℃/minである実験例10〜14では、設定値通りの速度で降温されており、工程(c)で触媒金属が1000℃から900℃になるまでの時間はそれぞれ約33分,約100分であった。ただし、設定値が3℃/minである実験例8においては、触媒金属の温度が800℃から500℃になるまでの間は、実験例4〜6と同様に降温速度は3℃/min以下となっていた。
実験例1〜14の熱処理条件、及び実験例4,12〜14で算出した平均グレイン面積を表1にまとめて示す。なお、実験例1〜9が実施例に相当し、実験例10〜14が比較例に相当する。
図3〜19の顕微鏡写真では、網目状の線のように見える部分がグレインの境界線であり、黒い点のように見える部分がサファイア基板表面が露出した部分すなわち凝集が生じた部分である。この図3〜14と図15〜19との比較から明らかなように、降温速度を1℃/minとした実験例10〜14と比べて、降温速度を2℃以上として第1条件を満たしている実験例1〜9では、凝集の発生が抑制されており、Niのグレインが大きくなっていることがわかる。また、算出した平均グレインサイズの大きさも、実験例4の方が実験例12〜14のいずれと比較しても大きい結果となった。なお、実験例1〜9はいずれも工程(c)でNiの温度が中温領域(1000℃未満900℃超過)に含まれる時間が50分以内となっており、第2条件も満たしている。これに対して実験例10〜14では、第1条件及び第2条件のいずれも満たしていない。
図3(b)では、Ni表面にバンチングした原子ステップ(図の上下方向に走る複数の薄い筋状の模様)が確認された。このことからも、図3(b)における網目状の線で囲まれた複数の領域がそれぞれ1つのグレインになっていることが明確に確認できる。同様に、図5(a),図6(b)では、図の上側の領域にバンチングした原子ステップ(図の右上から左下方向に走る複数の薄い筋状の模様)が確認でき、この領域が1つの大きなグレインになっていることが明確に確認できる。図7(a)では、図の左上及び右上を除いた領域にバンチングした原子ステップ(図の右上から左下方向に走る複数の薄い筋状の模様)が確認でき、この領域が1つの大きなグレインになっていることが明確に確認できる。図8(a)では、図の左上を除いた領域にバンチングした原子ステップ(図の右上から左下方向に走る複数の薄い筋状の模様)が確認でき、この領域が1つの大きなグレインになっていることが明確に確認できる。
図15〜19では、黒い点はグレインの境界線に沿っているものが多く、凝集がグレインの境界部分に現れやすいことがわかる。これは、降温を行うと触媒金属と基板の熱膨張係数差により触媒金属中に引っ張り応力が発生し、隣り合う触媒金属のグレイン境界に亀裂を生じさせるおそれがあり、この亀裂がもとで触媒金属の凝集が促進される、という、上述したメカニズムとも一致する結果と考えられる。
実験例3の顕微鏡写真である図8(b)と実験例9の顕微鏡写真である図14とを比較すると、いずれも大きなグレインが形成されているが、図14では一部に凝集が生じている。実験例3と実験例9とは、工程(c)で降温をやめて保持する温度が800℃であるか900℃であるかが異なる点以外は同様の熱処理条件であることから、降温によりミスフィット転位が導入されて凝集の発生を抑制できる低温領域の上限値が900℃であることが示唆されていると考えられる。なお、より高い温度である900℃で保持した実験例9の方が、保持時間は同じでもグレインの拡大は進んでいた。
工程(d)において800℃で保持した実験例1〜3と、工程(d)において500℃まで降温を続けた実験例4とを比較すると、図3〜8と図9との比較から明らかなように、実験例1〜3の方がより大きなグレインが形成されていることがわかる。実験例1〜3では、(低温領域の上限値−150)℃(=750℃)以上である800℃の温度で保持しているため、実験例4と比べてグレインの成長が速くなり比較的短時間で大きなグレインの触媒金属層を得ることができていると考えられる。
工程(d)における800℃の保持時間以外は同様の熱処理条件で作製した実験例1〜3を比較すると、図3〜8から、保持時間が長い方がグレインの拡大が進み、より大きなグレインが形成されていることがわかる。特に、15時間保持した実験例3では、図8(b)の顕微鏡写真からミリメータサイズの極めて大きなグレインが得られていることがわかる。また、図6(b)では、細かいグレインが結合して単一ドメインになってゆく境界がよくわかる。
図4(a)や図6(a)に示したように、大きなグレインはNiの端部から成長しやすいことが確認できた。そのため、工程(a)で形成する触媒金属膜の形状としては、例えば正方形などいずれの端部からも遠い触媒金属膜の領域が比較的多い形状よりも、線状やジグザグ状などいずれの端部からも遠い触媒金属膜の領域が比較的少ない形状の方が、大きなグレインの触媒金属層が得やすいと考えられる。
なお、実験例12〜14を比較すると、工程(d)におけるNiの降温の目標温度(実験例12,13,14の目標温度はそれぞれ630℃,750℃,800℃)が低いほど平均グレイン面積が大きくなっていた。これは、実験例12〜14の降温速度が同じであり、目標温度が低いほどその温度に到達するまでの時間が長いすなわち熱処理時間が長いため、その間にグレインが拡大したものと考えられる。ただし、実験例12〜14はいずれも作製されたNiの触媒金属層に凝集が多数発生しており、グラフェン素材の製造には適さないものとなっていた。なお、実験例12の顕微鏡写真である図17(a)では凝集があまり見られないが、図17(b)など実験例12のNiの他の部分において凝集が多数発生していた。
本出願は、2012年2月27日に出願された日本国特許出願第2012−040554号を優先権主張の基礎としており、その内容の全てが引用により本明細書に含まれる。
