JP2006237319A - p型シリコンカーバイド層の製造方法 - Google Patents

p型シリコンカーバイド層の製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 特別な装置を用いることなく、高濃度のp型シリコンカーバイド層を形成する製造方法を提供する。
【解決手段】 シリコンカーバイド基板の表面に、アルミニウム部材と、このアルミニウム部材が融解したとき、アルミニウムへシリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素の溶解を促進する元素を含む第1の板状部材とを積層し、昇温、降温することでp型シリコンカーバイド層を形成する。融解したアルミニウムがシリコンカーバイド基板上に凝集する場合には、第1の板状部材上に、融解したアルミニウムが凝集しない重量で、第1の板状部材と接合しない材料からなる第2の板状部材を、または第2の板状部材上にさらに昇温時に融解することがない高融点金属からなる錘部材とを積層して昇温、降温することでp型シリコンカーバイド層を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明はシリコンカーバイド(SiC)層の製造方法に関し、特に高濃度のp型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させる製造方法に関する。
シリコンカーバイドはシリコンに比べ、絶縁破壊電界強度が約10倍、電子の飽和速度が約2倍、熱伝導率が約3倍それぞれ大きく、大電力素子の材料として注目を集めている。さらに、シリコンカーバイドはゲート絶縁膜や保護膜を熱酸化により形成でき、p型、n型の伝導度の制御も可能であるため、シリコンデバイスと同様の構造を作ることができる。これまでに研究レベルでは、金属/酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET)や接合型電界効果トランジスタ(JFET)などのユニポーラデバイスが試作され、シリコンデバイスよりオン抵抗を小さくできることが報告されている。
しかし、たとえばシリコンカーバイドを使ったインパットダイオードの試作では、p型層の抵抗を十分に小さくすることができず、そのためオーミック電極の接触抵抗が大きく、これら寄生抵抗により効率低下や発熱による信頼性の低下が大きな問題となっている。
一般的にオーミック電極における接触抵抗を低減するためには、半導体/金属界面の障壁高さが小さくなるような金属を選択して用いるか、半導体側の不純物濃度を大きくして、金属/半導体界面に形成されるショットキー障壁を、電子や正孔が量子力学的トンネリング効果により通り抜け易くしている。
しかし、半導体がシリコンカーバイドである場合、金属/シリコンカーバイド界面の障壁高さが小さくなるような金属は見い出されておらず、この手法による接触抵抗の低減は図られていない。そのため、シリコンカーバイド層の不純物濃度を高くすることにより、金属/シリコンカーバイド界面の接触抵抗を低減する方法が種々試みられている。
一般的にシリコンカーバイド層への不純物の拡散係数はきわめて小さく、実用温度範囲で拡散により伝導度を制御することは困難である。そのため、高濃度のp型シリコンカーバイド層の形成には、イオン注入法やエピタキシャル成長法が用いられる。
イオン注入法によりシリコンカーバイド層へ不純物を添加する場合、ドーズ量を増やすことにより固溶限界(アルミニウム:2×1021cm-3、ボロン:2.5×1020cm-3)まで不純物を注入することが可能である。しかし、近年、イオン注入により高濃度層を形成する際に生じたダメージ(欠陥)層は、その後の熱処理によっても回復できないことが明らかになってきている(非特許文献1)。
また、このようなイオン注入による欠陥の増加を抑制するために、シリコンカーバイド基板を加熱しながらイオン注入を行う高温イオン注入法と呼ばれる方法が提案されている。しかしこの方法では、シリコンカーバイド基板の加熱機構を組み込んだ高価なイオン注入装置が必要になり、また基板の温度を上げたり下げたりするために時間がかかり、量産には適さないという問題があった。
一方、エピタキシャル成長法では、主に化学的気相堆積法が用いられているが、成長温度が1500℃から1600℃と高温のため、シリコンなどで使用されているCVD装置を用いることができず、高温成長が可能な特別な装置を用いなければならない。また、成長温度が高温のため、不純物元素が基板表面に滞在する時間が短くなるため、成長層に取り込まれる濃度が抑制され、添加できる最大不純物濃度は1019cm-3程度で、それ以上の高濃度層を形成できないことが明らかになっている(非特許文献2)。
