JP5896118B2 - フッ素を含有する排水からフッ化カルシウムの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)当該排水にアルカリ金属塩の少なくとも1種から選ばれる塩を添加してケイ素化合物を析出させた後固液分離する第1工程
(2)(1)で分離した固体に水酸化アルカリ水溶液及び/またはアンモニア水の少なくとも1種から選ばれる溶液を添加してケイ素化合物中のフッ素を溶解させた後固液分離する第2工程
(3)(1)(2)で分離した液にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを沈殿させ固液分離する第3工程
からなるフッ化カルシウムの製造方法である。
図2に示すように、第1工程においてはケイ素及び/またはアルミとフッ素を含有する排水を反応槽1に供給するとともに、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩の少なくとも1種から選ばれる塩を添加して攪拌機1aで排水の攪拌を行う。なお、アルカリ金属塩の添加はフッ素を含有する排水の供給より先でも後でも、また同時でもかまわない。この操作によって、排水中に含まれるケイ素は二酸化ケイ素およびフルオロケイ酸化合物として沈殿する。アルミは水酸化アルミおよびフルオロアルミン酸化合物として沈殿する。
反応液は固液分離装置1bで固体と液体に分離され、固体は第2工程へ液体は第3工程へ移送する。なお、固液分離装置としては一般的に使用されるものであれば特に制限を受けないが、反応液の性状にあわせて適宜選択することができる。また、固体の沈降性が優れるため静置沈降させて上澄みを引き抜く方法などのデカンテーション法を用いてもかまわない。
図3に示すように、第2工程では第1工程で得られた固体を反応槽2に供給するとともに、水酸化ナトリウム水溶液等の水酸化アルカリ水溶液及びアンモニア水の少なくとも1種から選ばれる溶液を添加して攪拌機2aで反応液の攪拌を行う。この反応では、生成するアルカリ金属フッ化物の溶解度や操作性・反応性を勘案して水を添加してもかまわない。反応おける終点の判断は反応液のpHを確認するなどの方法を用いることができ、反応終点としては例えばpH4以上好ましくは7以上を目安にすることができる。
この反応液は、固液分離装置2bで固体と液体に分離され、液体を第3工程へ移送する。ここで分離された固体は、そのままあるいはさらに安定化処理を施して産業廃棄物として処理することが可能である。固液分離装置としては一般的に使用されるものであれば特に制限を受けないが、液体成分のロスを少なく抑えるために、洗浄機能を付加してもかまわない。
図4に示すように、第3工程では第1工程で分離した液と第2工程で分離した液を反応槽3に供給するとともに、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物を添加し攪拌機3aで攪拌を行う。なお、このカルシウム化合物は、固体のままでも、水溶液あるいは水懸濁液の状態で添加してもかまわない。第1工程および第2工程で得られた液は、それぞれフッ素を主として含有する液に調整されているため、カルシウム化合物の添加よって純度の高いフッ化カルシウムの沈殿を得ることができる。この反応は酸性領域、好ましくはpH4以下、さらに好ましくはpH3以下で行うことにより、生成するフッ化カルシウムの結晶を大きくできる。pH調整には反応槽3に塩酸・硝酸を添加することで可能となり、目的とするフッ化カルシウムの用途に応じて、配合割合や添加順を選択することができる。
なお、第2工程の液に関しては、pHが中性付近になっているため生成するフッ化カルシウムの粒子が細かく固液分離することが難しくなる恐れがある。このため、第1工程の液を加えることで液性状を酸性にし、得られるフッ化カルシウムの分離性を高めるなどの手法をとることができる。その際、第1工程の液で得られた液にカルシウム化合物を反応させたものを種晶とし、第2工程の液を添加することで、結晶成長を促すことができるといったメリットがある。
反応液は固液分離装置3bで固体と液体に分離され、液体については溶解物質の安定化処理等を別途行うことで産業廃棄物として処理できる。分離された固体は必要に応じて洗浄を行いフッ化カルシウムとする。得られたフッ化カルシウムは用途に応じて造粒や形状付与を行い乾燥される。
ポリエチレン容器に参考例1で作成した模擬排水1を500gとり、そこに塩化ナトリウム18.2gを添加してマグネチックスターラーで30分攪拌して反応させた。反応液をろ過して[分離液1−1]479.4gと[分離固体1−1]36.9gを得た。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体1−1]36.9gに水640.0gを加えた後、24%水酸化ナトリウム水溶液を84.9g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液1−2]725.3gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液1−1]479.4gと第2工程で得た[分離液1−2]725.3gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を680.0g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが7.5になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム1]73.7gを得た。
第1工程および第2工程における分離液の元素量を表2に、得られた[フッ化カルシウム1]の成分量を表3に示す。
なお、反応プロセスに特段の問題は発生せず、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができた。
ポリエチレン容器に参考例1で作成した模擬排水1を500gとり、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を1210g投入しマグネチックスターラーで30分撹拌を行って反応させた。その後反応液のろ過を行い、水洗した後乾燥したところ[比較フッ化カルシウム1]118.9gが得られた。
得られた[比較フッ化カルシウム1]の分析結果を表5に示す。
ポリエチレン容器に参考例1で作成した模擬排水1を500gとり、そこに希釈水1250gおよび24%の水酸化ナトリウム水溶液を526g投入しマグネチックスターラーで30分撹拌を行って反応させた。その後反応液をろ過して[比較分離液2−1]を2216g得た。
[比較分離液2−1]をポリエチレン容器に500gとり、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を125g投入しマグネチックスターラーで30分撹拌を行って反応させた。その反応液のろ過を検討したところ、ろ液の濁りやろ紙の目詰まりが発生して分離することが不可能であった。このため遠心分離によって固液分離を行い、得られた固形分は水洗の後乾燥したところ[比較フッ化カルシウム2]75.9gが得られた。