本発明の触媒金属の製造方法は、例えばトランジスタや電気配線に用いるグラフェン素材の製造などに利用可能である。
10 グラフェン素材、12 基板、14 触媒金属膜、16 触媒金属膜、16a,16c,16e,16g,16i,16k 直線部分、16b,16d,16f,16h,16j 屈曲部分、17 触媒金属層、18,20 電極。

Claims (13)

  1. (a)グラフェン化を促進する機能を有する触媒金属の膜を基板上に形成する工程と、
    (b)前記触媒金属のグレインが融合して消える温度以上の高温領域に含まれる昇温温度まで、前記触媒金属を昇温する工程と、
    (c)前記昇温温度から、前記基板と前記触媒金属との間にミスフィット転位が導入される低温領域まで前記触媒金属を降温し、且つ、前記昇温温度未満且つ前記低温領域を超える領域である中温領域に前記触媒金属の温度が含まれる間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、前記中温領域に前記触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温する工程と、
    (d)前記触媒金属の温度が前記低温領域の上限値以下となる状態で該触媒金属を結晶化させて触媒金属層とする工程と、
    を含む触媒金属層の製造方法。
  2. 前記工程(c)において、前記降温速度は3℃/min以上20℃/min以下である、
    請求項1に記載の触媒金属層の製造方法。
  3. 前記工程(d)では、前記触媒金属を(前記低温領域の上限値−150)℃以上の温度で保持して該触媒金属を結晶化させる、
    請求項1又は2に記載の触媒金属層の製造方法。
  4. 前記工程(b)〜(d)は、大気圧且つ水素雰囲気下、大気圧且つ不活性雰囲気下、真空雰囲気下のいずれかで行う、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒金属層の製造方法。
  5. 前記触媒金属は、ニッケルであり、
    前記基板は、サファイア基板であり、
    前記工程(b)では、前記高温領域としての900℃以上1400℃以下の領域に含まれる前記昇温温度まで前記触媒金属を昇温し、
    前記工程(c)では、前記昇温温度から、前記低温領域の上限値としての(前記昇温温度−100)℃以下まで前記触媒金属を降温し、且つ、前記中温領域である前記昇温温度未満(前記昇温温度−100)℃超過の領域に前記触媒金属の温度が含まれる間は前記降温速度で降温する第1条件と、前記昇温温度未満(前記昇温温度−100)℃超過の領域に前記触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒金属層の製造方法。
  6. 前記工程(b)では、前記触媒金属の温度を前記昇温温度まで昇温したあと該昇温温度で5分以上保持する、
    請求項5に記載の触媒金属層の製造方法。
  7. (a)グラフェン化を促進する機能を有する触媒金属としてのニッケルの膜をサファイア基板上に形成する工程と、
    (b)900℃以上1400℃以下の昇温温度まで前記触媒金属を昇温する工程と、
    (c)前記昇温温度から(前記昇温温度−100)℃以下まで前記触媒金属を降温し、且つ、前記触媒金属の温度が前記昇温温度未満(前記昇温温度−100)℃超過の間は2℃/min以上の降温速度で降温する第1条件と、前記触媒金属の温度が前記昇温温度未満(前記昇温温度−100)℃超過の領域に前記触媒金属の温度が含まれる時間が50分以内となるように降温する第2条件と、の少なくともいずれかの条件を満たすように降温する工程と、
    (d)前記触媒金属の温度が(前記昇温温度−100)℃以下の状態で該触媒金属を結晶化させて触媒金属層とする工程と、
    を含む触媒金属層の製造方法。
  8. 前記工程(c)において、前記降温速度は3℃/min以上20℃/min以下である、
    請求項7に記載の触媒金属層の製造方法。
  9. 前記工程(a)では、前記触媒金属の膜として一筆書きが可能な形状のものを形成する、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の触媒金属層の製造方法。
  10. 前記工程(a)では、前記触媒金属の膜は、該触媒金属の膜の一部が該触媒金属の無い部分を介して該触媒金属の膜の他の部分と隣合うように形成される、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の触媒金属層の製造方法。
  11. (e)請求項1〜10のいずれか1項に記載の触媒金属層の製造方法により基板上に形成した触媒金属層の表面に、炭素源を供給してグラフェンを成長させる工程と、
    (f)前記触媒金属層から前記グラフェンをグラフェン素材として取り出す工程と、
    を含むグラフェン素材の製造方法。
  12. 前記工程(a)では、前記触媒金属の膜として、一筆書きが可能な形状としてのジグザグ状、渦巻き状又は螺旋状のものを形成し、
    前記工程(f)では、前記触媒金属層からジグザグ状、渦巻き状又は螺旋状のグラフェンを取り出したあと両端を把持して伸ばすことにより線状のグラフェン素材を得る、
    請求項11に記載のグラフェン素材の製造方法。
  13. (e)請求項1〜10のいずれか1項に記載の触媒金属層の製造方法により基板上に形成した触媒金属層の表面に、炭素源を供給してグラフェンを成長させてグラフェン素材を得る工程、
    を含み、
    前記工程(a)では、触媒金属の膜として所望の形状のものを形成し、
    前記工程(e)では、前記所望の形状の前記グラフェン素材を得る、
    グラフェン素材の製造方法。
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