さらに最近では、上記のような化学的気相堆積法と異なり、Vapor Liquid Solid (VLS)エピタキシャル法と呼ばれる手法も、高濃度p型層を形成する技術として報告されている。これによると、シリコンカーバイド基板表面にシリコンとアルミニウムを堆積して共晶温度以上に温度を上げ、メタンを供給することで、メタンから解離した炭素がシリコンとアルミニウムが溶けた液相に取り込まれ、過飽和に達した炭素がシリコンと結合してアルミニウムを含むシリコンカーバイド層として、シリコンカーバイド基板上にエピタキシャル成長することが示されている(非特許文献3)。
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従来提案されているイオン注入法による高濃度p型シリコンカーバイド層の形成では、イオン注入で受けたダメージが、その後の熱処理によって十分に回復せず、残留した欠陥層がデバイス特性を劣化させたり、不純物が格子間位置に残留してしまい、完全に活性化せず、高濃度のp型シリコンカーバイド層を形成することができないという問題があった。
化学的気相堆積法によるp型シリコンカーバイド層の形成では、成長温度が高く、不純物濃度を固溶限界まで大きくすることができず、デバイスに求められる高濃度のp型シリコンカーバイド層を形成することができないという問題があった。
VLSエピタキシャル成長法では、高価な装置を用いる必要があるという問題があった。また、アルミニウムへの炭素の溶解度は小さく、気相中からアルミニウムへ炭素を供給するのは、温度によりエネルギーを与えるだけでは容易でなく、シリコンカーバイド層の成長を制御するのが難しいという問題があった。また、従来の化学的気相堆積法やVLSエピタキシャル成長法では基板とエピタキシャル層の界面に欠陥層を形成されるという問題があった。
本発明は、上記問題点を解消し、特別な装置を用いることなく、高濃度のp型シリコンカーバイド層を形成する製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本願請求項1に係る発明は、シリコンカーバイド基板の表面に、アルミニウム部材と、該アルミニウム部材上に、該アルミニウムが融解したとき、該アルミニウムに溶解して該アルミニウムへ前記シリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素の溶解を促進する元素を含む第1の板状部材とを載置し、あるいはさらに該第1の板状部材上に、融解した前記アルミニウムが凝集しない重量の、前記第1の板状部材と接合しない材料からなる第2の板状部材、または該第2の板状部材及び該第2の板状部材上に高融点金属からなる錘部材とを載置し、昇温して、前記アルミニウム部材を融解し、該融解したアルミニウム中に、前記第1の板状部材から前記元素を溶解させるとともに前記シリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素を溶解させた後、降温して前記シリコンカーバイド基板表面上にアルミニウムを含むp型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させることを特徴とするものである。
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載のp型シリコンカーバイド層の製造方法において、融解したアルミニウムにシリコン及び炭素の溶解を促進する前記元素として、鉄、チタン、クロム、コバルト、マンガン、ニッケルの少なくともいずれか一つを含む前記第1の板状部材を前記アルミニウム部材上に載置して昇温することを特徴とするものである。
本願請求項3に係る発明は、請求項1または2いずれか1項記載のp型シリコンカーバイド層の製造方法において、前記シリコンカーバイド基板表面に、アルミニウム箔からなる前記アルミニウム部材とステンレス鋼板からなる前記第1の板状部材とを載置し、あるいはさらに該ステンレス鋼板上に、融解した前記アルミニウムが凝集しない重量の、カーボン板からなる前記第2の板状部材、または該カーボン板及びモリブデンからなる前記錘部材を載置して昇温することを特徴とするものである。
本願請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれか1項記載のp型シリコンカーバイド層の製造方法において、前記p型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させた後、該p型シリコンカーバイド層上に残る前記アルミニウム部材、前記第1の板状部材、前記第2の板状部材及び前記錘部材を除去し、前記p型シリコンカーバイド層を露出させることを特徴とするものである。
本発明では、昇温して融解したアルミニウムにシリコンカーバイド基板表面からシリコン及び炭素を溶解させた後、降温してシリコンカーバイド基板表面にエピタキシャル成長層を形成させるため、特別な装置を必要とせず、一般的な加熱装置だけで実現でき、簡便な方法である。