得られた[比較分離液2−1]および[比較フッ化カルシウム2]の分析結果を表4および表5に示す。
ポリエチレン容器に参考例1で作成した模擬排水1を500gとり、そこに硝酸カリウム31.5gを添加してマグネチックスターラーで30分攪拌して反応させた。反応液をろ過して[分離液2−1]481.0gと[分離固体2−1]48.5gを得た。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体2−1]48.5gに24%水酸化カリウム水溶液を136.6g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液2−2]144.1gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液2−1]481.0gと第2工程で得た[分離液2−2]144.1gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を680.0g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが4.0になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム2]76.2gを得た。
第1工程および第2工程における分離液の元素量を表4に、得られた[フッ化カルシウム2]の成分量を表5に示す。
なお、反応プロセスの操作性については実施例1とほぼ同等であり、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができた。
ポリエチレン容器に参考例1で作成した模擬排水1を500gとり、そこに塩化ナトリウム7.8gを添加してマグネチックスターラーで30分攪拌して反応させた。反応液をろ過して[分離液3−1]489.4gと[分離固体3−1]16.4gを得た。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体3−1]16.4gに水300.0gを加えた後、24%水酸化ナトリウム水溶液を38.2g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液3−2]338.0gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液3−1]489.4gと第2工程で得た[分離液3−2]338.0gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を684.0g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが8.7になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム3]76.6gを得た。
第1工程および第2工程における分離液の元素量を表4に、得られた[フッ化カルシウム3]の成分量を表5に示す。
なお、反応プロセスの操作性については実施例1とほぼ同等であり、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができた。
第1工程
ポリエチレン容器に参考例1で作成した模擬排水1を500gとり、そこに塩化ナトリウム4.7gを添加してマグネチックスターラーで30分攪拌して反応させた。反応液をろ過して[比較分離液3−1]494.9gと[比較分離固体3−1]7.8gを得た。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[比較分離固体3−1]7.8gに水140gを加えた後、24%水酸化ナトリウム水溶液を18.2g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[比較分離液3−2]158.0gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[比較分離液3−1]494.9gと第2工程で得た[比較分離液3−2]158.0gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を686.0g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが7.5になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[比較フッ化カルシウム3]71.0gを得た。
第1工程および第2工程における分離液の元素量を表4に、得られた[比較フッ化カルシウム3]の成分量を表5に示す。
反応プロセスの操作性については、第1工程および第3工程は実施例1とほぼ同等で、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができたが、第2工程においてはゲル状物の発生が見られろ過性が極めて悪かった。
第3工程の操作性については実施例1とほぼ同等であり、ろ過不良等の問題なく実施することができた。
得られた[フッ化カルシウム4]の分析結果を表5に示す。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体1−1]36.9gに水160gを加えた後、25%アンモニア水を71.4g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液5−2]241.1gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液1−1]479.4gと第2工程で得た[分離液5−2]241.1gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を514.0g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが6.8になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム5]72.1gを得た。
第2工程における分離液の元素量を表4に、得られた[フッ化カルシウム5]の成分量を表5に示す。
第2工程および第3工程の操作性については実施例1とほぼ同等であり、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができた。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体1−1]36.9gに水640gを加えた後、24%水酸化ナトリウム水溶液を101.8g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液6−2]760.5gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液1−1]479.4gと第2工程で得た[分離液6−2]760.5gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を803.2g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが7.3になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム6]77.7gを得た。
