JP5742130B2 - 五酸化バナジウムの製造方法 - Google Patents
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すると、メタバナジン酸アンモニウムが析出して沈殿する。
そして、このメタバナジン酸アンモニウムの沈殿に対して種々の処理を行うことによって、バナジウムを五酸化バナジウムの状態で回収するのである。
このため、上記のごとき方法によってバナジウムを五酸化バナジウムの状態で回収する場合には、メタバナジン酸アンモニウムの純度を上げるために、一旦得られたメタバナジン酸アンモニウムを再度溶解して塩析を繰り返さなければならず、作業工数が多くなり、作業コストもかかるという問題が生じている。
このため、処理後液を廃水として排出する場合、環境汚染防止のために、アンモニウム塩を除去する排水処理やそのための設備が必要となり、設備が大型化したり設備のランニングコストが増加したりするという問題も生じている。
第2発明の五酸化バナジウムの製造方法は、第1発明において、請求項1で得られた五酸化バナジウムの沈殿物を硫酸アンモニウム溶液で洗浄することを特徴とする。
第2発明によれば、第1発明で得られた五酸化バナジウムの沈殿物を硫酸アンモニウム溶液で洗浄するので、五酸化バナジウムの沈殿からナトリウム分を除去することができ、最終製品の五酸化バナジウムの純度を高く維持することができる。
本発明の五酸化バナジウムの製造方法は、バナジウムを含有する水溶液から五酸化バナジウムを製造する方法であって、不純物としてナトリウムを含有する水溶液から、高純度の五酸化バナジウムを簡単に製造することができるようにしたことに特徴を有している。
また、上述したバナジウム、モリブデン等の重金属を含む混合溶液としては、例えば、以下のように使用済みの廃触媒を処理した際に発生する溶液等を挙げることができるが、とくに限定されない。
使用済みの廃触媒を処理した際に発生する溶液とは、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムを用いて使用済脱硫触媒をアルカリ焙焼し、得られた焙焼物を水で溶解して形成される、モリブデンやバナジウムのソーダ塩を主成分とする塩溶液である。
つぎに、本発明の五酸化バナジウムの製造方法を説明する。
本発明の五酸化バナジウムの製造方法(以下、単に本発明の方法という)では、バナジウムを含有する水溶液(バナジウム含有液)から、沈殿として五酸化バナジウムを回収することによって、五酸化バナジウムを製造する方法である。
(式1)
2Na3VO4+3H2SO4→V2O5↓+3Na2SO4+3H2O
pHが1.0以下の場合には、生成した沈殿粒子が細かくなり、沈殿粒子を混合溶液から固液分離する操作に支障をきたすという問題がある一方、pHが1.8以上の場合には、五酸化バナジウムの沈殿が生じなくなる。
よって、混合溶液のpHが、1.0より大きく1.8未満、好ましくは、pH1.5±0.3となるように維持すれば、五酸化バナジウムの沈殿を確実に生じさせることができる。
そして、五酸化バナジウムの沈殿にナトリウムが混入することを抑制することができるから、得られた五酸化バナジウムの沈殿を高純度にすることができる。
とくに、五酸化バナジウムの沈殿を形成する時間を短くするのであれば、pHが1.3以下とすることが好ましい。
すると、廃液を処理して排水する際に、廃液処理のための特別な設備が不要となるので、設備をコンパクトにできランニングコストの増加も抑えることができる。
なお、上記の方法によって得られた五酸化バナジウムの沈殿では、混入するナトリウムの量が少ないのであるが、わずかにNaVO3、Na4V2O7、Na6V10O28等が混入する。よって、より高純度の五酸化バナジウムを得る上では、得られた五酸化バナジウムを硫酸アンモニウム溶液によって洗浄することが好ましく、硫酸アンモニウム溶液によって五酸化バナジウムの沈殿を洗浄すれば、ナトリウム分を五酸化バナジウムの沈殿から除去することができる。
硫酸アンモニウム溶液による洗浄によって五酸化バナジウムの沈殿からナトリウム分を除去できるのは、以下の(式2)の反応によるものと推察される。
(式2)
2NaVO3(s)+(NH4)2SO4(l)→2NH4VO3(s)+Na2SO4
しかし、五酸化バナジウムは、熔融炉において溶融された後冷却して固められ、その後破砕されて、フレーク状の最終製品に加工されるので、熔融炉において溶融された際に、以下の反応(式3)によってアンモニウム塩からアンモニアが脱離される。
よって、硫酸アンモニウム溶液によって五酸化バナジウムを洗浄しても、最終製品の五酸化バナジウムの純度を高く維持することができる。
(式3)
2NH4VO3(s) → V2O5↓ + 2NH3(g) + H2O(g)
使用した硫酸溶液は、30[%]硫酸溶液を使用した。
混合溶液は、温度を80℃、pHを1.0、1.3または1.6に調整し、竪型撹拌機で撹拌しながら沈殿を発生させた。
なお、混合溶液のpHは、30[%]硫酸溶液によって調整した。
図2に示すように、混合溶液のpHが低くなるにしたがって、反応が終了する時間が短くなっていることが確認できる。とくに、pH1.6からpH1.3に変化させると、大きく反応時間を短縮させることができたことが確認できる。
よって、混合溶液中の五酸化バナジウムの沈殿を形成させる時間を短くする上では、混合溶液のpHを1.3以下とすることが好ましいと考えられる。
使用した硫酸溶液は、30[%]硫酸溶液を使用した。
混合溶液は、温度を80℃、図3に示されるようにpHを変化させた状態で、竪型撹拌機で撹拌しながら沈殿を発生させた。
なお、混合溶液のpHは、30[%]硫酸溶液によって調整した。
また、五酸化バナジウムの沈殿の純度は、五酸化バナジウムの沈殿に含まれるナトリウムの割合によって判断した。ナトリウムの割合は、ICP発光分光分析装置によって測定した。
図3に示すように、pHが大きくなるにつれ、ろ液中の五酸化バナジウムの濃度が低下していることが確認できる。つまり、沈殿として回収される五酸化バナジウムの量が多くなっている(言い換えれば、回収率が高くなっている)ことが確認できる。しかし、ろ液中の五酸化バナジウムの濃度は、pHが1.5より大きくなると増加に転じている。このことから、五酸化バナジウムの回収率を高く維持する上では、混合溶液のpHに適切な範囲が存在することが確認できる。具体的には、pH1.3より大きく1.8未満が五酸化バナジウムの回収率を高く維持する上で好ましいpHの範囲であることが確認できる。
Claims (2)
- バナジウムおよびナトリウムを含有するバナジウム含有液から五酸化バナジウムを製造する方法であって、バナジウムおよびナトリウムを含有するバナジウム含有液と硫酸とを混合することにより、得られる混合溶液のpHを1.0よりも大きく1.8未満に調整し、当該pHを維持することにより、五酸化バナジウムを沈殿させることを特徴とする五酸化バナジウムの製造方法。
- 請求項1で得られた五酸化バナジウムの沈殿物を硫酸アンモニウム溶液で洗浄する請求項1記載の五酸化バナジウムの製造方法。
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