特に、アルミニウムにシリコンカーバイドの溶解を促進する元素として、チタン、クロム、コバルト、マンガン、ニッケルの少なくともいずれか一つを含む第1の板状部材を用いると、1000℃程度の昇温で、アルミニウムにシリコン及び炭素を溶解させることができ、一般的な加熱装置を用いることができ好適である。また、シリコンカーバイド基板上にアルミニウム箔、ステンレス鋼板、カーボン板、モリブデンの錘を載せて昇温、降温を行うだけで良く、特殊な材料を使用する必要がないので、製造コストの上昇を招かない点で利点が大きい。
また、融解したアルミニウムの表面張力により生じるアルミニウム内部と外部の圧力差の約1/4の圧力となる重量の第2の板状部材、あるいは第2の板状部材及び錘部材を第1の板状部材上に載せ、アルミニウムを融解するようにすると、アルミニウムの凝集を防止し、シリコンカーバイド基板全面に融解したアルミニウムが接触する構成とすることができ、口径の大きいシリコンカーバイド基板上にも均一性良く、p型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させることができる。
さらに、p型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させた後、第2の板状部材は、第1の板状部材と接合することがないので、第2の板状部材及び錘部材は簡単に除去することができる。また、p型シリコンカーバイド層上に接合して残るシリコン、炭素及び鉄等の元素を含むアルミニウム部材(合金層)、第1の板状部材は、通常の湿式エッチング、ドライエッチングあるいは研磨方法等により、簡単に除去することができるので、p型シリコンカーバイド層を簡単に露出させ、半導体装置の形成に供することができる。
本発明により形成したシリコンカーバイド層は、降温過程で、融解したアルミニウムからシリコンカーバイドがエピタキシャル成長するとき、シリコン格子位置にアルミニウムが置換され、活性化のための熱処理を行わなくても、高い活性化率を達成することができ、高濃度のp型シリコンカーバイド層となる。
また従来のCVD法やVLSエピタキシャル成長法では、基板とエピタキシャル層の界面に欠陥層が形成されるという問題があったが、本発明によれば、シリコンカーバイド基板を溶解し、その後エピタキシャル成長させるため、シリコンカーバイド基板とエピタキシャル成長層の界面に欠陥領域が形成されないという大きな利点がある。
本発明はシリコンカーバイド基板の表面に、アルミニウム部材と、このアルミニウム部材が融解したとき、アルミニウムへ溶解し、アルミニウムへシリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素の溶解を促進する元素を含む第1の板状部材とを積層し、昇温、降温することでp型シリコンカーバイド層を形成する。融解したアルミニウムがシリコンカーバイド基板上に凝集する(即ち、エピタキシャル成長させるシリコンカーバイド基板表面を融解したアルミニウムが全て覆わない)場合には、第1の板状部材上に、融解したアルミニウムが凝集しない重量で、第1の板状部材と接合しない材料からなる第2の板状部材を、またはこの第2の板状部材上にさらに昇温時に融解しない高融点金属からなる錘部材とを積層して昇温、降温することでp型シリコンカーバイド層を形成する。
次に、p型シリコンカーバイド層の形成過程について説明する。まず、昇温によりアルミニウム部材が融解する。この融解したアルミニウムには、その表面に接触している第1の板状部材から、それに含まれる元素が溶出する。ここで、第1の板状部材から溶出する元素は、アルミニウムに溶解することによって、シリコンカーバイド基板表面から融解したアルミニウムへシリコン及び炭素の溶解を促進する元素である。昇温条件及び時間を適切に設定することにより、融解したアルミニウムに、シリコン及び炭素をほぼ飽和濃度となるまで溶解させることができる。
その後、降温することにより、アルミニウム中で過飽和となったシリコン及び炭素がシリコンカーバイド基板上に析出し、シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させることができる。このとき、シリコン及び炭素の溶解を促進する元素は、シリコンや炭素、アルミニウムに比べて、一般的に原子半径が大きく、エピタキシャル成長層に取り込まれることがなく、シリコンカーバイド結晶の品質に影響を与えることはない。また、アルミニウムに溶解したシリコンは、炭素に比べてアルミニウム中に残留しやすく、そのためシリコン格子位置にはアルミニウムが取り込まれやすく、エピタキシャル成長層は、p型の伝導型を示すことになる。
このようにシリコンカーバイド基板上にエピタキシャル成長したp型シリコンカーバイド層は、固溶限界(2×1021cm-3)までアルミニウムが取り込まれるため、高濃度のp型シリコンカーバイド層を形成することができる。また、不純物の活性化のための熱処理を行わなくても、高い活性化率となる。