第2工程における分離液の元素量を表4に、得られた[フッ化カルシウム6]の成分量を表5に示す。
第2工程の操作性は実施例1とほぼ同等で、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができたが、第3工程においてはろ過に時間が必要であった。
ポリエチレン容器に参考例2で作成した模擬排水2を500gとり、そこに塩化ナトリウム79.2gを添加してマグネチックスターラーで30分攪拌して反応させた。反応液をろ過して[分離液7−1]471.1gと[分離固体7−1]106.0gを得た。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体7−1]106.0gに水1900gを加えた後、24%水酸化ナトリウム水溶液を233.6g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液7−2]2135.3gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液7−1]471.1gと第2工程で得た[分離液7−2]2135.3gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を932.1g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが9.0になるように25%塩酸を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム7]89.6gを得た。
第1工程および第2工程における分離液の元素量を表7に、得られた[フッ化カルシウム7]の成分量を表8に示す。
なお、反応プロセスの操作性については実施例1とほぼ同等であり、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができた。
第3工程の操作性については実施例1とほぼ同等であり、ろ過不良等の問題なく実施することができた。
得られた[フッ化カルシウム8]の分析結果を表8に示す
ポリエチレン容器に参考例3で作成した模擬排水3を500gとり、そこに塩化ナトリウム30.7gを添加してマグネチックスターラーで30分攪拌して反応させた。反応液をろ過して[分離液9−1]461.4gと[分離固体9−1]67.4gを得た。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体9−1]67.4gに水1150gを加えた後、24%水酸化ナトリウム水溶液を154.7g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液9−2]1306.3gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液9−1]461.4gと第2工程で得た[分離液9−2]1306.3gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を670g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが6.6になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム9]72.0gを得た。
第1工程および第2工程における分離液の元素量を表10に、得られた[フッ化カルシウム9]の成分量を表11に示す。
なお、反応プロセスの操作性については実施例1とほぼ同等であり、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができた。
ポリエチレン容器に参考例3で作成した模擬排水3を500gとり、そこに希釈水1250gおよび24%の水酸化ナトリウム水溶液を526g投入しマグネチックスターラーで30分撹拌を行って反応させたところ、液中に透明なゲルが生成し固液分離操作ができない状態になり固体を分離することができなかった。
ポリエチレン容器に参考例4で作成した模擬排水4を500gとり、そこに塩化ナトリウム35.5gを添加してマグネチックスターラーで30分攪拌して反応させた。反応液をろ過して[分離液10−1]465.8gと[分離固体10−1]67.7gを得た。
第2工程
ポリエチレン容器に、第1工程で得た[分離固体10−1]67.7gに水1150gを加えた後、24%水酸化ナトリウム水溶液を135.8g添加してマグネチックスターラーで30分攪拌した。その後ろ過を行い、[分離液10−2]1282.7gを得た。
第3工程
ポリエチレン容器で第1工程で得られた[分離液10−1]465.8gと第2工程で得た[分離液10−2]1282.7gを混合し、そこに11.2%の水酸化カルシウム水懸濁液を670.0g添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、反応液のpHが7.9になるように24%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後ろ過を行い、その後水洗を行った後乾燥し[フッ化カルシウム10]73.6gを得た。
第1工程および第2工程における分離液の元素量を表10に、得られた[フッ化カルシウム10]の成分量を表11に示す。
なお、反応プロセスの操作性については実施例1とほぼ同等であり、ゲル化・ろ過不良等の問題なく実施することができた。
Claims (4)
- ケイ素及び/またはアルミと、フッ素を含有する排水において、
(1)当該排水にアルカリ金属塩の少なくとも1種から選ばれる塩を添加してケイ素化合物及び/またはアルミ化合物を析出させた後固液分離する第1工程
(2)(1)で分離した固体に水酸化アルカリ水溶液及びアンモニア水の少なくとも1種から選ばれる溶液を添加して、ケイ素化合物及び/またはアルミ化合物中のフッ素を溶解させた後固液分離する第2工程
(3)(1)(2)で分離した液にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを析出させ固液分離する第3工程
からなるフッ化カルシウムの製造方法 - アルカリ金属塩が塩化物または硝酸塩である請求項1に記載のフッ化カルシウムの製造方法
- アルカリ金属塩の添加量が、排水中に含まれるケイ素およびアルミの合計に対してアルカリ金属として1モル当量以上である請求項1又は請求項2に記載のフッ化カルシウムの製造方法
- カルシウム化合物が水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウムからなる少なくともひとつから選ばれる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフッ化カルシウムの製造方法
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