さらに、シリコンカーバイド基板を一旦溶解した後、連続してエピタキシャル成長させるため、エピタキシャル成長層とシリコンカーバイド基板の界面に欠陥領域が形成されず、品質の良いエピタキシャル成長層を得ることができる。
アルミニウムにシリコン及び炭素の溶解を促進する元素は、加熱温度や溶出時間に応じて適宜選択することができるが、通常の加熱装置が使用可能な1000℃程度の加熱温度で、シリコン及び炭素を溶解を促進する元素として、鉄(Fe)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)を選択するのが好ましい。
アルミニウムを融解したとき、シリコンカーバイド基板上で融解したアルミニウムが凝集する場合には、融解したアルミニウムに所望の圧力を加えるため、第1の板状部材上に別の板状部材や錘部材を積層すればよい。ここで加える圧力は、エピタキシャル成長に必要なシリコン及び炭素を含むアルミニウムが、シリコンカーバイド基板上に十分に残る程度の圧力であり、融解したアルミニウムが少なくなるような過剰な圧力を加えるものでないことは言うまでもない。
なお本発明に使用するシリコンカーバイド基板の面方位は、4H、6H、3Cいずれでもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の実施例の説明図である。図1(a)に示すように、シリコンカーバイド基板1上にアルミニウム箔2を載せ、その上にステンレス鋼板3、さらにカーボン板4、モリブデン製の錘5を載せる。ステンレス鋼板3のみでは、アルミニウムが融解したときの凝集を防ぐことができない場合、錘5が必要となる。この錘5は、融解したアルミニウムの表面張力が作る圧力差と釣り合う程度の重量とする。具体的には、厚さ100μmのアルミニウム箔2が融解する場合、442×10-3[N/m]の表面張力により、アルミニウム内部と外部の間に8.84×103[N/m2]の圧力差が生じると算出される。実際には、融解したアルミニウムが、濡れ性のある材料と接触する場合には、算出値より圧力差は小さくなる。上記実施例では、アルミニウムとシリコンカーバイド基板1には濡れ性があるため、算出値の約1/4の2.21×103[N/m2]程度の錘5を載せれば、アルミニウムの凝集が抑制されることが確認された。なおカーボン板4は、ステンレス鋼板3と錘5が高温で反応するのを防ぐために用いられる。当然ながらステンレス鋼板3、カーボン板4の重量も融解したアルミニウムに加わるから、ステンレス鋼板3、カーボン板4、錘5それぞれの重量を適宜設定し、シリコンカーバイド層のエピタキシャル成長に必要なシリコン及び炭素を含むアルミニウムが、シリコンカーバイド基板1上に残るようにする必要がある。
次に、昇温、降温工程について説明する。まず、加熱装置(図示せず)内から真空排気装置により空気を除いた後、不活性ガスとしてアルゴンを大気圧まで導入し、加熱装置内をアルゴンガスで置換する。その後、急速加熱を行う。融解するアルミニウムとシリコンカーバイド基板1あるいはステンレス鋼板3が、接触面内で均一に反応するためには、急速に温度を上昇させることが望ましく、100℃/秒の昇温速度で加熱する。また、到達温度は、融解したアルミニウムにステンレス鋼板3内の鉄あるいはクロムが溶出し、鉄等の濃度が十分大きくなるようにするため、1000℃とした。鉄等は、シリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素と反応して、シリコン及び炭素を融解したアルミニウムに溶解させる。即ち、鉄等の元素は、融解したアルミニウムへシリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素の溶解を促進する作用を発揮することになる。
1000℃で一定時間保持し、融解したアルミニウムにシリコン及び炭素を飽和濃度まで溶融させる。その後、加熱装置の温度を−1℃/秒程度とゆっくりと降温させ、シリコンカーバイドのエピタキシャル層をシリコンカーバイド基板1上に析出させる。このエピタキシャル層が析出する過程において、融解したアルミニウム中のシリコンは、炭素に比べてアルミニウム中に残留しやすいため、アルミニウムがシリコンカーバイドのシリコン格子位置に取り込まれ易くなり、p型のシリコンカーバイド層が再結晶化することになる。ここで、降温速度を−1℃/秒とするのは、急速に冷却を進めた場合に顕著に見られる、基板面内の温度勾配、不均一性に起因する結晶品質の劣化を防ぎ、良質なp型シリコンカーバイド層を得るためである。このように成長したp型シリコンカーバイド層には、固溶限界(2×1021cm-3)までアルミニウムが取り込まれるため、高濃度のp型シリコンカーバイド層を形成することが可能となる。
一方、アルミニウムに溶け込んでいる鉄等の元素は、シリコンや炭素、アルミニウムに比べて原子半径が大きく、シリコンカーバイド結晶には取り込まれることはなく結晶の品質に影響することはない。
室温まで冷却すると、図1(b)に示すように、シリコンカーバイド基板1上に、高濃度のp型シリコンカーバイド層6、アルミニウム、シリコン、鉄等の合金層2aとステンレス鋼板3が一体となって得られる。合金層2a上のカーボン板4は、ステンレス鋼板3と一体となることはないので、錘5と共に簡単に除去することができる。表面に露出したステンレス鋼板3は、ステンレスの腐食液、例えば硫酸や硝酸の混合エッチング液に浸漬し、エッチング除去することができる。その後、アルミニウム、シリコン、鉄等の合金層2を湿式、あるいはドライエッチングにより除去することにより、高濃度のp型シリコンカーバイド層6を露出し(図1c)、半導体装置の製造に供する。
次に、本発明のp型シリコンカーバイド層の製造方法を用いてインパッドダイオードを作製する場合について説明する。まず、n型シリコンカーバイド基板上に、実施例1で説明したように高濃度のp型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長する。室温まで冷却した後、錘5とカーボン板4を取り外す。次に、ステンレス鋼板3上に腐食防止膜としてレジストをコーティングし、上部電極形成予定領域を開口するようにパターニングする。その後、ステンレスの腐食液、例えば硫酸や硝酸の混合エッチング液に浸漬して開口内のステンレス鋼板3をエッチング除去する。さらに、レジストを除去した後、表面に残るステンレス鋼板3をマスクとして使用し、イオンミリング法などによって、表面に残る合金層2aを除去し、p型シリコンカーバイド層6を露出する。その後、露出したp型シリコンカーバイド層6に接触する上部電極を形成する。最後に、裏面のn型シリコンカーバイド基板にオーミック接触する下部電極を形成することにより、イパットダイオードを完成させることができる。なお、予め、ステンレス鋼板3及び合金層2aを除去した後、露出するp型シリコンカーバイド層6に上部電極を形成することも可能であることは言うまでもない。
本発明の実施例を示す図である。
符号の説明
1:シリコンカーバイド基板、2:アルミニウム箔、2a:合金層、3:ステンレス鋼板、4:カーボン板、5:錘、6:p型シリコンカーバイド層

Claims (4)

  1. シリコンカーバイド基板の表面に、アルミニウム部材と、該アルミニウム部材上に、該アルミニウムが融解したとき、該アルミニウムに溶解して該アルミニウムへ前記シリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素の溶解を促進する元素を含む第1の板状部材とを載置し、あるいはさらに該第1の板状部材上に、融解した前記アルミニウムが凝集しない重量の、前記第1の板状部材と接合しない材料からなる第2の板状部材、または該第2の板状部材及び該第2の板状部材上に高融点金属からなる錘部材とを載置し、昇温して、前記アルミニウム部材を融解し、該融解したアルミニウム中に、前記第1の板状部材から前記元素を溶解させるとともに前記シリコンカーバイド基板表面のシリコン及び炭素を溶解させた後、降温して前記シリコンカーバイド基板表面上にアルミニウムを含むp型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させることを特徴とするp型シリコンカーバイド層の製造方法。
  2. 請求項1記載のp型シリコンカーバイド層の製造方法において、融解したアルミニウムにシリコン及び炭素の溶解を促進する前記元素として、鉄、チタン、クロム、コバルト、マンガン、ニッケルの少なくともいずれか一つを含む前記第1の板状部材を前記アルミニウム部材上に載置して昇温することを特徴とするp型シリコンカーバイド層の製造方法。
  3. 請求項1または2いずれか1項記載のp型シリコンカーバイド層の製造方法において、前記シリコンカーバイド基板表面に、アルミニウム箔からなる前記アルミニウム部材とステンレス鋼板からなる前記第1の板状部材とを載置し、あるいはさらに該ステンレス鋼板上に、融解した前記アルミニウムが凝集しない重量の、カーボン板からなる前記第2の板状部材、または該カーボン板及びモリブデンからなる前記錘部材を載置して昇温することを特徴とするp型シリコンカーバイド層の製造方法。
  4. 請求項1乃至3いずれか1項記載のp型シリコンカーバイド層の製造方法において、前記p型シリコンカーバイド層をエピタキシャル成長させた後、該p型シリコンカーバイド層上に残る前記アルミニウム部材、前記第1の板状部材、前記第2の板状部材及び前記錘部材を除去し、前記p型シリコンカーバイド層を露出させることを特徴とするp型シリコンカーバイド層の製造方法。
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